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炭化珪素の繰り返しアーク加熱実験

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Academic year: 2021

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愛総研・研究報告 第17号 2015年

炭化珪素の繰り返しアーク加熱実験

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AbstractArc heated wind tunnel is usually used for hypersonic andsupersonicheating test of thermal protective material under the planet訂yentry. Then, the reentry in e訂白,a capsule or a reusable rocket is exposedto th巴atmospherea bow shockwave takes place tipon body d巴tachedfrom its nose.The study is to investigate that repeated arc heated testing affect to crystal structure and high temperature mechanical property of silicon carbide (SiC), Shore hardness, crystal s廿uctureand to obtain temperatures企omblackbody radiation temperature. 1.諸言 NASA(米 ) の 火 星 探 査 宇 宙 船 「 マ ー ズ ・ サ イ エ ン ス・ラボラトリーJやJAXAによる小惑星の着陸及び サ ン プルリ ターンを罰的とした探査機「はやぶさ 2J や火星無着陸サンプルリターン l(MASC:Mars. Aero -tlyby Sample Collection)な ど , 欧 米 だ け で な く 世 界 各 国で惑星探査計画が進められている(1) そ の 条 件 下 に 耐 え う る 耐 熱 材 料 や 最 適 形 状 を 地 上 試 験 で 評 価 す る 事 が 必 要 に な っ て く る . アーク加熱 式 高 温 風 洞 は,高 温 高 圧 ガ ス 流 の 発 生 が 可 能 で , 地 上で の 大 気 圏 再 突 入 時 の 状 態 を 模 擬 し た 試 験 風 洞 と して使用し,耐熱材料の開発のため加熱試験が行える (2) 本研究では, 49kWの水冷式中空電極.の Huels-DCア ークヒータを用いて,炭化珪素(以下 SiC)に注目し,耐 熱実験を行った.主にα-SiC,s-SiCを使用し,空気ア ークプラズマ気流中の鈍頭物体周りの衝撃層内の分光 計測及び加熱後のSiCの表面ショア硬さと表面観察から 熱応答性を調べた. 2. 実験装置及び実験方法 図lは, Hu悶1児巴Is-DCア一ク加熱風

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洞同の写真(ο3工34ぺ.4 ア一ク加熱装置の概略を示す.Huels-DCアークヒータ は 水 冷 式 中 空 電 極 型 で , 上 流 側 電 極 を 陰 極 , 下 流 側 電極を陽極, 両電極には無酸素銅を用いた.アーク ヒー タ上流部の陰極ケースに電磁コイルを巻いて外 部 磁 場 を 発 生 さ せ,ローレンツカによりアーク輝点を 中空電極内で回転させ,両電極の局部的な損傷を防ぐ (3

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愛知工業大学工学部機械学科(豊田市)

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名古屋大学大学院工学研究科(名古屋市) 図1Huels-DCアーク加熱風洞(3) 図2分光計測システム 71

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72 愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第17号, 2015年 図3は,材料の設置状態を示す.超音速ノズ‘ル出口 から供試体端部までの距離を20mmである. 表l炭化珪素の物性値(5) Pol戸ype 6H(α-SiC) 3C (s-SiC) Crystalstructure Hexagonal Zinc blende (cubic) Density, kg/mJ 3160 3150 Bulk modulus at R.T., GPa 220 250 ηlennalconductivity, 490 atR.T., 330atR.T W m-1K1 12.5 at 2300K 27.9at 2300K 表lは, SiCの物性値を示す.供試体は,ルSiC(目立 化成製), s・SiC(コパレントマテリアル製),直径 10mm, 長さ10mmを使用した.α-SiCは結晶構造が 6H構造など 六方品構造である.s-SiCは 3C構造という立方晶の構 造をしている.それによって l単位胞中の原子の数も 変わってくる(5) アーク加熱実験条件は,放電電流値180A,放電電圧値 77V, 淀 み 点 圧 力 O.lOMPa.abs, 真 空 タ ン ク 内 圧 力 約 63.9Pa.abs,質量流量O.72g/sである. 1回の実験で 120s間 加熱を行い,その後,真空タンク中で徐冷を行った. 繰り返し加熱試験は11回行い,合計1320s聞の放電試験 とした.なお,加熱実験では SiCの融点温度 2818土40K 以下で1行った.実験後の材料表面に電極材の銅が付着し, 銅を研磨剤で取り除いた.その後,表面観察(x700),シ ョ ア 硬 さ 試 験 の 手 順 で 行 っ た . 顕 微 鏡 は Leica Microsystems宇土LeicaDVM5000,ズームレンズVZI00Cの 700倍を使用し,表面観察及び画像取り込みを行った ショア硬さ試験は,仲井精機製作所製D・ショア・試験装置 を使用し,ショア硬さ(HS)を計測した.分光器は, Ocean Optics社USB4000超小ーマルチチャンネノレ分光器を用いて, 材料表面の発光から黒体放射温度(T[K])を算出した. 3.結果及び考察 図4(a)及び(b)は,放電時間60s後の材料に,再度放電実 験を行った結果を示す.時系列写真は放電開始から120s までの様子を示す.

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(a)α-SiC (b) s-SiC 図4アーク加熱試験の時系列写真 図4(a)はα-SiC,(b)はs-SiCである.写真No.lは加熱 開始Osから始まり, NO.2-12は 10s間隔である NO.12 は, 120s直後で,放電を終了, アークプラズマ気流は 流れていない. α-SiC(図 4(a)), s-SiC(図 4(b))共 に , 加 熱 開 始 直 後 (No.l)に,材料前面に離脱衝撃波が確認できた.離脱 衝 撃 波 の影響により,加熱開始10sでは図 4(a)が徐々 に赤くなり始め,図4(b)では青色加熱開始から 20sから 徐々に赤くなり始め,材料全体に高温の熱が伝わって いく.図4(a)の α-SiCでは,加熱開始直後(No.l)に,材 料表面に離脱衝撃波が確認できる.衝撃層から材料ま での距離は約3.0mmである.そして, NO.2の 20s以降 では材料先端から徐々に赤くなり始め, NO.7まで濃い ガスを放出する.図4(b)の s-SiCでは, α-SiCと同様に NO.2の 20sから濃い青色のガスが発生し,それ以降

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s-SiCは α-SiCと異なり,一度硬度が実験前よりも上昇 し,その後約 5~10HS 単位で減少していく. α-SiC と s-SiCのショア硬さの減衰は,パージンと比べて,仕 SiCが 53.2%となり s-SiCが 40.9%となった.以上より, 表面硬さによる機械的性質は α-SiCの方が優れている. s-SiCは, 480s以降,下降していく.また, 1320s以降 の表面硬さの挙動を調査する必要がある. 73 炭化珪素の繰り返しアーク加熱実験 NO.7の 70sま で ルSiCよりも強く発光している.そして NO.12の 120sでは空気アークプラズマ気流は停止している状 態で非常に明るく発光している.これは, α-SiCより熱伝 導率が低いが,高温状態から低温状態への移行が遅いと考 130 120 ω110

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80 S 70 z ω 60 50 40 0 130 えられる.画像結果から輝度値を比較した結果, α-SiCでは 最大 17165cd/m2,s-SiCでは最大 22196cd/m2となり s-SiCが 1.3倍高くなった.

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引Cの結晶構造は 3Cという立方晶から構成されて い る.一方で, α・SiCは, 六方晶など 3C構造以外の結晶構 造で構成されており,原子構造などが違う.1273K以上の 時,原子の数が多い六方晶を持つ α-SiCは s-SiCより熱伝 導率が高くなることが知られている(5) x

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実験結果より, α-SiCの方が赤くなり,高温加熱への伝 熱時間が約 10s程度速くなる.そして, NO.2以降は,時 間と共に高温加熱領域が後方へ伝播して行く.NO.12にて, アークプラズマ気流が停止した直後もかSiCの方が高温加 熱領域を示す発光現象が弱まり,熱が s-SiCより多く放出 していると考えられる.合SiC(図 4(的), s・SiC(図 4(b))共, NO.2以降, SiC表面からアーク加熱気流と異なった濃い 青色のガスが噴出していることが確認できる.これは, SiC表面から空気アークプラズマ 気流により SiやCが酸 化・昇華し,濃い青色のガスを放出していると考えられ る.そして,表面にSi02の酸化被膜が形成される. 4 x

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720 840 9印 1080 12001320 ElapsedTime, 5 (b) s-SiC 図6ショア硬さの時間履歴 図7(a)から図7(d)は, マイクロスコープによる加熱面 の表面観察の写真を示す.図7(a)と図7(b)はα・SiCの加 熱前の表面,1320s加熱後の表面を,図7(c)と図 7(d)は, s-SiCの加熱前の表面, 1320s加熱後の表面の写真を示 す.図7(a)のバージン材の場合,凹凸が殆どなく不純物 は見られない.結晶粒子が微細で表面が滑 らかである. 表面組さを計測した結果, 面の高低差は最大で 17~m と なり平滑である.図 7(b)の加熱時間 1320s後の場合, 丸 で囲んで示した部分に白い酸化被膜である Si02が全体 的に縞状に形成されている部分もあ る.結晶粒子も大 きく,凹凸も明確に確認でき,不純 物 と酸化被穫が多 く形成されている.不純物を除去した状態で表面粗さ計 測をした結果,高低差が16戸nと加 熱前より低くなって おり,空気アークプラズマ気流により表面が昇華し損 耗したと考える.丸で固まれた部分が空気の隙間であ るAirgapも確認された.これは高温加熱による消耗が 大きく,高温化での炭化珪素 の 結晶粒 子に変化が起き Tこ. 240 120 40 0 O 0.10 図

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ショア硬さ試験の計測点 図5は衝撃層内加熱面での,計測位置をプロットした 図を示す. Front fac巴は,ア ク加熱面を示し,中心を 0, 中心から 2.5mm間隔で左側を C,上部を B,右側を A,下 部を D とする.図 6(a)は, α・SiCのアーク加熱面,中心部 と中心部から上下左右 2.5mmの位置の各 11回のショア硬 さ試験の値, (b)は, s-SiCショア硬さ試験の値を示す.両 試験片は,縦軸はショア硬さHS,横軸は経過時間sであ る.アーク加熱実験時間は l回ずつ120s,合計 1320s行っ た.図 6(a)より,実験開始から 600sまでに徐々に脆くなる 傾向があり,D は 51.9HSと最小値となった.しかし, 600s以降硬度が増し, 1320sでは Osの値より, 0は7.4HS, Bは 4.5HS硬度が増していることが分かる.α-SiCは,高 温加熱をすると一時的に硬度が下がるが, 高温加熱を続 けると硬度が増し, 実験前以上の硬度を持つことがわか る.図 6(b)では, 240sから徐々に硬度が上昇して行く, 480sのときに最大値となり, 0は 110.5HS,Cは 116.2HS, Aは 113.8HS,Bは 119.0HS,Dは113.0HSとなった. しか し 480s以降硬度 は減少して行く,1080sのとき,Dは 70.3HSと最小値となり, 全体的に脆くなっている.

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愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第 17号, 2015年 (b)α-SiC(after釘cheating) (c)s・SiC(Virgin) (d)s-SiC(after archeating) 図7炭化珪素の表面観察 図 7(c)のパージン材の場合,結晶粒子が α-SiCと同様, 全体的に非常に微細となる.表面粗さ計測の結果,面の 高低差は 12凹nであった.加熱面での表面粗さは s-SiC の 方 が かSiC と比べて平滑である.図 7(d)の加熱時間 1320s後の場合,丸で示す部分に茶色や縞状白色がある. これは,アーク風洞の電極が融けて付着した銅と白い酸 化被膜が全体的に縞状に形成される(8) 凹 凸 が α-SiCの 1320s後と比べると大きくなる.表面粗さを計測した結 果,面の高低差が 20μnと加熱前と 8阿nも高くなり不純 物が多く堆積した. 図 8(a)と図 8(b)は, α-SiCとs-SiCの分光計測による黒 体放射温度の算出と理論曲線を示す.図 8(a)及び図 8(b) は, C2 Swan(0,0)(516.52nrn)で、相対値を取った,分光計測 結果と黒体放射関数の理論曲線を 500-700nrn付近で対応 させた そして,黒体の分光放射発散度をいくつかの 温度別に波長分布として示す.縦軸は,対数表示で相対 発光強度 a.u.,横軸は,波長 nmである.図 8(a)の α-SiC の 場 合 , 分 光 計 測 結 果 と の 黒 体 放 射 関 数 の 理 論 曲 線 T=2000Kと一致し,黒体放射温度は約 2000Kと推定され る.図 8(b)は, s-SiCの場合,黒体放 射関数の理論曲線 T=2300Kと分光計測結果が一致したため,黒体放射温度 は約2300Kと推定できる. 以上より s-SiCは,ルSiCと比べると表面の黒体放射温 度が約 300K高いことが分かり, s-SiCが表面からの波長に 対する放射率が高いことが分かる.また放射率が高いこ とによって波長の光が垂直に照射した場合,その光エネ ルギーを熱エネルギーとして吸収する吸収率も高くなり 熱効率が上がる,吸収されなかった光エネルギーは全て 反射文は透過して外界に逃げることから黒体放射混度も 上昇すると考えられる.

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炭化珪素の繰り返しアーク加熱実験 4.まとめ 再使用,ロケット材を模擬した炭化珪素材(α・SiC,β SiC)を空気アークプラズ、マ気流に晒し,表面のショア硬 さ,耐熱実験・マイクロスコープによる表面観察, 分光 計測による黒体放射温度の算出と影響について検証を行 い,次の結果を得た. (1)空気アークプラズマ気流におけ る 分 光 計 測 に よ る 黒 体 放 射 温 度 はα-SiC:約 2000K,か SiC:約 2300Kとなったー s-SiCは α・SiCより約 300K高い 結果となり,波長に対する放射率が高い. (2)ショア硬 さ試験による表面硬さ結果では, s-SiCは Os以降上昇傾 向になるが最大値 119.0HSを取ったのち, 480s以降下降 傾向となり,減衰率は 40.9%となった.α-SiCは,Os以降 減少傾向にあるが最低値51.9HSを取ったのち, 600s以降 上昇傾向となり,減衰率は53.2%となった. (3)表面形状は, α-SiCは加熱前に比べて商が 0.8戸n減 少 傾向となり, s-SiCは加熱前に比べて面が 8仰n増 加 傾 向 という結果となった. 議

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辞 本研究の一部は, 日本学術振興会科学研究費補助金 (慕盤研究(B)No.24360349)の助成を受けたものである. ここに感謝の意を表す. 参考文献 (1) Verant, J.L . ラPe汀on,N., Gerasimova, 0., Ba1at-Piche1in, M., Sakharov, V., Ko1esnikov, A., Chazot, O. and Oma1y, P.: Microscopic and Macroscopic Ana1ysis for TPS SiC Materia1 under Earth and Mars Reentry Conditions, 14th AlAAI AHI Space P1anes and Hypersonic Systems and Techn010gies Conference, AIAA 2006-7947, 2006. (2) akushinラM.ラGordee¥らA.,Vennemann D. and NovelliラA.: Mass 10ss of SiC s紅np1e surfaces under different flow conditionsラAIAAPaper 98司2605,1998. (3) itagawaラ K吋 Mori,Y., Yoshikaw,aN., Yasuhar,aM.,: Characteristics of High Efficiency Arc Heated Wind Tunne1,

Proce巴dingsofthe 23rd Int. Sympo. On SpaωTechn010gy and

Science, ISTS2002・e・54p,2002. (4) itagawa, K.,Ito, T. and Sakai, T.; C02 P1asmaArc H巴ating Tむtin C/C Composite Penetrated with Si1icone Oi1, Trans. Ofthe Japan Soc. Aeronautica1 and Space Sciences, Aerospace Techn010gy Japanラ12(2014)No. ists29, pp.Pe_51 -Pe 55 (5)日本学術振興会高温セラミックス材料第 124委員会編, SiC系セラミックス新材料最近の展開,内田老鶴闘ヲ p.3-8ヲ 13“15,119-129,219,343・345ラ2001. 75

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