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脱合金化処理した 貴金属微粒子の触媒作用

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Academic year: 2021

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脱合金化処理した 貴金属微粒子の触媒作用

九州大学大学院工学研究院応用化学部門 萩原 英久

貴金属触媒は硝酸の製造プロセスを はじめとして,改質反応や排ガスの浄 化など工業的に幅広く用いられている.

さらに近年では,

Au-Pd

系触媒による過 酸化水素合成 1,2)や,燃料電池の電極触 3)として用いられるなど,環境低負 荷・エネルギーの高効率利用による省 エネルギー化の観点からも,機能性触 媒としての重要性は増している.一方 で,貴金属触媒はその希少性ゆえに高 コストとなるため,貴金属成分量の低 減も重要な研究課題である.

本稿で紹介する脱合金化法は,触媒 中の貴金属量の低減に有効な調製法の 一つである.脱合金化法とは,二種類 以上の金属元素からなる合金に対し,

一つの金属あるいは合金を残して他の 成分を酸やアルカリ,電気化学的に溶 出させるものであり,高表面積なナノ ポーラス金属を得ることができる手法 である.有機合成や水素化反応に用い られるラネーニッケル触媒は,脱合金 化処理を利用した代表的な触媒である.

近年,Chen らは脱合金化処理により 調製したナノポーラス銅(NPC)の表面 に無電解金めっき処理を施した,金修 飾ナノポーラス銅(Au@NPC)のメタノ ール酸化活性について報告した.4)

NPC

(2)

Cu

30

Mn

70合金を

HCl

処理することで 調製しており,20~30 nmのナノ空孔チ ャンネルを有する三次元網目構造をと っている(Fig. 1).この

NPC

に無電解め っきで厚さ

2 ~ 5 nm

Au

をコートした

Au@NPC

と,Au35

Ag

65の脱合金化処理 で調製したナノポーラス金(NPG)のメ タノール酸化活性をサイクリックボル タンメトリーで比較したところ,酸化 電流のピーク位置が低電位側にシフト し,電流密度も約

2

倍向上した.さら

500

サイクル後のメタノールの酸化 電流密度を比較すると,NPG では初期 活 性 の

57%

に 低 下 し た の に 対 し ,

Au@NPC

では

90%を超えており,触媒

活性とともに耐久性も向上しているこ とが見出された.Au@NPC で活性や耐 久性が向上した理由は現在のところ明 らかにされていないが,金の表面拡散 による表面活性サイトの減少を

NPC

抑制することで,触媒の耐久性が向上 したと推測されている.

また,Strasserらは

Cu-Pt

合金前駆体 を電気化学的に脱合金化処理すること で調製した金属ナノ粒子触媒の酸素還 元反応(ORR,

O

2

+ 4H

+

+ 4e

-

→ 2H

2

O)

活性と格子歪の関係について報告して いる.5) このナノ粒子触媒は直径約

3 nm

Cu-Pt

合金の外側を

0.6 ~ 1.0 nm

Pt

で覆ったコア・シェル構造をとって おり,合金の組成を

Cu

リッチにする,

もしくは合金調製時の熱処理温度を高 温にすることで,脱合金化処理の際に 形成される

Pt

シェルに圧縮応力が加わ り,格子歪が大きくなることが

X

線異 常散乱から明らかにされている.さら

←Fig. 1

(3)

に筆者らは

Cu(111)上に 5

原子層の

Pt

を製膜して酸素を吸着させたモデルサ ンプルを調製し,

X

線吸収及び発光分光 分析から,格子歪が大きくなると

Pt

d

バンドが広がり,dバンド中心が低下 することを実験的に示した.このこと から,格子歪が大きくなると

Pt

表面と 反応中間体の結合エネルギーが低下す るため,ORR 活性が向上したと考えら れる.この触媒は脱合金化処理により、

Pt

の必要量を

80%以上低下させること

に成功している.また、この脱合金化 触媒の特徴は,脱合金化の範囲や合金 の組 成を変化 させることで 表面の 圧 縮・引っ張り応力を制御し,表面反応 種との結合エネルギーをコントロール できることにあり,その成果はエタノ ールやメタノールの酸化など,吸着エ ネルギーの調整を必要とする他の電極 触媒反応の活性の制御にも応用可能で あると考えられる.

以上のように,脱合金化法は貴金属 触媒の貴金属成分量の低減のみならず,

活性の向上にも大きな効果をもたらす 有望な触媒調製法である.今後,脱合 金化触媒の更なる発展により貴金属触 媒の普及が広がり、地球温暖化を緩和 する持続可能な技術の開発を下支えす ることが期待される。

文献

1) J. K. Edwards et al., Science, 323, 1037 (2009).

2) A. Staykov, et al., J. Phys. Chem. C, 112, 19501 (2008).

3) K. Sasaki, et al., Angew. Chem. Int. Ed.,

(4)

49, 8602 (2010).

4) L.Y. Chen, et al., Adv. Funct. Mater., 20, 2279 (2010).

5) P. Strasser, et al . , Nature Chem . , 2, 454 (2010).

図表題目

Fig. 1 SEM image of gold-decorated nanoporous copper (Au@NPC).

短縮タイトル

脱合金化した貴金属触媒の触媒作用

英文タイトル

Catalysis of dealloyed noble metal nanoparticles

著者名(ローマ字)

Hidehisa Hagiwara

Fig.1

Fig.  1 SEM image of gold-decorated  nanoporous copper (Au@NPC).

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