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倉敷中病年報 76 巻平 原 著 健診で非アルコール性脂肪性肝疾患と診断された受診者の肝繊維化係数 FIB-4 Index および各種パラメーターに関する検討 河野宏, 楠葉藍子, 島村淳之輔倉敷リバーサイド病院内科 渋谷修倉敷リバーサイド病院 健康管理センター 2011 年 8 月から

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原  著

健診で非アルコール性脂肪性肝疾患と診断された受診者の

肝繊維化係数・FIB-4 Indexおよび各種パラメーターに

関する検討

河 野  宏,楠葉 藍子,島村淳之輔

倉敷リバーサイド病院 内科

渋 谷  修

倉敷リバーサイド病院 健康管理センター 2011 年 8 月から 2012 年 1 月までの 6 か月間に倉敷リバーサイド病院健康管理センターで特定 健康診査(健診)を受診し,腹部超音波検査を受けた 1217 例のうち,非アルコール性脂肪性 肝疾患(NAFLD)と診断された 483 例について肝機能検査,生活習慣病を検討した.NAFLD の中には線維化の進展した非アルコール性脂肪肝炎(NASH)も含まれる可能性があるので, これを鑑別することが重要である.健診で行われる検査のうち AST,ALT,血小板,年齢に よって算出される FIB-4 index(FIB-4)は肝線維化の程度をよく反映すると報告されており, FIB-4 について検討した.NAFLD は受診者全体の 39.7%(男性 45.5%,女性 24.6%)と高率に 認めた.NAFLD においては高率に肥満,高血圧,糖尿病,高トリグリセリド血症を認めた. 90% の確率で肝線維化が認められず肝生検の必要がないとされる FIB-4 1.30 以下の low に属す る者は NAFLD のうち 327 例(67.8%)に認められ,これらは単純性脂肪肝と考えられた.しか し,この中にも線維化の進展した NASH が含まれる可能性も若干あるので,慎重な経過観察が 必要である.一方 80% の確率で進展した肝線維化の存在を的中する FIB-4 2.67 以上の high に属 する者は NAFLDのうち5例(0.4%)に認め,特に今後の厳重な経過観察が必要と考えられた. NAFLDを有する者は,同時に生活習慣病も高率に認めるので心・血管疾患のフォローも重要で ある.

キーワード:NAFLD, 肝繊維化, FIB-4 index, 生活習慣病

FIB-4 Index Assessment of Patients with Nonalcoholic Fatty Liver Disease

Hiroshi KONO, Aiko KUSUBA and Juunosuke SHIMAMURA Department of Internal Medicine, Kurashiki Riverside Hospital Osamu SHIBUTANI

Health Management Center, Kurashiki Riverside Hospital

Differentiation between nonalcoholic fatty liver and nonalcoholic steatohepatitis is essential for patients with nonalcoholic fatty liver disease (NAFLD). In order to clarify the correlation between clinical indicators of liver

function and the presence of liver fibrosis, we analyzed patients diagnosed with NAFLD by health check-up at our hospital. Assessment utilized the non-invasive FIB-4 index, calculated according to AST, ALT, platelet count and age.

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Ⅰ.緒   言 近年,肥満者の増加により特定健康診査(健 診)においてメタボリックシンドローム(MS) と診断される受診者は20~30%と高率を占める ようになっている.一方,脂肪肝はMSの肝臓 における現れとみなされており,健診で実施 されている腹部超音波検査において脂肪肝と 診断される受診者も同様の傾向で増加しつつ ある.この脂肪肝には,慢性ウイルス肝炎, その他,脂肪肝を起こすまれな Reye 症候群な どの肝疾患を除くと,過剰飲酒によるアルコー ル性脂肪肝と肥満,糖尿病など生活習慣病によ る非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)があり,近年, NAFLD が増加している.最近の Eguchi らの 報告1)によると,多施設で実施された健診にお ける腹部超音波検査で診断されたNAFLDは受 診者の29.7%(男性41.0%,女性17.7%)と高率 に認められている.NAFLDの中には単純性脂 肪肝(NAFL)と,それから進展する非アルコー ル 性 脂 肪 肝 炎(nonalcoholic steatohepatitis: NASH)などが含まれる.NASHには線維化の 進展した肝硬変も含まれるが,さらに肝がんへ 進展する危険性もあり,NAFL と NASH を鑑 別することが重要である.このためには肝生検 による組織検査がゴールドスタンダードと考え られているが,健診でNAFLDと診断される受 診者の数は多く,生体への侵襲のある肝生検 を全てのNAFLD患者に行うことは不可能であ る.そこで,健診において同時に行われる血液 検査を用いてNAFLDからNASHを鑑別する方 法が種々検討されてきた.その中でも Sterling により提唱された肝線維化係数である FIB-4 index(FIB-4)2)は年齢,血小板,AST,ALT によって比較的簡単に算出できる係数である. さらに Shah はこれを NAFLD に応用し,肝組 織との対比において検討した結果,FIB-4 が NAFLDの線維化の程度をよく表すことを立証 し,NAFLDの中から肝生検の必要な線維化の 進展した症例を高い確率で選出することが可能 であるとした3) 今回著者らは,当院で健診を受け,かつ腹部 超音波検査を受診した者について,血液を主体 とした各種パラメーター,生活習慣病,FIB-4 などを検討したので報告する. Ⅱ.対象と方法 対象は当院健康管理センターで 2011 年 8 月 から 2012 年 1 月までの 6 か月間に健診を受診 し,腹部超音波検査を受けた 40 歳から 69 歳ま での受診者のうち,飲酒者(純アルコールにし て 1 日 20g 以上)と慢性 B 型肝炎患者および慢 性C型肝炎患者を除く1217例(男性879例,女 性338例)とし,以下の検討を行った.血液に ついては,血液一般検査,血清 AST,ALT, γ -GT,総コレステロール(TC),HDL- コレ ステロール(HDL-C),LDL- コレステロール (LDL-C),中性脂肪(TG),空腹時血糖(FBS) などを測定した.その他,身体計測より body From 1217(879 male, 338 female)patients who underwent health check-up at our hospital from August 2011 to January 2012 inclusive, 488(39.7%)patients were diagnosed with NAFLD(female 24.6%, male 45.5%). There were 327(67.5%)patients with FIB-4 ≦1.30, indicating a low likelihood of advanced liver fibrosis. Five patients (0.4%)had FIB-4≧2.67, indicating a high likelihood of advanced liver fibrosis.

It is essential that follow-up and observation for patients with NAFLD is undertaken according to liver fibrosis assessment, while also considering other non-communicable diseases.

Key words : nonalcoholic fatty liver disease, liver fibrosis, FIB-4 index, non-communicable disease

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mass index(BMI)を算出した.高血圧につ いては,自動血圧計で収縮期血圧140mmHg以 上か,拡張期血圧 90mmHg 以上,もしくは降 圧剤を服用している場合を高血圧とした.また, FBS が 126mg/dl 以上を示す場合と,糖尿病と して薬物療法を受けている場合を糖尿病と判定 した.MSの診断は日本内科学会の診断基準4) にしたがった.腹部超音波検査には AplioTM 300(東芝メディカルシステムズ)を使用したが, 脂肪肝の程度判定については,実施者により異 なる危険性があるので,単に脂肪肝の有無に ついて記載するにとどめた.FIB-4 については Shah3)に従い〔年齢(歳)× AST(IU/L)〕/ 〔血小板数(109/L)×√ALT(IU/L)〕により 算出した.

統 計 学 的 解 析 は Paired t-test と Chi-square test を用いて行った. 本研究は倉敷リバーサイド病院臨床研究審査 委員会の承認を得て施行した. Ⅲ.成   績 1.NAFLD の頻度と年齢(表1) NAFLD の頻度であるが,全体では 1217 例 中 483 例(39.7%)に NAFLD を認めたが,こ のうち男性では 879 例中 400 例(45.5%),女性 では 338 例中 83 例(24.6%)と男性の方が有意 に高頻度であった.また,NAFLDの有無によ る年齢の平均値をみると,女性ではNAFLDが 57.3 歳と NAFLD を認めない者の 54.5 歳に対し 有意に年齢が高かった.男性ではNAFLDの有 無による年齢差は認められなかった. 2. NAFLD の年齢層別頻度(図1) 年 齢 を 40 歳 代,50 歳 代,60 歳 代 の 3 段 階 に分けて NAFLD の頻度をみると,男性では 40 歳代 42.6% に比較し,50 歳代 46.4% と 60 歳 代 47.2% では有意に高頻度であったが,50 歳 代と 60 歳代の間では有意差は認められなかっ た.女性では 40 歳代 11.6% で低かったが,50 歳 代 27.6%,60 歳 代 30.5% と 年 齢 に 相 関 し て NAFLDの頻度は有意に増加していた. 3. 受診者の背景因子と各種パラメーターと NAFLD についての検討(表2) 受診者の平均年齢についてみると,男性は平 均54.5歳,女性は55.2歳と男女で年齢差はなかっ た. 肝機能検査についてみると,ALT,AST と もNAFLDを有する者の方がNAFLDのない者 に対して男女とも有意に高く,とくに ALT は 著明に高値を示した.ALT の異常率について 検討してみると,当院の基準値の上限である 42 IU/L を超える者は,NAFLD の場合,男女 それぞれ20.5%,15.7%となっており,NAFLD のない男女それぞれ 1.7%,0.4% に対して高率 に異常であった.男女を比較すると,男性の方 が有意に高率であった.ALTの上限を29 IU/L に下げた場合,男女それぞれ 46.0%,25.3% に 上昇し,男女の比較では男性が有意に高率で あった.AST/ALT比は男女ともNAFLDを有 する者が低値であった.血小板数とNAFLDの 有無については関連を認めなかった. BMI は 男 女 と も NAFLD を 有 す る 者 が NAFLDのない者に対して有意に高値であった. 表 1 NAFLD の頻度と年齢 NAFLD(+) NAFLD(―) 男性 症例数 (N=879)年齢(歳) 54.60± 7.6400(45.5%) * 479(54.5%)54.4 ± 8.1 女性 症例数(N=338)年齢(歳) 57.3 ± 7.0**83(24.6%) 255(75.4%) 54.5 ± 8.0 全体 症例数(N=1217)年齢(歳) 483(39.7%)55.1 ± 7.5 734(60.3%) 54.4 ± 8.1 *女性のNAFLD(+)に対してP<0.001 **男性のNAFLD(+), 女性のNAFLD(―)に対してP= 0.01

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高血圧,糖尿病,MS,高トリグリセリド 血症について検討すると,いずれも男女とも NAFLD を有する者は NAFLD のない者に対し て有意に高頻度に認めた.特に糖尿病について みると,男性ではNAFLDのない者の糖尿病有 病率は 4.6%に過ぎなかったが,NAFLD を有 する者においては20.5%と頻度が高くなった. 女性においても NAFLD を有する者は 18.1% と NAFLD のない場合の 2.0% に比し高率に認め た.同様に MS についても,男女とも NAFLD を有する者の有病率は有しない者に対して著明 に高率であった.男女を比較してみると,男性 は女性に対して,NAFLD を有する者の MS の 有病率が高かった. 4.FIB-4 についての成績 FIB-4 は男女全体で 1.16 ± 0.42 で,NAFLD を有する者ではNAFLDを有しない者に対し男 女とも若干高値を示したが,有意差は認めな 42.6 46.4 47.2 11.6 27.6 30.5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%) 男性 女性 ※ 男性40∼49歳に対しP=0.01 ※※ 女性40∼49歳に対し P<0.001 ※※※ 女性50∼59歳に対し P=0.01 ※ ※ ※※ ※※※ 40∼49 N=265 50∼59N=332 N=282 60∼69 40∼49N=86 50∼59N=134 N=118 60∼69 図 1 NAFLD の年齢層別の頻度 表 2 NAFLD の背景因子と各種パラメーター,生活習慣病,FIB-4 の関連 因子 男性 女性 全体

(N=879) NAFLD(+)(N=400) NAFLD(‒)(N=479) P value* (N=338)全体 NAFLD(+)(N=83) NAFLD( ‒)(N=255) P value* 年齢 (歳) 54.5±7.9 54.6±7.6 54.4±8.1 0.69 55.2±7.8 57.3±7.0 54.5±8.0 0.003 BMI(kg/m2 23.9±3.2 25.6±3.2 22.4±2.4 <0.001 22.2±3.2 25.4±3.3 21.2±2.5 <0.001 ALT(IU/L) 25.7±15.8 33.1±19.2 19.5±8.0 <0.001 19.4±14.4 29.7±24.4 16.0±6.1 <0.001 >42 IU/L 症例数(異常率) 90(10.2%) 82(20.5%) 8(1.7%) <0.001 14(4.1%) 13(15.7%) 1(0.4%) <0.001 >29 IU/L 症例数(異常率) 227(25.8%) 184(46.0%) 43(9.0%) <0.001 31(9.2%) 21(25.3%) 10(3.9%) <0.001 AST(IU/L) 22.4±7.5 24.8±9.3 20.4±4.7 <0.001 21.3±9.4 25.4±16.1 19.9±5.0 0.003 AST/ALT比 1.01±0.35 0.84±0.27 1.14±0.36 <0.001 1.23±0.34 0.98±0.28 1.32±0.31 <0.001 PLT(×104/µL) 23.5±12.7 23.2±16.5 23.7±8.2 0.55 23.9±3.9 23.3±4.8 24.1±3.6 0.22 TG(mg/dl) 139.4±97.7 159.9±96.9 122.3±95.2 <0.001 107.6±76.2 135.8±88.5 98.5±69.6 <0.001 高血圧症例数 (有病率) 374(42.5%) 212(53.0%) 162(33.8%) <0.001 90(26.6%) 42(50.6%) 48(18.8%) <0.001 糖尿病症例数 (有病率) 104(11.8%) 82(20.5%) 22(4.6%) <0.001 20(5.9%) 15(18.1%) 5(2.0%) <0.001 MS症例数(有病率) 195(22.2%) 162(40.5%) 33(6.9%) <0.001 19(5.6%) 16(19.3%) 3(1.2%) <0.001 *P value は男女ともNAFLD(‒)に対するNAFLD(+)の有意性

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かった(表3). 次に FIB-4 の分 布について Shah3)にしたが い,線維化の程度が軽度な順にlow(≦1.30), intermediate(1.31 ~ 2.66),high(≧2.67)の3段 階に分けて検討した(表4).low,intermediate, highに分類される者を全体でみると,それぞれ 1217 例 中 845 例(69.4%),367 例(30.2%),5 例 (0.4%)であった.NAFLDとの関連で検討すると, NASHの可能性の低いlowについては,男性で NAFLDを有する場合は400例中273例(68.2%) と,NAFLDを有しない 場 合 の 479 例中 354 例 (73.9%)に比較し若干少ない傾向にある.女性で はNAFLDの有無によって差は認められなかった. intermediateに属する者は男性の場合,NAFLD を有する場合が有しない場合に比較して若干多 い.highに属する者は,NAFLDを有する男性400 例中3例(0.8%),女性83例中2例(2.4%)に認め たが,NAFLDを有しない者では男女ともhighに 入るものは認められなかった. Ⅲ.考   察 1.NAFLD の頻度 当院健康管理センターにおける健診で認め られた NAFLD の頻度は,全体で 39.7% と高率 で,特に男性では45.5%と高く,これはEguchi らの報告1)よりも高率である.NAFLDと年齢 との関連をみると,男女とも年齢が高くなるに したがってNAFLDの頻度も増加してくる.著 者らの NAFLD の頻度が Eguchi ら1)の報告に 比較して高いのは,著者らの対象例の平均年齢 が 54.9 歳と Eguchi ら1)の対象例の 50.0 歳より 高齢なので,そのことがNAFLDの頻度の相違 を生じたものと考えられる.特に女性の場合, NAFLD の平均年齢が NAFLD の認められない 者に対して高い.これを年齢層別に検討してみ ると,男女とも 40 歳代に比較して 50 歳代,60 歳代と年齢層が上がるにしたがい,NAFLDの 頻度は高率になるが,特に女性ではその傾向が 強い.Eguchi ら1)も同様に女性の場合,60 歳 代をピークに年齢とともにNAFLDの出現頻度 が高くなるとしている. 2.NAFLD の ALT,AST と生活習慣病 NAFLD において血清 ALT が上昇すること はよく知られた事実であるが,著者の成績では ALT値を当院の基準値により異常値を43 IU/L 以上に設定すると,男性では 20.5%,女性では 表 3 FIB-4 の平均値 NAFLD(+) NAFLD(‒) 全体 男性 1.17 ± 0.42*N=400 1.14 ± 0.35N=479 1.15 ± 0.42N=879 女性 1.25 ± 0.53**N= 83 1.18 ± 0.34N=255 1.19 ± 0.40N=338 全体 1.16 ± 0.42N=1217 *NAFLD(‒)に対し P=0.29 **NAFLD(‒)に対しP=0.29 表 4 FIB-4 の分布 FIB-4 index (N=1217)全体 NAFLD(+) NAFLD(‒) 男性 (N=400) (N=83)女性 (N=479)男性 (N=255)女性 low ≦1.30 845(69.4%) 273(68.2%) 54(65.1%) 354(73.9%) 164(64.3%) intermediate 1.31~2.66 367(30.2%) 124(31.0%) 27(32.5%) 125(26.1%) 91(35.7%) high ≧2.67 5(0.4%) 3(0.8%) 2(2.4%) 0(0%) 0 (0%)

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15.7%に異常を認めるに過ぎず,ALTからだけ でNAFLDを否定することはできない.基準値 を下げて30 IU/L以上にすると,異常率は男性 では46.0%,女性では25.3%と増加する.一方, NAFLD のない者の異常率もそれぞれ 9.0%, 3.9% と上昇する.このことにより腹部超音波 検査で見落とされる軽度なNAFLD5)を拾い上 げる可能性も考えられ,腹部超音波検査のない 健診では30IU/L以上のALT値を考慮に入れる べきと考える. 生活習慣病である高血圧,糖尿病,脂質代謝 異常についてみると,いずれもNAFLDを有す る者において高頻度に認められるが,Eguchi ら1)も同様な結果を得ている.特に糖尿病に ついて検討してみると,NAFLDを有する例で は,有しない例に対して高率に糖尿病を認める が,これは糖尿病を有する者は肥満,脂質代謝 異常も多く,その結果,NAFLDを生じたもの であろう.逆にNAFLDを有する者はインスリ ン抵抗性があるとされているが,その結果とし て糖尿病を発症する場合もあると考えられる. 3.NAFLD と FIB-4 の関連  

FIB-4 は Sterlingら2)によって HIVとC 型肝

炎ウイルスの重複感染による慢性肝障害の非 侵襲的な線維化マーカーとして考案されたもの で,血小板,AST ,ALTと年齢から算出され る簡便な方法である.Shah ら3)はこの index を NAFLD に応用し,肝組織所見と対比して NAFLDからNASHを選別する非侵襲的な方法 として検討した.FIB-4 がlow(≦1.30)の場合, 線維化の進展した3度以上のNASH6)の陰性的 中率は90%で,肝生検の必要はほとんどないと している.また FIB-4 が high(≧ 2.67)の場合 は80%以上の確率で3度以上のNASHを的中で き,肝生検が必須であるとしている.著者らの 成績では NAFLD において,FIB-4 が low の者 は男性の場合273例(68.2%),女性の場合54例 (65.1%)で,男女合計すると327例(67.7%)と なる.したがって,NAFLDの90%に当たる294 例は肝生検の必要のない症例に入る.しかし, たとえ FIB-4 が low であっても,線維化が 3 度 以上のNASHである可能性は残っているので, NAFLDを有する症例については intermediate に属する症例とともに慎重な経過観察が必要で ある.NAFLD で FIB-4 が highに属する受診者 は男女合わせて1217例中5例(0.4%)と少なく, その80%に肝生検が必要と考えても4例と少数 である.同じく健診受診者を対象としてFIB-4 を検討した角田らもほぼ同様の結果を報告し ている7).著者らの成績も対象が健診受診者の みであり,肝組織の検討はなされていないが, FIB-4 がhighに属するNAFLDの症例について は肝生検を勧めるとともに,更に慎重な経過観 察が必要と考える.特に男性では NASH 由来 の肝がんが多いことを考えると8),NAFLD で highに属する男性受診者については,特に厳重 な経過観察が必要である.更にNAFLDを有す る者は,同時に生活習慣病も高率に有している ので心・血管疾患についても注意が払われなく てはならない. 本論文の統計処理については,倉敷中央病院消化器 内科 詫間義隆部長(現廣島市民病院内科部長)にご助 力頂いたことを記し,深謝する. 利益相反関係:なし. 文   献

1) Eguchi Y, Hyogo H, Ono M, et al: Prevalence and associated metabolic factors of nonalcoholic fatty liver disease in the general population from 2009 to 2010 in Japan: a multicenter large retrospective study. J Gastroenterol 2012; 47(5): 586-595.

2) Sterling RK, Lissen E, Clumeck N, et al: Development of a simple nonivasive index to predict significant fibrosis in patients with HIV/ HCV coinfection. Hepatology 2006; 43(6):1317-1325.

3) Shah AG, Lydecker A, Murray K, et al: Comparison of noninvasive markers of fibrosis in patients with nonalcoholic fatty liver disease. Clin Gastroenterol Hepatol 2009; 7(10):1104-1112. 4) メタボリックシンドローム診断基準検討委員会:

メタボリックシンドロームの定義と診断基準. 日 本内科学会雑誌 2006; 94(4):794-809.

(7)

5) Adams LA, Talwalkar JA: Diagnostic evaluation of nonalcoholic fatty liver disease. J Clin Gastroenterol 2006; 40(S1):S34-S38.

6) Kleiner DE, Brunt EM, van Natta M, et al: Design and validation of a histological scoring system for nonalcoholic fatty liver disease. Hepatology 2005; 41(6): 1313-1321.

7) 角田圭雄,櫻木園子,大野智之ほか:健診で非ア ルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と診断された例 のFIB-4 index の分布について. 肝臓 2011; 52(6): 390-392.

8) Hashimoto E, Tokushige K: Prevalence, gender, ethnic variations, and prognosis of NASH. J Gastroentelol 2011; 46(S1):63-69.

参照

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