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日本語非母 者の コンピュータ使用 における問題点

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日本語非母 者の コンピュータ使用 における問題点

―中国語母語者の例を中心に一

楊   峰 ・後 藤 寛樹

要  旨

大学 での研究 ・学習活動 にコンピュータは不可欠 の もの とな って きてい るが, 留 学生 が 日本語環境 の コンピュ タを使 う際 には様 々な困難 が生 じる。 中で も,い わゆ るコンピュータ用語 や コンピュータの画面上 の語 の多 くは, 漢字語 やカタカナ語 か ら成 り立 ってお り, 母 語 を問わず, 留 学生 が コ ンピュータを操作す る際に直面す る困難の大

きな要 因 とな ってい ると考 え られ る。本稿 で は, 留 学生 が 日本語環境下 で コ ンピュータを操作す る際 に直面す る問 題 点 につ いて, 特 に中国語母語者 の観点 か ら述 べ る。 日本語 と中国語 の コ ンピュー タ用語 の比較分析 に基づ いて,

日本語 の コ ンピュータ用語 はカタカナ, 漢 字, ア ル フ ァベ ッ トで表記 され るのに対 し, 中 国語 の コ ンピュータ用語 はほぼすべてが漢字 で表記 され,ま た,漢 字表記 の用語 につ いて も日中両言語 間で表記方法 が異 な る もの もあ り, 留学生 が 日本語環境下 で コ ンピュー タを操作 す る際 に困難 を生 じる もので あ ることを指摘 す る。

キーワー ド】留学生,中 国語母語者,日 本語環境でのコンピュータ操作,コ ンピュータ用語

1 は じめ に

大学 ・大学院での研究や学習の過程において, ワープロソフ トを使 って レポー トを書 く,表 計算 ソフ トを使 ってデータ分析をす る,プ レゼ ンテー ションソフ トを使 って発表す るといった, コンピュータを 用いた活動を行 うことが 日常的にな り,留 学生 にとって もコンピュータ リテラシーの習得は研究 ・学習 を進める上で,欠 かせない要素の一つ となっている。

コンピュータは今や全世界に普及 し,来 日前に何 らかの形でコンピュータを使 ったことがあるという 留学生が多い。 しか しなが ら, 日本語環境でのコンピュータ操作経験を有す る学生は少な く,研 究室や コンピュータ端末室で 日本語環境のコンピュータを前にし,戸 惑いを感 じる学生が多い。また,大 学で 開講 されている情報処理の授業などを履修 して も, 日本人学生向けの内容 にはついていけないという声 を聞 くことが往 々に してある。

コンピュータ リテラシーは,一 般的にはコンピュータを使いこなす能力や技能を指す。 日本の学校教 育の情報処理科 目や IT講 習会などで行われているコンピュータ リテラシー教育は, 日本語母語者を対 象 とし, 日本語環境のコンピュータを使いこなす能力や技能の修得が 目標 とならている場合がほとん ど だと考え られる。 日本語母語者が 日本語環境のコンピュータを操作 しようとす る場合,問 題 となるのは 純粋にコンピュータを操作す る能力や技能 (もちろんこれにはコンピュータに関する専門用語の理解 も 含 まれる)で あるが,留 学生 に対す るコンピュータ リテラシー教育 ということを考えると,問 題は複雑 にな って くる。例えば, 日本語母語者が英語やその他の言語環境のOSや ソフ トウェアを使わなければ な らないとなると, コンピュータにある程度詳 しい人で も日本語環境の ものと同程度にスムーズな操作 をすることは難 しいが, これ と同様 に,母 語の環境のコンピュータ操作に堪能な留学生で も, 日本語環 境のコンピュータを使いこなせ るようになるまでには多 くの困難を伴 う。 コンピュータの操作能力 ・技 能 に加えて, 日本語のコンピュータ用語を理解 した り, 日本語で書かれたマニ ュアルを読んで操作方法 を理解 した りできるだけの 日本語力が要求 されるか らである。最近では日本の大学で も,留 学生 に対す るコンピュータ リテラシー教育の必要性が認識 され, 日本語予備教育などのカ リキュラムに取 り入れ ら

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れ るよ うにな り,留 学生 が コンピュータ リテ ラシーを習得す るための教材 開発 も進 め られている①。留 学生 に対す るコンピュータ リテラシー教育 を充実 させてい くためには,彼 らが コンピュータを使用す る 際 に, どのような ことが問題 とな るのか とい うことを分析す ることが必要不可欠 とな る。

本稿 では,留 学生 の コンピュータ操作,特 に 日本語環境下 の コンピュータを操作す る際 における問題 点 につ いて,ま ず, 2節 で一般 的な問題点 につ いてS、れ,続 く3節 で中国語母語者 の観点か らみた問題 点 につ いて述べ る。

2 留 学生 の コ ン ピュー タ操作 にお ける一般 的問題 点

留学生が 日本語環境でコンピュータを使用する際の問題点 としては,(1)コンピュータ用語②の難解 さ, (2)日本語入力の難 しさ,の 2点 があげ られる (深澤 ・後藤2000,後藤 ・深澤 ・濱田2001)。以下,そ れ ぞれについて簡単に見てい く。

2.1 コ ン ピ ュー タ用 語 の 難 解 さ

コ ンピュータを 自分 の意図 した通 りに操作す るためには,そ の操作手順 は もちろんの こと,画 面上 に 出て くる用語 や指示 な どを理解 していなければな らない。 また,操 作方法 がわか らない ときにマニ ュア ルを参照 しようと思 って も, 日本人 ユーザ向けに書かれたマニ ュアルを読 んで理解す るのは非常 に難 し い。 もちろん英語 やその他 の言語 で書 かれたマニ ュアル もあるが,そ うしたマニ ュアルが扱 っているの は, 日本語環境 の コンピュータや 日本語版 ソフ トウ ェアではない。 コンピュータ画面上 の用語 や指示, マニ ュアルや解説書 に出て くる説明 には,通 常の 日本語教育 では扱 われないよ うな, コ ンピュータの分 野 における専 門性 の高 い語 や,難 解 な漢字 で書 かれた語,さ らには留学生 が苦手 とす るカタカナで書 か れた語 が多 く, これは 日本語力 の高 い留学生 に とって も大 きな問題 とな る。

漢字語 の例 をあげると,「挿入,削 除,選 択」 の よ うな語 は初級 レベルの 日本語学習者 には馴染 みの ない語 であ る。 「入 れ る,消 す,選 ぶ」 であれば,初 級 の教科書 で も扱 われている語彙項 目であ るが, コンピュータの画面 に現れ る語 の うち初級 レベルの学習者で も十分 に理解できるものはわずかである③。

また,コ ンピュータ用語 はカタカナで表記 されていることが多 いが,「 ツール,ウ ィル ス,デ ジタル」

な ど,カ タカナの表記 を見 ただ けでは,瞬 時 にその元 にな っている英語 の綴 りを思 い浮 かべ ることが容 易ではない ものが多 い。 これは,英 語非母語者 や英語 を苦手 とす る学生 は もちろんの こと,英 語 を母語

とす る学生 や英語 が堪能 な学生 に とって も困難 を生 じる もの とな る。

2.2 日 本 語 入 力 の 問題

日本語 の入力方法 には,か な入力 とローマ字入力 の二つの入力方法があ るが,留 学生が 日本語環境 の コンピュータで入力作業 を行 う場合,ロ ーマ字入力を選択す ることが多い。 しか し, 日本語 の ローマ字 表記 を習得 していないことが原因 とな って,入 カ ミスが生 じることがよ くある。入カ ミスの原 因 と して はい くつか考 え られ るが,例 えば,ス ペ イ ン語母語者 が 「にほん ご,ひ らがな」 と書 くつ もりで 「nij0 ngo,giragana」 と入力 して しまい,結 果 として 「に じょん ご,ぎ らがな」 と出力 されて しまった とい

うよ うに,母 語 との表記体系の違 いが ミスを引 き起 こす場合がある (後藤 0深 澤 0濱 田ibid。)。

その他 に も,長 音や促音,撥 音,拗 音 な どの入カ ミスを して しまい,そ の後 の漢字変換が うま くいか ない ことや,外 来語 ・外 国の国名 ・地名 を入力 しよ うと して,誤 った入力 を して しま うことな どが よ く ある。例 えば,「一緒 に」 を 「い しょに」 と入力 し,そ のまま変換 して しまったために 「遺書 に」 とな っ た り,「 きん よ うび」 と書 きたい ところを 「きに ょうび」 と入力 して しま った り,「 メデ ィア」 と書 く際 に元 の綴 り 「media」 をそのまま入力 したために 「メヂア」 にな ったな どの誤用 がよ く見 られ る。長音 や促音,撥 音,拗 音 の ミス,外 来語 の綴 りの ミスは,留 学生 が手書 きで文章 を書 く際 に もよ く見 られ る

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間違 いであるが, コ ンピュータ上 での入力 の場合,問 題 が顕著 にな りやす い。最初 の入力 が間違 ってい ると,漢 字 に変換 しよ うとす る際 に,正 しい漢字 が探 し当て られなか った り,他 の漢字 に変換 されて し ま った りす ることがあ り,ま た,外 来語 の綴 りに関 して も,カ タカナでは どのよ うに表記す るかがわか

らな くて も,元 の言葉 の綴 りを入力すれば何 らかの形 の出力 が得 られ るか らであ る (後藤 ・深澤 ・濱 田 ibid。)。

3 中 国語母 語者 の コ ン ピュー タ操作 にお ける問題 点

中国語母語者が 日本語環境下のコンピュータを操作 しようとす る際に生 じる問題点は大 き く分 けて, (1)日本語の コンピュータ用語 はカタカナ表記語の割合が多 くわか りに くいこと,(2)漢字表記の もので

も,中 国語 とは違 う表記のされ方をするものがあ り混舌Lを招きやすいこと,の 2点 に分 けられる。以下, 3.1,3.2節でそれぞれについて詳 しく述べ る。

3.1 カ タカナ表 記語

留学生のコンピュータ操作における一般的問題点の一つとして,一 般のコンピュータ用語やコンピュー タ画面 に現れる語 には,カ タカナで表記 された語が多 く用い られていることをあげ,英 語を母語 とす る 学生や英語 に堪能な学生で も,元 となっている語を類推するのは容易ではないことは既に指摘 した。そ れ らのカタカナ語 は中国語母語者 にとって も問題 となるもので,コ ンピュータの操作 自体 に不馴れな学 生はもちろん,中 国語環境のコンピュータ操作 に通 じている学生 にとって も困難 さを生み出す ことにな

る。

カタカナ語 が多 い とい うこと自体 は, コ ンピュータに限 った ことではな く, 日本語 の中で多数用 い ら れてい る外来語 は,中 国語母語者 に とって困難 な ものの一つであるが,コ ンピュータ用語 の場合 には一 般 の外来語 と比較 して もな じみ度が低 い ものが多 いので,問 題 は顕著 にな る。 カタカナ語 か ら元 の語 を 類推す るのは中国語母語者 の場合 に も簡単 な ことではないが,そ れ以上 に 日本語 の コンピュータ用語 の 多 くが,英 語 の言葉 をそのままカタカナで表記 した ものであ るのに対 して,中 国語 の コンピュータ用語

はほとん どが漢字語 で表記 されてい るとい うことが,困 難 さを もた らす大 きな原 因 といえ るだろ う。

ここで, 日本語 と中国語 の コンピュータ用語 を,冊 子体で出版 されているイ ンターネ ッ ト用語集及 び イ ンターネ ッ ト上で閲覧できるコンピュータ用語集 に収録 されている語 を もとに比較 してみよう。表 1, 表 2は イ ンターネ ッ ト用語集及 びコンピュータ用語集 に収録 されている語 を, 日本語 0中 国語 のそれぞ れの言語 につ いて,表 記別 に分類 した ものである④。

表 1 日 本語 の コンピュータ用語 の内訳

『日英 中対照 中 国語

イ ンターネ ッ ト用語集』③ 『日中パ ソコン辞典』⑥ カタカナのみ 1275(64.5%) 415(62.3%) 1690(63.9%)

カ タ カ ナ ・英 語 5(0.3%) 23  ( 3.59イ) 28(1.1%) カタカナ ・漢字 302(15.3%) 72(10.8%) 374  (14.29イ)

漢字 ・英語 11(0.6%) 6 (0。 9%) 17(0.6%) 漢字 のみ 287 (14.59イ) 81(12.2%) 368  (13.99̀) 英語 のみ

97

(4.9%) 68(10.2%) 165  ( 6.296)

そ の 他

0

( 0.0%) 1 (0。2%) 1(0.1%)

合  計 1977(100.0%) 666(100.0%) 2643(100.0%)

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表 2 中 国語のコンピュータ用語の内訳

若千の数の違いはあるものの,イ ンターネット用語集 とコンピュータ用語集の語の内訳はおおむね同じだと考え てよいだろう。 この表を見てもわかるように,中 国語のコンピュータ用語は,ほ ぼすべてが漢字で表されているの に対 して, 日本語のコンピュータ用語は 6割 強がカタカナのみの語で,カ タカナと英語やカタカナと漢字のように 複数からなるものも含めると,実 に8割 近い語にカタカナが用いられている。 日本語ではカタカナもしくはアルフ ァベ ットで表記される,「マイクロソフ ト」や 「インターネットエクスプローラー」「ネットスケープナビゲーター」

なども,中 国語では 「微執 (阿 景)早 航者 探隆利 と表記される。この他に,日 本語ではカタカナやアルファベ ットで表記され,中 国語では漢字で表記されるものの例をいくつかあげておこう。以下では,特 に断 りがない限り

「日本語 (中国語)」のように示すことにする。

アイコン (圏林 圏符) ウィルス (病毒)

サーバー 0長努器,伺 服器) ソフ トウェア (軟件) ツール (工則

[電子]メール (屯子由β件ぅ伊妹ノD パスワー ド 鮪 偶,日 令)

ホームページ (主頁,首 D メモ リ (内0

アカウント は 声,帳 号) キーボー ド 鮨観D スクリーン (屏勅 ダブルクリック (双書) データベース (数据庫) ドラッグ (抱魂 施拉) ファイル 蚊 件) マウス ●動丞 ガ湘

リンク G逹擢Э

インス トール (鋤 クリック (単書,点 書) スクロール gMD チャット (卿Ю

デジタルカメラ (数字照本財D ハー ドウェア 願 件) ブラウザ (渕覧器) メニュー (菜朝 ワープロ (字処理軟件)

もともと, 日本語 と中国語とでは語彙体系や表記体系が異なるので, このような違いが出て くるのは当然のこと といえるれ 日本語版のOSや ソフ トウェア上に現れる語の中で,こ れだけカタカナ表記の語の割合が多いというこ とは,中 国語のコンピュータ用語を詳 しく知 っていても, 日本語のコンピュータ用語が即座に理解できるというわ けではな く,ま た, 日本語のコンピュータ用語を理解するには,カ タカナ語についての知識 あるいはその元にな っている英語の用語についての知識が必要 となって くることになる。中国語母語者が日本語環境のコンピュータを 的確に操作するためには, 日本語や英語の力 も必要 とされるのである。特に,中 国東北部出身の留学生の場合,中 国東北部では約 3割 の学生が第一外国語として日本語かロシア語を学ぶという事情もある 0ヒのほうに行けば行 く ほどそういう割合が高 くなる)。大学に入 って英語を第二外国語として勉強 したとしても,英 語力はあまり期待でき 二 英語力が十分ではない学生にとっての負担ははか り知れないものとなる。

3.2 漢 字表記 の差

3.1で見たように,中 国語のコンピュータ用語はほとんど漢字で表記されているが,で は,日本語のコンピュータ 用語のうち漢字で表記されているものは,中 国語母語者にとって理解 しやすいかというと,必 ずしもそうとはいえ ない。というのは, 日本語と中国語のコンピュータ用語は,常 に同じ語彙を使っているというわけではないからで

『日英 中対照  中 国語

イ ンターネ ッ ト用語集』 『日中パ ソコン辞典』 合   計 漢字 のみ 2173(99。4%) 718(96.9%) 2891  (98.79̀) 漢字 ・英語 7 (0.3%̀) 23(3.1%) 30(1.0%)

英語 のみ 7(0。 3%) 0(0.0%) 7(0.2%)

合   計 2187(100.0%) 741(100.0%) 2928 (100.09イ)

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ある。 もちろん,「位置 (位置)」「移動 (移劫帽 のように字体が違 うだけで,使 われている語彙 自体は同じものも 存在する。 しか し,「保存 (存倍)」朧   (編相)」のように若干異なるものや,「受信 (接収)」「無視 (忽略)」の ようにまった く異なる語彙が用いられている場合 もある。ときには,「表示 (指示)」のように中国語の漢字表記が, 日本語ではそれに対応する語 とは別の意味を表す語 となることもある。また, 日本語版のソフ トウェアでもよくあ ることだが,同 じ操作を示す語がソフ トによって異なることも多い。先にあげた 「受信」は中国語版のソフ トでは 1輩牧」や 「牧信」 と表記される。字体が異なっていても語彙そのものが同じであれば,容 易に理解できるし,語 彙 自体が若千異なっていても,お およその予測はつ くだろうと考えられるが,異 なる語彙が使われている場合は誤 解を招きやすい。 これ らは,中 国語母語者が日本語環境でコンピュータを操作 しようとする際に,混 舌Lを招 く原因

となりうるものである。それぞれ,い くつか類例を追加 しておこう。

・字体は異なるが同じ語彙が使われているもの

電源 (屯厠 ,挿 入 (括人),開 始 (升始),適 用 (遣用),選 択 (逸拝)

・若千異なるもの

印刷 m印 ),起 動 (唐劫 ,更 新 (更改),削 除 (IIIl除),置 換 帥

・まったく異なるもの

検索 (査拗 ,変 更 (修改)

。中国語の表記が日本語では別の意味になるもの 終了 (結ガ ,入 力 (輸ガ ,名 前 (名字)

また, 日本語環境でのコンピュータ操作 と直接的に結びつ くものではないが,中 国語のコンピュータ用語は,大 陸で用いられているものと,台 湾や香港などの地域で用いられているものとで,異 なる語が使われている場合 もあ

る。3.1で例 としてあげた 「匡 子]メ ール (屯子郎件,伊 妹ノD」 や 「マウス 嚇輛耐 だ瑚 」などがその例で, 大陸では 「屯子岬焦 鼠林」 と表記されるものが,台 湾では 「伊妹ノLノ 指断調 と表記されるのである。場合によ

っては,台 湾で使われている語 と香港で使われている語 との間でも,違 いがあることがある。例えば,「マウス」は 香港では 「滑鼠」 と表記される。 こうした表記の違いも, コ ンピュータ操作の際に混乱を招 く原因とな りうるもの である。その他の例をいくつかあげておこう③。

日本        中 国    台

@(ア ットマーク) 圏 a    小 老鼠 ウィルス退治    荼 毒    掃 カーソル      鼠 林     遊 ディスク      磁 盤    磁 ブリーフケース   我 的公文包  我 的公事包 プログラム     程 序    程

リンク       鍵 接    連

日本       中 国    台

インターネット  国 際互咲岡  国 際網際網路 お気に入 り    牧 蔵    我 的最愛 ごみ箱      回 収靖    資 源回収桶 ネットカフェ    円 巴      繹 働1 プリンター   打 印机    印 表機 ホームページ  主 頁    首

4 終 わ りに

本稿では, 日本語非母語者がコンピュァタを操作す る際の問題点を,特 に中国語母語者の観点から紹介 した。 コ ンピュータリテラシーの習得は, 日本で学ぶ留学生が留学生活を実 りあるものにするためには避けて通れない要素 の一つとなっている。今後は,よ り詳細に問題点を整理 し,分 析 したうえで, こうした問題点をあ、まえながら, 日 本語非母語話者のコンピュータリテラシー習得を支援できるような教材の開発等を目指 したい。

―‑49‑―

(6)

‐  注

富 山大学留学生 セ ンターで開講 している 日本語 コースでは,カ リキ ュラムに コ ンピュータ リテラシーの習得 を 目標 と した授業 を取 り入 れ,独 自に開発 した教材 『留学生 のための 日本語 コンピュータ』 を使 って指導 を行 っ てい る。 また,留 学生 が コ ンピュータを操作す る際に手元 において使用できる 『留学生 のための コンピュータ 用語集』 の開発 も行 ってい る。詳 しくは,加 藤他 (forthcoming),後藤 ・深澤 ・濱 田 (2001,2002),濱 田 ・ 深澤 ・後藤 (2001,2002)を 参照 されたい。

以下,本 稿 では,一 般 的 に コンピュータ用語 と呼ばれ る ものだけでな く,コ ンピュータの画面 に現れ る語 も含 めて,「 コンピュータ用語」 と呼ぶ。

後藤 ・深澤 ・濱 田 (2002)の 分析 で は, コ ンピュー タ画面 の用語 の うち,7.4%が 日本語能力試験 4級 レベル, 9.4%が 3級 レベ ル,26。7%が 2級 レベル,8.7%が 1級 レベルで ある とい う結果が出てい る。初級 レベルの学 習者 が理解 で き るの は全体 の 2割 弱,上 級 レベルの学習者 で も理解可能 な ものは半数強であ るとい うことにな る。

ここでは,送 り仮名やサ変動詞 の 「す る」 な どの ひ らがな と数字 は一切省 いて数値 を出 した。

莫邦富 ・戴味 (1996)『日英 中対照 中 国語 イ ジターネ ッ ト用語集』 ジャパ ンタイムズ ウ ェブ上 で閲覧 できる 日中パ ソコン辞典 で,URLは http://www.qiuyue.com/jc.htmである。

カタカナ,漢 字,英 語 の 3種 類 の表記 が混在 した ものを 「その他」 とした。

朝 日新 聞2002年 6月 8日 6面 に掲載 された ものである。 ただ し紙面では 日本語 の漢字 が用 い られているが,本 稿で は中国語 の漢字表記 に改 めてある。

( 4 ) ( 5 ) ( 6 ) ( 7 ) (8)

参 考 文 献

(1)加 藤扶久美 ・出原節子 ・深澤 のぞみ ・濱 田美和 ・後藤寛樹 (forthcoming)「留学生 セ ンター にお ける情報化 へ の取 り組み―現状 と展望 ―」『富 山大学総合情報処理 セ ンター広報』Vol.7

(2)後 藤寛樹 ・深澤 のぞみ ・濱 田美和 (2001)「留学生 向け コンピュータ教材 の開発 とその使用」『日本語教育』110 号, 日本語教育学会,pp.150‑159

(3)後 藤寛樹 ・深澤 のぞみ ・濱 田美和 (2002)「コ ンピュータ用語 のデータベース作成 と特徴 の分析 一留学生 の情 報活用能力 の養成 を 目指 して 一」『富 山大学留学生 セ ンター紀要』創刊号, pp.3‑14

に)莫 邦富 0戴 味 (1996)F日 英 中対照 中国語 イ ンターネ ッ ト用語集』 ジャパ ンタイムズ

(5)濱 田美和 ・深澤 のぞみ ・後藤寛樹 (2001)「留学生 セ ンターにおけるコンピュータ教育 につ いて」『富 山大学総 合情報処理 セ ンター広報』Vol.5,pp.24‑32

(0 濱 田美和 ・深澤のぞみ ・後藤寛樹 (2002)「コンピュータ用語の特徴 について一日本語学習者のための コンピュー タ用語集 の作成 を 目指 して ―」CASTEL/J2002 第 3回 「日本語教育 とコ ンピュー タ」 国際会議PROCEED INGS

(7)深 澤のぞみ ・後藤寛樹 (2000)「留学生 に対す るコンピュータ授業 一専門への橋渡 しとしての役割 とその実践 ―」

専 門 日本語教育研究討論会資料

表 2 中 国語のコンピュータ用語の内訳 若千の数の違いはあるものの,イ ンターネット用語集 とコンピュータ用語集の語の内訳はおおむね同じだと考え てよいだろう。 この表を見てもわかるように,中 国語のコンピュータ用語は,ほ ぼすべてが漢字で表されているの に対 して, 日本語のコンピュータ用語は 6割 強がカタカナのみの語で,カ タカナと英語やカタカナと漢字のように 複数からなるものも含めると,実 に8割 近い語にカタカナが用いられている。 日本語ではカタカナもしくはアルフ ァベ ットで表記される,「マイ

参照

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