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育成複二倍体作物とその両親作物との生理生態学的性質の差異について 第XXV報 種子の発芽力維持期間-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号 9”12,1980

育成複二倍休作物とその両親作物との生理生態学的性質

の差異について

第ⅩⅩⅤ報 種子の発芽力維持期間

桑 田

STUDIES ON THE DIFFERENCES OF PHYSIOLOGICAL AND ECOLOGICAL

CHARACTERISTICS OF THE ARTIFICIALLY RAISED AMPHIDIPLOID

IN COMPARISON WITH THOSE OFITS PARENTS

XXV Seedviabilityperiod

HikaruKuwADA Theseedviabilityperiodof“Noril・aSa”(glutinoushemp)(Abelmo∼Chusglutino−ieuili5),anamPhidiploidcropraised

betweenAesculeniu5andA.Manihoi,hasbeenstudiedindi能rentstorageconditionsandincomparisonwiththoseof

itsparents

Ineachcrop,Seedsproduccdin1947werestoredbothinordinarystateandindIyState,andusedingerminatioh

testsonceeveryoneor2yearssince1947n

TheseedviabilityperiodstoIedinordinarystatewas4years,2yearsand3yearsfbrA・e∼Culentus,A一Manihotand

Alglutino−iexiili”eSPeCtivelyuIndrystatethescedviabilityperiodwaslOorllyearsfoIA・肋nihot・Thegermi− nationpercentageofseedsofA,e‡Culcntu!andAlgluti7W−teWili5indIyState,however,WaS20−30%after30yearsdrmore

althoughthedecIeaSeOfthegerminationpercentagewiththelapseoftime

育成復二倍体作物である糊麻の種子の発芽力維持期間を,その両親作物であるオ■クラおよびl、ロロアオ’イとの比故 において研究を行った.3作物の種子は1947年に採種し,以後普通の気乾状態と乾燥剤による乾燥状態に貯蔵したも のを用いて,これまで32年間にわたって調査したけ普通の気乾状態における貯蔵では,オクラは5年,トロロアオイ は3年,糊麻はそれらの中間の4年で発芽能力は殆んど消失した.乾燥状態の貯蔵では,トロロアオ’イの発芽力維持 期間は約12年であったが,オ・クラと糊麻はよく類似しており,ともに30年を経過するもをお20∼30%の発芽歩合を示 し,発芽能力を推持し続けてレゝる. 緒 晋 育成敬二僧体作物の生腰生態学的性質に関する研究はこれまでに,種々の性質について24報まで報告した.その間, 種子の発芽に関する性質については,ⅠⅤ(1),ⅤⅠⅠⅠ(2),ⅠⅩ(3),Ⅹ(4),ⅩⅠⅠ(5)およびⅩⅤⅠⅠ(¢)において報告した..今回は種 子の発芽力維持期間に閲し,貯蔵条件を異にした場合について,過去32年間にわたって調査してきた結果を報告する・ ただし,乾燥状態に貯蔵中の種子については,まだ発芽カを維持し統けており,この能力が以後何年持続するかば不 明であるので今回の報告は発芽力維持期間についての中間報告である. 実験材料および方法 供試材料はこの種の研究に用いてきた材料と同一である.すをわち,オクラ(Aあβあ旧5Cゐ祝SβざC〟お乃加∫)(2n=124)

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(2)

香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号(1980) 10 とトロロアオイ(A。肋乃盲加わ(2n=68)およびそれらの間に育成された複二倍休作物である糊麻(Agゐ上方f紗fe芳f払) (2n=192)の3作物である.供試種子は1947年(昭和22年)に採種し,以後35cmx45cmx40cmの大きさの種子 貯蔵用亜鉛箱に入れて室内に密いたもの(気乾区)と,塩化石灰を入れたデシケ・−・タ・−・の中に種子を入れて乾燥状態 で貯蔵したもの(乾燥区)である.をお3作物のうち,オ・クラは乾燥貯蔵により著しく硬実化することがわかってい るので,3作物の乾燥区の種子の発芽試験に際しては,種子の背面の一部を−・粒−・粒ダラインダ・−で傷付けた区,こ れを以後乾燥区(有傷発芽)と呼ぶ,と煉傷の区,これを以後乾燥区(無傷発芽)と呼ぶ,を設けて行なった.発芽 試験は毎年または1年おきに行なった.発芽試験には27∼280Cの恒温器を使用して行なった。各作物の各試験区は いずれも1区100粒宛,2区制とした.発芽歩合および発芽勢の締切日数はそれぞれ2週間および1週間とした. 結果および考察 発芽歩合は図1に示すごとく,気乾区では,オクラは貯蔵開始後1,2年目では90%以上であったが,3年日では60 %に減少し,4年昌では約19%となり,5年目では 殆んど0%とをった“トロロアオイはやはり貯蔵開 始後1,2年日では約90%であったが,3年目では急 激に減少し,4年目では殆んど0%となった.一山方, 糊麻はやはり貯蔵開始後1,2年目では90%前後で あったが,3年目では40∼50%となり,4年目では 6%となり,5年目では殆んど0%となった1.この 傾向はオクラと著しく類似していた. 乾燥区(無傷発芽)では,オクラは乾燥のため硬 尖が著しく,貯蔵開始後30年間は殆んど10%前後の 発芽歩合を示し,しかも乾燥により種子の発芽力維 持期間は著しく長くなり,30年以上も経過するも種 子の発芽歩合は低下しをがらも発芽能力は維持して いる.これに反し,トロロアオ・イは貯蔵開始後2年 目,3年目および4年目までは発芽歩合はそれぞれ 77%,57%および31%と減少したが,以後12年員ま では30%から10%とをり,14年日以後は0%とをっ たいトロロアオイは殆んど硬実を示さず,乾煉によ り種子の発芽力維持期間は気乾区より著しく長くな った..糊麻の発芽歩合は約30年間は10∼40%の間を 変異したい30年間殆んど同じような発芽歩合を維持 ー●・− ・…・●・… オクラ トロロアオイ 気乾区 −−−●一一一 糊麻 0 0 0 0 0 8 6 4 2 党 123456789101112141618 20 22 24 26 28 30 32 t 乾燥区 ● (無傷発芽)

ご霊監;こニニこも

456789101112 ユ4 16 18 20 22 24 26 28 30 32 乾燥区 (有侮発芽) ヽ●■

真二ご\、.

ヽ、●一一●●−・−■● ヽ−ノ‘、●・・ 、、. 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 経 過 年 数 図13作物の発芽歩合 するこの傾向はオクラに類似している.しかしオ・ク ラよりも変異の幅が広く,若干高い値を示した.またオ・クラと同様,乾燥により種子は発芽力維持期間は著しく長く なり,30年以上経過するも種子の発芽能力を維持しているい 乾燥区(有傷発芽)では,すでに述べたごとく,1、ロロアオ■イは殆んど硬実を示さないので,本区における発芽歩 合の状況は乾燥区(額傷発芽)と殆んど同じ傾向を示したが,種皮の一・部を傷つけることによる種子の腐敗のためか, 発芽歩合ほ若干低下し,また発芽力線持期間も3∼4年短かくをった.しかるにオクラと糊麻の両種は著しく類似の 傾向を示し,ともに貯蔵開始後10年目では70%以上の発芽歩合を示し,30年目でもなお両種ともに20∼30%の値を示 している. 発芽勢は図2に示すごとく,硬実を示さないトロロアオイの場合はどの試験区でも発芽勢は発芽歩合と同じ倍を示 した小 オクラおよび糊麻は貯蔵条件のちがい,また乾燥区の種子の発芽試験時における種皮の有償,無傷のちがいに よる貯蔵開始後の年数の経過にともなう発芽勢の推移の傾向は,発芽歩合の場合と著しく類似していた. 発芽日数は図3に示すごとく,普通区ではオクラは大体3∼4日,トロロアオ・イは2・∼3日,糊麻は3−5日であっ た.乾燥区(無傷発芽)では発芽日数は3∼5日であったが,年により1.5日または5.6日や8.0日の例外的を日数もみ

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(3)

桑田 晃:複二倍体作物の種子の発芽力維持期間 11 0 0 0 0 ︵0 6 1 −●−オクラ 気乾区 ・・・・・−・・●・…−  ̄ ̄→ ̄ ̄ ̄ トロロアオイ 糊麻 気鞄区 −●−オクラ ・・…・・●一一−−・ ーーー●−−一一 トロロアオイ 糊麻 8.0 40 20 0 発80 345678910=12141618 20 22 24 26 28 30 12 ● l )

鮎、東\∴讐

1234567891油虫2畠衰)■庭 先

● 芽 勢︵%︶ 乾燥区 芽 60 (無傷発芽) 0 0 0 4 2 ‡坤′−;‥′・−

_・・∼ ・●一一●・・・・・→−−●−●・−● ■●■ 123456789101112

キ、.′・、丸

14 16 18 20 22 24 26 28 0 3 2 3 100 80 60 40 20 0 123456789101112 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 乾燥区 (有償発芽) か

内密こゝか.

乾燥区

。、・L:ニlこ・、!完ご、・

、 (有傷発芽) 4 ヤ・−●−●一′ −●−●上 ●・ノ●・. 123456789101112141618 20 22 24 26 28 30 32 経 過 年 数 図2 3作物の発芽勢 123456789101112141618 20 22 24 26 28 30 32 経 過 年 数 図3 3作物の発芽日数 られた〃トロロアオイは2∼4日で,糊麻は3∼4日で,ただ例外として6.3日がみられた.こういう糊麻にみられる 例外的な倍を示したことはオ■タラとよく類似した1乾燥区(有傷発芽)では,発芽日数はオクラは3∼4日の年もみ られたが,大体は2日前後であり,Ⅰ、ロロアオイは1…5日−3.5日で大体2∼3日であった拗麻はオクラとよく類似 し1い5∼2..5日であった一. −・般に種子の発芽力維持期間は種により,また貯蔵条件により著しく異にする.最近は種子の休眠・発芽の生理の 研究が著しく進展しており,また植物の遺伝子源の消失防止の立場から,種子の貯蔵問題が大きく取り上げられてい る.・一方本研究の開始は戦後の混乱期に開始されたものであり,また長期貯蔵が目的の研究ではをく,育成被二倍休 作物の生理生態学的性質のちがいをその両親作物との比較において研究を行なって釆たものである.また種子の理想 的貯蔵条件としては,種によっても異なるが,−・般には低温,低湿,低酸素ならびに暗宗とされているが,本研究で は湿度蘭係の貯蔵条件のみをとりあげ,しかも乾燥剤投入による乾燥状態を3作物聞で比牧研究を行なったものであ る.そのうえ本研究は実験開始後30年以上を経過しており,この間,乾燥剤の乾燥能力の低下も考えられるし,また その間の種子の生理的性質の変化の調査も裏付けとして必要であろうが,これらについては一い切考慮せず,ただ発芽 歩合,発芽勢および発芽日数のみをとりあげて釆た.その結果,実験開始後30年を経過しているが,乾燥状態の貯蔵 においては,トロロアオイを除けば,オクラおよび樹麻はいまだ発芽能力を維持しており,あと何年の間,この能力 を維持し続けるかは不明であるが,とりあえず中間報告としたものである. 種子の発芽能力は普通の気乾状態では室内貯蔵では,オクラは5年で,トロロアオイは3年で,糊麻はそれらの中 間の4年で殆んど消失した.一・方,乾燥状態の貯蔵では,トロロアオイの握手の発芽力維持期間は約12年であったが, オ・クラと糊麻は約30年を経過するも,をお20′・■30%の発芽歩合を示し,この間の両種は著しく類似の傾向を示してい る. 引 用 文 献 (1)桑田 晃:育成複二倍休作物とその両親作物との 生理生態学的性質の差異について,(ⅠⅤ報)貯蔵 条件を異にする種子の発芽について,日作紀,20 (1∼2),127∼130(1950)い (2)桑田 晃:同上,(ⅤⅠⅠⅠ報)乾燥状態に貯蔵した 笹子の発芽について,日作紀,21(2),180∼184

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号(1980) 12 (1952)” チー・ム,育雑,3(3∼の,67∼乃(1954). (3)桑田 晃:同上,(ⅠⅩ報)種子の発芽と種皮の組 (6)桑田 晃:同上,(ⅩⅤⅠⅠ報)変温が種子の発芽 祇との関係,育雑,2(1),42∼46(1952). (4)桑田 晃:同上,(Ⅹ報)種子の発芽温度につい て,日作紀,22(1∼2),3∼4(1953). (5)桑田 晃:同上,(ⅩⅠⅠ報)種子の発芽とエン に及ぼす影響,香川農大学報,7(2),190∼192 (1956). (1980年5月30日 受理)

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