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日場会平成9年3月21日

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日本小児循環器学会雑誌 13巻4号 598〜600頁(1997年)

第22回群馬小児循環器研究会

日場会

平成9年3月21日

前橋商工会議所 竹内 東光

 1.孤立性心筋緻密化障害と思われた姉妹例     群馬県立小児医療センター循環器科       篠原  真,曽根 克彦       小林 富男,渡辺 正之     佐久総合病院小児科     牛久 英雄  はじめに:孤立性心筋緻密化障害はEngberdingら により報告され,胎児期の心筋の形態発達過程におけ る停止と考えられている.最近我々は孤立性心筋緻密 化障害と思われた姉妹例を経験したので報告した.

 症例:妹は7歳で,3歳時に感冒にて近医を受診し た際に初めて不整脈を指摘された.佐久総合病院小児 科にて心筋炎,II度の房室ブロックと診断され,経過 観察されていたがadvanced A−V blockへと悪化が認 められたため,当院へ紹介された.胸部X−Pでは,心 胸郭比48%で,心エコーでは心機能は良好で,左室壁 の肥厚は明らかではないものの,後壁から心尖にかけ て内面が粗であった.心電図は左室肥大の所見を呈し,

II度の房室ブロックが疑われた.心血管造影では左室 駆出率は68%で,後下壁から心尖にかけて肉柱形成を 思わせる入り組んだ陰影欠損を認めた.心内心電図で はII度のA−Hブロックであった.心内膜心筋の組織所 見は,心内膜の肥厚の程度はさまざまで,厚い所では 270μmに達していたが,肥厚のみられないところも あった.心筋細胞には軽度の分岐異常がみられた.

MIBGによる心筋シンチグラムでは全体にup take が不良で特に心尖部で著明であった.現在はプロタ ノールの経口投与にて経過観察している.

 姉は10歳で,9歳時に夜に動悸があり,佐久総合病 院小児科を受診した.ホルター心電図で心室性期外収 縮(PVC)がみられたが様子観察された.9カ月後の 学校心臓検診で心電図ST−Tの異常を指摘され,同院

でホルター心電図を再検したところPVCのshort

runが認められ,当院へ紹介された.胸部XPでは心 拡大は認めず,心電図は正常範囲内と思われた.心工

別刷請求先:(〒377)群馬県勢多郡北橋村下和田779      群馬県立小児医療センター 曽根 克彦

コーでは,心機能は良好で,壁の肥厚も認めなかった が,後壁から心尖にかけての内壁は肉柱が目立ち内腔 に突出しているようにみえた.心血管造影では左室駆 出率は61%で後下壁から心尖にかけて,網目状の陰影 欠損がみられた.心内膜心筋の組織像は,心筋細胞に 核の大小不同と分岐の異常と配列の異常が認められ,

心内膜の肥厚はみられなかった.本例はβプロッカー 投与にて経過観察している.

 結語:不整脈で発見された,比較的稀な孤立性心筋 緻密化障害と思われる姉妹例を経験した.心電図異常,

心機能低下を認める症例には心エコーによる心尖部ま での十分な検索が重要であると思われた.

 2.Brock手術後, PTPV+PTAにより軽快した

類洞交通を有する純型肺動脈閉鎖症の1例

    済生会前橋病院小児科

      岡田 恭典,小野 真康     同 循環器外科 石原 茂樹,杉山 喜崇       小沢 英樹,三枝 直樹  はじめに:今回,我々は類洞交通を伴う高度右室低 形成の純型肺動脈閉鎖症の1例にBrock手術並びに

PTPV及びPTAを施行し良好な結果を得たので報

告する.

 症例は1カ月の男児で出生直後よりチアノーゼ,多 呼吸を認めたため某病院に入院した.心エコー図で純 型肺動脈閉鎖症が疑われLipoPGE1を開始され,これ により状態安定し手術目的に当院へ紹介され入院し た.日齢27に心臓カテーテル検査を施行した.右室/左 室収縮期圧比(RVp/LVp)は1.7と高値であった.

RVEDV=2.8ml(26%of norrnal)と右室は低形成で 右室造影で類洞交通(minor type)を伴っていた.同 時に施行した大動脈造影では左右冠動脈のinterrup−

tionの合併は認めなかった.生後3カ月,左BT shunt

並びにBrock手術を施行した生後5カ月の心臓カ

テーテル検査ではRVp/LVp−12,右室造影では左右 冠動脈への逆流は減少していた.しかし,左肺動脈の BT shunt近位部の狭窄を認め, LipoPGE1は中止でき なかった.このため肺動脈弁並びに左肺動脈に対する

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日小循誌 13(4),1997

経皮的バルーン形成術を施行した.両部位とも径5mm のバルーンを使用した.その結果RVp/LVp=0.7まで 減少し右室造影では左右冠動脈への逆流は完全に消失

した.また左肺動脈狭窄も解除された.これにより LipoPGE1並びに酸素投与は中止できた.現在退院し て外来にて観察中である.

 結語:類洞交通を伴う高度右室低形成の純型肺動脈 閉塞症の1例について報告した.Brock手術,並びに

PTPV+PTAにより右室の減圧をはかり,類洞交通

が消失したことにより本症例のような高度右室低形成 齢においてもBiventricular repairの可能性があるこ

とが示唆された.

 3.胎児エコーで診断し,新生児早期に経静脈的緊 急ペーシングを行い救命しえた先天性完全房室ブロッ クの1例

    群馬大学小児科

      佐藤  哲,嵯峨 礼子,田村 一志       井上 佳也,小林 敏宏,名古  靖     済生会前橋病院小児科

      岡田 恭典,小野 真康     同 循環器外科       石原 茂樹  はじめに:先天性完全房室ブロックは,近年胎児エ

コーの発展に伴い出生前診断できるようになってき た.今回我々は,胎児エコーで診断し出生後ペーシン グを開始して救命しえた1例を経験したので報告し

た.

 症例は日齢0の男児である.在胎20週の検診で胎児 徐脈を認め,29週に当院産科を受診し児の完全房室ブ ロックを疑わせた.その時の母親の抗SS−A抗体は176 indexと陽性であった.胎児水腫などの所見はなく発 育は順調であった.しかし,その後も胎児徐脈が続く ため妊娠38週0日帝王切開にて出生した.出生体重は 3,382g,アプガールスコアは7−9−−9,全身にチアノーゼ を認めた.心拍数は60/分で不整,肝腫大を認め,血圧 は57/32mmHgであった.入院時検査所見では抗SS−

A抗体は156index,動脈血ガス分析ではpH 7.23, pO、

は90.lmmHg, pCO2は50.3mmHg, BEは一5.7であっ た.入院時の胸部X−Pでは心拡大を認め,また徐々に 岬吟,鼻翼呼吸が出現し,肝腫大が増大したため,ドー パミン,利尿剤,イソプロテレノールの投与を開始し たが改善せず,更に心不全症状の増悪を認めたため非 観血的経皮的一時ペーシングを行った.しかし,ペー シングできず緊急にバルーン付き電極カテーテルによ る経静脈的右室ペーシング(刺激頻数100/分,出力7

599−(93)

mA,感度1 .5mN} )を施行したところ速やかに症状の改 善を認め,心拡大も消失した.その後永久ペースメー カー植え込みの目的で日齢3に済生会前橋病院へ転院 した.手術後は経過良好であり,心エコー上左心機能 良好で,哺乳良好,体重増加も良好になったため日齢 35に退院し外来で経過観察中である.

 結語:胎児期より診断されていた先天性完全房室ブ ロック症例に対して新生児期早期に経静脈的緊急ペー シングにて救命し,永久ペースメーカー植え込み術に より経過良好な1症例を経験したので報告した.心不 全症状が悪化するものは時を待たずペースメーカー植 え込みを考慮する必要がある.

 4.肺高血圧症,腎血管性高血圧症,もやもや病を 合併したfibromuscular dysplasiaの女児例

    群馬県立小児医療センター循環器科       小林 富男,曽根 克彦       篠原  真,渡辺 正之  はじめに:Fibromuscular dysplasiaは動脈壁内膜 の線維増生と中膜平滑筋の増生による動脈の狭窄を特 徴とする原因不明の全身性血管疾患である.主に脳動 脈,腎動脈,肺動脈などが障害されるため,もやもや 病や腎血管性高血圧,肺高血圧症などを合併する.

 症例:患児は11歳の女児で,5歳時に易疲労性と運 動後の顔色不良を主訴に某病院を受診し,原発性肺高 血圧症の診断で強心剤,利尿剤の投与と在宅酸素療法 による治療を受けていた.8歳頃より運動時の気分不 良,脱力発作が出現した.本年2月,頭痛,顔色不良,

四肢の振戦と脱力を主訴に当院に入院した.入院時,

身体発育は良好で意識清明,顔色不良,四肢に力が入 らず歩行不能であった.血圧は142/73mmHgと高値 で,3LSBに3/6度の汎収縮期雑音を聴取した.血液,

生化学検査,凝固検査に異常を認めなかった.断層心 エコーでは,右心系の著明な拡大と三尖弁逆流を認め た.カテーテル検査では,肺動脈圧:143/52(85)

mmHg,肺血管抵抗値:13.9U・m2と著明な肺高血圧 症と両側腎静脈のレニン活性高値を認めた.血管造影 では肺動脈末梢の著明な狭小化と肺血管床の減少,腎 動脈の末梢性狭窄,左中大脳動脈動脈の閉塞ともやも や血管を認め,fibromuscular dysplasiaによる,もや

もや病,腎血管性高血圧症,肺高血圧症と診断した.

PGI2経口薬を試みたが強い頭痛が出現したため,在宅 酸素療法,及びACE阻害薬, aspirin,強心剤,利尿剤 の投与で経過観察中である.

 結語:Fibromuscular dysplasiaの原因は不明であ

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るが,血管内皮機能を傷害する全身性の異常が推測さ れている.治療は現時点では対症療法にとどまってい

る.

 5.経過中にPeipheral PSが消失し, Jatene手術 が可能であった単冠動脈を伴うTGAの1例

    済生会前橋病院循環器センター外科       三枝 直樹,石原 茂樹       杉山 喜崇,小沢 英樹     同 小児科   小野 真康,岡田 恭典  はじめに:経過中にPeipheral PSが消失し,単冠動

脈を伴うTGAの1例に生後8カ月にJatene手術を

施行した1例を経験したので報告した.

 症例は8カ月の男児で,出生直後よりチアノーゼを 認め,日齢1に某病院にて心臓カテーテル検査にて

TGA II型+VSD+PDAと診断されBASを施行され

た.手術を目的に当院に紹介されたがPeipheral PSが あり延期した.生後2カ月に心臓カテーテル検査を施

行し,主肺動脈圧は80mmHg,右肺末梢動脈は28

mmHg,左末梢肺動脈圧は29mmHgであり,末梢性肺 動脈狭窄を認め,造影で右末梢肺動脈径は6.3mm,左 肺は3.8mmと細かったがQp/Qsは2.1であった.大動 脈は細く単冠動脈を伴っていた.患児の状態は安定し

ており待機的に体重増加を計る方針をとった.生後8

日本小児循環器学会雑誌 第13巻 第4号 カ月になり多呼吸など心不全症状が増強したため心臓 カテーテル検査を施行し,末梢肺動脈圧は右が81

mmHg,左は101mmHgと上昇し主肺動脈との圧較差

は消失していた.造影上も右が9mm,左は14mmと拡 張が見られた.冠動脈は術前Shaher5Aが疑われ,高 度肺高血圧もあり,Senning手術を予定した.術中冠動 脈がShaher3Cと判明しJatene手術を施行した.術後 肺動脈圧は501nmHgと高く,ミリスロール, PGE1を 使用し術後2日目に抜管,8日目にカテコールアミン を中止できた.術後の心臓カテーテル検査では末梢肺 動脈と主肺動脈に圧較差はなく68/28mmHgと肺高血 圧が残存していた.また,旧大動脈が細かったためか

右室の流出路の圧較差20mmHgを認めたためβプ

ロッカーを使用している.

 結語:単冠動脈を伴うTGAの1例に生後8カ月に

Jatene手術を施行した症例を経験したので報告した.

本症例のように手術の時期決定に苦慮する症例もあ り,本例も今後,肺高血圧症の推移や右室流出路の狭 窄等注意深い経過観察が必要と思われた.

 6.特別講演

 超音波診断装置の現状と将来一心機能解析の新手法

東芝医療技術研究所主務 山崎 延夫

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    群馬県立小児医療センター循環器科

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