遊びの指導「おんがく遊び」学習指導案
指導者 広島県立庄原特別支援学校 教諭 濵﨑 奈緒(T1) 教諭 原垣 実佳(T2) 1 日 時 平成25年10月11日(金)11:00~11:45 2 場 所 小学部3年1組教室 3 学部,学年,学級 小学部第3学年1組 2名 4 題材名 「みんななかよく」 5 題材設定の理由 (1)児童観 本学級は,重複障害学級で, 第3学年の男児2名で構成されている。A児,B児ともに知的 障害と運動障害がある。 A児は,介助歩行を行うことができるが,体幹の支持性は低く,一人であぐら座位や椅子座 位を保つことは難しい。後方からの介助を受けることで,安定した姿勢を保つことができる。 最近では,指導者が後方に背もたれとなる支援具を置くことによって,A児は,指導者の支援 なしにあぐら座位を保つことができるようになってきており,少しずつ体幹の支持性は高くな ってきている。体を大きく動かす活動は好きであり,体を動かしていると,表情もよく,声を 出して喜ぶことがある。これまでの「おんがく遊び」の授業では,笑顔が多く,楽しんで活動 していたが,見通しがもちにくかったり,待ち時間が長かったりすると,集中力が切れてしま い,頭を叩いたり,指を口に入れたりすることがあった。同じ活動を繰り返すと,何をするのか がわかるようになりやすい。また,指導者が,実際にやってみたり具体物等を示したりしなが ら,A児にやりたい気持ちややってみた後の気持ちを問いかけることにより,A児は,表情や 身振り,声などで気持ちを表現することが増えてきた。「もう一度やる?」という指導者の問い かけに対して,自分から手を伸ばすこともできるようになってきた。 B児は,「おんがく遊び」の授業が大好きであり,授業の始まりの歌から声を出してよく笑う。 音楽を使用した活動には見通しがもちやすく,次の活動を期待して笑うこともある。体を動か すことも好きであるが,まだ,完全に首が据わっておらず,不安定であり,体を支える筋力も 弱いことから活動の際には配慮が必要である。また,大きな揺れに対しては,表情も硬く,体 の緊張が高まる様子があり,B児にとってあまり得意でない感覚であることが伺える。音楽や 特定の音を聞くとその音に聞き入ってしまい,他のことに気が向かなくなるという課題もある。 活動後にもう一度やりたいかどうか尋ねられると,にっこりと笑うことで気持ちを表現したり, 指導者の手に触れることで表現したりすることが増えてきている。 (2)題材観 本題材「みんななかよく」では,知的障害者である児童生徒に対する音楽科及び学校教育全 体を通して行う自立活動として次の内容を取り扱う。 音楽科 1段階(1)音楽が流れている中で体を動かして楽しむ。 (2)音の出るおもちゃで遊んだり,扱いやすい打楽器などでいろいろな 音を鳴らしたりして楽しむ。自立活動 3 人間関係の形成 (1)他者とのかかわりの基礎に関すること。 4 環境の把握 (1)保有する感覚の活用に関すること。 5 身体の動き (1)姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。 6 コミュニケーション(1)コミュニケーションの基礎的能力に関すること。 本題材では,リズム遊び,くすぐり遊び,楽器遊びを行う。 リズム遊びでは,「バスごっこ」の曲で活動を行う。「バスごっこ」は,テンポのよい曲であ り,曲に合わせて活動しやすい。バランスボードやピーナッツボール等に乗って体を動かすの に適した曲であると考える。 「のり巻きのうた」では,曲に合わせてくすぐり遊びを行う。この曲は「糸まきまき」の替 え歌で,児童にとっても耳にしたことのある身近なわらべうたであり,同じフレーズを繰り返 すことで,見通しがもちやすいと考える。くすぐり遊びは児童にとって好きな遊びであり,こ れまでもくすぐり遊びでは児童からの表出がたくさん見られている。歌詞が変わっても,児童 にとって好きな活動を行うことで,やりたい気持ち等を引き出しやすい題材であると考える。 楽器遊びでは「村祭り」の曲を用いる。「村祭り」は,11月のにこにこ祭で使用する曲であ る。にこにこ祭に向けて曲に親しむとともに,太鼓を使用して活動することで,指導者が叩く 太鼓の音や振動を感じたり,児童が自分で太鼓を叩く等の活動を展開できやすかったりすると 考える。 (3)指導観 指導の際には,次の点について留意する。 まず,1点目は,「ガンバリマンのうた」で始まり,「さよならのうた」で終わるという流れ で授業を行うことにより,授業の始まりと終わりをわかりやすく示すことである。また,同じ 活動を繰り返すことにより,何をするのか見通しをもちやすいようにもさせたい。 2点目は,できるだけ児童の主体的な動きを引き出すことである。体を動かす活動において, A児は,指導者が揺らすことをやめると,自分から前後左右に体を揺らすことがある。そこで, 少しずつ揺らすタイミングを変え,本人からの動きを引き出すようにしたい。また,A児が楽し いと感じる活動を設定することで,児童からのもう一度やりたい等の意思の表出を促すように したい。B児は,バランスボードに乗ったときの揺れが大き過ぎると,体の緊張が強くなった り,表情が硬くなったりする。そのため,B児が受け入れやすい感覚で活動できるよう,B児 の表情を見ながら揺れの大きさに配慮したい。また,心地よい感覚を感じることで,B児がも う一度やりたいと感じ,その気持ちを表現できるように促したい。 3点目は,できるだけ二人が同時に活動できるように内容を設定し,待ち時間を減らし,活 動量を確保するということである。待ち時間が長くなると集中を切らしてしまう児童もいるた め,できるだけ二人に同時に活動させることで,待ち時間を短くするとともに,活動量を確保し たい。バランスボードでの活動の際に,ピーナッツボールも準備し,児童の実態に合わせて使 用して活動できるようにする。 6 題材の目標 ○ 音楽が流れている中で楽しんで体を動かすことができる。 ○ 音の出るおもちゃで遊んだり,扱いやすい楽器などでいろいろな音を鳴らしたりすること ができる。 7 指導計画(全10時間) 友達と一緒に遊び歌(ばすごっこ 等)・・・10時間(本時2/10)
8 本時の目標 (1)全体目標 ○ 曲に合わせて体を動かすことができる。 ○ やりたい気持ちを身振り,表情等で表現することができる。 (2)個々の目標 これまでの様子 目 標 A バランスボードを使った活動では,これまでは指導 者と一緒に揺れを楽しんでいたが,バランスボード の揺れに合わせて自分から左右等に体を揺らすよう になってきている。 好きな活動では,指導者の方に目を向けながら声を 出したり笑顔になったりして,もっとやりたいとい う気持ちを表現できてきた。しかし,待ち時間が長 いと集中力が切れ,好きな活動であっても意欲が低 下する様子がある。 楽器遊びでは,手に握ることのできる楽器は握り続 けて鳴らすことができる。 ・自分から前後左右に体を動か し,バランスボードで揺れること ができる。 ・やりたい気持ちを指導者の手に 触れたり,声を出したりすること で表現することができる。 ・曲が流れている間,太鼓を叩き 続けることができる。 B 音楽が大好きであり,音楽が流れると聞き入ってし まう傾向がある。 体を動かす活動は好きであるが,自発的な動きは出 にくい。指導者と一緒に活動を行い,心地よい揺れ を感じると,表情等で表現することがある。体が不 安定になるような大きな揺れ等はあまり得意ではな く,表情も硬い。しかし,繰り返し同じ活動を行う ことで,受け入れられる揺れも増え,その中で笑顔 も出始めている。 楽器遊びでは,音楽に聞き入ってしまい,楽器を鳴 らすということに意識が向きにくいが,慣れてくる と自分から手を動かして太鼓を叩いたり,鈴を鳴ら したりすることがある。 ・指導者と一緒にバランスボード に乗って体を揺らし,感じたこと を表情等で表現することができ る。 ・やりたい気持ちを指導者の手に 触れたり,笑顔になるなどの表情 で表現したりすることができる。 ・自分から手を動かし,太鼓を叩 くことができる。 9 準備物 エアレックスマット,バランスボード,ピーナッツボール,CDデッキ,CD,太鼓
10 学習過程 過程 時 間 学習活動 指導上の留意点( 課題・○支援・☆評価・◎評価方法) A B 全体 導入 5 分 1 はじめのあ い さ つ を す る。 2 「ガンバリ マンのうた」 を歌う。 ○指導者の方に顔を向けた り,カードを見たりするよ うに促す。 ○目の前に手を見せて,ど こに指導者の手があるのか を示すようにする。 ○授業カードを提示し,目 線を向けるまで待つように する。 ○目の前で手を見せたり叩 いて音を出したりすること で,どこに指導者の手があ るのか示すようにする。 ○はじまりが意識できるよ うに言葉掛け等を行う。 ○歌詞の中に児童の名前を 入れて呼びかけ,指導者の 手を触るまで待つようにす る。 展開 3 5 分 3 「バスごっ こ」に合わせ て 体 を 動 か す。 ○ 初 め は 一 緒 に 揺 れ な が ら,少しずつ支援を減らし, 自分で揺れようとする動き を引き出すようにする。 ○友達がバランスボードで 活動している間に,ピーナ ッツボールに乗るか問いか け,手を動かす等の反応が あった場合はピーナッツボ ールで活動させる。 ☆自分から前後左右に体を 動かし,バランスボードで 揺れることができたか。 ◎観察 ○姿勢が崩れないよう,揺 れの大きさに配慮する。 ○待つ間に,ピーナッツボ ールに乗るか問いかけ,手 を動かす等の反応があった 場合はピーナッツボールで 活動させる。表情等を見な がら様子に合わせて活動を 提示する。 ☆指導者と一緒にバランス ボ ー ド に 乗 っ て 体 を 揺 ら し,感じたことを表情等で 表現することができたか。 ◎観察 ○指導者が児童の目の前で バランスボードに乗り,前 後左右に揺れる様子を見せ て 何 を す る の か を 示 し た 後,児童の活動に入るよう にする。 ○バランスボードやピーナ ッツボールでの活動では児 童の実態に合わせて揺れの 大きさを変える。 ○最初は左右の揺れ,その 後前後に揺れるようにし, いろいろな感覚を感じるこ とができるようにする。 ○待ち時間に集中が切れな いよう,ピーナッツボール を準備し,児童の実態に合 わせて活動する。 ○一緒に活動する際はでき るだけ,お互いの活動して いる姿が視界に入るよう, 配置を工夫する。 4「のり巻きの うた」のくす ぐり遊びを行 う。 ○歌を歌ったり,実際にく すぐったりすることで何を するのかわかりやすく伝え る。 ☆やりたい気持ちを指導者 の手に触れたり,声を出し たりすることで表現できた か。 ◎観察 ○歌を歌ったり,実際にく すぐったりすることで何を するのかわかりやすく伝え る。 ☆やりたい気持ちを指導者 の手に触れたり,笑顔にな るなど表情で表現したりす ることができたか。 ◎観察 ○座位保持椅子に座り,児 童と指導者が向かい合って 活動を行うようにする。 ○歌を歌ったり,少しくす ぐったりすることでこれか ら何をするのかわかりやす く伝える。 ○何度か繰り返し同じ活動 を行った後に,もう一度や り た い か ど う か 児 童 に 尋 ね,気持ちを表現すること を促す。 5 楽器遊びを ○曲に合わせて児童の目の ○曲に合わせて児童の目の ○安定した姿勢で楽器遊び 自分から前後左右に体 を動かし,バランスボー ドで揺れる。 指導者と一緒にバラン スボードに乗って体を 揺らし,感じたことを表 情等で表現する。 やりたい気持ちを指導 者の手に触れたり,声を 出したりすることで表 現する。 やりたい気持ちを指導 者の手に触れたり,笑顔 になるなど表情で表現 したりする。
行う。 前で太鼓を叩くようにし, 何をするのかわかりやすく 伝える。 ☆曲が流れている間,太鼓 を叩き続けることができた か。 ◎観察 前で太鼓を叩くようにし, 何をするのかわかりやすく 伝える。 ☆自分から手を動かし,太 鼓を叩くことができたか。 ◎観察 ができるように,座位保持 椅子で活動を行う。 ○児童の見えやすい位置で 手本を示し,これからの活 動を提示する。 ○楽器を鳴らさせる際は, 児童ができるだけ大きな音 が出せるよう,児童の動き に合わせた楽器の配置に留 意する。 まとめ 5 分 6 「さよなら のうた」を歌 う。 ○指導者の手を目の前で見 せた後,下ろすようにし, 本人が指導者の手に触れる のを待つようにする。 ○指導者の手を見えやすい 位置で提示したあと,本人 の手の近くに下ろし,どこ に指導者の手があるのかわ かりやすく示す。 ○歌詞の中に児童の名前を 入れて,一人ずつ指導者と 手を合わせるまで待つよう にする。 7 おわりのあ い さ つ を す る。 ○授業のおわりが意識でき るように言葉掛け等を行 う。 11 評価の観点 ○ 児童生徒が主体的に課題を達成していたか。 ○ 目標設定は適切であったか。 ○ 支援は適切であったか。 ○ 活動量は適切であったか。 12 年間指導計画 (1)ねらい ○ 指導者と一緒に音楽が流れている中で体を動かす心地よさを味わうようにする。 ○ 扱いやすい楽器に触れ音を感じる中で,楽器への興味や関心をもつようにする。 (2)計画 4月 ~ 5月 おととあそぼう 6月 ~ 9月 むかいあってたのしく 10月 ~ 12月 みんななかよく 12月 ~ 3月 てあそびしよう 曲が流れている間,太鼓 を叩き続けることがで きる。 自分から手を動かし,太 鼓を叩くことができる。
13 教室配置図 ホワイトボード CDデッキ A B エアレックス マット