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ユズ台およびカラタチ台温州ミカンの生理生態学的比較に関する研究 I 旧葉の摘除と1年生苗木の生長-香川大学学術情報リポジトリ

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策22巻第1号(1971) ユズ台およびカラタチ台温州ミカンの生理生態

学的比較に関する研究

Ⅰ 旧菓の摘除と1年生苗木の生長

井 上

宏,高 橋 文 通

Ⅰ.緒 口 温州ミカンでは1年生苗木を2∼3年間仮植して,十分に月巴培・替成してから,本畑へ定植するのが普通であるが, との仮植に際しでも定植以上に慎重な配慮がなされなければならない。カンキツ類の蔑木には落男性果樹の場合と異 なり,春季の植えつけ時に旧窯(前年生薬)が着生しており,それらが植えつけ後の樹休め生長紅いろいろと影響を 与えていることは明らかである。聾者の1人井上は,・ユズ合およびカラタチ台温州ミ.カンに.ついて生理生態学的比較 を行なってせたが(3・4)、ここ紅筆者らは細根が少なくて直根が多い深根性の前者と,歯根が少なくで細根が多い浅根 性の後者の1年生苗木についで,植えつけ時およびその後の旧葉の着生が樹体の生長におよばす・影響を比較・観察し た。 本実験を行なうにあたって:,ど協力を得た専攻生ならびに研修生各位紅深謝する。 ⅠⅠ.実験材料および方法 本実験は.1967年4月から12月紅かけて,香川大学農学部構内は場において行なった。すなわら,ユ・ズ合およびカラ タチ台温州ミカン(杉山系)の1年生苗木を接木部より高さ30Cm前後の充実した芽のあるところで弟定し,旧菓を8 枚に.制限して:,4月20日に.砂壌土のは場へ植えつけた。は場へは植えつけ前紅苦土石灰を施し,約5000の深さに耕や しで,暗1mの平床を作り,苗木を2列植とした。株聞を50C鵜として,・コ・ズ合およびカラタチ‥台を交互に.植えつけ, 各時期に・着生している全旧菓を摘除する次の処理区を設定した。1処理区紅ほ4樹を供試した。なお,無摘葉区には 12月の掘り上げ暗まですべて−の旧葉が着生していた。 4月輪業区……植えつけ時(4月20日)に.旧葉全部を摘除 5月摘葉区…・l5月20日に旧窯全部を摘除 6月摘葉区……6月20日に 〝 7月摘菓区…‥…7月20日に 〝 無摘葉区 上記の苗木の植えつけ後は,土壌を乾燥させないように.敷わらを行ない,適宜潅水した。発生してきた春棺のうち 良好な生長を示すと思われる6本を,盈栴はそれらの先端から発生する各1本のみを伸長させ,他は摘険した。秋椅 の発生は放任した。肥料は.植えつけ後1か月日から毎月1回,掘り上げ時まで6回,1樹あたり硫酸アンモニア100 ダ,過リン酸石灰40ダ,硫酸カリ20ダを分施した。農薬の散布はとくにアゲノ、チョウの幼虫,ミカンハムグリガの幼 虫およびアカグニなどの害虫の防除に重点をおき,葉の展開と充実に留意した。 生育期間中に.春・夏および秋梢の発芽開始期を調査し,それらの伸長停止時にそれぞれの仝伸長盈を測定した。12 月上旬に−せい紅掘り上妨 新檎・幹および地下部につい七各部の生体垂を測定し,新栴上の英数を静えた。新栴は さらに.春・笈・秋葉とそれぞれの枝紅,地下部は主根・大根および細根(直径2甜以下)に分けた。 各処理区からとった春葉20枚について業面積を測定するとともに,各区から上記各部位の一・部をとって乾燥し,粉 末としてN・PおよびⅩの分析に.供した。各部位の乾物重割合およびN・P・・Kの含有率から1樹あたりの3要素含 有量を算出した。これら要素の分析にほ,Nはガンニ・ング氏変法(11),Pはモ▲リブデン苛試薬を・・用いる光電管比色計 法(7),Kは煩色光政計法(1工)を用いた。なお,上述の振り上げ時の額摘葉区の調査成績の中に旧葉の数億ほ加えなか った。

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香川大学農学部学術報告 ⅠⅠⅠ,実 験 結 果 1.新棉の発芽時期 春栴の発芽時期は第1表のとおりである。ユズ台,カラタチ台とも4月20Elの植えつけ時の旧其の摘除により,17 10 ∼18日後に.春栴の発芽をみたのに.対し,無摘葉区 では・ユズ台が6月9日,カラタチ台が5月19日と 両台の間に.21日間の発芽時期の相違が認められ た。5月20日の摘葉時に.は,カラタチ骨ではすで に発芽を始めており,摘葉紅よる影響はみられな かった。一方,ユズ台の5月20日の摘葉区では処 理後7日目に.発芽を始め,約2週間無摘菓区より 発芽が促進された。 夏栴の発芽時期は,1ユズ台では各区とも6月30 第1表 春栴の発芽時期 処 理 区 l・ユ・ ズ 台l カラタチ‥台 注)芽が約3耽の長さに伸びた時を発芽時期とした。 日で変らなかったが,カラタチ台では4月20日摘 葉区が6月16日で,他の区にくらぺ約7日早かった。なお,秋楕は・コ・ズ台が9月1日,カラタチ台が8月25日に.発芽 して,処理区間に差ほみられなかった。 2.新薬の発生数 新薬の発生数は第2表のとおりである。前述の よう紅,春棺の数は発芽直後に.それぞれ1樹あた り6本紀制限したが,両台とも春其の発生数に.は 差がみられヂ,台木闇に.も差はみられなかった。 真相も各春檎の先端から発生する1本のみを伸長 させたが,夏葉数はユズ台では処理区間に.差は認 められヂ,カラタチ台に.おいて4月と5月の摘菓 区での発生数が他より少なかった。秋棉の発生は 放任したが,コ・ズ台では全体に発生数が少なく, 摘葉時期が遅くなるほど発生は昂られなくなり, 無摘薬区ではまったく発生しなかった。−カ,カ 第2表 新其の発生数 .ユ・ ズ 台lカ ラ タ ラタチ・台でほ多くの秋栴の発生をみたが,4月と 5月の輪業区でやや少なかった。 3.寄集の葉面積 新輪上の春葉の大きさに.外観的に差が認められたので,その1枚あたりの菓面積を実測し,比較した(発3表)。1ユ ズ台では6月20日以降の旧葉の摘除は薬の大きさ 紅影響を与えなか・つたが,4月および5月に旧柴 を摘除したものでは,発生した春葉は明らかに小 さかった。とくに.後者で小さかった。カラタチ台 でも同様な傾向が認められ,5月20日の摘菓時に は春芽はすでに発芽を始めていたにもかかわら ず,その時期の摘菓は以後の春柴の展開に.悪夢沓 を与えた。 4.新栴伸長畳 各処理区の新栴伸長塵は第4表のとおりであ

第3表 春其の菓面税

竺 山ー___._ 24・2c遥(80)【 20・4c遥(82)

20・6(68)j19・6(78)

30・6(101)】23・8(95) .

±三:l二、

4月20日摘葉 5月20日 〝 6月20日 〝 7月20日 〝 無 摘 菓 注)()内の数字はそれぞれの台木の無摘葉区の莫面積を 100とした比数 る。∴ユズ台では春構および夏栴の伸長畳紅ほとんど差を認めなかったが,秋栴の伸長に差がみられたので,4月およ び5月の摘葉区ほ仝新棉伸長畳が他の区より大となった。6月以降の構築区にはほとんど秋冷の伸長がみられなかっ た。 カラタチ台でも春栴の伸長壇に差はなかったが,夏楯で6月以降の摘菓区が唆り,秋栴でも同様な傾向を示したの

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11 で,仝新栴伸長塩では,4月と5月の摘葉屡.が他 の区よりいちじるしく劣った。 台木間で比較すると,ユ・ズ台の生長が劣り,カ ラタチ台の約2分の1の伸長塁を示したに.過ぎな かったが,これは秋楷の伸長の如何に左右された ものである。 5.掘り上げ時の樹体各部の生体重 12月上旬に掘り上げ,樹体各部の生体重をみる と,餞1区ぎのとおりである。・ユズ台では4月摘葉 区で春椅重は劣ったが,秋梢が伸びて.全生体重は 般大となった。細根暑は各処理区であまり変わら なかった。巌小の全生体垂を示したのほ,5月の 摘柴区であった。これらの傾向は主根の肥大でも 顕著であった。 カラタチ台では,旧菓を長く着生させるはど生 体蛮の増加を示し,無摘葉区が最大となった。4 第22巻第1号(1971) 寛4表 新 相 伸 長 鼠

地 下 部 壷

第1図 掘り上げ時の 樹体各部の生体蚤 注)L.S.D.はそれぞ れ仝地上部垂または 金地下部重について の値である。 顛摘薬区 7月摘尭区 6月摘葉区 ・D月摘柴区 4月摘葉区 無摘葉区 7月摘尭区 6月摘薬区 5月捕薬区 4月楢葉区

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香川大学農学部学術報舎 12 月摘葉区では幹および主根垂が最小で,新棺窪も他の区より劣った。6月以降の摘菓区ほ孟秋栴の生長が4,5月の 摘葉区よりいらじるしく良好であり,地下部も主根と細板壷で地上部と同じ傾向を示した0 6.掘り上げ時の樹体各部の3要素の含有率ならびに含有盈 12月上旬に掘り上げた樹体各部のN・Pお よびKの含有率(対乾物%)ならびにそれぞ れの部位の乾物壷に・それら要素の含有率を乗 じて算出した含有鼻は儲2囲および寛5表の とおりである。 (i)含 有 率 N:コ・ズ台およびカラタチ台とも4月の摘 葉区が他の区より春葉で含有率低く,細板で 高かった。他の部位では摘実時期による差は ほとんど認められなかった。ただ,・ユズ台で は,摘葉時期がおくれ,発生量が少なくなっ た秋栴の葉で含有率高く,枝で低い傾向紅あ った。台木間で比較すると,菓でほ.一ユズ台 が,細根でほカラタチ台が高含塁を示した が,他の部位でははとんど変わらなかった。 P:ユズ台の春薬では,4月の摘葉区が他 の区よりも高かったが,この傾向は秋栴にも みられた。他の部位では摘葉時期による差は 認められなかった。カラタチ台では旧菜の着 生期間が長いほど,どの部位でも含有率が高 くなる傾向を示した。 台木闇の比較では,幹を除くほとんどの部 位でカラタチ台が高かった。 K:ユ.ズ台の春菓および細根で4,5月摘 菓区の含有率が低い傾向を認めたはかは,処 理紅よって.ほとんど変わらなかった。一方, カラタチ台では,4月摘業区の春葉と鼻薬で やや高かったが,細根では低かった。他の部 位ではあまり変わらなかった。 台木間の比較では枝の部分でわずか紅カラ タチ台が高く,細根で・ユズ台が高い傾向を示 した。 (j玉)含 有 量 乾物垂は前項の生体重の傾向と−・致した0 ユズ台では乾物垂と同様に,4月摘葉区の3 要素の含有崖が最大であった。5月以降ほ旧 葉の着生期間が長いはど,含有愚は多くなっ た。4月および5月摘菓区はNに.対するKの 含有竃比が小さかった。無摘輩区ではN:P: Kは.10:0.4:5.6であった。 ( (ユ ズ 台) ′一三−−÷−−iニー嶋N ■ N,K P ● ● ●

iヒー・≡−±

三E 粗 大 根 ∩︶ 0

︻ヽ

へJ ウ︼ l 細 根 無揃葉区 7月嫡薬区 6月摘基区 5月硝薬区 4月摘糞尿 第2図 樹体各部の3要素含有率(対乾物%)

カラタチ・台ほ旧葉の着生期間が長くなるはど,1樹あたりの乾物塾ほ磯加し,3要素の合名愚も多くなったoNに対す

るP,Kの割合ほ無摘葉区で10:0.6:5.6で,ユズ台よりPが幾分届かったが,処理区間でははとんど変わらなかった0

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13 乾物1ダあたりの3要素含有鼻を訃出 したところ,無精薬区ではユズ台でN 16.4刀lダ,PO.77花g,K9.2mg,カラタチ台 でN18.57呼,Pl.17花g,Ⅹ10.47托gと,生 長患の少ないユズ台でやや小であった が,同じ台の間でははとんど差がみられ なかた。 寛22巻第1号(1971) 鵠5表 3 要素含有鼻 −:こ:ト ーー.●− 1樹あたり3要素含有長(m9)

Np ∃ K

処 理 区 NPIK 4月20日硝薬 5月20日 〝 6月20日 〝 7月20日 〝 74(0.4)L 835(5.2) 1,612(10) 1,231(10) 1,231(10) 1,382(10) 1,546(10) /−∃・し ユズ台 671(5.4) 753(6.1) 62(0.5) 55(0ル4) 61(0・4) 791(5・7) 69(0.4)と 868(5.6) 摘 無 9・2 ⅠⅤ.考 察 908(5.7) 931(5.4) 1,227(5.7) 1,198(5.6) 1,288(5.6) 4月20日摘葉 5月20日 〝 6月20日 〝 7月20日 〝 無 摘 薬 84(0.5) 98(0.6) 124(0.6) 127(0.6) 142(0.6) 1.O110.6 カンキツの葉の寿命紅ついてはWAl・ LACEら(17)がバレンシヤ・オレンジで, 中間(9)が温州ミカンでともに24か月前 後であると報嘗して.いる。よく管理さ れ,連年良果を多産する温州ミカン園 は,常紅1日菓が多い。吉村・岩川(15)は 1,736(10) 2,151(10) 2,125(10) 2,292(10) 注)()内の数字はNの含有意を10とした比数 温州ミ.カンおよび日向夏ミカンの成木の旧葉の見かけの同化壷を測定して,新薬の約半鼻に過ぎないが,その事節約 変化ほ3月から9月にかけではとんど一足で,外的因子に対してきわめて安定であったと述べて−いる。また,本山 ら(8)ほ礫耕栽培中の温州ミカン幼樹に6月中旬14CO2を与えて二,新築(春薬)と旧葉の光合成能を比較したところ, その単位面積あたりの値がはは10:6であった。いずれ乾しても,こ.れら旧葉ほやがて生理的に落葉していくものであ るが,樹上に着生している聞ほ,ある程度の光合成を行ない,樹体の構成・維持紅貢献していることは明らかである。 中村(10うは冬季の季節風による落柴のほげしい長崎県の北部地帯で,4年生温州ミカン樹を用い,1月に全葉の40% を摘葉処理して,落葉が新嫡の伸長ならびに開花・結実におよばす影響を観察した。その成績紅よると,総新栴伸長 鼻は落莫区が対照区に.くらぺ,やや大であったが,春棺の伸長壷はいちじるしく小さく,葉数も少なかった。さら に,花数は対照区にくらべ約㈹%,栄数では約70%の減少を示した。本実験でも,4,5月の旧葉の摘除ほカラタチ 台温州ミカンで新棺の伸長や細根の発達をいちじるしく妨げた。旧菓の着生期間が長いはど,苗木の生長ほ良好であ った。 −・方,ユ.ズ台温州ミカンでほ植え.つけ時の4月20日の摘葉区で地上部・地下部の発育が最も良好であったが,これ は.ユ・ズ台の苗木で一腰に.みられる植え.傷みの関係を示すものである。植えつけ時,むしろ着生している仝旧菓を摘険 したはうが,細根の少ない苗木の活着がよく,早く萌芽した春栴は犀く硬化・充実し,次の夏檜を早く発芽させ,さ らに.は秋柄の伸長をも促進させたものと思われる。ユズ台温州ミカンの植え傷み龍ついて山木・森岡(14)は苗木の掘 りとり時の断根率の差がその−・原因であると述べている。すなわち,細心の注意を払って掘り上げた完全掘り上げ区 の総根長は.ユズ台がカラタチ台よりまさったが,南台とも根群総長の96.4%が直径1.5瀾以下の細偲でしめられでい た。慣行掘り上げ区ではユズ台で根群の81.1%,カラタチ‥台で71.3%が切断され,とくに1ユ・ズ台で細根切断割合が高 くなった。したがって,従来ユズ台の植え傷みの原因の一つ紅細根鼠の少ないことがあげられて:いるが,これほ・ユズ 台の特性ではなく,慣行の苗木の掘りとり作業でほ潔く分布した細根が切断されやすいためと思われる。木村(6)の・ユ ズ台温州ミカン成木の掘り上げ調査でも,ユ・.ズ台はカラタチ台より深根性であるが,根群の総生体重のうち細根の頭 量はともに25%前後を示し,とくにユズ台に細根の少ない傾向ほ認められなかった0また,本実験でも,植えつけ後 約8か月日の掘り上げ時の無楢葉区の細根塁には・ユ・ズ台とカラタチ台の聞紅ほとんど差をみなかった。 植えつけ時から新棉の発芽期前後の旧葉の摘除紅より,1年生苗木の生育が劣り,肥料3要素の吸収も根部のNを 除き,一腰に抑制される傾向紅あった。とくに,Pの吸収紅その影響がいちじるしかった。ただし,1ユ・ズ台の4月の 摘菜区ほ植え傷みを軽減されて,他の区よりもよく生長し,N・Pの吸収ほ無摘葉区より多かった。いずれにしても, 樹体の単位乾物重あたりのN・P・Ⅹの含有鼻は処理区間ではとんど変わらず,それぞれの処理区の生長塁に応じ て各要素が吸収されていた。カンキツの旧葉の中の肥料成分の他の器官への移行に.ついての成績は多い(2,さ・13・18・17)。 旧菓で光合成される炭水化物とともに,含有されてこいる種々の肥料要素が新柄の発育や細根の発達に眉接的あるいは 間接的に利用されていることほ明白である。

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香川大学農学部学術報告 14 コ.ズ台温州ミカンを用いて行なわれた実験成絞(1・12)の中で,それらがカラタチ台に・くらぺ初期生育のいらじるしく 劣ることが明らかにされている。本実験でも,その現象が認められたが,もし,細根を完全に掘りとった苗木を供試 したとすれば,植えつけ時に旧葉をつけたための植え傷みが少なく,カラタチ台と同様に旧菓を長く着生させるはど, 樹体の生長意が大となる傾向を示したと思われる。こ.のことは,5月以後の摘柴区で旧築を長く着生させるほど,秋 梢の発生が少なかったにもかかわらず,全生体患ですぐれたことからも明らかである。したがって,・ユズ台温州ミカ ンといえども,苗木構えつけ時には旧葉を落さないよう注意しなければならない。また,植えつけ直後の管理にもと くに細心の注意が必要である。 Ⅴ.摘 要 .ユ・ズ台およびカラタチ台温州ミカンの1年生苗木(旧葉8枚着生)をは場に栽植し,植えつけ時の1967年4月20日 から7月まで,1か月毎にl日葉(前年生薬)を全部摘除する区を設け,両台の梯体の発育におよぼす旧葉着生の影響 を観察した。 1.植えつけ時の4月の摘葉ほ両台とも春芽の発芽期を早めたが,春葉は小さかった。5月の構築でもユズ台で発 芽が若干早められたが,両台とも春葉は小さかった。春梢上の英数および長さには影響ほみられなかった。6月以降 の構築に.より,ユ・ズ台でほはとんど秋嫡の発生をみなかったのに対し,カラタチ台ではすべての区に多数発生し,硝 薬時期がおくれるはどいちじるしかった。 2.ユズ台の4月摘柴区の掘り上げ時(12月上旬)の生体藍ほ他の処理区よりまさった。その他の同台の処理区問 およびカラタチ台の処理区間では旧葉を長く着生させておくはど生体垂ほ大となった。このユ・ズ台の4月摘葉区がま さったのほ,旧菜摘除により植え傷みを軽減したためである。 3.掘り上げ時の樹体各部のN・P・Kの含有率を処理区間で比較したところ,早期の旧楢葉除ほ両台とも−・般に 3要素の含有率を低下させた。ただ,細根のN含有率は高くなった。1樹あたりの3要素含有蒐ほ塵体重紅比例して 増加したが,乾物1ダあたりでは処理区間でほとんど変わらなかった○ 文 (1)安達義正,中島芳和,堀金正巳‥国学粁,35(2),98 −105(1966). (2)CAMERON,S.H…,MuELLER,R.T.,WAI・LACE, A.,SARTORI,E.:Proc.Amer.Soc.Hort.Sci。, 60,42−50(1952). (3)井上 宏:園芸学会昭和39年皮春季大会研究発表要 旨,50(1964). (4)−,遠藤敏夫,三重野岳:園芸学会昭和37年度 秋季大会研究発表要旨,18(1962). (5)KELLY,W.P..,CuMMINS,A巾B.:Jour.Agr. Res‖,20,161−191(1920). (6)木村光雄:園学雉,1213),179−193(1941). (7)小島 慾:植物栄養学実験,24−27,東京,軒愈書 店(1960). 唱)本山栄一・,福井春雄,久保田収治:四国農試報告, 14,91−99(1966). (9)中間和光:静岡県柑試特別報告,1,1−46(1967). 献 (1α 中村早常:長崎県総合農林センタ・一昭和42年度業務 報告,120(1968). 山)佐藤公一・:作物試験法,340−351,免京,農業技術 協会(1963). (12)¶−−−,石原正義,長谷嘉臣:園芸試験場報告A2, 29−46(1963). (13)SMIIH,P.F.,REUTHER,W.:Proc.Amer.Soc. HoれSci.,55,61−72(1950). (14)山本弥栄,森岡節夫:昭和37・38年度果樹試験研究 年報,54−55(1966). (15)吉村不二男,岩川 孝:高知大学報,6(4),1−11 (1957). (16)WALI.ACE,A.:Proc.Amer.Soc.Hort.Sci. 81,89−94(1953). (17)+,ZIDAN,Z.Ⅰ.,MuELILER,R.Tい,NoRTH, C.P.:Proc.Amer.Soc.Hort.Sci.、,64,87−・104 (1954).

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Vol、22,No.1(1971)

COMPARATIVE PHYSIOLOGY AND ECOLOGY ON THE GROWTH

OF SATSUMA ORANGE TREES ONJUNOS AND TRIFOLIATE

ORANGE ROOTSTOCXS

I.Effects of the Old Leaves on the Growth of One−

year・・01d Trees.

HiroshiINOtJE and YoshiyukiTAXAHASHI

15

S11mmary

One・year・01d Satsumaorange treeswith8oldleaves oz】Juz10S(Cii7uSju7COSSIEB.Cγ TANAXA)and

trifoliateorange(PonciLrusirifbliata RAF.)rootstocks were plantedunderfieldconditioninApril,1967. The effects of defoliatioz10n the vegetative growth were observed with them byIemOVing al1the old

leaves artificially at monthlyintervals from ApriltoJuIy.

1.Sprouting of spring f1ushes was hastened by defoliationin Aprilon both rootstocks,andin May OnJtmos rootstock.Theirleaves were smal1,but their number andlength of shoots were not affected. Few autumn flushes appearedon the trees onJunos rootstockin which oldleaves were not removed

umtilJune.Allthe trees on trifoliate orange rootstock had many autumn flushes.Thelater the defoliation,the more the flushes sprouted.

2.InJumOS rOOtStOCk,the trees defoliatedin Apri1showed thelargest growth amongthetreatments after growing for about8months.This seems to be due to thelossofJunosfinerootsattransplanting. Except theabove example,thelonger the oldleaves were maintainedon the tree,the more the tree

gI・OWthincI・eaSed.

3.Nitrogen,phosphorusandpotassium、COntentSinal1parts of treeswere general1yloweredbyearlier defoiiationof oldleave$OZlboth rootstocks,but nitLDgeTlin fine roots $howed reverse trel】d.Total

amotmt of these elements per tree was much greaterin trees showingthelargergrowthwitholdleaves, but the amount per dIy Weight basis was not difEerent.

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