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有効吸水量に基づくコンクリートの品質評価方法の開発

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Academic year: 2021

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(1)

有効吸水量に基づくコンクリートの品質評価方法の開発

日大生産工(研) ○吉野 進也  日大生産工 湯浅 昇 日大生産工     松井 勇   日大生産工 笠井 芳夫

1.まえがき 2.2 有効吸水量の測定

コンクリートは、典型的な多孔材料であり、

細孔構造が強度や物質透過性を決定づけてい ることは、多くの研究者の研究

1)

により示唆 されているところである。筆者らは、水銀圧 入法により細孔構造を測定することで、圧縮 強度、水セメント比、中性化抵抗性、塩化物 浸透抵抗性、耐凍結融解性を評価する手法を 提案

2)

しているが、水銀圧入装置が非常に高 価であること、水銀を使用することから、実 験方法が簡易とはいえない問題点があった。

(1)試料の吸水量の測定 

  採取コンクリート塊を

2.5〜5.0mmの粒度

に調整した後、アセトン処理及び

D-dry

処理

(48 時間)をおこなって試料を作製し、吸水 量は、次の手順によって求めることとした。 

① 試料の質量

W0

(2g 程度)を測定した後、

この試料を純水(100cc)にて

10

分間吸 水させた後、シャーレー内ろ紙(5 種

C)

上にて

24

時間保管(写真−1 参照)する ことにより表乾状態とする。

② シャーレー内で

24

時間保管した後、試料 の表乾質量

Wi(g)を測定し、式(1)に

より吸水量

Vmp(g/g)を求める。

本研究は、安易で簡易な吸水法

3)

による細 孔量測定に着目し、吸水法による有効吸水量 と、水銀圧入法による総有効細孔量を比較し、

①圧縮強度、②水セメント比、③中性化抵抗 性、④塩化物浸透抵抗性を評価する方法を提 案するものである。

吸水量

Vmp=(試料の表乾質量Wi−試料の

質量

W0

)/(試料の質量

W0

(1)

2.試験方法の概要 

写真−1 試料の保管状況  2.1 コンクリート塊の採取 

コンクリートの表層は、脱型、中性化に よりその内部と品質が異なることが知られ ている

4)

。コンクリートの材料、調合に関 してコンクリートの品質を評価することを 目的としていれば、

5cm

以上深い位置から 試料を採取する。採取に当たっては、小径 コアを用いるほか、はつりによるコンクリ ート小塊、地震被災時には、崩壊したコン クリート部材から入手しやすい玉子大程度 のコンクリート塊を採取する。

Testing Method for Structural Concrete Qualities by Effective Absorption Volume Shinya YOSHINO, Noboru YUASA, Yoshio KASAI and Isamu MATSUI

(2)

(2)試料のセメントペースト率(溶解率)

の測定 

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 有効吸水量(g/g)

材齢3、7、14、28、120日

□□

F(x)=0.81x 相関係数:0.791

120日 3日 7日 14日 28日

材齢 記号

図−1 有効吸水量と総有効細孔量の関係  試料のセメントペースト率(溶解率

WRs

(g/g))を求めるため、吸水量の測定に供し

た試料を

10%塩酸溶液中で2

時間撹拌し、セ

メントペースト部分を溶解させ、600℃で

1

時間強熱した後の不溶残分質量

Wns(g)を

測定し、式(2)により溶解率

WRs(g/g)を

求める。

溶解率

WRs=(試料の質量W0

−不溶残分質

Wns)/(試料の質量W0

)         (2)

4ヶ月

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 有効吸水量(g/g)

σ:圧縮強度(MPa)

記号 材齢 線 種

3日 7日 14日 28日

120日

普通ポルトランドセメント 吸水法

図−2 有効吸水量と圧縮強度の自然対数 

(3)有効吸水量の計算 

式(1)より求めた吸水量

Vmp(g/g)と、

式(2)で求めた溶解率

WRs

(g/g)を用いて、

式(3)より硬化セメントペースト当たりの 吸水量(有効吸水量

Vep(g/g))を求める。

有効吸水量

Vep=(試料の吸水量Vmp)/(溶

解率

WRs)      (3)

3.有効吸水量と総有効細孔量の比較  図−1 に有効吸水量と総有効細孔量の関係 を示した。図−1 により、単純に有効吸水量 と総有効細孔量を比較した場合、有効吸水 量:総有効細孔量=1:0.81 の関係があり、

これまで示した水銀圧入法により測定した総 有効細孔量とコンクリートの各種品質との関 係を、有効吸水量で検討することが可能であ ることがわかった。

細孔構造から圧縮強度を推定する技術は、

Ryshkewitch

をはじめ多くの研究者により

確立されてきたものである。

図−2 に有効吸水量と圧縮強度の自然対数 の関係を示した。表−1 に有効吸水量と圧縮 強度の自然対数に関する近似式を示した。細 孔量と強度との関係式σ

=A

×exp(−B×V) が、有効吸水量と圧縮強度の関係にも適用で きることを示している。式(4)は筆者らの 4.コンクリートの品質評価方法

4.1 圧縮強度の推定

表−1 有効吸水量と圧縮強度の自然対数表の近似式 

材齢 3日 7日 14日 28日 120日

近似式

σ=176×exp(-5.04V) σ=158×exp(-5.74V) σ=148×exp(-5.47V) σ=140×exp(-6.76V) σ=103×exp(-7.15V)

相関係数 -0.940 -1.000 -0.987 -0.989 -0.990

*σ:圧縮強度(MPa),V:有効吸水量(g/g)

(3)

0 50 100 150 200 250 300 350

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 総有効細孔量(cc/g)

1 1

1

1

1

1

1 1

3

3

3

3 3

3 3

3 7

7 7

7

7 7

7 7

28

28 28

28

28

28

28 28

□□

▲ ▲

◆◆◆

Y=1891×X2.34

開放面からの距離0〜1cm 近似式

R=0.985

近似式は中性化指数 0を除いて近似した

□ HPC(60%)

○ MPC(60%)

△ SCB(60%)

◇ FCB(60%)

■ OPC(80%)

● OPC(60%)

▲ OPC(40%)

◆ OPC(30%) 図中の数字は 乾燥開始材齢 を示す

図−4 水銀圧入法による総有効細孔量と中 性化指数の関係 

図−3 有効吸水量と水セメント比の関係 

E

S A G

60 80

C C

C C

E E

E

S S

S

A A

A

G G

G

20 40 100

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 有効吸水量(g/g)

吸水法

普通ポルトランドセメント

材齢 線 種 記号

3日 7日 14日 28日

120日

研究

3)

による、材齢

120

日までのコンクリー トの圧縮強度推定式(4)である。

0 50

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 100

150 200 250 300 350

有効吸水量(g/g)

□□

▲ ▲

◆◆

Y=983×X2.95 開放面からの距離0〜1cm 近似式

R=0.988 近似式は中性化指数 0を除いて近似した

□ HPC(60%)

○ MPC(60%)

△ SCB(60%)

◇ FCB(60%)

■ OPC(80%)

● OPC(60%)

▲ OPC(40%)

◆ OPC(30%) 図中の数字は 乾燥開始材齢 を示す

1 1

1

1

1

1

1 1

3

3

3

3 3

3 3

3 7

7 7

7

7 7

7 7

28

28 28

28

28

28

28 28

図−5 有効吸水量と中性化指数の関係 

(−19.10×ln(d)+197.74)×

σ=

d+1.29 exp(− 6.84Vd

)

(4)

ここに,σ:圧縮強度(MPa),d:材齢(日),

V:有効吸水量(g/g)

4.2 水セメント比の評価

 図−3 は有効吸水量と水セメント比の関係 を示したものである。どの材齢も有効吸水量 と水セメント比は直線で近似されている結果 となっており、近似式を示すと表−2 の通り となった。式(5)は、これらの近似式の傾 き及び切片に基づき、筆者らの研究

3)

により 提案された硬化コンクリートの水セメント比 推定式である。

4.3 中性化抵抗性

図−4 は、筆者らの既往の研究

5)

で示した 水銀圧入法による総有効細孔量と中性化指数 の関係である。図−5 は、図−1 で示した関 係を、図−4 を有効吸水量と中性化指数との 関係に直したものである。これにより、有効 吸水量から中性化の進行予測が可能である。

ここに,W/C :水セメント比(%),d:材齢(日),

V:有効吸水量(g/g)

W/C=

d+4.7 347.2d

V−5.3

(5)

表−2 有効吸水量と水セメント比の近似式 

材齢 3日 7日 14日 28日 120日

近似式 f(x)=143.5x-6.4 f(x)=209.0x-8.3 f(x)=244.6x-12.8 f(x)=303.7x-5.4 f(x)=337.1x+6.5

相関係数 0.965 0.979 0.993 0.988 0.999

(4)

B B B

J J J B

J

H H H

H

F F F

F

0 2 4 6 8 10 12 14

0.24 0.25 0.26 0.27 0.28 0.29 表層0〜1cmの総有効細孔量(cc/g)

■ 促進期間10サイクル

● 促進期間30サイクル

▲ 促進期間50サイクル

◆ 促進期間100サイクル

図−6 水銀圧入法による総有効細孔量  塩化物イオン量の関係 

人工海水浸透面からの距離0〜1cmの  塩化物イオン(kg/m3) 

B B

B

J J J B

J

H H H

H

F F F

F

0 2 4 6 8 10 12 14

0.3 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 表層0〜1cmの有効吸水量(g/g)

■ 促進期間10サイクル

● 促進期間30サイクル

▲ 促進期間50サイクル

◆ 促進期間100サイクル

図−7 有効吸水量と塩化物イオン量の 関係 

人工海水浸透面からの距離0〜1cmの  塩化物イオン(kg/m3) 

ここでいう中性化指数とは、次式によって 求められる中性化のしやすさを示している。

CF

= D

C

× P

f

/ P

10

      (6)

ここでは

CF

:中性化指数,P

10

:中性化深 さが

10mm

に達した時の促進期間(週),

DC

: 中性化深さ

10mm、または促進期間26

週で の中性化深さ(mm),P

f

:試験終了を予定し ている促進期間(26(週))を示している。

4.4 塩化物浸透抵抗性の評価 

 図−6 は、筆者らの既往の研究

6)

で示した 水銀圧入法による総有効細孔量と塩化物イオ ン量の関係である。図−7 は、図−1 で示し た関係を、図−6 を有効吸水量と塩化物イオ ン量との関係に直したものである。これによ り、有効吸水量から塩化物浸透速度の予測が 可能である。 

この結果は温度 20℃、湿度 60%の恒温恒湿 室において、試験体の片面について、人工海 水浸漬 6 時間、乾燥 18 時間を 1 サイクルとし た浸漬乾燥繰り返し実験を行ったもので、も う一方の面は試験実施中は常に温度 20℃、湿 度 60%の空気中に開放させる。有効吸水量が 0.33g/g 以下では、浸透速度に差が認められ ない。それ以上では、有効吸水量が多いほど、

塩化物イオン量の浸透が早期ほど早いことを 示している。 

 

5.おわりに 

 コンクリートの有効吸水量に基づいて、コ ンクリートの水セメント比、圧縮強度、中性 化抵抗性、塩化物浸透抵抗性を評価する方法 を提案した。コンクリートの微破壊試験方法 として、その有効性が期待できる。 

 

【参考文献】 

1)

吉野利幸、鎌田英治、桂 修、空隙指標で表したコ ンクリート強度式の提案とその検証、コンクリート 工学論文集、Vol.7、No.2、pp.65-77(1996)

2)

湯浅昇、笠井芳夫、松井勇、篠崎幸代、細孔構造に

よるコンクリート品質評価方法、コンクリートの試 験方法に関するシンポジウム報告集第

2

編、

pp.67-70(2003)

3) 吉野進也、湯浅昇、笠井芳夫、松井勇、有効吸水量 に基づく水セメント比,圧縮強度推定方法、日本建 築 学 会 学 術 講 演 梗 概 集 、

2004

年 度 大 会 、

pp.201-202(2004)

 

4)

湯浅昇、笠井芳夫、松井勇、構造体コンクリートの 表層から内部にいたる圧縮強度分布、セメント協会 セ メ ン ト ・ コ ン ク リ ー ト 論 文 集 、

No.51

pp.840-845(1997)

5) 湯浅昇、笠井芳夫、松井勇、表層コンクリートの中 性化抵抗性、第

25

回セメント・コンクリート研究 討論会論文報告集、pp.149-154(1998) 

6) 湯浅昇、表層コンクリートの品質に関する基礎

的研究、日本大学博士学位論文、(1998) 

参照

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