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米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考 察(二)

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(1)

米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考 察(二)

その他のタイトル A Study on the Right to Freight in the American Maritime Law (2)

著者 金 玲

雑誌名 關西大學法學論集

巻 58

号 3

ページ 406‑454

発行年 2008‑08‑15

URL http://hdl.handle.net/10112/11954

(2)

四 3  2 

3  2 

次 は じ め に

本稿の H 的

本稿の研究対象

運送賃支払いに関する原則

運送賃の意義

運送賃の約定

後払いの原則

運送賃請求権の発生要件

出 帆

航海の完了︵以上︑五八巻︱一号︶

運送品の引渡し

3

1 引 渡 し の 意 義 3,2

引渡しの必要性

3,3現実の引渡し前の運送賃支払い

運送品の一部滅失 日

4  3  2 

3  2 

米国法における海上物品運送賃請求権に関する

米国法の原則

米国法の例外

2

1運送賃が一切取得できなかった場合

2̲2

運送賃が全額取得された場合

原 則 を 排 除 す る 特 約

︵ 以 上

︑ 本 号

︶ 特 約 条 項

前払い運送賃

割合述送賃

運送賃確定取得条項

3 , 1

有効性の承認

3̲2

有効性の限界

青任中断条項

むすびにかえて

米国判例理論の再確認

米国海法の原則形成の功労者

1 0 0  

玲 考察 ︵ 四 0

六 ︶

^  . 

(3)

日本法における定説的見解のように︑運送契約を請負契約の一種と考えた場合︑目的地における運送品の引渡しに よって︑請負人・運送人の仕事が完成し︑運送依頼者・荷送人・傭船者がその仕事の結果に対してその報酬・運送賃 を支払うことになるため︑必然的に︑運送品の引渡しの有する意味は大きい︒また︑とくに運送契約の法的性質を議 論しない場合においても︵米国においては︑運送契約の法的性質の議論から︑演繹的に︑運送賃の支払義務について 論じるようなことはないようである︶︑あるいは︑その法的性質をいかに考えるにしても︵中国においては︑運送契 約の法的性質について議論が分かれている︶︑運送契約が有償でなされるかぎり︑運送依頼者は運送品の引渡しと運 米国海法の原則に基づくと︑荷送人は︑物品が合意された目的地において引き渡されるまで︑物品運送に対する運

( 4 5 )  

送賃の支払いの責任を負わない︒すなわち︑運送品の引渡しが運送賃支払いの停止条件になる︒したがって︑何時︑

運送品の引渡しがなされたかは︑運送契約の当事者にとってきわめて重要な意味を有するはずである︒さらに︑引渡 しは︑別の局面においても︑米国COGSA上︑重要な意味を有する︒まず︑運送人に対する運送品の損害賠償責任

の通知期間︵三日間︶

の起算点を画する︒そして︑運送品の受取りの際に直ちに発見しえなかった滅失・損傷

の基準日を定める︒

このように︑引渡しは︑海上物品運送法上︑きわめて重要な意味を有する︒

H a r t e r

法は︑船舶︵運送人︶

米 国

法 に

お け

る 海

上 物

品 運

送 賃

請 求

権 に

関 す

る 一

考 察

︵ 二

に関する出訴期限︵一年間︶ しをいかに考えるかは大きな問題といいうる︒ 送賃の支払いを関連づけることが一般的に予測される

3│1

引渡しの意義

3

運送品の引渡し

︵実際に︑関連づけられている︶

10  ので︑やはり︑運送品の引渡

︵ 四

0 七 ︶

寸 し

文 こ

,I . 

(4)

( a c t u a l )

﹂または﹁擬制的な

﹁ 擬

制 引

渡 し

. 

( c o n s t r u c t i v e  

( a c t u a l   d e l i v e r y

) ﹂は︑荷受

い て

﹁適切な引渡し﹂

は︑通常の状況においては︑

① 引 渡 し の 定 義

( 4 5 )   ( 4 6 )   ( 4 7 )   ( 4 8 )

582 

 

F N

 

五 八 巻 三 号

より

H a r t e r

法の大部分は廃止されたのかもしれないが︑運送人の

6 ) ( 4  

のと考えられる︒

I d .   a t  

58 .2  

時として︑

驚くべきことに︑ 関法

法律の定義がないため︑

﹁引渡し﹂ないし﹁適切な引渡し﹂

︵ 四

0 八 ︶

現 ﹁

実 の

の要素が何かにつ

( p r o p e r  

delivery)~

を求めている︒

COGSA の制定に

ほとんど裁判例が集積していない︒

A t l a n t i c M u t u a l   I n s .   C o s .   v .  

M  ¥ <

1 ( B a a   l s

38

"

事件において

H a i g h t

判事は︑その点について以下のように述べている︒﹁法律の定義も︑立法的歴史もなく︑判例法もほとんどな く︑そして︑直接この点に関して︑最高裁判所または第二巡回裁判所の先例もない︒相対的に少数のケースのそれぞ

( 4 7 )  

れは︑それ自体の事情にかかっている﹂︒この

H a i g t h

判事のことばは︑その後の判決および

c S h o e n b a u m

によって

引用されているが︑それほど的確に状況を表現しているのであろう︒

S c h o e n b a u m ,   s u p r a o   n t e

9

 

a t  

531

53 2.

695 

  F . S u p p .  

16 5,

167  

( S .   D•N•

Y .  

19 88 ).  

O r i e n t   A t l t i a n c   P a r c o , I n   c .   v .   M a e r s k   L i n e s ,  

740 

F .   S u p p .  

01 02 , 

1004 

(S•

D.N•

Y .  

19 90 );  

S c h o e n b a u m ,   s u p r a o   n t e  

9 , 

  a t ( S

c h o e n b a u m )  

議論が生じる︒

S c h o e n b a u m

に よ

る と

( c o n s t r u c t i v e )

﹂ものでなければならない︒﹁現実の引渡し 人またはその代理人に対する運送品の占有および管理の全面的な移転を意味する︒また︑

し か

し ︑

H a r t e r

法も COGSA

も ︑

﹁引渡し﹂ないし

﹁ 適

切 な

渡 引

し ﹂

て ︑ 適切な船積み︑積付け︑保管︑管理および適切な引渡し

I I

について定義規定を設けていない︒さらに

﹁適切な引渡し﹂義務については︑変更はないも

10 

(5)

﹁引渡し﹂がなされたと解したと思われる例がある︒すなわち︑﹁

COGSA

のもと︑引渡しは︑荷受人またはその代 理人に宛てて︑物品が船舶の貨物吊具

( s l i n g )

を離れた時に生じる﹂というものがある︒

しかし︑この両極の間に﹁引渡し﹂がなされたものとするのが一般的のようである︒そうした状況を述べている例

( 5 2 )  

として

O r i e n t A t l a n t i c   P a

r c o , n c   I .   v .   M a e r s k   L i n e

s 事件を検討しておぎたい︒

[ 事 実 の 概 要 ] 米国法における海上物品運送賃諮求権に関する一考察︵二︶

これとは対照的に

﹁引渡し﹂がなされたと解した

( 5 0 )  

れる例がないわけではない︒

︵その反対の極に位置するものとして︶︑荷揚げ

( d i s c h a r g

e または

u n l o a d i n g )

もって ②

裁 判 例 に み る 引 渡 し

( 4 9 )  

d e l i v e r y

) ﹂は︑物品が船舶からドック︑埠頭またはターミナルに陸揚げされ︑船荷証券および計数によって分別さ

れ︑そして︑適切な管理・保管のもと︑相応しい場所において荷受人が接近でぎるようにされていなければならない ことを意味する︒そして︑荷受人は︑適切な通知を受けそして物品を回収するための合理的時間を与えられていなけ

( 4 9 )  

ればならない︒

S c h o e n b a u m ,   s u p r a o   n t e  

9 , 

a t  

58 3.  

と で

あ る

︵﹁現実の引渡し﹂をもって

0

1 ︱ ︱

 

した時をもって

︵ 四

0 九 ︶

﹁引渡し﹂がなされたものと考えた︶ものと思わ

先にもふれたように︑﹁引渡し﹂について論じた裁判例は︑必ずしも多くはない︒それ らの裁判例にほぼ共通しているのは︑﹁引渡し﹂は︑単なる﹁荷揚げ

( d i s c h a r g e

﹂以上のものを要求するというこ )

事情によるのかもしれないが︑荷揚げ後︑荷受人︵の代理人︶がターミナルから貨物︵コンテナ︶を匝収した時を

(6)

あ る

第 五 八 巻 三 号

原告である荷受人

O r i e n t A t a l n t i c   P a r c o

社は︑三六

0

0 カートンの冷凍マシュルームを上海からフィラデル

フィアまで運送するため︑被告である運送人

M a e r s k L i n e s と契約を結んだ︒船荷証券には︑貨物は︑着払いの運 フィラデルフィアに到着した︒物品が到着する前に︑原告は︑運送賃が間違っ

ていることに気づき︑被告に通知した︒その矛盾は明らかになり︑そして適切な運送賃は︑

またはそのころに算定された︒運送賃︵の問題︶が解決されているあいだ︑滞船料が発生した︒被告は︑

ルームを提供し︑そして運送賃および滞船料の支払いを要求した︒提供した正確な日は︑明らかではない︒原告は︑

滞船料の支払いを拒否し︑遅延は被告の過失によると主張した︒この紛争のため︑貨物は荷揚ターミナルに留め置 一九八八年七月一一七日またはそのころ︑原告は︑さらなる滞船料の発生を避けるために︑

一九八八年七月二七日現在︑倉庫料を引き受けると合意した︒被告は︑

年八月二日に貨物を

H o l t C o l d   S t o r a g e   F a c i l i t y に移転完了し︑

している︒貨物が陸揚げされた後のある時点で︑原告は︑物品が損害をこうむっていることに気づいた︒

原告は︑運送品の損害の賠償などを求めて︑訴えを提起した︒訴状の日付けは︑

引渡しが何時なされたかによって︑原告の訴えが出訴期限を過ぎてなされたか否かが決せられることになったので [ 判

旨 ]

備に移動すべきであると要請し︑ かれ︑滞船料は︑累積した︒

一 九

八 八

一 年

一 月

一 七

日 ︑

荷 積

は ︑

送賃で運送されると明示されている︒

関法

一九八九年九月一五日であった︒

マシュルームは︑明らかに現在まで︑そこに存在

一 九

八 八

10

マシュルームを冷凍設 ︵ 四

0 )

マ シ

一九八八年二月二九日

(7)

かったと結論づけた︒﹃荷揚げ﹄ と の W o l l e n b e r g 判事は︑次のように述ぺた︒

﹃ COGSA

において用いられているものとして︑

れ た

よ う

に ︑

C

O G S A

の文脈中の

﹃引渡し﹄を定義しているケースは︑驚くほど少ない︒

H a i g h t 判事により簡潔に述ぺら

﹃法律の定義も︑立法的歴史もなく︑判例法もほとんどなく︑そして︑直接この点に関して︑最高裁 判所または第二巡回裁判所の先例もない︒相対的に少数のケースのそれぞれは︑それ自体の事情にかかっている︒﹄

A t l a n t i c   M u t u a l   I n s .   C o s .   v .  

¥ <

6 ( B a l s a  

38

"

695 

F .   S u p p .  

16 5,

167  

( S .  

D .   N•

Y .  

1

98

︒しかし︑引渡しは貨物の単

)

なる引渡し以上の何かを要求している点で︑裁判所間では意見の一致がみられるようである︒

L i t h o t i p , C A  v. 

S . S .   G u a r i c o ,  

569 

F .   S u p p .  

83 7,

 839 

( S .   D .   N .  

Y .  

19 83

)

を参孟照︒同謡巴に︑現実の物理的な引渡し以下の何かが要求

されていることが明らかである︒

L i t h o t i p

C ,

A

 v.  S .

  S .   G u a

592 

r i c o ,  

F .   S u p p .  

1 28 0,

1281  

(S•

D.N•

Y .  

19 84 )

参 照

︒ アメリカの裁判所が要請された最初の時﹄

れ以上のものがない船舶からの荷揚げも意味しない︒これらの両極端の間に︑物品が荷揚げされた通知を荷受人が 受け取り︑そして︑物品を移動しまたは適切な保管と管理のもとに物品を置くための合理的な機会を有すべき期間

が あ

る ︒

N a t i o n a l

P a c k a g i n g   C o r p .   v•

N i p p o n u   Y s e n   K a i s h

a   (N•Y•

L i n e ) ,  

354 

F .   S u p p .

986

 

87

(N•

D .   C a l

.  

1

97 2) . 

L a s k e r 判事は︑二つの

L i t h o t i p 判決において︑荷受人に物品を検査する機会が与えられるまで引渡しは生じな する機会が伴うことである︒

L i t h o t i p

I

事件

569

F .   S u p p .   a

8

t  

39 . 

発生のための

﹃ 回

収 の

機 会

として裁判所によって称された判決において︑

﹃引渡し﹄は︑現実の物理的な移転を意味するのではないように︑そ

﹃引渡し﹄間の主たる相違は︑引渡しは荷受人またはその代理人に欠陥を検壺 の要件が︑荷受人に貨物の状態を検査する機会を与えることを意図していることを明

米 国

法 に

お け

る 海

上 物

品 運

送 賃

請 求

権 に

関 す

る 一

考 察

︵ 二

[ d e l

i v e r y ]  

10

という用語が何を意味するのかを判断するために︑

カリフォルニア州北地区

さらに︑この一節は︑ COGSA の出訴期限法の

︵ 四

︱ ‑

(8)

第 五 八 巻 三 号 らかにしているが︑現実の検査がなされるまでその法律は経過し始めないとのことを示唆していない︒

t h L i o t i p I I   事 件

592

F .   S u p p .   a

1

t  

28 1.  

一九八八年八月二日に

︱ 二

同 様

に ︑

A t l a n t i c M u t u a l   I n s .   C o s .   v .  

M  ¥ <

B a 1 ( l s a  

38

"

695 

F .   S u p p .  

165 

( S

D . .  

  N .  

Y .  

19 88

において︑裁判所は次のように結論づけた︒﹃有効な引渡しは︑荷受人が況乱から秩序を取り戻すための合

)

理的な時間が与えられ︑損害または滅失の事実が確認され︑そしてその総額が算定されうるまで︑生じない﹄と︒

したがって︑われわれは︑

C O G S A の出訴期限法の目的上︑引渡しを︑荷受人に対する通知および物品の欠陥を

( 5 3 )  

検査するための荷受人にとっての機会を伴った貨物の荷揚げというように定義する﹂︒

結論として︑本件においては︑

C O G S A の出訴期限法の目的上︑引渡しは︑少なくとも︑

なされたと判断され︑原告の訴えは︑出訴期限を過ぎているものとされた︒

もし︑引渡しに関する最善の定義が︑﹁引渡しは︑荷受人︵またはその代理人︶が︑通知︑および物品を検査し︑

( 5 4 )  

移動しそしてそれらを適切な管理・保管のもとに置くための合理的な機会を得るべきことを要求する﹂であるとすれ

( 5 5 )  

ば︑当然のことながら︑運送人は︑貨物を荷受人のトラックの荷台に置くことまで要求されない︒

他方︑運送人に︑貨物の荷揚げ後︑荷受人が貨物を移動するための合理的な機会を得るまで︑貨物を保護する義務 があるとした例が存在する︒以下のような事案である︒運送人は︑酷寒の中︑積荷のワインを埠頭に陸揚げした︒

インは凍り︑損害を受けて消費するのに適さなくなった︒裁判所は︑次のように判断を下した︒凍結は︑

関法

10

ワインが埠

頭にあるあいだに生じた︒運送人は︑それに対して責任を負う︒なぜなら︑運送人は︑﹁船舶到着を荷受人に通知す

( 5 6 )  

る義務および荷受人が貨物を移動するための合理的な機会を得るまで貨物を保護する義務﹂に違反したからである︒

(9)

[ 事 実 の 概 要 ] り︑荷受人でもあった︒

の 裁

判 例

は ︑

て い

る ︒ ( 5 4 )   ( 5 3 )   ( 5 2 )   ( 5 1 )   ( 5 0 )  

( 5 5 )   ( 5 6 )  

一 九

九 五

年 一

0

月二五日から一一八日のあいだに︑

1 0

七 一個のコンテナは︑

サントス港に到着

これらの物品の最終的な目的地は︑

パラグアイであったが︑

一通の港から港への船荷証券

明言していたわけではない︒そうしたなかにあって︑

( 5 7 )   v.M 

¥ < ^

M ^  

a t h i l d e   M a e r s k "

事件である︒

一九九五年七月と八月︑

﹁擬制引渡し﹂がいかなる要件のもと成立するかについて それらを明言している裁判例が存在している︒

電子製品の製造および販売業者である

B r o c s o n i c は ︑ 電子製品を積んだ一 ナを日本の神戸からブラジルのサントスまで運送するよう︑国際貨物運送業者である

M a e r s k

と契約を締結した︒

は︑単に

M a e r s k

にサントスでコンテナを陸揚げしそして引き渡すよう要求していた︒

米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考察︵二︶

( p o r t ' t o

  ,  p

o r t   B 

¥  L

)  

B r o c s o n i

c は︑荷送人であ

︵ 四 一 三

﹁擬制引渡し﹂が

﹁ 適

切 な

引 渡

し ﹂

に 該

当 し

︑ いくつかの裁判例は︑

﹁ 適

切 な

引 渡

し ﹂

または

﹁引渡し﹂がいかなるものかを論じている︒

③ 擬 制 引 渡 し

﹁ 適

切 な

引 渡

し ﹂

7 4 0   F .   S u p p . 0   1 0 2

  (S•D•N•

Y .  

1 9 9 0 ) ・   I d .  

a t   1 0 0 4

1 0

0 5 .

﹁ 現

実 の

引 渡

し ﹂

か ﹁

擬 制

引 渡

し ﹂

L e a t h e r ' s   B e s t   I n t e r n a t i o n a l ,   I n c .   v .   M V  L l o y d   S e r g i p e ,

6   7 0   F .   S u p p .   3 0 1 3 ,   0 8

  (S•

D.N•

Y .  

1 9 9 1 ) .   M e n d e s   J u n i o r

  I n t e r n a t i o n a l   C o .   v•M\

S o k a   M a r n ,   7 5 8   F .   S u p p .   1 1 6 9 ,   1 1 7 1

  (S•

D .   T e x .   1 9 9 1 )

・   S c

h o e n b a u m ,   s u p r a o   n t e   9 ,   a t 8   5 3   F N   1 .   C r i s i s   T r a

n s p . o .   C   v .  

M  ¥  V 

E r l a n g e n   E x p r e s s , 9   7 4   F .   2 d   1 8 5   ( 5 t h i r   C .   1 9 8 6 ) ・   I n s u r a n c e   C o .   o f   N o r t h   A m e r i c a   v .  

S  ¥  S 

I t a l i c a ,   5 6 7   F .   S u p

p .   5 9 , 6  

2   (S•

D.N•

Y .  

1 9 8 3 ) ・  

一個のコンテ B r o

c s o n i c o   C .  

し か

し ︑

それら

のいずれかでなければならないといわれ

(10)

船荷証券を修正するため︑

M a e r s k

と 交

渉 し

た ︒

第 五 八 巻 三 号

国 有

企 業

体 ︶

まず︑推定上の荷受人により提示された船荷証券を認証するべきこととされていた︒

︵ 四

︱ 四

︶ した。地方の法律および慣習にしたがい、本件のコンテナは、直ちに、埠頭経営会社(荷役•免税保管を任された

に引き渡された︒埠頭経営会社が保管貨物を受取請求者に物理的に手放す前に︑関連する運送人は︑

一 九

九 五

年 一

0 月

︑ 末

M a e r s k の船舶から貨物が陸揚げされたあと︑

B r o c s o i n c

の 物

品 の

一 一九九七年四月までサントスの保税倉庫に置かれていた︒さらに︑この一八ヶ月のあいだ︑

B r o c o s n i c は ︑ 貨物を倉庫から取り戻そうとしなかった︒

B r o c s o n i c は︑本件の物品をサントスの倉庫に将来無期限に置いたまま にしようとしていた︒陸揚げ後の保管の努力の一部として︑

B r o c s o n i c は ︑ M a e r s k に一日あたり一

0 ドルの滞船

料を支払い︑そのかわりに︑

M a e r s k

B r o c s o n i c の電子製品を積んださまざまな船積コンテナを貸し続けるよう えを提起した︒

判 [ 旨 ]

一九九七年四月のある時︑貨物は︑不正の書類を利用した権限の ない第一二者により︑倉庫から取り出された︒

B r o c s o n i c が 六 一 ︱

1 0 0 万ドルの損害賠償を求めて

M a e r s k

に対して訴

﹁擬制引渡しの原則は︑通常︑海上物品運送法および

H a r t e r 法に基づいて︑適切な引渡しをなす運送人の義務 が終了する時を判断するために用いられる︒その特別の文脈において︑擬制引渡しは︑口当該貨物が適当なそし て慣習にしたがった埠頭で荷揚げされ︑口貨物が回収のために入手できて︑口荷受人が︑彼の貨物が入手できる と通知され︑そして︑四回収のための合理的な期間が経過した時に生じると定義されてきている︒⁝⁝裁判所は︑

運送人の責任の基礎が海上運送人の本来的な役割から陸上の受寄者のそれに変わる時の指標としての擬制引渡しに

関法

1 0

一 度 も

一 個

コ の

ン テ

ナ は

(11)

しがなされたと判断がなされた との現実の通知を受けていた︒

一八ヶ月は︑その間に貨物の回収を遂行しえた

になお導くことがあるが︑陸上の債務に関してでしかない︒

1 0

︵ 四

︱ 五

︵とりわけ︑貨物を回収するよう

注意してきた。•…••もちろん、原告の物品に擬制引渡しの後にふりかかる危害が被告の運送人に対する責任の発見 受寄者としての運送人の責任を判断するために用いられた分析は︑また継続している海事管轄権の問題に光を注

ぐ︒擬制引渡しの後︑海上運送は︑もはや契約上の関係を御する核心的な要素ではない︒実際に︑運送契約の根本 的な海事目的は︑完了し︑そして︑当事者は︑もっと陸上の焦点︑たとえば︑回収までの貨物の保管に切り替えて しまっているであろう︒貨物に対する危害に関する運送人の責任が擬制引渡しを超えて存続しうるにもかかわらず︑

海事管轄権は︑

したがってもはや存在しない︒要するに︑擬制引渡しは︑連邦海事管轄権活動的な海上商業

( 5 8 )  

の基準がなくなった時に関する適切な検査である﹂︒

本件においては︑権限のない第三者が貨物を取り去ってしまった一九九七年四月以前のある時期に︑

M a e r s k

B r o c s o n i

c の貨物を擬制的に引き渡したことに関して間題はないとされた︒すなわち︑両当事者は︑

月︑サントス港において本件の貨物が荷揚げされたことを争っておらず︑

B r o c s o n i c は ︑

一九九五年一〇

サントス港を不適当なそし て慣習にしたがっていない港であると主張していない︒

B r o c s o n i

c の貨物は︑埠頭経営会社の保管施設に保管されて

いたあいだでさえ︑回収のために入手されえなかったという兆候は存在しない︒

B r o c s o n i

c は︑貨物が回収されうる

M a e r s k により繰り返し要求がなされていた︶合理的期間である︒以上のような状況から︑本件においては擬制引渡

︵本稿の問題としている運送賃の関係でいえば︑この時︑

M a

e r

s k

は運送賃請求をな

米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考察︵二︶

(12)

第五八巻︱二号

の文言の解釈に関して興味深い面を

しえたのであろう︶︒擬制引渡しがなされた時︑

M a e r s k

の海上運送人としての役割は終わり︑陸上の保管者として

( 5 9 )  

の役割が始まった︒海事裁判所において︑陸上の保管者に対する陸上の訴えは遂行されえないと結論づけられた︒

( 5 7 )  

120 

F .   S u p p .  

2 d  372 

( S .  

D .  

N .  

Y .  

20 00 ),  

a f j ' d ,

270 

 

F .  

3 d  

1 0 6  

(2d 

C i r .

 

2

00 1) . 

( 5 8 )  

120 

F .   S u p p .

2

 

d

 

a t  

37 9' 38 0.  

( 5 9 )   B r o c s o n i c の訴えは管轄外であるとされたのであって︑適切な管轄権を有する裁判所に訴えを提起すれば︑

B r o c s o n i c

貨物が無権限の第三者に対して手放されてしまったことにおける

M a e r s k

の役割に関する責任が認容される可能性があるこ

とまでが否定されたわけてはない

I ( d .

a t  

38 0)

運送人が運送賃を取得するには︑運送品が目的港に到着しただけではなく︑その引渡しの提供をなすことに関する

義務の完全な履行も要する︒ 3

1

でふれたように︑

A l c o a S .   S C .   o .

  v•

U n i t e d   S t a t e s

事件判決は︑海上運送人の運

送賃は貨物が目的地において引き渡されなければそしてそれまでは取得されない︑

とするのが米国海法の原則である

ことを明百した例としてしばしば引用されている︒そして︑同時に︑同判決は︑貨物の現実の引渡しの有無にかかわ

らず荷送人の運送賃支払義務を定めた契約上の条項

( G o o d s

o r  

V e s s e l   l o s t   o r   n o t   l o s t )

が一律に有効と判決されて

きていることを認めた例としても著名である︒しかし︑同判決は︑上記の契約条項が運送人の発行する船荷証券にお いて共通のものになっていることを認めたうえで︑政府の標準船荷証券に基づきなされた運送契約において︑上記の 運送人の船荷証券の条項に基つく運送賃の支払請求を否定した例としてもしばしば引用されている︒ここで︑

A l c o a

( 6 0 )  

S . S .   C o

.   v•

U n i t d e   S t a t e s 事件の概要をみておくことにする︒本件は︑運送賃取得に関する米国海法の原則を確認し

た例としてよりも︑むしろ︑﹁

f r e i g h t e a r n e d ,   G o o d s   o r e   V s s l e   l o s t   o r   n o t o s   l

t

3

2 引渡しの必要性

関法

︱ 10 

︵ 四 一 六

(13)

[ 事 実 の 概 要 ] 一九四二年六月一三日︑原告の船舶

G u

n v

o r

号 は

荷証券に基づき︑

トリニダードヘ向かう予定であった︒出航して一日目︑

G u

n v

o r

号は︑敵国の潜水艦に攻撃され た ︒

G u

n v

o r

号および貨物は︑全損した︒運送人が積荷を引き渡さなかったにもかかわらず︑船荷証券は︑運送人 かし︑会計検査の際︑会計検査長官は︑運送賃は発生しなかった︑そして︑その額は原告に明らかに未払いになっ

ている他の債務と相殺するとの理由で︑運送賃の支払いを認めなかった︒原告︵運送人︶

めて︑本訴を提起した︒

なお︑本件の運送契約において発行された米国政府の標準船荷証券には︑以下のような﹁条件

( c o n

d i t i

o n s )

﹁ 指

( i n s

t r u c

t i o n

s ) ﹂が印刷されており︑米国と本船荷証券の当事者である運送人とのあいだで相互に合意・

請求に開する要件および手続を定めていた︒必要と思われる範囲で︑それらを再現する︒

条件の第一条﹁費用の前払いは︑

いかなる場合も︑運送人によって要求されず︑また︑荷受人から回収されない ものとする︒適切に役割を果たし︑公認の政府書式上に準備された運送賃領収書に添付されたこの船荷証券のその 表面に示された事務所への呈示の時に︑支払いはなされる︒﹂

同第二条﹁ここにとくに異なった規定がなくまたは異なった記載がないかぎり︑本船荷証券は︑運送人により商 米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考察(︱‑︶

了解されている旨が規定されていた︒そして︑﹁条件﹂と

﹁ 指

不 ﹂

は︑運送賃の支払いを求

︵ 四 一 七

のいくつかは︑本件の運送契約の運送賃の支払

と に引き渡され︑そして︑滅失した貨物に関する運送賃は︑

一九四二年九月一五日︑陸軍省によって支払われた︒し

有するかもしれない︒

アラバマ州モービルで木材を積み込み︑米国政府の標準船

(14)

事運送のために用意された通常の書式に基づきなされる商事運送を規律するのと同様の原則および条件にしたが 指示の第二条﹁船積指図書︑船荷証券原本およびメモランダム船荷証券が船積みをなす際に使用されるものとす

れる︒船荷証券原本およびメモランダム謄本は︑受取運送人の代理人によって署名され︑荷送人に返却され︑そし て︑原本は︑直ちに荷受人に郵送される︒荷受人は︑積荷の受取時に︑船荷証券原本の荷受人の証明に署名をなし︑

そして︑船荷証券を最終の運送人に引き渡す︒船荷証券は︑その後︑それに基づき運送に関する解決がなされる証 拠となる︒⁝⁝﹂

同第六条﹁運送人の占有のもとにあるあいだの財産の滅失または毀損の場合︑その滅失または毀損は︑実行可能 であれば︑船荷証券またはそれにかわる証明書の上に︑事情により︑その役割完遂以前に︑注記されるものとする︒

⁝ ・ : ﹂

第 五 八 巻 三 号

︵ 四 一 八

︶ 一通の船荷証券原本のみが発行される︒船積指図書は︑最初の運送人に対して提供さ

一方︑原告の船荷証券には︑運送賃に関する規定︵第六条︶が設けられていた︒通常の船荷証券にみられる運送 賃確定取得(保証運送賃)条項であった。「目的地までの全額の運送賃…•••および貨物に対するすべての前払い費 用は︑運送のため︑貨物が受け取られるや︑支払われる︒⁝⁝貨物または船舶が滅失すると否とにかかわらず

⁝ ⁝

︒ ﹂

本件では︑この条項と上記の米国政府の標準船荷証券の﹁条件﹂および﹁指示﹂の諸規定のいずれが優先するかが る ︒ つ ︒ ﹂

一個の船積みについて︑ 関法

(15)

支払われないものとする旨を定めることによって︑ 問

わ れ

た ︒

第二番︵ニューヨーク南地区地方裁判所︶

は︑おおよそ以下のような理由により︑原告の請求を認容した︒米国政 府の標準船荷証券の﹁条件の第一条﹂および﹁指示の第二条﹂の規定と運送人の船荷証券の第六条の規定は︑矛盾し ない︒米国政府の標準船荷証券の規定は︑積荷の引渡しがなされた場合に適切な人に引渡しがなされたことを証明し て︑運送人が運送賃を徴収するために呈示しなければならない証拠

I I

と関係がある︒運送人の船荷証券の第六条の 規定は︑貨物が運送人の過失なしに滅失したため引渡しがまったくなされなかった場合の荷送人の運送賃支払責任を 定めている︒両者の規定は︑それらが適用される状況に関して効果が与えられる︒

規 定

一方︵米国政府の標準船荷証券の は︑積荷の引渡しがあった場合に適用され︑他方︵運送人の船荷証券の第六条の規定︶

( 6 1 )  

合に適用される︒

は︑積荷が滅失した場 もし︑米国政府が運送人の船荷証券の第六条の規定を否定したかったのであれば︑積荷が滅失した場合︑運送賃は

一個の文章で︑否定しえたはずである︒米国政府がその船荷証券 の書式を用意したのである︒もし︑それが不確定または不明確であれば︑それは原告の責めによるものではない︒も

( 6 2 )  

し︑米国政府の書式が二つ以上の解釈を許すのであれば︑原告はより有利な解釈をなしうる︒

運送人の船荷証券の第六条の規定に関しては︑異常なまたは不当なものはない︒積荷が引き渡された場合にのみ運 送賃は取得される︑とするのがコモンローの原則であるが︑長い年月︑船荷証券は︑船舶が滅失したか否かにかかわ らず運送賃は取得されたものとみなず旨の規定を設けている︒そして︑その規定は︑滅失が運送人の過失によらな

( 6 3 )  

かった場合に︑有効なものとされてきた︒

米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考察︵二︶

︵ 四 一 九

(16)

第 五 八 巻 三 号

第 二

︷ 番

︵ 第

二 巡

回 控

訴 裁

判 所

︵ 四 一 ︱

0 )

は︑おおよそ以下のような理由により︑米国政府の控訴を認容し︑運送人の請求を 棄却した︒米国政府の標準船荷証券が︑とくに異なった規定がないかぎり︑運送人により商事運送のために用意され た通常の書式に基づきなされる商事運送を規律するのと同様の原則および条件にしたがう︑と規定していた場合︵条 件の第二条︶︑費用の前払いおよび荷受人からの回収を禁じる規定︵条件の第一条︶

がそれに基つき運送に関する解決がなされる証拠となる︑

との規定︵指示の第二条︶

めた運送人の通常の船荷証券の条項を排除する

特別な規定

I I

I I

で あ

っ た

と引渡しに関する荷受人の証明

は︑運送賃の前払いについて定

米国政府の標準船荷証券に含まれている運送賃の前払いおよび荷受人からの回収を禁じる条件︵第一条︶

渡しに関する荷受人の証明がそれに基づき運送に関する解決がなされる証拠となる︑との指示︵第二条︶

た ︒

﹁ f r e i g h t e a r n e d ,   G o o d s   o r  

V e s s e l   l o s t   o r o   n t   l o s t

および引 は︑荷送人

としての米国が運送賃の支払いの停止条件として運送人の積荷引渡義務の履行を要求する海事法上の権利を主張して しかし︑本判決には︑第一審判決と同様に運送人の請求を認容する少数意見

( A .

N .  

H a n d

判事︶が付せられてい

の文言の解釈に関して議論のあるところであろうから︑少し

A

l c o a 汽船会社によって発行された船荷証券は︑明確に︑船舶が滅失したか否かにかかわらず運送賃の支払 いに関して規定していた︒商事船荷証券において現在一般的なそのような条項は︑政府の船荷証券において

I I

くに異なった規定がなくまたは異なった記載がないかぎり

I I

規律しているはずである︒換言すれば︑会社の船荷

証券は︑政府によって用意された︑そして︑それゆえあらゆる不明瞭性を解決する際に政府に不利益に解釈され

長くなるが︑直接引用しておく︒ いたことを確証した︒

関法

︱ ︱

(17)

条 は

︑ て ⁝⁝私は︑条件の第一条および指示の第二条が本件を規律する︑とも解さない︒指示の第六条は次のように述べ と何らかの関係がある︑と解することができない︒その原則は︑反対の合意がある場合には︑適用されない︒ 私は︑運送賃は貨物が引き渡されるまで取得されない︑との一般的な海事原則がわれわれが直面している状況

い る

運送人の占有の下にあるあいだの財産の滅失または毀損の場合︑その滅失または毀損は︑実行可能で

I I

あれば︑船荷証券またはそれにかわる証明書のうえに︑事情により︑その役割完遂以前に︑注記されるものとす る︒条件の第一条および指示の第二条は︑積荷が引き渡された時の解決方法にのみ関連している︒指示の第六 徴収されるうる一部滅失がある事例がありうる︑との想定を含んでいるように思われる︒指示の第六条は︑政府

の船荷証券上の一部滅失の注記を要求しているにすぎず︑そして︑その一部滅失が船荷証券が

適切に役割を果

I I

たした

I I

ことを妨げるであろうことを示す何ものも含んでいない﹂︒

連邦最高裁判所は︑上にみたように︑運送賃取得に関する米国の海法原則を確認したうえで︑それを排除する契約 条項の有効性を承認し︑そして本件の問題点を次のように述べている︒

る ︒

﹁物品が目的地において引き渡されなければそしてそれまで︑海上運送人の運送賃は取得されないとするのが 米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考察︵二︶

明 ら

か に

︱ ︱ 五

るべき船荷証券中の条項が

とくに

I I

I I

異なった規定をしていないかぎり︑優越するべきである︒私は︑政府の船 荷証券中の条項が

とくに

I I

I I

異なった規定をしていた︑と考えない︒せいぜい︑それらは︑不明瞭であり︑そし

て︑事実︑明確に︑運送人の船荷証券中の正確な免責から政府を救済する明確な条項に達していない︑

と思われ

一部引渡しがなされた場合を扱っており︑そして︑商事船荷証券の文言に基づき運送賃費用が

︵ 四

ニ ︱

)

(18)

運送品の目的地への到着と引渡しが運送賃取得の停止条件であるから︑運送品が目的地に到着しても︑たとえば︑

( 6 6 )  

それを港の封鎖により陸揚げすることができない場合︑運送人は︑運送賃を取得することができない︒港の封鎖は︑

︵荷送人・荷受人の責めに帰すべき事由でもない︶が︑それによる引渡不能の 場合にも︑運送人は︑運送賃を取得することができない︒

これと類似したようなケースであるが︑運送船が目的地にまで到達し︑運送人により荷受人に対して運送品の提供 がなされた場合︑たとえ︑港を支配する官憲の拒絶により運送品の陸揚げがなされず︑結局︑連送品の返送がなされ たにもかかわらず︑運送賃の取得が認められた事例が存在する︒官憲の拒絶による運送品の陸揚不能の場合と敵性国

の封鎖による目的地への到達不能の場合と一見異ならないようにも思われるが︑結論は正反対になっている︒以下に 運送人の責めに帰すべき事由ではない 判事の意見にしたがい多数意見に反対している︒ としては︑原審判決を確認した

の文言にもかかわらず生きているか否かの契約解釈の唯一の問題が審理されている︒政府の船荷証券が海で失わ

( 6 5 )  

れた公けの物品の運送賃に関する責任について規定していたか﹂︒

このような問題意識のもと︑連邦最高裁判所は︑運送賃支払請求手続について︑詳細な確認を行ったうえで︑結論

(運送人の運送賃取得を認めなかった)。しかし、二人の判事が原審の

A.N•

H a n d  

約の条件にしたがってなされる︒運送人の 規

定 は

関法

第 五 八 巻

︱ ︱

︱ 号

︱ ︱ 六

︵ 四 二 二

米国海法の原則である注 1

︒しかし︑現実の引渡しにかかわらず運送賃に関する荷送人の責任を創設する契約の 一律に︑有効と判断されてきており注2︑そして︑運送人の船荷証券において普通の条項になっている︒

政府の標準船荷証券書式がとくに異なった規定をしていなければ︑政府の財産の運送は︑運送人の通常の運送契

G

o o d s o r

V   

e s s e 二

o s t o r   n t o o s   l

t ﹄

冬 木

苗 令

は 政

心 孟

の 標

準 船

荷 証

券 書

(19)

一 年

を求めた︒船主は運送賃を取得していた︵喪失していなかった︶

( 6 7 )  

M o

r g

a n

  v .  

I n

s u

r a

n c

e   C

o m

p a

n y

f     o

N o

r t

h '

A m

e r

i c

a 事件

[ 事 実 の 概 要 ]

︱ ︱ 七

として︑請求は棄却された︒ 一切の貨物の陸揚げの許可を拒絶した︒陸揚げの

のあいだの合意を履行し

紹介する事例は︑きわめて古いものであるが︑米国海事法の原則の形成史を知るうえで貴重な裁判例と思われる︒

一七九八年八月七日︑食料品と商品を船積みした

A m

a z

o n

号がフィラデルフィアを出帆し︑九月一七日︑

ナム河に到着した︒航海の途中︑

り ︑

A m

a z

o n

号 は

︑ [ 判

旨 ]

スリナムの植民地は︑大英帝国軍によって︑征服された︒英国司令官の許可によ パラマントの町に行くことを許された︒

A m

a z

o n

号は︑九月︱

1 0

日︑そこへ到着した︒到着 時 に

A m

a z

o n

号の船長は︑船主の指示および船主と

R i c h

t e r

某︵同船の乗客であった︶

て ︑ 一 一 五 三 一

0

ドルの支払いまたは支払いの担保の提供時に︑貨物を引き渡す旨を

R i c h

t e r

某に申し出た︒

R i c h

'

t e r

某は︑貨物の引渡し後︑可能なかぎり速やかに︑同額を支払うことに同意し︑実際に︑その金額のための担保 を差し出した︒しかし︑英国の税関の徴収官は︑食料品を除き︑

申請が繰り返しなされたが︑結局︑貨物の陸揚げはなされなかった︒

A m

a z

o n

号は︑九月二七日までパラマント に留まった︒船主がフィラデルフィアからスリナムまでの運送賃保険証券に基づき保険者に運送賃相当額の支払い

﹁判決が下されたケースはないが︑問題は︑海法の著作者の注意から逃れていない︒

米 国 法 に

お け

る 海 上 物 品 運 送 賃 請 求 権 に 関 す

る 一

考 察 ( ︱

‑ ︶

ルイ一四世の勅令(‑六八 の︱つのなかに︑往復で物品を運送するための傭船契約に関して︑航海中に︑通商が禁止されそして船舶が

︵ 四 二 三

ス リ

(20)

第 五 八 巻 三 号 帰って来た場合︑往路の運送賃のみが取得される︑と宣言されている︒そして︑

V a l i

n は︑この章に関する彼のコ

メントのなかて︑船舶が往路のみ貨物を積載していた場合︑法は同じであると述べている︒これらの勅令とそれら に関するコメントは︑英国および米国双方の裁判所において︑深い敬意の念をもって受け入れられてぎている︒そ 決によって否定された場合︑それらは尊重されていないことになる︒しかし︑判決がなされていない点に関して︑

それらは︑大きな勘酌に値する︒私は︑それを合理的と考えるために︑

V a l i

n

によって定立された原則を強く受け

入れる気になっている︒船主は︑何も過誤に陥っていない︒彼が貨物を船積みした時︑

︵ 四 一 四

ムのあいだで自由な通商があった︒貨物は︑目的港まで運送された︒船舶は︑そこで七日間待ち︑そして︑船長は︑

荷受人に貨物の引渡しを申し出たが︑彼はそれを受け取ることを拒絶した︒英国政府の禁止以外︑何もそれを妨げ なかった︒それは︑封鎖艦隊による引渡港への入港を拒まれた船舶のケースと異なっている︒なぜなら︑そこでは︑

航海は履行されておらず︑そして︑もし︑封鎖がなければ︑航海が安全に履行されていたであろうと確実にいうこ とができないからである︒貨物の陸揚許可の入手は本件においては荷受人の務めであったとするのが理性と正義に

( 6 8 )  

もっともかなっていると私は考える︒そうであれば︑運送賃は取得されたことになる﹂︒

結局︑本件においては︑運送人は︑運送賃を取得しえたものとされ︑運送賃保険の保険者に対する運送賃相当額の 保検金の支払請求を認められなかった︒判決録から事実関係の詳細を知ることはでぎないが︑本件において︑運送船 は目的地まで到着したことははっきりしている︒それ以後︑船長により荷受人に対して︑運送品引渡しの申出もなさ

れら自身のなかによりどころを含むものとしてではなく︑

関法

フィラデルフィアとスリナ

一般的な海法の証拠としてである︒それらがわが国の判

ノ \

(21)

運送賃取得に関する米国海法の原則は︑反対の特約︵たとえば︑

f r e i g h t e a r n e d ,   G o o d s   o r   V e s s e l   l o s t  

o r  

n o t   l o s t   といった︶がないかぎり︑海上で失われた運送品に関して運送賃を回収することを認めない︒この点に関しては︑

ちに︵五

i 3 ) ふれることにしよう︒船舶および貨物が船長および乗組員によって︑占有回復の意悩なしに︑放棄さ れた場合︑運送人は︑運送賃請求権を維持しえない︒このような場合について︑次のように述べられている︒

﹁運送賃の問題に関して︑本件は︑占有回復の意図なしの︑船長および乗組員による海上での船舶および貨物 の放棄の明らかなケースである︒これがなされた場合︑そして︑貨物の所有者が彼ら自身何も悪行を行っていな

( 7 1 )  

い場合︑運送人は運送賃請求権を維持しえないとするのが確立された法である﹂︒

米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考察︵二︶

いてもみられたようである︒

︱ ︱

れている︒しかし︑英国官憲の拒絶により運送品の陸揚げはなされなかった︒陸揚げの許可を得るのは荷受人の務め とされた︒ペンシルヴァニア最高裁判所は︑運送人とずればすべきことをすべてなした︑との判断のようである︒

その判断は︑米国海法の原則にかなっているものと思われる︒しかし︑本件がルイ一四世の海事勅令のなかの一章 が定めあるいはく

a l i n が例示したケースと同質のものかは即断できない︒前者が示すところは︑往路航海中に発生

( 6 9 )  

した通商禁止による帰港の例である︒また︑

V a l i n

の例は︑片道航海中に発生した通商禁止のケースである︒両者と も︑目的港に到着していないにもかかわらず運送賃の取得を認めているのであれば︑目的地において引渡しがなされ るまで運送賃の取得はなされないとの米国海法の原則を支持するための根拠としては相応しくないともいいうる︒

頭 ︶ ︑ それよりも︑ここで注目すべぎは︑先例のないケースに関して︑米国では︑本判決がなされた当時(‑九世紀初

( 7 0 )  

ルイ一四世の海事勅令および

V a l i

n のコメンタールが典拠とされていたことである︒同様のことは︑英国にお

︵ 四 二 五

(22)

ここにおいて確立された法が語られているが︑それを明言した先例の引用はなされていない︒しかし︑連送賃取得 に関する米国海法の原則に基づけば︑船長・乗組員による占有回復の意図なしの船舶・貨物の放棄がなされた場合︑

運送賃取得がなされないのは明白すぎるほどに明らかなのであり︑とくに︑先例を引用する必要すら感じられなかっ ル︱︱一五セントと合意されていた︶︑慣習にしたがい内陸運送に要した鉄道運送費用を支払い︑船積港から海上運送中

に座礁してしまい︑運送品が全損になった場合︑運送賃取得に関する米国海法の原則が内陸運送に関しても拡大適用 され︑運送人はオクラホマからシアトルおよびタコマまでの内陸運送に要した費用も荷送人に請求できないとした例

( 7 2 )  

が存在している︒

3 3 8   U . S .   4 2 , 1   7 0   S .   t C .   1 9   ( 0 9 1

4 9 )   8 0   F .   S u p p .   1 5 8 , 1   6 0   ( D i s t .   C t   . S•

D.N•

Y .  

1 9 4 8 ) ・   I d .   a

t   1 6 1 .   .   I d

a t 6   1 1

1 6 2 .

( 6 0 )   ( 6 1 )   ( 6 2 )   ( 6 3 )   ( 6 4 )  

1 7 5     F . 2 d   6 6 1 ,   6 6 3

‑ 6 6 4   ( 2 d   C .   i r

1 9 4 9 ) .  

( 6 5 )  

3 3 8   U . S .   a t   4 2 2 , 0   7   S .   C t .   a t  

191•

太 F判決は、一―

_3

でもふれたが、注

1

において、米国海法の原則を示す先例として、

B r i t t a n  

v .  

a B r n a b y 事

件 お

よ び

C a z e

R i c h a u d   v .  

B a l t i m o r e   I n s .   C o .   事件を引用している︒そして︑注

2 において︑運送賃

確定取得の合意の有効性を認めた先例として、五—

3ー1

で検討することになる International

P a p e r   C o .   v .  

T h e   G a r c i e   D .   C h a m b e r s

件 事

お よ

A l l a n w l i d e T r a n s p o r t   C o r p .

  v•

V a c u u m i   O l   C o ・

事 件

を 引

用 し

い て

る ︒

的港︵神戸および横浜︶

までの海上運送を引き受け

︵運送賃の額は︑積地から目的港まで︑

海上運送人が︑米国内陸部︵オクラホマ︶ たのかもしれない︒

関 法 第 五 八 巻 三 号

から船積港

︵シアトルおよびタコマ︶

1 0

0 ポンド当たり一ド までの内陸運送と船積港からの目

二 ︱ o

︵ 四 二 六

(23)

( 6 6 )  

7 0   A m .   J u r .   2 d   9 5 7 は

︑ そ の よ う な 例 と し て

︑ 一

‑ 了

,2 でみた

T h e H a r r i m a n 事件をあげている︒

( 6 7 )  

4  U .  

S .   4 5 5   ( P a .   1 8 0 6 ) .  

( 6 8 )  

I d .  

a t   4 5 8 .  

( 6 9 ) 判旨の冒頭にも出てきた海事勅令のなかの条項は︑第三編第三章第一五条と思われる︒箱井崇史﹁一六八一年フランス海 事王令試訳

( 2

) ﹂早稲田法学八二巻一号︱二二頁︵二

0

0 六年︶によると︑﹁航海中の船舶が目的地とする国との通商が禁

じられ︑船舶が積荷とともに引き返すことを余儀なくされた場合︑船舶が往復について傭船されているときであっても︑船 長は往路の運送賃のみ支払いを受ける﹂と訳されている︒

( 7 0 ) 本判決から約四半世紀後に下された判決で本判決を引用している

S h e p h e r d

C o .  

v .  

L a n £ e a r ,

  5 

L a .   3 3 6   ( L a .   1 8 3 3 ) は ︑ V a l i

n ︑

B o u l a t P a t y

および

A b b o t t を引用している︒このころは︑まだ︑米国独自の海法原則は確立されていなかったもの

と考えるべきなのてあろう︒

T h e   J a m e s   M a r t i n ,   8 8   F .   6 4 9 ,   6 5 6   ( D i s t .   C t .   E•

D .   V a .   1 8 8 3 ) .   M i t s u i

  v .  

S t .   P a u l   F i r e

  & 

M a r i n e   I n s .   C o . ,   2 0 2   F .   2 6   ( 9 t h   C i r .   1 9 1 3 ) .  

る場合は別として︑船主は︑運送賃に関して貨物上にリーエンを有し︑その結果︑船舶が目的港へ到着した後︑支払 いがなされるまで物品を留置することができる︒以下にみる

The

E d d y

事件判決は︑

d i s e   e t   m a r c h a n d i s e   a

u  b a t e l

. ) ﹂という原則を紹介している︒本稿においてもしばしば言及しているように︑貨物の

運送および引渡しが運送賃取得の停止条件であるとか︑貨物の引渡しと運送賃の支払いは同時履行の関係にあると

米国法における海上物品運送賃請求権に関する一考察︵二︶

ばしば述べている

﹁船舶が商品に対し義務を負い︑

商品が船舶に対し義務を負う

傭船契約書または船荷証券に貨物の留置権 3̲3

現実の引渡し前の運送賃支払い

( 7 1 )   ( 7 2 )  

( r i g h t   t o   r e t e n t i o n )  

︵ 四 二 七

( L e   b a t e l   e s t b   o l 心 な へ

dldmarch

そ の

な か

で ︑

C l e i r a c などがし

と矛盾する規定が存在しそれがリーエンを解除す

(24)

第 五 八 巻 三 号 いっても︑その関係が常に厳格に守られるわけではない︒ずでに

T h e E d d y 事件判決は︑運送賃の支払時期に関して︑

運送賃取得に関する米国海法の原則と実務上の接点について論じている︒

[ 事 の 実 概 要 ]

︵ 四 一 八

︵ 一 丁

3 )

紹介した

B r i t t a

n v .  

B a r n a b 事件判決は︑ y 現実の引渡しがなされる前に運送賃の支払いがなされるぺきとするのが一般原則であるとの趣旨のことを述べていた︒

﹁その傭船料は︑当事者による異なった約定がないかぎり︑商品を受け取る権利を有する人に対して︑商品が引渡 しの準備ができた時に支払われる︒その時︑運送賃は︑現実の引渡しが要求されうる前に支払われなければならない︒

換言すれば︑原則は︑それに反対の合意がないかぎり︑以下のとおりである︒すなわち︑運送賃は︑通常の船荷証券 に基づくと︑船主︑船長または船舶の受託者が︑船舶の上で受け取られたのと同様の良い状態で物品を引き渡ず準備 ができた時︑彼らによって請求されうる︒これが一般原則である﹂︒

ここにおいては︑運送賃の支払いが運送品引渡しの停止条件になっているかのような表現がなされている︒次にみ

よく引用される事件であるが︑少し異なった表現により︑

一八五四年三月二五日ニューオーリンズのある商人は︑港に停泊しているスクーナー船

M a r y d E d y

号 に

0 ニ

樽の砂糖を積んだ︒それに対し船長は荷送人に船荷証券を発行し︑そして彼はその港からチャールストン港へ砂糖 を運送し︑それを良好な状態で荷受人に引き渡すと約束した︒船舶は航海を開始し︑良好な状態の砂糖を積んで︑

( 7 4 )  

T h e   E d d y 事件

その部分を再現してみよう︒

関法

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