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逆紹介された患者の転院受諾に感情,認知要因が及ぼす影響 ○上市秀雄

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Academic year: 2021

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逆紹介された患者の転院受諾に感情,認知要因が及ぼす影響

○上市秀雄1・三浦広大2(非会員)・岡田幸彦1(非会員)

1筑波大学システム情報系・2TSP 太陽株式会社)

キーワード:後悔予期,個人差,共分散構造分析

The effects of emotions and cognitive factors on acceptance for changing hospital:

Supposing that patients are referred from a large hospital to a clinic Hideo UEICHI1, Kodai MIURA2# and Yukihiko OKADA1#

(1Faculty of Engineering, Information and Systems, University of Tsukuba, 2TSP TAIYO, Inc.) Key words: anticipated regret, individual differences, structural equation modeling

目 的

大学付属病院や大規模な総合病院等(以下大病院)が扱う のは,高度で先進的な医療技術を必要とする患者などに限ら れている。これ以外の患者に対しては,大病院は適切な診療 ができる地域に密着した他の病院(以下かかりつけ医)を紹 介している。これを「逆紹介」という。しかし現状では逆紹 介されても転院しない患者が多数いるため,大病院は地域病 院の中核としての機能を果たすことができない状況にある。

大病院への集中を減らすための研究として,転院支援につ いての研究や病院選択についての研究が行われてきた。しか し,逆紹介の研究は少なく(田村ら, 2002),患者の逆紹介受 諾に影響を及ぼす要因については検討されていない。

そこで本研究では,逆紹介を受けたと仮定した場合に,そ れを受諾するかどうかの意思決定にどのような要因が影響す るのかについて意思決定論的視点より以下の仮説を検討する。

仮説 1:逆紹介受諾意向は,リスク認知などの認知要因よ りも感情,特に後悔予期の影響を受ける(上市・

楠見, 2000; Zeelenberg et al., 1996 ) 仮説 2:感情や認知要因は,病院に対するイメージ・評価

や逆紹介知識によって規定される。特に逆紹介知 識は感情,認知要因両方に大きな影響を与える

(上市・楠見, 2006)

方 法

質問項目 逆紹介受諾 3 つの架空の逆紹介状況(例:大 病院での糖尿病検査の結果,近所のかかりつけ医で十分治療 可能であるので,その病院への転院を勧められた)において 二者択一(1:かかりつけ医への転院を受諾しない or 2:受諾 する)で測定した。なお合計得点を逆紹介受諾得点とした。

情報源 病気や医療などに関する情報をメディア活字(新 聞,雑誌等),TV,HP からどの程度得ているのかを 5 段階で 測定した。なお以下の項目は全て 5 段階評定で測定した。

逆紹介の知識 逆紹介に関する知識を問う 3 項目(例:先 進的医療が必要ない患者が大病院に来た場合にかりつけ医を 紹介する場合がある,逆紹介には別途料金がかかるなど)。 病院に対するイメージ・評価 かかりつけ医,大病院それ ぞれに対して,治療 3 項目(病気を早期発見してくれる),親 しみやすさ 4 項目(患者の気持ちを理解してくれる)で測定。

感情 逆紹介に対する不安感 7 項目(逆紹介先で親身に見 てもらえないかも),大病院に対する後悔予期 3 項目(かかり つけ医で病気は治ってきたが,大病院のような最先端の治療 ではなかった場合,大病院で治療を続けておけばよかったと 思う)かかりつけ医に対する後悔予期 3 項目(大病院の待ち 時間があまりにも長い場合,こんなことなら大病院医師の勧 めに従って,かかりつけ医に転院しておけばよかったと思う)

逆紹介に対する認知要因 コスト認知 4 項目(転院の準備 が大変),リスク認知 3 項目(医療の質が低下する),ベネフ ィット認知 4 項目(重病人が大病院で治療できる)で測定。

逆紹介に対する納得理由 丁寧 3 項目(対応が丁寧),情報 提供 5 項目(逆紹介先への十分な情報の伝達)で測定。

調査対象者 住民基本台帳をもとに無作為抽出で選ばれた,

茨城県南部および西部居住の 20 歳以上の男女 1,500 人を対象 に,2012 年 10 月に郵送配布・回収により実施した。回答者 数は 680 名(男性 315 人,女性 365 人),回収率は約 46%。

結 果

各要因の妥当性 各要因の項目を因子分析(最尤法,プロ マックス回転)した結果,仮説どおりの因子構造が得られた。

要因間の関連性 男女,年齢の差異を検証するため,60 歳 未満男性(156 名),60 歳未満女性(199 名),60 以上男性(159 名),60 以上女性(166 名)の 4 群に分け,多母集団同時分析 を行なった(図 1 は 3 群以上で有意なパスや関連があった因 果モデル(CFI=.793, PCFI=.722, RMSEA=.034))。その結果,

仮説 1 は支持された。また,イメージ・評価は感情,逆紹介 知識は認知要因に影響に及ぼしており,仮設 2 は概ね支持さ れた。ただし逆紹介知識→感情は明確ではなかった。

考 察

患者が大病院からかかりつけ医への逆紹介を受け入れるた めには,かかりつけ医に対するイメージ・評価を高め,逆紹 介先の不安感や大病院に対する後悔予期を低減させ,かかり つけ医に対する後悔予期を高め,そして逆紹介に納得できる 理由を患者に十分伝えることが重要であると考えられる。

図 1 3 群以上で有意なパスが得られた各要因間の関連性 引用文献

田村・福田・宮城恵・宮城敏(2002),逆紹介された患者の通院行動と 機能分化に対する態度,病院管理,141.

上市・楠見(2000).後悔がリスク志向・回避行動における意思決定に 及ぼす影響,認知科学,7(2),139-151.

上市・楠見(2006).環境ホルモンのリスク認知と回避行動.認知科学, 13, 32-46.

Zeelengerg, Beattie, van der Pligt, and de Vries (1996).

Consequences of regret aversion. ORGANIZATIONAL BEHAVIOR AND HUMAN DECISION PROCESSES, 65(2), 148-158.

本研究は,平成 24 年度科研費補助金基盤(A)(研究代表者 高木英明,

課題番号 23241047)の助成を受けた。ここに感謝の意を表します。

メディア 活字 新聞

雑誌 書籍

納得理由 丁寧

対応丁寧

評判が良い

逆紹介受諾

納得理由 情報提供 情報の伝達様々な

大病院の フォロー

十分な連携病院間の

病状に対する 自分の理解

逆紹介先 の不安感

人間関係 再構築 なんとなく

不安

大病院に 見捨てられた 親身にみて もらえない 治癒が

遅くなる .22

かかりつけ メージ・評価

親しみ 患者理解

説明丁寧 病状把握

相談 かかりつけ

メージ・評価 治療 早期発見

診察 治療

適切な対処 大病院 との連携

メージ・評価大病院 親しみ 患者理解

説明丁寧 病状把握

相談 メージ・評価大病院

治療 早期発見

診察 治療

逆紹介知識

逆紹介制度病状回復で

転院 費用

コスト認知逆紹介の 準備

転院は面倒 費用

人間関係の再構築

逆紹介の リスク認知

転院すると 病気が悪化 医療の質

が低下 十分な対応 できない

ベネフィット認知逆紹介の 高度医療を

重病人に まわせる

自宅近くで 治療できる

重病人が大病院で 治療できる

病状改善

詳しい 病状の伝達 後悔予期

大病院 治療すれば大病院で よかった1

治療すれば大病院で よかった2

治療すれば大病院で よかった3

後悔予期 かかりつけ 転院すれば よかった1転院すれば

よかった2 かかりつけ医 に転院すれば よかった3

病院きれい

正の係数 負の係数

参照

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