Vistas Adecco
ビスタス アデコVOL. 33
インタビュー
my work, my life 太田光代
さん(株式会社タイタン 代表取締役)組織のリーダーが最大限のパフォーマンスを発揮するためのプログラム LEE HECHT HARRISON 「エグゼクティブコーチング」
Adecco's Eye
特集:若者が働くこと、若者を育てること
太田光代
株式会社タイタン代表取締役
profile おおた・みつよ
1964 年、東京都生まれ。雑誌モデルなどを経てタレント に。90 年、同じプロダクションに所属していた漫才コンビ、
爆笑問題の太田光氏と結婚。1993 年に芸能プロダクシ ョン「タイタン」を設立し、社長に就任する。ハーブ、アロ マの専門店「ウィッチムーン」、トータルリラクゼーション スペース「キューピットハート」、フラワーショップ「アリエ ル」なども経営している。著書に『女子社長の優雅で過激 な毎日』(大和書房)などがある。
my work, my life
私が社長を務め、爆笑問題など 21 組のタレントが所属する芸能事務所タ イタンでは、2 カ月に1回のライブを 15 年以上続けてきました。このイベ ントの悩みは、チケットがすぐに完売 してしまい、多くのお客さまに見てい ただくことが難しいという点。DVD にすれば何万人という方々に見ていた だくことができますが、ライブの魅力 は、その日その場だけ、二度と同じも のを再現できないという点にありま す。その臨場感を保ったままで、多く の人にタイタンのお笑いを楽しんでい ただくことはできないか。その問いへ の答えが、「シネマライブ」でした。
お笑いのライブを各地の映画館のス クリーンに生中継するシネマライブに 挑戦したのは、2009 年のことです。
お客さまは、椅子に座って飲み物を片 手にリラックスして映像を観ることが できる。でも、そこで流れている映像 は、ライブ会場で芸人さんたちがリア ルタイムで演じているネタです。最近 では映画のスクリーンを使った生中継 という手法は珍しくないですが、当時 は前例のない試みでした。
その一方で、演じる芸人さんたちと カメラマンなどスタッフの方々は、相 当苦労したと思います。映画館の巨大 なスクリーンは、演者の細かな動きを すべて映し出すので、ネタのうまさも 拙さもすべて分かってしまいます。こ
れには、芸人さんたちはかなりとま どったようです。一方、私がカメラマ ンに要求したのは、「お客さまが直にラ イブを観ているような映像を撮るこ と」でした。テレビのような凝ったカメ ラワークは禁止。あくまでも自然に見 えるように撮ってほしいとお願いしま した。これも、始めはかなり大変だっ たと思います。
おかげさまで、この試みは多くのお 客さまに支持され、現在では、年 6 回、
全国 8 つの映画館で継続的に開催でき るようになりました。
私が何のスキルもないまま、芸能プ ロダクションの社長に挑戦したのは、
爆笑問題の 2 人、太田光と田中裕二を マネジメントする必要があったからで す。追い詰められた末に選んだ道でし たが、やってみると、社長業は肌に合っ ていると感じました。
私は子どもの頃から、考えすぎて疲 れ果ててしまうという癖を持て余して いました。頭の中をいろいろなアイデ アや心配事がぐるぐる回って、ヘトヘ トになってしまうのです。しかし、社 長になって、その癖を逆に活かせるこ とに気がつきました。頭の中に浮かん だアイデアをビジネスとして具現化で きるようになったので、ストレスがた まらなくなったのです。
シネマライブをはじめ、私はこれま で、インターネットコンテンツの配信
会社、映画制作会社、ハーブ専門店、
フラワーショップなどさまざまな事業 にチャレンジしてきました。芸能事務 所の社長が取り組む事業としては、ど れもチャレンジングなものですが、「挑 戦してやろう」という気持ちがあるわ けではありません。頭の中のことを実 現しようとすると、結果的に挑戦的な ことが多くなってしまうのです。
今後、大きな挑戦となりそうなのは、
太田光の映画づくりの夢を実現させる ことです。彼は過去に一度脚本を書き 始めたことがあるのですが、完成して みると、どう考えても映画化不可能な
『マボロシの鳥』という小説になってし まいました。「映画会社と話し合いをし て、映画の制作会社まで作ったのに、
何考えてんの!」と腹が立ちましたが、
彼が本気にならなければどうしようも ないことも知っていました。
太田がいよいよ危機感をもって脚本 づくりに取り組み始めたのは、この1 年ほどのことです。映画監督として成 功している先輩の芸人さんと比較され たりもしますが、彼は彼です。自分の つくりたい世界を見極めて、夢を実現 させてほしいですね。
もう一つの私の夢は、いろいろな事 業を統合して「レストランシアター」を つくることです。お笑いのライブや ジャズの演奏、映画などを楽しみなが ら、おいしい食事が味わえる。そんな、
大人が楽しめる場所を生み出すこと に、いつか挑戦したいと思っています。
「シネマライブ」という 前例のないチャレンジ
映画づくりと
レストランシアターへの挑戦
頭の中のことを具現化すると どうしても
「挑戦的」になってしまうんです
若者が働くこと、
若者を育てること
1 日本だけではない、先進国を覆う若年労働者の雇用問題
高止まりする若年者失業率、七五三 といわれる離職率――。ここ数年来、
若年層の雇用問題は、社会問題化する ほど、注目も集めている。
直近では安倍政権の経済政策「アベ ノミクス」の影響で完全失業率はやや 改善され、転職市場は求人数が増えて いるものの、さまざまなデータからは、
若年労働者を取りまく状況は依然、厳 しさが続いていることが分かる。
下の【図1】を見てほしい。ここ十数 年の日本の完全失業率は、4 〜5%台で 推移しているが、15 歳から 24 歳の若 年層は、7〜 10%台の数値となってい る。ミドルエイジに比べると、若者の ほうがはるかに失業率が高いのだ。
また「正社員になれない若者問題」も 深刻だ。63 〜 67 年生まれ(現在 46
〜 50 歳) の大卒男性は新卒での就職 で 92.4%が正社員だった。だが 83 〜 87 年生まれ(現在 26 〜 30 歳)の同タ イプの正社員比率は 76.3%(【図 3】)。 また文部科学省の「学校基本調査」で も、若年雇用の厳しい現実を裏付ける。
2012 年 の 大 卒 者 の う ち の お よ そ
15.5%が就職や進学せず、アルバイト や契約社員などの有期雇用労働者とし て就業している人は 3.9%。この調査 から、大卒者のほぼ 5 人に1人が正社 員という形態でないことがみてとれる。
だが若年者の雇用問題に頭を悩ませ ているのは日本だけではない。詳しく は 8 ページにゆずるが、労働政策研究・
研修機構、労使関係・労使コミュニケー ション部門統括研究員の濱口桂一郎氏 によると「むしろ新卒一括採用がある という点においては、日本は他の先進 国より恵まれている」と言う。
確 か に Adecco US が 調 査 し た データ(【図 2】)によると、米国の大学 で今年卒業する学生は150 万人以上。
だ が 就 職 が 決 ま っ て い な い 学 生 は
53%に及ぶ。同年の日本の大卒の就 職率(2012 年卒業)63.9%(うち 3.9%
の有期雇用労働含む)という数字と比 べ、シビアな状況は比ぶべくもない。
また同調査では、米国の大学生は、
1人 当 た り 平 均 25,000ド ル ( 約 250 万円)の学生ローンを抱えているとさ れ、就職できない場合、生活に行き詰 る。一方企業は、新卒者にも「即戦力」
としてのスキルを期待する。それは、
企業の採用担当者の 66%は「学生は就 職する準備ができていない」、58%は
「新卒の学生を採用する予定がない」と い う 結 果 に 顕 著 に あ ら わ れ て い る。
よって学生は卒業後、インターンシッ プや有期雇用の形態で実務経験を積む か、ビジネス系のスクールで専門の知 先進各国が 頭を悩ませる
若 年労 働 者の雇 用 問 題
2003 年以降、急速に社会問題化している若年労働者の雇用。最近では、
高齢者に関連する雇用制度とも重なり、問題はより複雑化しているかのようだ。
若年者雇用問題の核はどこにあり、何が若者の「働く」を阻害しているのか。
若者の雇用・育成をどう捉え考えていくべきか ──問題の本質に迫る。
【図 1】 若年者の失業率は他世代に比べ高いまま
出典:
総務 省統計局「労働 力調査」(基本集計)
(注1)完全失業率は年 平均
(注 2)[ ]が付いた 2010 年及び 2011 年 のデータは、宮城県 及び福島県を除く全 国の結果。
12
10
8
6
4
2
0
失業率︵%︶
2000 2005 2010 [2010] [2011]
9.1 9.1 9.6 9.9 10.1 9.5
8.7
8.0 7.7 7.2
9.1 9.4 9.1 8.2
5.5 5.6 6.0 6.4 6.3 5.7
5.6 5.2 4.9 5.2
6.4 6.2 6.3 5.7
4.7 4.7 5.0 5.4 5.3
4.7 4.4 4.1 3.9 4.0
5.1 5.1 5.0 4.5 失業率(15 〜 24 歳)
失業率(25 〜 34 歳)
失業率(全年齢)
世界と日本の 今を見る
特集
識・スキルを蓄えるしかない。だから 卒業後、就職するまでの無職期間は平 均で 6 カ月を要するといわれている。
これと類似しているのが欧州諸国。
こちらも若年層の雇用状況は容赦な い。いずれの国も15 〜 24 歳の若者 の失業率は高い。フランスの場合、大 卒者は民間企業への就職が相対的に不 利で、教職に就くか、公務員を目指す のが一般的だ。産業界を目指す者は、
実学志向の高等教育機関に進むが、こ ちらのコースを選択しても「新卒一括」
で採用される門戸は開かれておらず、
インターンやアルバイトなどでトレー ニングを積んでから無期の雇用に移行 する場合がほとんどだ。
このような欧米の若年雇用の実態 は、70 年代から続いている。もちろ ん各国とも、この状況を手をこまねい て見ていたわけではない。若年層の失 業問題に対処するため、フランスでは 年金受給年齢を引き下げ、高年齢者の 早期引退促進政策を推進。高齢者の代 わりに、若年層を採用するよう企業に 働きかけたこともある。だが、スキル を持たない若年層は経験・技能を持つ
高年齢者の代替にならないケースが多 く、結果として、若年層の失業解消に は繋がらなかった。「高齢者早期退職政 策によって若年層の就業率を向上させ る取り組みは、どの国も失敗した」(濱 口氏)のが実情だ。
では、どうすれば若年層の雇用問題 は好転するのか。濱口氏によると、「90 年代以降、欧米が出した唯一の結論は、
若者の育成」だと言う。つまり、国が若 者を訓練しスムーズに就労に移行させ るという方法しかないということだ。
日本でも「既卒 3 年以内は新卒と同 等の立場とする」という厚生労働省か らの要望が課せられたり、職業能力形 成の機会に恵まれなかった求職者向け に就職支援を行う 「ジョブ・カード制 度」が導入されてはいる。だが、まだ まだ現実には普及しているとは言い難 く、その効果を疑問視する声もある。
さらに日本では、大卒後、正社員と して入社しても、3 年以内に退職して しまう若者が全体の 3 割近くにのぼる
(【図 4】)。この調査からも、スキルや 実務能力が身に付いていない若者の数 が、一定数以上存在していることは容 易に想像がつく。
若者の早期退職の背景には、まれに
「最近の若者は仕事に対するモチベー ションが低い」といった側面もあるか もしれない。しかし育成などに力を入 れず、単純作業要員として若者を酷使 するような企業の問題も顕在化してお り、その意味では、企業側の責任も無 視することはできない。
今後、日本はさらに高齢化社会が進 み、いずれは深刻な労働者不足問題に 直面する。そうした中、このまま実務 能力を養う機会がない若者が増加する と、組織で戦力となる人員が増えない ばかりか、社会の「消費者」「納税者」も 減少し、ひいては社会保障問題を増幅 させる懸念さえ潜む。そうならないた めにも「若者の育成」は、極めて重要 な課題になっているのだ。
【図 3】 初職における正社員の比率(大卒) 【図 4】 新規学卒者の離職率
(%)100
80
60
1963 〜 67 年生まれ
1968 〜 72 年生まれ
1973 〜 77 年生まれ
1978 〜 82 年生まれ
1983 〜 87 年生まれ
92.4 90.9
85.8 78.9
76.6 79.2 76.3
75.3
71.2 72.0
出典:JILPT「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状─平成 19 年度版『就業構造
基本調査』特別集計より─」 出典:厚生労働省職業安定業務統計
中学卒 高校卒 大学卒
(%)100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0
■3 年目で離職
■2 年目で離職
■1 年目で離職
41.5 13.3 9.5 64.2
17.2 10.1 8.4 35.7
11.5 8.9 8.4 28.8 出典:Adecco US
若 年者をとりまく問 題は
社 会保 障 制 度の 問 題にも発 展する
profile
1958 年生まれ、東京大学法学部卒業後、労働省(当 時)入省。欧州連合日本政府代表部一等書記官、東京 大学客員教授、政策研究大学院大学教授を経て現職。
濱口桂一郎 氏
労働政策研究・研修機構(JILPT)客員研究員
【図 2】 2012 年度 米国の新卒状況は
今年卒業する 学生は
150
万人以上卒業後、
就職するまでの 期間は平均で
6
カ月学生は就職する準備が できていないと考える 企業の採用担当者は
66
%今年は新卒の 学生を採用する 予定がない企業は
58
%就職が 決まっていない
学生は
79
万人男性
女性
2 「新卒成功物語」が終わった今、育成の場に求められること
用することはリスクの高い投資。まし てや経済環境が不確実になると、企業 は固定的人財を採用することに躊躇 し、結果、若者の採用は抑制され就職 できない層が増えます。いったん有期 雇用労働に従事した若者は、正社員に なりたくてもなれず、そのまま滞留し てしまいます」
日本では労働者が実務能力を身に付 けられる場が、ほぼ企業の「現場」に 偏っているのが現状だ。技能を身に付 けるために専門学校などに通っても、
そこでの経験を生かしにくい上に、日 本企業の教育訓練は、正社員に偏る傾 向があり(【図 5】)、それ以外の雇用形 態では、教育によるスキル獲得が正社 員と比べ困難だ。こうして、同じ期間 就業したにもかかわらず、雇用形態に よって職業能力に差が付いてしまうと いう事態に陥るのだ。
その一方、景気が低迷している時代 に採用された社員層も、満足に育成さ れているとは言い難い。これが、もう 一つの問題だ。
「新卒採用の抑制が続くと、新入社員 を指導できる、年代的に近い若年労働 者 の 数 も 相 対 的 に 少 な く な る た め OJT の機会も減少します。また最近 は、管理職も目標管理制度に縛られた
プレイングマネジャーが多いため、新 人を教育する時間を捻出しにくくなっ ています。また不景気になると、企業 は残業時間を抑制する傾向にあり就業 後に教育する機会がない。加えて、今 の若者は手取り足取り指導してほし い、という傾向が一部で顕著なため、
上 司 世 代 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ギャップが生じています」
このように若年労働者の育成は何重 にもマイナス要素を抱えた厳しい状況 になっている。とはいえ現状に甘んじ ていれば、社会全体が人的資本の蓄積 を弱体化させることになる。何か、打 つ手はないのだろうか?
「育成中の若手には、たとえば、目標 管理制度を適用せず、成果主義的な施 策は育成後に導入するなどして、長い スパンで見守る風土を作ることが大切 です。また限られた時間の中で、若者 のやる気を引き出す管理者を育成する
『管理者教育』も重要です。同時に、人 財を育成した社員を高く評価するなど の制度も設ける。さらには『65 歳定年 制』によって増えるベテラン層を若手 の育成要員とし、若者とベテランが相 互補完できる関係を構築することなど も求められます」
一方、有期雇用の形態で就業してい る層についても、大学や教育機関でト レーニングできる仕組みなど、社会全 体でスキルアップを支援する体制作り を強化することなどが急務になってい る。若年層の育成は、今や、待ったな しの局面に立っているのだ。
日本における若年労働者の育成は、
「新卒一括採用」で雇用し、OJT や研 修などを介して、それぞれの 企業色 に染め上げるというパターンが主流 だった。慶應義塾大学経済学部教授の 太田聰一氏は、その背景と効果につい て「日本の企業は 現場主義 。一通り の業務ができるだけではなく、現場で トラブルが起きた際、それをうまく処 理する能力を社員に求めてきた。その ため、その企業独特のスキルを身に付 けるのが合理的でした」と解説する。
企業が自前で人財を育成し、高い忠 誠心を醸成する。社員も失業の心配が ない 安定クラブ に入る─。双方に とって都合の良い歴史的な「新卒成功 物語」は、高度経済成長期には高い生産 性に繋がり、企業が力を発揮するバネ になった。だが「失われた10 年」で、
各企業は雇用調整をせざるを得ず、そ のしわ寄せは新卒採用抑制へと向かっ た。その結果、2 つの大きな問題が生 じた。一つは「 新卒採用の波 に乗り 切れなかった若者」の問題だ。
「日本は正社員を解雇しにくいといわ れているため、新卒採用で正社員を採 今、企業は若 年社 員を
どう育てるべきか
【図 5】 雇用形態で異なる教育訓練の状況
出典:JILPT「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」
■正社員
■契約社員
■パートタイマー
profile
1964 年生まれ、京都大学大学院、ロンドン・スクール・
オブ・エコノミックス大学院修了。名古屋大学助教授を 経て、2005 年から現職。
太田聰一 氏 慶應義塾大学経済学部教授
(%)80 70 60 50 40 30 20 10
0 計画的な OJT
入社年次別 の研修
職種・職務別 の研修
役職別 研修
OA・
コンピュータ 研修
資格取得の ための研修
法令遵守、
企業倫理研修 特に何も 実施して Off-JT いない
Case Study
株式会社ガリバーインターナショナル
「寺子屋店舗制度」で考え、行動する社員を育てる
写真左:「寺子屋」店舗の一つ、ガリバー蔵前橋通り新小岩店の松下誠店長 と入社1年目の水野壮一さん。車を見るべきポイントをこと細かに伝え、
新人社員も真剣なまなざしで応える。写真右:入社 2 年目の中村光弘さん。
2 年目ともなれば、査定する際の手順もてきぱきとしている。
若手の育成には、機会を与えろ ―。識者はそろって警鐘 を鳴らすが「行うは難し」。だが、この難業を実行してい る企業がある。
クルマ買い取り販売最大手のガリバーインターナショナ ル。入社1 〜 2 年目の社員を「寺子屋」と呼ばれる店舗に集 め 2 年間配属する制度を 2009 年から始めている。店長が監 督のような立場で見守り、新人にも最大限の機会を与え、実 践の中で店舗運営や営業などのスキルを育成している。この 取り組みの立案者である HR チームセクションリーダー、菊 川正臣氏は「この施策で若手のやる気や責任感が増し、成長 スピードが加速しました。新入社員同士の絆も深まり、離職 率も大幅に低下した」と言う。
寺子屋店舗である「蔵前橋通り新小岩店」に向かうと、入社 1〜 2 年目の社員が、エントランスでの接客から商談、見送 りまではつらつと元気よく行っていた。見た目は若いが、立 ち居振る舞いは立派な営業マン。素人目には他社員との区別 はつかない。なぜ、こうも早く「即戦力」として振る舞える のだろうか?
「通常店だとベテラン社員に頼ってしまいがちですが、『寺子 屋』では否が応でも新人が自ら考え、動くしかありません。
それに、お客様にとっては新人だろうがベテラン社員だろう が『ガリバーの社員』。そのお客様の『一人前扱い』が、彼ら を本当の一人前にするのです」
とはいえ新入社員の「いきなり本番」による接客は、お客様 に迷惑をかける心配や、売上へのインパクトが想定される。
「確かに施策を実施した当初は、寺子屋の売り上げは振るい ませんでした。しかし寺 子屋へのフォローを徹底 す る こと で、2013年 の キャンペーンでは、寺子 屋店舗の一つが、同規模 店舗70 〜 80店中、売上 トップを達成しました」
売上トップとは、それ だけ顧客から支持された 証拠だ。一体、どのよう な、フォローやしかけが あったのか?
「『予備校』と称して、閉店後に店長が講師役となり、買い取 り査定などに関するセミナーを開くなど、日常業務のノウハ ウを教えます。また店長と新人は、原則として毎日『業務日 誌』を交換。新人が書いた業務の疑問点や反省点などを、店 長が翌朝までに回答するようにしています。このような店長 と新人の二人三脚、そして新人同士の知恵の出し合いなどに よって、目的や方向性を自分の頭で考え、問題を解決してい く姿勢やスキルを身に付けていくのです」
自分で考える癖がつくと、お客様の見送りや出迎えも「何 のためにやるのか?」にまで考えが及ぶようになる。そこか ら「よりお客様に喜んでもらうために、今度は小走りで出迎 えよう」といった工夫につながる。こういったスパイラルの 連続で、「 やらされ感 で携わる仕事とは違う、仕事の面白 味が体感できるのです」と話す。
同社では、新人同士が、より一層 切磋琢磨 し合うため、
同店舗・エリアで働く新人たちが住む住居も用意する。
「寮かシェアハウスで共同生活をし、毎日の食事作りから食 費などの共通費の管理も任せています」
職場も住居も共にすることで、新人たちはお互いを励まし 合う。だから離職率も寺子屋開始前の約半分の15%程度に まで低下したというわけだ。この数字は生活関連サービス業 の離職率 24.7%(厚労省)に比べれば大幅に低い。
「寺子屋というと、会社が若手に 上げ膳据え膳 をしてい るように誤解をされがちですが、実は、頼れるのが自分た ちしかいないという厳しい制度でもあります。そういった厳 しい環境で仕事に携わることで、こちらが想いもしなかった 潜在能力を発揮するのです」
菊川正臣氏
ガリバーインターナショナル HR チームセクションリーダー
3 日米欧に見る 高齢者雇用と若年者雇用の関係
日本の若者は、まだ恵まれているとい えます」
もっとも欧米も、若者雇用対策を試 みてきた。 「1970 〜 80 年代、欧州先 進国では年金支給年齢を下げるなどし て高齢者のリタイヤを早め、その空白 を若者の雇用で埋めようとしました。
しかし実務能力のない若者に熟練の代 替は難しく、この政策は失敗しました」
日本でも高年齢者を若者層に置きか えれば若者の雇用が増えるという主張 があるが、濱口氏は「そうでないこと は、歴史が証明している」と言う。「人 口の高齢化に直面する先進国は、高齢 者を含め労働者を増やし年金など社会 保障制度を支えるパイを大きくする必 要がある。そうしなければ社会保障費 負担はかえって増大してしまいます」
ただし濱口氏は日本の若年者雇用の 現状を肯定しているわけではない。「氷 河期に就職できなかった人がそのまま 正社員になれず『ミドルエイジの有期 雇用者』 になったように、日本の新卒 一括採用は、一度失敗すると、その後 も労働市場のメインストリームに戻れ ない構造問題を抱えている。就活時の 景気に一生を左右され、再チャレンジ
できないこの構造が大きな問題です」
他方、欧米では就職することを「ジョ ブを得る」というように、雇用契約を 職務として締結する。そのため技能を 身に付ければ、一度や二度の就職の失 敗は取り戻しやすい。「ドイツは学校に 行きながら週 2 日ほど就労して職能を 身に付ける『デュアルシステム』を導 入、若者の雇用を増やしました。OECD もこの成功に倣い、若年雇用問題解決 は『高齢者の追い出し』ではなく、『若者 の育成』へシフトしています。しかし 日本では、実務を学べる場が企業の中 だけで、そこに入らない限り、永遠に メインストリームに戻れないまま。それ を改善するためには、日本型雇用その ものを変えていく必要があります」
濱口氏はその案として、「リーダーや マネジャーを育成する既存の『新卒 コース』と、地域や職務を限定した『限 定社員コース』の二本立てで社員を採 用し、後者で過去の新卒採用枠からも れた人を吸収する。そうすることで若 者が再チャレンジできる社会に変えて いくのです」。働き方が多様になれば、
埋もれた優秀な人材の発掘にも繋が り、組織の活性化も期待できそうだ。
高齢者が優遇され、若者がワリを 食っている―。今春施行の「改正高年 齢者雇用安定法」により、そんな『世 代間格差論』が過熱している。だが前 出の濱口氏は「日本の若年労働者は欧 米と比べ、どのような状況にあるか」
の議論を抜きに、高齢者雇用と若年者 雇用の関係性は語れない、と話す。
「欧米の採用は、欠員補充が基本です。
企業は、『A という仕事=職務ができる 人』という内容で募集を出し、対象者 が応募するという形です。日本のよう に何のスキルもない若者を一括で採用 すること自体、非常に稀なのです」
濱口氏は OECD(経済協力開発機 構)の『世界の若者と雇用』という本 の監訳をしたとき、世界レベルでいう ところの「勝ち組」と呼ばれる層の定 義に驚いたという。それは図 7 の説明 にあるようなもので「OECD の定義な ら日本の大卒の 90%以上が勝ち組に な り ま す。日 本 の 若 者 の 失 業 率 は、
10%以上が当たり前の海外と比べて も低い。このように世界と見比べれば
「高 齢者雇 用が 若 年者雇 用を 圧 迫するは 本当か」
【図 6】 フリーターから正社員への転職状況
出典:JILPT 大都市の若者の就業行動と意識の展開 ー「第 3 回若者のワークスタイル調査」からー 2011
※ 20 〜 29 歳、正規課程の学生、専業主婦を除く
(%)80
70
60
50
40
30
0
計
6 ヵ月以内 7 ヵ月から 1 年
1 年から 2 年
2 年から 3 年
3 年超 64.0
48.9 58.9
52.2 58.3 72.5
61.7 60.0 62.1
57.0 56.5
55.1
42.9
54.1
38.3
48% 40%
25%
15% 15%
6%
30% 21%
【図 7】 高校生が職業に就くまでの経路
欧州諸国 アメリカ
出典:Quintini and Manfredi(2009)に即して、OECD 事務局が全米若年層縦断調査の 1997 年、
および欧州世帯パネル調査の 1994 年第 1 ウェーブから 2001 年第 8 ウェーブに基づいて計算。
男性
女性
■勝ち組 = 卒業 5 年以内の大部分(70%以上)
において就労しており、初職を見つけるま でに 6 カ月未満だった
■うまく入り込めなかった新参者 = 雇用、失 業、教育の間を行ったり来たりしている
■取り残された若者 = 失業または無業状態に 卒業 5 年以内の多くを費やしている
■教育に戻った若者 = いったんは労働市場に 出るものの、教育の場に戻る
卒業と同時に就職する日本と異なり、欧米では職に就くまでの時間も経路もさまざま。
「勝ち組」と呼ばれる層でも日本と比較すると非常に厳しい内容であることが見てとれる。
〜〜
reserch
新社会人のイマドキ仕事観
アンケート実施期間:2013 年 6 月 有効回答数:104 日経 BP コンサルティング調べ 対象:大学 ・ 短大卒〜 25 歳までの社会人
あなたは、現在の仕事に満足していますか。
Q 1
大学 ・ 短大卒〜 25 歳に アンケート調査
あなたには仕事における、将来の目標がありますか。
Q 2
仕事において、自分の世代は自分の親たちの世代に比べ、
幸せだと思いますか。
Q 3
「Vistas Adecco」では、 大学 ・ 短大を卒業した新入社員から 25 歳までの社会人を対象とした アンケート調査を実施。今の若者の、仕事に対する考え方をいくつかご紹介します。
どちらとも いえない
30.8%
満足
40.4%
大変不満1.9%
無回答
4.7%
大変満足8.7%
不満
13.5%
ある
48.1%
ない
46.2%
無回答
5.7%
とても幸せ6.7%
どちらとも いえない
35.6%
まあ幸せ
34.6%
無回答
4.8%
あまり幸せ ではない
12.5%
まったく幸せ ではない
5.8%
・ もともと新しいことを始めるのが好きなので、新製品開発という 今の仕事に満足している。(製造業)
・ 常に上昇志向でいられる仕事だから満足。(金融/証券/保険業)
・ 仕事内容については不満はないが、会社の業務体制について不満 がある。(情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング)
・ 仕事は増えるが人は減る一方で、相対的な負荷が以前の 3 〜 5 倍 に増えている。(製造業)
・ 社内向けの仕事が多く、効率が悪い。誰のためにもなっていない。
(電気・電子機器製造)
・ なんとなく日々を過ごしているという感じで、将来に結びついてい る実感があまりない。また、目標になるような先輩もいない。(流 通/小売業)
・ やりたいことがあり、それを実現できれば日々がより楽しくなると 思っているから目標に向かって努力している。(金融/証券/保険業)
・ 世の中の変化が速く、目標を立てても1年以内に外部環境が激変 する。なので、将来の目標など立てずに、目の前のハードルをク リアすることと、今の流れに乗ることを考えている。(情報処理/
ソフトウエア/SI・コンサルティング)
・ 半年〜1年で部署が変わるなど、組織が目まぐるしく変革しており、
その流れに乗ることで精いっぱい。(電気・電子機器製造)
・ 自分になんとなく自信がないし、目標とするような上司もいない。
尊敬できる人がいない。(流通/小売業)
・ 役職が詰まっており、現在の会社で出世する、あるいは別の仕事 をする自分が思い浮かばない。(商社)
・ コンピューターが活用でき、可能性が広がっている時代なので幸 せだと思う。(機械製造)
・ 親の世代は仕事での成功体験 (自分たちで開拓していく経験)が 多々あったと思われる。しかし、その働きすぎの犠牲として家族 との思い出が少ない。現在は、チャレンジさせてくれない会社が 多く、仕事での成功体験は得にくいのではないだろうか。
ただ、父親が子育てにかかわる場面もたくさんあり、ワークライ フバランスの理解が広まっていると考える。会社生活では親たち の世代が幸せだったと思うが、家庭に関しては現在の方が幸せだ と思う。(電気・電子機器製造)
・ 高度成長期を知る世代と、停滞期しか知らない世代とのギャップ があり、前向きな議論がしにくい状況だと感じている。(情報処理
/ソフトウエア/SI・コンサルティング)
クに通う費用に困る大学生、インター ンシップをしたくても、その間バイト ができない=一定期間無給となるた め、挑戦できない人などがたくさんた ずねてきます。こうした現実を無視し
『やる気のない人は放っておけ』の一言 で個人の問題として片づけるのは暴論 です」と工藤氏は語る。
多くの若者と接してきた工藤氏は、
就職していない若者には「3 つの資本」
のいずれか、あるいは全部を獲得する 経験が不足していると言う。その 3 つ とは、1つは親の財力などの 経済資 本 、2 つ目は親子間や友達との関係性 などを司る 関係資本 、3 つ目は基礎 学力や生活の中でのトピックス(趣味)
がないなどの 文化資本 だ。
「この 3 つの資本には相関関係があり ます。たとえば経済資本がないから文 化資本が蓄えられないとする。そうす ると周りとのコミュニケーションに支 障が生じ、友人ができにくく、関係資 本が構築できない。あるいは関係資本 がないため、就職しても人間関係でつ まずき辞めてしまうーなどです」。つ まり、この「3 つの資本」を強化する支 援をすれば、若者の就職や就労がよい 形で変化していく場合が多い、と工藤 氏は語る。
もっとも今の若年層は、幼少期から 今までを不況下で育ち、いきいきとし た大人や社会に接する機会が少なかっ たせいか「働くということにポジティ
ブな印象を抱いていない」風潮が、共 通して見られるそうだ。だから、ほと んどの人が「安定した会社に入りたい」
と思っていると言う。
「この若者の安定志向を捉えて、覇気 がない、と批判する人もいますが、安 定を求めることは人としては根源的な 欲求。衣食住を確保し、ちゃんと生活 することを求めるのはいつの時代も当 たり前のことと思います」
ちなみに企業が望む人財として掲げ る「チャレンジングな職場に飛び込み たい」「自分がやりたいことを突きつめ たい」といった、挑戦意欲が高い若者 は「家庭環境が裕福で留学や新しい挑 戦をしやすい環境など、もともとすべ ての資本力を高めやすい環境がある」
のが実情なのだと言う。
「いろいろな若者がいますが、安定志 向の若者は少なくありません。企業は、
たとえ非上場の会社でも財務状況を開 示するなど、 若者が安心できる であ ろう情報を提供していくことも、採用 戦略としては必要なのだと思います」
そして採用後は、若者と社内外の他 者との距離を縮めて「関係資本」の強化 に努めてほしいと、工藤氏は強調する。
「職を得たとしても、企業のなかで『関 係資本』が薄いままでは、若者との ギャップは埋まらず職場への定着に問 題を来します。若者が継続してスキル を高められる環境作りを企業の中で推 進してほしいと思います」
若者が定職に就かないのは、就業意 欲が低く、根性がないからだ ―。一部 のシニア世代は、昨今の雇用問題の原 因を若者に押しつけがちだ。だが年間 3000 人もの若年者の就労支援をする
「育て上げ」ネット理事長の工藤啓氏は
「それは問題を個人のせいに矮小化し ているだけ」と指摘する。
「今の大学生の半分は奨学金ユーザ ー。それだけ親の経済力は低下してい ます。実際、私たちの組織には、面接 のためのスーツを買ったりハローワー
Youth side
若者が “安定志向”に走るのには理由がある
工藤 啓
氏特定非営利活動法人「育て上げ」ネット 理事長
profile
1977年生まれ。米国Bellevue Community College 卒業。2001年、任意団体「育て上げ」ネット設立。
04 年 NPO 法人化。金沢工業大学客員教授。『大卒 だって無職になる "はたらく" につまずく若者たち』等 著書多数。
若者の仕事観、私はこう捉える
仕事観は大きく3つに分類、課題は「個々への対応」
福沢恵子
氏昭和女子大学 グローバルビジネス学部 ビジネスデザイン学科 特命教授
に属する人の分かれ目は極めて曖昧 で、入れ替わりも頻繁だと言う。
「一層と二層の間を行ったり来たりし ている人もいれば、二層の人が良いメ ンターとの出会いで一層に上がること もある。反対に、一層の人が燃え尽き て三層に移ることも多々あります」
もっとも「第二層の増加」は、最 近の傾向として顕著だと言う。
「今の若者は、幼い時から満たされて いたため、肩の力が抜けている。この ためガツガツ働いてまで、出世しよう とは思わないのではないでしょうか」
したがって第二層を昇進や昇給を目 的に働かせようとしても、そうは問屋 が卸さない。
「マニュアル世代でもありますから、
指示は具体的にする必要があります。
OJT も『盗んで覚えろ』ではダメ。ツ アーガイドのような感覚で、丁寧に教 わることを望んでいる若者は少なくあ りません」
しかし福沢さんは 自分の役割をき ちんとこなす 日本の分厚い中間層が、
高度経済成長期には日本企業の強さを 支え、現在においてもなお、他国との 差別化の源泉になっていると主張す る。
「上司はつい第一層に目がいきがちで すが、彼らをよりよく組織で活かして いくためには、マネジメントする側に もスキルや知識、体力が必要です。そ の点、ボリュームゾーンである第二層
をいかに活かすかが企業にとっての最 重要課題です」
一方で「第三層には『目標を達成 したら、インセンティブを与える。個 人のよい点を評価する』などの工夫で、
少しずつ成長していく場合もありま す。若者の育成におけるポイントは、
いずれの層も働く動機が違うので、す べてを一括りに扱わないこと。個々へ の対応が問われているのです」
上司はデジタルツールが苦手な世 代、一方、その部下はデジタル・ネイ ティブ世代―。過ごしてきた時代や環 境の違いによって、上司世代と部下世 代の「コミュニケーション・ギャップ」
が指摘されている。「上司世代」にあた る昭和女子大学特命教授の福沢恵子さ んは、現在の若者の職業観をどう捉え ているのか?
「若者の職業観は、3 つの層に分けら れると考えています」
まずは業界に関係なく、企業の採用 担当者が「採用したい」と考える層だ。
「在学中から起業を考えたり、留学に 積極的などアクティブで、将来的には リーダーとして組織を動かす仕事をし たいというような意識を持つ層です」
そして次にボリュームゾーンの層 だ。 「基礎学力は満たしていながらも、
一から仕組みを考えるのは苦手。一方 でトップ層に入るといろいろな意味で 目立ってしまい、何かと圧力が強くな ると思っているために、上位 4、5 番 手を目指す要領のよさがあります」
最後は「自分が何をしたいのか分か らない層。 無気力系 か、具体的に何 をしたいかは言えないが『大きなこと をしたい』と思っている 妄想系 の 2 派に分かれます」
福沢さんによると、この 3 層はピラ ミッド型をしており、その構成は第一 層が 3 〜 5%、第二層が 50 〜 55%、
第三層が 40 〜 45%程度。しかし各層
profile
1958 年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。朝日新聞 記者を経て、90 年にジャーナリストとして独立。東京家 政大学人間文化研究所助教授などを経て13 年より現 職。専門はキャリア開発論、メディアリテラシーなど。
Senior side
就職情報会社が調べた 2014 年卒就 活・6 月1日時点の内定率は、53.4%
で、前年比 5、4 ポイント増と大幅に 改善した。
経団連が倫理憲章を「企業説明会や プレエントリーは 3 年生の12 月、筆 記試験・面接は 4 月以降」と改定してか ら今年で 2 年目。昨年、4 月1日から
一斉に開始された面接で、思うように 人財が獲得できなかったという反省を 踏まえ、昨年よりも早く内定を出す企 業が増えたと思われる。ただし、中小 企業の選考が本格化する後半戦までこ の勢いが続き、最終的に採用増になる かは分からない、とする専門家の意見 も多いようだ。
一方、世界に目を向けると、中国で は、大学新卒者が「最も就職難な時代」
を迎えている。日本の大学新卒者内定 率は最終的に 80%程度になるものの、
中国では 35%程度。大学の急増、沿 海大都市への就職希望者が多いなど、
深刻な雇用のミスマッチが原因といわ れている。
〈今号のテーマ〉
どうなる !? 今年の新卒採用
6 5 歳 まで 雇 用と 企 業 継続雇用で若年失業は増加せず
(2013 年 6 月 3 日 日本経済新聞)
厚労省の「今後の高年齢者雇用に関する研究会」の 11 年 6 月の報告書に よると、企業への聞き取り調査で、専門的な技能や経験を持つ高年齢 者とそうでない若年者は労働力の質が異なるとの認識が浮き彫りにな った。新卒採用数は高年齢者の雇用との見合いでなく、景気の変動に よる事業の見通しで決めているという企業の意見もあった。(後略)
知って おきたい 記事の本質
アンケート実施期間:2013 年 6 月 有効回答数:1070 日経 BP コンサルティング調べ 対象:業務上自社の新卒採用に関わっている方
経団連が政府の要請を受諾し、これまでの倫理憲章を見直した新指針を決定しました。指針では、2014 年以降、会社説明会を 3 年生の 12 月から 3 月に、選考活動の解禁を 4 年生の 4 月から 8 月に繰り下げるとしています。この改定に関し、アンケートを実施しました。
「会社説明会は、3 年生の 3 月から」経団連の新指針が及ぼす影響とは
指針による、採用活動の メリット、デメリットが あれば教えてください。
Q 3
●正しく憲章に沿って活動している企業が 不利になり、良い人材を他社に採られて しまう。(運輸/エネルギー)
●採用活動の準備期間と新規採用者研修の 時期が重なるため、人事部の人員不足が 想定される。(運輸/エネルギー)
●採用現場、学生・大学キャリアセンターの 本音を知らない一部の人間が、理念だけ で指針を変更することについては、極め て違和感を感じる。(商社)
●採用のための期間が短くなるため、選考 過程を簡略化せざるを得ない可能性があ る。(サービス業)
指針の決定に伴い、
あなたの会社では 採用活動を変更しますか。
Q 1 Q 2
変更する内容を教えてください。検討もして いない
37%
変更する
16.8%
現在、
検討中
23.6% 変更しない 22.6%
採用期間を長くする 9.5% 採用期間を短くする 6.1% 通年採用を導入する 7.8%
人事の採用担当を調整(増員)する 1.7% 大学の就職課の利用機会を増やす 10.1%
就職サイトへの掲載を増やす 6.7% SNS(Facebook、LinkedIn 等)を活用する 2.8%
外部の人材サービス会社を利用する 2.8%
採用人数を増やす 2.8% 採用人数を減らす 3.4% 採用基準を厳しくする 4.5%
中 国も「 就 職 氷 河 期 」、
日 本 は どの ように 雇 用 を 確 保?̶ 中 国メディア
(2013 年 6 月 5 日 Record China)
2013 年 6 月、中国は今まさに「最も就職が難しい時」を迎えている。大 卒生を中心とする若年層が、雇用市場で厳しい現実に直面している──。
「経済を発展させ、雇用を増加させる」ことが各国政府の永遠の課題だ。
だが、各種のデータを総合的にみると、世界の 15 歳から 24 歳の若年 層の失業者数は約 3 億人に上り、米国の人口にほぼ匹敵する。(後略)
新卒採用担当者にアンケート調査
6 月 の就 職 内定率は 53% 大 学生、前年比 5 ポイント増
(2013 年 6 月 27 日 共同通信)
6 月初旬、インターネットを利用して実施した調査によると、2014 年 3 月卒業予定の大学生の就職内定率は 6 月 1 日時点で前年同時期より 5.4 ポイント改善し、53.4%だった。
リーダーシップ開発のソリューショ ンの一つとして、欧米で広く認識され ている「エグゼクティブコーチング」
は、日本でもこの数年で外資系企業を 中心に導入され始めています。
Adeccoグループの一員で、米国に 本社を置く人財ソリューション企業 リー・ヘクト・ハリソン(以下「LHH」)で は、世界各国で厳しい社内認定を取得 した 350 名のコーチが、各国の文化差 やニーズに基づいて「エグゼクティブ コーチング」を展開しています。
LHH のコーチングの特長は、プロ グラムのプロセスがチームと個人が最 善の結果を達成できるよう設計されて いる点、また、リーダーの行動変容と
チームの目標が密接に結びついている 点です。プログラムの期間や内容は コーチングの対象や目的に合わせたカ スタマイズが可能(図1)。このプログ ラムを通して、 リーダーとしての役割 や組織作りなどを、考察し行動を変え ることを習得します。
LHH では、上記以外にも、さまざまなコーチングプログラムを展開しています。
組織のリーダーが最大限の
パフォーマンスを発揮するためのプログラム
LEE HECHT HARRISON
「エグゼクティブコーチング」
アデコの
サービスご紹介
Inside Adecco
LHH セミナーレポート
6月27日、東京・霞ヶ関にて、女性の リーダー開発をテーマとしたセミナー を開催しました。セミナーでは、LHH のエグゼクティブコーチとして 20 年以 上アメリカで経営幹部にコーチングを 行っているスタンリー ・ フェルプス氏 がプレゼンテーションを行いました。
スタンリー氏は「女性役員に関する グローバルな調査で有名な『Davies R e p o r t( 英 国 )』 を 見ても分かるよ うに、日本の女性役員の割合は極端に 低く、長い間改善されていない」と指摘。
女性と男性のリーダーシップの発揮に おいて、多くの日本人は固定観念を持っ
ており、これが女性リーダーが増えな い理由の一つであるとしました。
しかし、「女性のリーダーは、成果の 達成に結びつく行動や周囲とのコミュ ニケーションに時間を費やすという調 査結果もあり、本来、リーダーとして の能力がある。今後、女性がリーダー として力を発揮していくためには、コー チング、メンタリング、人事からの個別の サポートが必要である」と述べました。
会場には、外資系企業のエグゼクティ ブや人事担当者が集い、自社で抱える 課題について、活発に意見を交換しま した。
人事は女性のリーダー開発をどのようにサポートできるのか?
アメリカ女性の経営幹部 の コ ー チ ン グ を 行 う、
LHH のシニアマスター コーチ。著書『アサーテ ィブ・ウーマン』は、北米 で 20 年以上読み続けら れているロングセラー。
スタンリー ・フェルプス Stanlee Phelps
エグゼクティブコーチングの成果 プログラムを受けた外資系企業のマネージャーに 5 年後に実施したインタビューより
・ コーチングでの気づきを継続して実践した結 果、数年後、最年少で統括部長に昇進した
・ 自分自身がリーダーとして成長できたこと が、部下のパフォーマンス向上につながった
[図 1] LHH エグゼクティブコーチングプログラム
Top Performance Coaching
プログラム 目的 達成目標 期間 対象者
リーダーの最適なパフォーマンスレ ベルを達成、維持し組織への貢献を サポート
持続可能なリーダー シップスキル開発と 行動変容
3、6 カ月 または 12 カ月
・経営幹部
・後継者候補
・有望な人材 Early Impact
Assimilation
異なる組織文化への適応、信頼関係 の構築、ビジョンの伝達など、期待 される役割に関する目標達成を支援
早期のインパクトと 迅速な目標達成
3 カ月または 6 カ月
・昇進した人材
・ 中 途 採 用、 異 動したリーダー Targeted
Coaching
最適なパフォーマンスの達成に必要 なリーダーシップスキルの構築と意 識付け
パフォーマンスに影 響する行動に対する 認識の強化
6 セッション
・ あらゆるレベル のリーダー
・次期リーダー候補 Assessment
Feedback&
Development Planning
効果的なリーダーシップと開発すべ き領域についての視点を得る
ニーズの強化とアク ションプランの作成
1-3 セッション
・ あらゆるレベル のリーダー
当 社 で は 2001年 か ら ほ ぼ 継 続し て、さまざまな部署でアデコの人財派 遣サービスを利用しています。
特に多いのが事務職のスタッフに関 するニーズで、緊急の欠員に対応いた だく場合も多々あります。このケース では、短期間で当社が求めているニー ズを把握し提案するというミッション になりますが、アデコはいつも、限ら れた期間内で最も適格な方を紹介して くださいます。
アデコの営業担当の方が心強いと感 じるのは、当社との10 年以上の付き 合いの中で、各部署の業務内容や人財 ニーズはもちろん、年々変化していく 当社の人事や組織についても把握して いる点です。またその一方で、常に多 様な人財がいるからこそ、ケースバイケー スでニーズにマッチした方をスピー ディーに紹介できるのだと思います。
また、マッチング率の高さには、い つも感心しています。たとえば、派遣 社員の方をお願いする際、「○○さんと 同じスキルレベルの方」「現在のメン バー構成の中でコミュニケーションが うまくできる方」など、いくつかのキ ーワードを投げかければ、迅速にニー ズの細部まで理解してくれる。そのよ うに、ストレスなくサービスを受けら れることが、アデコを選ぶ一番のメ リットですね。
アデコの派遣社員は優秀な方が多い ように思います。スキルレベルはもち ろん、モチベーションが高い方が多く、
当社の社員と同様に、しっかり仕事に 取り組んでいただいており、その結果、
業務の効率化が実現したケースもあり ます。
このようにポテンシャルの高い方に は、タイミングなどが合えば正社員化 の方向を模索することもあり、これま でも当社に入社していただいた実績が あります。
派遣社員はプロ。私は、派遣の方だ からといって、自分の仕事だけこなし てほしいとは思っていません。当社の 事業環境が刻々と変化し、お客様の ニーズも多様化する中で、従業員に求
められているのは想像力と業務を変革 していく力です。派遣社員の方にも同 様に、それを求めていきたいと考えて います。そうした当社の思いに応えら れる方をアデコならご紹介いただける と期待しています。
また、今後さらにアデコに期待した いのは、成功事例を基にした業務改善 などの情報提供です。さまざまな局面 で協力し合う中で、さらに深いお付き 合いができるようになれば、お互いに とって得られるメリットも大きいので はないかと思います。
株式会社ラック
人財派遣 紹介予定派遣 人材紹介 再就職支援 アウト
ソーシング コンサル
ティング その他 サービス
お客様訪問
Adeccoの サービス活用法
的確でニーズに合致した人財のマッチングと紹介を実現
持田敏行
さん 管理本部 SI・SS 事業部長ラックは、企業向けの情報セキュリティ サービスを提供する、日本を代表する情報 セキュリティ対策のリーディングカンパ ニーです。インターネットが技術者のごく 限られた先端の人たちしか利用していな かった 1995 年、ラックは国内企業の先駆 けとして情報セキュリティサービスの提供 を開始し、その後も一貫して情報セキュリ ティ分野の強化・発展に努めてきました。
インターネットで情報を得て、オンライ ンショップで買物をして、ソーシャルネッ トワーキングサービスで人とつながる。私
たちの生活は、日に日に便利さを増してい ます。それは、企業も同じ。IT を使わない 経営は考えられない時代であり、あらゆる 企業活動は IT で効率化しています──。
しかし、IT を悪用する存在から目を背け ることはできません。皆さんの豊かで便利 な生活も、さまざまなサービスを提供する 企業のセキュリティ対策がしっかりしてい ればこそ。
ラックは IT で便利になる日本の社会を、
情報セキュリティサービスで守っていこう という思いで事業を展開しています。
日本の社会インフラを守るー。企業向け情報セキュリティの会社です
株式会社ラック
■最新のセキュリティ情報を Web サイトや
Facebook で提供しています。
http://www.lac.co.jp
http://www.facebook.com/Little.
eArth.Corp
私は 2002 年に、アデコの派遣社員 としてラックに就業しました。当初は 新卒・中途採用のアシスタント業務を 担当し、05 年に正社員に転換。現在は、
派遣社員の採用サポートや、新卒採用、
休職・復職に関する業務など、幅広く 担当しています。
当社は 07 年に事業再編を行いホー ルディング化し、組織や人事のあり方 も変化してきました。そのような中、
継続してアデコに派遣社員の紹介をお 願いしてきたのですが、営業担当の方 から、定期的に派遣に関する法律の情 報を提供していただくなど、人事にお けるよき相談相手としてコミュニケー ションを深めてきました。
私にとって安心なのは、長いお付き 合いの中で信頼関係がしっかりとでき 上がっている点です。こちらが求めて いる内容について意思疎通ができてい
るので、対応が非常にスピーディーで す。加えて、私自身が派遣社員として 就業した経験があるため、派遣社員の 方が当社に就業した際、どういったこ とに困るかを理解しているのも、ス ムーズに受け入れができている要因だ と思います。たとえば、福利厚生サー ビスやスキルアップ研修などを知らな い方がいればアドバイスしたり、上長 に直接言いにくいことがあれば、個別 に相談に乗って対応しています。
派遣社員の方の離職理由で多いのは、
業務のアンマッチと人間関係の悩み。
この2つをできる限り最小化するため には、派遣社員の現状を把握する必要 があります。とはいえ、私が毎日のよ うに全員と話ができるわけではありま せん。その点、アデコの営業担当者が 定期的にヒアリングをしてくれている ことが、大いに助けになっています。
今後も、アデコには優秀なスタッフ の方を紹介いただくとともに、人財活 用に関する新たな提案もしてほしいと 考えています。また、働きやすい環境、
さまざまな就労のあり方を変えていく 中で、よき相談相手になってほしいで すね。