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重症筋無力症診療ガイドラインの妥当性と今後の方向性

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Academic year: 2021

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重症筋無力症診療ガイドラインの妥当性と今後の方向性

班      員    ○村井弘之1)、本村政勝2)

研究要旨 

 

2014

年に重症筋無力症(myasthenia gravis, MG)の診療ガイドラインが改定され てからすでに

4

年が経過した。ここでは、この間に発行された論文をもとに、このガイ ドラインの妥当性を検証した。今回は国内外の

5

つの論文をもとに検証を行った。その 結果、ガイドラインに記載されている「ステロイド内服はなるべく少量で」、「病初期に 速効性の治療を行う」といった事項については、その有用性が実証されたといえる。非 胸腺腫

MG

に対する胸腺摘除術については、これまでどおり、早期発症

MG

の一部に 対して有用なオプションである、という記載でよいと思われる。エクリズマブについて は、難治性

MG

の次の一手としての記載が望まれる。

研究目的 

 

2014

年に重症筋無力症(myasthenia

gravis, MG)の診療ガイドラインが改定

されてからすでに

3

年半が経過した。こ の間に国内外で

MG

の治療法に関する 数々の論文が発行された。これらの論文 を参照し、

MG

診療ガイドライン

2014

の 妥当性を検証、今後の方向性を考察する。

研究方法  

  診療ガイドラインに関係する論文とし て、以下の

5

論文を選択した。

(1) Imai, et al. Oral corticosteroid therapy and present disease status in myasthenia gravis.

Muscle Nerve 51: 692, 2015

(2) Imai, et al. Oral corticosteroid dosing regimen and long-term prognosis in generalised myasthenia gravis: a multicentre cross-sectional study in Japan. J Neurol Neurosurg Psychiatry [Epub ahead of print]

(3) Utsugisawa, et al. Early fast-acting treatment strategy against generalized myasthenia gravis. Muscle Nerve 55: 794, 2017 (4) Wolfe, et al. Randomized trial of thymectomy in myasthenia gravis. N Engl J Med 375: 511, 2016

(5) Howard, et al. Safety and efficacy of eculizumab in anti-acetylcholine receptor antibody-positive refractory generalised myasthenia gravis (REGAIN): a phase 3, randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre study. Lancet Neurol [Epub ahead of print]

(倫理面への配慮)

  今回の研究では患者の個人情報を扱う ようなことはなかったため、該当なし。

研究結果 

  文献(1)では、治療後状態の

MM(軽微

症状)を達成した群と非達成群のそれぞ れが、過去にどのようなステロイド治療 を受けてきたのか、レトロスペクティブ に解析している。それによると、MM 達 成群は非達成群にくらべ、ステロイドの 最高用量が少ない、最高用量時に

MM

を 達成した割合が高い、直近

1

年間のステ ロイド内服量が少ない、などが示され、

ステロイド高用量が予後良好につながっ て い な い こ と 、 ス テ ロ イ ド の

good

――――――――――――――――――――――――――――――

1) 国際医療福祉大学 2) 長崎総合科学大学

(2)

- 91 -

responder

および

poor responder

が存在 することが示唆された。

  文献(2)では、ステロイドを投与された 全身型

MG

を、ステロイド高用量群、中 等用量群、低用量群に分けたところ、治 療目標である「MM 以上でプレドニゾロ ン

5mg

以下」を早期に高率に達成したの は低用量群であること、高用量群は治療 目標達成が遅く、達成率も低いことが示 された。

  文献(3)では、早期速効性治療を施行し た群と非施行群とを比較したところ、施 行群の方が上記治療目標を早期に高率に 達成することが示された。

  文献(4)は、いわゆる

MGTX

研究である。

ステロイド治療を行った非胸腺腫全身型

MG

に 対 し て 胸 腺 摘 除 を 加 え た 方 が

QMG

スコア、ステロイド内服量とも低下 したことを示している。しかし、50歳以 上の症例では有意差はないこと、一重盲 検試験(患者は自分が手術を受けたこと を知っている)でありながら

QMG

スコ アの両群の差はわずか

2.8

点であること に注意が必要である。

  文献(5)では、補体阻害薬であるエクリ ズマブの難治性

MG

に対する効果をみた 論文である。二重盲検試験でプラセボ群 に対して実薬群の優位性が

MG-ADL、

QMG、MGC、QOL

で認められている。

効果は急峻で、しかも長期にわたって持 続した。ちなみに、プラセボ群における

QMG

の低下は

1.6

点であった。

考  察 

  文献(1)および文献(2)により、ステロイ ド高用量が予後良好に結びついていない こと、低容量の方が治療目標である「MM

以上でプレドニゾロン

5mg

以下」を達成 しやすいことが明らかとなり、ガイドラ インに記載されている「ステロイド内服 はなるべく少量で」という治療戦略が正 しいことが証明されたといえる。同様に 早期速効性治療の有効性も証明された。

また、いわゆる

MGTX

研究の結果が発表 されてから、非胸腺腫例に対する胸腺摘 除が復活するという一種の回帰現象が一 部にみとめられていたが、論文を詳細に 読み解くとそれが必ずしも理にかなって いるわけではないことが明らかとなった。

したがって胸腺摘除についても、ガイド ラインの記載は変更する必要はない。補 体阻害薬エクリズマブについては新しい 薬剤としての記載が必要である。 

結  論 

 

MG診療ガイドライン 2014に記載され

ている「ステロイド内服はなるべく少量 で」、「病初期に速効性の治療を行う」と いった事項については、その有用性が実 証されたといえる。非胸腺腫

MG

に対す る胸腺摘除術については、これまでどお り、早期発症

MG

の一部に対して有用な オプションである、という記載でよいと 思われる。エクリズマブについては、難 治性

MG

の次の一手としての記載が望ま れる。

 

健康危険情報    なし   

知的財産権の出願・登録状況    特許取得:なし 

  実用新案登録:なし 

参照

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