4.指導にあたって
お互いに思いやりをもち、相手の立場に立って考え親切にし合うということは、人が豊 かに生きていくためにはとても大切なことである。しかし、社会性が十分に育っていない 自己中心的な傾向の強い低学年の児童にとっては、相手の立場に立って行動することはな かなか難しい。そのために、つい自分中心に考えて行動し、相手にいやな思いをさせるこ ともある。相手の気持ちをよく考えて親切にすることによって、相手が喜ぶだけでなく自 分もよい気持ちになることに気付かせ、お互いに思いやりの心をもって生活しようという 意欲を育てたい。
資料「はしのうえのおおかみ」は、一本橋の上を次々と渡ってくる自分より小さくて弱 い動物たちを困らせておもしろがっていたおおかみが、自分より大きくて強いくまに親切 にされて、自分の行動を振り返り、親切にすることのよさに気付き、行いを改めるという 話である。
指導にあたっては、おおかみの気持ちの変容に共感できるようにしたい。そのために役 割演技を取り入れ、話し合い活動を行う。いじわるをしているときの気持ちと親切にした ときの気持ちを比較して、親切にしたときの方がよい気持ちになることに気付かせたい。
なお、話し合い活動では、おおかみの心の変容がもっとも大きく表れる学習活動2の④に 中心発問を据え、おおかみがその行為を選択した動機・理由を聞き、資料に書かれていな いおおかみの「心」の中を考えさせるようにする。
また、終末では、今までの自分やこれからの自分とおおかみの心を比べて、自分を振り 返るためにおおかみに手紙を書く活動を取り入れた。
この題材での基本重要語彙 親切 優しさ 思いやり
こ の 題 材 で 重 視 し た 言 語 活 動
○ 資料の中の登場人物になりきり、心情を想像して、思 ったことや考えたことを書いたり、話し合ったりする。
○ 登場人物の行動と自分の体験とを結び付けて、自分の 考えをもち、簡単な手紙を書く。
○ 友達の思いや考えを聞き、自分の考えと比べ、共通点 や相違点に気付いて話し合う。
○ 動作化や役割演技を通じて感じたことを、発表したり 書いたりする。
○ 学習のはじめの段階と比較して自らの成長を実感でき るよう、文章に書いておく。
1年 道徳実践事例
1.主 題 名 親切にする心
(資料名「はしのうえのおおかみ」2-(2))
2.指導時期 4~7、9~12、1~3月
3.目 標 ○ 優しくするとよい気持ちになることに気付き、友達や周りの人に
親切にしようとする意欲をもつ。
5.学習指導展開例 事
前
○人に親切にされた経験を思い出す。
本
時
学習活動 主な発問と子どもの意識の流れ 指導上の留意点 1.自分が親切にして
もらったときのこ とを振り返る。
2. 「はしのうえのお おかみ」の紙芝 居を見て、話し 合う。
①いじわるをして いるとき(役割 演技)
②くまが橋を渡っ てくるとき
③くまを見送って いたとき
・人に親切にしても らったときのこと を思い出し、その ときの気持ちにつ いて考える。
・紙芝居を見て、想 像を膨らませ、各 場面ごとのおおか みの気持ちに焦点 をあてて考えるよ うにする。
・ 役 割 演 技 を 通 し て、いじわるを楽 しむおおかみやい じわるをされた動 物たちの気持ちを 考える。
・自分より強い相手 によって態度を変 えている自分のず るさに気付くよう にする。
・いじわるを楽しん でいたおおかみの 心の変容に気付く ようにする。
ワークシート①に、親切にされたときの
気持ちを思い出して書く。
・ぼくがけがをしたとき、○○君が「大 丈夫?」って聞いてくれて、安心し たよ。
・人に親切にしてもらったことと、そ のときの気持ちを発表しましょう。
・おおかみは、どんな気持ちで、うさ ぎやきつね、たぬきにいじわるをし たでしょう。
・おれは強い。
・みんなが戻っていっておもしろい。
・おおかみは、どうしてくまに橋を譲 ったのでしょう。
・負けそうと思ったからです。
・ぼくよりも強そうだからです。
・くまの後ろ姿をいつまでも見ていた おおかみは、どんなことを考えてい たでしょう。
・くまさん、優しいな。
・今までぼくは、いじわるだったな。
④みんなを優しく 渡してあげると き(役割演技)
・役割演技の様子か ら、優しくすると よい気持ちになる ことに気付くよう にする。
3. 優しくなったおおか みに手紙を書く。
・今までの自分やこ れからの自分とお おかみの心とを比 べることができる ようにする。
・おおかみの行動を 通して、わかった ことや気づいたこ とを手紙に書くこ とができるように する。
事 後
○身の回りの人やお話の中で、優しい心をも
った人を見つけ、実践への意欲付けを行う。
ワークシート③に、だれがどのように優しいのかを簡単に書く。
ワークシート②
に、自分の考えを 書く。
・おおかみは、どうして優しく声をか けて橋を渡してあげたのでしょう。
・みんなに優しく声をかけて、かかえ て渡してあげたとき、おおかみはど んな気持ちだったでしょう。
・気持ちがいいな。
・これからは、いじわるなんて しないでおこう。
・今までの自分とおおかみとを比べ て、手紙を書きましょう。
・ぼくも、おおかみさんみたいに、
やさしくするよ。
くするよ。
・私も、はじめはおおかみさんみた いにいじわるだったよ。
【道-1年 ワークシート①】
【道-1年 ワークシート②】
【道-1年 ワークシート③】
重視した言語活動
「学習のはじめの段階と比較し て自らの成長を実感できるよう、
文章に書いておく」
(例)
・自分の周りの中から見つけ ましょう。 (学級活動、終わ りの会、教室掲示など)
・お話の中で見つけましょう。
(読書の時間)
重視した言語活動
「登場人物の行動と自分の体験 とを結びつけて、簡単な手紙を書 くことで自分の考えを深める」
○本時のねらいに沿って振り返 り、知らせる相手を意識して自 分の考えを書く。
ワークシート活用のポイント
重視した言語活動
「友達の思いや考えを聞き、自分 の考えと比べ、共通点や相違点に 気付いて話し合う」
○事前に、自分が経験したことな どについて思い出しておく。
し ん せ つ に し て も ら っ た こ とを お も い 出 そ う
。
☆ ど ん な こ と が あ っ た の か お し え て ね。
ど ん な 気 も ち で し た か
。
が ひ ろ って く れま し た
。 わ た し が え んぴ つ を お と し たと き
、
○○ さ ん と
て も う れ しか っ た です
。
親 切
し ん せ つ
に す る 心ここ
ろ
は し のう え の お おか み
〔1〕
一 ね ん
く み
な ま え
(
)
や さ し く なっ た お お か み さ ん に て が み を か き ま しょ う
。
お お かみ さ ん へ
(
○
○
) よ り
おお か み さん も がん ば って く だ さい
。 り ます
。 い と だ めな ん だ な と おも い ま した
。 が んば
う して
、 気 づき ま した
。 人 に や さ しく し な
で も、 お お かみ さ んの お はな し を べ ん きょ
わた し も ち ょ っ と「 お おか み
」 でし た
。
親 切
し ん せ つ
に す る 心ここ
ろ
は し のう え の お お かみ
〔2〕
一 ね ん
く み
な ま え
(
)
や さ し い こ こ ろ を も っ た ひ と を さ が そ う
。 に
い れ てく れ ま し た
。 か さ を もっ て い た の で
、は ん ぶ ん かさ
う に 雨 が ふ っ て き ま した
。
○
○ さ んは
、 き の う
、が っ こ う か ら か え る と き
、き ゅ
や さ し いひ と
(
○
○
) さ ん
親 切
し ん せ つ
に す る 心ここ
ろ
は しの う え の お お か み
〔3〕
一 ね ん
くみ
な ま え
(
)