中
世
曹
洞
宗
に
お
け
る
本
参
研
究
序
説
(三
)−
峨
山
関
連
抄
物
と
円
応
寺
所
蔵
本
参
に つ い てi
飯
塚
大
展
一 、 は じ め に本
稿
は前
稿
に引
き続
き 石 屋派
に属
す る 円 応寺
( 佐 賀 県 武 雄 市 ) 所蔵
の 禅 籍 抄物
、特
に本
参資
料
を 紹介
し た い と考
え て い る 。 前稿
に お い て 、 「透
句
」 と称
さ れ る語
録
或
い は 偈 頌 の 一句
を ]定
の 階梯
に 体系
化 し た資
料
と し て 、 『 二 十 七 通 句 』 ( 仮 題 ) を 紹 介 し た 。 併 せ て、 同様
の 「透
句
」 と し て は、大
安
寺
( 長 野 県 長 野 市 七 二 会 ) 所蔵
『 四十
八 透 』 (仮
題 V 、龍
泰寺
所
蔵
「龍
泰
禅寺
句
参
透 リ 」 ( 『 祥 雲 山 龍 泰 禅 寺 門 徒 秘 参 』 所 収 )等
が存
す( 1 ) る こ と を
指
摘
し た 。 又 、 所 謂 「曹
洞 三位
」 説 は公
案
参
究
の体
系 で あ る 「 透参
」 で あ る と 同時
に、様
々 な 語録
や 偈 頌 の 一句
も し く は 二句
を体
系化
し た も の で あ る 「 透 句 」 と し て資
料
に 現 れ 、中
世 に お け る林
下
曹 洞宗
の教
学
の特
色 の 一 つ で あ っ た と 思 わ れ る 。更
に言
えば
、 「曹
洞
三位
」説
と共
に特
色 の 一 つ と さ れ る の が 「曹
洞 五 位 」 説 で あ っ た と推
定
さ れ る 。 本稿
に お 駒 澤 大 學 佛 教 學 部 論 集 第 三 十 號 卒 成 十 一 年 十 月 い て は 、 「 曹 洞 三 位 」説
は し ば し ば夜
参 の資
料
と し て 見 ら れ る こ と か ら、 石 屋派
下
の夜
参
の 資 料 と し て 『 霊機
宏 聖 道 三 位 之次
第
』 を取
り 上げ
る 。後
に 説 く よ う に、夜
参
は 通 幻 寂霊
か ら 了庵
慧 明 に伝
授
さ れ 、 ま た 更 に そ の体
系 化 さ れ た も の が 無極
慧
徹
か ら 月 江 正文
に 伝授
さ れ た と の 切紙
の 伝 承 が あ る 。 又 、前
稿 に お い て は瑩
山 紹 瑾 に 擬 せ ら れ る 『秘
密
正 法 眼蔵
』 を取
り 上 げ 、本
書
が室
町 時 代 の 比較
的 早 い 時 期 に 成 立 し た秘
書
的
性
格 を 有 す る典
籍
で あ り 、 は じ め 漢 文 の本
参 と し て 成 立 し て 以 後 、 更 に仮
名
書
き の 本参
と し て中
世
に受
容 さ れ た も の で あ( 2 ) る こ と を 不
十
分
な が ら 指摘
し た 。本
稿
に お い て も 、 峨 山 に擬
せ ら れ る抄
物
に つ い て概
観
し た の ち 、 『 報 恩録
』 に見
え る 峨 山 の 法 語 を軸
に 、 『山
雲
海
月 』 『 峨 山和
尚
法
語
』 と の関
連 を論
ず
る 。 更 に そ れ ら の 法 語 が参
話 と し て 、本
参 ・ 切 紙資
料
の中
に見
え る こ と を 指摘
し 、中
世
曹
洞宗
に お け る峨
山
関
連
の 公 案 の展
開
に つ い て考
察
を加
え た い 。 一 七 三中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参 資 料 研 究 序 説 ( 三 ) ( 飯 塚 ) ち な み に、 祗 春 に よ っ て 円 応
寺
室 内 に お い て秘
書
と さ れ て き た典
籍
を記
し た 「秘
録
」 ( 元 禄 五 年 く 一 六 九 二 V 写、 横 長 一 冊 V に よ れ ば 、 秘 録 ω 一 、 空 塵 書、 ω 一 、 十 則 正 法 眼 并 抄、 一 、 嗣 書、 ω 」 、 梅 花 嗣 書、 一 、 傳 光 録 、 一 、 五 家 之 偈、 ω 一 、 洞 山 五 位 顕 訣 并 □ □ 口 □ 出 語 要 序 、 一 、 ロ ロ 決 議 論、 一 、 玉 函 秘 抄、 一 、 楊 花 集、 一 、 洞 上 玄 風、 一 、 石 屋 派 先 師 遷 化 之 時 之 次 第、 一 、 参 禅、 一 巻 、 α心 一 、 幻 寄 集、 一 、 洞 山 和 尚 諸 語 并 洞 家 諸 尊 宿 秘 語 、 一 、 句 双 紙、 αの 一 、 回 互 圓 轉 環 如 古 語 、 】 、 勤 行 諸 出 之 作 法、 一 、 識 之 註 、 冖 、 信 心 銘 峨 山 和 尚 着 語、 → 、 未 語 尽 慚、 一 、 所 為 集、 一 、 古 今 禅 宗、 一 、 傳 法 偈 、 一 、 百 則 始 終、 一 、 看 語 不 見、 伽 一 、 仮 名 見 性、 一 、 釈 迦 世 系、 一 、 三 位 之 次 第 、 ¢ 一 、 鶯 舌 集、 一 、 諸 話 頭 参 話、 働 一 、 一 段 光 明 亘 古 今 、 一 、 楞 厳 回 向 註、 の 一 、 報 恩 録 、 二 巻 、 一 、 参 禅 、 但 横 ト ヂ、 一 、 秘 傳 集、 一 、 句 双 紙、 → 、 大 庵 和 尚 下 語 、 ( 張 傍 線 筆 者 ) 上 記 の よ う に 、 峨山
関
連 の典
籍
が 「信
心
銘
峨
山和
尚着
語
」 「未
語 尽情
」 ( 『 山 雲 海 月 圖 』 ) 「 一 段光
明 亘 古 今 」 ( 恐 ら く 「 宏 智 八 句 」 を 拈 提 し た も の で あ り 、 峨 山 の 著 語 を 含 む も の と 思 わ れ る ∀ 「報
恩 録 」 の 四種
が 見 え て お り、 こ の ほ か に も 『自
得
懐
暉禅
師
語
録 抄 』 が 円応
寺
に 所 蔵 さ れ て い た こ と が解
る 。 又 、道
元 に 擬 せ ら れ る 「梅
華
嗣 書 」 「 仮名
見 性 」 の著
作、 瑩 山 に 擬 せ ら れ る 「 十則
正 法 眼并
抄
」 「傳
光
録
」 「報
恩 録 」等
が 所蔵
さ れ て 七 四 い る こ と も 注 目 す べ き で あ る 。 峨山
派下
の諸
派
の 展開
と そ の 教 学的
背
景
に つ い て今
後
研
究
を続
け て い き た い と考
え て お り、本
稿 で は と り あ え ず 石 屋派
に お け る 峨山
関 連 の典
籍
の 受 容 と そ れ 以外
の禅
籍
抄
物
と の関
係 に つ い て考
察 を 進 め た い 。 次節
に お い て は、 峨 山 に 擬 せ ら れ る禅
籍 抄 物 に つ い て概
観
し た い と 思 う 。 二 、峨
山 に 擬 せ ら れ る 抄 物 に つ い て管
見 の 峨 山韶
碩 に擬
せ ら れ る抄
物
資
料
と し て は 、 の が あげ
ら れ る 。 (1
) (2
) (3
) (4
) ( (65
) ) 以下
の も 茨城
県 六地
蔵
寺
所蔵
『 一華
開 五 葉 』 ( 内 題 「 峨 山 和 ( 3V 尚 人 天 眼 目 代 」 室 町 時 代書
写 )佐
賀
県 円応
寺
所蔵
『自
得
懐
暉禅
師
語
録抄
』 ( 識 語 ( 4 ) 「 峨 山 和 尚 誦 抄 」 元 亀 三年
く 一 五 七 二 V 書 写 ) 長 野 県 大安
寺所
蔵
『 天 童覚
和
尚
小
参抄
』 ( 「 総 持 二 代 大 和 尚 之 下 語 也 」 と の 記 載 あ り 。 天 正 六 年 〈 一 五 八 ( 5 ) 六 〉 鈍 隼 書 写 ) 円 応 寺所
蔵
『 山雲
海
月
圖 』 ( 表 題 『 未 語 尽情
』 、 文 ( 6 ) 明 十 一 年 企 四 七 九 〉 書写
) ( 7 ) お茶
の 水図
書
館
蔵
『 峨山
和尚
法語
』 大東
急記
念
文
庫
蔵
『 峨山
百則
』 ( ※ 典 籍 ご と に 管 見 の 最 も 古 い 写 本 を 挙 げ る )こ れ ら の
禅
籍
抄
物
は 、 必ず
し も 峨山
の 著作
と し て確
定 さ れ て は い な い も の で あ る が 、 そ の ほ と ん ど が室
町時
代
後
期 か ら 江戸
時
代初
頭
に か け て成
立 し た 諸本
で あ り、中
世 に お け る 林 下曹
洞
宗 の教
学 的 背景
を 考察
す る 際 に 欠 く こ と の で き な い 資料
で あ る と い え る 。 峨 山 に擬
せ ら れ る禅
籍
抄物
が 峨 山派
下 に お い て ど の よ う に 受容
さ れ て き た か と い う相
伝
の 系譜
を 明 ら か に す る こ と に よ り、 そ の抄
物
自
体 の成
立状
況
が明
確
化
さ れ る も の と私
は 考 え て い る 。 た と え ば 、永
平寺
、総
持寺
を 頂 点 と す る 教 団 内 の ヒ エ ラ ル キ ー が お そ ら く確
乎 と し た も の と し て成
立 し て い な い で あ ろ う 室 町 時 代 に お い て 、地
方 に 展 開 し た 道 元 派下
の 諸 派 は そ れ ぞ れ の 地 域 に お け る 拠 点寺
院 を中
心 に ま と ま り を 持 ち 、 独 自 性 を 有 し て い た も の と思
わ れ る 。 教 団 史的
に は 、本
末関
係 を 紐帯
と し た 地 方 展開
は室
町時
代 後 期 よ り 江戸
時代
初
頭 に か け て 最 も 活 発 に な さ れ た 。 そ し て、 地 方 展開
を 遂げ
た 林 下 曹 洞宗
各
派 は、 そ れ ぞ れ に特
色
あ る 修 行体
系 を有
し て い た と 思 わ れ る 。 私 は 、 こ の 時期
に 曹 洞 宗 に お け る 一定
の教
学
的 基 盤 が確
立 さ れ た も の と 仮定
し、今
日 に お い て と も す れ ば 道 元 に 収 斂 し が ち な 林 下 曹 洞宗
の 教 学 的 背 景 を見
直
し て行
き た い と 思 う 。 も と よ り そ の考
察
に は道
元 の諸
著
作
の 理解
が前
提 と さ れ る の で あ り 、 そ れ は現
時
点
で私
に最
も 欠 け て い る 分 野 で も あ る 。 な ぜ 道 元 の 思想
と は 異 な る も の を中
世曹
洞
宗
各
派 は 中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参 資 料 研 究 序 説 ( 三 ) ( 飯 塚) 選 び 取 っ た の か 、道
元 が 否 定 し た思
想 を そ の 人 の言
葉 で あ る か の よ う に語
っ た の で あ ろ う か 、私
の関
心 は そ の 周 辺 に あ る 。 上 述 の 峨 山 に 擬 せ ら れ る禅
籍
抄
物
か ら 円 応 寺 所蔵
『山
雲
海
( 8 ) 月圖
』 ( 『 未 語 尽 情 』 ) に つ い て 略 述 し て み た い 。『 山 雲
海
月圖
』 の書
冊 形 式 は、 以下
の 通 り であ
る 。標
題
は 表 紙 に打
附 け に 「未
語 尽情
」 と 墨 書 さ れ、内
題 は 「山
雲
海
月 圖 一 〜 五 」 と あ る 、 五篇
一 冊 の 写本
で あ る 。 大 き さ は 、縦
28
・8
、横
19
・3
糎
、装
幀
は袋
綴
、本
文 は 墨付
二 九丁
で裏
表 紙 を 欠 い て い る 。書
写
し た 人物
は 不明
で あ る が 、成
立 に つ い て は、 以 下 の 巻末
識
語
に よ っ て 知 る こ と が で き る 。 キ 享 徳 二 年 季 春 二 日 書 畢 ス へ 今 亦 文 明 十 一 年 〈 己 亥 〉 六 月 廿 六 日、 謹 焼 香 拜 書 畢 ( 朱 印 二 顆 ) [ 別 筆 ] 前 総 持 妙 音 三 世 殊 久 ( 花 押 熊 ) ( 朱 印 二 顆 ) 付 与 圓 應 六 世 一 叟 鈍、 々 寄 付 圓 口 丈 室 焉 了本
書
は 、 享徳
二年
二 四 五 三 ) 三月
二 日 に書
写 さ れ た も の を 、文
明十
一年
( 一 四 七 九 ) 六 月 に再
写
し た も の で あ る こ と が わ か る 。 従来
は延
宝 五 年 版本
を底
本
と し て考
察 さ れ て き た 『山
雲
海
月
』 で あ る が 、 こ の古
写
本
の存
在 は、 本 文研
究
の 上 か ら極
め て 注 目 す べ き も の で あ る 。 又 、 そ の巻
末
部 分 の記
事
に よ れ ば 、 ハ ニ ス ル 此 御 法 語 者 、 先 師 夜 半、 堂 奥 遺 教 之 御 語 也 。 其 時 謹 聴 取 兄 弟、 不 過 三 五 。 宗 門 之 佛 法 参 窮 之 不 レ 人、 不 可 披 見 、 家 底 深 密 之 内 参 一 七 五中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参 資 料 研 究 序 説 ( 三 ) ( 飯 塚 ) ノ ソ ソ ト ハ 也 。 心 中 心 之 自 照 底 之 了 語 也。 全 先 師 普 説 、 我 聴 取 言 、 先 師 之 佛 ト ト カ テ 法 法 語、 不 見 夢 。 山 僧 法 衣 ・ 應 器 ・ 佛 具 等 相 添 、 可 レ 籠 二 其 山 其 寺 ニ ン ハ ニ 之 堂 奥 4 其 寺 不 二 焼 香 之 子 孫ハ 不 可 頂 戴 者 也 。 這 个 之 御 語 、 宗 旨 之 不 為 二 極 則 位 ハ 云 々。 内 判 在 之 。
本
書
は、 峨山
の普
説
で あ り、 嗣 法 の弟
子 に伝
授 さ れ る べ き室
内
の秘
書
と い う 位置
づ け で あ る 。管
見
の も の で は 、円
応寺
所 蔵 本 が も っ と も時
代的
に古
い 成 立 の も の で あ る が 、 こ れ に よ っ て直
ち に 峨 山 の 著作
で あ る と 断定
で き る と は考
え て い な い 。 あ る 時 期 に 、 そ れ は恐
ら く 峨 山 派 下 の諸
派 が北
陸
地
方
か ら 全国
展開
を 遂 げ た で あ ろ う 時 期 に 、 今 日 峨 山 に擬
せ ら れ る 典 籍 が 、特
に禅
籍
抄
物
が著
さ れ た の で は な い か と推
定
す る か ら で あ る 。 私 は 、 『 山雲
海
月 』 を仮
に 峨 山 派下
の相
伝
の 書 と し て位
置
づ け 、現
時
点
に お い て は 真 撰 で あ る か 偽撰
で あ る か の判
断 は留
保 し て お き た い 。 次 に 『山
雲海
月
』 の相
伝
の系
譜
に つ い て 、 若 干 考 察 し て み た い 。 峨山
派 下 に お い て ど の よ う な 典籍
が参
究 さ れ て い た の か を 知 る直
接的
な資
料
を未
だ 見出
し て い な い 。従
っ て 、 こ こ で は 峨山
以 後 の教
学的
背
景
を 考 え る こ と に よ っ て 、 峨 山 の そ れ を推
定
し て み た い 。 峨山
の高
弟 の 一 人 であ
る 通 幻寂
霊 の、 明徳
二 年2
三 九 一 ) の 年記
を有
す る 「葬
記
」 ( 『 績 曹 洞 全 書 』 注 解 三 ) が 一 つ の参
考
と な る 。 面 付 遺 付 嗣 法 子 物 件 開 具 在 後 一 七 六 一 、 法 衣 壹 縁 、 法 衣 壹 縁 面 付 一 、 法 衣 壹 縁 一 、 法 衣 壹 縁 一 、 法 衣 壹 縁 一 、 法 衣 壹 縁 面 面 面 面 付 付 付 付 一 、 法 衣 壹 縁 面 付 ] 、 法 衣 壹 縁 一 、 法 衣 壹 縁 一 、 法 衣 壹 縁 一 、 法 衣 壹 縁 面 面 面 面 付 付 付 付 右 続 記 把 帳 五 位 君 臣 図 面 付 梵 網 経 儀 軌 ・ 斎 僧 法 并 風 行 草 偃 ・ 親 筆 五 位 顕 訣 遺 付 峨 山 法 語 請 益 行 巻 嗣 書 巻 劫 外 録 正 法 眼 蔵 転 法 輪 雪 子 吟 新 豊 吟 重 離 六 爻 遺 遺 遺 付 付 付 遺 付 遺 遺 遺 遺 付 付 付 付 慧 明 首 座 了 庵 遺 付 真 梁 首 座 石 屋 永 就 都 司 一 径 善 救 首 座 普 済 明 見 蔵 主 不 見 自 性 都 寺 天 真 祖 祐 蔵 主 天 鷹 明 徳 辛 未 五 月 十 二 日 二 年 ( 中 略 ) 定 光 寺 前 総 持 良 秀 押 主 喪 総 持 寺 聞 本 押 ( ※ 傍 線 筆 者 ) に つ い て は、 所 謂 『 峨 山和
尚 法語
』 で あ る の で あ る の か ど う か は判
断
で き な い が 、傍
線
を こ の 点 か ら も 「 五位
」 の 思 想 で あ っ 正 杲 監 寺 了 峰 曇 貞 書 記 天 得 聖 寿 書 記 量 外 聖 厳 維 那 芳 庵 維 那 霊 珍 押 知 客 正 説 押 「 峨 山 法 語 」 か 『山
雲海
月 』付
し た典
籍
は い ず れ も 五位
関連
の も の で あ り、 峨 山派
下 の 教 学 的部
分
を担
っ た も の が た と推
定
さ れ る 。次 に 、 切 紙
資
料
に お け る伝
承 に つ い て 考 え て み た い 。永
光 ( 呑 )寺
所
蔵
、 元和
七年
( エ ハ ニ } ) 久 外煥
良所
伝
の 「 [ 通 幻 ]十
哲 〔 9 )江
附
属
之次
第
」 に 依 れ ば、 ( 端 裏 ) [ 通 幻 ] 十 哲 江 附 属 之 次 第 末 山 用 通 幻 寂 霊 大 和 尚 十 哲 江 附 属 之 次 第 教 授 戒 文 大 儀 軌 小 儀 軌 血 脈 嗣 書 巻 畳 変 自 佗 両 家 訓 訣 梅 華 巻 遠 思 集 曹 山 録 十 哲 ト モ ニ 度 ル 分 也 。 了 菴 [ 恵 命 ] 和 尚 江 夜 参 石 屋 [ 真 梁 ] 和 尚 江 看 後 不 見 一 渓 和 尚 江 [ 根 脚 七 道 ] 普 済 [ 善 救 ] 和 尚 江 [ 五 葉 集 秘 注 ] 不 見 和 尚 江 [ 六 句 秘 注 関 図 ] 天 徳 和 尚 江 雪 辛 吟 量 外 和 尚 江 不 到 秘 訣 芳 菴 和 尚 江 山 雲 海 月 家 々 之 重 代 也 。 純 可 用 之 。 元 和 七 年 八 月 吉 日 宗 江 比 丘 東 察 明 ( 花 押 ) 附 与 姨 良 畢 〔 濠 傍 線 筆 者 ) 『 山 雲 海月
』 が 通幻
寂
霊 か ら芳
菴
聖厳
へ 付 嘱 さ れ た と いう
。 又 、 「看
後
不見
」 は 、 石 屋真
梁
に相
伝
し た と す る が 、 先 に 見 た 祗春
の 「秘
録
」 に も 「看
語
不
見
」 と 記 載 さ れ て お り 、 こ の書
は 円 応 寺 に 『 閑 語不
見
』 の書
名
で現
存 し て い る も の に相
応
す る も の と思
わ れ る 。 中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参資
料 研 究 序 説 ( 三 ) ( 飯 塚 ) 三 、 『報
恩
録
』 に お け る 峨 山 の 記 事 つ い て 一般
に 『報
恩 録 』 は、瑩
山紹
瑾
註
釈
、 峨 山 韶碩
編
纂
と い う ( 10 ∀体
裁
を取
る抄
物 で あ る が 、偽
撰
説
が 通 説 と な っ て い る 。『
報
恩録
』 の諸
本
と し て は 、 山梨
県
永
昌
院
旧 蔵 本 ( 『 禅 門 抄 物 叢 刊 』 第 十 七 所 収 、 駒 澤 大 学 図 書館
蔵 ) 、 円福
寺
所蔵
本
、大
輪
寺
所
蔵
本
( 天 正 十 六 年 写 ) 、大
安
寺
所
蔵
本
( 慶 長 十 二 年 写 本 ) 、最
福
寺
所
蔵
本
、長
興
寺 所蔵
本
( 長 國 宗 永 手 沢 本 ) 等 が 知 ら れ て お り 、 又 、石
屋 派 の 寺院
に相
伝
さ れ た も の に、 円応
寺
所
蔵
本
( 下 巻 の み 、 但 後 欠 ) 、 丈 六 寺所
蔵
本 ( 上 ・ 下 二 巻、 但 下 巻 後 欠 )等
が現
( 11 ) 存 す る 。 『 山 雲 海 月 』 の 本 文 が引
用 さ れ て い る例
と し て は 、 『報
恩 録 』 下 巻第
十
六 則 の 抄 文 を 挙 げ る こ と が出
来
る 。 大 安寺
所
蔵
『報
恩 録 』 ( 慶 長 十 二 年 写 ) に は 、 以下
の よ う に 見 え る 。 曽 ヲ 拾 六 、 峩 山 和 尚 云 、 各 向 二 枯 木 前 ハ 聞 二 老 僧 所 分 司 驀 直 起 座 偈 云、 ハ ノ 百 雜 砕 相 見 孤 峻 一 。 破 云、 孤 者、 大 極 位 也 。 峻 者、 一 氣 也 。 又 一 ノ レ ニ 氣 ト ハ 、 却 来 皃 也 。 在 共、 十 分 ハ 不 レ 出 也 。 又 ハ 、 清 濁 ト 分 タ ヌ 処 ヲ モ 、 一 氣 ト 指 ス 也 。 本 位 也 。 百 雜 砕 相 見 孤 峻 ノ 一 、 此 話 家 大 吏 也 。 峩 山 云、 烏 含 二 金 日 一 、 兎 抱 二 黒 子 4 烏 ハ 日 也、 陽 也 。 兎 ハ 、 月 ノ ニ モ 也 、 陰 也、 夜 半 主 也 。 爰 ガ、 陰 陽 兼 求 ノ 処 也 。 天 暁 不 露 底 ノ 夜 半 ニ モ ニ ソ 不 レ 沈、 天 暁 不 ゾ 堕 義 也 。 於 此 百 雜 砕 之 有 二 投 機 の 孤 峻 更 二 孤 峻 也 、 風 流 也 。 爰 ヲ 石 頭 大 師 モ 、 門 々 一 切 境、 回 互 不 回 互 伝 也 。 此 一 七 七中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参 資 料 研 究 序 説 ( 三 ) ( 飯 塚 ) ノ ニ ニ ル ヲ ( ト 一 丕 ) ノ 心 ハ 、 六 根 門 頭、 一 々 封 レ 境 、 終 不 レ 見 レ 有一 二 法 訥 回 互 伝 也 。 ハ ニ ノ ニ ノ ク 又、 天 暁 不 露 伝 也 。 不 回 互 伝 ワ、 不 見 見 、 不 聞 聞 也 。 又 云、 娘 ノ ノ レ 生 貝 ヲ 、 其 侭 風 流 共 見 也 。 孤 唆 風 流 ノ 一 句 伝 ハ 、 天 地 未 一
開
闢 一 前 ド 孤 峻 、 未 レ 分 不 レ 混 也 。 又 開 代 現 今 之 上 孤 峻 万 物 不 レ 混、 従 刧 至ー
刧、 自 二 久 遠 實 城 訥 全 孤 峻 ニ シ テ 風 流 ノ 峻 逸 者 也 。 孤 峻 風 流 ハ 、 先 ヘ ノ ノ 孤 ノ 一 字、 大 極 未 レ 備 先 ノ 全 底 也 。 峻 ト ハ 、 一 氣 未 二 一 氣一 之 眼 也 。 ヲ ヲ 大 極 不 レ 識一 二 氣 訥 有 也 。 爰 ヲ 虚 明 白 共 也。 ヲ 々 々 不 レ 識 二 大 極 ハ 兩 処 共 二 不 識 、 相 通 也 。 全 底 C 、 ヲ 、 ノ 孤 一 字 不 ソ 識 二 孤 之 字 ハ 峻 之 一 字 不 レ 識 二 峻 ノ ノ 字 冒 也 。 此 故 二 孤 峻 ノ 全 底 ハ 是 不 識 也 。 是 本 来 面 目 也 。 是 現 成 面 目 ノ 也 。 古 今 孤 峻 ト 成 耳 ミ 也 。 宗 門 堪 レ 秘 大 芟 也 。 此 百 雜 砕 相 見、 孤 峻 一 ト 云 蔓 ハ 、 自 レ 今 以 後、 真 難 二 心 得 隻 也 。 吾 家 之 大 蔓、 不 レ 過 レ 之 。 ヲ ノ 運 二 今 時 四 大 合 成 之 歩 ハ 心 佛 一 歩 之 外 、 何 物 連 云 々 。 子 細、鬆
ニ モ霧
薯
。 ( 駅 傍 線 は 筆 者 が 付 す ) 大安
寺
所蔵
『報
恩録
』 の註
記 の 傍線
部
分 は 、 ほ ぼ 円応
寺
所蔵
『山
雲海
月
』 本 文 と 一 致 す る も の で あ る 。 ( a ) か ら (f
) ま で 、 そ の間
に本
文 の省
略 が 若 干 あ る が 、 こ の順
次第
で引
用 さ れ て い る 。同
様
の記
事
は長
興 寺 所蔵
本
、 円福
寺 所蔵
本
等
に お い て も記
載
さ れ て い る 。本
文末
尾 に 「 又 、 青 山 巻在
之 」 と あ る の は 、 円応
寺
所蔵
本
に 「青
山 御判
在
之 」 と あ る の に符
合
し て お り、従
っ て 、 石 屋 派 に 相 伝 さ れ て き た 『 山 雲海
月 」 と 同 一 七 八系
統
の テ キ ス ト が 、 慶 長十
二年
時点
に お い て 、 了庵
派
下 に お ( 12 ) い て も参
看
さ れ て い た 可能
性
を指
摘
し 得 る 。 「 不識
上 之 一句
」 に つ い て も 、 『報
恩録
』 と 『 山 雲海
月 』 と ( 13 ) の 関係
が既
に 指摘
さ れ て い る 。 円応
寺
所蔵
本 『 山 雲海
月
圖
』 三 に は 、 以 下 の よ う に 見 え る 。 カ ニ レ サ レ ハ コ ソ、 我 此 宗 門 不 識 上 之 一 句 子 在 。 宗 旨 不 傳 之 儀 也 。 既 佛 祖 不 傳 也 。 我 亦 不 識 也 。 渠 亦 不 識 也 。 不 識 又 全 不 識 也 。 以 何 為 不 識。 宗 門 堪 秘 大 吏 也 。 無 口 傳、 無 二 記 取 一 向 他 不 許 聞、 大 真 々 々 也。 不 識 上 之 秘 巻 別 在 此 。 円応
寺
所 蔵 本 成 立 の時
代
に は 、 既 に 峨 山 「 不識
上 之 一句
」 が単
独
の 公案
と し て 受容
さ れ て お り 、 そ の書
が 「 不 識 上 之秘
巻 」 と称
さ れ て い た こ と が わ か る 。 又 、 「 不 識 上 之 一句
」 は 、永
昌院
旧蔵
本
『報
恩 録 』 で は、 「十
四 、 峨山
和 尚 不識
上 得所
機縁
並 五位
御
相
傳
」 の 公案
と し て見
え て お り、 五位
の相
伝
と か ら ( 14 ) め て取
り 上 げ て い る こ と に 注目
し た い 。 こ こ で は 円 応寺
所蔵
本
に よ っ て 、本
文
を掲
げ れ ば 以下
の 通 り で あ る 。 ニ ノ ハ ヨ へ 十 六、 峩 山 和 尚 朝 日 光 薄、 垣 影 砕 録 上 移 見 テ 、 豁 塑 大 悟 。 則 参 二 蛍 ニ ス ヲ レ シ ニ 山 和 尚 ハ 呈 二 所 解 刃 蛍 山 云 、 我 於 レ 此 乎 、 不 レ 足 也 。 可 レ 参 二 運 良 師 ソ ニ ス ヲ ヲ テ ノ ニ ン 属二 良 和 尚 ハ 呈 二 所 解 而 良 即 破 二 却 一 紙 4 向 一 一 此 時 節 一 如 何 。 師 云、 親 タ ヲ 亦 踈 也 。 註 云、 親 ハ 性 也、 因 也 。 先 望 ヲ 因 ト 云 也 。 故 二 因 ハ 始 也 。 ル ヲ ノ ハ 踈 ハ 縁 也 。 顧レ 後 縁 ト 云 也 。 故 二 縁 ハ 終 也、 又 親 踈 ワ 偏 正 二 也 。 到 ニ ニ テ ニ ノ ヲ 親 踈ハ 全 無 二 。 又、 到 二 大 道 ハ 親 踈 沙 汰 無 也 。 良 和 尚 深 ク 證 二 明 之 4 ノ ソ ニ 一 氣 点 ル 処 ハ 、 更 二 不 レ 覚 也 。 故 二 不 識 上 ノ 一 句、 少 シ 通 二 物 吏 ハコ ノ ニ 不 レ 識 無 也 。 照 明 庵 主、 不 識 上 下 語 云、 野 馬 陰 裏 ヲ 走 ル 、 此 ノ 當 底 ニ 也 。 師 又 下 語 云 、 鬼 箭 落 三 風 前 坩 此 ノ 兩 句 是 也 。 亦 一 氣 大 極 二 轉 ル ニ 処、 金 鶏 報 暁 天 未 明 。 又 、 本 体 不 識 也 。 亦 吾 在 ル 三 昧 我 亦 不 レ 知 。 ノ ツ ル 又、 花 開 タ ル 時 節 ト 、 亦 一 氣 大 極 轉 ル 処 、 全 ク ニ 不 レ 有 故 二 、 不 識 ノ レ 上 一 句 ト 云 也 。 亦 世 尊 三 昧 世 尊 不 レ 知、 是 無 師 智 也 。 無 師 智 ト 云 ハ 、 那 時 二 通 ル 也 。 出 不 出 、 分 不 分 二 不 レ 渉 儀 也 。 佛 祖 モ 父 母 不 傳 ク ヲ コ ナ フ ヲ ク ス 也 、 不 得 也 。 此 ヲ 天 何 言 哉 、 四 時 能 行 。 地 何 言 哉 、 万 物 能 生 。 此 ノ 〔 マ マ ) ハ シ キ ヲ 不 識 上 一 句 ト 云 也 。 物 ノ 那 人 ト 成 ル ハ 者、 有 間 敷 也 。 那 人 ヨ リ 六 ナ リ チ ノ 和 合 ト モ 也、 想 證 国 土 ト モ 云 ナ リ 。 知 見 乃 衆 生 雲 卜 成 ル 。 此 ノ 經 文 モ ク ニ 意 ハ 、 佛 ト 衆 生 ト ハ 、 絲 毫 隔 也、 冖 心 也 。 佛 道 ト 全 無 二 無 三 ソ 、 後 ヨ リ ョ リ タ 来 具 足 也 。 如 来 禅 モ 本 来 得 タ リ 。 祖 師 禪 モ 本 来 得 リ 。 又 天 童 覚 、 此 ノ 文 云、 想 證 々 々 衆 生 ト 云 ハ 、 別 レ バ 也 。 知 見 乃 チ 衆 生 ト 云 ハ 、 リ ウ 一 精 明 也、 是 即 不 識 上 也 。 又、 不 可 得 。 又、 佛 祖 モ 自 二 塵 点 刧一 ル ニ ク ル セ 到 二 未 来 際 一 々 々 々 刧、 全 不 識 。 又 云、 諸 佛 不 レ 知 二 諸 佛 ヲ 処、 是 。 ノ ナ ヲ ハ 此 ヲ 千 聖 不 傳 ト 傳 ル 也 。 参 学 底 人 徹 處 ハ 、 以 レ 是 識 ル 也 。 未 徹 者、 モ ス ノ ヲ ヲ 夢 不 レ 可 レ 見 也 。 又、 那 辺 退 レ 位 不レ 守 レ 閑 云 ハ 、 那 返 看 捨 ル 眼 也 。 見 ク ヲ 閑 時、 退一 一 那 辺 一 也 。 閑 不 レ 立 也 。 那 辺 不 入 室 極 処 ハ 、 那 人 全 躰 二 於 ス ハ ニ レ ス ノ ニ 裡 着 。 不 二 那 人一 裡 不 裡 着、 不 レ 知 レ 閑 云 也 。 是 不 二 常 大 吏 4
更
に 、 こ の 公 案 も や は り 切紙
と し て相
伝 さ れ て い る 。 埼 玉 〔 15 )県
正龍
寺 所蔵
「 峨 山和
尚
不識
上 之 法語
」 を 以下
に掲
げ
る 。 峨 山 和 尚 不 識 上 之 法 語 ノ ウ ス カ キ ョ リ ケ テ ロ ク ノ ニ テ ウ ツ タ ル ヲ ノ 師 、 不 識 之 上 得 所 機 縁 、 朝 日 光 薄 垣 影 砕 録 上 見 レ 移 、 豁 然 大 ス ノ ニ ス ヲ ノ ク テ ル 悟、 即 参 二 瑩 山 和 尚皇
二 所 解 司 山 云 、 我 於 レ 是 不 レ 足 也 。 可 レ 参 二 運 ニ ラ ク ノ ニ ス ヲ ノ ヲ 良 魂 上 洛 而 参 二 良 和 尚 一 呈 二 所 解 4 良 、 破 二 却 一 紙一 云 、 此 時 節 如 何 。 中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参 資 料 研究
序 説 ( 三 ) ( 飯 塚 ) モ ウ ト シ ク ス ヲ レ ハ ル 師 云、 親 疎 也 。 良 深 証 二 明 之 4 夫 以 此 不 識 上 之 一 句 ハ 、 一 気 点 二 太 モ モ ル モ ノ ウ 極一 至 極 也 。 我 不 ‘ 被 外 神 通 、 不 二 被 内 智 通 4 故 云、 世 尊 三 昧 世 尊 不 ノ ナ リ 知、 迦 葉 三 昧 迦 葉 不 知、 个 不 識 上 一 句、 那 辺 不 レ 留、 古 今 人 知 稀 。 ノ ル 此 大 意 ワ 、 那 辺 至 極 不 覚 不 知 也 。 】 気 大 極 二 轉 点 処 也 。 一 気 点 二 大 ン ノ 極一 点 ワ、 不 覚 故 、 不 識 上 一 句 ト 云 也 。 那 辺 一 重 上 大 事 也 。 不 識 下 ニ 語 云 、 風 前 野 馬 過 陰 裡 當 底 也 。 又、 鬼 箭 落 風 前。 又、 一 気 大 極 轉 々 処 也、 金 鷄 報 暁 天 未 暁 。 又、 木 二 花 ノ サ ク ニ 、 木 ノ 躰 不 識、 花 ヒ ラ ク ル ハ 發 不 識 上 ノ 一 句 也 。 世 尊 三 昧 迦 葉 不 知、 是 無 師 智 也 。 那 人 ノ 通 ニ ハ 処 也 。 サ テ 又、 那 人 不 収 功 モ 不 収 也 。 サ テ、 上 バ カ リ 見 悪 也 。 此 無 リ ウ 師 智 ガ 不 識 上 ノ 那 人 也 。 従 二 那 人一 六 和 合 ト 成 、 相 形 成 国 土 共 覚 、 イ ヲ テ ル 乃 衆 生 共 成 也。 那 辺 位 退 不 レ 守 レ 閑 。 那 辺 見 捨 眼 也 。 閑 ト 見 時、 那 ノ ミ ナ ル ハ キ 辺 退 也 。 閑 而 已 時、 閑 モ 不 立 也 。 那 辺 ノ 至 極 可 レ 入 処 ナ シ 。 那 人 ノ ニ ル キ モ レ ハ ト シ タ ル ノ 全 体 理 ヲ 着 吏 無 故 云、 纔 有 二 語 言 ハ 是 揀 択、 是 明 白 。 通 処 呈 時 一 ヲ 句 如 此 。 合 頭 領 解 如 何 。 僧、 托 二 開 師 4 是 ハ 父 子 不 レ 立 心 也 。 次 日、 ヲ ト 此 悟 喚、 佛 智 道 也 。 為 甚 麼 智 不 到 ト 云 タ ゾ 。 師 云、 如 何 是 智 不 到 。 僧 云 、 不 道 々 々 。 師 云、 為 作 麼 不 道 。 僧 云、 切 忌 道 着 。 々 々 頭 角 ツ キ ノ モ ワ ト リ 生 。 次 日、 如 何 是 不 識 上 。 僧 恁 麼 去 也 。 或 棒 喝 払 袖 去 、 易 難 成 答 メ 話 ト 嫌 也 。 如 何 徳 山 棒 デ モ ア レ 、 僧 ノ 「 気 發 后 打 社 ナ ル ベ シ 。 林 際 徳 山 鵡 世 后 、 僧 入 門 、 ( 講 喝 シ タ ル ワ 、 摂 ノ 膿 用 也 。 次 二 功 轉 処 、 世 尊 拈 花 意 。 師 云 、 悟 ヲ 無 幻 空 花 ト ハ 、 従 レ 何 見 フ ヲ 。 僧 云、 自 本 意 見 テ 走 。 金 屑 雖 貴、 入 眼 成 翳 。 是 レ 悟 ヲ 金 屑 ト サ ス 也 。 次 云 、 天 雨 ク ソ モ ク ス ト 露 下 ス ニ 、 地 承 地 万 物 生 長 二 、 如 レ 此 因 縁 相 合 此 生 ス ト、 雖 二 全 下 曽 ニ ニ タ ヘ ミ シ ヤ ウ 不 レ 知 二 承 一 ト 不 知、 三 世 諸 佛 全 不 知、 一 切 於 テ 如 レ 此 。 開 レ 眼 疂 障 ヲ ヲ ル 子 ミ テ 、 内 外 因 縁 相 應 見 也 。 一 身 出 世 ス ル 理 如 此 。 父 母 婬 欲 ノ 機、 両 方 尽 時 、 同 時 二 子 ト ナ ル 也 。 少 モ 婬 気 相 残 テ ハ 、 不 レ 生 也 。 一 切 ノ 諸 相 ノ 上 モ、 如 此 モ 、 秋 冬 ニ ナ リ、 尽 、 落 尽 シ 弔 テ、 ソ コ ヨ リ マ セ イ タ 生 成 ス ル 也 。 如 レ 此 生 落 居 イ カ ン 。 日、 只 無 心 ノ ニ 字 也 。 我 家 テ 一 七迦
中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参 資 料 研 究 序 説 ( 三 ) ( 飯 塚 ) ク カ ハ 、 無 心 ヲ 高 用 也 。 万 夏 無 心 ノ 作 用 也 。 次 古 木 龍 吟 真 見 道 、 髑 髏 識 尽 眼 初 明、 喜 識 尽 時 消 息 尽、 當 人 何 弁 濁 中 清 。 此 一 頌 ヲ 拈 花 ノ 話 二 合 ル 也 。 三 ノ 句 迄 ハ 、 自 己 功 処 ノ 模 子 也。 此 功 処 ヲ バ 前 二 踏 去 ヘ デ ハ 不 レ 叶 、 去 社 全 弁 ズ ル 濁 清 モ ナ シ。 只 當 人 道、 當 ト ハ 、 主 ト 名 タ モ 傍 人 ヨ 。 當 人 落 居 如 何 。 日、 不 知 不 覚 也 。 全 無 知 不 覚 ト シ ラ ヌ ナ リ 。 ニ テ 〔 マ マ ) 次 二 不 識 上 参 ハ 、 葵 花 向 日
ー
風、 柳 絮 ハ 風 被 レ 吹、 フ カ レ タ シ ラ テ ズ 。 風 ワ 吹 レ 柳 絮、 吹 イ タ ト シ ラ ヌ ガ、 不 識 上 也 。 葵 花 ノ 日 ツ イ テ 輪 ニ ニ ク ル 逍 ガ、 不 識 也。 向 日 程、 ヲ ノ レ ガ 】 莖 ヲ バ 影 蔵 シ タ リ 。 葵 ノ 異 イ ソ ク レ 名、 衛 足 葵 ト 云 タ 。 二 字 ノ 心 モ 、 足 ヲ 蔵 也 。 是 根 本 智 ヲ 蔵 シ タ ル 用 リ ツ 処 也 。 是 一 塵 不 立 ノ 用 処 也 。 不 立 ノ 処 二 立 ガ、 我 家 ノ 大 事 也 。 父 母 兩 方 婬 欲 ノ 機 用 同 時 尽 ル 境 イ、 全 三 世 諸 佛 眼 力 不 到 也、 此 境 ニ シ テ 子 ノ 出 ル ヲ 、 不 立 ノ 処 ト 云 也 。 ソ コ ヲ 安 心 立 命 ノ 処 ト 云 也 。 日 ノ 足 障 子 二 移 リ タ ル ワ 、 不 立 ノ 処 ノ 立 身 也 。 一 切 如 レ 此 。 云 事 無 是 家 ノ 祕 蔓 也 。 可 レ 秘 々 々 。 柳 絮 随 レ 風 下 語、 不 立 身、 葵 花 向 日 下 語、 立 身 也 。 位 裡 轉 側 ノ 下 語 、 堂 戸 深 沈 機 梭 暗 動、 不 立 ノ 処 逍 ハ 、 不 識 也 。 是 ハ 、 陰 陽 相 合 境 也。 此 境 二 立 身 ス ル ト ワ、 不 識 之 上 也 。 可 ヲ 秘 々 々 。 理 比 ス ル ー 好 知 ル 人 ト 道 也 。 是 古 語 也 。 葵 花 ノ 急 度 向 レ 日 ヱ 轉 タ ル ワ、 久 遠 今 時 】 ニ シ タ ル 也 。 葵 花 ヲ ア ヲ イ ト ワ、 祕 ソ 云 也 。 ヲ モ ダ カ ノ 夏 也 。 葵 ワ 日 ニ ツ イ テ 輪 ラ ズ、 ヲ モ ダ カ ワ 日 ニ ツ イ テ マ ワ ル 也 。 如 レ 此 輪 ル ヲ 我 家 ノ 肝 要 二 合 ル 也 。 早 竟 → 圓 相 ナ リ 。 私 二 云、 日 円 也、 側 也 、 落 也 。 本 書 散 々 ニ テ、 テ ニ ハ 相 違 也 。 格 叟 一 覧 シ テ 尽く
ナ ヲ ス 也 。 ニ カ ナ 書 ワ 、 人 前 イ デ ヌ 物 ナ 程 二、 心 ヲ カ ン ヨ ウ ニ ス ル 也。 ナ ヲ シ テ モ 不 苦 也 。 此 書 可 祕 也 。 不 久 参 小 児 之 止 啼 銭 也 。 天 正 之 比 書 之 ( 花 押 ) } 八 〇 次 に 『報
恩録
』 と 峨 山 和 尚 に擬
せ ら れ る 『 峨 山和
尚 法語
』 と の 関係
に つ い て考
察
し て み た い 。 『 峨 山和
尚
法
語 』 を中
世
禅
籍
抄
物
の中
で ど の よ う に位
置 づ け る べ き か は 、大
き な課
題 で あ り、私
自
身
は未
だ結
論
を 得 て い な い が 、本
参
資
料 と し て 、或
い は 切紙
資
料
と し て 、相
伝 さ れ て き た 峨 山関
連
の も の と 共 通 の性
格
を有
す る の で は な い か と 推定
し 、 そ の伝
承 の起
原 に ( 16 ) 可能
な限
り近
づ き た い と考
え て い る 。 一例
と し て 「 峨 山和
尚 法 語 」或
い は 「 峨 山和
尚 一 枚 法 語 」 と し て取
り あげ
ら れ て い る 公案
に つ い て見
て み た い 。 円応
寺
所蔵
『報
恩録
』 は、 上巻
を欠
く た め に確
認 し得
な い の で あ る が 、 丈 六 寺所
蔵
本
に お い て は 、 他 の諸
本
に は取
り 上 げ ら れ て い な い 古 則 と し て 、 上巻
に 「第
五 十 三 、 峨山
和
尚 法 ( 17V語
」 が取
り 上 げ ら れ て い る 。 五 十 二、 テ ノ ニ 峩 山 和 尚 法 語 云、 至 二 大 休 歇 処 ハ 換 骨有
二 句 一 く 向 上 文 長、 村 在 来 メ ノ ニ ニ 由 V 。 驀 直 踏 二 着 本 有 田 地 ハ 曽 不 レ 落 二 古 今 夏 一 〈 實 際 理 夏、 不 レ 受一 ニ ヲ ニ ( 潭 力 ) 塵一 〉 。 物 表 獨 進 誰 能 親 。 〈 垂 釣 二 千 尺 ハ 意 在 二 深 澤. 冖. 〉 。 淨 躱 々 赤 ノ ( マ マ ) 洒 々 、 地 絶 瑕 頼 〈 玉 ノ キ ツ 也 。 絲 キ ツ 也 〉 。 人 死 鬼 不 レ 留、 自 己 真 照に
シ ニ 渕 源 、 是 名 智 不 到 処 一 〈 當 頭 無 二 始 末 一 〉 。 可 レ 憐 堕 = 在 解 脱 沈 坑 一 〈 自 ヲ コ シ ( 富 召 ノ ン ト ヲ ノ ニ リ ケ ン 己 看 如 二 究 家 胃 〉 。 欲 レ 得 ご 無 上 妙 道 ハ 此 外 更 有 二 超 方 一 件 一 〈 木 馬 嘶 時 ヤ ソ ニ 月 陰 山 〉 。 委 悉 参 徹 看 。 有 妙 中 真、 玄 処 有 レ 路 〈 不 尽 乾 坤 灯 外 灯 〉 。 此 話 異 中 異 、 謂 同 中 同 〈 頭 人 何 弁 濁 中 清 〉。 了 々 常 知 、 明 々 常 真、ス ル テ ド ヲ 渠 無 二 人 識 得 4 与 麼 参 到 参 取 。 依 二 那 辺 一 不 レ 住、 不 レ 守一一 閑 田 地 拍 〈 諸 ク ニ ヲ タ リ 佛 開 レ ロ 処、 黄 鴬 鳴 二 柳 絲 一 〉。 此 時 消 息、 風 野 鳥 過 二 陰 裡一 似。 〈 天 ニ ニ 共 二 白 雲 一 暁、 水 和 二 明 月 一 流 〉 。 古 徳 云 、 寶 殿 無 レ 人 不 侍 立 、 種 不 梧 ヲ ハ ノ ノ ノ ア よ 桐一 免 鳳 来 。 〈 昨 夜 三 更 月 到 窓 〉 。 一 件 肝 要 吏 吏 也 。 鷺 他 難 レ 弁 用 処 也 。 底 二 染 ヌ ガ、 知 真 也 。 ( 崇 傍 線 筆 者 ) 「 峨
山
和
尚 法語
」 全体
に対
し て著
語
に よ る 註釈
が作
さ れ て お り 、 『報
恩録
』 の他
の 公 案 に 対 す る 註釈
方
法
と は趣
を異
に し て い る 。他
の 公案
に お い て も 、拶
語 ・ 代語
が要
所
要
所
に 作 さ れ て お り 、 著語
自
体 は珍
し い も の で は な い が 、 そ れ は あ く ま で 所謂
「聞
書抄
( カ ナ 抄 ) 」 の 体裁
を と っ た も の で あ り 、 こ こ と は異
な る 。 こ の法
語
に は、中
世 に お け る林
下 曹 洞宗
の 教 学 を 考 え る 上 ( 18 ∀ で 重 要 な 「 曹 洞 三 位 」説
の術
語
が 用 い ら れ て い る 。同
様
に 『山
雲
海
月
』 『報
恩 録 』 『 峨山
和
尚 法語
』 に は 、 所 謂 「曹
洞 三位
」説
が援
用
さ れ て い る こ と も確
認 で き る 。 こ の 「曹
洞 三 位 」説
及 び 「 五位
」説
に関
し て は 、 次稿
以 降 に あ ら た め て考
察 し た い と 思 う 『. 次 に 、 こ の 「 峨山
和
尚
法
語
」 が 中 世 に お い て ど の よ う に受
容
さ れ て い た か に つ い て若
干 見 て み た い 。 峨 山 の 法 語 と し て他
の祖
師
達
と 共 に 受 容 さ れ て い た例
と し て は、茨
城
県
六 地蔵
寺
所
蔵
『無
名
冊 子 』 所収
の 「 峨山
和
尚
法
語 」 を あげ
る こ と が 中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参 資 料 研 究 序 説 ( 三 ) ( 飯 塚 ) ( 20 ) で き る 。 至 大 休 大 歇 処、 換 骨 一 句 子 。 驀 直 踏 着 本 有 田 地、 曽 不 落 古 今 事 。 物 表 獨 進 誰 能 親 。 浄 躱 躱 赤 洒 酒、 絶 瑕 類 。 自 己 真 照 渕 源、 是 名 智 不 到 処 。 可 憐 堕 在 解 脱 沈 坑、 不 免 寂 滅 功 夫 。 欲 得 無 上 妙 道 、 此 外 更 有 超 方 一 件 。 委 悉 参 徹 看 。 妙 中 有 真、 玄 処 有 路 。 此 謂 異 中 異、 為 同 中 同 。 故 云、 鷺 鶩 立 雪 非 同 色、 明 月 芦 花 不 似 他 。 了 了 常 知、 明 明 常 真、 与 麼 参 到 弁 取 。 依 那 辺 不 住、 不 守 閑 田 地 。 此 時 消 息、 風 前 野 馬 過 陰 裡 相 似 。 古 徳 云 、 宝 殿 無 人 不 侍 立、 不 種 梧 桐 免 鳳 来 。 こ の 法語
の あ と に 、 恐 ら く こ の法
語
に対
し て著
語
と し て 用 い ら れ た と思
わ れ る語
句
が付
記
さ れ て い る 。 掬 水 月 在 手、 弄 花 香 滿 衣 ト 云 此 句 ヲ ハ 、 常 憶 江 南 三 月 裏、 鷓 鴣 啼 処 百 花 香 ト 看 ヘ キ 也 。 ヲ 不 生 不 心 ト 云 、 土 木 瓦 石 ノ 如 ク ナ ル へ ヵ ラ ス 、 無 念 無 想 ノ 処 云 也 。 一 夜 落 花 雨、 滿 城 流 水 香 ト 云 ハ 、 ナ ン ヘ ン 也 。 天 共 白 雲 暁、 水 和 明 月 流、 萬 事 ノ 事 ハ 、 信 ノ 一 理 ヨ リ 得 ル 也 。 ニ 鳥 啼 山 更 幽 ト 云 前 ア ル ヵ ト ス レ ハ 、 忽 焉 ト シ テ 在 後 義 也。 江 上 晩 来 釣 尽 処、 漁 人 披 得 一 簑 皈 。 山 花 開 似 錦 、 澗 水 湛 如 藍。 石 牛 長 吼 真 空 外、 木 馬 嘶 時 月 隠 山 。 ( 張 傍 線 筆 者 )傍
線 の語
句
は 、 前掲
の 丈 六寺
所蔵
『報
恩
録
』 「第
五十
三 、峨
山 和 尚法
語
」 に も著
語 と し て用
い ら れ て い る 。 又、 こ の 法 語 が 切 紙 と し て相
伝
さ れ て い た こ と を 示 す資
料
と し て、長
野 県大
安寺
所蔵
「 峩 山和
尚 一枚
法 語 」 ( 大 沢 寺 八 ( 21 ) 世、 大 安 寺 開 山 南 室 寿 頓 所 伝 ) を 取 り 上 げ る 。 一 八 一中 世 曹 洞 宗 に お け る 本 参 資 料 研 究 序