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細胞追跡によるアフリカツメガエル胚の調節的発生 の解析

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Academic year: 2022

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(1)細胞追跡によるアフリカツメガエル胚の調節的発生 の解析 著者 ファイル(説明) 学位授与番号 URL. 古賀 正明 学位論文の要旨 学位論文本文 17701乙理工論第64号 http://hdl.handle.net/10232/17137.

(2) 鹿児島大学大学院理工学研究科. 博士学位論文. 細胞追跡によるアフリカツメガエル胚の 調節的発生の解析. (Clonal analyses on the regulative development of Xenopus embryos). 2012 年 12 月. 古賀. 正明.

(3) 目次 第 1 章. 序 論 ................................................................................. 4. 本 研 究 の 概 要 .............................................................................. 7 第 2 章 2-1. 材 料 お よ び 方 法 ................................................................. 9 胚 操 作 ................................................................................ 9. 2-1-1. 受 精 卵 の 獲 得 、 胚 の 選 抜 と 滅 菌 ....................................... 9. 2-2-2. 割 球 の 単 離 、 除 去 と 移 植 お よ び 細 胞 系 譜 ト レ ー サ ー の 注 入 10. 2-2. 組 織 学 .............................................................................. 12. 2-2-1. 胚 お よ び 組 織 の 固 定 ..................................................... 12. 2-2-2. 組 織 切 片 の 作 成 ........................................................... 12. 2-2-3. キ ナ ク リ ン 染 色 ........................................................... 13. 2-2-4. 可 視 化 ........................................................................ 13. 2-3. 追 跡 細 胞 の 解 析 ................................................................. 14. 2-3-1. 右 半 胚 に お け る ク ロ ー ン 分 布 の 解 析 .............................. 14. 2-3-2. 動 物 極 背 側 欠 損 胚 外 胚 葉 に お け る ク ロ ー ン 分 布 の 解 析 ..... 14. 2-4. 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン と 細 胞 追 跡 を 組 み 合 わ せ. た 全 胚 三 重 染 色 ......................................................................... 15 2-4-1. RN A プ ロ ー ブ の 作 成 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 5. 2-4-2. 全 胚 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 6. 2-4-3. 二 重 染 色 の 固 定 と 胚 の 洗 浄 ........................................... 17. 2-4-4. 細 胞 系 譜 ト レ ー サ ー の 免 疫 染 色 ..................................... 17. 2-4-5. 野 生 型 胚 の 色 素 の 漂 白 ................................................. 18. 2-4-6. 胚 の 透 明 化 ................................................................. 18. 2-5. Xen opu s 無 細 胞 系 の 加 圧 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 8. 2-5-1. 卵 抽 出 液 と 精 子 核 の 調 整 .............................................. 18 1.

(4) 2-5-2. 加 圧 処 理 .................................................................... 18. 2-5-3. 核 の 形 態 調 査 .............................................................. 19. 2-5-4. DNA 複 製 の 測 定 ......................................................... 19. 第 3 章 3-1. 背 腹 軸 形 成 を 乱 し た 胚 に お け る 細 胞 追 跡 ............................ 21 4 細 胞 期 右 半 胚 に お け る 割 球 運 命 の 変 更 ............................... 21. 3-1-1. 各右割球クローンは外胚葉の両側を正常胚におけるものと. 類 似 の 背 腹 お よ び 頭 尾 パ タ ー ン で 占 め る ................................... 22 3-1-2. 背 側 内 中 胚 葉 の 前 方 部 分 は 排 他 的 に 背 側 割 球 に 起 源 す る .. 23. 3-1-3. 腹 側 割 球 子 孫 は 、 三 胚 葉 全 て で 腹 側 組 織 の 多 く を 作 る ..... 25. 3-1-4. 尾 芽 胚 各 組 織 に お け る ク ロ ー ン 分 布 の 変 更 ................... 27. 3-2. 8 細胞期背側割球の隣に腹側割球を移植した胚での腹側割球子. 孫 の 運 命 変 更 ............................................................................ 33 第 4 章. 細 胞 間 相 互 作 用 と 頭 尾 軸 に 沿 っ た 遺 伝 子 発 現 パ タ ー ン の 調 節 37. 第 5 章. 細 胞 追 跡 に よ る 外 胚 葉 形 成 の 調 節 の 解 析 ............................ 39. 5-1. 失 わ れ た 予 定 中 枢 神 経 系 は 動 物 極 腹 側 割 球 に よ り 補 償 さ れ る .. 41. 5-2. 表 皮 の ク ロ ー ナ ル ド メ イ ン は 正 常 胚 に お け る も の に 似 る ........ 43. 第 6 章. 細 胞 追 跡 に 関 す る 新 し い 方 法 の 確 立 ................................... 45. 6-1. 細 胞 マ ー カ ー と し て の ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル 雑 種 胚 の 利 用 ........ 46. 6-2. 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン と 細 胞 追 跡 を 組 み 合 わ せ. た 全 胚 三 重 染 色 ......................................................................... 46 6-2-1. 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン の た め の 適 切 な 条 件 4 8. 6-2-2. 二 重 染 色 の 固 定 と 胚 の 洗 浄 ........................................... 49. 6-2-3. 三 重 染 色 の た め の 発 色 基 質 の 順 序 .................................. 50. 6-2-4. 胚 の 漂 白 .................................................................... 52. 6-2-5. 分 割 し た 胚 に お け る 三 重 染 色 ........................................ 53 2.

(5) 第 7 章. 加 圧 に よ る Xen opu s 無 細 胞 系 で の 細 胞 周 期 制 御 機 構 の 解 析 . 5 4. 第 8 章. 総 合 考 察 ......................................................................... 56. 8-1. 背 腹 軸 の 決 定 と 調 節 ........................................................... 56. 8-1-1. 前 方 内 中 胚 葉 は 高 い 自 律 分 化 能 を 示 す ........................... 58. 8-1-2. G RP を 含 む 後 方 内 中 胚 葉 に お け る 腹 側 割 球 子 孫 の 背 側 化 . 6 0. 8-1-3. 背 側 割 球 子 孫 の 腹 側 化 ................................................. 62. 8-1-4. 右 半 胚 で の 背 腹 中 心 線 の 変 更 と 左 側 の 補 償 ..................... 64. 8-1-5. 右 半 胚 に お け る 細 胞 追 跡 デ ー タ の 信 頼 性 ........................ 64. 8-2. 細胞間相互作用は背側中胚葉の頭尾軸に沿ったパターンを生み. 出 す ........................................................................................ 66 8-3. 予定中枢神経系欠損胚の外胚葉は予定表皮割球クローンの領域. 拡 大 に よ り 作 ら れ る .................................................................. 67 8-4. 割 球 操 作 と ク ロ ー ン 分 布 の 変 異 ........................................... 71. 8-5 新 た な 細 胞 追 跡 法 の 開 発 ...................................................... 72 8-5-1. 細 胞 マ ー カ ー と し て の ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル 雑 種 胚 ........... 72. 8-5-2. 細 胞 追 跡 と 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン を 組 み 合 わ. せ た 全 胚 三 重 染 色 法 ............................................................... 73 8 - 6 加 圧 は Xen opu s 無 細 胞 系 で の 細 胞 周 期 制 御 を 乱 す . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7 5 謝 辞 ............................................................................................ 77 参 考 文 献 ..................................................................................... 78 図 表 ............................................................................................ 88. 3.

(6) 第 1章. 序論. 動物の発生は、細胞増殖と共に、胚内の特定領域に局在する細胞質因子 による作用とこれに続く細胞間相互作用を伴って進行する。多くの後口動 物の胚では、発生初期の割球を分離、欠損または再結合することにより細 胞質因子の分布と量を見出した場合にも、正常胚と同様に完全なパターン を 持 つ 胚 へ と 発 生 で き る 。 こ の 現 象 は 「 調 節 」 と 呼 ば れ て い る (Gilber t , 2 0 1 0 ) 。ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル ( Xenopus laevis )は 、こ れ ら の 実 験 形 態 学 的 実 験により、調節的発生を可能とする割球の組成や方向性、各種割球を組み 合わせたときに生じる奇形の分類が最も詳細に研究されている脊椎動物で あ る ( G e r h art, 1980; Cooke and Webbe r, 1985; Yamana and Kageura, 198 7 ; K a g e u r a , 1995) 。 正 常 発 生 と 調 節 的 発 生 の い ず れ で も 完 全 な パ タ ー ン を 持 つ胚へと発生を導く機構において、細胞質因子と細胞間相互作用がどのよ うに貢献するかを明らかにすることは、発生生物学において、永く未解決 で重要な問題である。 調節的発生における割球運命の追跡は、正常発生におけるものと比較す ることにより、細胞質因子と細胞間相互作用が発生にどのように関与する かについて非常に有益な情報を提供する。すなわち、もし正常発生と調節 的発生で割球運命に変更が見られなければ、その割球の運命は細胞質因子 の作用によって決定されることを意味する。一方、もし、正常発生と調節 的発生で割球運命が異なっていれば、その割球の運命の決定に細胞間相互 作用が関与することを示す。アフリカツメガエルの正常発生では、これま で に 多 く の 細 胞 追 跡 研 究 が 行 わ れ た (J acobson and Hirose, 1978; Hiros e and Jacobson, 1979; Jacobson, 1985 ; Masho and Kubota, 1986; Dale an d Slack, 1987; Moody, 1987b, b; Moody a nd Kline, 1990; Bauer et al., 1994 ; V o d i c k a a nd Gerhart, 1995) 。 し か し 、 分 離 、 欠 損 、 組 み 合 わ せ 胚 に つ い 4.

(7) ての研究は、これまでにほとんどなされていない。 アフリカツメガエルでは、細胞質因子の分布と卵割面および胚軸には一 定の関係がある。未受精卵は、動植物軸のみを持ち、放射相称であり、そ の 植 物 極 側 に は 細 胞 質 決 定 遺 伝 子 Veg T お よ び Vg1 (reviewed in Gerhart , 2 0 0 1 ; H e a sman, 2006) が 局 在 す る 。 胚 の 背 腹 軸 は 、 受 精 に よ っ て 植 物 極 側 の 表 層 に 含 ま れ る 背 決 定 因 子 が 移 動 す る こ と で 決 定 さ れ る (reviewed i n G e r h a r t , 2 0 01; Heasman, 2006) 。 つ ま り 、 背 決 定 因 子 を 含 む 植 物 極 側 表 層 は 第 一 卵 割 ま で の 間 に 、精 子 進 入 点 と は 逆 向 き 、動 物 極 方 向 に 移 動 し 、移 動 した側に将来オーガナイザーが生じることで背側が指定される。逆に、精 子進入点側が、将来の腹側となる。第一卵割面はこの背腹軸を通る面に形 成される。これにより、胚は、はじめて左右対称性を獲得する。第 2 卵割 面は、第 1 卵割面と直行して縦裂し、将来の背側および腹側の半分を分け る ( Fig. 1A )。 第 3 卵 割 面 は 、 動 植 物 各 半 球 を 分 け る ( Fig. 1 B) 。 主 に 動 物 極 割 球 に 由 来 す る 外 胚 葉 (Masho a nd Kubota, 1986; Dale and Slack, 1987; Moody, 1987a) は 、 エ ピ ボ リ ー と 呼 ば れ る 被 覆 運 動 に よ り 中 胚 葉 と 内 胚葉を徐々に覆い、原腸陥入終了期にはこれらを完全に覆うことで胚の三 層構造が完成する。原腸陥入運動により内中胚葉が上下方向に再配置され て初めて、胚の上方が頭側、下方が尾側として頭尾軸が明確となる ( r e v i e w e d in Gerhart, 2 001 ; Heasma n, 2 006)。 多 く の デ ー タ は 、 発 生 過 程において、初期に起きる出来事ほど細胞質因子の関与が大きく、後期に 起きる出来事ほど細胞間相互作用が大きく寄与することを示唆している。 アフリカツメガエル幼生が持つ軸のうち、細胞質因子と細胞間相互作用 に関する知見が最も蓄積しているのは、背腹軸に関するものである。背腹 軸の決定においては、植物極および背側に局在する細胞質因子または母性 シ グ ナ ル 系 の 交 差 に よ っ て 、ニ ュ ー コ ー プ セ ン タ ー の 一 部 (Gerhart, 200 1 ) 、 5.

(8) オ ー ガ ナ イ ザ ー (Nagano et al., 2000 ; Sakai, 2008) ま た は 前 方 内 中 胚 葉 発 生 の 初 期 段 階 (Zorn et al., 1999) が 細 胞 自 律 的 に 決 定 さ れ る モ デ ル が 提 案されている。一方、オーガナイザーはその植物極側に位置するニューコ ープセンターからの誘導により形成されるというモデルが、上記モデル以 前 に 提 出 さ れ て い る (Nieuwkoop, 1969 a, b; Gimlich and Gerhart, 1984 ; T a k a n o e t al., 2007) 。 ま た 、 原 腸 胚 期 の 背 側 お よ び 腹 側 で 発 現 す る 遺 伝 子 群 に よ る Chordin - BMP シ グ ナ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 介 し た 細 胞 間 相 互 作 用 に よ る 調 節 機 構 の 解 析 が 進 展 し て い る (D e Robertis, 2008, 2009) 。 し か し 、 母性細胞質因子の活性と細胞間相互作用がいかに組み合わされ背腹軸を調 節するかについての詳細は、明らかではない。 原腸陥入開始期までに中内胚葉と区別される外胚葉の分化に細胞質因子 と細胞間相互作用がどのように関わるかについては、背腹軸決定機構以上 に不明な点が多い。また、比較的後期にその特徴が明らかとなる頭尾軸の 決定には細胞間相互作用が大きく関与するものと考えられるが、この相互 作用がどのようなものであるかに関する情報は尐ない。 ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル ( Xenopus laevis ) 胚 で の 細 胞 追 跡 に は 、 こ れ ま で 、 顕微注入により細胞を比較的容易に追跡できる蛍光トレーサーと並び、遺 伝 マ ー カ ー を 持 つ も の と し て ア ル ビ ノ や Xenopus borealis の 胚 が 用 い ら れ てきた。遺伝マーカーは、蛍光トレーサーでは追跡できない発生後期や成 体に至るまでの細胞追跡が可能であるという利点を持つ。しかしながら、 ア ル ビ ノ 胚 で は 色 素 を 持 た な い 胚 の 内 部 組 織 は 追 跡 で き ず 、 Xenopus. borealis 胚 は Xenopus laevis 胚 よ り も 小 さ く 、 信 頼 性 に 問 題 が あ っ た 。 また、組織分化に関する情報を得るため、異なる分化形質を支配する遺伝 子 の 発 現 を 可 視 化 す る 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン が 行 わ れ て い る。しかし、これを細胞追跡を行った同一胚で実施できる適切な方法が無 6.

(9) かった。. 本研究の概要 本 研 究 で は 、背 腹 軸( 第 3 章 )、中 胚 葉 の 頭 尾 軸( 第 4 章 )お よ び 外 胚 葉 (第 5 章)の決定を乱すように、割球を単離、分離および移植した胚につ いて割球の運命を追跡し、正常胚におけるものと比較した。その結果、前 方 背 側 内 中 胚 葉 は 、正 常 胚 お よ び 右 半 胚 か ら の 調 節 胚 の い ず れ に お い て も 、 背側割球子孫のみで構成されていた。このことは、この部分が背決定因子 と植物極に局在する細胞質因子の組み合わせられた活性によって高い自律 能を示し、この能力は正常胚および右半胚のいずれにおいても完全なパタ ーンを持つ胚へと発生するために中心的な役割を果たすことが示唆された。 右半胚における細胞間相互作用は、腹側割球子孫の背側化およびおそらく は背側割球子孫の腹側化によって背側内中胚葉の決定を制御し、背側中心 線の位置をわずかに予定右側に変更した。この位置に応じて、腹側中心線 の位置が決まることが示唆された。また、陥入時に最前方に位置する内胚 葉を除く背側内中胚葉では、細胞間相互作用によって頭尾軸に沿った遺伝 子 発 現 秩 序 が 形 成 さ れ 得 る こ と が 示 さ れ た 。 中 枢 神 経 系 (Central nervo u s s y s t e m , C N S) の 予 定 割 球 を 除 去 し た 胚 で は 、 CNS の 補 償 と 表 皮 の 形 成 の 多 くは予定表皮割球により担われることが明らかとなった。 ま た 、 Xenopus laevis 胚 と 同 じ サ イ ズ を 持 つ Xenopus 雑 種 胚 を 細 胞 マ ー カ ー と し て 利 用 す る こ と 、 細 胞 追 跡 と 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン を 同 一 胚 で 行 う 方 法 に つ い て 検 討 し( 第 6 章 )、上 記 研 究 の 一 部 に 適 用 し てその有用性を実証した。 さ ら に 、 Xenopus 無 細 胞 系 に 高 圧 を 加 え る こ と で 細 胞 周 期 制 御 機 構 を 解 析 し 、8 0 M P a の 圧 力 が DNA 複 製 を 抑 制 す る こ と を 明 ら か に し た( 第 7 章 )。 7.

(10) 8.

(11) 第 2章 2-1. 材料および方法. 胚操作. 実 験 の 種 類( 第 3- 6 章 )毎 に 、用 い た 胚 の 脱 ゼ リ ー と 滅 菌 法 、培 養 液 の 種 類 、細 胞 系 譜 ト レ ー サ ー の 種 類 、 濃 度 お よ び 注 入 量 を Table 1 に 示 し た 。 これらの諸条件は、実験の効率化、成功率の向上のために順次変更された し か し 、。い ず れ の 実 験 に お い て も 正 常 胚 で の 細 胞 追 跡 の 結 果 は 過 去 の 報 告 ( H i rose and Jacobson, 1979; Masho and Kubota, 1986; Dale and Slack , 1987; Moody, 1987b; Moody and Kline, 1990) に 一 致 し た ( 第 3, 5 章 ) こ とから、これらの実験条件の相違が割球の追跡結果に質的に異なった影響 を与えたとは考えられない。. 2-1-1. 受精卵の獲得、胚の選抜と滅菌. Xenopus laevis と Xenopus borealis の 雄 親 お よ び 雌 親 は 、 九 州 大 学 理 学部または当研究室で飼育したものを用いた。これらの受精卵は、ヒト絨 毛 性 ゴ ナ ド ト ロ ピ ン の 注 入 ( 雄 100 -1 5 0 単 位 ,. 雌 200-3 00 単 位 ) に よ. っ て 誘 導 さ れ る 自 然 交 接 に よ り 得 た 。 ま た 、 X. laevis と X. borealis の 雑 種 胚 は 、 Wolf and Hedrick ( 1971) の 方 法 に よ り 、 X. laevis 卵 に 対 し. X. borealis 精 子 を 人 工 授 精 さ せ る こ と で 得 た 。 胚 は 、 2.5 % チ オ グ リ コ ー ル 酸 ナ ト リ ウ ム (pH 9 .0) ま た は. 2.5%. L- c y s t e i n e hydrochloride monohydrat e (pH 7.8- 8.0) を 用 い て 脱 ゼ リ ー し 、 水 洗 し た 。 胚 の 滅 菌 に は 、 二 つ の 方 法 の い ず れ か を 用 い た 。 一 方 は 、 0.1 % p- t o l u e n e sulphone chloramide ( ク ロ ラ ミ ン T ) を 含 む 100 % ス タ イ ン バ ー グ 溶 液 で 2 分 間 実 施 後 、 胚 を 100 % ス タ ー ン バ ー グ 溶 液 で 洗 浄 し 、 以 降 の培養を抗生物質無添加の培養液で行うものである。もう一方は、クロラ ミ ン T で の 滅 菌 を 行 わ ず 、ゲ ン タ マ イ シ ン 硫 酸 塩 を 50 µg/ml の 濃 度 で 添 加 9.

(12) し た 培 養 液 で 胚 を 培 養 す る も の で あ る ( Table 1 ) 。 胚 は 、 底 部 を 2 % 寒 天 で 被 覆 し 、 10% 仔 牛 血 清 を 含 む 50% Leibovi t z ( L - 1 5 ) 溶 液 (L - 15 FCS) 、 100 % ス タ ー ン バ ー グ 溶 液 ま た は 60% modifie d a m p h i b i a n R inger’ s solu tion (MR; Larabell et al., 1996) ( Table 1 ) を満たしたシャーレに置き、これらから、規則的かつ対称的な卵割と色素 の パ タ ー ン を 持 つ 4、 8 、 1 6 お よ び 3 2 細 胞 期 胚 (Fig . 1) を 選 抜 し た 。 同 溶液中で、以下の割球操作および細胞系譜トレーサーの注入を実施した。. 2-2-2. 割 球 の 単 離 、除 去 と 移 植 お よ び 細 胞 系 譜 ト レ ー サ ー の 注. 入 割球を単離、除去した胚での細胞追跡実験では、割球操作を施した胚に 対し、細胞系譜トレーサーの顕微注入を行った。一方、割球移植胚での細 胞追跡実験では、ビテリン膜を除去した胚の移植すべき割球にトレーサー を注入した後、これを単離し、割球を除去した宿主胚に移植した。これら の操作は、実体顕微鏡または蛍光実体顕微鏡下で実施した。また、雑種胚 の移植も、実体顕微鏡下で実施した。 ビテリン膜の除去は、平底の寒天培地上に置かれた胚に対して 2 組のピ ンセットを用いて行った。さらに、色素と卵割パターンにより背側を決定 し (Fig. 1)、 ガ ラ ス 棒 と ヘ ア ー ル ー プ を 用 い て 、 割 球 を 単 離 た た は 除 去 し た ( K a g e u ra and Yamana, 1983) 。 細 胞 系 譜 ト レ ー サ ー と し て 、 100. mg/ ml. in. 0. 2 N. KCl. の. f l u o r e s c e in -dextran -amine (FDA) (G imlich and Braun, 1985) 、 0. 5% i n H 2 O ま た は 0.10 8 % in H 2 O の Dextran O regon Green 488 (Molecular Probes , E u g e n e , U S A ,) を 用 い た 。こ れ ら の ト レ ー サ ー を 注 入 し た 割 球 お よ び 注 入 量 を 、 Table 1 に 示 す 。 注 入 に は 、 先 端 径 2 –5 µm の 注 入 針 を 着 装 し た マ イ ク 10.

(13) ロ イ ン ジ ェ ク タ ー (Model IM -1: Naris hige Sci. Lab.) ま た は 先 端 径 10 µ m の 注 入 針 を 着 装 し た Nanoject II inje ctor ( Drummond Scientific Co.) を 使 用 し た ( Table 1 ) 。 な お 、 ビ テ リ ン 膜 を 除 去 し て い な い 正 常 胚 へ の 対 照 注 入 に は 、 注 入 後 の 卵 黄 の 流 出 を 防 ぐ た め 、 Ficoll PM4 00 (Pharmacia, G E H e a l t h c a r e, Buckinghamshire, Engla nd ) を 10% w/v の 濃 度 で 添 加 し た 培 養 液 を 用 い た (Newport and Kirschner, 1982) 。 3 2 細 胞 期 動 物 極 腹 側 4 割 球 の 32 細 胞 期 背 側 帯 域 割 球 除 去 無 標 識 胚 へ の 移 植 は 、 培 養 液 を 満 た し た 平 底 の 2% 寒 天 培 地 上 で 行 っ た 。 移 植 は 動 植 物 軸に関するオリエンテーションを変えずに行い、その後、宿主胚の移植部 を下側に向けて融合させた。一方、4 細胞期左腹側割球の右背側割球除去 無 標 識 胚 へ の 移 植 お よ び X. laevis と 雑 種 の 右 半 胚 の 移 植 ・ 融 合 は 、 培 養 液 を 満 た し た シ ャ ー レ の 2% 寒 天 穴 に 両 胚 片 を 同 時 に 入 れ る こ と で 行 っ た 。 穴に入れる際に、左腹側割球および二つの右半胚のうちいずれか一方の胚 を 動 植 物 軸 に 対 し 18 0° 回 転 さ せ た 。 ト レ ー サ ー が 注 入 さ れ た 単 離 胚 お よ び 割 球 の 除 去 、移 植 胚 は 、い ず れ も 、 寒 天 穴 に 入 れ 、培 養 し た 。注 入 正 常 胚 に つ い て は 、2% 寒 天 で 被 覆 し た 組 織 培 養 プ レ ー ト (Falcon -3 034 )ま た は 寒 天 穴 に 入 れ た 。 卵割異常や対象割球からのトレーサーの漏れが認められた胚は、卵割期 の蛍光実体顕微鏡観察および切片化後の蛍光顕微鏡観察により除いた。寒 天 穴 に 入 れ た 胚 は そ の ま ま St. 8 - 10 (Nieuwkoop and Faber, 1967) ま で 培 養 し 、 培 養 液 を 徐 々 に 10 % ス タ イ ン バ ー グ 溶 液 ま た は 5% MR に 交 換 し た ( T a b l e 1 ) 。 半 胚 お よ び そ の 対 照 胚 に つ い て は 、 St.1 3-17 で 標 識 割 球 子 孫の分布をデジタル写真として記録した。 割球操作胚およびその対照胚は、後期原腸胚期(動物極腹側割球の背側 帯 域 割 球 と の 置 き 換 え 実 験 (第 4 章 ) )、 ス テ ー ジ 26/ 27( 尾 芽 胚 期 : 右 半 11.

(14) 胚 実 験( 3 - 1)、左 腹 側 割 球 の 右 背 側 割 球 と の 置 き 換 え 実 験( 3-2 ))、ス テ ー ジ 3 2 ( 尾 芽 胚 期 : 動 物 極 背 側 割 球 除 去 実 験 (第 4 章 ) ) お よ び ス テ ー ジ 4 7 ( 遊 泳 胚 期 : X. laevis と 雑 種 の キ メ ラ 胚 ( 3 -2) ) に ま で 発 生 さ せ た 。 尾 芽 胚 に つ い て は 、 正 常 な 外 形 を 持 つ 胚 (DAI 5, Kao and Elinson, 1988) を 、 キメラ胚については、双頭の胚を選抜した。. 2-2 2-2-1. 組織学 胚および組織の固定. ト レ ー サ ー を 注 入 し た 胚 は 、 4 % forma ldehyde in 70% phosphate buffe r ( p H 7 . 0 ) ま た は 10 % forma lin in Tri s buffer (0.025M , pH 7.4) を 用 い て 4° C で 1 晩 以 上 固 定 し た 。 固 定 さ れ た 胚 は 、 7 0% phosphate buffer ま た は 0 . 0 2 5 M T r is buffer (pH 7 .4) で 尐 な く と も 24 時 間 洗 浄 し 、 100% エ タ ノ ー ル 中 で 組 織 切 片 作 成 時 ま で - 20 ℃ で 保 存 し た 。 キ ナ ク リ ン 染 色 に 供 す る キ メ ラ 胚 お よ び ス テ ー ジ 55 の X. laevis と X .. borealis お よ び 雑 種 幼 生 の 数 種 の 組 織 は 、カ ル ノ ア 液 で 固 定 し た 。in situ ハ. イ. ブ. リ. ダ. イ. ゼ. ー. シ. ョ. ン. に. 用. い. る. 胚. は. 、. MEM F A. ( M O P S / E G T A/Magnesium/Sulfate/Forma ldehyde) 固 定 液 (Harland, 1991) で 2 時間または一晩、常温で振とうしながら固定した。胚をエタノールシリ ー ズ で 脱 水 し 、 必 要 で あ れ ば 、 75 –100 % エ タ ノ ー ル 中 で カ ミ ソ リ を 用 い て 半 分 に 切 り 分 け た 。 胚 は 100 % エ タ ノ ー ル 中 で –85° C で 保 存 し た 。 - 85°C 保 存 は 、 比 較 的 長 期 間 ( 数 週 間 ) 保 存 に お い て -2 0 °C 保 存 よ り バ ッ ク グ ラ ウンドの発色を抑え、染色の過程で胚が壊れることも尐なかった。. 2-2-2. 組織切片の作成. 保 存 し た 固 定 胚 は 、エ タ ノ ー ル :ブ タ ノ ー ル シ リ ー ズ に 通 し 、パ ラ フ ィ ン 12.

(15) (融 点 : 5 1 – 53° C) ま た は パ ラ プ ラ ス ト ( McCorm ick Scientific ) で 包 埋 し た 。 厚 さ 4 µm ( X. laevis と 雑 種 の キ メ ラ 胚 ( 3- 2))、 7 µm ( 動 物 極 背 側 割 球 除 去 実 験 ( 第 4 章 )) お よ び 10 µ m ( 右 半 胚 実 験 ( 3-1)、 左 腹 側 割 球 の 右 背 側 割 球 と の 置 き 換 え 実 験 ( 3 -2)) で 横 断 切 片 を 作 成 し 、 キ シ レ ン で 脱 パ ラ フ ィ ン 化 し た 。 動 物 極 背 側 割 球 除 去 実 験 (第 4 章 ) の サ ン プ ル に つ い て は 、 再 水 和 し て 0. 5 µg/ml の 4, 6-di amino - 2-phenyl indole (DAPI: Wak o Pure Chem. Instr. LTD.) で 2 分 間 カ ウ ン タ ー 染 色 し 、 再 び 脱 水 し て キ シ レ ン で 透 徹 し た 。 X. laevis と 雑 種 の キ メ ラ 胚 に つ い て は 、 再 水 和 し 、 キ ナ ク リ ン 染 色 に 供 し た 。 封 入 に は 、 MX (Matsunami Glass Ind., LTD.) を 用 いた。. 2-2-3. キナクリン染色. 固 定 し た 幼 生 組 織 は 、 ス ラ イ ド グ ラ ス 上 で 45% 酢 酸 に よ り 10 分 間 処 理 し、カバーグラスをかけ、押しつぶした。押しつぶしたプレパラートをド ラ イ ア イ ス 上 で 凍 結 し 、 カ バ ー グ ラ ス を 除 去 し た 。 プ レ パ ラ ー ト を 10 分 間 風乾し、エタノールシリーズで脱水した。 押 し つ ぶ し 法 に よ り 作 成 し た プ レ パ ラ ー ト お よ び 組 織 切 片 は 、再 水 和 し 、 p H 7 . 0 の M cIlvaine バ ッ フ ァ ー (Thié baud, 1983) に 10 分 間 つ け た 。 キ ナ ク リ ン 染 色 は 、 (Thiébaud, 1983) の 方 法 に 従 っ た 。. 2-2-4. 可視化. 全てのプレパラートは、フルオロセインのフィルターセットを持つ蛍光 顕微鏡または供焦点レーザー顕微鏡で観察した。. 13.

(16) 2-3 2-3-1. 追跡細胞の解析 右半胚におけるクローン分布の解析. 各種の胚につき、5 バッチ以上の胚を解析した。解析に用いた横断切片 は 、胚 の 頭 尾 軸 に 沿 い 、以 下 の 組 織 ま た は 位 置 を 通 る 11 レ ベ ル か ら 選 抜 し た ( F i g . 2 A )。 1, 終 脳 ; 2, 間 脳 , 第 1 鰓 嚢 よ り も 前 方 の 咽 頭 内 胚 葉 ; 3, 網 膜 、 セ メ ン ト 腺 、 中 脳 ; 4 , 耳 胞 、 菱 脳 ; 5, 前 腎 ; 6, 7, 8, No. 5-9 間 の 間 隔 を 等 し く す る 位 置 ; 9 , 肛 門 ; 1 0, No. 9 と 1 1 の 中 間 の 位 置 ; 11, c h o r d o n e u ral hinge 。 各 々 の 胚 、 レ ベ ル で 、 デ ジ タ ル 画 像 を 記 録 し た 。 1 1 レ ベ ル の 各 々 に つ い て 、典 型 的 な 図 を 描 き 、組 織 を 格 子 で 区 分 し た (Vodick a and Gerhart, 1995; Fig. 2B. (level 5 )) 。 下 索 の み は 単 一 の 格 子 で 表 し 、. 他全ての組織は対称に格子を配置した。各格子での標識されたクローンの 率 を 、 写 真 か ら 見 積 も っ た 。 各 格 子 に つ き 最 低 6 個 体 、 平 均 8 .2 個 体 か ら データを取得した。各格子に対する率の平均値および標準誤差を求めた。 調 節 胚 で は 、右 背 側 割 球 (RD ) と 右 腹 側 割 球 (RV) ク ロ ー ン の 率 の 平 均 値 は 互 い に 極 め て 相 補 的 で あ り 、両 ク ロ ー ン の 率 の 平 均 の 合 計 は 96 .6% の 格 子 で 80 - 1 2 0 % の 範 囲 に あ っ た 。 細 胞 の 形 態 、 切 片 上 で の 細 胞 の 重 な り 、 そ の 他 の要素がもたらす率の評価における偏向を減じるため、率の平均値を次の 通り標準化した。調節胚では、各格子での両クローンの率の平均値の合計 を 100 と し た 。 正 常 胚 に つ い て は 、 組 織 に お い て 対 称 に 位 置 す る 格 子 で の R D と R V ク ロ ー ン の 率 の 平 均 値 の 合 計 を 100( 下 索 の み に つ い て は 5 0) と した。. 2-3-2. 動物極背側欠損胚外胚葉におけるクローン分布の解析. F i g . 3A の 通 り 、 胚 の 頭 尾 軸 に 沿 っ た 以 下 の 22 レ ベ ル か ら 切 片 を 選 抜 し た 。 N o . 8 と 18 の 切 片 は 、 耳 胞 と 肛 門 を 通 り 、 No. 1 か ら 8 、 No. 8 か ら 14.

(17) 18 お よ び No. 1 8 か ら 22 ま で の 番 号 を 通 る 切 片 間 の 距 離 は 同 一 と し た 。番 号 を つ け た 切 片 の 各 々 に つ い て 、標 識 細 胞 の 分 布 を 写 生 器 で 描 画 し た( Fig . 3B ) 。 中 枢 神 経 系 (CNS ) に つ い て は 、 2 2 枚 に 加 え て 補 充 の 描 画 を 位 相 幾 何 学 的 解 析 ( Nieuwenhuys, 1974; Jacobs on and Hirose, 1981) と し て 知 ら れ る 立 体 再 構 成 図 法 に 用 い た 。 こ の 方 法 に よ る と 、 三 次 元 の CNS は 、 二 次 元 の図として表される。標識割球子孫で主に占められる領域は、この図中で 大きな点を持つ領域として表現され、小数の細胞が散在する領域は、小さ な 点 を 持 つ 領 域 と し て 示 し た ( Fig. 3 C) 。 一 方 、表 皮 に つ い て は 、以 下 の よ う に 解 析 を 行 っ た 。Fig. 3B は 、Fig. 3D の実線を通る横断切片の描画である。切片は、表皮のクローナルドメイン (1 個の祖先割球に起源する子孫の分布域)を通っている。表皮のクロー ナルドメイン内では、表皮の染色および非染色両域が交互に見える。染色 部分が主に占める切片表皮のクローナルドメインは、二つの矢印を持つ実 線 で 示 さ れ る ( 2 in Fig. 3D) 。 そ の 実 線 で 示 さ れ る 領 域 の う ち 、 最 も 外 側 の二つの染色領域は、その両外側の染まっていない領域よりも短く、その 両内側の染まっていない領域よりも長い。実線で示される領域の両外側に 位置し、染まっている部分が散在する領域は、二つの矢印を持つ点線で示 さ れ る ( 1 , 3 in Fig. 3 D) 。矢 印 を 持 つ 実 線 ( 2)と 点 線 ( 1 と 3)で 示 さ れ る Fig. 3B 上 の 領 域 は 、 Fig. 3D の 尾 芽 胚 図 に お い て 、 大 (2 )と 小 (1 と 3) の 点 を 持 つクローナルドメインとして再構成される。. 2-4. 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン と 細 胞 追 跡 を. 組み合わせた全胚三重染色 2-4-1. RNA プ ロ ー ブ の 作 成. R N A プ ロ ー ブ 作 成 の た め 、 pΔ gsc プ ラ ス ミ ド (Cho et al., 1991) お よ 15.

(18) び p X T 1 プ ラ ス ミ ド の Eco RI サ イ ト と Bam HI サ イ ト で 挟 ま れ る 領 域 を 除 き 、. Xbra 遺 伝 子 (Smith et al., 1 991) の Bam HI サ イ ト よ り 下 流 の 全 域 で 置 き 換 え た プ ラ ス ミ ド を 用 い た 。 gsc に 対 す る ビ オ チ ン 標 識 お よ び フ ル オ ロ セ イ ン 標 識 ア ン チ セ ン ス プ ロ ー ブ と D IG 標 識 Xbra プ ロ ー ブ は 、 Biotin , F l u o r e s c e in お よ び. Digoxygenin ( DIG). RNA Labeling Mix (Roche ,. P e n z b e r g , Germany) を 用 い 、 メ ー カ ー の 説 明 書 に 従 い 合 成 し た 。. 2-4-2. 全 胚 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン. 全 胚 二 重 in sit u ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン は 、 基 本 的 に Jowett a n d L e t t i c e ( 1 994) 、 Knecht et al . (1995 ) 、 Sive et al . (2000) の 方 法 に よ り 行 っ た 。 サ ン プ ル に 対 し 、 異 な っ た 標 識 を 施 し た gsc お よ び Xbra プ ロ ー ブを同時にハイブリダイズした。二つのプローブのうち一方を、プローブ に 対 す る ア ル カ リ フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ ( AP) 標 識 Fab 断 片 と 基 質 を 用 い て 検 出 し た 。 次 に 、 AP 活 性 を Sive et al . (2000) に 記 述 さ れ て い る 二 つ の 方 法 の い ず れ か で 不 活 性 化 し た 。 一 つ は 、 10 mM ethylenediaminetetraacet i c acid (EDTA) を 含 む マ レ イ ン 酸 バ ッ フ ァ ー (MAB) で 65 ° C、 10 分 処 理 後 、 メ タ ノ ー ル で 脱 水 す る と い う も の で あ る 。 も う 一 方 は 、 1% ツ イ ー ン 2 0 を 含 む 0 . 1 M グ リ シ ン 塩 酸 塩 (pH 2 )で 4 0 分 間 処 理 す る と い う も の で あ る 。 こ の 1 回 目 の AP 不 活 性 化 の 後 、も う 一 方 の プ ロ ー ブ の シ グ ナ ル を 別 の Fab 断 片 と 別 の 基 質 で 検 出 し た 。 Vector Black (Vector Bla ck Alkali n e P h o s p h a t a se Substrate KitII; Vector Laboratories, Burlingame, USA) を 細胞系譜トレーサーの免疫染色(後述)の基質として用いる場合、製造者 の 注 意 に 従 い 、 二 重 in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン お よ び そ の 後 の 全 課 程 で 使 用 す る バ ッ フ ァ ー に は ツ イ ー ン 2 0 を 添 加 し な か っ た 。プ ロ ー ブ 濃 度 、 抗 体 希 釈 率 お よ び AP 反 応 の 基 質 濃 度 は 予 備 実 験 に よ り 至 適 化 し た 。ビ オ チ 16.

(19) ン 標 識 gsc プ ロ ー ブ は 、プ ロ ー ブ 濃 度 と 抗 体 希 釈 率 が 比 較 的 低 い 組 み 合 わ せでは動物極側に強い非特異発色を生じるため、これらの組み合わせはい ず れ も 比 較 的 高 い も の ( プ ロ ー ブ : 4 00 –65 0 ng/ ml 、 抗 ビ オ チ ン -AP Fab 断 片 ( R o c h e ) 希 釈 率 : 1 :7000 ) と し た 。フ ル オ ロ セ イ ン 標 識 gsc プ ロ ー ブ お よ び D I G 標 識 Xbra プ ロ ー ブ は 、400 ng/ m l お よ び 2 00 ng/ ml で 使 用 し 、1: 400 0 希 釈 の 抗 フ ル オ ロ セ イ ン AP Fab 断 片 (Roche) お よ び 1:2000 希 釈 の 抗 DI G AP Fab 断 片 (Roche) で 各 々 検 出 し た 。 AP 反 応 の た め の 基 質 濃 度 は 、 X- p h o s p h a te/ 5 -bromo -4 -chloro - 3-ind olyl phosphate (BCIP, Roche) に つ い て は. 0. 35. mg/ ml. (Knecht. et. al .. 1995. の. 2. 倍 の 濃 度 ). 5- b r o m o - 6 -chloro -3 -indolyl phospha te (Molecular Probes 、 Biosynth の M a g e n t a - p hos に 同 じ ) に つ い て は 0. 0 875 mg/ ml (Knecht et al . 1995 の 半. 分. の. 濃. 度. ). Nitro. c h l o r i d e / 5- bromo -4 -chloro - 3- indoly l. blue. phosphate,. tetrazoli u m toluidine. sal t. ( N B T / B C I P , Roche) に つ い て は 、 製 造 者 の 推 奨 濃 度 と し た 。. 2-4-3. 二重染色の固定と胚の洗浄. 二 重 染 色 は 、 ブ ア ン 固 定 液 (25 % ホ ル マ リ ン 、 5% 酢 酸 、 7 0% 飽 和 ピ ク リ ン 酸 水 ) 、 ピ ク リ ン 酸 無 し の ブ ア ン 固 定 液 (25 % ホ ル マ リ ン 、5% 酢 酸 、70 % 水 ) ま た は MEMFA で 固 定 し た 。固 定 後 、サ ン プ ル を 0.1 % ツ イ ー ン 20 を 含 む 7 0 % エ タ ノ ー ル − 30% PBS ま た は 0. 1 % ツ イ ー ン 20 を 含 む 50% エ タ ノ ー ル −50% PBS で 洗 浄 し た 。. 2-4-4. 細胞系譜トレーサーの免疫染色. 細 胞 系 譜 ト レ ー サ ー Dextran Oregon Gr een 488 は 、以 前 の 報 告 (Jones an d Smith, 1998; Sive et al., 2000) に 従 い 、 抗 フ ル オ ロ セ イ ン AP Fab 断 片 17.

(20) ( R o c h e ) と Fast Red (Roche) ま た は Vector Black を 用 い た 免 疫 染 色 に よ り 検 出 し た 。 胚 を 1: 6000 (Fast Red) ま た は 1:10 000 (Vector Black) の Fab 断 片 希 釈 液 で イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 基 質 製 造 者 の マ ニ ュ ア ル に 従 っ て 反 応 し た 。 た だ し 、 Vector Black の 場 合 に は 、 6-2-3 で 述 べ る 通 り 、 試 薬 濃 度を調整した。. 2-4-5. 野生型胚の色素の漂白. 三 重 染 色 胚 を 5 0% エ タ ノ ー ル – 50% MA B で 5 分 間 3-5 回 洗 浄 し た 。 野 生 型 胚 の 色 素 の 漂 白 は 、 過 酸 化 水 素 を 含 む 溶 液 (1% H 2 O 2 、 5% ホ ル ム ア ミ ド 、 0 . 5 × sodium chloride/sodium citr ate (SSC) )に 胚 を つ け 、 1.0- 1. 5 時 間 ラ イ ト ボ ッ ク ス の 蛍 光 灯 の 光 を 照 射 す る こ と で 行 っ た (Mayor et al., 1995)。. 2-4-6. 胚の透明化. B C I P 、 M agenta - phos お よ び Vector B lack で 染 色 し た 胚 は 、 漂 白 後 、 ピ ク リ ン 酸 無 添 加 の ブ ア ン 固 定 液 で 固 定 し た 。こ れ ら を MAB で 10 分 間 4 回 以 上 洗 浄 し 、 エ タ ノ ー ル シ リ ー ズ で 脱 水 後 、 透 明 化 液 BBBA ( 2:1 benzyl b e n z o a t e / benzyl alcohol) (Dent and Klymkowsky, 1989) に つ け た 。. 2-5 2-5-1. Xenopus 無 細 胞 系 の 加 圧 卵抽出液と精子核の調整. S 期 卵 抽 出 液 と 精 子 核 の 調 整 は 、 Murr ay (1991) の 方 法 に よ っ た 。. 2-5-2. 加圧処理. サ ン プ ル の 加 圧 処 理 は 以 下 の 通 り 実 施 し た 。 50- 100 µl の ア フ リ カ ツ メ 18.

(21) ガエル卵抽出液またはその凍結保存液(凍結抽出液)のサンプルを、直径 5 m m の ガ ラ ス 管 に 挿 入 し た 。精 子 核 は 、10 倍 量 の EB バ ッ フ ァ ー (100 mM KCl, 2. 5 mM MgCl 2 , 50 mM Hepes -KOH, pH 7 .5) に 懸 濁 し た 。 ガ ラ ス 管 に は EB バ ッ フ ァ ー を 充 填 し 、EB バ ッ フ ァ ー を 含 む ガ ラ ス 注 射 器 に 設 置 し た 。サ ン プ ル に は 、 4 0- 80 MPa の 圧 力 を 23 °C で 30 分 間 課 し た 。 減 圧 後 、 精 子 核 調 整 用 の サ ン プ ル に つ い て は 、 15% シ ョ 糖 を 含 む NIB ( 5 0 mM KCl, 5 mM MgCl 2 , 0 . 5 mM spermidine, 0.1 5 mM sperm ine, 1 mg/ml leupeptin, 1 mg/m l p e p s t a t i n , 50 mM Hepes -KOH, p H 7 .6 ) に 加 え 、 6 ,2 00 g で 5 分 間 4° C で遠心した。. 2-5-3. 核の形態調査. 核 の 形 態 を 調 査 す る た め 、 卵 抽 出 液 と 精 子 ( 1 x 10 6 個 /ml) の 混 合 液 を 15 0 分 間 2 3°C 、大 気 圧 (0. 1 MPa) 下 で イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。特 定 時 間 の 5 µl の 試 料 を 5 µ l の Hoechst 33258 ( 5 µg/ml) を 含 む 固 定 バ ッ フ ァ ー ( 3% f o r m a l d e h yde, 8 0 mM KCl, 1 5 mM NaCl, 5 0% glycerol, 1 5 mM Pipes, pH 7 .2) と混合した。精子核を、蛍光顕微鏡で観察した。. 2-5-4. DNA 複 製 の 測 定. D N A 複 製 を 測 定 す る た め 、 biotin -16- dUTP ( 8 µ M)を 含 む 凍 結 抽 出 液 (5 0 µl) を 精 子 核 (10 6 個 /ml) と 共 に 23 ° C で 60 分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。15 µl の 試 料 を 25 % グ リ セ ロ ー ル 含 有 の S バ ッ フ ァ ー (25 0 mM sucrose, 5 0 m M K C l , 2. 5 mM MgCl 2 , 2 mM β -mercapto ethanol, 50 mM Hepes -KOH , pH 7.5) ( M u r r a y , 1991) に 加 え 、 1, 200 g で 1 5 分 間 、 4°C で 遠 心 し た 。 精 子 核 を ポ リ -L-リ ジ ン で コ ー ト し た カ バ ー グ ラ ス に 採 取 し た 。 精 子 核 を 固 定 し 、 S バ ッ フ ァ ー で 洗 浄 し 、avidin - FITC で 30 分 間 、室 温 で イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 19.

(22) そ の 後 、 精 子 核 を E B バ ッ フ ァ ー で 洗 浄 し 、 propidium iodid e (PI 、 10 0 µg/ m l ) で 5 分 間 染 色 後 、 EB バ ッ フ ァ ー で 洗 浄 し た 。 約 30 個 の 核 当 た り の F I T C お よ び PI の 強 度 を イ メ ー ジ プ ロ セ ッ サ ー (ARGUS -2 0)で 測 定 し た 。 F I T C の 測 定 値 は 、 PI の 強 度 で 標 準 化 し た 。. 20.

(23) 第 3章. 背腹軸形成を乱した胚における細胞追跡. 背 腹 軸 形 成 を 乱 す 割 球 組 成 と し た 右 半 胚 (3-1) お よ び 割 球 移 植 胚 (3 -2)に つ い て 、 割 球 へ の Dextran Oregon Green 488 の 顕 微 注 入 ( 3 -1, 3- 2) ま た は ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル 雑 種 胚 の 割 球 移 植( 3- 2)に よ り 、割 球 運 命 の 追 跡 を 実施した。. 3-1. 4細 胞 期 右 半 胚 に お け る 割 球 運 命 の 変 更. ここでは、4 細胞期に単離された右半胚の割球運命を調査し、正常胚に お け る も の と 比 較 す る 。 背 側 割 球 は 背 決 定 因 子 を 含 み (reviewed in Mo o n and Kimelman, 1998; Gerhart, 2001; Sakai, 2008) 、 単 離 ま た は 異 所 的 に 移植したときに背軸を誘導するが、腹側割球は背決定因子の活性を持たな い か わ ず か し か 持 た な い (Kageura and Yamana, 1983; Cooke and Webber , 1 9 8 5 ; Y a m ana and Kageura, 1987; Ka geura, 1997) 。 こ の た め 、 右 背 側 割 球 ( right dorsal blastomere, RD) と 右 腹 側 割 球 ( right ventral blastomere , R V ) か ら 成 る 4 細 胞 期 右 半 胚 ( Fig. 4 B ) は 、 背 決 定 因 子 の 半 分 が 除 か れ 、 背 腹軸形成が顕著に攪乱されている。しかし、この胚は、正常なパターンを 持ち、外観上対称で、正常胚よりいくぶん細いものの、正常胚とほぼ同じ 体 長 の 幼 生 へ と 発 生 す る (Kageura and Yamana, 1983; Fig. 4E -H ) 。 こ こ で は 、 左 半 胚 で は な く 右 半 胚 に つ い て 解 析 を 行 い 、 原 腸 蓋 板 (gastro coel r o o f p l a t e , GRP ) に 由 来 す る 組 織 で の 割 球 子 孫 の 分 布 も 調 査 対 象 と し た 。 なぜならば、イモリでは、2 細胞期から後期神経胚期までの間に分離した 場合、右半胚では心筒の逆向きループ化が起きるが、左半胚ではこれが起 き な い ( S p emann and Falkenberg , 1919 ; Takano et al., 2007) か ら で あ る 。 また、その表面に生えた単繊毛の運動により左向きの流れを作り出すこと で 左 右 性 の 決 定 に 重 要 な 役 割 を 果 た す GRP (Schweickert et al., 2007) に 21.

(24) ついては、その左側半分の機能は側性マーカー遺伝子の片側発現に必須で あ る が 右 側 半 分 の 機 能 は 必 須 で は な い (Vick et al., 2009) こ と に も よ る 。 R D ま た は RV が Dextran Oreg on Gree n 488 に よ り 標 識 さ れ た 正 常 胚 お よ び 半 胚 を 、そ れ ぞ れ W-RD, W - RV, RH - R D お よ び RH -RV と 呼 ぶ (Fig. 4C -H)。 正 常 な 外 観 を 持 つ 原 腸 胚 / 神 経 胚 の 外 胚 葉 (Fig. 5 ) お よ び 完 全 な パ タ ー ン を 持 つ 尾 芽 胚 (DAI 5, Kao and Elinso n, 1988; Fig. 4E -H) の 横 断 組 織 切 片 ( F i g s . 2 , 6, 8) を 調 査 し た (Koga et al., 2012) 。 非 注 入 右 半 胚 で は 、 正 常 な パ タ ー ン を 持 つ DAI5 幼 生 は 6 0% か ら 時 に よ っ て は 90 % 以 上 の 頻 度 で 生 じ 、そ れ 以 外 の 形 態 的 特 徴 を 持 つ も の の 大 部 分 は 小 頭 ( D A I 2- 4) ま た は 陥 入 不 良 の 個 体 で あ っ た 。 一 方 、 頭 部 が 大 き い 個 体 ( D A I > 5 )や 無 頭 (DAI 0, 1) の 個 体 の 率 は 非 常 に 低 か っ た 。 こ の こ と は 、 使用した胚に背決定因子が左右で偏って分布するものがほとんどなかった ことを意味する。. 3-1-1. 各右割球クローンは外胚葉の両側を正常胚におけるも. のと類似の背腹および頭尾パターンで占める 後 期 原 腸 胚 / 初 期 神 経 胚 期 の 正 常 胚 の 外 胚 葉 で は 、RD お よ び RV ク ロ ー ン の 分 布 の 多 く は 右 側 に 制 限 さ れ た 。R D ク ロ ー ン は 、右 側 の 頭 部 表 皮 お よ び 胴 尾 部 で の 外 縁 を 除 く 神 経 板 の 全 域 か ら 成 る 背 側 領 域 を 占 め た ( Fig. 5A, C) 。R V ク ロ ー ン は 、右 側 で は 、RD ク ロ ー ン と 相 補 的 に 分 布 し 、さ ら に 左 側 表 皮 に お い て 最 も 腹 側 の 領 域 に わ ず か に 分 布 し た (Fi g. 5E, G)。 調 節 胚 に お い て も 、RD ク ロ ー ン は 胚 の 背 側 領 域 に 分 布 し た 。そ れ は 、 頭 部表皮およびその多くが右側に位置し、左側にまで広がる神経板の全長に わ た る 領 域 か ら 成 り 、 し か も 頭 部 側 に 広 い 両 域 で あ る (Fig. 5B, D)。 RV ク ロ ー ン は 、相 補 的 に 、腹 側 / 側 方 領 域 を 両 側 で 占 め た 。そ れ は 、頭 部 領 域 を 22.

(25) 除く表皮の全域と神経板の左右の縁に沿った領域から成り、しかも左およ び 後 方 に 広 い 両 域 で あ る (Fi g. 5 F, H) 。こ れ ら の 結 果 は 、初 期 卵 割 期 中 に 、 最 も 腹 側 の RV 子 孫 は 最 も 背 側 の RD 子 孫 の 左 側 に 接 し た こ と を 意 味 す る 。 こ の よ う に 、 RD お よ び RV ク ロ ー ン の い ず れ も 、 正 常 胚 と は 異 な り 、 右 側および左側を広い両域で占めながら両側に分布した。しかしながら、い ずれのクローンも、背腹、頭尾軸に関しては、正常胚におけるものに似た 分 布 パ タ ー ン を 示 し た 。つ ま り 、RD ク ロ ー ン は 背 側 お よ び 頭 部 側 で 広 い 両 域 を 占 め る の に 対 し 、RV ク ロ ー ン は 腹 側 お よ び 尾 部 側 で 広 い 両 域 を 占 め た 。 観察されたクローンの分布は、予測される二つの最も極端な割球運命の変 更様式のいずれでもなかった。それらは、もし背側内中胚葉が背および植 物 極 に 局 在 す る 決 定 因 子 の 細 胞 自 律 的 活 性 で 制 御 さ れ る な ら ば RD 子 孫 は 胚 の 背 側 半 分 に 参 入 し RV 子 孫 は 腹 側 半 分 を 作 る と い う も の と 、も し 左 側 の 背側内中胚葉が右側のニューコープセンターによって誘導される ( N i e u w k o o p, 1969a, b; Nieuwko op and Ubbels, 1972; Gimlich and Gerhar t , 1 9 8 4 ) な ら ば RD は 胚 の 右 側 半 分 と な り RV 子 孫 は 左 側 半 分 に な る と い う も の である。. 3-1-2. 背側内中胚葉の前方部分は排他的に背側割球に起源す. る 正 常 お よ び 調 節 尾 芽 胚 の 横 断 組 織 切 片 (Fig. 2)に お け る ク ロ ー ン の 分 布 ( F i g . 6 , 8) を 、 定 量 的 に 調 査 し 、 三 次 元 的 に 再 構 築 し た (Fig. 7)。 こ れ は、両胚種間での背腹、頭尾および左右軸に沿っての比較を可能とした。 尾芽胚における結果の重要部分の理解を促すため、胚中でのクローン分布 の 概 要 の み を ま ず 記 す ( 3- 1-2 ,3 ) 。 各 組 織 に お け る 詳 し い 分 布 に つ い て は 、 そ れ を 示 す 図 と 調 査 し た サ ン プ ル 数 と 共 に 、 3-1 -4 小 節 に 詳 述 す る 。 調 節 23.

(26) 胚における割球運命は、どの個体においてもほぼ同様であったが、正常胚 におけるものに比較してわずかに変異が大きかった。これは、格子ごとに 調 査 し た 子 孫 細 胞 の 率 に 対 す る 標 準 誤 差 と し て 示 さ れ た (Table 2 )。 正 常 胚 に お い て 、RD 子 孫 は 、前 方 内 中 胚 葉 に 由 来 す る 第 一 䚡 嚢 よ り 前 方 の 内 胚 葉 ( Fig. 7B) 、第 一 䚡 嚢 レ ベ ル の 最 も 腹 側 の 内 胚 葉 領 域 (Fig. 7C) 、肝 臓 ( F i g s 6 C ,7 E) お よ び 脊 索 の 先 端 部 (F ig. 7C) の 右 側 で 、高 率 で 検 出 さ れ た 。 前方内中胚葉は、原腸陥入に際して最初に移動を開始する胚内領域である ( H a u s e n a nd Riebesell, 1991) 。 RD 子 孫 は 、 上 記 の 前 方 内 中 胚 葉 由 来 組 織 の 左 側 で も あ る 程 度 見 ら れ た 。 RD 子 孫 の 多 く は 三 胚 葉 の い ず れ に つ い て も 背 中 線 に 沿 っ て 中 央 お よ び 右 側 領 域 に 分 布 し た (Figs. 6A-F, 7A- K)。 RD子 孫は、前方ほど広い領域に高率で見られた。さらに、両側での分布が、脊 索 と 下 索 の 全 域 (Figs . 6A -F, 7 C -K) 、 前 脳 と 中 脳 の 腹 側 領 域 お よ び 網 膜 で 見られた。頭尾軸方向への組織全長にわたる右側での標識が、内胚葉の背 側 部 分 、 脊 索 に 隣 接 す る 体 節 内 領 域 (F igs 6B-F, 7 E-K )お よ び CNS の 腹 側 領 域で確認された。右体節における染色領域の広さは、調節胚の右側の対応 領 域 と 似 た 。 GRP を 構 成 す る 細 胞 は 脊 索 の 腹 側 領 域 、 下 索 お よ び 脊 索 に 隣 接 す る 体 節 の 中 央 部 腹 側 領 域 に 参 入 す る (Shook et al. 200 4; Fig . 26 O, P ) 。 こ れ ら の 組 織 に つ い て は 、脊 索 の 腹 側 領 域 と 下 索 で は 両 側 で 標 識 が 見 ら れ 、 体節の中央領域では右側の標識が高率で見られたのに対し左側の標識はほ とんど観察されなかった。肝臓、前方内胚葉、前方側板および心臓原器か ら成る胚の腹側領域および頭部間充織でも、右側で比較的高率の標識が観 察された。 調節胚では、注目すべきことに、前方内中胚葉組織に由来する第一䚡嚢 よ り 前 方 の 内 胚 葉 (Figs. 6M, 7 B ’ ) 、 第 一 䚡 嚢 レ ベ ル の 最 も 腹 側 の 内 胚 葉 領 域 ( F i g . 7 C’ ) 、 肝 臓 (Figs . 6 O, 7E ’ ) 、 お よ び 脊 索 の 前 端 (Fig. 7C’ ) 24.

(27) の み が 、左 右 の い ず れ も 排 他 的 に RD に 由 来 す る こ と が 確 認 さ れ た 。こ れ は 、 R D ク ロ ー ン の 分 布 パ タ ー ン の う ち 、 最 も 前 方 で の も の で あ る 。つ ま り 、 R D 子孫の多くは、正常胚におけるものと同様に全胚葉で背側中心線に沿った 領 域 に 、 後 方 に 比 較 し て 前 方 で 、 広 い 領 域 に 高 率 で 分 布 し た (Fig s. 6M-R , 7A’ - K’ ) 。こ れ は 、頭 尾 軸 に 着 目 す る と 、正 常 胚 に お け る 分 布 パ タ ー ン と 同 様 で あ る 。し か し 、左 右 軸 に 着 目 す る と 、RD 子 孫 は 、正 常 胚 と は 異 な り 、 左側よりも右側で広い両域に高率で分布するものの両側で見られた。上記 の分布パターンは、内胚葉、体節、側板、中枢神経系および表皮で観察さ れた。脊索および下索では、この分布パターンは頭尾方向についてのみ、 見られた。頭尾軸方向への組織全長を通じての両側分布が、脊索、下索、 脊 索 に 隣 接 す る 両 体 節 内 領 域 お よ び C NS の 腹 側 領 域 で 見 ら れ た 。 た だ し 、 脊索および下索については、多くのレベルで左右間での分布の相違は検出 されなかった。これらの組織は胚軸構造の構成物であり、最初の三組織は GRP か ら の 派 生 物 で あ る 脊 索 の 腹 側 領 域 、 下 索 、 体 節 の 中 央 部 腹 側 領 域 (Shook et al., 20 04) を 含 む 。 脊 索 に 隣 接 す る 両 体 節 内 の 標 識 領 域 (Fig. 6N - R ) は 、 胚 表 面 の 細 胞 が 移 入 す る 領 域 (Fig. 4 in Shook et al., 2004) よりも背側に広かった。また、左側の標識領域は、いずれのレベルにおい ても、右側の標識領域よりも狭く細胞量も尐なかった。しかし、左側の標 識領域は組織全域またはほぼ全域を調査した 9 個体全てで検出された。組 織 全 長 を 通 じ て の 分 布 は 、 右 側 に お い て も 、 下 索 直 下 の 背 側 内 胚 葉 、 CN S および表皮の背側領域で見られた。両側での標識は、頭部間充織や胚の腹 側部分、つまり頭部および胴部の内胚葉、前方側板および心臓原器で確認 された。. 3-1-3. 腹側割球子孫は、三胚葉全てで腹側組織の多くを作る 25.

(28) 正 常 胚 の RV 子 孫 は 、 注 目 す べ き こ と に 、 第 一 䚡 嚢 よ り 前 方 の 内 胚 葉 ( F i g s . 6 G , 7M )、 第 一 䚡 嚢 レ ベ ル の 最 も 腹 側 の 内 胚 葉 領 域 (Fig. 7 N)、 肝 臓 ( F i g s . 6 I , 7P )お よ び 脊 索 (Figs . 6H -L, 7N-U, 8 A, B )で は 見 ら れ な か っ た 。 R V ク ロ ー ン の 多 く は 、右 側 に お い て 、 全 胚 葉 で 腹 側 組 織 の 主 要 部 分 お よ び い く つ か の 背 側 組 織 の 後 方 領 域 を 占 め た (Figs. 6 G-L, 7L-V) 。 こ れ ら の 領 域 は 、 背 中 線 に 沿 っ た RD 子 孫 に 富 む 領 域 以 外 の 組 織 領 域 か ら 成 っ た 。 全ての胚葉に由来する組織で、後方であるほど分布域は広く、クローンの 率は高かった。この分布パターンは、組織全長での標識が見られた体節、 前 腎 原 器 、 側 板 、 CNS お よ び 表 皮 だ け で な く 、 組 織 全 長 で の 標 識 が 見 ら れ な か っ た 内 胚 葉 で も 確 認 さ れ た 。胴 部 レ ベ ル の 下 索 で は 、RV 子 孫 が 極 低 率 な が ら も 観 察 さ れ た (Figs .. 7Q , S, T , 8 A)。 こ の よ う に 、 GRP の 派 生 組 織. で は 、 RV 子 孫 は 、 右 体 節 の 中 央 部 で は あ る 程 度 の 率 で 見 ら れ た が 、 下 索 、 脊索の腹側部および左体節の中央部では極めて低率であるか全く見られな かった。 調 節 胚 で は 、重 要 な こ と に 、RV 子 孫 は 、第 一 䚡 嚢 よ り 前 方 の 内 胚 葉 (Fig s . 6S, 7 M ’ ) 、第 一 䚡 嚢 レ ベ ル の 最 も 腹 側 の 内 胚 葉 領 域 (Fig. 7N ’ )、肝 臓 (Fig s . 6U , 7 P ’ ) お よ び 脊 索 先 端 部 (Fig. 7N ’ )で は 見 ら れ な か っ た 。 RV ク ロ ー ン の 分 布 パ タ ー ン は 、 各 組 織 で RD ク ロ ー ン の も の と 相 補 的 で あ っ た 。 RV 子 孫の多くは、背中線に沿った領域以外の部分に、頭尾軸についてみると正 常 胚 と 同 様 に 、前 方 に 比 較 し て 後 方 で 広 い 領 域 に 高 率 で 分 布 し た 。し か し 、 左右軸についてみると正常胚とは異なり、右側よりも左側で広い領域に高 率 で 分 布 し た (Fig s. 6S -X, 7 L’ -V’ ) 。 こ の 分 布 パ タ ー ン は 、 組 織 全 長 で の 標 識 が 両 側 で 見 ら れ た 体 節 、 CNS お よ び 表 皮 と 同 様 、 組 織 全 長 で の 標 識 が見られなかった内胚葉および側板でも見られた。下索および先端部を除 く 脊 索 で は 、正 常 胚 と は 異 な り 、か な り の 率 の RV 子 孫 が 観 察 さ れ た (Fig s . 26.

(29) 7O ’ - U ’ , 8 C- E) 。 GRP 起 源 の 細 胞 が 参 入 す る 脊 索 に 隣 接 し た 体 節 の 中 央 領 域 (Shook et al., 2004) で は 、 組 織 全 長 を 通 じ 、 RV の 率 が 、 調 節 胚 お よ び正常胚の右側におけるものより調節胚の左側におけるものの方が高かっ た 。 頭 部 間 充 織 で は 、 神 経 褶 起 源 の R V 子 孫 (Fig. 5 F, H )が 、 あ る 程 度 の 率 で 見 ら れ た (Fig. 7L ’ - O’ )。. 3-1-4. 尾芽胚各組織におけるクローン分布の変更. 内胚葉性組織. 調節胚において、最前方の内胚葉に由来する組織では、. 両 側 と も 排 他 的 に RD ク ロ ー ン に よ り 占 め ら れ 、 RV ク ロ ー ン は 見 ら れ な か っ た 。 こ れ ら の 組 織 は 、 肝 臓 (RD: n= 9 , Figs. 6O, 7 E’ ; RV: n= 9, Figs. 6U , 7P’ ) 、第 一 鰓 嚢 よ り も 前 方 の 内 胚 葉 (RD: n= 7, Figs. 6 M, 7 B’ ; RV: n=10, F i g s . 6 S , 7 M’ ) お よ び 第 一 鰓 嚢 レ ベ ル の 最 も 腹 側 の 内 胚 葉 領 域 (RD: n= 8 , F i g . 7 C ’ ; RV: n= 10 -11, Fig. 7N’ ) で あ る 。 下 索 と そ の 下 部 の 最 背 側 内 胚 葉 の 右 側 部 分 で の RD ク ロ ー ン の 率 は 、頭 尾 方 向 の 組 織 全 長 を 通 じ 、 正 常 胚 に お け る も の と 同 様 に (Figs. 6B- F, 7E-J (re c t a n g l e s )) 、上 記 の 内 胚 葉 領 域 を 除 く 内 胚 葉 領 域 に お け る も の と 同 等 か そ れ 以 上 で あ っ た ( n=6 -11, Figs. 6O- R, 7 E’ - J’ ( rectangles )) 。 下 索 で は 、組 織 全 域 で の RV ク ロ ー ン の 率 は 正 常 胚 に お け る も の よ り 高 く 、両 胚 種 間での相違は後方ほど顕著であった. (n= 7-10, Figs. 7 P-U, P’ -U’. (re c t a n g l e s ), 8C, D )。 下 索 下 の 最 背 側 内 胚 葉 で は 、 各 レ ベ ル で 、 調 節 胚 の 両 側 で の RD ク ロ ー ン の 率 の 合 計 と RV ク ロ ー ン の そ れ と の 比 は 、正 常 胚 右 側 で の RD ク ロ ー ン の 率 に 対 す る RV ク ロ ー ン の 率 の 比 と ほ ぼ 同 じ で あ っ た。 後 方 に 向 け て 観 察 し た と き 、RV 子 孫 の 内 胚 葉 へ の 参 入 が は じ め て 見 ら れ る の は 、正 常 胚 に お け る も の と は 異 な り 、左 側 で あ り 、 そ の レ ベ ル は 正 常 27.

(30) 胚 と 同 等 も し く は い く ぶ ん 前 方 の 第 一 鰓 嚢 (レ ベ ル 3) (Fig. 7N’ ) と 第 三 鰓 嚢 ( レ ベ ル 3 - 4 の 間 )の す ぐ 後 方 の 間 で あ っ た( n= 10- 11)。レ ベ ル 4 で は 、 R V 子 孫 は 正 常 胚 と 同 様 に 両 側 の 背 側 領 域 で 見 ら れ た が 、正 常 胚 と は 異 な り 、 左 側 で よ り 高 率 で あ っ た ( n=7 ,. Fig . 7O, O’ ) 。 さ ら に 後 方 を 観 察 す る に. 伴 い 、R V 子 孫 の 分 布 域 は 両 側 で 腹 側 に 広 が り (Fig s . 6T -X, 7 O’ -U’ ) 、 レ ベ ル 8 ま で は 右 側 よ り も 左 側 の 率 の 方 が 高 か っ た (n= 6-11,. Fig s. 6T-W ,. 7O’ - S’ ) 。 レ ベ ル 9 お よ び そ れ よ り 後 方 で は 、 RV ク ロ ー ン は 全 域 を 高 率 で 覆 っ た ( n= 7- 10,. Figs. 6X, 7 T’ -U ’ ) 。. 正 常 胚 の 最 前 方 の 内 胚 葉 で は 、RD ク ロ ー ン の み が 主 に 右 側 に 分 布 し 、R V 子 孫 は 見 ら れ な か っ た 。 こ れ に は 、 肝 臓 (RD: n=10, Figs. 6C, 7E; RV: n= 8 , F i g s . 6 I , 7P ) 、第 一 鰓 嚢 お よ び こ れ よ り 前 方 の 内 胚 葉 ( RD: n= 7, Fi gs. 6 A , 7B, C ; R V : n=10, Figs. 6G, 7 M, N ) が 該 当 す る 。 下索およびその下部の最背側内胚葉の右側では、後方ほど率が低下する も の の 、組 織 全 長 を 通 じ て RD 標 識 が 見 ら れ た (n= 6- 11,. Figs. 6 C-F, 7D-K )。. 下 索 の ほ と ん ど は RD に 由 来 し た (n= 7 -10,. Figs. 6C -E, 7E -J) が 、 胴 部. で ご く 低 率 の RV 子 孫 が 観 察 さ れ た ( n= 6-8 ,. Figs. 7Q -T, 8 A)。. R V 子 孫 が 最 も 前 方 で 見 ら れ た の は 、第 二 鰓 嚢 と 第 三 鰓 嚢 の す ぐ 後 方 の 間 の レ ベ ル の 右 背 側 に お い て で あ る (n= 8 ,. Fig. 7O)。後 方 に 向 け て 観 察 を 進. め る と 、 R V 標 識 は 腹 側 に 広 が り ( n=7- 9,. Figs. 6I - L, 7P- U) 、 こ れ に 対 応. し て R D 標 識 域 は 狭 く な っ た (Figs. 6 C-F, 7E-K) 。 脊索. 調 節 胚 の 脊 索 先 端 部 ( レ ベ ル 3 ) は 、 RD 子 孫 の み で 占 め ら れ た. (RD : n = 8 , Fig. 7C’ ; RV: n=1 3 , Fig. 7N’ ) 。 脊 索 の 全 域 は 主 に RD に 起 源 し た ( n =7 -11 , Figs. 6 N- R, 7 C’ -K ’ ) が 、 比 較 的 低 率 (2 0% 未 満 ) の R V クローンがレベル 4 の右側およびさらに後方のレベルの両側で認められ た ( n = 6 - 1 1 , Figs. 6 T, W, 7O’ - V’ , 8C- E) 。 脊 索 で の 調 査 を 実 施 し た 1 1 28.

(31) 個 体 全 て の 胚 で 、 RV 子 孫 が 検 出 さ れ た 。 正 常 胚 で は 、脊 索 全 域 で RD 子 孫 の み が 見 ら れ た ( RD: n=7- 11 , Figs. 6A-F , 7C - K ; R V : n =7 -8, Figs. 6H- L, 7N- V, 8A, B ) 。 全 て の レ ベ ル で 、 両 側 で の R D ク ロ ー ン の 率 の 差 は わ ず か で あ っ た ( Fig. 7C -K) 。 体節および前腎原基. 調 節 胚 で は 、RD ク ロ ー ン は 両 体 節 の 全 長 で 脊 索 に. 隣 接 す る 領 域 に 比 較 的 高 率 で 参 入 し た (n= 7-12, Figs. 6N- R, 7D’ - K’ ) 。 これらの領域は、原腸胚期の表層細胞が移入する領域よりも背側方向に広 か っ た ( F i gs. 6N - R; Fig. 4 in Shook et al., 2004) 。 ま た 、 両 ク ロ ー ン は、両側の全ての格子で検出された. ( RV: n=6 - 11 , Figs. 6N-R, T -X ,. 7D’ - K’ , O’ -V’ ) 。 右 側 体 節 で は 、調 節 胚 の 全 格 子 で R D ク ロ ー ン の 率 は 正 常 胚 の も の よ り 高 く 、 R V ク ロ ー ン の 率 は 正 常 胚 の も の よ り 低 か っ た (R D: n=7-1 2, Fig . D ’ - K ’ ; RV : n=7 -11 , Fig. O’ -V’ ) 。 い ず れ の ク ロ ー ン に つ い て も 、 両 胚 種 間 で の 各 格 子 で の 率 の 差 は 後 方 で 大 き か っ た (F ig s. 7D-K , O-V, D ’ - K’ , O’ - V’ ) 。 調 節 胚 の 左 体 節 に お い て も 、RD ク ロ ー ン は 、脊 索 に 隣 接 す る 領 域 に お い て、組織全長またはほぼ全長を調査した 9 個体の全てで確認された。ただ し 、 そ の 率 は 右 側 に お け る も の よ り 低 く 、 領 域 も や や 狭 か っ た (n= 7-12, F i g s . 6 N- R , E’ -K’ ) 。 RV 子 孫 は 、 左 体 節 の 多 く の 格 子 で 主 要 な 構 成 ク ロ ー ン で あ り (n= 6- 10, Fig. 7O’ - V’ ) 、 そ の 率 は 正 常 胚 の 右 側 体 節 (Fi g . 7O - V ) に 比 較 し て 高 か っ た 。 前腎原器におけるクローン分布は、前方体節の腹側領域と同様に変更さ れ た 。調 節 胚 で は 、右 側 原 器 は 正 常 胚 の そ れ よ り も 高 率 の RD ク ロ ー ン に よ っ て 占 め ら れ ( n=9 -11 , Figs. 6 C, O, 7E, E’ ) 、 左 側 原 器 は 主 に RV ク ロ ー ン に 起 源 し た (n= 9 -10 ,Figs. 6 U, 7P ’ ) 。 29.

(32) 正 常 胚 で は 、RD ク ロ ー ン は 右 側 体 節 全 長 に わ た り 脊 索 に 隣 接 す る 領 域 を 占 め た ( n =8 , Fig . 7 E-K) 。 こ の 領 域 も ま た 、 表 層 の 細 胞 が 移 入 す る 領 域 よ り も 背 側 方 向 に 広 か っ た ( Fig . 6 B-F; Fig. 4 in Shook et al., 200 4) 。 両子孫のほとんど全ては右側体節に分布し、両子孫は全ての格子で検出さ れ た ( F i g s . 6B -F, 7 D-K ; RV : n= 7- 11, Figs. 6H -L, 7 O-V) 。 こ の た め 、 こ の 側 で は 、脊 索 に 隣 接 す る 格 子 で の R V ク ロ ー ン の 率 は 、各 レ ベ ル で 他 の 格 子 よ り も 低 か っ た (Fig . 7 P-V) 。 右 側 の 前 腎 原 器 は 、そ の レ ベ ル の 体 節 の 腹 側 領 域 と 同 様 、尐 量 の RD 子 孫 と 共 に 主 に RV ク ロ ー ン に よ り 占 め ら れ た ( RD: n=6, Figs. 6C, 7E; RV : n=8 , F i g s . 6 I , 7 P) 。 い ず れ の 割 球 子 孫 も 、 左 側 体 節 で は ほ と ん ど 見 ら れ な か った。 側板および心臓原器. 調 節 胚 で は 、RD 子 孫 は 前 方 腹 側 領 域 の 両 側 に 高 率. で 参 入 し た 。RD ク ロ ー ン が 4 0% 以 上 の 率 で 占 め る 領 域 は 、前 方 か ら 正 常 胚 におけるものよりもわずかに後方のレベル 7 にまで達した。これらのレベ ル で は 、R D ク ロ ー ン に 富 む 領 域 は 、左 側 で は 腹 側 領 域 に 限 ら れ た の に 対 し 、 右 側 で は 全 域 に 及 ん だ (n= 6- 11 , Figs . 6 N -Q, 7 D’ -J’ ) 。 RV ク ロ ー ン の 率が高い領域は、右側より左側が高率である前方背側領域から、両側で率 を 上 げ な が ら 後 方 全 域 に ま で 及 ん だ (n =7- 11 , Figs. 6 T-W, 7O’ - U’ ) 。 心 臓 原 器 の 右 側 は 正 常 胚 と 同 様 に 主 に RD に 由 来 し た が 、 左 側 は RV か ら も 2 0 - 4 0% の 率 で 起 源 し た (R D: n= 6, Figs. 6N, 7D’ ; RV: n= 8 , Figs. 6T , 7O’ ) 。 正 常 胚 で は 、RD 子 孫 は 右 側 の 前 方 腹 側 領 域 に 高 率 で 参 入 し た 。側 板 お よ び心臓原器では、各クローンの多くは右側で見られた。レベル 6 およびさ ら に 前 方 を 観 察 す る ほ ど 、40% 以 上 の RD ク ロ ー ン の 領 域 は 腹 側 に 位 置 し な が ら も 背 方 に 拡 大 し た (n= 9- 10, Figs . 6 B-E, 7D- J ) 。 対 称 的 に 、 高 率 で 30.

(33) R V ク ロ ー ン を 含 む 領 域 は 、右 側 の 前 方 背 側 部 域 か ら 率 を 上 げ な が ら 右 側 の 後 方 全 域 に ま で 及 ん だ ( n= 7-9 , Figs. 6H- K, 7O- U) 。 心 臓 原 器 の 右 側 は 、 尐 量 の RV 子 孫 と 多 く の RD ク ロ ー ン か ら 成 っ た (RD : n = 9 , F i g s . 6B, 7 D; RV: n=8 , Figs. 6H, 7O) 。 頭部間充織. 調 節 胚 で は 、RD 子 孫 の 率 は RV 子 孫 の 率 よ り も 右 側 で 高 く 、. 左 側 で は 低 か っ た 。ま た 、右 側 で の R D 子 孫 の 率 は 、正 常 胚 に お け る も の よ り も 高 か っ た 。 い ず れ の 側 で も 、 RD ク ロ ー ン に 対 す る RV ク ロ ー ン の 率 の 割合は、正常胚におけるものと同様、レベル 1 と 4 の間で、ほとんど同じ で あ っ た (R D: n= 7- 8, Figs. 6M, N, 7 A’ - D’ ; RV: n=6 -10 , Figs. 6 S, T , 7L’ - O ’ ) 。こ れ ら の レ ベ ル で は 、調 節 胚 で の RD ク ロ ー ン 両 側 で の 率 の 合 計 と RV ク ロ ー ン の そ れ と の 割 合 は 、 正 常 胚 に お け る も の と 似 た 。 正 常 胚 で は 、 RD 子 孫 の 率 は 、 レ ベ ル 1 と 4 の 間 で は 両 側 で 、 RV 子 孫 の 率よりも高かった。ただし、両子孫の多くは右側で見られた。右側では、 こ れ ら の レ ベ ル の 間 で 、 RD ク ロ ー ン の 率 と RV ク ロ ー ン の 率 の 割 合 は ほ と ん ど 同 じ で あ っ た (R D: n= 6- 9, Figs. 6 A, B, 7A- D; RV: n=7 -8 , Figs. 6 G , H, 7L-O) 。 中枢神経系. 調 節 胚 で は 、RD は 右 側 全 域 お よ び 左 側 の 腹 側 領 域 で 主 要 な. 構 成 割 球 と し て 頭 尾 軸 に 沿 っ て 分 布 し た 。右 側 で は 、RD 子 孫 は 正 常 胚 と 同 様のパターンで分布したが、正常胚におけるものより前方かつ背側により 広 く 見 ら れ た 。 最 も 背 側 の 格 子 で は 、 RD 子 孫 の 率 は 、組 織 を 通 じ て よ り 腹 側 に 位 置 す る 格 子 に お け る も の よ り い く ぶ ん 低 く (n= 7-12 , Figs. 6M-R, 7A’ - K’ ) 、い く ら か の RV 子 孫 が 見 ら れ た (n=6 -14, Fig s. 6S- X, 7L’ - V’ ) 。 前 中 脳 に お い て は 、 5% 以 上 の RV 子 孫 が 腹 側 の 格 子 に お い て も 検 出 さ れ た (n= 6 - 1 4 , Fig s . 6 S- X, 7L’ - V’ ) 。 こ れ は 、 神 経 胚 の 調 査 で は 明 ら か で は な か っ た ( Fig . 5F , H) 。 31.

(34) 左 側 で は 、 RD お よ び RV 子 孫 は 全 格 子 で 検 出 さ れ た 。 よ り 前 方 か つ 腹 側 の 格 子 ほ ど 、RD 子 孫 の 率 が 高 か っ た 。こ の た め 、RD 子 孫 は 、レ ベ ル 1 で の 背腹の格子および組織全長を通じて最も腹側の格子の主要な構成クローン で あ っ た ( Fig s . 6 M- R, 7 A’ -K’ ) 。 正 常 胚 で は 、 RD (n= 6 -10) お よ び RV (n= 6 -8)ク ロ ー ン は 、 組 織 右 側 に お い て頭尾方向全長で、各々主に腹側および背側領域に分布した。右側では、 R D 子 孫 の ほ と ん ど と RV 子 孫 の 全 て が 見 ら れ た 。 RD ク ロ ー ン は 、 全 格 子 で 検出され、脳、網膜、レベル 6 とこれより前方の脊髄、およびこれから続 く脊髄の全長において、後方ほど背側での率を減じながらも主要な構成ク ロ ー ン と し て 観 察 さ れ た (Figs. 6A- F, 7A - K)。 RV 子 孫 は 組 織 全 長 を 通 じ て見られたが、背側領域に制限され、前方よりも後方で率が高かった。ま た 、 い く ら か の 腹 側 格 子 で も 尐 数 の 細 胞 が 見 ら れ た (Figs. 6G-L, 7L -V)。 正 常 尾 芽 胚 の 左 側 で は 、 RD 子 孫 の 参 入 が 、 初 期 神 経 胚 (Fig . 5A, C )と は 異 な り 、前 中 脳 お よ び 網 膜 の 腹 側 領 域 で 認 め ら れ た (Figs. 6A, B, 7A -C)。 前 中 脳 の 背 側 領 域 お よ び 中 脳 よ り も 後 方 の い く つ か の 腹 側 格 子 で も 、RD 子 孫 が 5 % 未 満 の 率 で 見 ら れ た (Figs. 6 A- F, 7A -K)。 表皮. 調 節 胚 で は 、RV 子 孫 は 表 皮 全 域 に 分 布 し た ( n=7-1 2, Figs. 6S-X ,. 7L’ - V’ ) 。右 側 で は 、両 ク ロ ー ン の 分 布 パ タ ー ン は 正 常 胚 に お け る も の に か な り 似 た 。 8 0% 以 上 の RV 標 識 を 示 す 格 子 は 、 後 方 腹 側 領 域 に 位 置 し た 。 比 較 的 高 い RD 率 を 示 す 格 子 は 、主 に 前 方 背 側 に 位 置 し た が 、正 常 胚 に お け る も の よ り 後 方 か つ 腹 側 方 向 に 及 ん だ (n= 7 -12, Figs. 6M-R, 7A’ -K’ ) 。 左 側 で は 、 RV 子 孫 は 全 域 を 覆 っ た 。 さ ら に 、 8 0% 以 上 の 率 の 格 子 は 右 側 におけるものよりさらに前方にまで位置し、レベル 5 およびこれより後方 の 全 域 を 占 め た (Figs. 6S -X, 7 L’ - V ’ ) 。 レ ベ ル 1 の 全 域 お よ び こ れ に 続 く 頭 部 の 腹 側 領 域 は 、 高 率 の RD を 示 す 右 側 前 方 腹 側 領 域 か ら 連 続 す る 領 32.

(35) 域 と し て 、 比 較 的 低 率 の RD 子 孫 が 見 ら れ た (Fig . 7A’ -K’ ) 。 正 常 胚 で は 、RV 子 孫 は 表 皮 の 右 側 全 域 に 分 布 し た 。右 側 で は 、RD お よ び R V 子 孫 の ほ と ん ど が 分 布 し た (Fig s. 6A - L, 7 A-V)。 RD ク ロ ー ン が か な り の 率 で 頭 部 の 全 域 で 検 出 さ れ (n= 6-10, Figs. 6A- F, 7A -K)、 80% 以 上 の R V 標 識 が 腹 部 お よ び 尾 部 の 全 域 で 見 ら れ た ( n= 7-8, Figs. 6G- L, 7L -V) 。 左 側 で は 、散 在 す る 標 識 子 孫 が 、RD の も の に つ い て は 前 方 腹 側 で (Figs. 6A - F , 7 A - K) 、 RV の も の に つ い て は 胴 尾 部 の 腹 側 で (Figs. 6G-L, 7L -V)見 られた。. 3-2. 8細 胞 期 背 側 割 球 の 隣 に 腹 側 割 球 を 移 植 し た 胚 で の 腹. 側割球子孫の運命変更 K a g e u r a and Yamana (1986) の 割 球 移 植 実 験 で は 、 背 側 割 球 に よ っ て 腹 側 割球を置き換えた胚は重複胚を形成し、その二次胚の軸構造は移植された 動物極背側割球により作られていることが示された。このことから、背側 割球は新しいオリエンテーションに応じて発生することができないと結論 される。一方、腹側割球の背側の位置への移植は、パターン形成に影響が な か っ た ( Kageura and Yamana, 1986) 。 腹 側 割 球 が 背 側 割 球 と の 相 互 作 用 により運命を変更するかどうかを明らかにするため、8 細胞期の背側割球 の隣に腹側割球を移植し、子孫細胞を追跡した。この目的のため、二種の 移植胚を作成した。 一 方 の 移 植 胚 は 、 8 細 胞 期 X. laevi s 胚 の 左 腹 側 割 球 を 動 物 極 側 お よ び 植 物 極 側 割 球 の い ず れ も 細 胞 系 譜 ト レ ー サ ー Dextran Oregon Green 488 に より標識し、これを無標識の 8 細胞期胚の 2 個の右背側割球と置き換えた も の で あ る( Fig. 9C )。こ の 胚 に お い て は 、移 植 さ れ た 左 腹 側 割 球 の 背 腹 、 左右のオリエンテーションは逆転している。この移植胚の多くは、正常な 33.

参照

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