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小児2点心音図判読の実際

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平成6年4月1日 707−(93)

小児心電図専門委員会報告

小児2点心音図判読の実際

     日本小児循環器学会小児心電図専門委員会         委員長 大 国 真 彦      小児心音・心電図自動解析研究小委員会

本田  恵  保崎 純郎  北田 実男  馬場 国蔵 原田 研介  長嶋 正実  浅井 利夫  山内 邦昭

 学校心臓検診は全国に広く普及し,循環器疾患の発 見と治療,管理の適正化,ひいては心臓性急死の予防 に貢献している.

 一次検診においては,心臓病調査票(学校医診察所 見を含む),心電図(多くは,1,aVF, V,, V6の省略

4誘導法)に加えて,心音図(多くは,第3肋間胸骨 左縁と心尖部の2点心音図法)を特定学年の全員に実 施することが推奨されている.

 学校心臓検診では,必ずしも良好とはいえない環境 の中で,多数例を比較的短時間内に処理しなけれなら ない.こうした状況下での聴診では判定が難しい 病 的心雑音と無害な心雑音の区別 や 異常心音の検出 に心音図は極めて有用である.しかし,雑音の周波数 解析と強度の客観的判定法が確立していない現状で は,心音図の自動解析には限界があり,医師によるオー バーリードを必要とする.

 そこで,今回は,サーマルヘッドを用いて紙送り速 速度50mm/秒で記録された2点心音図ナーバーリー ドの留意点と判読の実際を解説し,判読の一助とした

い.

 2点心音図のオーバーリードに際しては以下の項目 に留意する.

 1.有意な収縮期雑音  2.拡張期雑音  3.連続性雑音  4.異常心音

 以下,

 なお,

行う.

判読の実際を提示する.

心音図のオーバーリードは, 中音域を主体に

1.収縮期雑音:以下のものを有意とする.

(1)1音の主節に引き続いておこる均等振幅性,漸

増性および漸減性雑音  (2)漸増漸増型収縮期雑音

  ①収縮期雑音の持続が収縮期の80%以上のもの   ②収縮期雑音の持続が収縮期の60%以上80%未 満であるもののうち

   i)雑音の後半に最大振幅をもつもの    ii)高周波であるもの

   iii)振幅の大きなもの

   iv)II音の幅広い分裂を伴うもの  (3)1音から離れて始まりII音まで続く雑音

 2.拡張期雑音:あれば有意とする,

 (1)拡張早期雑音

 II音に引き続いておこる雑音で,高周波であること

が多い.

 3LISの中音域心音図に記録されることが多い.

 (2)拡張中期雑音

 3LIS,心尖部の中音域心音図に持続時間60msec以 上で記録される.

 低音域のみでの低周波数の振れは有意でない.

 (3)前収縮期雑音

 IV音に引き続いて1音まで達する雑音である.

 3.連続性雑音:あれば有意とする.

 収縮期から拡張期にかけての漸増漸減型の雑音でII 音に一致して最大振幅をもつことが多い.ときにII音

よりやや前方に最大振幅をもつことがある.3LISで記 録されることが多い.

4.異常心音

(1)充進したII音

異常に振幅の大きいII音を有意とする.

(2)幅広く分裂したII音

Presented by Medical*Online

(2)

708−(94)

 Ila・IIpの最大振幅の間隔が40msec以上のもので固 定性分裂を有意とする.

 (3)充進したIII音

 III音の振幅がII音の振幅と同程度以上のものは,心 電図上の心室負荷を勘案して判読する.

 (4)元進したIV音

 中音域心音図に明瞭な(振幅の大きい)IV音が記録 されたものを有意とする.

 (5)過剰心音  ①駆出音

 心電図R波の頂点から60〜120msecの部位に1音

の主振幅からある間隔をおいて出現する持続の短い振 幅の大きな音を有意とする,

 ②心尖部収縮中期クリック

 収縮期雑音を伴わないものは有意としない.

 ③房室弁開放音

 児童・生徒の心臓検診では問題にする必要はない.

 <註>

 1.心音図の判読に際しては,心周期に一致した再現 性を重視する必要がある.再現性に乏しいものは,呼 吸音や外来雑音などである可能性が高い.

日本小児循環器学会雑誌 第9巻 第5号  2.1音:1音の主節は房室弁の閉鎖に伴うものが 主体であり,心電図QRS波の終わり付近から始まり,

持続は40〜60msecである.

 3.II音:II音の主節は,大動脈弁閉鎖(Ila)と肺動 脈弁閉鎖(IIp)に伴うものであり,一般的には心電図 T波の終わり付近にIIa, IIpの順に記録される.小児 では,呼吸性分裂をみることが多い.

 4.III音:II音から100〜150msecの時点に出現す ることが多い.

 5.IV音:心電図P波の頂点付近ないしその後方に 記録される振幅の小さな音で,持続は20〜30msecで

ある.

 6.時相:ここでいう「収縮期」とは,1音の主節か らII音の主節までを指すものとする.また,「拡張期」

とはII音の主節から1音の主節までを指す,

 7.雑音の大きさ:雑音の強度(大きさ)を客観的に 規定することは難しい.「振幅の大きな漸増漸減型収縮 期雑音」とは,雑音の最大振幅がII音の振幅に近いも の,またはその振幅をこえるものをいう.

 8.雑音の周波数:2点心音図における雑音の周波 数解析は十分には行い難い.心音図上は,雑音の振れ が密で,振幅が不揃いなものを高周波とする.

Presented by Medical*Online

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