• 検索結果がありません。

鉄筋曲げ加工条件の違いによる水素吸収量調査

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "鉄筋曲げ加工条件の違いによる水素吸収量調査"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

鉄筋曲げ加工条件の違いによる水素吸収量調査

阪神高速道路㈱ 正会員 ○佐々木 一 則 阪神高速道路㈱ 正会員 久 利 良 夫 神鋼鋼線工業㈱ 正会員 荒 木 茂

1.目的

近年,アルカリ骨材反応による劣化が進行した鉄筋コンクリート構造物において,鉄筋の曲げ加工部が破断 している事例が複数報告され,大きな社会問題となった.鉄筋破断の原因究明にかかる既往の研究では,水素 脆化の可能性を検討するために,加工度の異なる鉄筋の水素吸収量を調査した.その結果,曲げ加工により,

水素脆化に関与すると考えられている,拡散性水素が吸収されやすくなることがわかっている1).本検討では,

破断は鉄筋の曲げ角度が

90°以外の場合でも生じていることに着目し,曲げ加工半径をパラメータとして,水

素吸収量の違いを明らかにすることにより,水素脆化に関する検討の基礎資料を得ることを目的とする.

2.試験方法

2-1 供試材

供試材は,鉄筋破断が生じた実橋脚から採取した鉄筋(昭和

40

年代後半に製造されたと思われる

D32)を使

用した.供試材の加工条件は,表-1に示すように,曲げ加工半径を

1d

とし,曲げ角度は

45°および 90°の 2

種類とした.供試材の採取方法は,図-1に示すように,曲げ加工部の節付け根部付近から,厚さ

1.5mm

の板 状供試材を切り出し,曲げ加工の外側,中央,内側の各部位からワイヤーカット放電加工により切り出した.

2-2 調査方法

各供試材について,電解水素チャージ法により水素を吸収させた.図-2にその概念を示す.なお,常温放 置による水素離散を避けるため,各供試材は水素分析直前

まで液体窒素中にて低温保管した.鋼材中の水素量の分析 は,大気圧イオン化質量分析計(API-MS)による昇温脱離水 素ガス分析を行い,定量分析した.

〔水素チャージ条件〕

電解溶液:硫酸(pH 2.0),電流密度:1mA/cm2

電解時間:24時間1,電解温度:30℃(恒温水槽にて温調)

*1:水素拡散係数D=1×10-7

cm

2

/s

にて,厚さ

1.5mm

の板 内に水素が平衡吸収される時間

キーワード アルカリ骨材反応,鉄筋破断,曲げ加工,水素脆化,水素吸収量

連絡先 〒552-0007 大阪市港区弁天 1-2-1-1900 阪神高速道路㈱大阪建設部 TEL06-6599-1744 供試材採取位置(曲げ部) 供試材採取位置(鉄筋断面内)

図-1 供試材の採取方法(寸法単位:mm)

表-1 水素吸収量調査用供試材一覧

No. 採取位置

① 内側

② 中央

曲げ加工半径 1d-曲げ角度 45°

外側

④ 内側

⑤ 中央

曲げ加工半径 1d-曲げ角度 90°

外側

⑦ 曲げ加工無

図-2 電解水素チャージ法の概念図

5-094 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-187-

(2)

〔水素分析方法〕

使用装置:大気圧イオン化質量分析計(API-MS),測定温度範囲:20~600℃,昇温速度:12℃/min キャリアーガス:Arガスパージ

1000mℓ/min

3.試験結果

水素吸収量の分析結果を図-3~4 に示す.それぞれグラフの右側縦軸に水素放出量の累積積分値を示し,

積分曲線を併記した.いずれの供試材においても,

100~200℃の範囲において,明瞭な水素放出ピークを示し

た.水素放出量の累積積分値の変化量から,RT~300℃の範囲における水素放出量が,電解水素チャージ法に より供試材が平衡吸収した水素量と判断し,定量することとした.

鋼材中の水素吸収量の定量結果を表-2および図-5に示す.水素吸収量は,曲げ部中央,曲げ部内側,曲 げ部外側の順番で大きくなり,いずれの部位においても,曲げ角度

45°よりも曲げ角度 90°の場合の方が大き

くなった.曲げ加工無と曲げ角度

90°の場合の水素吸収量を比較すると,曲げ角度 90°では,曲げ部外側で

10

倍,曲げ部内側で約

4

倍,曲げ部中央で約

2

倍の水素吸収量となった.

4.まとめ

破断が生じた実橋脚の鉄筋により,加工度の違いによる水素吸収量を調査した結果,曲げ角度の増加により,

水素吸収量が増加すること,曲げ部内側よりも曲げ部外側の方が水素吸収量が大きくなることがわかった.

謝辞

本研究の遂行にあたり,貴重なご指導とご助言を賜った,阪神高速道路㈱「ASR 構造物の維持管理に関す る検討会」委員長の京都大学大学院 宮川豊章教授,大阪大学大学院 箕島弘二教授に感謝の意を表します.

参考文献

1) 佐々木・西岡・南・宮川:アルカリ骨材反応による鉄筋損傷の原因究明に関する調査報告,日本材料学会 コンクリート構造物の補修補強アップグレードシンポジウム論文報告集第 4 巻,p.81~p.88,2004.10

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

0 100 200 300 400 500 600

温度 (℃)

dH/dt (ppm/min)

-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

水素放出量の累積積分値 (ppm)

①45°-内側 ②45°-中央

③45°-外側 ⑦曲げ加工無

①45°-内側積分曲線 ②45°-中央積分曲線

③45°-外側積分曲線 ⑦曲げ加工無積分曲線

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

0 100 200 300 400 500 600

温度 (℃)

dH/dt (ppm/min)

-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

水素放出量の累積積分値(ppm)

④90°-内側 ⑤90°-中央

⑥90°-外側 ⑦曲げ加工無

④90°-内側積分曲線 ⑤90°-中央積分曲線

⑥90°-外側積分曲線 ⑦曲げ加工無積分曲線

図-3 昇温脱離水素分析結果:曲げ角度 45° 図-4 昇温脱離水素分析結果:曲げ角度 90°

図-5 水素量吸収量定量結果

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80

曲げ部内側 曲げ部中央 曲げ部外側

鋼中水素量(ppm)

曲げ加工半径1d-曲げ角度45°

曲げ加工半径1d-曲げ角度90°

表-2 水素吸収量定量結果

5-094 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-188-

参照

関連したドキュメント

試験体概要を図-2に示す.タイプAは空洞なし,タイ プ B は空洞ありの試験体,かぶり 30mm , 50mm

軸力・二軸曲げを受ける鉄筋コンクリート部材の弾 塑性解析方法 著者 松本 進 雑誌名 鹿児島大学工学部研究報告 巻 26 ページ 171-184..

閉合形状に曲げ加工した鉄筋の重ね継手 (2)閉合形状に曲げ加工した鉄筋の重ね継手の耐力式の提案

㎜の曲げ強度を基準値とした.供試体高さ 200 ㎜の強度 に比べ,供試体高さ 300 ㎜の強度は,配合の違いに関わ らず若干強度が小さくなり,寸法効果の存在が確認でき た.一方,供試体高さ

  実験供試体は合計13体である。実験供試体の形状・寸 法・鉄筋配置等については図-1 図-1 図-1 図-1(a) (a) (a) (a) に,U字補強につ いては図-1 図-1

では降伏ヒンジ領域を腰壁先端近傍に設定した方が,つ まり腰壁のある部分は剛域のように扱った方が,腰壁の

授業の計画・内容 第1週 序

授業の計画・内容 第1週 序