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製紙スラッジ灰造粒砂を用いたプレキャスト型枠の開発について

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Academic year: 2022

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製紙スラッジ灰造粒砂を用いたプレキャスト型枠の開発について

㈱予州興業  正会員  ○松尾    暁  愛媛大学  正会員  木下  尚樹 愛媛大学  正会員    川口    隆  愛媛大学  正会員  氏家    勲 開発コンクリート㈱  田中  基博

1.はじめに  

  愛媛県四国中央市は製紙産業の盛んな地域であるが,大量に発生する産業廃棄物である製紙スラッジ灰(以 下,PS 灰)の処理が問題となっている。筆者らは PS 灰の再資源化を図るため PS 灰造粒砂のコンクリート材 料への適用性について検討してきた1)。本文は,PS 灰造粒砂を用いたプレキャスト型枠の開発について,造 粒砂の配合,モルタルの強度および物理的特性について検討した結果を記す。 

2.製紙スラッジ灰造粒砂の配合および特徴 

  PS 灰造粒砂は,PS 灰および製紙工場内火力発電所より発生する石炭灰に,固化材として高炉セメント B 種 を用い,これに水と生石灰を加え常温にて混合,攪拌,造粒し,1週間の養生後、篩い分け選別の工程を経て 製造される。これら材料の配合については最も硬い造粒体が得られるよう,灰の粒度分布に着目し最適な混合 比を検討した。 

  図-1に PS 灰の粒度分布,図-2に石炭灰の粒度分布を示す。石炭灰の 94%は 75μm 以下の細粒分であるの に対し,PS 灰の細粒分は 38%である。つまり,PS 灰は石炭灰に比べ粒子が大きく粗い。この2種類の灰を混 合し最も均等係数が大きくなる混合比(質量)を計算により求めると,

石炭灰:PS 灰=1:2.5 で最大かつほぼ一定になることがわかった。 

  図-4に混合比を石炭灰:PS 灰=1:1 および 1:2.5 とした場合の点載 荷試験(試験体:粒径 5mm 程度)より換算した造粒砂の圧縮強度を示す。

1:1 に比べ 1:2.5 の混合比の造粒体の圧縮強度は大きい。これは混合し た灰の均等係数が大きくなることにより,粒子間の接触面積が増え化学 反応が促進され造粒体の緻密さが増したためと考えられる。以上より,

今後各試験に使用する造粒砂の配合は石炭灰:PS 灰=1:2.5 の混合比の ものを使用することとした。 

PS 灰造粒砂の主な骨材試験結果について表-1に記す。一般的な骨材に比べ 密度が小さく,吸水率が非常に大きい。またこの値は JIS A 5308 付属書 1  レディーミクストコンクリート用骨材に記された値を大きく逸脱しているた め,生コン用として使用できない。そこで造粒砂の特徴を活かしたプレキャ スト型枠(コンクリート二次製品)を検討するに至った。 

  キーワード  製紙スラッジ灰,造粒砂,軽量,吸水性,断熱性,プレキャスト型枠 

  連絡先      〒799-0101  愛媛県四国中央市川之江町 2529-34      (株)予州興業 環境部  TEL0896-58-4002 

粗粒率  2.74

表乾密度(g/cm3)  1.65 吸水率(%)  48.6 単位容積質量(kg/L)  0.84

▲1:2.5

■1:1

表-1  造粒砂の骨材試験結果

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

704.00418.60

248.90

148.0088.00

52.33

31.1118.50

11.00

6.543.89

2.311.38

0.82

0.490.29

0.17

粒径(μm)

累積(%

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

頻度(%

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0

0 2 4 6 8 10

混合比(PS灰/石炭灰)

均等係数 Uc

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

704.00

418.60248.90

148.00

88.0052.33

31.11

18.50

11.006.54

3.89

2.311.38

0.82

0.49

0.290.17

粒径(μm)

累積(

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

頻度(

図-1  PS 灰の粒度分布      図-2  石炭灰の粒度分布      図-3  混合比と均等係数の関係

図-4  造粒体の圧縮強度 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑723‑

Ⅴ‑363

(2)

3.製紙スラッジ灰造粒砂を用いたプレキャスト型枠の開発利点と課題 

  近年,施工の合理化を図るため,作業の機械化およびプレキャスト化が推進されている。プレキャスト型枠 工法は脱枠や足場組立解体作業が省略できるため工期短縮や安全面に優れている。軽量で吸水率が大きく保水 性のある PS 灰造粒砂を用いたプレキャスト型枠には、以下の利点があると考えている。 

①従来製品に比べ軽量であり,輸送コスト,揚重機の小型化が図れ CO2 排出量が削減できる。 

②造粒砂は多孔質であるため,断熱性に優れている。 

③保水性を活かして,内部コンクリートの養生効果が期待できる。 

④PS 灰造粒砂の保水性により,PS 灰造粒砂を用いたプレキャスト型枠の表面は植生基盤として期待できる。 

⑤一般の骨材に比べ軟質であるため,電動工具での切断加工が容易である。 

⑥廃棄物の再資源化が図られ,循環型社会構築に寄与できる。 

一方,PS 灰造粒砂は原料が廃棄物であるため品質管理が難しい。従って,PS 灰造粒砂を用いたプレキャス ト型枠を構造部材として適用するのではなく,上述した利点や特色を活かせる箇所に適用する2)ことを考慮 して開発を進める。 

4.製紙スラッジ灰造粒砂を使用したモルタルの強度および物理的特性     開発するプレキャスト型枠の基盤モルタルの強度の目

標値として圧縮強度 40N/mm2以上,曲げ強度 5N/mm2以上 とした。水セメント比 30%で,ひび割れ発生や剥落防止 を目的にポリプロピレン繊維を V×0.2%混入した場合の,

1m3当りの造粒砂の割合に対する圧縮強度および曲げ強 度試験結果(材齢 28 日)を図-5 に示す。造粒砂の割合 を多くすると強度が低下する傾向が見られたが,PS 灰造 粒砂を体積比で 50%用いても目標とする強度が得られた。

また、コンクリート打設時の側圧に対するたわみ量など の詳細は今後検討する必要がある。 

  図-6に硬化したモルタルの物理的特性 を示す。一般的な骨材である砕砂を用い たモルタルに比べ PS 灰造粒砂を用いた モルタルは,熱伝導率が約 1/3 であり断 熱性が高いことが分かった。これは PS 灰 造粒砂が多孔質で内部に空隙を多く含む ことによるものである。また単位体積質 量は 1.7g/cm3であり,1m3当り約 600kg の軽量化が図れる。 

5.おわりに  

  製紙スラッジ灰の再資源化を目標に、製紙スラッジ灰造粒砂を用いたプレキャスト型枠を開発している。今 後、内部コンクリートの養生効果の確認および暴露試験等を行い耐久性や植生機能について検討する。なお、

製紙スラッジ灰造粒固化体は 2009 年 2 月に国土交通省の新技術情報システム(NETIS)に登録された。 

参考文献   

1)松尾暁,木下尚樹,川口隆,氏家勲:PS 灰造粒骨材のコンクリートへの適用性,平成 20 年度土木学会四国支部第 14 回技術研究発表会講演 概要集,pp276-277,2008   

2)加賀谷誠,城門義嗣,飯村弥:火山礫を用いたコンクリートの環境調和特性と施工例,コンクリート工学,vol.47,No.3,pp32-38,2009.3 

30 35 40 45 50 55

37 42 50

造粒砂/V (%)

圧縮強度(N/mm2 )

3 4 5 6 7 8 9

曲げ強度(N/mm2 )

圧縮強度 曲げ強度

図-5  造粒砂の割合と強度の関係 

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80 2.00

1.50 1.70 1.90 2.10 2.30 2.50 単位体積質量(g/cm

3

熱伝導率(W/m・K)

●PS灰造粒砂モルタル

▲砕砂モルタル

熱伝導率 約1/3

約600kg軽量化

図-6  モルタルの物理的特性  土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑724‑

Ⅴ‑363

参照

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