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Title
後流渦の特性に基づく多翼ファンの空力騒音および比騒音の予測
Author(s)
佐々木, 壮一
Citation
(2007-09-12)
Issue Date
2007-09-12
URL
http://hdl.handle.net/10069/9246
Right
第 3 章 平板翼の後流に形成される秩序構造の解析 3.1 はじめに 翼のスパン方向に形成される後流の秩序構造は三次元的な空力音源の規模に関係す るため,空力騒音を予測する上で重要な特性となる.この空力音の音源の大きさが形成 されるメカニズムは,これまで境界層内部の不安定な流れの非線形性によって生じる三次 元はく離の統計的性質と解釈されてきた.しかし,後流の規則性を統計的に計測すること が出来る場合,その流れ場にはある安定な渦運動が存在する可能性が高い.しかし,スパ ン方向の渦運動と後流の秩序構造の関係については十分な議論がなされておらず,その秩 序構造が形成される力学的なメカニズムについては依然として不明な点が多い.後流の秩 序構造が形成されるメカニズムを詳細に解析することは,ターボ機械を空力騒音の観点か ら設計する際,そのスパン方向に形成される空力音源に対する理論的な条件の提供を可能 にする. 本章では,この秩序構造の形成に関する力学的メカニズムの解明を目的として,平板翼 まわりの三次元流れが数値解析されている.解析の対象となる平板翼は迎え角 0°で一様 流中に設置されており,その翼両端が壁面で支持されている.この平板翼の後流に形成さ れるスパン方向の秩序構造が無次元ヘリシティー,渦度の等数値面,限界流線によって可 視化され,スパン方向の渦運動との関係が渦度輸送方程式の生成項によって解析されてい る.これらの解析結果に基づいて,平板翼後流の秩序構造とレイノルズせん断応力の関係 が考察されている. 3.2 数値計算と風洞実験 3.2.1 流動モデル 図 3.1 は一様流中に設置された迎え角 0°の平板翼の後流に形成される秩序構造の流動 モデルを示したものである.座標系は翼弦長方向がx,翼厚方向がy,スパン方向がzである. 一様流中に置かれた平板翼の後流にはスパン方向へ位相の異なる後流渦が放出される.ス パン方向の渦の要素はセル( 1 )とも呼ばれ,これらがスパン方向の秩序構造を形成する. 3.2.2 計算方法 本研究における三次元の流れ場は擬似圧縮法( 2 )により計算されたものである.支配方程
Blade U0 ; Uniform Flow Cell LS ; Span-wise Correlation Length D*; 2D-Width of Wake Vortex z x y
Fig. 3.1 Schematic view of coherent structure in wake of a flat plate blade
式は保存形のRANS方程式と連続の式により,式(3.1)として与えられる.
0
=
+
+
+
+
+
+
z
H
y
G
x
F
z
H
y
G
x
F
t
q
v v v∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
(3.1) このときρ
μ
ν
ν
ν
ν
β
t z y z x z v z y y x y v z x y x x vC
U
w
w
v
w
u
H
v
w
v
v
u
G
u
w
u
v
u
F
w
p
w
wv
wu
H
v
vw
p
v
vu
G
u
uw
uv
p
u
F
p
w
v
u
q
+
≡
⎥
⎥
⎥
⎥
⎥
⎦
⎤
⎢
⎢
⎢
⎢
⎢
⎣
⎡
+
+
−
=
⎥
⎥
⎥
⎥
⎥
⎦
⎤
⎢
⎢
⎢
⎢
⎢
⎣
⎡
+
+
−
=
⎥
⎥
⎥
⎥
⎥
⎦
⎤
⎢
⎢
⎢
⎢
⎢
⎣
⎡
+
+
−
=
⎥
⎥
⎥
⎥
⎥
⎦
⎤
⎢
⎢
⎢
⎢
⎢
⎣
⎡
+
=
⎥
⎥
⎥
⎥
⎥
⎦
⎤
⎢
⎢
⎢
⎢
⎢
⎣
⎡
+
=
⎥
⎥
⎥
⎥
⎥
⎦
⎤
⎢
⎢
⎢
⎢
⎢
⎣
⎡ +
=
⎥
⎥
⎥
⎥
⎦
⎤
⎢
⎢
⎢
⎢
⎣
⎡
=
Re
,
0
2
,
0
2
,
0
2
,
,
,
,
/
0 2 2 2 ここで,βは擬似圧縮係数(本計算ではβ=1.0),μtは渦粘性係数である.RANS方程式の 非粘性項の流束は構造格子の界面で 3 次精度のMUSCAL法により計算され,粘性項は 2 次 精度の中心差分で計算されている.レイノルズ数 Reは 1.0×105 とした.乱流モデルには Baldwin-Lomaxモデル( 3 )(以下B-Lモデルと略記)が適用されている.後節で示される結果 は 24000 回の繰り返し計算で流れを定常状態へ収束させたものである. 3.2.3 格子の最適化 擬似圧縮法による計算精度は物体表面上の最小格子幅の大きさによって左右される.そ-2.0 -1.0
0
0
1.0
2.0
3.0
4.0
1.0
2.0
im = 61
jm = 32
km = 5
Leading edge, x/C=0
Trailing edge, x/C=1.0
y/
C
x/C
PlateUpstream Down stream
Fig. 3.2 Grid of a flat plate
10
-810
-710
-610
-510
-410
-310
-210
-110
-310
-210
-1Δη
minC
fRe=1.0×10
4Re=1.0×10
5Re=1.0×10
6Re=1.0×10
7y
+= 1.0
Fig. 3.3 Relation between minimum grid space and mean friction coefficient
こで,図 3.2 に示される平板周りの流れが計算され,その計算結果を基にして最適な最小 格子幅の大きさが検討されている.平板の格子は主流方向,及び主流と垂直方向へ不等間 隔にそれぞれ im=61 と jm=32 作成され,スパン方向には等間隔に km=5 作成されている. 平板の前縁は x/C=0 であり,後縁は x/C=1.0 である.弦長 C=1.0 の平板が y/C=0 に位置し ている.
10
310
410
510
610
710
810
910
010
110
2Re
1000
C
fCal. (without B-L model) Cal. (with B-L model) Blasius Eq. (laminar flow) Schoenherr Eq. (turburent flow)
Fig. 3.4 Relation between Reynolds number and mean friction coefficient
図 3.3 には,平板の最小格子幅⊿ηminと平板上の平均摩擦係数
C
f の関係が異なるレイ ノルズ Re で計算された場合について示されている.ここで,最小格子幅⊿ηminは翼弦長 C で無次元化されている.図中の破線は,各レイノルズ数での最小格子幅⊿ηmin が y+=1 となる関係を示したものである.平板上の平均摩擦係数C
f は図中の破線よりも左側の格 子幅で一定の値となることがわかる. 図 3.4 はレイノルズ数Reと平均摩擦係数C
f の関係を示したものである.図中の●がB-L モデルを用いずに計算した結果であり,○がB-Lモデルを用いた計算結果である.また, 図中の一点鎖線はBlasiusの式による層流の平均摩擦係数の関係を示したものであり,破線 はSchoenherrの式による乱流の平均摩擦係数の関係を示したものである( 4 ).このとき,数 値計算に用いられた最小格子幅は図 3.3 の破線よりも左側の大きさである.これは最小格 子幅の大きさがy+≦1.0 の条件を満足するものである.計算結果の平均摩擦係数は一点鎖線 と破線にそれぞれ一致した値となる.即ち,本計算における平均的な乱流特性を決定する ための一つ目安は,最小格子幅がy+ =1.0 近傍となるように定めればよいことがわかる. 図 3.5 はスパン長さb/C=4.0 の平板翼の格子形状を示したものである.x-y平面における 平板翼の断面形状は後縁が切り立った形状となっている.このため翼周りに連続した節点 をもつ格子が作成されると後縁の角部での形状が歪み,これが計算精度の劣化を招くことBlade
Wall
Wall
x
y
C
D
x
y
C
D
z
x
y
b
Fig. 3.5 Grid of a flat plate blade
Table 3.1 Main dimension of the flat plate blade
-4.0~4.0 y/C 0.1 D/C Thickness 2.0, 3.0, 4.0 b/C Span 56×48×101 Blade side Number of points 48×68×101 Wake side -4.0~5.0 x/C Scale of grid 0~4.0 z/C 1.0 C Chord -4.0~4.0 y/C 0.1 D/C Thickness 2.0, 3.0, 4.0 b/C Span 56×48×101 Blade side Number of points 48×68×101 Wake side -4.0~5.0 x/C Scale of grid 0~4.0 z/C 1.0 C Chord になる.本計算では,翼側の格子と後流側の格子が後縁の切り立った形状を正確に形作る ために各々作成され,その境界部分の流れの数値解を互いの境界条件として与え合いなが ら計算することが可能な格子が用いられている( 5 ).その格子の主要諸元は表 3.1に示され る通りである.平板翼の翼厚はD/C=0.1 であり,この平板翼がスパン長さb/C=2.0,3.0,4.0 の 3 種 類 に つ い て 作 成 さ れ て い る . 解 析 領 域 の 範 囲 は 翼 弦 長Cを 基 準 に x/C=-4.0~ 5.0, y/C=-4.0~4.0,z/C=0~4.0 とした.境界条件は,翼側の格子の外側境界に一様な主流速度 U0 がDirichlet条件として与えられ,後流側の外側境界と流出境界にはNeumann条件が与え ら れ て い る . ま た , 風 洞 実 験 の 流 れ と 条 件 を 等 し く す る た め に , 翼 表 面 だ け で な く 翼 端
0.0
0.1
0.2
0.8
1.0
1.2
1.4
0.6 0.8 1 0.6x/C
y/C
D/C=0.1 Re=1.0×105 Trailing edge blade (a) Experiment0.0
0.1
0.2
0.8
1.0
1.2
1.4
0.20.4 0.6 0.8x/C
y/C
D/C=0.1 Re=1.0×105 Trailing edge blade (b) CalculationFig. 3.6 Distribution of x-direction velocity component in the wake
側の壁面にもNon-slip条件が与えられている. 3.2.4 風洞実験 風洞実験で用いられた平板翼の形状は図 3.5 の二次元の格子形状と同じである.平板翼 の翼弦長 C は 50mm,翼厚 D は 5mm である.スパン長さ b は第二風洞のノズル形状に合 わせて 100mm とした.ノズル出口での主流速度はおよそ 30m/s に統一されており,このと き翼弦長 C を基準としたレイノルズ数 Re は約 9.9×104である. 3.3 結果および考察 3.3.1 後流の数値計算と風洞実験の比較 図 3.6 は x-y 断面における平板翼後流の主流方向速度成分 u/U0の分布を実測値と計算値 の両者で比較したものである.図(a)が風洞実験によって計測された実測値の速度分布であ
ρ
u’v’
y/C
0
0.1
0.2
0
0.01
0.02
D/C=0.1
Re=1.0×10
5x/C=1.2
Exp.
Cal.
Fig. 3.7 Distributions of Reynolds shear stress
り,図(b)が数値計算の速度分布である.u/U0の分布は平板翼背面の死水領域で主流よりも 減速し,主流と死水領域との間には速度せん断層が形成されている.計算値の後流の速度 分布は,このような実測値の傾向を再現することができている. 図 3.7 は,翼後縁から 2.0D 後方(x/C=1.2)でのレイノルズせん断応力ρ
u
'v
'
の翼厚方向 (y 方向)の 分布を示し たものであ る.実測値 と計算値のρu
'v
'
の最大値はそれぞれ 0.0145 と 0.0166 となった.計算値のレイノルズ応力は実測値よりも僅かに強くなるが,両者の間 にオーダー的な誤差は発生しなかった.また,計算値のレイノルズ応力は実測値よりもや や y 方向へ広がった分布となるが,本研究で対象とする後流の秩序構造の規則性やセルの 大きさを考察するには支障のない程度である. 3.3.2 後流構造の可視化 図 3.8 は平板翼を通過する流線と無次元ヘリシティー ( 6 )の分布を三次元的に可視化した 図を示したものである.図(a)は平板翼周りの流れの全体図を示したものであり,図(b)は図 (a)のA部の拡大図である.無次元ヘリシティーは式(3.2)として与えられる.V
V
H
nΩ
Ω
⋅
=
(3.2) ここで,Ω
は渦度ベクトル,V
は速度ベクトルを示しており,| |はベクトルの絶対値を意 味する.無次元ヘリシティーは渦度ベクトルと速度ベクトルの成す角の余弦を意味する.z x y -Hn +Hn U0 Wall Wall D/C=0.1 b/C=4.0 Re=1.0×105 A B
(a) Whole view
z
x
y
U
0Wall
C
+H
n D/C=0.1 b/C=4.0 Re=1.0×105B
(b) Detail of AFig. 3.8 Visualization of flow line and normalized helicity ( | Hn | = 0.9 )
即ち,この値が 1.0 になると互いのベクトルの方向が一致し,これは縦渦がその位置で形 成されていることを意味する.図中の無次元ヘリシティーは絶対値 0.9 を閾値として,そ の値以上の空間的な分布が等数値面で表示されている.濃い色が正の値,淡い色が負の値 である.図(a)の流線の形状は翼の後流でスパンの中央付近から z 方向の広い範囲に渡って 変化しない(図中の B 部).x-y 平面におけるこの流線は渦巻くように変形しており,これ
Wall Wall Hn +
Ω
x -Ω
x U0 x y z D/C=0.1 b/C=2.0 Re=1.0×105Fig. 3.9 Visualization of limit flow line and equivalent surface of vorticity (| Ωx |=0.01)
が平板翼後流の二次元的な流線の特徴である.この可視化画像には,平板翼の表面上には 無次元ヘリシティーの分布が存在しない.これは,縦渦が時間平均的には翼表面上に存在 しないことを示すものである.一方,図(b)の拡大図では,側壁近傍の流線が徐々に三次元 的ならせん状の変形をしていることがわかる(図中の C 部).無次元ヘリシティーが後流で 可視化されており(図中の+Hn),縦渦が後流中で三次元的な流線の近傍で生成されている ことがわかる. 図 3.9 は平板翼表面上の限界流線と後流中の渦度Ωxの等数値面(|Ωx|=0.01)を示したも のである( 7 ).ここでは,後流の規則性をより明確にするために,そのスパン長さb/Cが 2.0 の平板翼の場合について,速度の大きさ(= 2 2 2
w
v
u
+
+
)が 0.4 以下の領域における渦度 Ωxを可視化した.限界流線のパターンには,平板翼の前縁側と翼表面上の大部分の領域に は規則的な変化がなく,後縁側で後流の渦度Ωxと同様の分布が生じている.また,平板翼 の後流中には同程度の強さを有する 6 個の渦度Ωxが正負交互に形成された.風洞実験で用 いられた平板翼のスパン長さは 100mmなので,図 3.1 で示された後流渦のセルの大きさは 単純に平均して約 16.7mmとなる.ここで,境界層内部に生成される縦渦の規模が,境界 層厚さ程度の規模であると仮定する.このとき,そのセルの大きさが後縁での層流境界層 の厚さ(=5C/Re
)と比較されると,このセルの大きさは境界層厚さの約 21 倍となる. しかし,前節の数値計算で設定されたスパン方向の格子点数は単純に平均して一つのセル当たり 16 点程度しかなく,後縁側の 1 つのセルの境界層内部における 21 個の微小な縦渦 を計算することができない.このことから,本計算結果における後縁側の限界流線の分布 は,境界層内部で形成されたものではなく,後流中の秩序構造によって形成されたもので あると考えられる. 3.3.3 後流の秩序構造の解析 式(3.3)は流れ方向へ軸をもつ時間平均された渦度輸送方程式を示したものである( 8 )( 9 ) .
(
)
(
)
x z y x xw
v
z
y
w
w
v
v
z
y
y
w
u
z
v
u
x
z
u
y
u
x
u
z
w
y
v
x
u
Ω
ν
Ω
Ω
Ω
Ω
2 2 2 2 2 2∇
+
′
′
−
⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜
⎝
⎛
∂
∂
−
∂
∂
+
′
′
−
′
′
∂
∂
∂
+
⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜
⎝
⎛
∂
′
′
∂
+
∂
′
′
∂
∂
∂
+
∂
∂
+
∂
∂
+
∂
∂
=
⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜
⎝
⎛
∂
∂
+
∂
∂
+
∂
∂
(3.3) ここで,⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜
⎝
⎛
∂
∂
+
∂
∂
=
∇
∂
∂
−
∂
∂
=
∂
∂
−
∂
∂
=
∂
∂
−
∂
∂
=
2 22 22,
,
,
z
y
y
u
x
v
x
w
z
u
z
v
y
w
z y xΩ
Ω
Ω
式(3.3)の右辺第 1 項は平均伸長による渦度の生成,第 2,3 項は平均せん断による渦度の生 成,第 4,5,6 項はレイノルズ応力による渦度の生成,第7項は粘性による渦度の消散を表 す.後節の解析では文献(9)を参考にして,右辺第 1,2,3 項を非粘性生成項と呼び,また第 4,5,6 項を乱流生成項と呼ぶ.望月ら ( 10 )のレイノルズ数が 1.0×104におけるハーフデルタ 翼の風洞実験では,粘性項は他の項と比較して 2 桁小さいと記されている.これを参考に, ここでは粘性項が渦度Ωxの消散へ及ぼす影響は小さいものとして取り扱う. 本節では,後縁から翼弦長方向に 2.0D 後方(x/C=1.20)の y-z 断面におけるスパン後方 の後流構造が解析されている.ここで,渦度輸送方程式の非粘性生成項の分布は渦度と速 度の変形との積で表示されているので,右辺第 1 項から第 3 項の三者ともスパン方向へ構 造的な変化が生じ,かつ,|y/C|<0.05 の領域におけるスパン中央付近での各生成項の平均的 な大きさは 1/10 程度のオーダー(対数表示で-1)となった.そこで,非粘性生成項は図 3.10 の(a)から(f)に示されるように渦度と速度の変形に分けて評価した.いずれも左側が渦度の 分布,右側が主流方向速度の伸長とせん断による変形の分布である.また,翼端側の壁面 せん断層近傍での流れはスパン中央付近の流れと比較して大きく変形するために,各生成 項の値はその絶対値の対数を用いて整理されている. (b)の速度の伸長による変形∂u/∂x はスパン方向へ一様な分布となる.このため,これが渦度Ωxの秩序構造を形成する直接の0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 -0.2 -0.1 0.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 0.0 0.1 0.2 -3 -3 -3 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -3 -1 -1 -1 -1 -1
z/
C
y/C
(a)Ω
x (b) ∂u/∂x D/C=0.1 b/C=4.0 x/C=1.2 Re=1.0×105 wall wall 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 -0.2 -0.1 0.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 0.0 0.1 0.2 -2 -2 -2 -1 -1 -1 -1 0 0 0 0 0 0 0 0 -1 -1 -2 -1 -1 -1 -1 0 1 -1 (c)Ω
y (d) ∂u/∂y D/C=0.1 b/C=4.0 x/C=1.2 Re=1.0×105 wall wallz/
C
y/C
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 -0.2 -0.1 0.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 0.0 0.1 0.2 -1 0 1 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -1 -1 -1 0 0 0 0 0 0 0 -1 -1 -1 0 -1 0 -1 -2 -2 (e)Ω
z (f) ∂u/∂z D/C=0.1 b/C=4.0 x/C=1.2 Re=1.0×105 wall wallz/
C
y/C
原因ではないことがわかる.また,同様に(d)の速度のせん断による変形∂u/∂y と(e)の渦 度Ωzの分布もスパン方向へ一様になった.一方,(c)の渦度Ωyと(f)の速度のせん断による 変形∂u/∂z の分布にはスパン方向へ構造的な変化が生じた.Ωyは渦度の定義から∂u/∂z を含むために,ここで両者が渦度Ωxの生成に与える影響を議論することはできない.しか し,(a)の渦度Ωxの分布における節の位置は,(c)のΩyあるいは(f)の∂u/∂z の節の位置と スパン方向へ渡って一致した分布となり,互いの分布が無関係ではないことがわかる. 図 3.11 の(a)から(e)は同じ断面での乱流生成項の各要素の分布を個別に示したものであ る.(a)と(b)のレイノルズせん断応力の伸長による生成項の分布には,スパン方向へ構造的 な変化が生じるものの,スパン中央付近での生成項の大きさは非粘性生成項の平均値(対 数表示で-1)よりも 2 桁ほど小さい.(c)のレイノルズ垂直応力ρ
v
'v
'
による生成項の分布 はスパン方向へ一様な分布となり,スパン中央付近では流線の可視化で確認された後流の 二次元的なせん断層の影響が現れている.一方,(d)のレイノルズ垂直応力ρw
' w
'
の生成項 はスパン中央付近でρv
'v
'
よりも 3 桁ほど小さく,これらのレイノルズ垂直応力の和が全 体としてスパン方向の秩序構造の形成に及ぼす影響は小さいと考えられる.(e)のレイノル ズせん断応力ρv
' w
'
による生成項の分布はスパン方向へ構造的に変化し,その値は乱流生 成項の中で最も大きくなった.また,この生成項はスパン中央付近においても 1/10 程度の 大きさを維持しており,これは非粘性生成項の平均的な大きさと同程度となった. 図 3.12 は y-z 断面におけるレイノルズせん断応力ρv
' w
'
の分布を異なるスパン長さの平 板翼について比較したものである.(a)がスパン長さ b/C=2.0,(b)が b/C=3.0,(c)が b/C=4.0 の計算結果である.これら三者のレイノルズせん断応力ρv
' w
'
はスパン方向へ正負交互の 符号で配置される.いずれも翼端側で形成される壁面せん断層が 0.5 程度の領域を占めて おり,ρv
' w
'
のセルはそのせん断層に挟まれた領域で規則的に形成されている.スパン方 向の秩序構造を形成するこのセルの数は,スパン長さが大きくなるにしたがって増加する ことがわかる.表 3.2 は後流のρv
' w
'
の 1 つのセルの大きさを秩序構造の波長 L / 2 として 整理したものである.ここで,N は後流の秩序構造を形成するセルの数であり,これは図 3.12 の壁面せん断層の影響を受けないρv
' w
'
のセルの個数を数えたものである.スパン長 さが 3.0 と 4.0 の場合において,その秩序構造の波長は翼厚の 3 倍程度の大きさとなった. 図 3.13 は平板翼の後流の秩序構造に関する模式図を示したものである.回転方向の異な る縦渦対が翼端側に生成されると,そのスパン方向には複数の縦渦の秩序構造が形成され0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 -0.2 -0.1 0.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 0.0 0.1 0.2 -3 -2 -2 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 0 0 0 0 1 -1 -1 0 -2 0 -1 -2 -3 -3 -2 -2 -1 -1 -1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 -1 -1 -1 -3 -2 -1 -1 -1 -3 -1 -1 ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ ∂ ∂ ∂ ∂ z v u x a) ' ' ( ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ ∂ ∂ ∂ ∂ y w u x b) ' ' ( D/C=0.1 b/C=4.0 x/C=1.2 Re=1.0×105 wall wall
z/
C
y/C
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 -0.2 -0.1 0.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 0.0 0.1 0.2 -2 -1 0 1 1 1 2 2 1 -1 1 1 -3 -3 -2 -2 -1 -1 -1 -1 -1 0 0 0 1 1 1 -3 1 0 2 -3 -1( )
' ' ) ( vv z y c ∂ ∂ ∂ ∂(
)
' ' ) ( ww z y d ∂ ∂ ∂ ∂ D/C=0.1 b/C=4.0 x/C=1.2 Re=1.0×105 wall wallz/
C
y/C
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 -0.2 -0.1 0.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 0.0 0.1 0.2 -3 -3 -3 -3 -1 -1 -1 -1 -1 -3 -1 1 1 -1 1 1 -1 1 1(
' ')
) ( 2 2 2 2 w v z y e ⎟⎟− ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ ∂ ∂ − ∂ ∂ D/C=0.1 b/C=4.0 x/C=1.2 Re=1.0×105 wall wallz/
C
y/C
y/C
0.0 1.0 2.0 -0.2 -0.1 0.0 -5 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 0.0 1.0 2.0 0.0 0.1 0.2 D/C=0.1 b/C=2.0 Re=1.0×105 bla d ez/
C
(a) b/C=2.0z/
C
y/C
0.0 1.0 2.0 3.0 -0.2 -0.1 0.0 -5 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -5 0.0 1.0 2.0 3.0 0.0 0.1 0.2 bla d e D/C=0.1 b/C=3.0 Re=1.0×105 (b) b/C=3.0z/
C
y/C
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 -0.2 -0.1 0.0 -5 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -5 -3 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 0.0 0.1 0.2 D/C=0.1 b/C=4.0 Re=1.0×105 bla d e (c) b/C=4.0Table 3.2 Wake characteristics of the flat plate blade
3.0
0.3
10
4.0
3.3
0.33
6
3.0
5.0
0.5
2
0.1
2.0
L / D
L / 2
N
D/C
b/C
3.0
0.3
10
4.0
3.3
0.33
6
3.0
5.0
0.5
2
0.1
2.0
L / D
L / 2
N
D/C
b/C
y/C
z / C
Blade
Ω
xWall
D
L
Fig. 3.13 Schematic view of wake in y-z section
た.このとき,スパン方向の秩序構造がカルマン渦列のような安定配列を形成するときに は,そのスパン方向の渦列の間隔は式(3.4)となる.
2806
.
0
/
L
=
D
(3.4) ここで,D は後流の幅,L はスパン方向の渦列の間隔である.この場合,スパン方向の渦 列の間隔 L は後流の幅 D のおよそ 3.5 倍程度の大きさとなる.これは,本章の数値計算で 得られた秩序構造の規模と同程度の大きさである.3.4 まとめ 両翼端が壁面で支持された一様流中の平板翼後流のスパン方向へ形成される秩序構造の 特性について数値解析した結果,以下の結論を得た. (1) 流線と無次元ヘリシティーによる流れの可視化では,平板翼を支持する壁面近くで 発 達する流線と主流が干渉する位置で,縦渦の生成が確認された.これがスパン方向の 秩序構造を生成する流動現象であると考えられる. (2) 翼厚比 0.1,スパン長さ 2.0 の平板翼の後流の秩序構造は 6 個の渦度Ωxのセルから形成 された. (3) 平板翼表面上の限界流線のパターンには,その前縁側と翼表面上の大部分の領域に は 規則的な変化がなく,その後縁側で後流中の渦度Ωxと同様の分布が生じた. (4) 渦度輸送方程式の各生成項を用いて後流構造を解析した結果,乱流生成項の中では レ イノルズせん断応力ρ
v
' w
'
による渦度の生成が最も大きく,かつそれはスパン方向へ 構造的に分布した.このレイノルズ応力のスパン方向の分布は統計的な秩序構造の存 在を示唆するものである. 参考文献(1) M.GASTER,Vortex shedding from circular cylinder at low Reynolds numbers, J. Fluid Mech. vol.46 part4, pp.749-756 (1971)
(2) Yoshiaki Kodama , Computation of Ship’s Resistance Using an NS Solver with Global Conservation ― Flat Plate and Series 60(CB=0.6) Hull― , Journal of The Society of Naval
Architects of Japan, 172, pp.147-155 (1992)
(3) B.S. Baldwin and H. Lomax,Thin layer Approximation and Algebraic Model for Separated Turbulent Flows, Proceedings of AIAA 16th Aerospace Sciences Meeting at Huntsville, pp.1-8 (1978.1)
( 4 ) Hermann Schlichting , Boundary-Layer Theory Sixth Edition , McGRAW-HILL BOOK COMPANY, pp.600, pp.693 (1968)
(5) 川北千春,他 3 名,解強制置換法を用いた船体周りの流場計算法,日本造船学会論文集, 186, pp.185-192 (1999.11)
(6) 古川雅人,他 3 名,軸流圧縮機動翼の失速点近傍における翼端漏れ渦の崩壊に伴う異 常流動現象,日本機械学会論文集(B 編), 66(644), pp.1029-1037 (2000.4)
(7) 古川雅人,EFD/CFD ハイブリッド解析で複雑渦流れ現象を探る,日本流体力学会会誌 「ながれ」19 巻別冊, pp.15-18 (2000.7)
(8) A.A. Townsend, The Structure of Turbulent Shear Flow 2nd. Edition, Cambridge University Press, p.328 (1976)
(9) 谷一郎,剪断流れにおける縦渦の形成,ながれ, 2, pp.160-165(1983)
(10) 望月信介,大坂英雄,縦渦対による壁面噴流の操縦(渦度輸送方程式における生成項), 日本機械学会論文集(B 編), 66(650), pp.2536-2544 (2000.10)