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非定常状態電気泳動試験による塩分浸透抵抗性の評価: セメント種類と養生の影響

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非定常状態電気泳動試験による塩分浸透抵抗性の評価

~セメント種類と養生の影響~

Evaluation for Penetration of Chloride ion by Non-steady-state Electrophoresis Test

- Effect on kinds of cement and curing conditions -

伊代田岳史

*

原沢蓉子

**

亀山敬宏

**

Takeshi Iyoda, Yoko Harasawa and Takahiro Kameyama

It is very important to predict penetration of chloride ion, when considering durability of deterioration by salt attacks. In this research, in order to calculate required diffusion coefficient, it use the non-steady-state electrophoresis test on standardized by NORDTEST for simplified test. It is discussed to compare with the difference of cement types. Furthermore it was calculated the diffusion coefficient in different curing condition and curing periods. It proposed the penetration depth of chloride ion using these data on influence area of curing condition. Since the non-steady-state electrophoresis test can be shorten testing time, it can eliminate the influence of re-hydration. For this reason, the influence of cement type, low W/C and curing can be dealt with the prediction of chloride penetration.

Keywords : Non-steady-state electrophoresis test, Diffusion coefficient, Blast furnace slag cement, curing, Prediction for penetration of chloride ion

1. はじめに

コンクリート構造物の塩害に対する照査において,フ ィックの拡散則に基づいて塩分浸透を予測し,鋼材腐食 の発錆限界を評価するには,塩化物イオン拡散係数の把 握が必要である。コンクリート標準示方書[1]では,拡散 係数を算出するための予測式および試験方法が提示され ている。実験から拡散係数を算出する方法としては,塩 水浸漬試験や電気泳動試験がある。これらの方法は,セ メント種類が限られる,試験期間が長期に渡るといった 特徴が挙げられる。さらには,従来の電気泳動試験は定 常状態での試験のため,実際の構造物中への塩化物イオ ン の 浸 透 と は 異 な る と 考 え ら れ る 。 一 方 で , NORDTESTでは所定の時間通電し,非定常状態の電気 泳 動 試 験 で 拡 散 係 数 を 算 出 す る 試 験 が 規 格 化 (NT BUILD 492)[2]されている。また,国内においても,塩 化 物 イ オ ン の 浸 透 速 度 よ り 拡 散 係 数 を 算 出 す る 方 法 [3][4](以下,土研法と記す)が提案されている。これらの 方法は,従来の定常状態の電気泳動試験と比較すると試 験期間が短く,かつ省力化された試験方法である。 そこでまず本研究では,従来の電気泳動試験と同じ電 気泳動試験装置を用いて非定常状態電気泳動試験を行い, セメント種類および通電時間が,NT BUILD 492の算出 式より求められる拡散係数に及ぼす影響について把握す ることを目的とした。種々のセメントに対するこれらの 算出式の適用性および,より短時間での通電が拡散係数 算出に適用可能か検討した。その結果をもとに,従来の 方法では算出が困難である塩分遮蔽性の高い高置換高炉 セメントを用いたコンクリートへの適用を試みた。 一方で,塩害の進行には使用材料や配合,環境条件, 施工上の要因が複雑に影響している。塩害の進行を把握 する上で,養生の相違によるコンクリート中の塩化物イ オン浸透の把握は重要である。青山[5]らは異なった養生 を施したコンクリートに海水環境を模擬した塩水浸漬試 験により塩分浸透深さの把握を行った。結果として長期 において気中養生したものに比べ,水中養生したものの 塩分浸透深さが大きくなり,養生方法の違いを明確にで きなかった。これは試験期間が長期間に及ぶため未水和 セメントが塩水と反応して再水和し,空隙が緻密化する ことで塩分浸透が抑制された可能性が考えられる。そこ で,未水和セメントの再水和の影響をできるだけ排除す べく,前述した非定常状態での電気泳動試験により,養 生条件やその期間の相違による塩分浸透について評価し た。 73 芝浦工大研究報告理工系 58-2 73-80(2014)

(2)

2. 非定常状態電気泳動試験

2.1 非定常状態電気泳動試験方法

試験は従来の電気泳動試験と同じ装置を用い,試験体 は前処理として飽和水酸化カルシウムを用いて真空飽水 処理をした。その後,陽極側にNaOH水溶液(0.3N), 陽極側にNaCl水溶液(3%)をそれぞれ注入し,印加電 圧は30Vと一定とした。通電時間の設定には,コンクリ ート技術シリーズ[4]に通電時間と塩化物イオン浸透深さ との間には明確な線形性が認められ,通電時のコンクリ ート中での塩化物イオンの浸透速度は一定であると記載 されているため,塩化物イオンが供試体を全通過する前 6点の時間を測定時間と設定した。設定した通電時間に 到達した時点で供試体を電気泳動装置から取り出し割裂 した。割裂後,割裂面に硝酸銀溶液(0.1N)を噴霧し, 白色に呈色した部分の両側10mmを除いた部分を10mmご とに7点測定し,その平均値を塩化物イオン浸透深さと した。両側10mm付近は試験体の設置による誤差を避け 試験精度を向上させるために測定範囲から除いた。

2.2 拡散係数の算出方法

得られた浸透深さをもとにNT BUILD 492 の式(1) [2] り拡散係数を算出した。以下にそれぞれの拡散係数算出 式を示す。NT BUILD 492 では,呈色部分における塩化 物イオン濃度 Cd≈0.07N(以下,Cd)は,N(普通ポルトラ ンドセメント)を使用した場合とされており,セメント 種類が限定されている。本研究ではこの Cd 値を他のセ メントにもあてはめて拡散係数を算出し,N 以外のセメ ントにもNT BUILD 492 により拡散係数が算出できるか を検討した。 (1) (2) (3) ただし,Dnssm:拡散係数(m2/s),z:価数 z=1, F:ファラデー定数 F=9.648×104(J/(V• mol)), R:気体定数 R=8.314(J/(K• mol)), T:絶対温度(K),U:印加電圧(V), L:試験体厚さ(mm),Xd:浸透深さ(m), t:試験時間(s), Cd:呈色領域の塩化物イオン濃度 ≈0.07(N), C0:陰極側溶液の塩化物イオン濃度 ≈2(N), erf-1:誤差関数1 使用したコンクリートの計画配合 Table 1. Mix proportions on different kinds of cement

N H L BA BB BC FB 0 10 20 30 40 50 0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 Pe ne tr at io n Dep th o f C hl or id e io n (m m ) Energized Period (hr)1 通電時間と塩分浸透深さの関係 Fig.1. Relationship between Energized period and

penetration depth of Chloride ion

3. セメント種類の影響評価

3.1 試験体の概要

ここではまず非定常状態電気泳動試験の妥当性を検討 するために,水セメント比,単位水量を一定とした,異 なったセメントを用いたコンクリートを対象とした。試 験体配合を表1に示す。用いたセメントは普通ポルトラ ンドセメント(N),早強ポルトランドセメント(H),低熱 ポルトランドセメント(L),普通ポルトランドセメント に高炉スラグ微粉末を30%,40%,70%置換して試製し た高炉セメントA,B,C種相当(BA,BB,BC),フライ アッシュを20%置換したフライアッシュセメントB種相(FB)とした。また,骨材には千葉県君津産・陸砂(記 号:S,密度2.61g/cm3)および,埼玉県秩父産・砕石 (記号:G,密度2.72g/cm3)を用いた。コンクリートを φ100×200mmの円柱型枠に打込み,翌日に脱型を行い, 材 齢28日まで水中養生した。養生終了後,中央部の 100mmを二分割に切り出し,φ100×50mmを試験体とし て使用した。

3.2 実験結果

セメント種類ごとの各通電時間と塩化物イオン浸透深 セメン ト種類(%)W⊘C(%)s⊘a 単位量(kg⊘m 3 SL (cm)(%)Ar W C BFS FA S G N 55 48 172 313 - - 869 968 14.5 5.8 H 313 - - 869 967 14.5 4.5 L 313 - - 872 971 13.5 6.0 BA 219 94 - 866 963 9.0 4.3 BB 188 125 - 868 965 13.0 3.7 BC 50 92 219 - 903 927 10.0 3.6 FB 250 - 63 896 919 16.5 4.0 D RT zFE X t X nssm= ⋅ d−α d E U L = − 2 α = ⋅  −   − 2 1 1 2 0 RT zFE erf CCd 74 伊代田岳史・原沢 蓉子・亀山 敬宏

(3)

さの関係[6]を図1に示す。セメント種類によらず,通電 時間が長くなるほど浸透深さは大きくなった。同一通電 時間での浸透深さは,L,FB,N,H,BA,BB,BCの 順に大きい。NとHに関しては,どの通電時間において もほぼ同程度の浸透深さとなった。LとFBはそれぞれ18 時間,36時間までの通電を終了した時点で,割裂面に硝 酸銀溶液を噴霧すると割裂面全体が白色に呈色したため, 浸透深さはそれぞれ12時間,24時間通電した試験体まで を測定した。LおよびFBは水和の進行が遅いため,28日 水中養生後でも浸透深さが大きくなったと考えられる。 他のセメントでは,通電36時間の時点においても白色に 呈色した部分は50mmに達しなかった。

3.3 拡散係数の算出

NT BUILD 492ではNのみに限定されていたCd≈0.07Nを N以外のセメントにも適用して検討しその妥当性を調査 した。NT BUILD 492よりそれぞれの通電時間時の浸透 深さを用いて算出した拡散係数をセメント種類ごとに算 出した結果を図2に示す。FBは通電時間24時間までの拡 散係数のみ算出した。いずれのセメントでも,通電時間 18時間までは通電時間が長くなるほど拡散係数は小さく なり,その後は概ね横ばいになる傾向が示された。また, いずれのセメントも通電時間の経過に伴い浸透深さが増 加する傾向にあるのに対し,浸透深さから算出した拡散 係数は,ある一定の時間までは通電時間が長くなるほど 低下した。電圧をかけていても拡散係数が低下したのは, 塩分固定化や空隙構造の緻密化による影響が考えられる が,今後検討をする必要がある。

3.4 妥当性について

以上の結果よりセメントの種類が異なった場合におい ても,非定常状態電気泳動法により塩分遮蔽性を評価す ることが可能であり,それぞれにおいて拡散係数を算出 することができることが明らかとなった。ここで,従来 の試験方法では,拡散係数の算出が困難であると考えら れる高置換率の高炉セメントに対して,非定常状態電気 泳 動 試 験 が 適 用 可 能 か ど う か を 検 討 す る 。 図3にNT BUILD 492より算出した拡散係数と高炉スラグ微粉末の 置換率の関係を示す。高炉スラグ微粉末の置換率は0, 30,40,70%とした。通電時間によって多少のばらつき は生じたものの,通電時間が長くなるほど拡散係数は収 束し,通電時間が18時間以上になると傾きと切片はほぼ 同程度となった。これより高置換高炉セメントに対して も非定常状態電気泳動試験で18時間以上の通電を行うこ 0.0E+00 5.0E-12 1.0E-11 1.5E-11 2.0E-11 2.5E-11 3.0E-11 3.5E-11 0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 Di ffu si on C oe ff ic ie nt Dns sm (㎡ /s ) Energized Period (hr) N H BA BB BC FB 図2 各種セメントの通電時間毎の拡散係数算出結果 Fig.2. Results of Diffusion coefficient from each energized

period on different kinds of cement

0 5E-12 1E-11 1.5E-11 2E-11 2.5E-11 0 20 40 60 80 Di ffu si on co ef fic ie nt Dns sm (m 2/s ) Replacement of BFS (%) 6hrs 18hrs 24hrs 36hrs3 高炉スラグ微粉末の混入率と拡散係数の関係 Fig.3. CalculatedDiffusion coefficient depends on

replacement of GGBFS とにより,拡散係数の算出が可能であることが示唆され た。

4. 養生の影響評価試験

4.1 試験体の概要

3章においてセメントの種類が異なっても非定常状態 電気泳動試験が適用可能であることを受け,ここでは養 生の影響を評価可能か整理することとする。使用したセ メントは前述した普通ポルトランドセメントと高炉セメ ントB種の二種類とした。なお使用した骨材等は3.1と同 様である。また,水セメント比を30%と60%の二種類設 定し,表2のような配合のコンクリートを用いた。なお, 配合の区別のためセメント種とW/Cを合わせてN30のよ うに表記する。 一般には電気泳動試験に用いる供試体3.1のようにφ100mm×200mmの円柱供試体をコンク リートカッター等で厚さ50mmずつにカットし,中央の 75 非定常状態電気泳動試験による塩分浸透抵抗性の評価 ~セメント種類と養生の影響~

(4)

2 使用したコンクリートの計画配合 Table 2. Mix proportion for effect of curing conditions

W OPC BFS S G Slump (cm) Air (%) Temp. (℃) N 550 804 838 8.5 4.5 25.2 BB 275 275 794 828 11.5 3.8 23.2 N 292 897 935 9.5 4.8 25.5 BB 146 146 892 930 11 4.9 25.8 Cement type Fresh concrete 30 60 165 175 W/C (%) Unit weight(kg/m3 s/a (%) 50 φ100mm×50mmの部分を用いる。しかし,既往の研究 [7]から乾燥の影響は表層から30mm程度しか受けないこ とを考慮し,養生後にカットして試験体を作製するこの 方法では乾燥の影響を全断面で受けず養生の影響を評価 できないものと考えられる。そこで図4のようにあらか じめ供試体をφ100mm×50mmで作製することで,乾燥 の影響を受けやすくするようにした。養生条件は表3に 示すように,打設後一日で脱型をし,材齢28日まで気中20℃,RH60%),封緘(型枠存置),水中養生した。 これに加え,脱型日を3,5,7日としそれまで封緘養生 し,その後,材齢28日まで気中養生したものについても 検討した。このように内部の空隙構造の違いや水和条が ことなる試験体を作製し実験を行った。 また一般的に塩分浸透を評価するための試験として実 施される塩水浸漬試験をあわせて実施した。50×100× 400mmの角柱を作製し,電気泳動試験に用いた供試体同 様に乾燥の影響を受けやすくした。養生し終えた供試体 を,アルミテープとシーリング材を用いて打設面を含む 4面と側面の片側をシールし,1面開放とした。その後, 濃度3.0%の塩水に浸漬させ,所定の期間において供試体 を割裂し,硝酸銀溶液(0.1N)を噴霧し,白色に呈色し た部分を10mmごとに9点測定し,その平均値を塩化物イ オン浸透深さと定義した。

4.2 非定常電気泳動試験の実験結果

(1)養生方法と塩化物イオン浸透深さの関係 N60とBB60の塩化物イオン浸透深さの測定結果を養生 別に図5に示す。Nは実線,BBは破線で表した。N,BB ともに気中,封緘,水中の順に浸透深さは大きくなった。 しかし,気中養生に関しては,N,BBに差が無いことか ら養生を十分に行わなければ,高炉セメントを使用して も塩分遮蔽性は得られないことが分かる。一方で,気中 養生と比較して封緘養生,水中養生を行うことで塩化物 イオン浸透深さが小さくなっていることから,養生を施 すと高炉セメントの特徴である塩分遮蔽性を得ることが できる。そこで図6に塩化物イオン深さ30mmに浸透する 4 作製した試験体

Fig.4. Specimens for effect of curing conditions 表3 コンクリートの養生方法

Table 3. Curing methods

1

3

5

7

・・・

28

Dry

Seal-3

Seal-5

Seal-7

Sealed

Water

Water condition

condition

Sealed (not removed)

Drying condition (20℃, RH60%)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0 5 10 15 20 25 30 C hl or id e pe ne tra tio n de pt h (m m ) Energized period(hr) N60-Dry BB60-Dry N60-Seald BB60-Sealed N60-water BB60-water W/C60 図5 養生の異なる塩分浸透深さの結果(N60,BB60) Fig.5. Results of penetration depth of chloride ion on

different curing conditions (N60,BB60)

0 5 10 15 20 25 30 35

Dry Sealed water Dry Sealed water

N60 BB60 Energiz ed time(hr) Reaching time at 30㎜ depth 図6 塩分浸透深さ30mmに到達時の通電時間 Fig.6 . Energized period on reached 30mm penetration depth

of chloride ion

(5)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 C hl or id e pe ne tra tio n D ep th (m m ) Energized period (hr) N30-Dry BB30-Dry N30-sealed BB30-Sealed N30-water BB30-water W/C30 図7 養生の異なる塩分浸透深さの結果(N30,BB30) Fig.7. Results of penetration depth of chloride ion on

different curing conditions (N30,BB30)

までの通電時間の関係を示す。各養生方法でNよりも BBの方が通電時間を要していることから,塩化物イオ ンが浸透しにくいことが分かる。この要因としては,N よりもBBの方が緻密になる[8]こと,高炉セメントの高い 塩分固定化能力によるもの[9]であると考えられる。次に N30とBB30の塩化物イオン浸透深さの関係を図7に示す。 水セメント比60%同様に,N,BBともに気中,封緘,水 中の順に浸透深さは大きくなり,BBにおける塩化物イ オンが浸透しにくいことも同様である。しかし,水セメ ント比60%のBBは十分な養生をすることにより塩分遮 蔽性が高くなっていたが,低水セメント比である30%で は養生の有無によらず浸透深さの変化は小さいことが示 された。さらに,封緘養生と水中養生の浸透深さが同程 度であるという結果が得られた。これは水和反応の進行 によるものではなく,元々低水セメント比のコンクリー トは水の量が少なく,水和反応で結合水が消失したこと により形成される空隙が少ないため高い物質移動抵抗性 を保持し,このような結果になったと考えられる。 (2) 養生期間と塩分浸透深さの関係 通電時間15時間時のN60,BB60の養生期間の違いによ る塩化物イオン浸透深さを図8に示す。概ねN,BBとも に封緘養生の期間が増加すると浸透深さが小さくなる傾 向を示した。しかし,Nは封緘養生の期間が増加するこ とによる浸透深さの違いは小さいが,BBは浸透深さの 違いが顕著に表れている。このことから,BBにおいて は養生期間を延ばすことにより,コンクリートの塩分遮 蔽性が向上することが示唆された。よって,実現場にお いても養生を延ばすことは重要であるといえる。 通電時間48時間時のN30,BB30の養生期間の違いによ 0 10 20 30 40 50

Seal-3 Seal-5 Seal-7 Seled Seal-3 Seal-5 Seal-7 Seled

N60 BB60 C hl or id e pe ne tra tio n de pt h (㎜ ) 15 hrs8 通電15時間時の養生期間の相違が塩分浸透深さに 与える影響

Fig.8. Penetration depth on chloride ion at energized period 15 hours 0 5 10 15 20 25 30

Seal-3 Seal-5 Seal-7 Seled Seal-3 Seal-5 Seal-7 Seled

N30 BB30 C hl or id e pe ne tra tio n de pt h (㎜ ) 48 hrs 図9 通電48時間時の養生期間の相違が塩分浸透深さに 与える影響

Fig.9. Penetration depth on chloride ion at energized period 48 hours る塩化物イオン浸透深さを図9に示す。N30に関しては ほぼ養生期間による浸透深さの違いは見られなかった。 同様にBBにおいても養生期間の違いによる浸透深さの 違いがあまり見られなく,Nと同様な結果が得られた。 この結果から,低水セメント比の場合,セメント種類に よる浸透深さの違いは見られるが,養生期間の違いによ る影響は小さいと考えられる。このように養生の影響は W/Cにより大きく変化するといえる。 (3) 拡散係数の比較 図10はW/C60%のコンクリートにおける通電時間48時 間時点でのNT BUILD 492を用いて算出した拡散係数の 結果を示したものである。この結果より養生期間が長く なるほど拡散係数は小さくなっていることが分かる。た だし,Nにおいては,養生3,5,7日における差は大き くないが,BBでは養生日数の増加とともに著しい拡散 77 非定常状態電気泳動試験による塩分浸透抵抗性の評価 ~セメント種類と養生の影響~

(6)

0.0E+00 1.0E-11 2.0E-11 3.0E-11 4.0E-11 5.0E-11 6.0E-11 7.0E-11 8.0E-11 9.0E-11 1.0E-10 0 7 14 21 28 Diffusi on coe ffi ci en t (m 2/s)

Curing period (days)

N60_D BB60_D N60_S BB60_S

10 48時間時点での拡散係数の算出結果(N60) Fig.10. Calculated diffusion coefficient at 48 Energized

period (N60) 0 5 10 15 20 25 0 1 2 3 4 5 6 Chlo ride penetr ati on d epth (mm)

penetration periods (week)

N60-Dry BB60-Dry

N60-Sealed BB60-Sealed N60-water BB60-water

W/C60

11 塩水浸漬試験の結果

Fig.11. Results of immigrated chloride ion test 係数の減少が認められる。このことからも,BBは養生 に非常に敏感であり,養生を行えば塩分遮蔽性が向上す るのに対し,怠ると著しく低下することが分かる。

4.3 塩水浸漬試験との相関

塩水浸漬試験の結果を図11に示す。N,BBともに電気 泳動試験結果と同様に,概ね気中,封緘,水中の順に浸 透深さが大きくなった。封緘養生に着目すると,BBに おいては水中養生と同程度の浸透深さであり一方,Nに おいては気中養生と同程度であり,セメント種類に対し て封緘養生の影響が異なることが示された。このような 傾向が得られたことに対して考えられることは,供試体 内部の水分量の違いによるものがある。小池ら[10]による と放水状態より絶乾状態の方が,塩分浸透深さが供試体 の深部まで到達すると報告されている。これは水の浸透 とともに塩化物イオンも浸透していることになる。さら に,NとBBの結合水量の違いを考慮すると,BBの封緘 養生よりNの方が水和進行しているため,内部の含水率 0 5 10 15 20

Seal-3 Seal-5 Seal-7 Sealed Seal-3 Seal-5 Seal-7 Sealed penetration at 1 week penetration at 6 weeks

Pe ne tra tio n de pt h (㎜ )

N60

12 養生期間の違いが塩分浸透深さに与える影響 (N60)

Fig.12. Effect of penetration depth of chloride ion on immigrated test for different curing periods (N60)

0 5 10 15 20

Seal-3 Seal-5 Seal-7 Sealed Seal-3 Seal-5 Seal-7 Sealed penetration at 1 week penetration at 6 weeks

Pe net ra tio n de pt h (㎜ )

BB60

13 養生期間の違いが塩分浸透深さに与える影響 (BB60)

Fig.13. Effect of penetration depth of chloride ion on immigrated test for different curing periods (BB60) が低いと考えられ,浸漬させたことで内部に多く水分 を供給し,それと同時に塩化物イオンの浸透も起こり, このような結果になったのではないかと考えられる。 水セメント比60%における養生期間の違いによる塩化 物イオン浸透深さを図12,13に示す。Nは浸漬初期で養生 期間の違いにおける浸透深さの変化が見られる。しかし, 浸漬長期においては浸透深さに違いが見られないという 結果が得られた。一方,BBでは浸漬初期,長期におい ても養生期間の違いによる浸透深さの違いが見られた。 このことより電気泳動試験の結果同様に,NよりBBの方 が養生の影響を受けることが示された。

4.4 非定常電気泳動試験の養生判定への適用

非定常状態電気泳動試験と塩水浸漬試験を比較すると 概ね養生方法の違いや期間による違いに同様な傾向があ ったため,塩分浸透を把握することは可能であると考え られる。さらに,電気泳動試験では試験期間が短いため 78 伊代田岳史・原沢 蓉子・亀山 敬宏

(7)

R² = 0.9553 0 5 10 15 20 0 5 10 15 20 Pe ne tra tio n de pt h at e ne rg iz ed 3 h rs (㎜ )

Penetration depth at 1week (㎜)

14 11 6 16 6 4 N60-Dry N60-Sealed N60-water BB60-Dry BB60-Sealed 図14 浸漬試験における1週の浸透深さと非定常試験の 通電3時間での浸透深さの関係

Fig.14. Relationship between penetration depths on immigrated test at 1 week and it on Non-steady-state

electrophoresis test at 3 hours

su rfa ce

Curing

su rfa ce

Lack of curing

水和反応が 滞っている領域 Hydration will stop by

evaporating water

15 養生の影響範囲の模式図 Fig.15. Model of effective area for curing 未水和セメントの影響を低減することができ,養生の影 響を正しく把握できたと考えられる。 図11から浸漬初期とその後では,塩化物イオンの浸透 速度が異なっている。これはコンクリートの表層付近は 養生が不十分になり,内部との養生度合いが異なるため, 空隙構造等がことなると考えられる。そこで,浸漬初期 では急激に塩分が浸透し,その後は緩やかに浸透したも のだと考えられる。これを踏まえ,塩水浸漬試験の浸漬 1週目までの浸透深さと非定常状態電気泳動試験の通電 時間3時間までの浸透深さとの関係を図14に示す。これ より電気泳動試験で得られた結果と塩水浸漬試験初期で 得られた結果に相関性が認められた。このことから,電 気泳動試験によって得られる結果はコンクリートの表層 付近の塩化物イオンの浸透を評価していると考えられる。

5. 養生条件と塩分浸透に関する考え方

15は養生における乾燥の影響範囲を模式的に表した ものである。養生が不足すると,水和に必要な水分がコ ンクリート表層から逸散してしまうことから,十分な水 和反応が継続できず,粗な空隙を残存してしまう[11]こと N:y = 7.3271x BB:y = 12.54x 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 0.5 1 D iff us io n co ef fic ie nt b y N T_ Dk (c m 2/s )

Diffusion coefficient by JSCE_ Dk (cm2/s) N BB

16 示方書から求めた拡散係数と非定常電気泳動試験 から求めた拡散係数の比較

Fig.16. Compared Diffusion coefficient from JSCE standard and non-steady-state electrophoresis test

0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 10 20 30 40 50 De pt h fr om su rf ac e on re ac he d lim ite d co nt en ts o f ch lo rid e io n fo r c or ro sio n (m m ) Periods (years) Using D from Drying condition Using D from water condition

using change D from Dry and water at 30mm

17 塩分浸透の予測(養生影響加味) Fig.17. Estimated penetration depth of chloride ion

considering effect of curing area

となる。そのような状況では,4章で述べたように拡散 係数が比較的大きな状態となることが推測される。しか しながら,その影響範囲は表層から大きくても30mm程 度であることから,30mm以深では養生を施されたコン クリートの拡散係数を保有することとなる。飛来塩分等 により塩化物イオンが浸透する場合には,養生不足であ る場合,極表層コンクリートは大きな拡散係数をもつた めに早期に塩化物イオンが浸透する恐れが考えられ,水 セメント比に応じた拡散係数を一様に与える現状では, 塩分浸透速度を危険側に見積もる可能性がある。そのた め表層部における拡散係数を養生の影響を考慮した設定 とすることが必要であると考える。 ここで,4.2(3)で得られている拡散係数と示方書の算 出式から得られる拡散係数を比較した結果を図16に示す。 これより,数値は異なるものの一定の関係にあると考え られたため,養生の異なる条件における非定常状態電気 79 非定常状態電気泳動試験による塩分浸透抵抗性の評価 ~セメント種類と養生の影響~

(8)

泳動試験から得られた拡散係数を示方書の拡散係数に換 算した。その換算した拡散係数を用いて,養生条件を考 慮した塩分浸透予測を試みた。図17は養生の影響範囲を 30mmと仮定し,30mmまでは気中養生の拡散係数を, 30mm以深では水中養生の拡散係数を設定し,経時によ る塩分浸透を予測した結果の一例である。このように養 生の影響部を塩分浸透予測に取り込めれば,より正確な 鉄筋腐食等を予測できると考えられる。

6. むすび

本研究により得られた成果を以下にまとめる。 1) 非定常状態電気泳動試験において通電時間を変化さ せて試験を行った結果,いずれのセメント種類にお いても,通電時間が長くなるほど塩化物イオン浸透 深さは大きくなった。 2) NT BUILD 492より通電時間ごとに算出した拡散係 数は,いずれのセメントにおいても18時間までは通 電時間が長くなるほど低下し,次第に一定となる傾 向がみられた。そのため,非定常状態電気泳動試験 において18時間以上の通電をすることで拡散係数を 算出することができる。 3) 高置換率の高炉セメントに対して,NT BUILD492よ り通電時間ごとに算出した拡散係数は,いずれの通 電時間においても,高炉スラグ微粉末の置換率と相 関関係にある。したがって,高置換高炉セメントに おいて,非定常状態電気泳動試験より拡散係数の算 出が可能であることが示唆された。 4) 非定常状態電気泳動試験からは,気中,封緘,水中 の順に塩化物イオン浸透深さは大きくなるという結 果より再水和の影響を排除できたと考えられる。ま た,NよりもBBの方が浸透しにくい結果が得られた。 5) 養生期間の違いによる塩化物イオン浸透深さの検討 から,高水セメント比においてはNよりBBの方が養 生の影響を受けやすく浸透深さに変化が見られた。 Nは封緘養生3日以降になると塩化物イオンに対す る抵抗性に変化はみられず,BBは養生期間が長い ほど塩化物イオンに対する抵抗性は向上した。一方, 低水セメント比においては養生期間による変化は小 さく,養生の影響は少ないと考えられる。 6) 非定常状態電気泳動法により求めた拡散係数を用い ることで,養生の影響を受けた領域を考慮した塩分 浸透予測が可能となることが示唆できた。 なお,本論文は,筆者らがまとめた研究[6]ならびにセ メントコンクリート論文集2014に投稿中の研究を補足整 理した内容である。

参考文献

[1] 土木学会:コンクリート標準示方書[設計編](2012) [2] Nordtest NT BUILD 492、 “Chloride Migration Coefficient

from Non-steady State Migration Experiment”、 Nordtest、 Finland(1999) [3] 渡辺豊, 河野広隆, 渡辺博志:コンクリートの急速塩分浸透 性試験による塩化物イオン拡散係数の算定について、コン クリート工学年次論文集、Vol. 24、No.1、 pp. 663-668 (2002) [4] 土木学会:コンクリートの塩化物イオン拡散係数試験方法 の制定と規準化が望まれる試験方法の動向、コンクリート 技術シリーズ55(2003) [5] 青山和樹、豊村恵理、伊代田岳史:養生方法および期間の 相違が塩分浸透に及ぼす影響、第39 回土木学会関東支部技 術研究発表会、V-7(2012) [6] 原沢蓉子、細川佳史、伊代田岳史:通電時間およびセメン ト種類が非定常状態電気泳動試験の拡散係数に与える影響、 コンクリート構造物の補修、補強、アップグレード論文報 告集、第13 巻、pp27-32(2013) [7] 伊代田岳史、松﨑晋一朗、井ノ口公寛、歌川紀之:養生と その後の環境による内部湿度の相違が乾燥収縮に与える影 響 、 コ ン ク リ ー ト 工 学 年 次 論 文 集 Vol.32、 CD-ROM、 pp.111-116(2010) [8] 檀康弘、伊代田岳史、大塚勇介、佐川康貴、濱田秀則:高 炉スラグ微粉末を混入したコンクリートの養生条件と耐久 性の関係、土木学会論文集、E Vol.65、No.4、pp431-441 (2009) [9] 松崎晋一郎、伊代田岳史:高炉スラグ微粉末の置換率およ び水結合材比が塩化物イオンの拡散性状に与える影響、第 66 回土木学会年次学術講演会、V-216、pp431-432(2011) [10] 小池賢太郎、中田拓磨、山口明伸、武若耕司:モルタルの 含水状態と水分移動が塩分浸透特性に与える影響、土木学 会年次学術講演会、V-130(2012) [11] 伊代田岳史、魚本健人:若材齢時の水分履歴がセメント硬 化体の内部組織構造形成と物理特性に及ぼす影響、コンク リート工学論文集Vol.15、No.2、pp. 25-34(2004) (2014 年 9 月 30 日受付) 80 伊代田岳史・原沢 蓉子・亀山 敬宏

図 1 通電時間と塩分浸透深さの関係 Fig.1. Relationship between Energized period and
表 2   使用したコンクリートの計画配合 Table 2.    Mix proportion for effect of curing conditions
図 9 通電 48 時間時の養生期間の相違が塩分浸透深さに 与える影響
図 11 塩水浸漬試験の結果
+2

参照

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