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津波荷重を受ける鋼トラス橋の非線形挙動に関する一考察

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Academic year: 2022

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(1)

津波荷重を受ける鋼トラス橋の非線形挙動に関する一考察

東北大学 学生会員 ○松本 安弘 東北大学大学院 正会員 斉木 功 東北大学大学院 学生会員 福田 健 東北大学大学院 正会員 山田 真幸 東北大学大学院 正会員 岩熊 哲夫

1. はじめに

2004年のスマトラ島沖地震により,巨大津波が発生 した.この津波が,港湾施設のみならず,道路橋を完全 に流失させるなどの甚大な被害を引き起こした.これを 受け,津波が橋梁に及ぼす影響について,幸左ら1)によ り検討がなされ,巨視的な視点での橋梁の津波による被 害予測が可能になりつつある.こういった橋梁の津波防 災に関する研究では,橋梁全体をいわば一つの剛体とみ なした安定解析を主としており,橋梁自体の剛性や強度 は考慮されていない.これは,津波によって支承や落橋 防止装置が破壊し,桁の流失にいたるためである.本研 究では,先に述べたような支承等のクリティカルな破壊 への対策が十分に施されたと仮定した上で,鋼トラス橋 の上部工が津波外力を受ける際の挙動を,非線形有限要 素解析により検討した.津波時の鋼トラス橋の崩壊メカ ニズムから,鋼トラス橋の対津波設計に関する提言を行 うことを目標とする.

2. 解析対象

(1) 基本解析モデル

木曽川大橋と同規模の,橋長70.63m,幅員8.6m, 桁高10mの単径間下路式鋼ワーレントラス橋を道路橋 示方書2)に準じて設計し,これを解析対象とした.解 析対象は,図–1に示すように,3本の縦桁と8本の床 桁,下横構で構成された床組と床版,上弦材と下弦材,

端柱,斜材で構成された主構,橋門構,ストラット,上 横構により構成される.支持条件は一端を固定ヒンジ支 持,もう一端を橋軸方向に可動なヒンジ支持とした.解 析モデルは,鋼部材はすべて梁要素で作成し,床板のみ 板要素を用いた.鋼部材はSM400を想定した初期降伏 応力235MPa,硬化係数2.1 × 109Paの弾塑性材料,

床板は鉄筋コンクリートを想定した弾性材料とした.な お,ガセットプレートや部材の接合部は省略し,格点部 は剛結とした.

Key Words: 鋼トラス橋,津波荷重,有限要素解析,非線形挙動

980-8579仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-06東北大学工学部建築・社会環境工学科 構造強度学研究室

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図–1 解析モデル

(2) 解析方法と設定荷重

汎用構造解析ソフトウェアのNX Nastranを用い,

材料および幾何学的非線形性を考慮した有限要素解析 を行った.解析は,まず死荷重を作用させ,その後津波 荷重を漸増載荷することとした.津波荷重は道路橋示方 書2)の風荷重の設定方法に準じ,部材長さあたりの橋軸 直角方向分布荷重に単純化し,トラス主構の片面に載荷 した.なお,津波荷重はトラス主構のみに作用させ,床 組には作用させていない.

津波作用を表す橋軸直角方向の分布荷重の大きさは流 速に依存する.現段階では妥当な流速の仮定を行うこと は困難であるが,本研究の目的は津波荷重の漸増載荷時 の解析対象の変形挙動を定性的に明らかにすることな ので,流速の絶対値に大きな意味はない.そこで,幸左 ら1)と同様に,2004年のスマトラ島沖地震により発生 した津波の映像分析から概算された5.0m/sを仮定し,

これによる分布荷重の大きさを荷重パラメータf = 1.0 とした.津波荷重はトラス主構面に桁高の半分まで載荷 する半載と,桁高すべてに載荷する全載の2つの荷重パ ターンを用いることとした.

I-20

土木学会東北支部技術研究発表会(平成23年度)

(2)

3. 解析結果

(1) 解析モデルの崩壊メカニズム

fの増加に伴い相当塑性ひずみが発生した部材を順に 追っていく.半載の荷重パターンでは,f = 0.5付近 で固定支点付近の端床桁が床組面内の曲げにより塑性化 した.次に,f = 1.3付近で固定支点付近の,3本の うち最も載荷面側の縦桁が弱軸方向曲げと弱軸方向せん 断のにより塑性化した.そこから,はじめに塑性化した 床桁の相当塑性ひずみが急激に増加していき,f = 1.8 付近で床桁の相当塑性ひずみが2.5%程度になった.図

−2 に固定支点付近のf = 3.0での変形図を示す.

なお,視認性確保のために床版を非表示とした.この 図から,下横構が座屈している様子が観察でき,図−3 にその箇所の荷重−変位関係を示す.この荷重−変位関 係より,f = 2.7付近で下横構に座屈が発生している ことがわかる.図−4には,図−3に示した斜材,端 柱,下弦材の箇所における荷重−相当塑性ひずみ関係を 示す.この図より,下横構の座屈後,他の部材が塑性化 を始めていることがわかる.

全載のパターンでは,f = 0.2付近ではじめに載荷面 側の固定支点付近の端床桁に床組面内の曲げによりに塑 性化が生じた.f = 0.4を越えると,非載荷面側の固定 支点付近の端柱のが塑性化し,次にその隣りの斜材の下 部が塑性化した.f = 0.5付近では,非載荷面側の固定 支点の隣の斜材の下部が塑性化し,次に非載荷面側の可 動支点付近の端柱が塑性化し,f = 0.54で載荷面側の 固定支点付近の端柱が塑性化した.f = 0.57で固定支 点上部の橋門構が塑性化し,以後端柱,斜材,橋門構,

床桁の格点部の相当塑性ひずみが増大し,トラス全体が 横倒しになるような変形を生じた.半載時と比べると,

fの変化に対して塑性化の進行が早く,かつ密集してい た.

参考文献

1) 幸左賢二,宮島昌克,藤間功司,庄司学,小野祐輔,重 枝未玲,廣岡明彦,木村吉郎:津波による道路構造物の 被害予測とその軽減策に関する研究,道路政策の質の向 上に関する技術研究開発成果報告レポート,No.19-2,

新道路技術会議,2010.

2) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説 共通編 鋼橋編,

2002.

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図–2 固定支点付近の変形図,半載時,f = 3.0

0 0.1 0.2 0.3

1 2 3 4 5 6

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図–3 下横構座屈箇所の荷重‐変位関係,半載時

0 0.02 0.04 0.06

0 1 2 3 4 5 6

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図–4 主な箇所の相当塑性ひずみ‐荷重曲線,半載時 土木学会東北支部技術研究発表会(平成23年度)

参照

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