博士(工学)ノくンノくンスギアル′ト 学位論文題名
高効率、クリーン燃焼を実現する為の
2サイクルガソリン機関の掃気改善法に関する研究
学位論文内容の要旨
小 型2サ イ ク ル ガ ソ リ ン 機 関は 、 こ れ ま で 広 い用 途 に 用 い ら れ てき た が、 現在で は小 型二輪 車や 汎用エ ンジ ンなど が主 たる用途であり、排気ガ ス規 制なら びに 燃費等 の要 求が厳 しい 自動車 には 殆ど使われていない。ま た近 年、船 外機 の排気 によ る海洋 、湖 川汚染 につ いても問題視されつっあ る。
ク ラ ンク ケ ー ス掃 気式の2サイ クル 機関が これ らの要 求を 満たせ ない の は、 作動原 理上 不可避 な吸 入新気 の吹 き抜け によ るところが大きい。過大 な 吹 き 抜け は 燃 費 の 悪 化 にっ な が り 、 さ ら に排 ガ ス中 のHC濃度増 加の 主 原因 ともな って いる。 本論 文は、 この 掃気の 吹き 抜け低減を目的として、
排 気 管 制弁 の 装 着、 あるい は筒 内への 燃料 ・空気 混合 噴射を 行い 、2サ イ クル ガソリ ン機 関の性 能な らびに 排気 改善を 試み た研究の結果について論 述し たもの であ る。
論 文は、6章か ら構 成され てい るぃ
第1章 は 、 序 論であ り、 本研究 の目 的およ び得 られた 結果 につい て述 べ る と と もに 、 研 究の 背景な らび に2サ イクル ガソ リン機 関の 吹き抜 け低 減 に関 連する 研究 の動向 につ いてま とめ た。ま た排 気管制弁と空気噴射とに よる 吹き抜 け低 減のコ ンセ プトに つい て論述 した 。
第2章 は 、 供 試機関 およ び実験 に用 いた装 置、 ならび に測 定方法 につ い て記 述した 。特 に本研 究で は、吹 き抜 けのメ カニ ズムを解明するため、可 視化 装置を 考案 試作し た。
第3章 は 、 排 気管制 弁に より、 性能 および 排気 改善を 行っ た結果 につ い
て記述した。本研究では、ピストン式排気管制弁を試作し、従来から用い られてきたロータリー式排気管制弁との機関性能の比較を行った。その結 果、特にピストン式排気管制弁によれば、管制弁の装着により摩擦損失が 増加するにもかかわらず、出力性能の低下を伴うことなしに、燃料消費率 お よび未燃HCの大幅な低減が得られ、またアイドリング性能も著しく向 上することが明らかになった。
第4章は、吹き抜けの低減を目的として、筒内への空気と燃料の混合噴 射を行い、2サイクル機関の性能、およぴ排気の改善を試みた。この空気 噴射は、筒内噴射式ガソリン機関の問題点とされてきた、気化不足を改善 するために、あらかじめ空気と混合した形で燃料を噴射するものである。
こ れは、市販2サイクル機関に対 して、リード弁式の噴射弁をシリンダ ヘッドに装着したものであるが、実験の結果、最適な噴射時期、およびノ ズ ル形状がある程度限定されるとしても、空気混合噴射により燃料消費 率 、ならびに排ガス中のHC濃度は大幅に改善された。とくに燃料消費率 に 関 して は低速域での 改善が著しく、筒内 噴射の利点が証明 された。
第5章は、排気管性弁式と空気噴射式における性能改善を比較検討した 結果について論述した。すなわち各種効率、改善率および損失を解析比較 した他、噴霧および掃排気流の可視化観察を行った。その結果、吹き抜け の低減メカニズムを確認することができた。
第6章では、本研 究で得られた成果 の要点をまとめ、結論を述べた。
主査 副査 副査 副査
学位論文審査の要旨 教 授 村 山
教 授 宮 本 教 授 伊 藤 教 授 寺 尾
正 登 献一
日出男(農学研究科)
学 位 論 文 題 名
高 効 率 、 ク リ ー ン 燃 焼 を 実 現 す る 為 の 2サ イクルガ ソリン機 関の掃 気改善法 に関す る研究
クランクケこス掃気式の2サイクル機関が近年わが国で用いられ なくなって来たのは、作動原理上不可避な吸入新気の吹き抜けによ るところが大きい。過大な吹き抜けは燃費の悪化にっながり、さら に排ガス中のHC濃度増加の主原因ともなっている。本論文は、こ のような掃気の吹き抜けの低減を目的として、排気管制弁の装着、
および筒内への燃料・空気混合噴射を行い、2サイクルガソリン機 関の性能ならびに排気改善を行った研究の結果について論述したも のである。
論文は、6章から構成されている。
第1章は序論であり、本研究の目的および得られた結果について 述べるとともに、研究の背景ならびに2サイクルガソリン機関の吹 き抜け低減に関連する研究の動向についてとりまとめ、排気管制弁 と空気噴射の吹き抜け低減に関するコンセプトについて論述してい る。
第2章では、供試機関および実験装置、ならびに測定方法につい て記述しているが、特に本研究では、吹き抜けのメカニズムを解明 するために、可視化装置を製作している。
第3章では、排気管制弁を装着したさいの掃気特性に関して、性 能および排気改善の結果について記述している。すなわち本研究で
は、ピストン式排気管制弁を制作して、従来から用いられてきた ロータリー式排気管制弁との機関性能の比較を行っているが、その 結果、ピストン式排気管制弁によれば、管制弁の装着により摩擦損 失が増加するにもかかわらず、出力性能の低下を伴うことなしに、
燃料消費率および未燃HCの大幅な低減が得られ、またアイドリン グ 性 能 も 著 し く 向 上 す る こ と を 明 ら か に し て い る 。 第4章では、吹き抜けの低減を目的として、筒内への空気と燃料 の混合噴射を行い、2サイクル機関の性能、ならぴに排気の改善を 試みている。この空気混合噴射は、筒内噴射式ガソリン機関の問題 点とされてきた気化の不足を改善するために、あらかじめ空気と混 合した形で噴射するものである。すなわち、市販2サイクル機関に 対してりード弁式の噴射弁をシ1Jンダヘッドに装着したものである が、実験の結果、最適な噴射時期、およびノズル形状を選定するこ とによって、燃料消費率、ならびに排ガス中のHC濃度の大幅な改 善がなされている。なお、2サイクル機関では、内部EGR的な効果 のために全般にNOx濃度は低くなるが、とくに空気混合噴射の場合 には噴射用空気による冷却の効果が加わるので、排気管制弁式より も更に低NOxの運転が可能となった。燃料消費率に関しては、低速 域 で の 改 善 が 著 し く 、 筒 内 噴 射 の 利 点 が 実 証 さ れ た 。 第5章は、排気管制弁式と空気噴射式とにおける性能を比較検討 した結果について論述したものである。すなわち、各種効率、およ び損失を解析比較した他、噴霧および掃排気流の可視化観察を行 い 、そ の結 果、 吹き 抜け の低 減メ カニ ズ ムを 確認 して いる。
第6章では、本研究で得られた成果の要点をまとめて、結論とし て記述している。
以上のように本論文では、掃気の吹き抜けを低減することによる 燃焼および排気の改善を目的として、排気管制弁および筒内への燃 料・空気混合噴射技術を開発し、高効率クリーン燃焼の2サイクル ガソリン機関を実現することができたので、内燃機関工学、ならび に 大 気 汚 染 改 善 技 術 の 進 歩 に 寄 与 す る こ と が 大 で あ る 。 よって、著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資 格ある者と認める