<SHANGCHENG ニュース> 尚誠が本年度最優秀代理機構に選出される 弊所パートナー弁理士伊藤貴子が日本知的財産協会(JIPA)研修の講師を務める <中国知財ニュース速報> 商標評審委員会 口頭審理の導入へ 国家知的財産局 2017 年上半期統計データを発表 杭州・寧波知財法廷が正式に設置される 北京・上海・広州知財法院の過去 3 年間の訴訟終了事件が 3 万件を超える <特集> 特許・実案・意匠の優先審査管理弁法の改正について 2017 年 6 月 3~4 日、北京国家会議センターに て国力増強知的財産権フォーラムが北京で行われ、 「品質と価値のベストプラクティスに向けて」を主題 として、特許品質と司法審判、ネットワーク著作権 保護と規制、ブランド戦略と商標制度、競争と独占 禁止、特許情報と特許価値の実現、行政管理の革 新と発展、管理戦略と価値実現、知的財産権の価 値創造と価値向上、及び人材開発とモデル革新、 の 9 つの分科会が開催された。全国から 100 名近 くの役人、裁判官及び学者、また 100 名近くの精
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SHANGCHENG ニュース 尚誠が本年度最優秀代理機構に選出される北京尚誠知識産権代理有限公司
SHANGCHENG
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November 2017
Vol. 10
©Shangcheng 2017
鋭弁護士、さらに 100 名余りの企業代表者が本フ ォーラムに参加した。 尚誠のパートナー弁理士、李巍は、知的財産権 の価値創造と価値向上の分科会において、「特許 価値の向上と特許代理機構」と題する講演を行っ た。李巍は、中国特許出願の現状と特許代理業界 の発展計画という観点を出発点に、特許ポートフ ォリオの必要性と対応策について具体的な事例 を紹介しながら、特許代理業務を通じて如何に特 許価値を向上させるかを分析した。 本フォーラムにおいて、弊所、北京尚誠知識産 権代理有限公司は「2017 年第 4 期国力増強知的 財産権フォーラム-本年度最優秀代理機構」の称号 を授与された。 弊所パートナー弁理士の伊藤貴子は、8月28日 及び30日に日本知的財産協会(JIPA)主催の 「WC1コース中国知的財産制度」研修にて、「中国 意匠の出願と権利化」と題するセミナーの講師を務 め、多数の審査事例に基づく意匠出願実務の講義 で好評を博した。 国家工商行政管理総局は、2017 年 5 月 4 日に 「商標評審案件口頭審理弁法」(以下、「弁法」)を 公布した。これにより、商標の審判において、当事 者が商標評審委員会の主導の下で、関連証拠に 対して現場で質疑及び検証を行い、証拠の効力を 確定することにより、案件の事実関係、特に状況 がやや複雑な案件の事実関係を解明し、審判案件 の公正な審理を保証することを明確にした。 商標法、及び商標評審規則の関連規定によれ ば、商標評審委員会は通常、商標審判案件を審理 する際に書面審査を行う。しかしながら、案件の関 連証拠に対して疑問があり、現場での証拠の質疑 及び検証が必要であり、それを具体的に説明した 場合には、商標評審委員会は当事者の請求に基 づき、或いは職権により口頭審理を行うことを決定 することができる。 「弁法」の規定によれば、口頭審理が行われる 状況は 2 つあり、1 つ目は商標評審委員会が案件 の必要性に基づき、職権により主体的に行う場合 である。2 つ目は、当事者が商標評審委員会に口 頭審理の請求を行う場合である。審判請求人が口 頭審理の請求をする場合、審判請求時、または遅 くとも被請求人の答弁書の副本を受領してから 30 日以内に商標評審委員会に口頭審理の請求を提 出しなければならない。被請求人が口頭審理を請 求する場合には、商標評審委員会に答弁書を提 出する際、または関連の証拠資料を補充提出する 際に、併せて口頭審理請求を提出しなければなら ない。口頭審理は案件の事実関係を解明するため にのみ採用される審理形式であり、別途対庁費用 が発生することはない。 国家知的財産局は 7 月 20 日、今年上半期の統 計データを発表した。2017 年上半期の中国の発 明特許出願件数は 56.5 万件、前年同期比 6.1% 増であった。発明特許登録件数は 20.9 万件で、そ のうち国内発明特許は 16 万件であった。国内特許 発明の内訳として、職務発明が 14.9 万件で全体 の 93.1%を占め、非職務発明が 1.1 万件で全体 の 6.9%となっている。 2017 年上半期、国家知的財産局が受理した特 許協力条約(PCT)国際出願制度に基づく特許出 願件数は、16%増の 2.16 万件に達した。そのうち、 2 万 件は中国 国内か らの 出願 で 、昨年同 期比 15.3%増、外国からの出願は 0.16 万件で、昨年同 期比 26.0%増となった。 2017 年上半期、不服審判請求件数は 15,865 件で、結審件数は 8,504 件、無効審判請求件数は 中国知財ニュース速報 商標評審委員会 口頭審理の導入へ 国家知的財産局 2017 年上半期統計データを発表 弊所パートナー弁理士伊藤貴子が日本知的財 産協会(JIPA)研修の講師を務める
2,064 件で、結審件数は 2,007 件であった。また、 国家知的財産局が受理した集積回路配置図設計 出願は 1,205 件、登録は 1,119 件であった。 2017 年上半期、全国における特許行政処分の 取扱件数の合計は、15,411 件で、前年同期比 23.3 % 増 と な っ た 。 そ の う ち 、 特 許 紛 争 事件 は 8,837 件(特許権侵害事件 8,666 件を含む)で、前 年同期比 26.3%増である。詐称特許調査事件は 6,574 件で、前年同期比 19.5%増となった。 2017 年 9 月 8 日、杭州・寧波知識産権法廷(以 下、「知財法廷」)が正式に設置された。杭州・寧波 知財法廷は、それぞれ杭州中級人民法院・寧波中 級人民法院内に設置された知財事件を専門に審 理する法廷で、行政区画をまたがる管轄モデル及 び知的財産権に関する民事・行政・刑事事件の三 種をまとめて管轄する裁判体制が実現される。 設置後、杭州・寧波知財法廷では、1)特許・技 術秘密・コンピュータソフトウェア・植物新品種・集 積回路配置設計・著名商標の認定及び独占に関 する紛争による第一審知的財産権民事訴訟事件、 2)訴訟額が 800 万人民元以上の商標権・著作権・ 不正競争防止法・技術契約紛争による第一審知的 財産権民事訴訟事件等の 5 つの分類に属する事 件の審理が行われる。 管轄行政区画を見ると、杭州知財法廷が杭州市、 嘉興市、湖州市、金華市、衢州市、麗水市管轄区 内で発生した関連事件の審理について管轄権を有 し、寧波知財法廷が寧波市、温州市、紹興市、台 州市、舟山市管轄区内で発生した関連事件の審 理について管轄権を有する。 2014 年 11 月から 12 月にかけて、北京、上海、 広州の知財法院が設置されて以来、知的財産権 に関する司法体制改革の需要に応じるために、南 京、蘇州、武漢、成都、合肥、杭州、寧波の計 7 か 所の知財法廷が相次いで設置されたこととなる。 北京、上海及び広州知識産権法院(以下、「知 財法院」)が 2014 年 11 月~12 月に設置されてか ら 2017 年 6 月までに、北京、上海及び広州の 3 か所の知財法院で受理された訴訟事件件数は合 計 46071 件で、すでに終了した訴訟事件は合計 33135 件であった。この内、特許、植物新品種、集 積回路配置設計、技術秘密、コンピュータソフトウ ェア等の専門技術性が高い第一審知的財産権民 事/行政訴訟事件の受理件数は合計 12935 件で、 終了件数は合計 8247 件であった。 2017 年 6 月までに北京、上海及び広州の 3 か 所の知財法院で終了した民事訴訟事件は 2 万件 以上で、核心技術や最先端分野における技術成 果の保護と、商標の模倣・悪意の冒認出願・フリー ライド等の商標権侵害行為への制裁が強化された ことで、知的財産権裁判による文化革新の引導・ 保障作用が充分に発揮され、より公平な市場環境 が整えられた。2017 年 6 月までに北京、上海及び 広州の 3 か所の知財法院で終了した行政訴訟事 件は 1 万件以上で、行政行為に対し不服を申立て た者への合法的な権益が保障され、知的財産権に 関する行政執行行為がより規範化された。 また、北京、上海及び広州の 3 か所の知財法院 では、合計 61 名の技術調査官を招聘し、1144 件 の訴訟事件において、裁判官に専門的な技術的 諮問を行い、技術的な事実認定をする上での中立 性、客観性と科学性が確保された。 さらに、知的財産権分野に存在する「権利侵害 のコストが低く、権利を維持するコストが高い」等の 問題に対処するため、知財法院は知的財産権侵 害行為に対する懲罰力を高めた。法に基づき賠償 金額を引き上げ、悪意の商標権侵害の経緯が重 大である場合は、法に基づき懲罰的損害賠償を適 用した。またその他の知的財産権分野における故 意侵害・繰り返し行われる侵害行為に対しては、市 場価値を斟酌して損害賠償金額を確定し、侵害者 が被侵害者の権利維持コストを負担し、被侵害者 杭州・寧波知財法廷が正式に設置される 北京・上海・広州知財法院の過去 3 年間の訴 訟終了事件が 3 万件を超える
が充分に賠償を得られるように、侵害者に支払う べき代価を支払わせた。 2016 年末、北京知財法院は 5000 万人民元に のぼる最高金額の特許賠償判決を下し、被告恒宝 公司に原告握奇公司の経済的損失 4900 万人民 元を賠償し、かつ合理的に支出した弁護士費用 100 万人民元を支払うよう命じ、業界筋からの広い 注目を集めた。 中国における審査促進方法と言えば、外国人出 願人の間では PPH 制度が真っ先に挙げられるが、 国内出願人のためには以前より優先審査制度が 存在していた。今般、この優先審査について規定し た「優先審査管理弁法」が改正され、本年 8 月 1 日 より施行された。改正後の弁法では、優先審査の 適用範囲が大幅に広げられている。新たな優先審 査制度は、PPH 制度を活用できない国内出願人を 主な対象として整備されたものであり、外国人出願 人による利用は中国で第一国出願した場合等に 限定されるが、今後の運用によっては、更に利用 可能な場面が増えることも考えられる。 本稿では、新たな優先審査制度の概要と、外国 出願人による利用の可能性について解説する。 1.適用対象 弁法第 2 条によれば、優先審査の対象となるの は、実体審査段階にある発明特許出願、実用新案 及び意匠出願、並びに、発明特許、実用新案及び 意匠の復審(拒絶査定不服審判)及び無効審判で ある。ここで、実体審査段階にある発明特許出願と は、実体審査段階移行通知受領後の出願を意味 する。改正前は発明特許出願のみが対象であった が、本改正では適用対象が大幅に拡大された。 ただし、SIPO と他国との協定により既に優先審 査を行っている出願には、弁法による優先審査は 適用されない。従って、既に PPH 申請が受理され、 PPH 制度の適用が決定された出願について、更 に弁法に基づく優先審査を申請しても、二重の適 用はなされない。なお、PPH 申請が却下された出 願については、そのことを理由に優先審査制度の 利用対象から排除はされないとのことである。 2.適用条件 弁法第 3 条によれば、以下の条件を満たす出願 及び復審は、優先審査を請求できる。 (1) 省エネ環境保護、次世代情報技術、バイオ、 ハイエンド設備製造、新型エネルギー、新材 料、新型エネルギー自動車、スマート製造な どの国家の重点発展産業に関する場合。 (2) 各省レベル、及び区を設けている市レベルの 人民政府の重点奨励産業に関する場合。 (3) インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピュ ーティング等の分野にあって、技術又は製品 の更新速度が速い場合。 (4) 出願人又は復審請求人が既に実施の準備を 終えている、又は既に実施を開始している場 合。 (5) 中国で最初に出願した後で他の国家又は地 域で出願を行った場合。 (6) その他、国家の利益又は公共の利益に重大 な意義があり優先審査が必要な場合。 また、弁法第 4 条によれば、無効審判について は、以下の条件を満たす場合に優先審査を請求で きる。 (1) 無効審判の対象となる権利について侵害紛争 があり、当事者が地方の知的財産局に行政処 分を申請し、人民法院に訴訟提起し、又は、仲 裁機関に仲裁の調停を申請している場合。 (2) 無効審判事件が国家の利益又は公共の利益 に重大な意義を有する場合。 ただし、適用条件を満たす全ての出願、復審及 び無効審判について優先審査が認められる訳で はなく、審査能力、前年度の特許権付与件数及び 今年度の審査待ち件数などを勘案して、適用案件 数に一定の上限が設けられることが規定されてい る(弁法第 6 条)。 特 集 特許・実案・意匠の優先審査管理弁法の改正 について
3.申請者 出願中及び復審段階における優先審査は、出 願人が申請できる。無効審判の優先審査は、無効 審判請求人又は特許権者、或いは、当該特許権 に関する侵害紛争を処理又は審理している地方の 知的財産局、裁判所又は仲裁機関が申請すること が可能である。 なお、弁法第 5 条によれば、共同出願の場合に は、出願人又は権利者全員の合意が必要である。 4.必要書類 優先審査の申請書類は、電子出願システム経 由及び一部紙媒体にて、国家知的財産局に提出さ れる。 発明特許、実用新案及び意匠出願の優先審査 を申請するためには、①優先審査請求書、②先行 技術・意匠の情報及びその証明書類が必要である。 また、申請事由によっては、③案件が申請事由を 満たす証拠も必要となる。なお、弁法第 3 条の「(5) 中国で最初に出願した後で他の国家又は地域で 出願を行った場合」以外の事由で申請する場合、 優先審査請求書に、国務院関連部門又は省レベ ルの知的財産局の署名付きの推薦意見の記入が 必要である。 復審及び無効審判の優先審査の申請には、① 優先審査請求書、及び②関連する証明書類が必 要である。また、出願段階で優先審査を行った復 審案件以外では、やはり、優先審査請求書に国務 院関連部門又は省レベルの知的財産局の署名付 きの推薦意見の記入が必要である(弁法第 8 条)。 5.優先審査の効果 優先審査の申請は速やかに処理される(弁法第 9 条)。国家知的財産局のホームページに掲載さ れた説明資料によれば、通常、3~5 営業日で結果 が通知されるとのことである。適用が認められた場 合、認められた日から以下の期間内に案件が処理 される(弁法第 10 条)。 (1) 発明特許出願に対しては 45 日以内に第一回 の OA を発行し、1 年以内に査定に至る。 (2) 実用新案及び意匠出願については、2 か月以 内に査定に至る。 (3) 復審については、7 カ月以内に審決を出す。 (4) 発明特許と実用新案の無効審判は 5 カ月以内、 意匠の無効審判は 4 ヶ月以内に審決を出す。 このように、優先審査が適用された場合には、 所定の期間内に審査結論を得ることができる。た だし、出願人にも相応の義務が課されており、出願 段階の優先審査では、出願人は、発明特許では 2 か月、実用新案及び意匠では 15 日以内に拒絶理 由通知書に応答しなければならない(弁法第 11 条)。 6.優先審査の終了 審査段階での優先審査適用後、以下の状況が 発生した場合には、優先審査が打ち切られ、通常 の審査に戻る(弁法第 12 条)。 (1) 優先審査開始後に出願人が自発補正を行っ た場合。 (2) 出願人が拒絶理由に対して、発明特許では 2 か月、実用新案及び意匠では 15 日以内に応 答しなかった場合。 (3) 出願人が虚偽の資料を提出した場合。 (4) 審査過程において正常ではない出願(例えば 他人の出願をコピーした出願等)であることが 判明した場合。 復審及び無効審判での優先審査適用後、以下 の状況が発生した場合、復審委員会は、優先審査 を中止して通常の審理に戻すことができる(弁法第 13 条)。 (1) 復審請求人が回答期間を延長した場合。 (2) 優先審査開始後に無効審判請求人が証拠又 は審判請求理由を補充した場合。 (3) 優先審査開始後に特許権者が削除以外の方 式で請求項を補正した場合。 (4) 復審又は無効審判手続きが中断された場合。 (5) 事件の審理が他の事件の審理結果に依存す る場合。 (6) 難しい案件であって、復審委員会の主任が承 認した場合。
7.外国出願人の利用について (1)推薦意見の取得について 冒頭に述べた通り、「優先審査管理弁法」の規 定する優先審査制度は、主に、PPH 制度を利用で きない国内出願人を主な対象として整備された側 面が強い。そのため、外国出願人による利用は、 条文上、決して排除されてはいないが、運用上、そ の適用範囲が制限されている。具体的には、上記 「4、必要書類」で述べた「国務院関連部門又は省 レベル知的財産局の署名付きの推薦意見」の取得 が、外国出願にとっての実務上の障害となる。 上述の通り、出願段階の優先審査を申請する場 合、「(5)中国で最初に出願した後で他の国家又 は地域で出願を行った場合」以外の事由による申 請には、推薦意見が必要である。また、当事者とし て復審及び無効審判の優先審査を申請する場合、 出願段階で優先審査を行った復審案件において 優先審査を申請する場合を除き、やはり推薦意見 が必要である。 ここで、推薦意見を提供できる国務院関連部門 は、国家知的財産局の説明によれば、国家発展改 革委員会、科学技術部、工業情報化部等の部門と のことであり、通常の案件でこれら国家機関の推 薦意見をもらうのは難しいと思われる。 次に、省レベルの知的財産局の推薦意見につ いてであるが、現状、北京市、広東省、浙江省、天 津市などの省レベルの知的財産局における優先 審査関連規定では、いずれも、申請資格が、各知 的財産局の管轄区域内に登録された企業、又は 管轄区域内に戸籍を有する個人に限定されている。 改正後の優先審査に対応した規定を未だ公表して いない地方局もあり、また、全ての地方局について 確認したわけではないが、上述の主だった地域の 知的財産局の関連規定を見る限り、外国出願人に よる推薦意見の申請を受け付けてくれる地方局を 見つけることができなかった。 従って、この推薦意見を取得するという運用上 の課題のために、外国出願人による新たな優先審 査制度の利用は、「(5)中国で最初に出願した後 で他の国家又は地域で出願を行った場合」の出願 段階における申請に限られるのが現状である。 もちろん、改正後の優先審査弁法では、外国出 願人による利用は特に排除されておらず、あくまで も運用上のハードルであるため、運用方針の変更 により利用可能となる可能性はある。推薦意見取 得の問題が解決された際には、「(3)インターネッ ト、ビッグデータ、クラウドコンピューティング等の分 野にあって、技術又は製品の更新速度が速い場 合」や、「(4)出願人又は復審請求人が既に実施 の準備を終えている、又は既に実施を開始してい る場合」といった事由による外国出願人の優先審 査の利用が現実的なものとなるため、今後の動向 に注目したい。 (2)他国で第一国出願を行ったケースの中国での 審査促進について 以上のような状況から、他国で第一国出願を行 ったケースについて、中国での審査促進を図りた い場合には、既存の PPH 制度の利用を検討する ことになる。例えば、日本出願に基づくパリ優先権 を主張して中国出願したケースでは、まず日本に て肯定的な審査結果を得た上で、中国出願につい て、これに基づく PPH 申請を行う。また、PCT 出願 を経て中国に国内移行したケースでは、ファミリー の日本出願における審査結果の他に、PCT 国際 調査報告等の結果を利用した PPH 申請が可能で ある。 PPH の申請条件及び方法の詳細な説明は割愛 するが、申請が通った場合、審査促進には一定の 効果が期待できる。弊所の最近の実績によれば、 PPH 申請から第一回拒絶理由通知書の発行まで の平均時間は 3 ヶ月(最短ケースは 0.5 ヶ月、最長 ケースは 8.5 ヶ月)であり、特許査定発行までの平 均時間は 10 ヶ月(最短ケースは 1.5 ヶ月、最長ケ ースは 30 ヶ月)となっている。通常の出願と比較し て明らかな審査促進効果が認められる。 もちろん、PPH はあくまでも第一回 OA の発行 時期を通常の出願と比較して早める制度であり、 優先審査制度のように査定までの期間に保証はな い。また、PPH 申請の対象となる中国出願のクレ ームを、外国等で特許可能と判断されたクレームと
揃える必要もある。しかしながら、中国で第一国出 願したケース以外では、現状、PPH 制度の利用が 現実的であり、十分なメリットがあると思われる。 以上の通り、改正後の優先審査制度の外国出 願人による利用は、現状、一定の場合に制限され ている。しかしながら、知的財産局の運用次第では、 利用場面が拡大できる可能性があり、今後の動向 に注目したい。 第一条 産業構造の最適化とグレードアップを促 進し、国家知的財産権戦略の実施及び知的財産 強国の建設を推進し、イノベーション駆動型発展に 奉仕し、特許審査手続を改善するために、「中華人 民共和国特許法」及び「中華人民共和国特許法実 施細則」(以下、「特許法実施細則」と略称)の関連 規定に基づいて、本弁法を制定する。 第二条 以下の特許出願又は事件の優先審査は 本弁法を適用する。 (一)実体審査段階の発明特許出願 (二)実用新案及び意匠出願 (三)発明特許、実用新案及び意匠出願の復審 (四)発明特許、実用新案登録及び意匠登録の無 効審判 国家知的財産局が他の国家または地域の特許 審査機関と締結した二国間又は多国間協定に準 拠して優先審査を行うものは、その関連規定に従 って処理するものとし、本弁法は適用しない。 第三条 以下の状況の何れかに該当する特許出 願又は特許復審事件は、優先審査を申請すること ができる。 (一)省エネ環境保護、次世代情報技術、バイオ、 ハイエンド設備製造、新型エネルギー、新材 料、 新型エネルギー自動車、スマート製造な どの国家の重点発展産業に関する場合。 (二)各省レベル、及び区を設けている市レベルの 人民政府の重点奨励産業に関する場合。 (三)インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピュ ーティング等の分野にあって、かつ技術又は 製品の更新速度が速い場合。 (四)特許出願人又は復審請求人が既に実施の準 備を終えている場合、若しくは既に実施を開 始している場合、又は他人によってその発明 が実施されていることを証明できる証拠を有 する場合。 (五)同一の主題に関して中国で最初に特許出願 した後で、他の国家又は地域で出願を行った 場合の当該中国で最初に提出された出願。 (六)その他、国家の利益又は公共の利益に重大 な意義があり優先審査が必要な場合。 第四条 以下の状況の何れかに該当する無効審 判請求事件は、優先審査を申請することができる。 (一)無効審判事件の対象となる特許について侵 害紛争があり、当事者が地方の知的財産局 に行政処分を申請し、人民法院に訴訟提起し、 又は、仲裁調停機関に仲裁・調停を申請して いる場合。 (二)無効審判事件の対象となる特許が国家の利 益又は公共の利益に重大な意義を有する場 合。 第五条 特許出願、特許復審事件について優先審 査申請を提出する場合、全ての出願人又は全ての 復審請求人の同意を得なければならない。無効審 判事件について優先審査申請を提出する場合、全 ての無効審判請求人又は全ての特許権者の同意 を得なければならない。 特許侵害紛争を処理・審理する地方知的財産局、 人民法院又は仲裁調停機関は、無効審判事件に ついて優先審査申請を提出することができる。 第六条 特許出願、特許復審事件、無効審判事件 について優先審査を実施する件数については、国 家知的財産局が各専門技術分野の審査能力、前 年度の特許権付与件数及び今年度の審査待ち件 数などを勘案して確定する。 第七条 優先審査を申請する特許出願又は特許 特許優先審査管理弁法(日本語訳)
復審事件は、電子出願の方式を採用しなければな らない。 第八条 出願人が発明特許、実用新案、意匠出願 について優先審査を申請する場合、優先審査請求 書、先行技術又は先行意匠の情報及びその証明 書類を提出しなければならない。本弁法第 3 条第 5 項の状況を除き、優先審査請求書には国務院関 連部門又は省レベルの知的財産局の署名付きの 推薦意見を記入しなければならない。 当事者が特許復審、無効審判事件について優 先審査を申請する場合、優先審査請求書及び関 連する証明書類を提出しなければならない。実体 審査又は方式審査の段階で既に優先審査を行っ た特許復審事件を除き、優先審査請求書には国 務院関連部門又は省レベルの知的財産局の署名 付きの推薦意見を記入しなければならない。 地方知的財産局、人民法院、仲裁調停機関が 無効審判事件について優先審査を申請する場合、 優先審査請求書を提出するとともに、理由を説明 しなければならない。 第九条 国家知的財産局は、優先審査申請の受 理及び確認後、審査意見を優先審査申請者に速 やかに通知しなければならない。 第十条 国家知的財産局は優先審査に同意した 場合、同意日から起算して以下の期間内に案件を 処理しなければならない。 (一)発明特許出願に対しては、45 日以内に第一 回拒絶理由通知書を発行し、かつ一年以内に 査定に至る。 (二)実用新案及び意匠出願については、2 カ月以 内に査定に至る。 (三)特許復審事件については、7 カ月以内に審決 を出す。 (四)発明特許と実用新案登録の無効審判事件に ついては 5 カ月以内に審決を出すものとし、意 匠登録の無効審判事件については 4 カ月以 内に審決を出す。 第十一条 審査を優先された特許出願について、 出願人は速やかに応答又は補正を行わなければ ならない。出願人による発明特許の拒絶理由通知 書への応答期限は通知書の発行日より起算して 2 ヶ月とする。出願人による実用新案及び意匠の 拒絶理由通知書への回答期限は通知書の発行日 より起算して 15 日とする。 第十二条 審査を優先された特許出願が以下の 状況の何れかに該当する場合、国家知的財産局 は優先審査手続を中止して、通常の手続に従い処 理することができ、かつ速やかに優先審査申請者 に通知する。 (一) 優先審査申請の同意を得た後、出願人が特 許法実施細則第 51 条第 1 項、第 2 項に基づ いて出願書類に対して補正を行った場合。 (二) 出願人の応答期限が本弁法第 11 条に規定 される期限を越えた場合。 (三) 出願人が虚偽の資料を提出した場合。 (四) 審査過程において、正常ではない特許出願 であることが判明した場合。 第十三条 審査を優先された特許復審事件又は 無効審判事件が以下の状況の何れかに該当する 場合、特許復審委員会は優先審査手続を中止して、 通常の手続に従い処理することができ、かつ速や かに優先審査申請者に通知する。 (一)復審請求人が回答期間を延長した場合。 (二)優先審査申請の同意を得た後、無効審判請 求人が証拠又は理由を補充した場合。 (三)優先審査申請の同意を得た後、特許権者が 削除以外の方式で請求項を補正した場合。 (四)特許復審又は無効審判手続が中断された場 合。 (五)事件の審理が他の事件の審理結果に依存す る場合。 (六)難しい案件であって、かつ特許復審委員会の 主任が承認した場合。 第十四条 本弁法の解釈については、国家知的財 産局が責任を負う。
第十五条 本弁法は 2017 年 8 月 1 日より施行す る。2012 年 8 月 1 日より施行された「発明特許出 願優先審査管理弁法」は同時に廃止するものとす る。
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