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相転移

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Academic year: 2021

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7. 平衡、エントロピー、自由エネルギー 9. 相と相律 9.1. 相と相平衡 一つの系がその全体にわたって化学組成のみならず物理的状態に関しても一様 であるとき、その系は均一であるといい、一つの相(Phase)だけからなっている という。たとえば、水蒸気と水、氷を考えてみる。それぞれ、気体、液体、固 体という風に、化学的な成分は同じでも物理的な状態が異なるから、相が異な ることになる。これに対応して、気相、液相、固相と呼ぶ。相はある程度の広 がり大きさを持つ。 問 9.1-1 黒鉛とダイアモンドは、固体である。これは物理的性質は異なる。相が違うといえる か? 酸素と窒素の比が異なる空気がある。これは、それぞれ異なる相に属するというか?水 と油が分離してある。それぞれは異なる相にあるというか? これに石けんを入れたら、相は どうなるというか? 二つ以上の相があるときには、不均一と呼ぶ。 一つの相から他の相に移ることを相転移という。 物質性質は、温度と圧力を決めれば、密度などの他の変数も決まってしまう。 すなわち性質f(x,y)は、連続関数として書くことができる。一方、別の相があ ると、同じ性質が別の関数g(x,y)でかけるが,相転移を起こすところでは,関 数そのものが不連続になったり,1次微分が不連続になったりする.融解熱や 蒸発熱を伴うあるいは大きな体積変化を伴う一次相転移と体積は連続だが,比 熱(自由エネルギーの二次微分)が不連続になる二次相転移の二つの相転移があ る。 図 9.1-1 相転移の例 左では、大きく体積が異なるが、右は大きな変化はない。 水を考えてみよう。水の密度は、温度と圧力を決まれば決まる。しかし、水蒸 気の密度は、同じ温度、圧力でも水とは異なる値を持つ。したがって、水蒸気 と水は別の相にあるというふうにもいえる。ここで、水と水蒸気が平衡になっ ていたとする。 水の自由エネルギーと水蒸気の自由エネルギーは、等しいことを意味してお り、たとえば、等温、等圧条件で、水分子が水蒸気に変化しても自由エネルギ ーは変化しない。 T V f(T) g(T) T V f(T) g(T)

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水)=G(水蒸気) ( G ( 9.1-1) 今、水から気相にdniだけ分子が移動したとしよう。 二つの相の間で物質が移動したことに伴う自由エネルギー変化dG(これは当 然ながら0 であるが、)以下のように表すことができる。 ( 9.1-2) i i nG とおいて、化学ポテンシャルと呼ぶ。 数式で書いたが、化学ポテンシャルの定義は、モルあたりの自由エネルギーで あると考えればよい。すなわち、dn モルの水が持っている自由エネルギーは 1 モルあたりの自由エネルギーが i とすると、 idniとなる。 等温等圧で、二つの相が平衡にあるときは、 0 i idn dG ( 9.1-3) さて、水の方からdni が失われ、同量の dni が水蒸気に加わったのだから、 vapor water i vapor i waterdn dn 0 ( 9.1-4) このように等温、等圧力の二つの相が接しているときには、 かならず、二つの相の化学ポテンシャルが一致する。 さて、1つの相のときには、その相の化学ポテンシャルは、二つの変数を決め ると決まる。ところが、今二つ相があるとしよう。その時には、二つの相が平 衡ということから、( 9.1-4)が成り立つ必要がある。このため、この方程式を満 足するためには、温度か圧力のどちらかが決まると、もう一方が決まってしま う。 (簡単には、 water(T,P) vapor(T,P)という式をT または P についてといて しまうと、T(P)あるいは P(T)という式をえる。) したがって、相が3つ共存すると、T,P も1つに決まってしまう。 i i i n P T i dn VdP SdT dn n G dP P G dT T G dG i j , ,

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水、氷、水蒸気が共存する点を三重点とよぶ。その温度と圧力は一義的に決ま る。273.16 K, 0.006 bar 9.2. 平衡の周りの挙動 二つの相 が平衡にあるとする。 ) , ( ) , (T0 P0 T0 P0 問 9.2-1 室温 20 ℃で 11 cc の箱に 10g 水を入れ、上の空間を真空にした。しば らくすると上の空間には、水蒸気が満たされる。その圧力はいくらか?なお、 蒸気圧は10℃で 9.2 Torr, 20℃で 17.531Torr,50℃で 92.557Torr である。また 120 ℃での蒸気圧は、1.959 気圧である。このときに、どういう相が存在する か? さて、平衡を保ちながら、温度を変化させたとすると、圧力も一緒に変化する。 (平衡では、一つの変数ですべての変数を表すことができる。)その変化の仕 方を考えてみよう。 dT T dP P P T dP P dT T dT T dP P P T dP P dT T P T P T ) , ( ) , ( ) , ( ) , ( 0 0 0 0 0 0 0 0 温度が変化しても平衡だから、 P P T T dT dP となる。 これを1モルあたりのエントロピーや体積s、v で表すと v s v v s s dT dP ( 9.2-1) 平衡を保ちつつ、温度に伴って圧力がどう変化するかは相変化に伴うエントロ ピーの変化と体積変化から求まる。液相や固相が共存するときの平衡状態での 圧力を平衡蒸気圧という。 さて、上の( 9.2-1)をクラウジウス-クラペーロンの式と呼ぶ。 等圧、等温条件の相変化に伴うエントロピー変化は、その時のエンタルピー変 化を温度で割ったものになるので、上の式は、

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v T h dT dP ( 9.2-2) ともかくことができる。 例 273 K ,1 atom における氷と水の密度はそれぞれ、0.917, 0.9998 g cm-3である。ま た、融解のエンタロピー変化は3291 cm3atm-1g-1=333.5 Jg-1であった。400 atmに おける融点を求めよ。 0109 . 0 3291 ) 0905 . 1 0002 . 1 ( 399 ) ( 1 1 T T T T H T P T water ice 3 T したがって、270 K 程度となる。 一方液体から気体に変わるときには,Vg Vlより、 V Vg RT / P となる。 nR h T d P d nRT h dT dP P P RT h dT dP ) / 1 ( ln 1 2 2 ( 9.2-3) したがって、lnP と 1/T をプロットすると、その直線の勾配が R h に等しくなる。 また、 Hが一定であるという条件で( 9.2-3)を積分すると、 1 2 1 2 1 1 ln T T R h P P を得る。 問 9.2-2 純タングステンの融点は3370℃である。また、液体の蒸気圧は 4337℃で 5 Torr、 5007℃で 60 Torr である。沸点を求めよ

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9.3. 示強性変数と示量性変数 上の例でわかるように、化学ポテンシャル、温度T や圧力 P は物質の量にはよ らないが、エンタルピー、体積、エントロピーなどは、物質量を決めないと特 定することができない。このように物質量に依存する変数を示量性変数、物質 量に依存しない変数を示強性変数という。エネルギーは一般に示強性変数と示 量性変数の積の和としてかける。 9.4. 自由度と相律 さて、相が平衡にあるとき自由に変えられる変数の数fと相の数p の間には、 以下の関係が成り立つ。 f=3-p これを相律という。 また、fを系の自由度と呼ぶ。 また、1成分の系では、4つの相が共存することはあり得ない。 下図に水の相の関係を示した。相が温度や圧力でどう変わるかを示したものを 相図という。 図 9.4-1 水の相図

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