• 検索結果がありません。

i-net57 建設・環境技術レポート&トピックス

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "i-net57 建設・環境技術レポート&トピックス"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

2 0 2 1

January

V o l . 5 7

Contents

02

航空機を用いた海域における

      

鳥類の広域分布調査

04

鳥取県皆生海岸における台風1919号による侵食の予測と対策

06

大量繁茂する外来浮葉植物の新しいモニタリング手法と対策

08

河川におけるマイクロプラスチック調査の紹介

10

PCB含有の処理対象物に対する当社の取り組み

新たな取り組み Working Report i-net Vol.57 2021年1月発行 Column Column 日本のダムには、目的に応じて多目的ダム、治水 ダム、利水ダムがあります。このうち水害対策となる 洪水調節を目的としたダムには、多目的ダム、治水 ダムがあります。一方、利水ダムは、発電、工業用 水、上水、農業用水の供給を目的としており、これま では通常洪水調節には利用されてきませんでした。 しかし、2019年11月に内閣官房に設置された関係 省庁による「既存ダムの洪水調節機能強化に向け た検討会議(以下、検討会議)」では、利水ダムにも 洪水調節機能を発揮させる運用について検討され ました。 こうした動きの背景には、最近のわが国での水害 の激甚化、治水対策の緊要性、ダム整備の地理的 な制約等があります。「平成30年7月豪雨」では、前 線や台風第7号の影響によって西日本を中心に全 国的に広い範囲で記録的な大雨となり、河川の氾 濫、浸水害、土砂災害等が発生して甚大な災害と なりました。また、2019年10月の「令和元年東日本 台風(台風第19号)」では静岡県、新潟県、関東甲 信地方、東北地方で記録的な大雨となり、広い範囲 で河川の氾濫が相次いだほか、土砂災害や浸水害 が発生しました。1時間降水量80mm以上の「猛烈な 雨」の発生回数をみても、近年10年間(2010~ 2019年)の平均年間発生回数は、35年前の10年 間(1976~1985年)の平均発生回数の約1.7倍に 増加しています。 現在稼働しているダムは全国で1,470か所ありま す。このうち一級水系には、多目的ダムが335か所、 利水ダムが620か所、合計955か所のダムがありま すが、これらのダムの有効貯水容量のうち、洪水調 節に使える容量は約3割でした。検討会議では、利 水ダムでも事前放流を行うことにより、洪水調節に使 えるダム容量を増加させること等が検討されました。 2019年12月12日に、検討会議は「既存ダムの 洪水調節機能の強化に向けた基本方針(以下、基 本方針)」を定めました。基本方針では水系ごとの治 水協定の締結、事前放流等に関するガイドラインの 整備と操作規程等への反映、工程表の作成を行う ことになっています。 治水協定は、一級水系を対象に河川管理者であ る国土交通省と全てのダム管理者および関係利水 者との間で水系ごとに協議の場を設けて締結し、連携 してダムの統一的な運用を図ることとされています。 2020年6月時点で、一級水系でダムのある99水系 全てにおいて治水協定が締結され、ダムの有効貯 水量のうち、洪水調節に使える容量がそれまでの約 3割(46億m3)から約6割(91億m3)へと倍増する見込 みとなりました。「令和2年7月豪雨」の際には、河川 水量の削減等、この治水協定にもとづく運用の成果 がみられたとの報告もあります。 事前放流ガイドラインは、2020年4月22日に策定 されました。事前放流の基準等の設定方法、ダム水 位が回復しなかった場合の対応、管理体制等が記 載されており、治水協定にもとづく事前放流操作等 の指針となっています。こうした取り組みは、都道府 県管理のニ級水系についても、緊要性に応じて順次 実施していくことになっています。 当社は気象予報を行う日本で最初の民間会社と して創業し、多目的ダムでの洪水調節に関する業務 を実施してきました。最近ではAIを活用したダムへの 流入予測等にも取り組んでいます。これらの知見を 利水ダムを活用した洪水調節機能強化の業務に活 かし、住民が安心して暮らせる社会の実現に貢献し たいと考えています。

利水ダムの洪水調節機能強化に向けた取り組み 

【参考資料】 1) 気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html 2) 首相官邸Webサイト「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」 建設・環境技術レポート&トピックス

(2)

図1 風力発電における鳥類のセンシティビティマップ(海域版)※(2019) 凡例 注意喚起レベル5 注意喚起レベル4 注意喚起レベル3 注意喚起レベル2 注意喚起レベル1 注意喚起レベル低(枠あり白色) 情報なし(枠なし透明) 写真1 当社所有機体 注意喚起メッシュは保護区等、 海鳥の集団繁殖地、海鳥の洋上 分布の3つの構成要素から作成 しています。 国土環境研究所 自然環境保全部 萩原 陽二郎、堀江 源、小村 健人、横山 陽子、国土環境研究所 田悟 和巳、 沖縄支社 環境調査部 航空調査チーム 髙野澤 均

航空機を用いた海域における鳥類の広域分布調査

分布状況を定量的に明らかにした国内初の事例です。

はじめに 鳥類の集団分布地に風力発電施設を建設した場合、 風車への衝突(バードストライク)など鳥類への影響が懸 念されます。風力発電事業を適正に推進していくために は、鳥類への影響が懸念される地域での事業計画の回 避や低減が必要とされます。 環境省では、鳥類に配慮した洋上風力発電施設の事 業計画の立案に貢献することを目的として「風力発電に おける鳥類のセンシティビティマップ(海域版)」を2019年 度に公表しました(図1)。このセンシティビティマップ(海域 版)では、鳥類への影響を考慮すべき区域(注意喚起メッ シュ)を確認することができます。このセンシティビティマッ プを作成するためには日本沿岸の海鳥分布状況のデー タが必要でしたが、海鳥の洋上分布に関する情報は、断 片的なものしか存在していませんでした。そこで、広域調 査に適するとされる小型航空機を用いて、日本の周辺海 域における海鳥の分布調査を行いました。本稿ではこの 結果を紹介します。 調査海域 飛行制限区域やオホーツク海および瀬戸内海を除く 日本の周辺海域を対象とし、沿岸域調査と重点海域調 査を行いました。沿岸域調査は、海岸線に沿って岸から 1kmと3kmに調査測線を設定して実施し、総調査距離は 約48,000kmになりました。重点海域調査は、鳥が大規 模に集結する地域や洋上風力発電事業が計画されてい る地域を対象として実施しました。重点海域として16海域 を選定し、水深200mまでの範囲に2~4本の調査測線を 設定しました。総調査距離は約13,000kmとなりました。 調査方法 (1)使用機体 現地調査には、当社の所有機体(テキストロン社製 T206H セスナTurbo Stationair(JA35DR))等を使用しま した(写真1)。同時期に複数海域で調査を実施したため、 最大で3機を同時に運航して調査を行いました。 (2)調査距離・調査費用 1日に調査可能な距離は、小型航空機は約1,300km、 船舶では約180kmであり、小型航空機は船舶の約10倍 の距離を調査することが可能です。小型航空機の運航費 用は船舶よりも高額ですが、調査距離が数百kmに及ぶ 広域となる場合は、船舶を用いるよりも小型航空機を用 いた方が安価に調査することが可能です。 (3)調査時期 調査は2018年8月~2020年1月に行いました。沿岸 域調査は春季、秋季および冬季の3回、重点海域調査 は海域の特性に合わせて1~3回実施しました。 ※本調査は、環境省自然環境局野生生物課からの委託業務「平成30年度及び平成31年度 洋上風力発電施設の立地検討のためのセンシティビティ マップ作成等委託業務」において実施しました。

(3)

図2 確認個体数密度の調査イメージ 視野範囲(W km) 調査測線(L km) B種確認位置 A種確認位置 2次メッシュ(約10km×10km) 写真2 ウミネコ(左)とオオミズナギドリ(右)の群れ 個体数密度(個体/km2) 凡例 100以上 10~100 1~10 0.1~1 確認なし 等深線 水深200m N 0 100km 図3 北海道地域における海鳥の確認個体数密度 (4)現地調査 航空機は高度150mを時速185kmで飛行しました。調 査員2名が左右に搭乗し、それぞれ機体の窓から約50~ 約450mまでの範囲の鳥類を観察しました。鳥類の確認 位置はGPSで記録し、確認した鳥類の種名(特定できない 場合は分類群)、個体数(概数)、行動、飛翔高度を記録 しました。また、可能な限り個体の写真撮影を行い、種の 同定を行いました。 (5)海域における分布の評価 海域における海鳥の分布状況は、標準2次メッシュ (10km四方のメッシュ)で評価しました。調査面積は、各 メッシュ内の調査測線長(L km)と視野範囲(W km)の面 積から算出しました(図2)。メッシュ内の確認個体数をもと にメッシュごとの種別の確認個体数密度を算出しました。 なお、同一海域を複数回調査している場合は、個体数 密度が高い時期の結果をもとに評価しました。 調査結果 (1)確認種 カモ科、カイツブリ科、ウ科、アビ科、アホウドリ科、ミズ ナギドリ科、ウミツバメ科等の7目13科53種の海鳥を、累 計295,091個体確認しました(写真2)。アカエリヒレアシシ ギ、ハイイロウミツバメ等の小型海鳥も識別することができ ました。 (2)海域における海鳥の分布 日本周辺海域で海鳥が多く分布している海域は、十 勝沖、鹿島~千葉沖等であることが明らかとなりました (図1、図3)。また島根県沖(5月)、稚内沖(7月)、函館沖 (12月)等、時期により個体数密度が高くなる海域がある こと、紀伊半島~四国沖の海域は全期間をとおして個体 数密度が低い海域であること等が明らかとなりました。 本手法の活用により、これまで調査されていなかった 「日本周辺海域における海鳥の分布」を明らかにすること ができました。この結果は、統一手法により行われている ため、日本の周辺海域における海鳥の全体分布を定量 的に比較することができる初めての事例です。 おわりに 小型航空機を用いた海鳥の調査は、海外の洋上発電 事業等ですでに実施されています。本調査では日本の 航空法にもとづいた飛行高度で調査を実施しましたが、 海外事例と同様に海鳥の分布を把握できることがわかり ました。本手法は、今後増加すると想定される外洋での 洋上風力発電事業等に活用できると考えられます。 〔参考文献〕

1) Camphuysen et al.(2004), Towards standardized seabird at sea census techniques in connection with environmental impact assessments for offshore

windfarms in the UK, NIOZ report to COWRIE (BAM‒02-2002), Texel.

2) Perrow(2019), Wildlife and Wind Farms, Conflicts and Solutions, Volume4, Offshore: Monitoring and Mitigation, Pelagic Publishing

※「環境アセスメントデータベース」(環境省)に収録された「風力発電における

鳥類のセンシティビティマップ(海域版)」を加工して作成

(https://www2.env.go.jp/eiadb/webgis/)

(4)

図1 皆生海岸の位置 大山町 境港市 米子市 島根県 淀江漁港 境港 美保湾 日本海 中海 日 野 川 皆生温泉 皆生海岸 境港 工 区 富益 工区工区夜見両三柳 工区 皆生工区 弓ヶ浜半島 鳥取県 直轄工事区域L=10,620m 富益波浪観測所 日吉津波浪観測所 境検潮所 鳥取県 岡山県 広島県 島根県 山口県 皆生海岸 日野川 ■広域図 日本海 図2 台風1919号襲来時の観測波浪 10/11 10/12 10/13 10/14 10/15 有義波周期(s) 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 有義波高(m) 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 日吉津有義波高(m) 日吉津有義波周期(s) 富益有義波高(m) 富益有義波周期(s) 既往最大波高:6.34m 計画周期:10.4s 写真1 台風1919号襲来後の浜崖形成(皆生工区)

鳥取県皆生海岸における台風1919号による侵食の予測と対策

社会基盤本部 国土保全事業部 海岸部 口石 孝幸、吉松 健太郎 はじめに 国内の海岸侵食は、太平洋側では台風時の高波浪、 日本海側では冬季波浪の作用により発生するとされてい ます。本業務の対象である皆生海岸は日本海側に位置 し(図1)、冬季波浪による汀線後退・は ま が け浜崖形成等の海岸 侵食被害が発生してきました。そのため、1960年4月に 全国で最初に直轄海岸工事区域に指定され、突堤、離 岸堤、人工リーフおよび養浜等の侵食対策事業が進めら れてきました。しかし、近年、台風の強大化等の影響によ り、2017年の台風第21号など太平洋側を通過する台風 の波浪によっても、皆生海岸では広範囲にわたり汀線後 退や浜崖形成が発生しています。 本稿では、2019年10月に襲来した台風1919号と過 去の台風の類似性に着目し、台風1919号襲来時の皆 生海岸における外力特性および海岸侵食被害と、予防 保全対策として台風襲来前に実施した事前養浜土砂の 効果について考察しました。 台風特性と襲来時の類似性 (1)台風1919号の台風特性と襲来時の観測波浪 皆生海岸では、日吉津波浪観測所、富益波浪観測所 の2地点で波浪観測が実施されています。台風1919号 襲来時の観測結果を図2に示します。なお、日吉津波浪 観測所では10月12日15時40分以降波浪データが欠測 でした。日吉津波浪観測所では欠測までに有義波※1 H1/3=4.57m(有義波周期T1/3=10.1s)が観測されました。 富益波浪観測所では、2000年の観測開始以来、最高と なる有義波高H1/3=5.20m(有義波周期T1/3=10.7s)を記 録し、計画周期(10.4s)を超える有義波周期T1/3の波浪 が28時間にわたり継続して観測されました。 この台風1919号による高波浪によって、皆生工区お よび富益工区の人工リーフ周辺海域で浜崖形成が発生 したことが確認されています(写真1)。 (2)台風1919号と過去の台風との比較 日本に接近または上陸した近年10年間の台風を対象 に台風経路(図3)、潮位、波浪を収集し、台風1919号と の類似性に着目して整理しました。その結果、台風1919 号と同様の特徴が台風1326号、台風1721号※2で確認さ れました(図4)。これらの台風は、過去に皆生海岸で汀線 後退・浜崖等の侵食被害を発生させています。 ※本事例は、国土交通省中国地方整備局日野川河川事務所発注の委託業務のなかで実施した内容の一部です。 2019年10月の台風第19号(以下、台風1919号)襲来にあたって、過去の台風との類似性に着目して台風1919号 による高波浪や海岸侵食の危険性を予測し、発注者へ情報提供を行いました。この予測を受けて事前対策(養浜)が 実施され、被害防止に役立てられた事例について紹介します。 〔注〕 ※1 有義波:一定時間に観測された波を大きさ順に並べ大きい方から1/3までを平均した波 ※2 台風1326号:2013年台風第26号、台風1721号:2017年台風第21号

(5)

図3 台風1919号および過去の台風の経路 120° 130° 140° 150° 160° 50° 40° 30° 20° 青線:台風1326号 黒線:台風1721号 赤線:台風1919号 図4 過去の台風(1721号)襲来時の観測波浪 有義波周期(s) 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 有義波高(m) 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 10/22 10/23 10/24 10/25 10/26 10/27 日吉津有義波高(m) 日吉津有義波周期(s) 既往最大波高:6.34m 計画周期:10.4s 図5 事前養浜実施の有無による砂浜幅、うちあげ高の違い 22.5 29.8 15.0 2.79 2.34 3.14 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 うちあげ高(T.P.m) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 砂浜幅(m) ①台風襲来後の 地形 ②事前養浜 完了時の地形 ③事前養浜 未実施の地形 砂浜幅 うちあげ高 防護上必要な砂浜幅:20m 注:砂浜幅①は実測地形、②③は想定地形。うちあげ高はすべて計算値 皆生海岸に侵食被害をもたらしたこれらの台風に共通 する特徴は、①関東地方を通過し勢力が強く、規模が大 きな台風であること、②日本海側は一時的に西高東低の 気圧配置となっており、強い北寄りの風が発生したこと、 ③台風襲来後から長い周期の波浪が長時間観測されて いることです(図2、図4)。以上より、関東地方沿岸を通過 または接近時の台風の中心気圧が950hPa程度、米子の 気圧が約1,000hPa程度であり、強風域半径600km以上 の場合、日本海側に位置する皆生海岸でも大きな地形 変化を引き起こす可能性があると推測しました。 情報提供による対策と結果 台風1919号の進路予測や中心気圧等に、顕著な海 岸侵食を引き起こした過去の台風との類似性がみられた ことから、災害が発生する危険性があると判断しました。 そのため台風襲来前の10月9日に、台風に伴う高波浪の 襲来予想と海岸侵食の可能性等の情報を整理した資料 を作成し、日野川河川事務所に提供しました。日野川河 川事務所では台風期に備えて養浜の準備をしていたこと から、この情報を受けて予防保全対策として、砂浜が減 少していた富益工区の波浪観測所局舎周辺に3,000m3 の事前養浜を実施しました。 事前養浜の効果を定量的に把握するため、台風襲来 中に富益波浪観測所で観測した最大波浪と潮位を用い て波のうちあげ高を計算しました(図5)。その結果、事前 養浜を実施したことにより、養浜未実施の場合と比較して うちあげ高が0.80m下がり、その効果が確認できました。 富益工区の防護上必要な砂浜幅(防砂林から汀線まで) は、20mと設定されています。事前養浜を実施したことで、 台風襲来後の地形では、砂浜幅20m以上を確保するこ とができたと考えられます。一方、事前養浜が未実施だ った場合、近年の大型台風襲来時に発生している侵食 被害の状況から、防護上必要な砂浜幅20mを下回る侵 食が発生する可能性があったと予想されます。 おわりに 過去の台風との類似性に着目して台風1919号による 高波浪や海岸侵食の危険性を予測し、情報提供しまし た。この情報を受けて、予防保全対策として事前養浜が 実施されました。事前養浜の実施により、砂浜幅減少の 抑制、うちあげ高の低減効果が確認できました。また、過 去に皆生海岸で著しい海岸侵食を引き起こした台風およ び台風1919号の情報から、日本海側の海岸でも大きな 地形変化を引き起こす可能性がある台風の条件を明ら かにしました。今後、皆生海岸に代表される山陰地方の 砂浜に対して今回の知見を活用し、台風規模・進路に応 じた海岸災害への事前対策の検討に役立てていきます。 〔参考文献〕 1) 神庭治司, 岩田学, 今本真也, 黒岩正光, 口石孝幸, 加藤憲一, 吉松健太郎, 小坂田祐紀(2019), 皆生海岸富益工区における人工リーフの改良効果の分析, 土木学会論文集B2(海岸工学), Vol.75 No.2, pp.I_619-624

2) 小坂田祐紀, 口石孝幸, 加藤憲一, 吉松健太郎, 黒岩正光, 神庭治司, 土井優作, 大賀祥一, 西博之(2020), 皆生海岸における台風1919号による海岸浸食被害と事前養浜の必要性に ついての考察, 土木学会論文集B2(海岸工学), Vol.76 No.2, pp.I_553-558

(6)

図1 調査水域位置図 沖縄本島 那覇市 天願川 N :調査水域 写真1 ボタンウキクサ 写真2 定点観測用カメラで撮影した外来浮葉植物の移動状況 上流 下流

大量繁茂する外来浮葉植物の新しいモニタリング手法と対策

沖縄環境調査株式会社 環境技術・化学部 金城 樹、萩原 一貴、いであ株式会社 沖縄支社 生態・保全部 平中 晴朗 はじめに (1)調査水域の概要 天願川は、沖縄県うる ま市および沖縄市の住宅 地 や 米 軍 基 地 、 農 地 を 流れる延長11.9kmの二 級河川です(図1)。河口 近くには堰が設置され、 平常時には堰直上は農 業用水を貯水している水 域(湛水域)となっています。 その湛水域には、外来浮葉植物であるボタンウキクサ (写真1)とホテイアオイが高密度に繁茂しています。岸辺 にはイネ科の抽水植物群落が形成されていますが、外来 浮葉植物はその群落内にも絡まるように隠れています。 (2)河川管理における問題点 外来浮葉植物の大量繁茂によって、以下のような問 題が懸念されることから、除去・処分が頻繁に実施され ています。毎年数千万円の費用がかかっており、管理者 の大きな負担になっています。 ・河口部の海岸で大量漂着し、悪臭等の環境悪化 ・取水施設での取水および通水の阻害 ・大量に枯死、腐敗することによる水質悪化 ・水面を覆うことで水中光低減による生態系の変化 外来浮葉植物の除去作業では、水面に漂う個体は小 型船とユニック車(クレーン付きトラック)で陸上に取り除か れます。岸辺の抽水植物群落内の個体については、人 力採取により除去されますが、採取しきれずに取り残され る個体も多くみられます。効果的な駆除対策を行うため には、外来浮葉植物の繁茂の原因を把握する必要があ ります。 本稿では、外来浮葉植物の個体群動態を知るために 行った新しいモニタリング手法と、その結果をもとに提案 した対策をご紹介します。 コストを抑えた新しいモニタリング手法 広範囲に及ぶ外来浮葉植物の動態を知るためには、 多地点・同時期・高頻度で観察することが必要です。人に よる観察では高コストとなることが想定されたため、設定し た時間間隔で連続して自動撮影を行う定点観測用カメラ (タイムラプスカメラ)を活用し、コストの低減を図りました。 定点観測用カメラは、外来浮葉植物の生育範囲の上 流・中流・下流の3か所に設置し、一定間隔で河川水面 の状況を撮影・記録しました(写真2)。 モニタリング結果 撮影した画像を目視して水面を外来浮葉植物が覆う 割合を5段階で評価し、数値化しました。また、浮遊して いる外来浮葉植物を時間を追って観察し、上流方向、下 流方向への移動を記録しました(図2)。 ※本手法は、沖縄県中部土木事務所からの委託業務で実施しました。 ダム、河川のような湛水域では、水面を漂って生育する外来種の浮葉植物が大量に繁茂して水質の悪化や通水障 害などの問題を引き起こす事例が知られています。ここでは、沖縄本島中部を流れる天願川において実施した新しい モニタリング手法と対策を紹介します。

(7)

図2 定点観測用カメラの画像による外来浮葉植物の動態例 【夏季(2018年7~8月)、上流部】 0 1 2 3 4 5 7/19 7/20 7/21 7/22 7/23 7/24 7/25 7/26 7/27 7/28 7/29 7/30 7/31 8/1 8/2 8/3 8/4 8/5 8/6 8/7 8/8 8/9 8/10 8/11 8/12 8/13 8/14 8/15 8/16 8/17 8/18 8/19 8/20 8/21 撮影日 浮葉植物量 浮葉植物の移動状況 上流へ移動 下流へ移動 降雨が観察されたことを示す 浮葉植物量:水面を浮葉植物が覆う割合を示す 5:3/4以上、4:1/2以上、3:1/4以上、2:1/10以上、1:1/10未満、0:ほとんどなし 浮葉植物の移動状況を示す 凡例 降雨 写真3 設置したフロートフェンス フロートフェンス フロートフェンス 上流 下流 下流 写真4 抽水植物帯の除去の様子(左:除草前、右:除草後) 除草前 除草後 外来浮葉植物の 上流への移動が 抑制されている (主にボタンウキクサ) 平常時には、外来浮葉植物は風向きによって、上流ま たは下流に集積し、その後、短期間のうちに高密度繁茂 域が形成されました。大雨等の出水時には、外来浮葉植 物は短時間で流下し、水面の被覆が解消されました。 外来浮葉植物は、短期間に高密度繁茂域を形成した ことから、単に多く集積しただけでなく、その後の増殖速 度が大きいことが推定できました。このことから、高密度に 集積することによって更に大繁茂を生じるという生態的特 性を持つ可能性が考えられました。 実施した対策 収集した情報と前述の実態把握結果を踏まえ、以下 のように複数の対策を提案しました。実行された結果、効 果が確認されました。 【拡散の防止】 ・外来浮葉植物の拡散をフロートフェンス設置によって抑 制し、密集群を形成させず、大量繁茂させない(写真3)。 【滞留の抑制】 ・外来浮葉植物繁茂の温床となる抽水植物群落の除去 により、滞留を抑制する(写真4)。 【除去作業の効率化】 ・前述のフロートフェンス設置等により、除去作業の効率 化を図る。 おわりに 定点観測用カメラによる自動撮影を利用した植物のモ ニタリングはこれまでにも例がありますが、記録を数値化 して解析した手法は、新規性の高いものです。本手法を 応用生態工学会の第23回全国大会で発表しました1) これまで、外来植物の繁茂対策は現地での目視に頼 って行われてきましたが、本手法を使うことによって撮影 された画像による定量的な把握が可能となります。他の 種にも適用可能であり、外来植物の早期駆除に活用でき ると考えられます。 〔参考資料〕 1) 平中晴朗, 萩原一貴, 金城樹, 山本一生, 照屋寛之, 山城正将, 富原守秀(2019), 沖縄県都市河川における自動撮影カメラを用いた外来性の浮葉植物のモニタリング 手法と繁茂の仕組み, 応用生態工学会第23回広島大会 Working Report

(8)

図1 河川から海洋へのMP移送概略図 河川は陸域で発生したMPの 主要な移送経路

河川におけるマイクロプラスチック調査の紹介

環境創造研究所 環境生態部 吉成 暁、吉里 尚子、環境創造研究所 環境化学部 森 大樹、 国土環境研究所 環境技術部 大野 順通、国土環境研究所 環境調査部 佐々木 倫彦  はじめに 近年国際社会で問題となっている重要課題の一つに 海洋プラスチック汚染が挙げられます。 プラスチックは軽く丈夫で、私たちの生活に欠かせな いものですが、その一方で自然分解が進まず、ゴミとして 廃棄されたうちの一部は埋め立て・投棄されています。 現在、プラスチックは増加の一途を辿っており、世界経済 フォーラムは、プラスチックごみが現在のペースで排出さ れ続けると、2050年までに魚の量を上回るとの試算を発 表しました1)。SDGsにおいても2025年までに海洋ごみを 含めた海洋汚染の防止と大幅な削減が盛り込まれてお り、世界各国の早急な対応が求められています。 プラスチックごみのうち、大きさが5mm以下のものはマ イクロプラスチック(以下、MP)と呼ばれています。MPはサ イズが小さく、環境中からの回収が困難で、今後も増加し 続ける可能性が指摘されているほか、生物の体内に混 入し易いと考えられています。さらに環境中での残留性、 生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性 が懸念される残留性有機汚染物質(POPs)を吸着して、 その移送媒体となることも報告されており、私たちの生活 や自然生態系に与える影響が懸念されています。 MPの存在が明らかになって以来、海洋において分布 や量等の実態把握調査が実施され、沿岸域における分 布状況等が少しずつ明らかになってきました。今後はMP の実態調査に加えて、人の経済活動とプラスチック量の 関係や、陸域から海洋へのプラスチック移送ルート、移 送量等の解明を目的とした調査が必要と考えられます。 河川は陸域で発生したMPの主要な移送経路の一つと 考えられ(図1)、河川におけるMPの分布や量を把握する ことは、海洋へのMPの移送実態の解明につながると期待 されます。 社会的にMPへの関心が高まるなか、当社では2019 年に環境省発注による河川のMP調査業務を実施するこ とができました。 環境省発注による河川のMP調査業務の紹介 本業務では、MP調査を実施する河川や調査地点の 選定方法の検討、MPの採取・分析方法の検討、現地調 査、調査対象河川の流域背景資料の収集・整理等複数 の項目を実施しましたが、このなかから採取方法の検討 と調査結果の一部について紹介します。 なお、業務で実施した内容は、業務のなかで設置・運 営されたMPの専門家から構成される検討会において確 認や検討された方法で実施されました。 (1)採取方法の検討 国内では河川におけるMPの調査方法が定められてい ないことから、本業務ではMPの採取方法について検討を 行いました。 環境省が作成した「漂流マイクロプラスチックのモニタリ ング手法調和ガイドライン」2)ではMPの採取にニューストン ネットやマンタネットの使用が推奨されています。しかし、 ニューストンネットは網口が75cm×75cmと大型で、河川 の浅い場所等での採取には不向きです。 本業務ではニューストンネットより少し小さい、河川底生 動物調査に利用されている網口50cm×50cmの方形の サーバーネットを、MPの採取を考慮した目開きの網に張り 変えて使用しました(写真1)。このほか、検討会の意見を 参考に流速が遅い地点でも、ろ水量が測定できるよう低 速ろ水計(写真2)を採用する等、河川調査に適した工夫 を行いました。 なお採取した試料は、前述した検討会で確認 ・ 検討 された方法で前処理、分析を実施し、MP個数密度やMP の種類、形態等についての結果を得ました。 マイクロプラスチック問題は、国際社会が協力し合い解決していくべき重要課題の一つです。レジ袋の有料化や一部 外食産業におけるプラスチック製品の使用削減など、私たちの生活にも変化が現れています。本稿では当社が経験し た河川におけるマイクロプラスチックの分布実態調査について紹介します。

(9)

9 図2 鶴見川水系におけるMP個数密度 0 10km 麻生川 真福寺川 早渕川 大熊川 鳥山川 矢上川 恩田川 <鶴見川> 麻生橋 <鶴見川> 臨港鶴見川橋 <鶴見川> 亀の子橋 <鶴見川> 落合橋 <恩田川> 都橋(本川合流前) <恩田川> 都橋(都県境) <鶴見川> 八坂橋 鶴見川 恩田川 1.68 4.25 3.08 5.95 10.18 8.33 12.88 :鶴見川 :恩田川(支川) 単位 :個/m3 図3 形態別MP個数密度 個数密度(個数/m3 <鶴見川> 八坂橋 <鶴見川>麻生橋 <恩田川>都橋 (都県境) <恩田川> 都橋 (本川合流前) <鶴見川> 落合橋 <鶴見川>亀の子橋 <鶴見川>臨港 鶴見川橋 上流 中流 下流 0 2 4 6 8 10 12 14 破片状 発泡スチロール 繊維状 マイクロビーズ 写真1 採取に使用したサーバーネット改変ネット 写真2 低速ろ水計 写真3 顕微IR (2)調査結果 本業務では2019年の9月と12月に鶴見川と荒川の2 河川で現地調査を実施していますが、ここでは鶴見川に おける12月の調査結果について紹介します。 図2に示す数値は調査地点における河川水1m3あたり のMP個数密度(2回採取の平均値)を表しています。本調 査では鶴見川の八坂橋から落合橋、支川である恩田川 の都橋(都県境)から都橋(本川合流前)に下るにしたがっ てMP個数密度が高くなっていました。 図3は形態別MP個数密度を示しています。鶴見川では 破片状や繊維状のプラスチックが多いことがわかりました。 このほか、MPの組成を分析したところ、すべての地点 においてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエ チレンテレフタレート、ナイロンが確認されました。 おわりに 当社は、本業務を経験することで、河川のMP調査に 必要となるさまざまな知見を得ることができました。今後 はこれらの経験や知見を活かし、効率的で正確性の高い 調査を行うことにより、河川におけるMPの実態の解明に 取り組んでいきたいと考えています。 また近年、一般的なネットでは通過して捕集ができな い100μmよりも小さいMPを対象とした研究結果が報告さ れています。当社でもこれら調査ニーズに対応するため、 赤外顕微鏡ユニットが付属した赤外分光光度計である 顕微IR(AIM-9000:島津製作所)を導入し、微細なMPの 分析を開始しました(写真3)。 既存の分析に、顕微IRによる分析を組み合わせること で、より詳細な環境中のMPの実態把握や、生体への影響 等に関する調査研究に貢献していきたいと考えています。 〔参考文献〕

1) Ellen MacArthur Foundation(2016), The new plastics economy, rethinking the future of plastics. World Economic Forum: Switzerland.

2) Michida et al.(2020), Guidelines for Harmonizing Ocean Surface Microplastic Monitoring Methods Version 1.1. Ministry of the Environment Japan: 74 pp.

(10)

写真1 PCB廃棄物例(左:コンデンサ※2、右:感圧紙) 写真2 高速GCカラムRapid-MS PCB     (通常の測定時間の1/10(5~6分)でPCBの測定が可能)

PCB含有の処理対象物に対する当社の取り組み

九州支店 環境調査・化学部 山内 慎、環境測定事業本部 廃棄物・土壌汚染対策事業部 新宅 秀昭、 環境測定事業本部 環境化学部 日比 敦朗、大阪支社 環境化学部 橋 則江、東和環境科学株式会社 環境部 天満 尚治 はじめに ポリ塩化ビフェニル(以下、PCB)は1881年に初めて合 成され、1929年にアメリカで商業生産が開始されました。 絶縁性、不燃性等に優れた特性を有することから、熱媒 体やトランス・コンデンサ用の絶縁油を始め、塗料や感圧 複写紙等幅広い分野でさまざまな用途に使用されてきま した。 しかし、1968年のカネミ油症事件※1の発生を契機にそ の毒性が社会問題化し、日本では製造や新たな使用が 禁止されています。 PCB廃棄物について、2001年に制定されたポリ塩化ビ フェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置 法(以下、PCB特別措置法)にもとづき、2016年を期限と する処分(無害化)が始まりましたが、処理に時間を要す ること、PCB廃棄物の絶対量が増えたこと等により、2012 年には計画的処理完了期限が延長されました。 また、2016年にPCB特別措置法が改正され、新たに 2027年3月末日を期限とする「処分期間」が設定されま した。しかし、PCB廃棄物の絶対量が増えていることから、 上記期限内に高濃度PCB廃棄物の処理ができるかが大 きな問題となっています。 PCB廃棄物 PCB廃棄物とは、PCBそのもの、PCBを含む油または PCBを含む油が塗布され、染み込み、付着し、もしくは封 入されたものが廃棄物となったものです。主なPCB廃棄 物としては、トランス・コンデンサ用の絶縁油、橋梁等構 造物の塗膜および感圧紙等があります(写真1)。 PCB廃棄物は、PCB濃度により高濃度PCB廃棄物およ び低濃度PCB廃棄物に分類されます。高濃度PCB廃棄 物は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)、低濃 度PCB廃棄物は無害化処理認定施設等において処理さ れます。PCB濃度により処理方法が異なるため、PCB廃 棄物中のPCB濃度を測定することは重要な手続きとなり ます。 PCB問題に対する当社の取り組み (1)絶縁油中のPCB分析 2002年に、1972年以降に製造されPCBを使用してい ないとする電気機器等のなかに、非意図的に微量のPCB (数~数十mg/kg)が混入した絶縁油を含むものが存在 することが判明しました。そのため絶縁油中のPCBを測定 し、汚染機器等を安全・確実に処理することが急務になり ました。 当時の公定法では分析費用が高額かつ分析に時間を 要すことから、分析精度が担保されつつ短時間かつ安価 な費用で測定できる測定法の確立が必要でした。 これらの問題に対応するため、当社では以下の測定法 を開発し、環境省の「絶縁油中の微量PCBに関する簡易 測定マニュアル」に採用されました(i-net Vol.25掲載)。 ・高速ガスクロマトグラフ法(写真2) ・トリプルステージ型ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS/MS)法 ・PCBの一部化合物濃度から全PCB濃度を計算する方法  (13成分計算方法) ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、1972年以降製造や新たな使用が禁止され、廃棄物は無害化処理を行うことが定め られています。しかし、国が定める処理期限に対して、絶縁油や塗膜といったPCB含有の処理対象物が当初見積もった 量より増加している問題があります。

(11)

11 写真3 PCB前処理の自動化装置 写真4 PCB測定装置(高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計) 図1 塗膜PCBの同族体組成の一例 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

MoCB DiCB TrCB TeCB PeCB HxCB HpCB OCB NCB DCB

ng/g KC-500およびKC-600を 混合させた組成に近い また、絶縁油中のPCB分析作業の自動化、効率化を 図るため、2016年に当社でアーム型ロボットによるPCB前 処理の自動化装置を設計・開発しました。この自動化装 置により、年間2,000検体程度の前処理を実施していま す(写真3)。 (2)塗膜中のPCB分析 全国の橋梁等の構造物のうち高度経済成長期に建設 されたものが約30%(4~5万橋)存在し、当時の塗装が 残っているものが数多くあります。当時の塗膜の一部には PCBが混入していることが指摘されています。環境省でも 全国調査を実施していますが、2020年1月の時点で対 象施設の8%しか調査されていません※3 橋梁等の維持管理に伴う塗膜剥離作業やその処理に あたっては、労働安全衛生法や廃棄物処理法に従った 取り扱いが必要となります。 当社には化学部門による分析だけでなく、橋梁部門、 調査部門等があります。これらの部門が連携して塗膜の 分析方法や試料採取方法の検討を行い、調査から分析 までの方法を確立させることができました。 また、30年前より培ってきた高分解能ガスクロマトグラ フ質量分析計(写真4)を用いたPCB分析のノウハウを活 用し、同族体組成※4を調べることでPCBの由来を推定す ることが可能です(図1)。 橋梁等塗膜の採取方法の検討・実施、PCB測定・評 価・処理方法の提案まで、一括したコンサルティングを行 うことができます。 (3)感圧紙中のPCB分析 PCB入り感圧紙は伝票、帳票類として過去に大量に使 用され、保管書類等の形で、かなりの量が事業者のもと に存在しています。処理を行うにあたっては、PCB含有量 を測定し、濃度を把握する必要があります。当社はNPO 法人環境測定品質管理センターに「試料採取及び分析 機関」として登録し、分析を実施しています。 おわりに PCB廃棄物については、処理対象物の増加および行 政機関等による掘り起こし調査の結果から、処理期限(高 濃度PCB廃棄物:2024年、低濃度PCB廃棄物:2027年) を超過する可能性が出てきています。この問題に対応す るために発生する業務への取り組みが必要となります。 いであグループでは各部門が連携を図り、PCB廃棄物 の処理問題について全社体制で対応してまいります。 〔参考資料〕 1) 環境省Webサイト ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト http://pcb-soukishori.env.go.jp/ 2) 厚生労働省Webサイト カネミ油症について ~正しく知る。温かく支える。~ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kenkoukiki/kanemi/ 3) 環境汚染物質の同族体・異性体組成情報データベース http://risk.kan.ynu.ac.jp/21coe_database/ 〔注〕 ※1 1968年10月、西日本を中心に広域にわたって発生したライスオイル(米ぬか油)による 食中毒事件 ※2 出典:「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて」(環境省) ※3 2020年1月16日読売新聞第1面参照 ※4 同族体:一つの一般式で示すことができ、化学的性質が互いに類似した一連の有機化合物。 PCBは、塩素数により、10個の同族体がある。 Working Report

(12)

お問い合わせ先 人と地球の未来のために JANUARY 2021 Vol.

57

(2021年1月発行) 編集・発行:いであ株式会社 経営企画本部企画部 〒154-8585 東京都世田谷区駒沢3-15-1 TEL. 03-4544-7603 , FAX. 03-4544-7711 https://lifecare.ideacon.co.jp/

お申し込みは、Webショップから

「お部屋の健康診断」

してみませんか?

ホコリや汚れの中に存在するダニ・花粉などのDNA量を 測定して、お部屋の衛生状態を評価します。 お客様の状況に合わせた診断プランを用意しております。 詳しくは下記のウェブサイトをご覧ください。 電話:03-4544-7600 電話:045-593-7600 電話:054-622-9551 電話:06-7659-2803 電話:0980-52-8588 電話:06-4703-2800 電話:098-868-8884 電話:011-272-2882 電話:022-263-6744 電話:024-531-2911 電話:025-241-0283 電話:052-654-2551 電話:082-207-0141 電話:088-820-7701 電話:092-641-7878 電話:0852-21-4032 電話:027-327-5431 本 社 国 土 環 境 研 究 所 環 境 創 造 研 究 所 食 品 ・ 生 命 科 学 研 究 所 亜 熱 帯 環 境 研 究 所 大 阪 支 社 沖 縄 支 社 札 幌 支 店 東 北 支 店 福 島 支 店 北 陸 支 店 名 古 屋 支 店 中 国 支 店 四 国 支 店 九 州 支 店 山 陰 事 務 所 シ ス テ ム 開 発 セ ン タ ー IDEA R&D Center 富 士 研 修 所 営 業 所 海 外 事 務 所 連 結 子 会 社 〒154-8585  東京都世田谷区駒沢 3-15-1 〒224-0025  神奈川県横浜市都筑区早渕 2-2-2 〒421-0212  静岡県焼津市利右衛門 1334-5 〒559-8519  大阪府大阪市住之江区南港北 1-24-22 〒905-1631  沖縄県名護市字屋我 252 〒559-8519  大阪府大阪市住之江区南港北 1-24-22 〒900-0003  沖縄県那覇市安謝 2-6-19 〒060-0062  北海道札幌市中央区南二条西 9-1-2 〒980-0012  宮城県仙台市青葉区錦町 1-1-11 〒960-8011  福島県福島市宮下町 17-18 〒950-0087  新潟県新潟市中央区東大通 2-5-1 〒455-0032  愛知県名古屋市港区入船 1-7-15 〒730-0841  広島県広島市中区舟入町 6-5 〒780-0053  高知県高知市駅前町 2-16 〒812-0055  福岡県福岡市東区東浜 1-5-12 〒690-0012  島根県松江市古志原2-22-31 〒370-0841  群馬県高崎市栄町 16-11

Klong Luang, Pathumthani 12120, Thailand

〒401-0501  山梨県南都留郡山中湖村山中字茶屋の段 248-1 山中湖畔西区 3-1 青森、盛岡、秋田、山形、いわき、茨城、群馬、北関東、千葉、神奈川、相模原、富山、金沢、福井、山梨、伊那、長野、岐阜、恵那、静岡、伊豆、菊川、 豊川、蟹江、三重、名張、滋賀、神戸、奈良、和歌山、鳥取、岡山、下関、山口、徳島、高松、高知、北九州、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄北部 ボゴール(インドネシア)、マニラ(フィリピン)、ロンドン(英国) 新日本環境調査株式会社、沖縄環境調査株式会社、東和環境科学株式会社、以天安(北京)科技有限公司 事 業 内 容 代表取締役会長 田 畑 日出 男 代表取締役社長 田 畑 彰 久 9 8 7名(2020年4月1日現在、嘱託・顧問を含む) 役 員 従 業 員 数 ■社会基盤整備に係る企画、調査、計画、設計、管理、評価 ■社会基盤整備に係る環境アセスメント(調査計画立案、現地調査、予測評価、対策検討、事後調査)、環境計画 ■環境リスクの評価・管理 ■食品衛生・生命科学関連検査 ■自然環境の調査・解析、生物生息環境の保全・再生・創造 ■情報システムの構築、情報発信 ■災害危機管理、災害復旧計画 ■海外事業

参照

関連したドキュメント

ヒュームがこのような表現をとるのは当然の ことながら、「人間は理性によって感情を支配

共通点が多い 2 。そのようなことを考えあわせ ると、リードの因果論は結局、・ヒュームの因果

我々は何故、このようなタイプの行き方をする 人を高貴な人とみなさないのだろうか。利害得

自分は超能力を持っていて他人の行動を左右で きると信じている。そして、例えば、たまたま

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた

[r]

Abstract: The residential land in the Omagari area of Kitahiroshima City collapsed 28 houses along the river by the 2018 Hokkaido Iburi Eastern Earthquake.. In addition, the

[r]