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病原性 Yersinia enterocolitica および Yersinia pseudotuberculosis の迅速検出法の開発

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Title

病原性 Yersinia enterocolitica および Yersinia

pseudotuberculosis の迅速検出法の開発( 本文(FULLTEXT) )

Author(s)

堀坂, 知子

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第179号

Issue Date

2005-03-14

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2233

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

病原性y占rβわねe花王erocoJf〟cα

およびy占rβわねpβeαdofαむerc〟Joβね

の迅速検出法の開発

学位論文:博士(獣医学)即7

′坂

(3)

目次 第1章 旅r∫わ血e〃Jeroco招fcα0:8に対する抗体を用いた免疫磁気ビーズ (IMS)法による旅r∫f〃ねe乃Jer()CO招fcα0:8の分離---==---……-…-7 第1節緒言----…--…---……=---叩…---…-……-……一…-…--……-……7 第2節材料および方法-……-…--…-…----=-…-=-=-=…-=-=--=---=----……‥7 2-1供試菌株 …-…---一一--…=‥=--‥=---………-…-…-………--7 2-2 抗アe〃Jerocoノブ〟cα0:8抗体結合免疫磁気ビーズの作製と反応 条件の検討=-…--…-=--…---…-‥--‥‥…-…-…………=---…--……7 2-3 河川水に実験的に接種したアe〝JerocoJfJわα0:8のIMS法とアル カリ処理法による回収率ならびに選択分離培地の比較-……-…---=10 第3節結果…-…=…---………---…---…‥…--一-………---…-…‥13 3-1生理食塩水に懸濁したアβ〃JerocoJfJfcα0:8のIMS法による 回収成績-……---…--=---…-…-t---=-=-…----…--…_-…-___……●●…_13 3-2 河川水に実験的に接種したアe〝Jeroco損ねα0:8のIMS法と アルカリ処理法による回収率の比較成績--==----…………-=-…-……15 3-3

凍結融解により損傷したアe〃Jeroco招fcα0:Sの回収成績---……---15

第4節 考察--…-…=----…一---…=………_-………___…‖●●叩_………___…_21 第5節結語…-‥……--…--……=-…-………一--__…‥……_…___…_………_____24 第2章 YadAに対する抗体を用いた免疫磁気ビーズ(IMS)法による 病原性旅r∫f〃ねの分離-…--=---………__…‖………_____‖……_……●…26 第1節緒言-…---=…-…-……----=……--…………____………_…‥___……‖‖26 1

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第2節材料および方法 ‥=……--………----…--…----一一-…-…-……-……-…26 2-1供試菌株および培養条件…---=---…-=--=-=---=--…-…27 2-2 抗YadA抗体結合免疫磁気ビーズの作製-…-"-"---…----"-"--…28 2-3 免疫磁気ビーズを用いたIMS法による病原性旅r∫f〝ねの回収---…-30 第3節結果………--…………--………-…---…---…-…--……-…-…‥31 3-1供試菌株のYadA産生条件の検討---M"---M--"-"M""---31 3-2 抗YadA免疫血清のYadAに対する特異性""-…一---…""."---"34 3-3IMS法による病原性旅r∫王〝ねの検出感度および特異性-t---==---34 3-4 河川水に実験的に接種した病原性旅r∫i〝ねのIMS法とアルカリ 処理法による回収率の比較---…----=…---=--…---=…-…--38 第4節考察=-==---…--=----=---…-…---………---…-…-…-…--………40 第5節結語……--……---…-t---==----…=-=----…---…---………---…44 第3章 Loop-mediatedisothermalampli丘cation(LAMP)法による病原性 旅r∫ブ〃ねの検出--t-==-==……---………-=-=--…--=--=---……-………-45 第1節緒言 ---…-……=----=---…………-…-t---t---………--45 第2節材料および方法…一一…---=-=---一……-……-…---____………__45 2-1供試菌株=…-…--====‥-=-……--…---=-…-……---…--…_…‥45 2-2 LAMP法に用いるプライマーの設計……-……-=---…--……--=-…47 2-3 LAMP法によるDNA増幅とその増幅産物の確認-==---MM---"=----47 2-4 PCR法によるDNA増幅とその増幅産物の確認=M"…"-"--"----"52 2-5 臨床検体からのLAMP法による病原性旅r∫f〝ねの検出…--…-………--54 第3節結果…----…‥…--……--…--=…--……----=-……_______‖………__……55

3-1ループプライマーの有無による検出時間の比較成績一一--…----…-…=55

3-2 病原性旅r∫ブ乃ねにおけるLAMP法による検出成績‥…--…‥…__…‖57 3-3 LAMP法とPCR法における検出限界の比較成績----"---"---M…-"62 3-4 LAMP産物の制限酵素による切断成績--…-……--…-…=-=_…__…‖62 11

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3_5 臨床検体からのLAMP法による病原性旅r∫f乃fαの検出成績---……----66

第4節考察-………-…--…----…---……---=…一……--…--…---…---…---…--71

第5節結語…---…-‥…一一…---…一…‥---…--…-一一………---……--…---74

英文抄録一-‥-…---…-=---…--……---……--…---…---…---…---…94

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略語一覧

BHI:brainheartinfusion[液体培地] CIN:Cefsulodin-irgasan-nOVObiocin[寒天培地】 IMS:immunomagnetic separation LAMP:loop-mediatedisothermalamplification MedE:medium E[液体培地】 TSA:tryPticase soyagar[寒天培地] TSB:tryPticase soybroth[液体培地]

VNC:Viable but non-Culturable

VYE:Virulent Yersinia enterocolitica[寒天培地]

YadA:Yersinia adhesin A

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序論 食中毒起因菌である拘r∫f乃fαe〃Jeroco…血 と仮性結核菌托r∫王乃ブα ク∫e〟do∫〟∂er〟C〟′0∫f∫は、腸内細菌科に属するグラム陰性梓菌であり、 代表的な人獣共通感染症原因菌として知られている[7,31,83,86】0 両者による感染症は総称してエルシニア症と呼ばれており、ヒトに 発熱、下痢および腹痛を主徴とした胃腸炎を引き起こすことが多い が、時には関節炎、結節性紅斑、敗血症など重篤な症状となること も珍しく ない【5,16,26,68,95]。】1e乃JerocoJブナ血 および ア ク∫e〟doJ〟∂e川C〟′0∫∼∫は、通常0抗原により血清型別される0 現在、 アe乃Je川C。〃J∼cαは51の0血清群に分けられており、このうち0:3、 0:4,32、0:5,27、0:8、0‥9、0:13a,13b、0‥18、0‥20およ・び021の9 血清群が人に病原性を示すことが知られており、特に、0:3、0:5,27、 0‥8および0:9は人や動物からの分離頻度が高い代表的な病原性血 清型とされている[52,61]。また、アp∫e〟如才〟ムe川C〟Jo∫f∫は、亜群ま で含めると、現在までに21血清群が知られており、このうち、1∼7 群および10群が病原性を示す[26]。 r e乃JerocoJf〃cαにおいて、血清型0:3、0:5,27および0:9は世界 的に広く分布している[6,86]のに対し、最も強毒な血清型0:8は北 アメリカにのみ分布することが報告されていた【8,54]が、1989年に、 Iinumaら[44]は新潟県で捕獲したノネズミからわが国では初めてY e乃JerocoノブJfcα0:8を分離し、本菌がわが国にも分布することを明ら かにした。翌年には青森県で本菌感染患者が初めて確認され、その 後も、青森県を中心に東北地方では本菌による感染例が散発してい る[34,42,74,81]。これらの事例では、ノネズミなどの野生動物の 糞便などにより本菌に汚染された沢水、またはこれらの沢水から二 2

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次的に汚染された食品などを介した水系感染によるものと推測され ている。また、アク∫e〟doJ〟ゐer〟C〟Jo∫f∫による感染事例は西日本を中 心に散発しているが、その多くはr e乃Je川COJfJfcα0:8の場合と同様、 本菌に汚染された沢水や井戸水の摂取による水系感染によるものと 考えられている。 病原性1ァ e〝JerocoJfJブcαならびに r p∫e〟如才〟ゐer〟C〟Jo∫f∫といった 病原性 yer∫i乃ブαの自然界における分布や生態を解明するためには、 環境中から環境における本菌の分布を反映した形で菌を分離する必 要がある。環境中では少ない菌数で分布する と考えられる病原性 アer∫王〝iα を分離するために、適当な増菌培地が必要である。現在ま でに、病原性 アer∫f乃fα 分離用増菌培地がいく つか開発されている 【17,45,58,85,87,106,107]が、これらはいずれも検出率があまり 高く なく、ほとんど用いられていない。その理由と して、通常食品 や環境中には病原性 托r∫f乃∼〟の他に、一般的に㍑環境 托r∫i乃fα乃と呼ば れる非病原性の 拘r∫f〃fα が存在し、これら"環境 拘r∫f乃fα"と病原性 アおr∫f乃∼α を選択できる適切な抗生物質がなく、しかも、これら非病 原性 yer∫f〝fαは病原性 拘r∫わーiαに比べ選択増菌培地中での増殖速度 が速いために[27】、病原性托r∫f乃fαだけを選択的に分離しにくいこ とがあげられる。また、人や動物の糞便からの病原性 托r∫f〃ブαの分 離には、材料をリ ン酸緩衝生理食塩水に入れ、4℃で3週間培養する 低温増菌法が一般的に用いられている[107]。しかし、低温増菌法 も、"環境 托r∫∼乃fα"を含む低温細菌が多数存在する環境材料から病 原性 托r∫f〃fqを選択的に分離するためには、病原性 托r∫f乃f〟だけで なく"環境 托r∫f〃fα,,や他の低温菌も増殖してくるため不適である。 Fukushima[23,25]は、競合菌の多数存在する河川水や食品などの環 3

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境材料から病原性拘r∫i乃fαを選択的に分離する方法として、拘r∫王〃fα が他のグラム陰性梓菌よりもアルカリに強く抵抗する性状を利用し たアルカリ処理法【2]を応用して、検体を直接アルカリ処理する方 法を開発し、検出感度が高かったことを報告している。しかし、環 境中では熱、p H、浸透圧などの様々なストレスによって菌体が損 傷を受け、選択培地に発育することができないことが考えられるた め、アルカリ処理法が環境中で損傷している可能性のある 拘r∫i乃fα を分離するのに適しているかどうかは検討の必要がある。以上のよ うに、現在、環境中からの病原性托r∫王〃王αの検出には適切な方法が なく、新たな検出手法の開発が必要な状況となっている。 近年開発された細菌の検出手法のひとつに免疫磁気ビーズ (Immunomagnetic separation、IMS)法がある。IMS法は、標的微 生物を認識する抗体を表面に結合した磁気ビーズを検体と混和し、 抗原抗体反応によりビーズに結合した目的の微生物を磁石により選 択的に分離、濃縮し、検出する方法である。本法は目的とする細菌 を選択的に分離する手法として、これまで食品や環境材料などから の病原細菌の分離に有用であることが報告されている[12,38,53, 59,66,88,102]。 また、標的とする細菌の属や種に特異的に保有される遺伝子を検 出することで、標的とする細菌を検出する遺伝子診断法がいくつか

開発されており、Polymerase chain reaction(PCR)法[80]は現在

最も広く 普及している遺伝子診断法である。現在、病原性 r

e〃JerocoJo〃cαおよびアp∫e〟加J〟∂erc〟Jo∫f∫に対しては、すでに病原

性に関与する遺伝子を標的とするPCR法が開発されており[20,40,

70,99,108,109]、食品や環境中からの細菌の検出に応用され、その

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検出感度や特異性などについての検討がなされている【21,48,53, 71,82,104】。PCR法は標的とする遺伝子検出までの時間が短いので、 病原体のスクリーニング法としては有効であるが、環境材料から PCR法により病原性托r∫ブ〃fαを検出する場合、環境材料中に存在す る有機物などの莱雑物によってPCR反応が阻害されるため、著しく 検出感度が低下することが指摘されている[22,41,76,101,108, 109]。 近年開発されたLoop-mediatedisothermalamplification(LAMP) 法は、1本鎖 DNA ループ構造を利用した新しい遺伝子診断法であ る。本法の特徴として、4 種類のプライマーによって標的遺伝子上 の異なる 6 領域を認識するため特異性が高いこと、熱変性により DNAを1本鎖にする必要がなく全て等温で反応が進行するため、特

別な機器が要らず短時間での増幅が可能であること、DNA増幅産物

の有無を簡易に判定できること、PCRよりも阻害物質の影響を受け にく く検出感度が高いこと、などが挙げられている【49,67,72,73,

97]。すでに結核の原因菌であるMj,CObacterium tuberculosis complex

[47]をはじめとしていくつかの細菌やウイルスの検出に LAMP 法 が応用され【19,43,84,98]、本法はPCR法よりも細菌を迅速かつ高 感度に検出・同定できる新しい遺伝子診断法として注目されている。 本研究では、病原性 yer∫f〃fαの自然界における分布や生態を解明 していくための研究の一環と して、これら病原体の環境中からの検 出にIMS法と LAMP法を応用し、迅速かつ高感度な検出法の開発を 試みた。第1章においては、r e〝Jerocoノブ〃cα 血清型0:Sに対する抗 体を用いたIMS 法を開発し、実験的に河川水に接種した ア g乃Je川COノブJfcα 0:8の回収を行い、アルカリ処理法と比較しながらそ 5

(11)

の検出感度や特異性について検討を行った。第2章では、すべての 病原性托r∫わ血の検出を目的として、これら病原性拘r∫f〃fαに共通 する菌体外膜抗原である YadAに対する抗体を用いたIMS法を開発 し、その検出感度や特異性について検討した。そして第3章におい ては、近年開発された遺伝子診断法であるLAMP法を病原性拘r∫f乃fα に応用し、検出に最適のプライマーの設計を行い、それらを用いた LAMP法の検出感度や特異性について検討した。 6

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第1章 托r∫f〃i〟g〟Jg川C〃JヱJi川0:$に対する抗体を用いた免疫磁気 ビーズ(IMS)法による 托r∫J〟Jαg〝Jg川C〃〃JJcα0:8の分離 第1節 緒言 現在、河川水などの環境材料から病原性 托r∫f〝fαを選択的に分離 する方法としては、アルカリ処理法が一般的に用いられている。し かし、標的とする細菌が損傷を受けていた場合、アルカリ処理法では 損傷菌はアルカリの影響で死滅してしまう可能性が考えられる。 本章では、病原性拘r∫f乃fαとして アe〝JerocoJf〃cα0:8を選び、本 血清型菌に対する抗体を用いたIMS法を開発し、検出感度や特異性 などについて、特に、損傷菌を用いてアルカリ処理法と比較しなが ら検討を行った。また、損傷菌を効率よく検出できる選択分離培地 についても併せて検討を行った。 第2節 材料および方法 ユー1 供試菌株 病原性ア e射eroco〃〃cαのうち、最も病原性の強い血清型 0:8を 選び、供試菌株と して、本血清型の YE92012、YE91009、YE92009 およびWA[9]の4菌株を用いた。全ての供試菌株はtrypticase soy broth(BBL)(以下、TSB)を用いた自己凝集性試験[57]ならびにカ ルシウム依存性試験【29]により、病原性を有することを確認した。 2-2 抗R e〟Jg川川J〟托α0:8抗体結合免疫磁気ビーズの作製と反応 7

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条件の検討

2-2_1抗R g〝Jg川川JiJJ川0:$免疫血清の作製

供試菌株として r e和才grOCOJ才一fcα血清型 0:8 YE92012株を用い、

trypticase soy agar(BBL)(以下、TSA)に塗抹し、25℃で24時間培養

後、発育したコロニーを500mJのTSBに接種し、25℃で24時間振 塗培養を行った。105℃で1時間、オートク レーブで加熱滅菌し、易 熱性抗原を破壊した後、2,000×gで30分間遠心分離し、沈殿した菌 休を0.85%生理食塩水(以下、生食)に懸濁し、2,000×gで30分間 遠心分離を行い、菌体を洗浄した。この換作を2回線り返した後、 菌体を生食に2mgノ皿Jの濃度となるように懸濁させ、加熱死菌抗原 液と した(以下、抗原液)。 この抗原液1mJとフロイント完全アジュバント(和光純薬)1.2mJ を混和後、ニュージーランドホワイト種のウサギ(オス11.5 kg; 三協ラボサービス)2羽の背部20カ所に皮下接種した。追加免疫と して、初回接種から 3週間後に、抗原液1mJとフロイント不完全ア ジュバント(和光純薬)1.2mJを混和後、ウサギの背部に皮下接種 した。追加免疫後、ウサギから血液を採取し、試験管内凝集反応 (Widal反応)にて供試菌に対する抗体価の測定を行い、抗体価が 1280 倍以上に達した時点で全採血を行った。採取した免疫血清は 0.45ドmメンブランフィルター(ADVANTEC)でろ過滅菌後、使用 するまで一20℃で凍結保存した。 作製した抗 アe〃Je川COJ打∫cα0:8免疫血清は、Protein G結合アフィ

ニティークロマトグラフィー(Protein G Sepharose@4 Fast Flow;

Pharmacia Biotech)により、Y enterocolitica O:Sに対するIgG抗体

のみを含む血清に精製した(以下、精製血清)。

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2_2_2 抗R g〟J〝〃C〃…J川0:$免疫血清と磁気ビーズとの結合 IMS法には、2-2-1で作製した精製血清と、抗ウサギIgG羊血清を 結合させた市販の免疫磁気ビーズ Dynabeads⑧ M-280 Sheep anti-RabbitIgG(Dynal)(以下、磁気ビーズ)を用い、製品の使用説 明書にしたがって以下のように両者の結合を行った。

まず、1.5mlのマイクロチューブ(ASSIST)に25plの磁気ビー

ズをいれ、0.1%ウシアルブミン加PBSバッファー(以下、PBSバッ ファー)で洗浄した後、精製血清を加え、Sample Mixer(MX-3,Dynal) で穏やかに混和しながら、4℃で24時間反応させ、磁気ビーズと精 製血清中のIgG 抗体を結合させた。その後、磁性粒子収集装置 (MPC-M,Dynal)でIgG抗体と結合した磁気ビーズ(以下、免疫磁 気ビーズ)を集め、上清を捨てた後、PBSバッファーで4回洗浄し た。 なお、精製血清と磁気ビーズの結合を行うに際して、両者の最適 な結合比ならびに反応時間を調べるために、精製血清量を変えて両 者の最適比を求めるとともに、免疫磁気ビーズと ア e乃JerocoJfJfcα 0:8の最適な反応時間についても検討した。 2-2-3 生理食塩水に懸濁したR g〝Jg川C〃J∫JJcα0:8の免疫磁気ビー ズを用いたIMS法による回収 供試菌株と して r e乃Jerocoノブ〃cα0:8YE92012株を用い、供試菌を TSA に塗抹し、25℃で 24 時間培養した後、発育してきたコロニー を釣菌して滅菌生食に浮遊させ、さらにそれを生食で10倍段階希釈 し、101∼103cFU/mJの菌量となるように菌液を調整した。各菌量の 菌液の1mJずつを25直の免疫磁気ビーズの入ったマイクロチュー ブに加え、4℃で 60分間 Sample Mixerで穏やかに混和させた後、 9

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PBSバッファーで 2 回洗浄した。最終的に免疫磁気ビーズは1mJ のPBSバッファーに懸濁したものを、TSAに0.1mlずつ塗抹し、25℃ で48時間培養後、発育してきたコロニーの数をカウントした。なお、 分離菌の同定は、抗r e乃JerocoJf〃cα0:8免疫血清を用いたスライド 凝集反応によって行った。 2_3 河川水に実験的に接種したR g〝Jgr〃C〃JfJJcα0:$のIMS法とア ルカリ処理法による回収率ならびに選択分離培地の比較 2_3_1河川水に実験的に接種したR g〝Jg川C〃…托α0:$新鮮培養菌 のIMS法とアルカリ処理法による回収 供試した河川水は黒目川(東京都東久留米市)、柳川(東京都清瀬 市)、仙川(東京都三鷹市)、多摩川(東京都府中市)および野川(東 京都国分寺市)の5カ所より採取したものを用い、その日のうちに 実験に供した。採取した河川水の10Jは0.45ドmメンブランフィル ターでろ過した後、そのフィルターを滅菌生食20mJに入れて付着 物をよく振り落とした後、5,000×gで30分間遠心分離を行った。上 清を捨てた後、沈漆を9mJの生食に浮遊させ、最終的に元の河川水 を1,000倍に濃縮した。これをIMS法ならびにアルカリ処理法を行 なう際の濃縮河川水と した。なお、採取した河川水の総生菌数はTSA を用いた塗抹法によ り、大腸菌群数は乳糖ブイ ヨン(KYOKUTO) を用いた発酵管法によって測定【55]した。河川水の総生菌数およ び大腸菌群数の平均値は、それぞれ 4.1×103 cFU/ml、27.5 CFU/ml であった。 供試菌株と して r e〃JerocoノブJfcα0:8YE92012株を用い、2-2-3 と 同様にして、10l∼104cFU/mJの菌量となるように菌液を調整した。 10

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各菌量の菌液はその 9倍量の濃縮河川水を加えて、最終的に100∼ 103cFU/mJの菌量となるように調整し、これを供試検体とした。そ して、以下のようにIMS法とアルカリ処理法を用いて、接種したア e〃JerocoJiJ∼cα0:8を回収し、その回収率を比較した。 IMS法では、各菌量の供試検体0.5mJに等量の生食を加え、25直 の免疫磁気ビーズの入ったマイクロチューブ4本に1mJずつ入れた。 4℃で60分間 Sample Mixerで穏やかに混和させた後、PBSバッファ ーで2回洗浄した。最終的に免疫磁気ビーズは1mJの PBSバッフ ァーに懸濁したものを、Cefsulodin-irgasan-nOVObiocin(OXOID)寒天

平板培地(以下、CIN)と virulent Yersinia enterocolitica寒天平板培

地(以下、VYE)【24]に0.1mJずつ塗抹し、25℃で48時間培養後、

発育してきた典型的なコロニーの数をカウントした。なお、CIN と

VYEには、抗生物質としてYERSINIA Selective Supplement(OXOID)

を添加した。 アルカリ処理法では、Fukushima[25]の方法に従って、各菌量の

供試検体0・5中に等量の0・72%KOH加生食を加え、直ちにボルテ

ックスで30秒間混和した後、CINおよびVYEに0.1mlずつ塗抹し、 25℃で48時間培養後、発育してきた典型的なコロニーの数をカウン ト した。 なお、分離菌の同定は、抗 アe〃JgrocoJf〃cα0:8免疫血清を用いた スライド凝集反応によって行った。 2-3-2 凍結融解により損傷を受けた状態となったR g〝Jgr〃C〃JiJfcα 0:$を河川水に接種した時のIMS法とアルカリ処理法による回収

2-3-2-1凍結融解により損傷を受けた状態の

R g〝Jgr〃C〃ノブノブc〟0:$ の作出 11

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Y enter。COlitica O:8の YE92012、YE91009、YE92009およびWA の4菌株をTSAに塗抹し、25℃で24時間培養した後、培地上に発 育してきたコロニーをMilli-QPlusFilter(NihonMillipore)で作製し た精製水を滅菌したもの(以下、滅菌精製水)に浮遊させ、さらに 滅菌精製水で10倍段階希釈し、最終的に100∼104cFU/mlの菌量と なるように菌液を調整した。各菌量の菌液は1mJずつ2本のマイク ロチューブに入れ、1本は直ちにTSAおよびCINに0.1mlずつ塗抹 し、25℃で48時間培養後、発育してきたコロニーの数をカウントし た。残りの1本は-20℃で24時間凍結保存した後、4℃で融解し、 TSAおよびCINに0.1mlずつ塗抹し、25℃で48時間培養後、発育 してきたコロニーの数をカウントした。 凍結融解により損傷した状態となった菌の割合は、((TSA 上に 発育したコロニー数 -CIN上に発育したコロニー数)/TSA上に 発育したコロニー数)×100(%)で表し、各供試菌株間で比較した。 2_3_2_2 損傷したR g〝Jg川C〃〃Jf川0:8の各選択培地ごとの回収率 の比較 環境中などから損傷した細菌を分離する際、これらの菌は抗生物 質等を含む選択平板培地上で、本来は感受性のない抗生物質の影響 を受け発育してこないことが多いことから、抗生物質の入った選択 平板培地および選択培地の上に抗生物質を含まない培地を重層させ た平板培地を用いて損傷した細菌の分離を行い、各選択培地ごとの 回収率の比較を行った。 供試菌株として r e〃JerocoJ∫Jねα0:8YE92012株を用いて、2-3-2-1 と同様にして調整し、凍結前と後に供試菌をTSAならびに選択培地 として CIN、VYE、CINに抗生物質を入れないCINを重層した培地 12

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(以下、重層CIN)および VYEに抗生物質を入れないVYEを重層 した培地(以下、重層VYE)に塗抹し、培養後に発育してきたコロ ニーの数をカウントした。 凍結融解により損傷状態になった供試菌の回収率は、(選択培地 上に発育したコロニー数/TSA 平板上に発育したコロニー数)×100 (%)で表し、各選択培地ごとにTSAに発育してきた菌数と比較す

ることで算出した。

ユー3-ユー3 河川水に実験的に接種した損傷した R g〟Jg川C〃Jfノブcα0‥$ のIMS法とアルカリ処理法による回収 供試した河川水はお鷹の水(東京都国分寺市)より採取したもの を用いた。採取した河川水21Jを、2-3-1と同様に処理して濃縮河川 水とした。供試菌株はアe射erocoJ招c80:8のYE92012株を用い、滅 菌精製水で10倍投階希釈し100∼105cFU/mJの菌量となるように菌 液を作製した。これらの菌液を-20℃で24時間凍結保存後、4℃で 融解し、9倍量の濃縮河川水に加えたものを供試検体とした。そし て、2-3-1と同様の処理を行ない、IMS法とアルカリ処理法による供 試菌の回収を行なった。選択分離培地としてCIN、VYEおよび重層 VYEを用いた。なお、河川水の総生菌数および大腸菌群数の平均値 は、それぞれ6.6×102 ぉよび15CFU/mlであった。 第3節 結果 3-1生理食塩水に懸濁したR g〟Jg川C〃…血0:$のIMS法による回 収成績 表1は、精製した抗アe〝Jeroco〃Hcα0:8免疫血清を用いて免疫磁 13

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Tablel・RecoveryofYenterocoliticaO:8bytheIMSmethod Bacteriaconcentrationinsaline Recoveredbacterialnumber

RecoveⅣ(%)

2l.1士8.4a 22.2土6.3 24.6

!CFU/ml)

1288土768a 135土83 15 CFU/ml二 6.1×103 6.1×102 6.1×101 aMean土SDintriplet・

(20)

気ビーズを作製し、生食に懸濁したアe乃JerocoノブJfcα0:8をIMS法に ょって回収した結果である。接種菌量と回収菌量との間には相関が みられ、回収率は、菌量が103(CFU/mり のとき 21.1%、102のと き 22.2%、101のとき 24.6%であった。 なお、今回作製した抗 ア e乃JerocoJfJicα 0:8 免疫血清と、ア e乃Jeroco〃J行α血清型0:3、0:5,27および0:9の3菌株との間でスラ イド凝集反応を行ったが、凝集は観察されなかった。また、これら の3菌株に対し、アe乃JerocoJiJfc〟0:8と同様のIMS法を実施したが、 接種菌は回収されなかった。 3_2 河川水に実験的に接種した●R g〟Jg川C〃J〟icα0:8のIMS法とア ルカリ処理法による回収率の比較成績 表2は、実験的に河川水に アe〃JerocoJfJねα0:8を接種し、選択分 離培地として CIN と VYEを用いて、IMS法とアルカリ処理法によ る接種菌の回収率を比較したものである。菌量が103の場合には、 IMS法、アルカリ処理法ともに、いずれの選択分離培地においても すべての検体から接種菌を回収できた。しかし、菌量が102の場合 には、IMS法ではいずれの培地ともにすべての検体から接種菌が回 収できたが、アルカリ処理法では、CINではすべての検体から接種 菌が回収できたものの、VYEでは5検体中3検体からしか回収でき なかった。菌量が101の場合には、IMS法ではCINで5検体中3検 体、VYEで5検体中1検体から接種菌が回収されたが、アルカリ処

理法では、両培地とも5検体中1検体から回収できただけであった。

3-3 凍結融解により損傷したR g〝Jg川C〃JJJJcα0:$の回収成廣 15

(21)

Table2・RecoveryofYenterocoliticaO:8frominoculatedriverwaterbyIMSmethod andwithdirectKOHtreatment

Bacterialconcentrationinriver IMS DirectKOHtreatment

water(CFU/ml)

CINa VYEb cIN VYE

C 5 引 5/5 5/5 5/5 2 1 0 0 0 0 1 1 1 ‥"5505 5 5 5 / / ′/ 5 1 0 5 5 5 ′/ / / 5 1 0 5 5 5 / / / つJ 1 0 acIN:Ce危ulodin-irgasan-nOVObiocinagar・ bvYE:VirulentY邑rsiniaenterocoliticaagar・ CYenterocoliticaisolatedsamplenumber/totaltestedsamplenumber・

(22)

表3は、r e〃Jeroco〃〃cd

O:8を精製水に懸濁し凍結融解すること

により損傷した割合を、菌株ごとに比較した結果である。供試した 全ての菌株において、凍結後、選択培地であるCIN に発育したコロ ニーの数は、非選択培地のTSAに発育したコロニーの数に比べて著 しく少なく、凍結融解によってアe乃Je川COノブJfcα0:$の約90%が損傷 状態となることが確認された。なお、供試した4菌株のうち、我が 国で分離された YE92012、YE91009およびYE92009の 3株では、 YE92012株が凍結融解により損傷状態となったものの割合が94.7% で最も高かったので、以後の実験はYE92012株を用いて行なった。 表 4 は、凍結融解により損傷状態となったe乃JerocoJiJブcα 0.:8 YE92012株の回収率に一っいて、各選択分離培地で比較した成績を示 したものである。凍結融解後に、選択分離培地に発育してきた接種 菌数を TSA 上に発育してきた菌数と比較して、各培地ごとに TSA に対する回収率を求めると、CIN、VYE、重層CINおよび重層VYE での回収率(%)はそれぞれ5.6土5.0、8.4土8.2、8.9土6.1および16.5土13.8 で、重層VYEが供試した4培地の中で最も回収率が高かった。 表5は、河川水に実験的に接種した損傷状態のYE92012株のIMS 法とアルカリ処理法による回収率を比較したものである。選択分離 培地として、CINと VYEのほか、先の実験で損傷菌をより多く回収 した重層VYEを併用したが、IMS法では菌量が103の場合はいずれ の選択分離培地においても4検体すべてから接種菌が回収でき、101 の場合でもすべての培地で4検体中2検体から接種菌が回収できた。 また、100の場合でもVYEでは4検体中1検体で回収が可能であっ た。一方、アルカリ処理法では、菌量が105の場合はJいずれの選 択分離培地においても 4検体すべてから接種菌が回収されたものの、 17

(23)

Table3・FreezelquredYenterocoliticaO‥8strainscausedbyfrozenstorage● ● Strain

Ratiooffreeze-iI如redcellsafterfreezing(%)a

YE92012 YE91009 YE92009 WA 94.7 91.8 89.8 94.8 aI[PumberofbacteriaonTSA)-(numberofbacteriaonCIN)]/(numberofbacteriaonTSA)IXlOO・

(24)

Table4・Recoveryof丘eeze-quredYenterocoliticaO:8byplating ● ● Agarmedium

Recovery(%)a

CIN VYE CIN,agarlayer VYE,agarlayer 5.6士5.Ob 8.4土8.2 8.9土6.1 16.5土13.8 apumberofbacteriaonaselectivemedium)/(numberofbacteriaonTSA)XlOO・ bMeanj=SDintriplet・

(25)

Table5・Recoveryoffreeze-1quredYenterocoliticaO:8frominoculatedriverwaterbyIMSmethodandwith

directKOHtreatment

Bacterialconcentrationin IMS DirectKOHtreatment

riverwater(CFU/ml) CINa VYEb vYE,agarOVerlay CIN VYE VYE,agarOVerlay

105 104 103 102 101 100 4/4C 4/4 4/4 4/4 4/4 4/4 4/4 3/4 2/4 2/4 0/4 0/4 4/4 4/4 4/4 3/4 2/4 2/4 1/4 1/4 0/4 0/4 0/4 0/4 acrN:Cefhlodin-irgasan-nOVObiocinagar・ bvYE:VirulentYbrsiniaenterocoliticaagar・ CYenterocoliticaisolatedsamplenumber/totaltestedsamPlenumber・

(26)

103の場合にはいずれの培地においても4検体中2検体から接種菌 が回収されたに過ぎず、101の場合にはいずれの培地においても接 種菌は回収されなかった。以上のように、河川水に損傷した ア g"Jer。C。〃Jfcα0:8を接種した場合には、IMS法はアルカリ処理法に 比べ明らかに回収率が高かった。 第4節 考察 本章では、病原性アe乃JerocoJfJ血のうち、近年我が国で水系感染 によると思われる患者が散発している r e乃JerocoJfJfcα血清型 0‥8 を選び、実験に供試した。ア.e〝Jeroco〃〃cα0:8を実験的に河川水に 接種し、IMS法とアルカリ処理法で検出感度を比較した結果、接種 菌に新鮮培養菌を用いた場合にはややIMS法のほうがアルカリ処理 法より優れている程度であったが、凍結融解による損傷菌を用いた 場合ではIMS法はアルカリ処理法に比べて明らかに高い回収率を示 した(表 2、5)。すなわち、検出限界をみると、新鮮培養菌の場合 はIMS法とアルカリ処理法のいずれの場合とも101∼102 cFU/ml の菌畳まで回収されたが、損傷菌の場合はIMS 法では10l∼102 CFU/mJの菌畳まで回収されたのに対し、アルカリ処理法の場合には 103∼104cFU/mJの菌量までしか回収されなかった。このことは凍結 融解により 90%以上の菌が損傷状態となったことと考え合わせると (表3)、凍結融解により損傷状態になっている菌がアルカリ処理に ょりさらに損傷または死滅してしまい、選択分離培地上に発育でき なくなっているものと推測される。環境中では、細菌がなんらかの 損傷を受けたため、生きてはいるが人工培地では発育できない 21

(27)

(Viable but non-Culturable、VNC)状態になる場合があることが知 られている。VNC状態は一般的にグラム陰性菌にみられる現象で、 SplmonellaEnteritidis[78トVibriocholerae[13]、Escherichiacoli[79]、

cα椚クγJo∂αC′eりeノ〟乃f[77】など多くの菌種で菌がVNC状態になるこ

とが報告されている[1,39,65】。今までのところ、托r∫f乃fα属菌が環 境中でVNC状態になることを明らかにした報告は見当たらない0し かし、今回、アe〃Je川COJiJ血0‥8を凍結融解することでVNC状態で はないが、選択分離培地上では発育できない損傷状態の菌を作出す ることができたことから、環境中にもこのような損傷菌やVNC状態 の病原性拘r∫ブ乃fαが存在している可能性があると思われる。凍結融 解によって作出された損傷菌と河川水などの環境中での損傷菌や VNC 状態の菌がアルカリ処理により同じ挙動をとるか否かについ ては今後のさらなる検討が必要と思われるものの、環境から損傷し た病原性r e〃JerocoノブJ血を分離する際には、アルカリ処理法よりも IMS法の方が検出感度は高く、有用であると思われる。 現在、托r∫わーfα属菌の選択分離培地としてCINが粉末乾燥品とし て多社から市販されていることから最もよく使用されている。本培 地上で、托r∫ブ〃∫〟属菌はマンニット分解能により、スムースで辺縁 が半透明の深紅色の集落を形成し、他属菌との鑑別は容易である。 しかし、本培地では病原性 ア e〃JerocoJブJJcα も非病原性の"環境 托r∫f〃fα"も形態、色調とも同じコロニーを形成するので、コロニー 性状から両者を識別することは困難である。一方、Fukushimaの開 発したVYEは、r e〝オビ川COJiJ加の病原体がエスクリン非分解性で あることを利用した病原性株の鑑別分離培地である。本培地上で、 ェスクリン非分解性の病原性 ア e〝JerocoJf〃cαは赤色コロニーを形 22

(28)

成し、エスクリン分解性の"環境 托r∫f乃fα,,は、黒色のコロニーを形 成するため両者の区別が容易であり、非病原性の"環境 托r∫i乃fα''で 高度に汚染された環境検体などからの病原性 r e〃′e川CO〃′血の分 離には有用とされている[24]。病原・性r e乃′e川COJブ′血の代表的な血 清型である 0:3、0:5,27、0:8および0‥9のいずれとも、共通の0 抗原を有する非病原性のr g〃′eroco′f′血や他の托r∫f乃fα属菌が存在 する。アβr∫f〃fα属菌の中で0抗原因子として0:8の因子を持つもの としては、0:8抗原因子を単独で持つ病原性のア e乃JerocoJiJfcα0:8 のほかに、非病原性のアe〃Je川COJfJ血血清型0:7,8、0‥8,19および r ∂erc。γferf O:8の計4種が存在する[105]。今回作製した抗血清を 用いたIMS法では、アe乃JerocoJ…cα0:8のほかに0:8の抗原因子を 持つこれらの菌株も一緒に分離されてくるが、これらの菌株と病原 性のr e乃Jer。。OJf〃cα0:8とでは、CINではコロニー性状から両者を 識別できないが、VYEでは両者はコロニーの色調の違いから分離す ることが可能である。今回、河川水に損傷状態のr e〝Jeroco〃〃cd O:8 を接種した時、選択分離培地としてCINと VYEを用いて接種菌の 回収率を比較すると、IMS法ならびにアルカリ処理法いずれにおい ても両培地間では回収率に差はみられなかったことから(表5)、IMS 法で病原性ア e〃JerocoJfJfcαを分離する際には、VYEはCINよりも 選択分離培地として適していると思われる。また、環境中などから、 損傷した細菌を分離する際、これらの菌は抗生物質等を含む選択平 板培地上で、本来は感受性のない抗生物質の影響を受け発育してこ ないことが多い。そのため、このような菌の分離には、抗生物質を

含まない液体培地で一定時間これらの菌を培養させ、損傷した菌を

回復させた後に選択平板培地で分離する方法【30】や抗生物質の入 23

(29)

った選択分離平板培地の上に抗生物質を含まない培地を重層させ、 下層の選択分離培地から上層の培地に抗生物質が浸透してくるまで の時間に損傷した菌を回復させ、以後上層まで浸透した抗生物質で 他の細菌の発育を抑制し、目的とする菌を分離する方法[50,51]な どが開発されている。今回、損傷したアe乃Je川CO〃′血0‥8の分離を 行う際に、CINおよびVYEで抗菌物質を含まない培地を重層する方 法を併用し、接種菌の回収率を比較した結果、有意な差はみられな かったものの、重層培地では回収率の明らかな改善が認められた(表 4)。このことから、損傷状態のr e〝JerocoJf軌α0‥8の分離には重層 VYEが最も適していると思われた。 第5節 結語 環境中からの病原性 托r∫f〃fαの検出にIMS法を応用し、病原性 托r∫f乃f〟としてr e乃JerocoJブ〃cα0:8を選び、本血清型菌に対する抗 体を用いたIMS法を開発し、検出感度や特異性などについて、特に、 損傷菌を用いてアルカリ処理法と比較しながら検討を行った。また、 損傷菌を効率よく検出できる分離培地についても併せて検討を行い、 以下の成績を得た。 1.実験的に河川水にr e〃Jeroco招∼cα0:8新鮮培養菌を接種し、IMS 法とアルカリ処理法で回収率を比較した結果、IMS法のほうがアル カリ処理法よりもやや検出率が優れていた。 2.凍結融解により損傷したr e〝JerocoJf〃cα0:8を実験的に河川水 に接種し、IMS法とアルカリ処理法について検出率を比較した結果、 IMS法では101∼102cFU/mlの菌畳まで検出されたのに対し、アル 24

(30)

カリ処理法では103∼104cFU/mlまでしか検出されず、IMS法はア

ルカリ処理法に比べて明らかに高い検出率を示した。

3.損傷したY enterocolitica O:8をIMS法で分離する際、Virulent

托r∫f乃fαe〃Jer。CO〃Jfcα(VYE)培地に抗生物質を含まない培地を重 層した培地が最も回収率が高かった。 4.以上の成績から、損傷したr e乃Jeroco〃Jねα0:8の分離には、IMS

痕と選択分離培地として

VYE の重層培地を用いた方法が最も優れ た分離法であると思われた。 25

(31)

第2章 YadAに対する抗体を用いた免疫磁気ビーズ(IMS)法によ る病原性アgr∫f〝Jαの分離

第1節

緒言 第1章において、IMS法で磁気ビーズに結合させる抗体としてア e〃Jer。C。JfJfcα の 0 抗原に対する特異抗体を用いたが、この方法で は、標的とする特定の0抗原を持つ菌しか分離できない。病原性r e〃JerocoJブ〃cαおよびr p∫e〟doJ〟あerc〟Jo∫f∫を環境中から広くかつ効 率よく分離するためには、これら病原性拘r∫f乃fαに共通して存在す る抗原に対する抗体を作製し、IMSを行うことが必要である。 病原性r e乃Je川COJf〃cαおよびアク∫e〟doJ〟ゐerc〟Jo∫f∫の病原性の一 部は、これらの菌が保有する約70kbの病原性プラスミドにコードさ れていることが知られている【14,96]。この病原性プラスミド上の 遺伝子にコードされたYadAと呼ばれる分子量180∼240kDaの菌体 外膜タ ンパク は、すべての病原性 ア e乃Je川COJfJ行α および ア p∫e〟doJ〟ゐerc〟Jo∫7∫ に共通して存在することが知られており[3,4, 29,75,92】、菌体表面に発現して、感染初期において腸粘膜への付 着と侵入に関与すると考えられている[18,36,91】。 本章では、病原性アe〝JerocoJfJfc〟およびアp∫e〟doJ〟みerc〟Jo∫f∫に 共通する菌体外膜抗原として YadAを選び、これに対する抗体を作 製してIMSを行い、その検出感度や特異性について、アルカリ処理 法と比較しながら検討した。

第2節

材料および方法 26

(32)

ユー1 供試菌株および培養条件 2-1-1 供試菌株 ア β和才eroco拍・fcα血清型 0:3、0:5,27、0:8および0:9の4株、こ れ ら か ら病原性プラ ス ミ ドが欠落 した も の 4 株な ら びに ア 即e〟如才〝∂erc〟Jo∫f∫血清型1bおよび4bの2株の計10株を用いた。 すべての供試菌株は、第1章 2-1と同様に、病原性の有無を確認し た。 ユー1-ユ 供試菌株のYadA産生条件の検討

供試菌株と して Y.enterocolitica O:8 を、液体培地と して brain

heartinfusion培地(BHI,Difco)、TSBおよびRPMI1640(日永)を用 い、培養温度と して 25℃あるいは 37℃で、6時間あるいは 24時間 培養し、YadA を発現させるための最適な培養条件を調べた。YadA の発現は以下のようにして調べた。供試菌株を BHIlO mJに接種し、 25℃で24時間前培養した後、その培養液 0.2 mJを各培地10 mJに 接種し、37℃または 25℃で 6時間あるいは 24時間振塗培養した。 発育した菌をマイクロ遠心チューブで9,000×gで10分間遠心後、沈 査を滅菌精製水に懸濁し、同量の電気泳動用サンプルバッファー

(Tris-SDS-BME Sample Buffer;第一化学薬品)を加えて沸騰湯浴中

で 5 分間加熱し、菌体からタンパク質を抽出した。抽出した YadA を含むタンパク質抽出液はLaemmliの方法【56]に従い、ポリアク リルアミドゲル(PAG Mini"DAIICHI"4/20;第一化学薬品)を用い て、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を行った。 電気泳動後、0.25%Coomassiebrill-iantblueR-250(和光純薬)を含 む染色液を用いてタンパク質染色を行い、YadA の分子量である約 180kDaのバンドを確認した。分子量マーカーと して SDS-PAGE 用 27

(33)

マーカー(SeeBlue⑧plus2Pre-Stained Standard;Invitrogen)を用い た。 2_2 抗YadA抗体結合免疫磁気ビーズの作製 2_2_1抗YadA抗体作製に用いるためのYadAの調製 供試菌株としてr e乃JerocoJfJ血0:8を用いた。供試菌をBHIlOmJ に接種して25℃で24時間前培養した後、その培養液10mJをRPMI 1640500mJに接種し37℃で、予備試験で最も適切と考えられた培養 時間である18時間振塗培養した。その後、2-1-2と同様に、菌体か らタンパク質を抽出し、SDS-PAGE後、YadAの分子量である180kDa

付近のバンドをゲルから切り取り、マックスイールドーGPタンパク

質回収器(ATTO)を用いて、YadAを回収し、この溶液(タンパク質 量0.5mg/mりを免疫するための抗原として用いた。 2_2-2 抗YadA抗体の作製 2_2_1で作製したYadA溶液0.6mlとフロイント完全アジュバント (和光純薬)0.8mJをよく混和した後、第1章2-2-1と同様にニュ ージーランドホワイト種のウサギ2羽の背部に皮下接種した。初回 接種から3週間後に、YadA溶液0.6mlとフロイント不完全アジュ バント(和光純薬)0.8mJをよく混和したものを、追加免疫として それぞれのウサギの背部に皮下接種した。追加免疫1週間後、ウサ ギから採血し、その血清を用いて、YadA溶液を抗原として、また、 Horseradish peroxidase(以下、HRP)でラベルした羊抗ウサギIgG (ZYMEDLaboratories)を二次抗体として、Hayashidaniら【33]の方法 と同様にELISAを行うことにより YadAに対する血中抗体価を測定 し、抗体価が上昇したのを確認した後、ウサギの心臓から全採血し 28

(34)

た。採取した血清は0.45匹mメンブランフィルター(ADVANTEC)

でろ過滅菌後、使用するまで-20℃で凍結保存した。

作製した抗YadA家兎免疫血清は、アフィニティークロマトグラ

フィー(Protein G Sepharose㊥4 Fast Flow;Amersham Pharmacia

Biotech)でYadAに対する特異的抗体が含まれるIgG画分に分取後、

低分子のタンパク質などを除くため、透析膜(Spectra/Pro

CE

Membrane[molecular weight cut off:10,000];Spectrum Laboratories)

を用いてTBS(20mMTris-HCl[pH7.5],150mMNaCl)中で透析し、 精製した。 なお、作製した抗YadA免疫血清のYadAに対する特異性は、以下 のようにウェスタンブロツティング法によって確認した。供試菌株 として ア e乃JerocoJfJfcα 0:8を用い、供試菌をBHIに接種して25℃ で24時間前培養した後、その培養液をRPMI1640に接種し37℃で 18時間振塗培養を行った。その後、2-1-2 と同様に、菌体からタン パク質を抽出し、この抽出液をSDS-PAGEによって電気泳動した後、 minitrans-blotelectrophoretictransfercell(Bio-Rad)を用い、氷水中 にて0.05A、30Vで1晩反応させ、POlyvinylidene difluoride(PVDF)

膜(NEN Life Science Product)に転写させた。転写膜は10%スキム

ミルクを含むTBS-T(20mM Tris-HCl[pH 7.6],135mM NaCl,0・1% Tween20)を用い、軽く振塗しながら室温で1時間ブロッキングし、 次いでTBS-Tで5,000倍に希釈した一次抗体、すなわち抗YadA免 疫血清を加え室温で1時間反応させた。その後、転写膜はTBS-Tで 3回洗浄後、TBS-Tで 5,000倍に希釈した二次抗体、すなわち HRP でラベルした羊抗ウサギIgGを加えて室温で1時間反応させた。二 次抗体を反応させた転写膜はTBS-Tでさらに3回洗浄後、化学発光 29

(35)

検出試薬(ECL plus;Amersham Pharmacia Biotech)を用い、製品の 使用説明書にしたがって、化学発光法により標的とする YadAタン パクを検出した。 2_2_3 抗YadA抗体と磁気ビーズとの結合 予備実験の結果から、IMS法には、20plの精製した抗YadA抗体 に対し、25直の磁気ビーズを反応させ、第1章2-2-2と同様に両者 の結合を行った。 2_3 免疫磁気ビーズを用いたIMS法による病原性托r∫J〝iαの回収 2_3_1.病原性拘r∫J〝fαのIMS法による回収 供試菌株をBHIに接種し、25℃で24時間前培養した後、その培 養液をRPMI1640に接種し37℃で18時間振塗培養した。培養菌液 は滅菌生食で10倍段階希釈し、100∼103cFU/mJの菌量となるよう に菌液を調整した。以後、2-2-3で作製した免疫磁気ビーズを用いて 第1章の2-2-3と同様にIMS法による回収を行った。また、接種菌 を回収する際の選択分離培地としては、CIN培地ならびに第1章で その有用性が確認された重層VYE培地を用いた。なお、接種菌を回 収する際、選択分離培地上での発育を促進するため、検体と免疫磁 気ビーズを反応させた溶液に10倍量のBHIを加えて30℃で3時間 培養した後、選択分離培地上に接種した。回収した菌の同定は、供 試菌に対する抗血清を用いたスライド凝集反応によって行った。 2_3_2 河川水に実験的に接種した病原性托r∫J〝∫αのIMS法とアル カリ処理法による回収 供試した河川水は野川(東京都国分寺市)より採取したものを用 いた。供試菌株を2-3-1と同様に培養後、その培養菌液を第1章2-3-1 30

(36)

と同様に9倍量の濃縮河川水に加えて101∼105cFU/mJの菌量とな るように調整した。そして、IMS法とアルカリ処理法を用いて河川 水から接種した供試菌を回収し、その回収率を比較した0 選択分離 培地ならびに培養条件は2-3-1と同様に行った0 なお、河川水の総 生菌数および大腸菌群の平均値は、それぞれ 2・6×104ぉよび 25 CFU/mJであった。 第3節 結果 3_1供試菌株のYadA産生条件の検討 3_1_1 各発育条件下で培養した R g〟Jgr〃C〃Jf〃七α 0:8 における YadAの産生状況 図1は、TSB、BHIおよびRPMI1640の3種類の培地を用い、培 養温度を25℃あるいは37℃、培養時間を6時間あるいは24時間で Y enter。C。Iitica O‥8を発育させ、約180kDaのYadAの発現状況を 比較した成績を示したものである。YadAの産生が最も良かったのは、 RPMI1640培地を用い、37℃で振塗培養した時であり、6時間の培 養時間でもYadAの産生が認められた。しかし、TSBやBHIを用い た場合は、25℃および37℃のいずれの温度でもYadAの産生はほと んどみられなかった。 3_1_2 病原性托r∫f〝Jα`菌株の産生するYadAの比較 図2は、病原性プラスミドを保有する供試菌6株をRPMI1640培

地に接種し、37℃で18時間振塗培養して、YadAの発現をみた成績

である。すべての菌株においてYadAの発現は確認されたが、YadA の分子量は血清型によって少しずつ差がみられ、分子量の最も大き 31

(37)

TSI主 BⅡI RPMI M12 3 412 3 412 3 4 kDa 250一 .__J 148- l _- ←YadA Fig.1.SDS-PAGE(gradient4-20%polyacrylamidegel)ofwholece11 1ysatesofYenterocoliticaO:8growninTSB,BHIandRPM11640 underdiffbrentcultureconditions.Lane:1,25℃,6h;2,25℃,24h; 3,37℃,6h;4,37℃,24h.Molecularweightmarkers(kDa)areshown inlaneM.

(38)

kDa 二M O:3 0:5 0:80:,1b 4b 250-148一 ,8-`4一 50- トー■ H 一 -一, r

.1■

胃l

■ ■ ■ 嶋■

ー¶l■■

‥毒

口縫【雪

Fig・2・SDS-PAGEofwholece111ysatesofYenterocoliticaO=3, 0:5,27,0:8andO=9andYpseudotuberculosislband4bgrownin RPMI1640under37℃.M;Markerproteins・

(39)

いアe射e川COJiHcα0:3は約200kDaで、0:5,27、0:9と小さくなり、 アg乃Je川COJf〃c80:8、r即e〟doJ〟みerc〟Jo∫f∫1bおよび4bはほぼ同じ 大きさで約1SOkDaであった。分子量が最も大きな ア e〃Jg川COノブJfcα 0:3と最も小さなr e乃JerocoJ〟fcα0:8では20∼30kDaの差がみられ た。 3-2 抗YadA免疫血清のYadAに対する特異性 図3は、作製した抗YadA免疫血清がYadAに特異的であることを ウェスタンブロツティング法によって確認した成績である。図に示 すように、r e乃JerocoJg〃c〟の産生する YadAの分子量である約180 kDaの位置に、明瞭にバンドが検出された。また、図4に示すよう

に、今回Y enlerocolitica O:8から精製したYadAに対する抗体は、

他の ア g〃Jero川〃わ七α の血清型や ア即e〟加J〟占erc〟Jo∫f∫ の産生する YadAに対しても反応し、これらの菌種や血清型のYadAの分子量の 位置にバンドが観察された。 3-3IMS法による病原性鞄r∫J〝∫αの検出感度および特異性 表6は、供試菌10株を生理食塩水に接種し、YadAに対する抗体 を用いたIMS法により接種菌を回収し、その検出感度および特異性 を調べた成績である。菌量が102以上の場合は、プラスミドを保有 する病原性r e射e川CO…血およびア即g〟doJ〟占erc〟Jβ∫f∫のいずれの 菌株においても 4検体すべてから接種菌が回収できた。101の場合 でも、r e乃Jeroco…fcα0:5,27およびr即川doJ〟∂er川Jo∫∫∫4bにおい ては 4 検体中 3 検体で、r e〃JerocoJf〃七α 0:8 と 0:9 および ア p∫紺doJ〟占erc〟Jo∫f∫1bにおいては4検体中2検体で、アe〃JerocoJ行fc〟 34

(40)

M O:$ 0:$ 9$- `4-50-

i■L_」

SDS- Wester山一 PAGE blot Fig.3.SDS,PAGE(1eftpanel;Coomassiebrilliant bluestain)andWestem-brot(rightpanel;developed withanti-YadA)ofproteinsofYenterocoloticaO:8・ M;Markerproteins・

(41)

M O:3 0;5 0:$ 0:,1b 4b 。,■せ・ ⊥ 上 と___■ SDS-PAGE 98-0:3 0:5 0:$ 0:9 1b 4b ●-● Westernblot Fig.4.SDS-PAGE(le氏panel;Coomassiebri11iantbluestain)and Western-brot(rightpanel;developedwithanti-YadA)ofproteinsof ye乃JgrocoJ∫J∫cα0:3,0:5,27,0:8mdO:9andアク∫e〟ゐJ鋸あerc〟わ∫ね 1band4b.M;Markerproteins.

(42)

Table6.RecoveryofpathogenicYenterocoliticaandYpseudbtuberculosis byIMSmethod

Inoculum Plasmid

Strain

(CFU/ml) Positive Negative

アe乃JerocoJiJわα0:3 アe乃Jer()CO掃わα0:5,27 re乃Jeroco掃わα0:8 アe〃Jeroco肋fcα0:9 アク∫e〟ゐJ〟ゐerc〟わ∫ブ∫1b アp∫e〟ゐJ〟∂erc〟わ∫f∫4b 4 つJ 2 1 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 4 っJ 2 1 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 4 つJ つ▲ 1 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 4 つJ つ一 1 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 4 3 2 1 0 4 3 つム ・1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 川〃川〃〃 何周〃川〃 〃〃川西〃 〃〃〃川舟 〃川舟川西 川西西川〃 4 4 4 1 0 4 4 4 3 0 4 4 4 2 0 4 4 4 2 0 4 4 4 2 0 4 4 4 3 0 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 0/2 ∽∽∽∽∽ NTNT NTNT NT NTNT NT NT NT aYerTiniaisolatedsamplenumber/totaltestedsamplenumber・ bNT:Nottested. 37

(43)

0:3 においては 4検体中1検体で接種菌が回収できた。一方、病原 性プラスミドが欠落し、YadAを産生しない Y enterocoliticaでは菌 量が104の場合でも、供試した4菌株いずれとも接種菌は回収され なかった。 3-4 河川水に実験的に接種した病原性アとr∫f〝f〟のIMS法とアルカ リ処理法による回収率の比較 表7は、河川水に実験的に接種した供試菌6株を、YadAに対する 抗体を用いたIMS法ならびにアルカリ処理法により回収した成績を 示したものである。IMS 法では、菌量が103 以上の場合は ア e乃Jeroco招■fcαおよび アp∫川如才〟占erc〟Jo∫f∫のいずれの菌株において も 3検体すべてから接種菌が回収でき、102の場合でも 3検体中1 ∼3 検体で接種菌が回収できた。また、101の場合でも ア β射grocoJfJfc〟0:5,27では3検体中1検体で回収が可能であった。 方、アルカリ処理法では、菌量が104 以上の場合は病原性 r g〝ナビrocoJfHcαのいずれの菌株においても3検体とも接種菌が回収さ れたが、103の場合では 3検体中 2∼3検体で、102の場合でも ア e乃ナビrocoJわfcd O:5,27、0:8および0:9においては3検体中1∼2検体 で接種菌が回収された。しかし、ア即e〟doJ〟占grc〟Jo∫f∫1bでは菌量 が103∼105の場合でも3検体中2検体でのみ接種菌が回収でき、ア 即e〟加J〟ゐerc〟Jo∫f∫4bでは105の場合に3検体中1検体で回収された に過ぎず、104以下の場合には全く接種菌は回収されなかった。以 上のよ うに、河川水に病原性 ア e招r?Cβ′軌α および r PSeudotuberculosisを接種した場合、YadAに対する抗体を用いたIMS 法はアルカリ処理法に比べ明らかに回収率が高かった。 38

(44)

Table7.RecoveryofpathogenicYenterocoliticaorYpseuゐtuberculosis 丘ominoculatedriverwaterbyIMSmethodandwithdirectKOHtreatment

strain

諾怒

IMS DirectKOHtre血e血

ye乃Jeroco〃〟cα0:3 105 104 103 102 10l アe乃Jeroco〃Jわα0:5,27 y e〝Jer()COJfJわα0:8 アe乃Jer()CO肋ねα0:9 アp∫e〟(わねゐerc〟わ∫ね1七 yp∫e〟(わJ〟∂erc〟わ∫ね4b 5 4 っJ 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 つ】 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 膵ssss 3 3 つJ つJ つJ つJ つJ つJ 3 つJ つJ 3 3 つJ 3 3 つJ つJ 3 つJ 3 つJ つJ 3 3 ′ ′ ′ ′ ′ / / / ′′ / / / / ′ ′ / / / / / -/ / / / / 3 3 つJ l l つJ 3 つJ 2 0 つJ 3 3 3 0 つJ 3 つJ 1 0 つJ つJ つJ 1 0 っJ つJ つJ 3 つJ つJ つJ 3 3 つJ つJ つJ つJ 3 3 3 つJ 3 3 つJ つJ 3 3 3 つJ 3 つJ つJ つJ つJ ′ ′ ′ ′ ′ ′ ′ ′ ′′ ′ ′ ′ ′ ′-′ ′ ′ ′ ′ ′ ′ ′ / -/ ′/ ′/ -/ / / 3 3 2 0 0 つJ 3 2 2 0 3 3 3 2 0 3 3 2 1 0 2 2 2 0 0 1 0 0 0 0 aYbniniaisolatedsamPlenumber/totaltestedsamPlenumber. 39

(45)

第4節 考察

病原性 ア e〃JerocoJfJfcα およびアク∫e〟如才〟∂erc〟Jo∫f∫ に共通の菌

体外膜タンパクである YadAが、両菌種をIMS法で検出する際の抗

原と して有用であることを確認するために、YadAを発現した病原性

r e乃JerocoJ7オブcα およびアク∫e〟doJ〟ゐerc〟Jo∫f∫を実験的に河川水に接

種し、Yehterocolitica O:8から精製した YadAに対する抗体を用いた

IMS法で回収を行った。その結果、供試した病原性アe乃JerocoJfJfcα およびアク∫e〟doJ〟ゐerc〟Jo∫f∫ の6菌株いずれもが、今回開発したIMS 法によって分離することが可能であった。また、このIMS法とアル カリ処理法との間で検出感度を比較した場合、IMS法ではいずれの 供試菌でも102∼103cFU/mJの菌畳まで回収できたのに対し、アル カリ処理法の場合ではIMS法に比べて病原性 ア e乃JerocoJブ〃cαでは 検出感度に差はみられなかったが、rク∫e〟doJ〟ゐerc〟Jo∫∫∫では検出感 度が低く、特にYpseudotuberculosis4bは105cFU/mlの菌畳までし か回収できなかった(表 7)。これらのことから、YadAに対する抗 体 を用 い たIMS 法は、病原性 ア e乃JerocoJf〃cβ よ び ア p∫e〟如才〟あerc〟Jo∫∫∫を広く分離することが可能であり、またアルカリ 処理法と比べ検出感度が同等または高かったことから、第1章で IMS法はアルカリ処理法に比べ損傷菌の検出感度が高かった成績を 考え合わせると、今回開発したIMS法はこれら病原性拘r∫わ‡fαを河 川水などの環境材料から検出する際の有効なツールになり得るもの と思われた。 YadAは、病原性)1enterocoliticaおよびY pseudotuberculosis を 37℃で培養した時に、その菌体表面に発現される頭(head domain) 40

(46)

および脚(stalk domain)の部分から成る棒つきキャンディー (lollipop)状の構造を持つ菌体外膜タンパクである【37]。YadA の 疎水性領域である head domain の構造は菌種や血清型間でほぼ同一 であるが、親水性領域である stalk domainは菌種や血清型により多 様な構造を示すため、YadAは病原性Yersiniaの菌種や血清型によっ て大きさの異なることが知られており[4,60,90,92,93]、Mackら

[60]は、YadAの分子量について、Y enterocolitica O:3では206kDa、

0:5,27 では 202kDa、0:9 では192kDa、Y enterocolitica O:8 と Y

PSeudo(ZLbercu]L)Sisl、2および3では約180kDaであったことを報告 している。本研究においても YadAの分子量は菌種や血清型によっ て差がみられ、得られた成績は、Mack ら[60]ならびに Sory ら【93] の成績を支持するものであった。YadA の抗原性は、病原性 ア enterocoliticaの血清型ごとに YadAに対するモノクローナル抗体を 作製して検討した結果、血清型特異的であったとの報告もみられる

[91]が、今回Y enterocolitica O:8から精製したYadAに対する抗体

を用いた ウエス タ ンプロ ット法によ って、この抗体は ア e乃JerocoJf〃cα0:8の産生する約180kDaの分子量のタンパク質に反 応するだけでなく、他の菌種や血清型の YadA と推定されるタンパ ク質にも反応がみられた。また、この YadAに対する抗体を用いた IMS 法で、滅菌生食に接種した病原性プラスミドを保有する g〃Jeroco〃Jfcα0:3、0:5,27、0:8および0:9は10l∼102cFU/mJの菌 量でも回収されたのに対し、これら4血清型菌のプラスミド欠損株 では、104cFU/mJの菌量でも全く回収されなかった(表 6)。これ

らのことから、今回、Y enterocolitica O:8から精製したYadAに対

するポリクロナール抗体は、本血清型菌の産生する YadAを正しく

(47)

認識しているのみならず、他の病原性 ア e〃JerocoJf〃cα や r pseudotuberculosisの産生するYadAとも反応しているものと思われ る。 第1章で、損傷のないr e〃JerocoJブ〃cα0:8新鮮培養菌を実験的に 河川水に接種し、IMS法とアルカリ処理法でその検出感度を比較し ても、両者間で検出感度にほとんど差は認められなかった。今回、 病原性アe〃JerocoJf〃cαと r p∫e〟doJ〟みerc〟Jo∫f∫の新鮮培養菌を実験 的に河川水に接種し、YadAに対する抗体を用いたIMS法とアルカ リ処理法で検出感度を比較したところ、病原性アe乃Jβ川COJブナブcαでは 両者間 で検 出感度 に大 き な差は認め ら れなかっ た が、r p∫e〟doJ〟ゐerc〟Jo∫f∫ではアルカリ処理法の検出感度はIMS法に比べ 明らかに低かった。このような現象が生じた理由のひとつと して、 供試した菌株の培養温度の問題が考えられる。これまで河川水など に実験的に病原性 アgr∫ブ乃fαを接種し、アルカリ処理法を用いて検出 感度を調べた実験では、接種菌を作製する際には25℃前後の培養菌 が用いられており[2,25]、今回のように37℃での培養菌が用いられ た報告はみられない。したがって、病原性 拘r∫f〃fα、特に ア

pseudotuberculosis では 25℃培養菌に比べ、YadAや Yop(Yersinia

outer membrane protein)などのプラスミドにコードされている病原

性に関与する菌体外膜タンパクが発現される 37℃培養菌ではアル カリ に対する抵抗性に差があり、そのためにアルカリ処理法での検 出率が低く なった可能性が考えられる。r e〃JgrocoJ∫〃cα の場合、 25℃と 37℃培養菌では菌体脂肪酸組成に違いがみられることが報 告されており【100]、また、Hayashidaniら【32]は25℃と 37℃培養菌 では熱抵抗性が異なるこ と を報告している。しかしなが ら、ア 42

(48)

ク∫e〟doJ〟ゐerc〟Jo∫f∫ では培養温度の違いにより菌体脂肪酸組成や熱 抵抗性に差がみられるか否かを検討した報告はみられないため、r ク∫g〟如才〟∂erc〟Jo∫f∫がIMS法に比べアルカリ処理法での検出率が低 くなった理由は現時点では不明であるが、興味ある知見であり、今 後さらに多くの血清型・菌株を用いて検討する必要がある。 病原性Yersinia にYadAを発現させるための液体培地として、BHI [10,11,103]、RPMI1640[35,37,60]およびMedE[89,91]などさま ざまな培地が用いられている。本研究では YadA発現に最適の培地 や培養条件について検討したところ、RPMI1640を用いて37℃で振 塗培養した時に YadAがよく発現することがわかった。興味深いこ とにRPMI1640を用いて37℃で培養しても、静置培養にするとYadA はほとんど発現しなかった。YadA は病原性 拘r∫f乃fα が宿主生体内 に侵入・増殖する時に重要な役割を果たしている【18,36,91]ことが 知られており、病原性 Yersinia の感染を受けた人や動物では YadA に対する抗体が血中にすみやかに産生される[28]ことから、YadAは 病原性托r∫ブ〝i〟 の感染防御抗原と して重要な役割を果たしている可 能性が推測される。YadAが細胞培養用の培地である RPMI1640で 振畳培養した時にのみ、発現されるという現象は、托r∫わ1fd の生体 内での増殖機序や代謝様式など解明していく上で興味深い知見であ り、今後、そのメカニズムの解明を図りたい。 以上、本章では YadAに対する抗体を用いたIMS法によって、病 原性 ア e〝ナビrocoノブ〃cα および ア p∫e〟doJ〟ムerc〟Jo∫f∫ のいずれもがア ルカリ処理法より も高感度に検出できることが示された。今後は病 原性 托r∫g〝fαの自然汚染を受けた河川水のような環境材料や食肉な どを対象にして、今回開発したIMS法の有用性について検証してい 43

(49)

きたい。 第5節 結語 病原性アe乃JerocoJfHcαおよびアク∫e〟doJ〟∂erc〟Jo∫f∫に共通する菌 体抗原である YadAに対する抗体を作製してIMSを行い、その検出 感度や特異性について、アルカリ処理法と比較しながら検討し、以 下の成績を得た。 1.ア e乃JerocoJfJブcα0:8から作製したYadAに対する抗体を用いた IMS 法に よ り、供試 した病原性 r e〝JerocoJfJfcα お よ び ア ク∫e〟ゐJ〟∂erc〟′0∫f∫のいずれの菌株も分離することが可能であり、10l ∼102cFU/mlまで検出することが可能であった。しかし、YadAを コードする病原性プラスミドを欠損する菌株では、このIMS法では 104cFU/mJの菌量でも全く回収されなかった。 2.YadA を 発 現 し た 病 原 性 Y enterocolitica お よ び Y pseudotuberculosisを河川水に実験的に接種し、YadAに対する抗体 を用いたIMS法とアルカリ処理法で検出感度を比較した結果、IMS 法ではいずれの供試菌株においても菌量が102∼103 cFU/mJの時ま で回収されたのに対し、アルカリ処理法では病原性 アe〝JerocoJfJfcα ではIMS 法とほぼ同じ検出感度であったが、ア p∫e〟doJ〟ムerc〟Jo∫f∫ では明らかにIMS法に比べて検出感度が低かった。 3.以上の成績から、今回開発した YadAに対する抗体を用いたIMS 法は、河川水などの環境中から病原性 托r∫f〃fαを特異的にかつ高感 度に検出できるものと考えられた。 44

(50)

第3章 Loop-mediatedisothermalamplification(LAMP)法による 病原性Iセr∫J〝∫αの検出

第1飾

緒言 LAMP法は、鎖置換反応を利用し一定温度で反応させる遺伝子増

幅法であり、検出までを1ステップの工程で行うことができる。こ

のため、恒温槽があれば特殊な装置は必要でなく最短30分間で遺伝 子の増幅が確認でき、PCR法よりも簡便・迅速な遺伝子増幅法であ るといえる。さらに、LAMP法は特異性が高く、鎖置換型合成反応 を利用しているため PCR 法でみられるような合成阻害もおこらな いとされている[72,97]。すでにいくつかの細菌やウイルスにおいて LAMP 法を用いた検出についての報告がなされているが、病原性 アおr∫f〃iαに応用した例はない。 本章では、病原性 拘r∫f〃fαの迅速かつ感度の高い検出法を開発す るために、これらの菌の検出・同定にLAMP法を応用し、最適なプ ライマーの設計を行う とともに、開発したプライマーの特異性や検 出感度について、PCR法と比較しながら検討を行った。 第2節 材料および方法 2-1 供試菌株 供試菌株と して、表 8 に示す病原性 ア β乃ナビrocoJブJfcα18 株、ア ク∫e〟doJ〟∂erc〟Jo∫ブ∫21株、非病原性拘r∫f〃fα属菌6株およびその他の グラム陰性菌10株の計55株を用いた。 45

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