浚 渫 窪 地 に お け る酸 素 環 境 シ ミ ュ レー シ ョ ン
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(2) 1027. 浚 渫 窪 地 に お け る 酸 素 環 境 シ ミ ュ レー シ ョ ン. 浚 渫 窪 地 が少 なか らず悪 影 響 を与 え て い る と結 論 づ けた. この た め,2003年. か ら三 河 港 での 発 生 土 砂 を利 用 して窪 地. の完 全 な埋 め戻 しが 開始 され た.2005年. 度 に は御 津 沖 浚 渫. 窪 地 の埋 め戻 しが ほぼ完 了 し,現 在 は大 塚 沖 浚 渫 窪 地 につ いて も埋 め戻 しが 進 行 中 で あ る(石 田 ・鈴 木,2006). 3.. 酸 素 環 境 予 測 モ デ ル の概 要. 窪 地 環境 を十 分 再 現 す るため に は,窪 地 内部 で の流 動 の 停 滞 性 か ら生 じる酸 素 環 境 の悪 化 と硫 化 物 の蓄 積 とい う一 連 の物 理 ・生 物 化 学 的 過 程 を取 り込 ん だ モデ ル化 が 必 要 で あ る. (1) 流 動 モ デル 一 般 的 な内 湾 の流 動 解 析 で は ,鉛 直 方 向 の 圧 力 分 布 に 静 水 圧 近 似 を仮 定 したモ デル を適 用 す る ことが 多 い が(例 え ば,佐 々木,1997),本. 研 究 で は流 動 の停 滞 性 に支 配 的. な密 度 成 層 の動 態 に対 す る再 現 性 を重 視 し,鉛 直 方 向 の運 動 も厳 密 に考 慮 した3次 元 の非 静 水 圧 流 動 モデ ル を採 用 し た(大 見 ら,2007).海. 洋 現 象 の解 析 に対 して3次 元 非 静. 水 圧 モ デル を用 い た例 と して は,岡 (2005),中. 山 ら(2006)に. 田 ら(2001),柿. 沼ら 図‑2. よ る計 算 事 例 が あ り,東 京 湾 の. 浅 海域 生態 系 モデ ル. 湾 奥 域 に お け る底 層 水 の 湧 昇 現 象 を 解 析 した 岡 田 ら (2001)は,非. 静 水 圧 流 動 モデ ル に よ って底 層 水 の 湧 昇 を. 適 切 に 再 現 で き る と 報 告 し て い る.乱 Smagorinskyモ. デ ル に よ るLarge. Eddy. と し,鉛 直 成 分 に対 して はRichardson数. 流 モ デ ル は, Simulation(LES) 依存 型の成層化. 関数 に よ って 浮 力 に よ る拡 散 抑 制 効 果 を 考慮 した. (2) 浅 海 域 生 態 系 モデ ル 水 質 モ デル は,浮 遊 系 の低 次 生 態 系 モデ ル と,堆 積 物 食 者,懸. 図‑3. 濁 物 食 者,メ イ オベ ン トス,底 生 バ ク テ リア な ど底. 硫化 水素H2Sの 生 成 ・酸化 過程. 生 生 物 の動 態 や堆 積 物 と海 底 直 上 水 との 酸 素 ・栄 養 塩 類 の物 質 循 環 を考 慮 した底 生 系 モ デル か ら構 成 され てお り, 図‑2の よ うな模 式 に基 づ いて定 式 化 した.同 様 な アプ ロ ー. (3) 計 算領 域 と計 算 条 件 本 研 究 で は,粗 い解 像 度 の三 河 湾 全 域 シ ミュ レー シ ョ ン. チ は,浅 海 域 の物 質 循環 解析 で主 流 とな りつ つ あ る(例 え. 結 果 か ら窪 地 周 辺 の 計 算 領 域 を ネ ス テ ィ ング させ る こ とで,. ば,相 馬 ら,2005).. 窪 地 周 辺 海 域 の シ ミュ レー シ ョ ンを 行 った.三 河 湾 全 域 の. 窪 地 内 の底 層 水 が無 酸 素 に近 い状 態 とな る と,堆 積 物 中. よ うな広 域 の 海 洋 で は,鉛 直 方 向 の 空 間 ス ケ ール は水 平 方. で は微 生 物 群 集 に よ る有 機 物 の嫌 気 的 無 機 化 によ って硫 化. 向 に比 べ て小 さ いた め,海 洋 流 動 モ デル につ い て は静 水 圧. 物 な どの還 元 物 質 が生 成 され る.こ の硫 化 物 が 底 層 水 中 に. 近 似 によ る準3次 元 多 層 レベ ル モデ ル を適 用 した.水 質 モ. 溶 出 す る と溶 存 酸 素 と反 応 して酸 化 され る ため,底 層 水 中. デル につ い て は,全 湾 規 模 で の底 生 生 態 系 デ ー タの収 集 と. のわ ず か な酸 素 まで も消 費 し,容 易 に は窪地 内 の酸 素 環 境. モデ リ ングが 困 難 の た め,底 生 系 は底 泥 か らの 栄 養 塩 溶 出. が 回復 しない状 態 が続 くこ とに な る.こ の ため,窪 地 内 の. や 酸 素 消 費 を現 地 調 査 結 果 に基 づ い た水 温 応 答 関 数 で 表. 酸素 環 境 を定 量 的 に評価 す るた めに は,底 生 生 態 系 の物 質. 現 し,浮 遊 系 の低 次 生 態 系 モ デル を適 用 した.一 方,窪 地. 循 環 に堆 積 物 の 嫌 気 層 で の還 元 物 質 の生 成 ・酸 化 過 程 を. 周 辺 の海 域 につ い て は,前 述 した非 静 水 圧 の3次 元 流 動 モ. 考 慮 す る必 要 が あ る.そ こで,本 研 究 で は硫 化 水 素H2Sに. デル,浮 遊 系‑底 生 系 の浅 海 域 生 態 系 モデ ルを適 用 した.. 着 目 し,図‑3の. よ うな硫 化 水 素 の物 質 循 環 過 程 を生 態 系. 三 河 湾 全 域 の計 算 領 域 は,知 多 半 島 の 師 崎 か ら南 東 方. モ デル に考 慮 した.生 態 系 モデ ル の詳 細 につ いて は,中 村. 向 に渥 美 半 島 に達 す る まで を西 側 境 界 と した 東 西40km×. ら(2008)を. 南 北42kmの. 参 照 され たい.. 領 域 で,湾. 奥 部 側 は最 小200mで. 口 側 の水 平 格 子 は最 大500m,湾. 分 割 した..
(3) 1028. 海. ま た,鉛 直 方 向 には最 小1m〜 最 大5mピ を 設 けた.一 方,窪. 岸. 工. 学. 文. 集. 第55巻(2008). ッチで14層 の 区 分. 地 周 辺 海 域 は,大 塚 沖 浚 渫 窪 地 お よ. び 御 津 沖 浚 渫 窪 地 を含 む 東 西4.8km× 南 北3.9kmの (図‑1を 参 照)と. 論. 海域. し,窪 地周 辺 の水 平 格 子 は20mで 等 間 隔,. 沖 側 は最 大50mで. 分 割 した.ま た,鉛. ピ ッチで17層,堆. 積 層 を最 小0 .1cm〜最 大2cmピ. 直 層 は水 域 を0.5m ッチ で10. 層 に分 割 した. 湾 口 の 潮 汐 条 件 は,師 崎,伊 (M2,S2,K1,O1)と. 良 湖 に お け る主 要4分. 年 周 潮Saの. 潮. 潮 汐 調 和 定 数 か ら求 め た. 推 算 潮 位 と し,さ らに湾 外 の鳥 羽 にお け る実 測 潮位 と推 算 潮 位 の偏 差 を 加 え る こ とで,外 海 か らの影 響 を考 慮 した. 水 温,塩. 分,水 質 項 目 の初 期 条 件 は,愛 知 県 公 共 用 水 域. 水 質 調 査 結 果 に基 づ いて 与 え た.境 界 条 件 は,水 温,塩 分 につ いて は愛 知 県 水 産 試 験 場 が保 有 す る海 況 自動 観 測 ブ イ の うち湾 口 に最 も近 い3号. ブイ(図‑1のB‑3地. 点)の. 連 続 観 測 デ ー タ,水 質 項 目 につ いて は公 共 用 水 域 水 質 調 査 結 果 に基 づ いて与 えた.流 入 河 川 の うち豊 川 と矢 作 川 につ いて は計 算 期 間 中 の連 続 流 量 観 測 値 を設 定 し,そ の他 の 中 小 河川 につ いて は流 量 比 によ り推 定 した.河 川 か らの負 荷 流入 量 は,過 去 の調 査 結 果 か ら得 られ た負 荷 量 と流 量 の相 関 関係 に基 づ いて 与 え た.海 上 風 につ いて は海 況 自動 観 測 ブイ,お よ び愛 知県 水 産 試 験 場 が沿 岸 近 くで 取 得 して い る 観 測 デ ー タを,他 の気 象 要 素 につ いて はAMeDAS測. 図‑4. 三 河 湾 全 域 シ ミュ レー シ ョンの 再 現 性(図‑1のB‑1地 表 層:海. 定地. 面 下2.5m,底. 層:海. 点). 底 上2.0m. 点 等 のデ ー タを 利用 し,ス プ ライ ン補 間 法 を 用 いて,湾 全. 無 酸 素 水 の形 成 期 間(台. 体 の 空 間分 布 に展 開 した.. 層 の様 相 は良 く再 現 され た.不 一 致 が 見 られ た期 間 は台風. 風 到 来 前)で. は,流 況 や密 度 成. 接 近 前 後 で あ り,風 況 が時 間 と と もに複 雑 に変 化 す る様 相. 4. 酸 素 環 境 の 再 現 シ ミ ュ レー シ ョ ン. を ポイ ン ト観 測 値 の空 間 補 間 だ けで は捉 え切 れて い な い こ 窪 地 内 に溜 ま った無 酸 素 水 は,台 風 な ど海 況 の短 期 変 動 に伴 い湧 昇,周 辺 の浅 海 域 へ広 範 囲 に拡 が る こ とで,底 生 生物 に甚 大 な影 響 を及 ぼ す恐 れ が あ る.こ こで は,2002年. とが 大 きな 要 因 と考 え られ る. (2) 窪 地 周 辺 海 域 の再 現 性 窪 地 周 辺 海 域 の初 期 値 や 境 界 値,気. 象 条 件 な ど入 力 条. 8月19日 に台 風13号 の 接 近 に伴 って窪 地 周 辺 域 で発 生 した. 件 は,三 河 湾 全 域 シ ミュ レー シ ョンの うち窪 地 周 辺 海 域 に. 苦 潮(武 田 ・石 田,2003)を. 対 象 と した再 現 シ ミュ レー シ ョ. 該 当 す る領 域 の値 を用 い た.な お,窪 地 を起 源 と した無 酸. ンを 実 施 し,モ デル の有 効 性 を評 価 した.再 現 シ ミュ レー. 素 水 の 挙動 に評 価 の焦 点 を 当 て るた めに,硫 化 水 素 濃 度 の. シ ョ ンの 対 象 期 間 は,台 風 接 近 前 後 の2002年8月13日0. 初 期 値 は全 域 で ゼ ロ値,境 界 値 も常 時 ゼ ロ値 で 設 定 した.. 時〜8月27日0時. この ため,湾 央 域 底 層 の無 酸 素 化 で蓄 積 され る硫 化 水 素 の. と した.な お,流 れ の シ ミュ レー シ ョン. は静 止 状 態 か ら開始 す るた め,流 れ を計 算 領 域 内 で安 定 さ せ る 目 的 で,実 際 の計 算 は7月1日0時. か ら開 始 して い る.. 移 流 や湧 昇 につ いて は,再 現 の 対象 外 と した. 窪 地 周 辺 海 域 にお け る酸 素 環 境 シ ミュ レー シ ョ ンの再 現. (1) 三 河 湾 全 域 の再 現 性. 性 を確 認 す るため に,愛 知 県 水 産 試験 場 が苦 潮 発 生 直 後 に. 全 湾 域 にお け る酸 素 環 境 シ ミュ レー シ ョンの再 現 性 を確. 実 施 した窪 地 内(図‑1の. 認 す るた め に,愛 知 県 水 産 試 験 場 に よ る海 況 自動 観 測 ブイ の うち最 も湾 奥部 に位 置 す る1号 ブイ(図‑1のB‑1地 に お け る流 向 ・流 速,水 飽 和 度)の. 温,塩. 点). 分,溶 存 酸 素 飽 和 度(DO. 計 算結 果 と連続 観 測結 果 との比較 を行 った. (図‑4).. 実 調 査 地 点A)で. の 水温,塩 分,. 和 度 の連 続測 定 デー タ(武 田 ・石 田,2003)と. シ ミュ. レー シ ョン結 果 の比 較 を行 った.ま た,底 層水 中 の硫 化 水 素 濃 度 と堆 積 物 間 隙 水 のDO飽. 和 度(底. 層 水 か らの 酸 素. 浸 透 量)を 合 わせ て示 した(図‑5). 貧 酸 素 水 塊 が発 達 す る夏 季 成 層 期 にお い て は,水 温 と塩. シ ミュ レー シ ョンの結 果 で は,台 風13号 接 近 の8月19日 以 降 の表 層u成 分(東 西 成 分)や,接. DO飽. 近 以 降 の20日 〜23日. にお け る水 温 の 鉛 直 混 合 で 不 一 致 が見 られ た もの の,主 な. 分 の 鉛 直 構 造 の再 現 性 が 重 要 で あ る.こ の視 点 で 見 ると, 台 風13号 接 近 直 後 の8月22日. 〜23日 にお い て表 層 塩 分 の. 回 復 に不 一 致 が 見 られ た ものの,8月19日. に接 近 した 台 風.
(4) 凌 渫 窪 地 に お け る酸 素 環 境 シ ミュ レ ー シ ョ ン. 図‑5. モ デルの再 現性 と非静 水 圧 モデ ルの有効 性. 1029. 図‑6. 塩分 の鉛 直分布(調 査地 点Aの 東西 横 断断面). 図‑7. 硫化 水素 濃度 の鉛 直分 布(断 面 は図‑6と 同一). (御津沖 凌渫 窪地 内の調 査地 点Aで の評 価). の強 風 に よ り密 度 成 層 が解 消 し,数 日後 に再 形 成 す る水 塊 変 動 の 傾 向 や,上 下 層 の 勾配 と も全体 の傾 向 は良 い整 合 性 が 見 られ た.表 層 塩 分 の不 一 致 は,台 風 通 過 後 の吹 き返 し によ り風 向 ・風 速 が大 き く変 化 す る風 況 を観 測 値 の空 間 補 間 だ け で表 現 す る ことが 難 し く,窪 地 に近 い豊 川 か らの 出 水 によ る表 層 低 塩 分 水 の移 流 が 捉 え 切 れ てい な い こ とが 大 きな要 因 と考 え られ る.こ の ため,数 値 モデ ルの 成 層 発 達 度 は実 際 よ りは弱 いが,窪 地 底 層 で は観 測 値 と同程 度 の高 塩 分 水 が浸 入 して い るた め,窪 地 内水 塊 の停 滞 か ら貧 酸 素 化 が 急 速 に進 行 し,8月24日. まで に無 酸 素 状 態 とな る状 況. は良 く再 現 され た.無 酸 素 時 で は堆 積 層 へ の酸 素 浸 透 も無 い ため堆 積物 中 も無 酸 素 状 態 とな り,硫 化水 素 が底 層 水 へ 溶 出 す る様 相 も再 現 で きた.貧 酸 素 時 の酸 素 浸 透 は海 底 面 下2.6cm以 浅 で あ るが,底 層 水 の 酸 素 環 境 が 回 復 す る と, 海 底 面 下2.6cm以. 深 に も酸 素 が 供 給 され る ことが 分 か った.. 比 較 検 討 の た めに行 った静 水 圧 近 似 の 流 動 モ デル に よ る シ ミュ レー シ ョ ン結 果 と比 較 す る と,底 層 で の 持 続 的 な 無. スケ ー ルの み150倍 に拡 大).シ. 酸素 化 や硫 化 水 素 の蓄 積,台 風 到 来 に よ る鉛 直混 合(8月. 8月15日 の 時 点 で窪 地 に蓋 をす るよ うな形 で密 度 躍 層 が確. 20日)以. 認 で き,高 濃 度 の 硫 化 水 素(す な わ ち,無 酸 素 水 塊)が 窪. 降 の貧 酸 素 化 へ の進 展 な どで,非 静 水 圧 モデ ルの. ミュ レー ショ ンの 結 果 で は,. 有 効 性 が認 め られ た.こ う した現 象 は密 度 成 層 の動 態 に強. 地 上 端 付 近 まで 蓄 積 され てい る様 子 が 分 か る.8月16日. く支 配 され るた め,鉛 直方 向 の流 れ の 挙動 を十 分 再 現 す る. 降 にな る と,密 度 躍 層 は傾 斜 を始 め,御 津 沖 凌 渫窪 地 内 の. た めに は,3次. 硫 化 水 素 が 岸 側浅 海 域 へ と湧 昇 す る様子 が見 られ た.. 5.. 元 非 静 水 圧 流 動 モ デルが 不 可 欠 といえ る.. 無 酸 素 水 の 湧 昇 と周 辺 浅 海域 へ の影 響. 流 動 シ ミュ レー シ ョンで は,8月13日. 水 塊 が 滞 留 して い る8月15日. 以. の時 点 で は,窪 地 に蓋 を す. るよ うに密度 躍 層 が存 在 す るため,無 酸 素 水 塊 の湧 昇 は密 〜18日 に お いて安. 度 躍 層 の深 さ と密 接 に関 係 して い る と思 わ れ る.こ れ を確. 定 した密 度 成 層 が認 め られ,台 風13号 接 近 時 に ダイ ナ ミッ. 認 す るため に,硫 化 水 素 濃 度 の鉛 直 分 布 と塩 分 躍 層 水 深 の. ク な成 層 変 動 が 捉 え られ た.こ の様 相 を視 覚 的 に把 握 す る. 時 間変 化 を比 較 した.図‑8に. た め に,調 査 地 点Aを. 東 西 に横 断 す る鉛 直 断 面 で の塩 分. ら海 底 まで の水 柱 に お け る硫 化 水 素 濃 度 およ び塩 分 の水 平. 化 水 素 濃 度 分 布 を 図‑7に 示 した(鉛 直. 平 均 値 の 時 間 変 化 と,窪 地 に近 い愛 知 県 水 産 試 験 場 で 取. 分 布 を図‑6に,硫. は,御 津 沖 窪 地 内 の海 面 か.
(5) 1030. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 地 点A 御津沖浚渫窪地の中央. 地点B 御津沖浚渫窪地の北側. 地 点C 御津沖浚渫窪地の南側. 図‑9. 御 津 沖 窪地 内 お よ び周辺 浅 海域 で の底 層 硫 化水 素H2S 濃 度 の時間 変化(各 地点 の位 置 は図‑1を 参照). 図‑8. 御津 沖 窪地 内 の硫 化水 素H2S濃 度,塩 分 の水 平平 均値 に対す る鉛 直分布 と沿 岸 での風 向 ・風速 の時 間変化. 御 津 沖 窪 地 の よ うに浅 くて 閉鎖 的 な深 掘 り型 の窪 地 で は, 密 度 躍 層 が窪 地 に蓋 をす る よ うに形 成 され る と,す ぐに無 酸 素 状 態 とな り硫 化 水 素 の 蓄 積 が始 ま るため,断 続 的 な青. 得 され た風 速 ・風 向 の観 測 デー タを示 した.硫 化水 素 濃度. 潮/苦 潮 の発 生 に対 す る潜 在 的 脅 威 とい え る.こ の と き,. と塩 分 の 時 空 間分 布 図 に は,窪 地上 端 の水 深 を 黒線 で 示 し. 台 風 な ど海 況 の短 期 変 動 に よ って 躍 層 水 深 が上 昇 す る と,. た.南 寄 りの風 が 卓 越 す る8月13日. 窪 地 の蓋 が 開 い た よ うな状 態 とな り,窪 地 内 に溜 ま った無. 〜14日 に おいて は塩 分. 躍 層 が 窪 地 に蓋 を す るよ うに位 置 して お り,御 津 沖 窪 地 内. 酸 素 水 と硫 化 水素 は窪 地 外 へ 湧昇 す る ことが分 か った.. は外 界 と隔 絶 された 閉 鎖 的 環 境 といえ る.そ の後,断 続 的 に北 〜 東 寄 りの風 とな り,岸 か ら沖 方 向 へ の沖 出 し風 によ. 謝 辞:本. る表 層 水 の離 岸 化 と沖 合 下 層 水 の流 入 に よ って 躍 層 水 深 が. 援機構の 「 運 輸 分 野 にお け る基 礎 的研 究推 進制 度 」 によ り. 上 昇 す る と,あ たか も窪 地 の 蓋 を 開 け たか の よ うな 状 態 と. 行 わ れ た.. 研 究 は独 立 行 政 法 人 鉄 道 建 設 ・運 輸 施 設 整 備 支. な り,窪 地 内 に溜 ま った無 酸 素 水 と硫 化 水 素 は窪 地 外 へ湧 昇 す ると い う平 均 的 様 相 が 見 られ た.. 参. 無 酸 素 水 塊 が浅 海 域 へ 広 が った様 子 を把 握 す るため に, 御 津 沖 窪 地 周 辺 で の評 価 地 点A,B,Cに. お け る硫 化 水 素. 濃 度 の 時 間変 化 を図‑9に 示 した.御 津 沖 窪 地 内 で は シ ミュ レー シ ョンを 開始 直 後 か ら硫 化 水 素 が蓄 積 され 続 け,8月 14日 に そ の一 部 が 御 津 沖 窪 地 の南 側 澪 筋 か ら湧 昇 し,窪 地 南 側 の 浅 海 域(地. 点C周. 辺)に 広 が った.そ. の後,8. 月16日 の午 後 以 降 に再 び生 じた湧 昇 によ り,硫 化水 素 は窪 地 東 側 の浅 海 域(地. 点B周. 辺)に 広 が った ことが 分 か る.. 局 所 的 なポ イ ン トで 見 る と,窪 地 内か らの硫 化 水 素 の湧 昇 は断 続 的 に生 じ,そ の度 に窪 地 周 辺 の浅 海 域 に拡 散 した と 思 わ れ る.ア サ リは断 続 的 に貧 酸 素 水 に曝 され るこ とに よ り徐 々 に活 力 が低 下 す るとい う報 告 もあ り(鈴 木 ら,1998), シ ミュ レー シ ョンで 見 られ た窪 地 内 か らの 無 酸 素 水 塊 と硫 化 水 素 の 断 続 的 な湧 昇 が,窪 地 周 辺 の浅 海 域 に生 息 す る 底 生 生 物 の体 力 を徐 々 に消 耗 させ た可 能 性 が示 唆 され る. 6.. 結. 文. 献. 大 見 智 亮 ・山 口 将 人 ・市 川 哲 也 ・寺 澤 知 彦 ・田 口浩 一 ・中 田 喜 三 郎 (2007): 凌 渫 窪 地 に お け る流 れ の 数 値 シ ミュ レ ー シ ョ ン, 日本 流 体 力 学 会 年 会2007講 演 要 旨 集 (CD), 沿岸域 の 流 れ と物 質 循 環 (1)‑3, pp.1‑5. 岡 田 知 也 ・中 山 恵 介 ・野 村 宗 弘 ・古 川 恵 太. (2001):. 夏期 の東. 京 湾 湾 奥 にお け る表 層 の 植 物 プ ラ ンク トンに対 す る底 層 栄 養 塩 の影 響, 海 岸 工 学 論 文 集, 第48巻, pp.1086‑1090. 佐 々 木 淳 (1997): 東 京 湾 湾 奥 水 塊 の湧 昇 現 象 と青 潮 へ の影 響, 海 岸 工 学 論 文 集, 第44巻, pp.1101‑1105. 鈴 木 輝 明 ・青 山 裕 晃 ・甲 斐 正 信 (1998): 三 河 湾 に お け る貧 酸 素 化 に よ る ア サ リ (Ruditapes phillippinarum) の死 亡 率 の 定 式 化, 海 洋 理 工 学 会 誌, Vol.4(1), pp.35‑40. 武 田和 也,・ 石 田基 雄 (2003): 土 砂 採 取 に伴 う凌 渫 窪 地 に お け る顕 著 な 貧 酸 素 化 現 象 に つ い て, 愛 知 水 試 研 報,第10号, pp.7‑14. 中村 由行 ・中 田 喜三 郎 ・船 越 茂 雄 ・寺 澤 知 彦 ・今尾 和 正 (2008): 港 湾 に お け る発 生 土 砂 を利 用 した凌 渫 窪 地 修 復 効 果 の 定 量 的 評 価 手 法 の 開 発,(独 法) 鉄 道 ・運 輸 機 構 「運 輸 分 野 に お け る基 礎 的 研 究 推 進 制 度 」 研 究 成 果 報 告 書, pp.128‑164. 中村 由 行 (2006): 我 が 国 に お け る凌 渫 跡 地 の 現 状 と修 復, 理 工 学 会 誌, Vol.12(2), pp.43‑50.. 論. 窪 地 内部 で の流 動 の停 滞 性 か ら生 じる酸素 環境 の悪 化 と 硫 化 物 の蓄 積,窪. 考. 石 田基 雄 ・鈴 木 輝 明 (2006): 三 河 湾 にお け る凌 渫 窪 地 修 復 事 例 と実 現 に至 る経 過, 海 洋 理 工 学 会 誌, Vol.12(2), pp.65‑71.. 地 内 部 の水 塊 の 湧 昇 現 象 とい う一 連 の. 現象 を十 分 再 現 す るた めに は,浅 海 域 生 態 系 モデ ルへ底 泥 の硫 化 物 生 成 過 程 を考 慮 す るだ けで な く,3次. 元非静水圧. 流動 モ デル の適 用 が有 効 で あ る ことが 明 らか とな った.. 海洋. 中 山 恵 介 ・岡 田知 也 (2006): 湾 口部 に シル を もっ 湾 に お け る底 層 貫 入 とDO濃 度 に関 す る観 測 と数 値 実 験, 海 洋 開 発 論 文 集, 第22巻, pp.817‑822. 相 馬 明 郎 ・桑 江 朝 比 呂 ・左 山 幹 雄 (2005): 内湾堆積 物表 層 に お け る 酸 素 循 環 過 程 の 解 明 と内 湾 複 合 生 態 系 酸 素 循 環 モ デ ル構 築 に 関 す る基 礎 的 研 究,(独 法) 鉄 道 ・運 輸 機 構 「運 輸 分 野 に お け る基 礎 的研 究 推 進 制 度 」 研 究 成 果 報 告 書..
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