1.乳幼児期発症の急性心筋炎 浜松医科大学小児科学教室
関 圭吾,岩島 覚,石川 貴充 大関 武彦
遠州病院小児科 山本 雅紀
はじめに:乳幼児期発症における急性心筋炎は急激な経 過をとり診断,治療に難渋することがある.今回われわれ は乳幼児期発症の急性心筋炎 2 例を経験したので若干の考 察を加え報告する.
症例 1:10カ月女児.〔主訴〕発熱,顔色不良.〔経過〕2005 年 6 月20日より感冒様症状認め,6 月29日陥没呼吸,顔色 不良認めたため当院緊急搬送.心エコー上心収縮能低下,
重度の僧帽弁逆流,迅速トロポニンT検査陽性のため急性心 筋炎を疑い,웂グロブリン療法,人工呼吸器管理,強心剤の 投与にて軽快した.
症例 2:3 歳 6 カ月女児.〔主訴〕浮腫,全身倦怠感.〔経 過〕2004年 4 月16日,感冒様症状のため某総合病院入院.入 院中胸部X線にて心拡大,奔馬調律認めたため 4 月20日当 院緊急搬送.心エコー上心嚢液貯留,心収縮不全,重度の 僧帽弁逆流を認めたため急性心筋炎と診断し웂グロブリン療 法にて軽快した.
まとめ:いずれの症例においても웂グロブリン療法と対症 療法にて軽快した.入院時BNPの高値を認め心機能軽快と ともに低下した.
2.AS,CoAの女児の 1 例 静岡県立こども病院循環器科
古田千左子,原 茂登,伴 由布子 満下 紀恵,金 成海,田中 靖彦 小野 安生
症例は 5 カ月女児.心雑音あり,1 カ月に心エコーで vAS,CoAと診断.心カテにてvAS圧差 = 29mmHgで,BVP 施行するも著変なし,その後のフォローアップの心エコー にてAS進行,MR 2˚出現,下肢の脈微弱となり,4 カ月時 に再度心カテ.AS,CoAともに進行認め,BVP,BAP施行
し経過観察中である.
3.BT shunt 閉塞に対して経皮的バルーン拡張術を施行 し有効であった 1 例
聖隷浜松病院小児循環器科
長崎 理香,中嶌 八隅,武田 紹 同 心臓血管外科
小出 昌秋,山崎 暁,渡邊 一正 松尾 辰朗,杉浦 唯久
症例:1 歳 5 カ月,男児.
診断:TOF,RAA,PAPVC.
手術歴:日齢23 lt-m-BTS,1 歳 1 カ月 rt-m-BTS.
現病歴:発熱,経口摂取不良のため当院受診したとこ ろ,著明なチアノーゼを認め,BTS閉塞を疑いUCG施行し た.わずかにshunt血流確認できたため,緊急カテーテル行 い,PTCA用バルーン(3mm,4mm)を用いて拡張術を施行 し,著明な改善を得た 1 例を経験したため報告する.
4.当院におけるTAPVCの手術経験 聖隷浜松病院心臓血管外科
渡邊 一正,小出 昌秋,山崎 暁 松尾 辰朗,杉浦 唯久
同 小児循環器科
武田 紹,中嶌 八隅,長崎 理香 1995年から2005年 9 月までにTAPVC修復手術を行った23 例について検討した.うちisolated TAPVCが16例,hetero- taxiaに合併したTAPVCが 7 例(無脾症が 6 例,多脾症が 1 例)であった.isolated TAPVCの急性期死亡は 1 例で高度の リンパ管拡張症であった.2 例において術後肺静脈狭窄の進 行を認め,再手術を行ったが失った.heterotaxiaに合併した TAPVCの急性期死亡は無脾症の 1 例で敗血症が原因であっ た.慢性期死亡はなかった.高度リンパ管拡張症および術 後の肺静脈狭窄がリスクファクターと考えられた.
別刷請求先:
〒431-3192 浜松市半田山 1-20-1 浜松医科大学小児科学教室 岩島 覚
日 時:2005年10月 1 日
会 場:アクトシティー浜松コングレスセンター 43会議室 当番世話人:伊熊 正光(独立行政法人国立病院機構天竜病院小児科)
第33回浜松小児循環器談話会
1.成人動脈管開存症(PDA)に対しコイル塞栓術を施行し た 1 例
聖隷浜松病院小児循環器科
武田 紹,中嶌 八隅,長崎 理香 東京女子医科大学循環器小児科
中西 敏雄
聖隷浜松病院心臓血管外科 小出 昌秋
症例:66歳女性,51歳時に徐脈で受診しadvanced AVB,
PDAと診断された.1996年に心臓カテーテル施行し,Qp/Qs = 1.2であり無治療で経過観察していた.徐々に労作時呼吸困難 出現し,UCGで心拡大と収縮率の低下を認めたため,PMI
(DDD)施行した.その後も症状,UCG所見軽快せずPDA治 療目的で紹介となった.造影CTでは最狭窄部径が 4mmの type Aであり,本人と家族はカテーテル治療を選択された.
術前のBNP 272pg/ml,カテーテル検査ではQp/Qs = 1.37,
LVEDV 186ml,LVEF = 46%であった.最小径3.75mm,am- pulla 20mm,全長22.5mmのPDAに対し順行性にFlipper 8mm 5 巻きをAo側に 4 巻き留置し,その後逆行性にFlipper 6.5mm 5 巻きをPA側に半巻き残し,残りを 8mmに重ねる格好で留 置した.造影で残存短絡は少量でありdetachして終了した.
2 日後にUCGで完全閉鎖を認め退院となった.成人例は小 児例と比べ,術前の高い有症状率,心機能の悪化,石灰化 や壁脆弱化などPDA組織の変化による手術リスクの増大や 術後在院日数の長期化が問題となるといわれている.今回 の症例のようにtype Aでampullaが十分大きな症例ではコイ ル塞栓を第一選択とすべきと思われた.
2.心血管合併症を契機に致死的転機をとった慢性活動性 EB ウイルス感染症
浜松医科大学小児科学教室
石川 貴充,岩島 覚,本郷 輝明 大関 武彦
はじめに:慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)患者 は,発症早期からすでに臓器障害や重症合併症を併発して いる場合や,経過中に合併症の急速な進行を認めることが しばしばある.そのためEBウイルス感染細胞排除としての 造血幹細胞移植の成功率は必ずしも高いとはいえず,約半 数が移植の合併症により死亡したとの報告もある.今回わ れわれは,発症後10年で心血管合併症を契機に致死的経過 をとったCAEBV症例を経験したので,治療の至適時期につ
いての考察を加え報告する.
症例:17歳女性.蚊アレルギーあり.6 歳時に発熱,頬部 皮疹,肝機能障害にて発症.診断時の血小板数は28.8 × 104/ 애l,NK細胞増多を認めた.以降 3〜4 カ月ごとに発熱,皮 疹,汎血球減少を繰り返した.造血幹細胞移植の計画中,
14歳時に僧帽弁逸脱,大動脈弁逆流,肺高血圧に伴う心不 全を,15歳時には紫斑病性腎炎から慢性腎不全を併発し た.17歳時に感染性心内膜炎にて入院後,心不全の顕在 化,多臓器不全を認め,集中治療によりいったん軽快する も,敗血症性ショックのため死亡した.
考察:近年CAEBVに対し,造血幹細胞移植などによる 寛 解例が報告されているが,治療の標準化や至適時期に未だ 統一された見解はない.CAEBVは致死的経過を辿る場合が 少なくないが,各種臓器障害が顕在化する以前の積極的治 療により,その予後を改善させる可能性がある.
3.11歳の心筋梗塞
静岡県立こども病院循環器科
伴 由布子,古田千左子,原 茂登 満下 紀恵,金 成海,田中 靖彦 小野 安生
静岡県立総合病院循環器科 三宅 章公,土井 修
症例は11歳男児.既往歴,家族歴に特記事項なし.主訴 は,胸痛,めまい.2006年 1 月29日,起床時に胸痛とめま いを訴えた.顔色不良だったため,救急センター受診し,
心電図異常があったため,最寄りの総合病院受診.心電図 異常あり,心筋炎疑いで当院搬送入院となった.当院到着 時は,自覚症状はなく,意識清明,末梢循環も良好であっ たが,血液検査でCPK 634U/l(CPK-MB 103),心筋トロポニ ンT 0.7ng/ml,心電図では,II,III,aVFでST上昇,I,aVL でST低下がみられた.これらの検査結果から,心筋梗塞を 疑い,心臓カテーテル検査を行ったところ,左室下壁の動 きが低下しており,冠動脈造影検査で左回旋枝後壁枝の途 絶が確認された.血液検査で,心筋梗塞を起こすような,
高脂血症や自己免疫疾患などは否定的だった.川崎病など の基礎疾患を有さない小児での心筋梗塞は非常にまれで報 告もないので,貴重な症例として報告した.
日 時:2006年 3 月25日
会 場:アクトシティー浜松コングレスセンター 43会議室 当番世話人:小野 安生(静岡県立こども病院循環器科)
山崎 暁,小出 昌秋,渡邊 一正 松尾 辰朗,杉浦 唯久
同 小児循環器科
武田 紹,中嶌 八隅,長崎 理香 杉浦 弘
2006年 1 月19日,在胎39週 2 日,2,586g,経膣分娩にて 出生.日齢 2 でチアノーゼがみられ,心大血管異常を疑わ れたため当院NICUへ搬送.転院後のエコーにて,三心房 心,心房中隔欠損症,大動脈縮窄症,動脈管開存症の診断 に至る.PGE1開始し,上下肢圧較差10〜15mmHgで安定.
日齢13で手術.腕頭動脈,下行大動脈送血,上下大静脈脱 血にて体外循環を確立し,異常心房内隔壁切除術,心房中 隔欠損閉鎖術および大動脈弓形成術(extended end-to-end anastomosis)を施行した.術中出血69g,大動脈遮断時間56 分,体外循環時間138分,手術時間325分であった.術後 3 日で抜管.エコーにて残存狭窄のないことを確認.以後の 経過は問題なく,14日目に退院となった.三心房心と大動 脈縮窄症の複合症例は報告が少ないが,一期的手術により 良好な結果が得られたため報告する.
5.異種心膜を用いた幼児期Senning手術に対し術後17年 後に肺静脈狭窄解除を行った 1 例
静岡県立こども病院心臓血管外科
猪飼 秋夫,藤本 欣史,太田 教隆 村田 眞哉,中田 朋宏,井出祐二郎 坂本喜三郎
症例は18歳女性.完全大血管転位.生後 6 カ月にブタ心 膜を用いた左房再建によるSenning手術を施行.2 歳時の心 カテで肺動脈圧37/19 (28)と軽度肺高血圧を指摘.中学よ り,動悸,運動制限を認め,17歳時の心カテに異種心膜部 での肺静脈狭窄による肺動脈圧66/30(47)の肺高血圧の進行 を認めた.上室性不整脈,大静脈狭窄は認めていない.術 中肺生検はHE II˚であった.石灰化した異種心膜を切除し,
肺静脈−左房間の交通路を拡大しゴアテックスパッチにて 左房を再建した.術後はエコー検査上肺高血圧が改善し,
QOLの改善を認めた.
特別講演
「小児心臓外科医として私が歩んだ道」
静岡県立こども病院,駿河西病院名誉院長 横田 通夫
第34回浜松小児循環器談話会
1.胎内治療により頻拍は停止したが胎児水腫の改善がみ られなかったlong VA tachycardiaの 1 例
聖隷浜松病院小児循環器科
武田 紹,長崎 理香,中嶌 八隅 同 周産期科
松下 浩和,神農 隆,村越 毅 成瀬 寛夫
はじめに:胎児の頻脈性不整脈は抗不整脈薬による胎内 治療が有効な疾患として早くから認識されている.また診 断に応じた適切な治療が行われないと胎児水腫へ進行し,
IUFDを来すことがある.今回,われわれは胎内治療により 頻拍は停止したが胎児水腫の改善がみられなかったlong VA tachycardiaの 1 例を経験したので報告した.
症例:母体27歳,G0P0,GA23W,胎児水腫(皮下浮腫・
胸腹水),胎児頻拍のため入院し,M-modeからlong VA ta- chycardiaと診断,ジギタリスとソタロールの併用療法で頻 拍は停止した.しかし子宮収縮がみられたことからソタ ロールをフレカイニドに変更した.胎児心エコーでは頻拍 の再発はなく房室弁逆流や拡大した心房の改善を認めてい たが胎児水腫は改善傾向なく次第に徐脈となりGA26W,
IUFDを認めた.
まとめ:頻拍がコントロールされたにもかかわらず胎児 水腫が進行する症例を経験した.このような症例では胎児 水腫の原因検索が重要であることと在胎週数の早い症例は 早期娩出の適応に苦慮すると考えられた.
2.右胸心, 僧帽弁クレフト, 僧帽弁閉鎖不全を合併し た大血管転位症 I 型に対するジャテーン手術の 1 例
聖隷浜松病院心臓血管外科
渡邊 一正,小出 昌秋,山崎 暁 松尾 辰朗,杉浦 唯久,伊良部真一郎 同 小児循環器科
武田 紹,中嶌 八隅,長崎 理香 3.肺高血圧症を伴った睡眠時無呼吸症候群の 1 例
浜松医科大学小児科学教室
岩島 覚,石川 貴充,大関 武彦 症例:3 歳 5 カ月,男児.
主訴:睡眠時のいびき.
既往歴:生後 4 カ月時に陥没呼吸指摘され近医にて ASD2,LSVC,PHと診断.生後 8 カ月時に心カテ施行され Qp/Qs = 2.33,PH認め,Pp/Pa = 0.65酸素負荷にてPp/Pa = 0.42
に軽快.その後HOT療法,PGI2内服.生後10カ月ごろより 大豆アレルギーから消化管出血認め,心不全増悪し生後 1 歳 3 カ月時にASD closure施行.
今回の経過:2 歳 9 カ月ごろより睡眠時のいびきが増悪 し 2 歳11カ月時に発熱を契機に心拡大,心不全症状認め精 査加療目的にて当院入院.
入院後経過:身長80.5cm,体重11.7kg.吸気性喘鳴,口 蓋扁桃肥大,アデノイド増殖症あり入院後のSpO2は睡眠後 に著明に低下.心カテ施行しPHあり,Pp/Pa = 0.50酸素負荷 にてPp/Pa = 0.37.PHを合併した睡眠時無呼吸症候群と診断 し 3 歳 3 カ月時にadenotonsillectomy施行.術後心カテにて PH軽快(Pp/Pa
= 0.30).adenotonsillectomy前後のapnea
hypopnea index(無呼吸低呼吸指数)は前9.3から後0.5と著明 に軽快した.まとめ:今回の症例において簡易型ポリソムノグラフィ が診断,治療に有用であった.小児領域における睡眠時無 呼吸症候群においても,時に重度の心不全,PHを伴うこと があり,心合併症の評価は重要である.
4.Norwood術後遠隔期右総頸動脈仮性動脈瘤に対する外 科治療の 1 例
静岡県立こども病院心臓血管外科
廣瀬 圭一,猪飼 秋夫,太田 教隆 中田 朋宏,登坂 有子,井出雄二郎 岩出 珠幾,坂本喜三郎
症例は 2 歳 9 カ月の男児.大動脈弓離断複合,単心房,
心室中隔欠損,総肺静脈還流異常症(2a)の診断で日齢 5 に modified Norwood施行.6 カ月時にGlenn手術を行ったが,
術後MRSA縦隔洞炎を合併,閉胸に 2 カ月を要した.その 後の心カテで多数のAPCAsが確認され,10カ月時にcoil塞 栓,および手術による側副血行路処理を施行した.HOTで 外来経過観察中であったが,再評価のための心カテ中,右 総頸動脈瘤が確認され,準緊急手術となった.動脈瘤の一 部は痂皮を伴い体表に露出していた.前縦隔炎後であり,
瘤の剥離難渋および破裂を懸念してfull sternotomyから瘤に approachした.瘤は感染を思わせる所見に乏しく,約 2 × 3cmの大きさで蛸壺様の形態を呈していた.総頸動脈を瘤 の前後で遮断し瘤を切除,端々吻合で再建した.組織所見 から仮性動脈瘤の可能性が高いと考えられた.術後経過は 良好で外来経過観察中である.
日 時:2006年10月 7 日
会 場:アクトシティ浜松研修交流センター 401会議室 当番世話人:岩島 覚(浜松医科大学小児科学教室)
1.著明な心筋肥厚,心˘N水貯留を認めた成人ダウン症の 1 例
豊橋市民病院小児科
清澤 秀輔,安田 和志,戸川 貴夫 牧野 泰子,竹内 幸,小山 典久 症例は23歳ダウン症女性.乳児期より心雑音の指摘はさ れていたが基礎疾患があることなどから精査されていな かった.2003年より施設入所しているが,2006年の定期健 康診断を受けた際,胸部X線で心陰影の拡大を指摘.精査 したところVSD,PS,MR,TRを認めた.また,著明な心 筋肥厚,心嚢水貯留を認めた.特発性肥大型心筋症とダウ ン症の合併はこれまでに報告がなく,また基礎疾患にダウ ン症があることから,甲状腺機能低下症による特定心筋症 を疑い負荷試験を行ったが明らかな異常所見は認めなかっ た.ほかに心Fabry病やサルコイドーシスを疑ったがどれも 否定的であった.心筋肥厚の原因,今後の管理について検 討したい.
2.ファロー四徴症に対し右室流出路拡大術を施行した超 低出生体重児の 2 例
静岡県立こども病院循環器科
増本 健一,田中 靖彦,金 成海 満下 紀恵,古田千左子,小野 安生 症例 1:在胎28週 6 日,出生体重944g,Apgar 5/5 点にて 出生.type C食道閉鎖,ファロー四徴症(TOF)を認め,食道 閉鎖根治術施行.日齢84に抜管.次第にチアノーゼ進行 し,日齢97にインデラル開始.チアノーゼ発作出現したた め,日齢140,体重2,200gで右室流出路拡大術(RVOTR)施行 した.
症例 2:在胎30週 2 日,出生体重988g,Apgar 5/7 点にて 出生.胎児エコーにてTOFと診断されていた.日齢 5 に抜 管したが,無呼吸発作のためN-DPAPを開始.日齢50にイン デラル開始.日齢74にN-DPAP中止.チアノーゼ発作出現し たため,日齢162,体重1,840gでRVOTR施行した.
考察:過度の肺血流増加を予防する目的で短絡術ではな くRVOTRを選択したが,2 例とも慢性肺疾患(CLD)を合併 しており,術前のみならずRVOTR後も治療,水分・栄養管 理に難渋している.
3.松果体部腫瘍化学療法術後に完全房室ブロックとなっ た 1 例
浜松医科大学小児科学教室
岩島 覚,石川 貴充,平野 浩一 大関 武彦
現病歴:嘔吐と眼球運動異常を主訴に2004年 5 月に県西 部浜松医療センターに入院し頭部CTにて松果体部腫瘍およ び閉塞性水頭症を認め 6 月に腫瘍亜摘出術施行.pure ger- minomaと診断され化学療法(CBDCA,VP16,IFO等)を施 行.10 月ごろより完全房室ブロックに気づかれホクナリン テープにてHR 45〜55bpm.その後,膵炎,脳梗塞などの合 併症を認め精査加療目的にて2004年12月 7 日に当院紹介入 院となった.身長134cm,体重26kg.下肢筋力低下にて歩 行不可,HR 53bpmのcomplete AV block.QT = 544ms/QTc = 528ms.心エコー所見としてEffusion(−)LVFS = 45% of N,
LVDd = 92% of N,有意な弁逆流(−).ペースメーカ植込み 術の適応であったが,松果体部腫瘍の経過観察にてMRIは 必要であったためテオフィリン,웁刺激剤,シロスタゾール 等の薬物療法を行いBNP値の上昇は認めず経過は比較的良 好で退院外来経過観察となった.しかし2005年 5 月14日に 急性虫垂炎となり緊急手術となるも術直後にVTとなりDC にて軽快.手術は延期となった.5 月17日にペーシング下に 虫垂切除術を施行,術後ペースメーカ植込み(VVI,HR 80,output 3.5V)術施行され以後経過良好である.
4.小児僧帽弁置換術後急性期に心室頻拍,MRSA敗血症 を併発し治療に難渋した 1 例
聖隷浜松病院心臓血管外科
渡邊 一正,小出 昌秋,梅原 伸大 松尾 辰朗,杉浦 唯久
同 小児循環器科
武田 紹,中嶌 八隅,長崎 理香 5.治療に難渋した無脾症に合併した上室性頻拍の 2 例
聖隷浜松病院小児循環器科
武田 紹,長崎 理香,中嶌 八隅 同 心臓血管外科
杉浦 唯久,松尾 辰朗,渡邊 一正 梅原 伸大,小出 昌秋
無脾症は頻拍性不整脈を呈することが多く,多様であ り,時として難治性のため診断・治療に苦慮することが多 い.
日 時:2007年 3 月24日 会 場:フォルテ 8 F A会議室
当番世話人:安田 和志(豊橋市民病院小児科)
症例 1:1 歳11カ月,診断は単心房,単心室,肺動脈狭 窄,総肺静脈還流異常症(下心臓型)で肺静脈狭窄に対して 手術を繰り返している.以前にも発作性上室性頻拍を認め ベラパミル内服していた.発熱を契機に頻拍発作で来院 し,ATP,DC,ジゴキシン,ジソピラミド無効であった.
診断としては心房頻拍から回帰性頻拍へ移行していると考 えられた.ニフェカラント持続静注し,経口開始後はジゴ キシンと塩酸ベラパミルに加えアミオダロンを開始したが 無効でありフレカイニドの点滴静注で頻拍が停止した.し かし,予防効果なくフレカイニドとソタロールの併用療法 を施行したところ発作は予防された.
症例 2:3 歳 7 カ月,診断は単心房,単心室,肺動脈閉 鎖(non-confluent PA),両側動脈管開存症,総肺静脈還流異 常症(上心臓型),TCPC術後のカテーテル検査後,心不全の 悪化を契機に頻拍発作を認めATP・ジゴキシン無効であっ た.不整脈診断は房室接合部性頻拍から回帰性頻拍へ移行 していると考えられた.フレカイニドを1.5mg/kg点滴静注 したところで洞調律へ復帰した.誘因として心不全の悪化 が考えられるため利尿剤等の抗心不全治療に加えフレカイ ニド内服し発作は予防されている.
まとめ:近年,1 歳以下の難治性上室性頻拍に対しフレカ イニドとソタロールの併用療法の有用性が報告されてい る.今回われわれの症例でも発作停止,予防に効果的で あった.診断は通常の12誘導では不十分なことが多く食道 誘導など工夫が必要であると考えられた.
特別講演
「学校心電図検診で発見される不整脈」
日本赤十字社和歌山医療センター心臓小児科 中村 好秀