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岩手医科大学歯学部口腔微生物学講座      (主任:金子克教授)

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(1)

岩医大歯誌 21:271−285,1996 271

ロ腔からのノlb鋤mρ砺αの分離と抗菌薬感受性

       田近 志保子

岩手医科大学歯学部口腔微生物学講座      (主任:金子克教授)

    (受付:19961年10月18日)

    (受理:1996年11月29日)

  Abstract:The isolation medium for/1bゴo πψ厄α, the isolation ratio of∠肋ゴo π功Mαfrom saliva and dental plaque of healthy adults, production of dextran and protease, and antimicrobial susceptibility of/1bゴoれ4)厄αwere studied. The most appropriate medium for isolation of

.4bio π功万αwas a double−layer agar plate made with a base layer of Columbia agar and a top layer of Columbia agar containing heat−killed」協cπ)co6cμs吻ρμ5 to reach the optical density of 2.Ounits,

pyridoxal and cysteine. Samples were taken from 93 healthy young human. Out of these human subjects,72 strains of、4bτoτπ〜助iα(77.4%)were isolated from saliva and dental plaque each. No isolation was observed in three human subjects. This suggests that/1加oZπ〜ρ厄αconsists of normal flora in oral cavity. When 423 isolated劫ゴo 鋤力ゴαstrains were identified,1920f the 212 strains from saliva were/1.α4勿cθηs(90.6%), and 20(9.4%)were.4.4φcど⑫α. Of the 211strains from dental plaque,180 were/1.α協αc¢ηs(85.3%)and 31(14.7%)were/1.∂φc 初α. All of the strains produced dextran, and 28.7%of/1.α4泌cθηs and 66.7%of.4.ばφcτ初αproduced protease. By the examination of the antimicrobial susceptibilities of 22 agents of the 92 strains of、4bゴo η)ρ砺α. both/1.α協αcθηs and/1.ばφc 初αwere high susceptible to antimicrobial agents tested:benzylpenicillin, ampicillin,

amoxicillin, aspoxicillin, cephalexin, cefazolin, cefotaxime, cefpirome, flomoxef, erythromycin,

leucomycin and clindamycin. To imipenem/cilastaUn, streptomycin, gentamicin, Uncomycin and vancomycin,.4.α碗αcεηs were lower than/1.ゴφα肋. Minimum bactericidal concentration/

minimum inhibitory concentration ratio≧20ccurred in benzylpenicillin. This indicates no penicillin tolerant strains were found.

 Key words

susceptibility

・4翻oZπ功Mα αd乞αc¢ηs,.4. dφcε勿α, oral cavity, distribution, antimicrobial

緒 言

  肋伽γqρ厄αはこれまで口腔レンサ球菌の菌 種としてS舵ρτOCOCCμSα砺αCθηSとS.4φC 鋤S

の2菌種1 2)に分類されていた。1995年 Kawamuraら3)により S.α⑳αcθηsとS.

∂φc 励sの16SリボゾームRNAの塩基配

列の検討から,これら2菌種を新たに

Abゴo励劫ω属に分類することが提唱され,、4.

α硯αcθηsと、4.4φo吻αの2菌種に分類され た。、肋τo励ρ厄α属はヒトの口腔内に常在4 5)

し,臨床的には細菌性心内膜炎,敗血症,結膜 炎,中耳炎,膵膿瘍,創傷感染などの感染症か ら分離されるが,とくに細菌性心内膜炎の起炎

The isolation and the antimicrobial susceptibility of A函oτπ功厄αfrom oral cavity.

Shihoko TAJIKA

(Department of Microbiology, School of Dentistry, Iwate Medical University, Morioka,020 Japan)

岩手県盛岡市中央通1丁目3−27(〒020) Z)¢ηLノ∫ωα θ」しfεd!.乙7カ∠τノ. 21 :271−285, 1996

(2)

272 田近 志保r 菌2 6〜8)としてあげられ話題になっている。

 細菌学的にAbioτroρ加αは通性嫌気 性菌で発 育にpyridoxalやL−cysteineを要求する特異 な栄養要求性を有し,培養が困難であるところ から通称nutritionally variant streptococci

(NVS)ともいわれた。また,、4bτo〃oρMαは他 の口腔レンサ球菌と比較して培地上でのコロ ニーが微小でわかりにくく,分離が困難であっ た。そのため細菌性心内膜炎患者からの血液培 養にさいし,増菌用のチオグリコレート培地に

は増殖するが,血液寒天培地には発育しない。

したがって,細菌性心内膜炎が疑われながらも 起炎菌の同定ができず,いわゆる培養陰性の心 内膜炎としてあつかわれ,起炎菌不明のまま 肋ゴo物ρ厄αを見逃していたケースもあったと 考えられる。こうした現況より,検査室で誰に でも容易に肋伽γoρ加αを分離できる培地の開 発が望まれている。

 本研究においては,Pompeiら9)の溶菌活性 を指標にした、4b伽γoρMαの分離培地について 基礎的検討を行い,、4b碗γoρ加α分離のたあに 最も適した培地の条件を見いだし,健康成人の 唾液と歯垢から肋伽γo助辺の分離を試みた。

菌種の同定は生化学的性状検査に加え,

DNA−DNAハイプリダイゼーションによる菌

種の同定も行った。また,、4bゴ〆roρ加αの病原 因子と考えられているデキストラン産生とプロ テアーゼ産生1①を分離菌にっいて検討した。近 年ペニシリン耐性の肋伽γ0ρMαやペニシリン トレランスな.肋伽γoρ加αが臨床上問題となっ ている1同ωところから、4bfαγ0ρMα分離株にっ いてペニシリン系をはじめセフェム系,カルバ ペネム系,アミノグリコシド系,マクロライド 系など各種抗菌薬感受性試験も行ったので報告

する。

材料と方法

1.材料

 健康成人93名 (20歳から27歳の男子81名 と20歳から25歳の女子22名)の唾液と歯垢

(人臼歯歯頸部から滅菌っま楊枝を用いて採取)

Fig.1. Satellitism of、4bゴo γo助ゴα, around a helper    culuture of Sταρノ2yZococcμs αμγρμs on a    trypticase soy agar plate.

を材料とした。

2.使用菌株

 、4bio γoρ厄αの分離と菌種の同定に

.4b乞o〃oρ万α α力αc¢η8 (ATCC 49175T),ノ1.

碗たc 初α(ATCC 49176T),ルfゴcγococcμs Z砿θμs

(ATCC 9341), S〜αρ吻↓ococcμsαμγ¢μs(ATCC 25923)を用いた。

3.、4b乞αγoρ万α分離培地の検討

 基礎培地としてコロンビア寒天培地(BBL),

ブルセラHK寒天培地(極東), Todd Hewitt broth(Difco)に寒天を加えたTodd Hewitt 寒天培地を用い,pyridoxal hydrochloride(和 光純薬)10μg/mlとL・cysteine hydrochloride

(関東化学)200ρg/mlをそれぞれの培地に添加 した。また,.肪鋤γoρ厄αの溶菌活性の指標と

してM肋飽sの加熱死菌を600nmのOD値

が1.0,2.0,4.0となるように調整し,それぞれ

(3)

、4bioτ70ρMαの分離と抗菌薬感受性 273 Table l. Characterization of/1 biof声o助毎α4勿c¢ηs and∠4.∂φα初αby biochemical tests.

Test A.αd勿cθπs ノ1.4φc在〃α

Fermentation of  Trehalose  Inulin  Lactose  Raffinose Hydrolysis of  Starch

Enzyme production of  α一Galactosidase  β一Galactosidase  β一Glucuronidase  β一Glucosidase

 Pyrrolidonyl arylamidase  Leucine aminopeptidase Presence of

 Chromophore

±

±

± 十

±

±

十 十 十 十

の培地に加え検討した。

 すなわちM鋤θμs加熱死菌を加えた培地を 直接シャーレ(直径90㎜)に流した単層平板培 地と,はじめに基礎培地を流し固めた上にM 吻¢μs加熱死菌を含む同じ培地を5ml重層した 重層平板培地を作製した。

4.培養条件

 好気培養,ろうそく培養,嫌気培養(ガス パック,BBL)の各培養方法で37℃,48時間培 養した。

5.Ab鋤mρ厄αの確認と菌種の同定

(1)AbτoZ70ρMαの確認

 Abτo γo助 αはグラム陽性球菌で, pyridoxal hydrochloride(10ρg/ml)とLcysteine hydro・

chloride(200ρg/ml)を加えた羊血液寒天培地 上で発育し,コロニーは小さくα溶血を示す。

また,1ぱZ砿醐sに対して溶菌活性を示し,さら に衛星現象[Abゴo励ρ厄αをtrypticase soy寒

天培地(TSA, BBL)に塗布した後,&α伽%s を直線状に塗布し培養すると&α協¢μsのコロ ニー 周囲に肋伽ro助iαが発育する現象]

(Fig.1)がみられる。カタラーゼ陰性,バンコ マイシン(30μg/ml)感受性などの諸性状を確 認した。

(2)生化学的性状検査による菌種の同定  Table 1に示した生化学的性状について1516)

ミニテックディスク(BBL)を用い,トレハ ロース,イヌリン,ラクトース,ラフィノース の発酵,デンプンの加水分解,β一ガラクトシ ダーゼ,ピロリドニールアリルアミダーゼ,ロ イシンアミノペプチダーゼの産生について検討

した。

 また,α一ガラクトシダーゼ,β一グルクロ ニダーゼ,β一グルコシダーゼ産生はWhiley ら17)の蛍光基質を用いた蛍光発色法により検討

した。

(4)

274 田近志保子

Table 2. Bacteriolytic activities and optical density ofル露cグococcμs↓泌■μ8 used in isolation of∠4屍o勃oρ加α

Optical density(600 nm)

Medium Mono or double−layer

1.0 2.0 4.0

Columbia agar Mono−layer Double−layer

×

×

Brucella HK agar Mono−layer Double−layer

× ×

×

×

Todd Hewitt agar Mono−layer Double−layer

×

×

×

×

Bacteriolytic activities :

× not observed

◎clearly positive,Ocertainly positive,△weakly positive;

(3)クロモフォア産生

 Steinらの方法18)に従い, Abioττo助抱を pyridoxal hydrochloride  (10μ9/ml),  L cysteine hydrochloride(200μg/ml)を含む5 mlのTodd Hewitt brothで37℃,24時間,嫌 気培養して遠心分離した菌体に2NHCI100μ1 を加え,100℃,5分間加熱して菌液がピンクに 発色したものをクロモフォア産生とした。

(4)DNA−DNAハイブリダイゼーションによる  菌種の同定

 Ezakiらの方法19)に従いDNAを抽出し,

Mclnnesらの方法20)でフォトビオチンを標識し た基準株DNAを用いて, DNA・DNAハイブリ ダイゼーション21・22)を行い,基準株DNAとの 相同性が70%以上を示した分離株を同一菌

種23)とした。

6.デキストランおよびプロテアーゼの産生

(1)デキストラン産生

 ∠4腕砿γoρ厄αを5%sucroseとpyridoxal hydrochloride(10μg/ml), L−cysteine hydro−

chloride(200μg/ml)を含む5mlのTodd

Hewitt brothで37℃,48時間,嫌気培養し,

培養液に3倍量のエタノールを加えて沈殿がで

きたものをデキストラン産生とした2%

 ② プロテァーゼ産生

 Kregerらの方法お)に従いA励励ρん毎の培 養上清47.5μ1にアゾカゼイン(10㎎/ml,シグ マ)を含むTris−HCI緩衝液(pH 8.0)27.5μ1を 加えて37℃,12時間インキュベートした。そし て反応した液に15%トリクロル酢酸25μ1を加 え,遠心分離後,上清50μ1を試験管にとり,0.5 N NaOH 50μ1を加えて440 nmの吸光度を分 光光度計(DU・65,ベックマン)で測定した。

対照として、肋伽γoρMα培養上清にかえて Tris−HCI緩衝液(pH 8.0)を加えて測定した吸 光度を0とし,対照に比して,高値を示したも のをプロテアーゼ産生とした。

7.抗菌薬感受性試験

 Minimum inhibitory concentration(MIC)

の測定は唾液,歯垢より分離した.A.α直αcθηs 81株,A.4φc 勿α11株の合計92株にっいて日 本化学療法学会標準法に基づく微量液体希釈法 により測定した加)。培地はNCCLS27)に従い Todd Hewitt brothにpyridoxal hydrochlo−

ride(10μg/ml)とL−cysteine hydrochloride

(200μg/mDを添加したものを用いた。

(5)

Ab碗γoρ厄αの分離と抗菌薬感受性  Minimun bactericidal concentration(MBC)

の測定2醐はMIC測定後,発育の見られなかっ たマイクロプレートのwellから10μ1ずっとり

滅菌生理食塩水で100倍に希釈して,

pyridoxal hydrochloride(10μg/ml)を添加 したチョコレート寒天培地に接種し,37℃,24 時間,嫌気培養後のコロニーを数えて,接種菌 量の99.9%以上を殺菌した最小濃度をMBC

とした。

 使用抗菌薬:ペニシリン系はベンジルペニシ リン(PCG,万有),クロキサシリン(MCIPC,

明治),アンピシリン(ABPC,武田),アモキシ シリン(AMPC,藤沢),アスポキシシリン

(ASPC,田辺),セフェム系はセファレキシン

(CEX, シオノギ),セファゾリン (CEZ,藤 沢),セフォタキシム(CTX,ヘキスト),セフ チゾキシム(CZX,藤沢),セフタジジム(CAZ,

日本グラクソ),セブピロム(CPR, H本ヘキス

ト・マリオン・ルセル),フロモキセブ

(FMOX,シオノギ)を用いた。また,カルバペ ネム系はイミペネム/シラスタチン(IPM/CS,

万有),パニペネム/ベタミプロン(PAPM/BP,

三共),メロペネム(MEPM,住友),アミノグ リコシド系はストレプトマイシン(SM,明 治),ゲンタマイシン(GM,シェーりング・プ ラウ),マクロライド系はエリスロマイシン

(EM,大日本製薬),ロイコマイシン(LM,旭 化成),リンコマイシン系はリンコマイシン

(LCM,ファルマシア・アップジョン),クリン ダマイシン(CLDM,ファルマシア・アップ ジョン),ポリペプチド系はバンコマイシン

(VCM,シグマ)の合計22抗菌薬を用いた。

結 果

1.Aわ碗アoρ加α分離培地の検討

 Table 2に示すように、4bfoτγoρ加αの溶菌活 性を明瞭に観察できたのは,pyridoxal hydro−

chloride(10μ9/mDとL−cysteine hydrochlo−

ride(200μg/ml)を添加したコロンビア寒天培 地にMIμrθμs加熱死菌をOD値が2.0となる

ように加え,重層した培地(MLC寒天培地)で

275

Fig.2. Bacteriolytic activity of/1bτoヵoρ厄αon a    Micτococcμsω θμs double layer Columbia    agar Plate, containing optical density of    2.Ounits of heat−killed M,〜τπθμs.

あった。

 コロンビア寒天培地を用いた単層培地,ブル セラHK培地やTodd Hewitt寒天培地では

、4b乞o τoρ加αの溶菌活性が不明瞭あるいは観察 できなかった。

 Fig.2に、4bfo γoρMαの溶菌活性を示した。

コロニーの周囲が溶菌し透明帯が観察された。

Fig3は分離培地に材料を塗抹して培養したも

のを示した。矢印で示したコロニーが

Abゴoぴoρ万αで,他の菌に比べ小さいがコロ ニーの周囲に透明帯が観察でき溶菌活性を認め

た。

2.培養条件

 、肋碗70ρ厄αは好気培養,ろうそく培養,嫌 気培養のいずれの培養方法でも発育が認められ 通性嫌気性菌であることが確認できた。しか

し,好気培養とろうそく培養では発育が悪、く,

(6)

276 田近 志保了

Fig.3. Culture of a sample on a Micγococczzs    ω εμ∫ double−layer agar plate. Pinpoint    colonies surrounded by a halo are strains    of.4bτoεγoρ力辺 that produce bacteriolytic    activity on M, μτθμ∫.

コロニーを観察することが困難であった。一 方,ガスパックによる嫌気培養では発育が良好 で,コロニーや溶菌活性を明確に観察すること ができた。

3.唾液,歯垢中の.4b伽γoρ厄αの定量  MLC寒天培地を川いた嫌気培養で健康成人 93名のうち,17名について唾液,歯垢中の総菌 数と、4bio〃oρ万αの菌数定量の結果をTabIe 3 に示した。唾液では総菌数が7.0×107CFU/

mlから2.2×109 CFU/mlで,平均4.9×108 CFU/mlであり,、4万o γoρんiαは3.0×10;)

CFU/mlから1.5×107CFU/mlで,平均4.4×

106CFU/mlであった。歯垢では総菌数が1.2×

106CFU/mgから2.0×108CFU/mgで, P均

3.1×10了CFU/mgであり,、4加oτmρ厄αが6.3

×103CFU/mgから1.2×106 CFU/mgで,・P均 2.1×105CFU/mgであった。総菌数のうち

.4bioぴoρ厄αの占める比率は唾液では0.9%,歯 垢では0.7%であった。

 また,、4励彦γoρMα以外の細菌種は口腔レン

サ球菌属のS.Sαηg砿s, S.アη仇s, S. Sα伽αγ批S やブドウ球菌属のS.α抑θμs,S.鋤∂θηm直s,

S.ωoγηeγiそして嫌気性菌のBαc彪アo掘¢sspp.,

γei oηε α  spp.,  Pρ1) os γε1)τOcoCCμs spp,

Pθρ ococcμsη簗θγなどであった。

4.溶菌活性を示す細菌の分離と同定

 Table 4のように健康成人93名の唾液93検体 のうち72検体から,歯垢は93検体のうち72検体 から、肋伽γoρ厄αを分離でき,いずれの材料か

らも77.4%の分離率であった。また,Table 5 にII垂液と歯垢各72検体から1検体あたり5コ ロニー釣菌し,Abゴo γoρ厄αと確認できた423 株の同定結果を示した。唾液由来の212株は Aα直αcθηsが192株(90.6%),A∂φd初αが 20株(9.4%)であった。歯垢由来の211株では Aα直αcoηsが180株(85.3%),.4.4φcz初αが 31株(14.7%)であった。、4bio劾oρ万α分離株

(423株)の87.9%が、4.αdταcθηsで,12.1%が A.鹿允c伽αであり,口腔内から、4.α直αcθη∫

が高率に分離できた。また,健康成人93名の唾 液と歯垢中のA伽伽ρん勿の菌種別分布をみる と,唾液からA.α由αc勿sが分離できたのは66 名,歯垢からは63名であった。また,、4.

吻允α初αが唾液から分離できたのは6名,歯 垢から分離できたのは9名であった。いずれの 菌種も唾液と歯垢中にはほぼ同程度に分布して いた。 また, 同一人から、4.α直αceηsと、4.

4φc励αの両菌種を分離できたのは3名で

あった。

5.生化学的性状検査で同定した、肋碗γo助勿

 分離株のDNA−DNA相同性

 基準株A.α直αcρηs(ATCC 49175↑)および

.4.∂ψ〜cど初α(ATCC 49176T)のDNAと、4.

α磁αcθηs,・4.鹿兜c励αの分離株,各5株ずっ

のDNA相同性をTable 6に示した。

、肪τ砿mρ励αの基準株との相同性をそれぞれ

(7)

、肋ゴo励助辺の分離と抗菌薬感受性 277 Table 3.∠4ωo批ψ厄αand total bacterial number in saliva and dental plaque of 93 healthy young human        subjects.

Number of  human

 subjects

Bacterial number of saliva(CFU/皿D

Ab o〃て)ρんω Tota1

Bacterial number of dental plaque(CFU/㎎)

ノlbゴ0カ℃ρ力毎 Total

1234567891011121314151617 3.0×105

2.8×106 4.0×106 1.9×106 2.5×106 1.5×107 7.5×105 6.8×106 3.8×105 1.0×107 1.1×106 1、1×107 4.0×106 4.5×105 6.0×105 1.2×107 1.4×106

7.0×107 1.3×108 3.2×108 1.2×108 3.8×108 8.0×108 1.6×108 6.6×108 1.1×108 2.2×109 1.1×108 1.3×109 2.6×108 8.6×108 1.3×108 4.8×108 2.6×108

1.1×105 2.8×105 1.6×105 6.3×104 2.5×104 5.5×104 8.3×103 8.3×104 8.3×104 5、2×104 9.0×104 5.0×105 6.3×103 3.5×104 8.0×105 6.5×104 1.2×106

6、8×106 3、2×107 8.4×106 1.6×107 8.8×106 2.4×106 3.6×106 3.2×107 1.3×107 1.1×107 1.4×107 7.6×107 1.2×106 5.8×106 7.4×107 7.6×106 2.0×108

Mean

十S.D.

 4.4×106

←4.7×106

 4.9×108

ト5.6×106

 2.1×105

+3.3×106

 3.1×107 十4.9×106 Each sample was inoculated on.M Zμ彪μs double layer agar plates, and cultured 37℃for 48h.

S.D.:Standard deviation

Table 4. Isolation number and rate of∠4b乞o抗功み勿μ1.α碗αceηs and∠4. dφα初∂from saliva and dental        plaque of 93 healthy young human subjects.

Samples(number) Abio γ呼)ん α(%) A.α4づα(沼ηs(%) A.ζ1ψ2Cκむα(%)

Saliva(93) 72(77.4) 66(71.0) 6(6.5)

Dental plaque(93) 72(77.4) 63(67.7) 9(9.7)

100%とすると,A.α吻c¢ηs分離株の2から 6はA.α4ταcεηs基準株と77%から94%の相 同性を示し,A.α漉αCθηSと同定できた。一方,

A.dφc励α基準株とは6%から7%でA.

4φc励αとは異種であることが確認できた。

  また,A.4φc吻α分離株の8から12はA.

4φcτ勿α基準株と76%から91%の相同性

を示しA.4φc励αと同定できた。一方,A.

(8)

 278

Table 5. Isolation number and rate of       plaque.

   田近 志保子

A碗o〃0ρカiαα4iαcθηs and ∠4.dφc吻αfrom saliva and dental

Sample(number of strains) A、αば勿Cθη8(%) ノ1.dφC 勿α(%)

Saliva (212 srtains)

Denta】plaque (211 strains)

192(90.6)

180(85.3)

20(9、4)

31(14.7)

Total(423 strains) 372(87.9) 51(12.1)

Table 6. Percentage of DNA−DNA homology between Ab乞o〃qρカiαstrains.

Percentage of hybridization to plate−bound DNA Biotin labeled DNA

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

∠4.αdiαcθηs(ATCC 49175T)

.4.4φcτ初α(ATCC 49176T)

100

6 77

7 94

6 90

7

83

7

78 7

6 100

6

91 6

85 7

76 6

93 7

84

*1:DNA of/1.α協αcθηs(ATCC 49175T), 2〜6:DNA of isolated/1.α由αcθηs strains.,

 7:DNA of∠4.∂φcτ勿α(ATCC 49176T), 8〜12:DNA of isolated/1.4φα⑫αstrains.

Table 7. Percentage of /1 bioτπ4)カゴα α直αcρηs and       production of dextran and protease.

ノL∂φc励α strains with positive reactions for

Percentage of positive strains Test

∠4.α4ゼαcθηs(n=129) A.dφcZ初α(n=15)

Production of    Dextran    Protease

100.0 28.7

100.0 66.7

α4iαcθηsの基準株とは6%から7%の相同性を 示し異種であることが確認できた。

6.デキストランおよびプロテアーゼ産生  Table 7にAbゴo励ρ万αを分離iできた唾液,

歯垢の各材料から1株ずっ選んだ144株(・4.

α伽ceηs 129株,、4.4φcz鋤15株)のデキス

トランとプロテアーゼ産生の結果を示した。デ

キストランはA.α磁αcθηs,ノ1.dφcε初αいずれ

(9)

肋伽γo助勿の分離と抗菌薬感受性 279 Table 8. Susceptibilities of isolates.4b o πψん緬oば扱cθηs(81 strains)to antimicrobial agents.

Anti−

microbial

agents  O.03 0.06

MIC(㎏/ml)

0.125 0。25  0.5 1 2 4 8 16 32 64

MIC50

(階/皿1)

MICgo

(μ9/ml)

PCG MCIPC ABPC AMPC ASPC

13 39

q∨9白方0

ρ

0︵0 29

80∨7 1QO 10

37 1

7 59 15

0.06 2 0.06 0、06 0.125

0.125 4 0.25 0.125 0.25

CEX CEZ CTX CZX CAZ CPR

FMOX 11 59

ll

40∨ 2

80∨ QUl 1り白

2

0032 δ5 11

l l 14

りり  1

28  52

1

9  16

07

3 72

0 0

00V  りムリ臼

32 29 8

0.5 2 32 4

0.5

0.125 8 2 8 64 16 4 0.25

IPM/CS PAPM/BP

MEPM

り臼3り臼 874 2 0 0 85 qU−﹂仕 16 7  28 27   2

81

1

2 0.5

2 0.5

142

M M

SG 7  47

5  45 16 31

11 22 84

M M

EL 78 30V 1

22 30 7 3

6 0

0

2 5 0

0.06 1

LCM

CLDM 8

口UO  l 7013 4リム 9臼OU 23 ∩01 3 0.5

0.25 2 0.5

VCM 2 5 40 34 0.05 1

Abbreviations:PCG, benzylpenicillin;MCIPC, cloxacillin;ABPC, ampicillin;AMPC, amoxicilln;ASPC,

aspoxicillin;CEX, cephalexin;CEZ, cefazolin;CTX, cefotaxime, CZX, ceftizoxime, CAZ, ceftazidime;

CPR, cefpirome;FMOX, flomoxef;IPM/CS, imipenem/cilastatin;PAPM/BP, panipenem/betamipron;

MEPM, meropenem;SM, streptomycin;GM, gentamicin

の菌種も100%産生した。また,プロテァーゼ はA.αdiαcθηsが129株のうち37株(28.7%),

A.dφcWαは15株のうちの10株(66.7%)が

プロテアーゼ産生株であった。

7.抗菌薬感受性試験

 健康成人93名の歯垢と唾液から分離した

(10)

280 田近 志保子

Table 9. Susceptibilities of isolates/1b oτπφ九づαdεゾεc吻α(llstrains)to antimicrobial agents.

Anti−

microbial

agents  O.03 0.06

MIC(μ9/ml)

0.125 0.25  0.5 1 2 4 8 16 32 64

MIC5D

(ρ9/ml)

MICgo

(μ9/ml)

PCG MCIPC ABPC AMPC ASPC

10

11 11 1

1

1 6

6

3

4 1

0.06 0.5 0.06 0.06 0.25

0.06 1 0.06 0.06 0.5

CEX CEZ CTX CZX CAZ CPR

FMOX 1 10

10 11

1 ll 11

6 5

2 9

4 4 2 64 4 1 0.5

4 4 2 64 8 1 0.5

IPM/CS PAPM/BP

MEPM

6 5

10 1

6 5 8

0.5 1

16 1 1

SM GM

3 2 3

6 3 5

16 16

32 32

EM LM

ll

2 9

0.06 2

0.06 2

LCM

CLDM 10 1

2 4 2

0.5

4 0.5

VCM 5 6 2 2

Abbreviations:PCG, benzylpenicillin;MCIPC, cloxacillin;ABPC,ampicillin;AMPC, amoxicilln;ASPC,

aspoxicillin;CEX, cephalexin;CEZ, cefazolin;CTX, cefotaxime, CZX, ceftizoxime, CAZ, ceftazidime;

CPR, cefpirome;FMOX, flomoxef;IPM/CS, imipenem/cilastatin;PAPM/BP, panipenem/betamipron;

MEPM, meropenem;SM, streptomycin;GM, gentamicin

Ab ωwo助 α92株の、A.α磁αcρη∫81株とA.

∂φc吻α11株に対する抗菌薬のMICの値を Table 8とTable 9に示した。ペニシリン系抗

菌薬のうちPCG, ABPC, AMPC, ASPCは、4.

α磁αcθηs,、4.dφ碗槻いずれの菌種に対して

もMICgoが0.06μg/m1から0.5μg/mlで感受性で

(11)

、肋iωmρ厄αの分離と抗菌薬感受性 Table 10. Minimum inhibitory concentrations

    benzylpenicillin of/1万oεroρカゴα.

281 and minimum bactericidal concentrations of

MIC(据/ml)

Species of/1b o伽oρん㍗z

Range MIC 50 MIC go

MBC(μ9/ml)

A.αば αceηs(81 strains) 0.03〜0.125 0.06 0.125 0.06  〜0.25

ノ4.dφcτ初α(11 strains) 0.06〜0.125 0.06 0.06 0.125〜0.25

あった。一方,MCIPCは、A.α4 αcθηsでMICg。

は4μg/ml, A.∂φc励αでは1μg/mlで感受性 は低かった。セフェム系抗菌薬はCEX, CEZ,

CTX, CPR, FMOXがいずれの菌種にも感受 性を示したが,CZX, CAZの感受性は低かっ

た。カルバペネム系抗菌薬では,、4.α直αcθηsの MICgoは1μg/m1から4熔/mlで感受性が低く,

.4.4φc 勿αではIPM/CSのMICg{は16μg/皿1

で感受性が低かった,しかしPAPM/BP,

MEPMは1μg/mlで,.4.α∂ αcθηsにくらべて

感受性は高かった。アミノグリコシド系のSM とGMはいずれの菌種に対してもMICg。は4

μg/mlから32μg/mlで感受性は低かった。マク

ロライド系抗菌薬のEMとLMはいずれの菌 種に対しても高い感受性を示し,とくにEMの 感受性はMICgoが0.06据/mlで高感受性であっ た。リンコマイシン,ポリペプチド系抗菌薬で はA.α励cθηsに対してLCM, CLDM, VCM などいずれの抗菌薬も高い感受性を示した。一 方,、4.4φcτ勿αのMICgoはLCMで4μg/皿1,

VCMは2偲/皿1とA.α吻cθηsにくらべ感受性 が低かった。

 Table 10にA.α∂iαcρηs(81株), A.4φc 伽

(11株)のPCGに対するMICとMBCを示し た。.4.α直αceηsのMICは0.03据/mlから 0.125μg/皿1で,MBCは0.06μg/皿1から0.25μg/

mlであった。、4.ばφcオ初αのMICは0.06ρg/ml から0.125μg/mlであったが, MBCは0.125μg/

mlから0.25μg/mlであった。また, MBC/MIC

をみると、4.α碗αcθηs,.A.∂φcε勿αはいずれも

2以下の差であり,MBC/MICが32以上を示 すペニシリントレランス株は検出できなかっ

た。

考 察

 細菌性心内膜炎の原因菌としてはviridans streptococciが最も多く,中でもS舵ρτococcμs sαηg疵sの分離頻度が高い。また,viridans strep−

tococciによる細菌性心内膜炎は,抜歯や種々 の歯科処置がその誘因となることも報告3①され ている。かつてはnutritionally variant strep−

tococci(NVS)といわれ口腔レンサ球菌に分 類されていたAbio励ρ厄αは,近年細菌性心内 膜炎の起炎菌として国内外で注目され,諸外国 においては細菌性心内膜炎の患者から分離した viridans streptococciのうち5%から10%が

、4b伽γ0助勿であったと報告している31棚。わ が国では現在までAbio励ρ厄αによる細菌性心 内膜炎は8例の報告1脳咽があり,とくに最近,

報告例が増えて来ている。

 臨床材料での分離が困難であるといわれた

Ab oεγqρ勉αの分離には,著者の研究結果から コロンビア寒天重層平板培地にpyridoxal(10 μg/m1), Lcysteine(200μg/ml)を添加し, M

↓刷¢μsに対するの溶菌活性を指標にした培地を 用い,嫌気培養を行うことが最良の方法である と考える。この方法で肋 o励ρ励を分離し,

生化学的性状検査に加えてDNA−DNAハイプ

(12)

282 田近 志保子 リダイゼーションによる・4玩砿γoρ厄α菌種の同

定を行うことにより,細菌性心内膜炎における 起炎菌の正確な同定も可能になると考える。

 、4bio mρ厄αは口腔レンサ球菌で口腔に常在 していると言われているが,詳細に検討した報 告はみられない。本研究においては肋鋤γ妙Mα の口腔における常在性と.A.α∂ αcθηsと、4.

鹿吻c励αの分布を把握するため健康成人93名 の唾液と歯垢から.肋伽γoρ厄αの分離を試み た。その結果93名中90名(96.8%)から

.肋io励ρ万αを分離でき,定量すると唾液では 平均4.4×106CFU/ml,歯垢では平均2.1×

105CFU/㎎保有していることがわかり,口腔 におけるAb伽γo助紐の常在性を明らかにする ことができた。また,健康成人93名から分離し た、4b伽アoρ万α菌種別の分離率はAα磁αcθηs

カゴ87.9%, ノ4.4εプεc渉i〃αカざ12.1%, ノ1.α∂iαceηs

および、4.鹿吻CWαの両菌種を分離できた人が 3.3%あった。わが国でのAb乞ozγo助iα菌種別 の分離報告では細菌性心内膜炎患者からA.

α直αcθηsとA∂ρヵc励αは同程度分離されてい ることから,著者の研究では、4.鹿ヵC励αは口 腔での保有率がA.α磁αceηsにくらべかなり低 いが,細菌性心内膜炎の起炎菌として発症する 可能性は高いことも考えられる。

 口腔レンサ球菌の一菌種であるS.〃鋤αηSは 菌体外にデキストランを産生し,歯面への付着 や定着に重要な役割を担い,&勿碗αηsの病原 因子となっている37)。Ab伽m助勿においても 産生するデキストランが心内膜への付着,定着

に関連した病原因子として考えられる。また,

仇 励oの実験においてデキストランが抗菌薬 の効果を低下させることが示唆されている8)。

これらの点から著者はAb碗mp吻のデキス

トラン産生について調べたが、4.α直αc窃s,A.

∂2カc励αのいずれの菌種も100%産生するこ とより,.肋io伽助辺の病原因子としての関連 性が示唆された。また,.肋ゴo〃o助m分離株の

プロテアーゼ産生は,A.α砺αcθηsで129株中 37株(28.7%),、4。∂θ晦c励αでは15株中10株

(66.7%)で、4.∂φc励αが高かった。口腔レン

サ球菌の一菌種でAb伽γoρMαと同様に歯垢や 唾液に多く分布している&Sαηg痂sは,菌体外 にIgA proteaseを産生38)することが知られて いる。本研究におけるA励物助辺の産生する プロテアーゼも種々の生体成分を基質として,

血清や分泌物中の抗体を分解することによる感 染防御能の抑制や組織破壊による炎症惹起の原 因となることも考えられるが,現在のところ 肋ゼ砿γo助扱の産生するプロテアーゼが感染に

果たす役割にっいては明らかではない。今後 Ab伽γoρ万αによる感染症とくに細菌性心内膜 炎とこれら病原因子,とくにデキストランの付 着,定着因子あるいはプロテアーゼの起炎性因 子との関連を検討していきたい。

 次に健康成人から分離した・4b o励ゆ厄αの抗 菌薬感受性についてみると,ペニシリン系抗菌 薬のPCG, ABPC, AMPC, ASPCはMICgoが 0.06μg/mlから0.5μg/ml, VCMやEMでは MICg。が0.06μg/mlから2μg/m1と高感受性であ り,ほかにカルバペネム系,リンコマイシン系 抗菌薬にも高感受性であった。しかし,健康成 人由来の.肋伽m助泌分離株でも必ずしもすべ ての抗菌薬に感受性があるとは限らなかった。

とくにセフェム系の抗菌薬のうちCEX, CEZ,

CTX, CPR, FMOXでは高感受性であったが,

CZX, CAZではMICgoが16瑠/mlから64μg/

mlと低感受性で, Gephartら6)のセフェム系抗 菌薬の一部が、4biozγoρMαに低感受性であると いう報告を支持する結果であった。また,

.肋ゴo肋助 αの臨床分離株でもSMやGMには 感受性がある11)といわれているが,著者が分離

した.4.α砺αc¢ηsのMICはSMで4μg/皿1以 下,GMでは8μg/ml以下の感受性であったが,

、4.4θたcZ勿αはSMのMICが16μg/mlをこえ

る株が6株,GMでは11株すべてMICが16

μg/ml以上であり,・4.鹿吻c励αではSMに対す るMICが0.13据/mlから32μg/皿1という Gephartらの報告6)と一致した成績であった。

以上Ab伽τo助勉はペニシリン系抗菌薬に対し

ては感受性があるが,一部のセフェム系抗菌薬

には感受性がよくないことを明らかにできた。

(13)

・4b o励助紐の分離と抗菌薬感受性  近年,ペニシリン耐性あるいはペニシリント

レランス・4bi砿mρ万αの出現が臨床上問題 となっている6・1㈱14)。著者が分離した Abioτro助辺はPCGに対してMICが0.03μg/

mlから0.125μg/mlを示し,ペニシリン感受性で あったが,4μg/m1以上の耐性菌はなかった。ま た,MBC/MICの比が2以下であり, MBC/

MICの比が32以上を示すペニシリントレラン ス株もなかった。これまで報告されているペニ シリン耐性あるいはトレランス株は臨床材料か

らの分離株であり,著者が分離した

Abioτroρ厄αは健康成人由来株であることがそ の一因と考えられる。

 Ab鋤mρ万αによる細菌性心内膜炎の治療に はPCGとGM, SMなどのアミノグリコシド

との併用療法39)が行われている。しかし,その 起炎菌がペニシリン耐性あるいはペニシリント レランスであった場合,他のレンサ球菌による 細菌性心内膜炎に比べ難治性であり,再発や死 亡例も多く,合併症の頻度も高いといわれてい

るlo)。

 したがってA疏oτroρ万αによる細菌性心内膜 炎の診断および治療には,本研究において著者 が使用したようなA伽τroρ励α分離培地を用 い,起炎菌の分離と同定,さらにPCG, GM,

SMなどの抗菌薬感受性を測定することが重要 であると考える。

結 語

1.溶菌活性を指標にしたAbio励助ωの分離 培地は,M. Z砿eμsの加熱死菌をOD値が2.0

となるように加えたコロンビア寒天重層平板 培地が最も適していた。また,A函o励助扱 の培養方法は好気培養とろうそく培養にくら べ,嫌気培養では発育が良くコロニーを観察 するには最適であった。

2.健康成人93名からの・4bゴo mρMα分離は,

唾液では93名中72名(77.4%),歯垢では93 名中72名(77.4%)から分離した。唾液,歯 垢いずれの材料からも分離できたのは54名

(58.1%),いずれの材料からも分離できな

283 かったのは3名(3.2%)のみであった。

3.Abio仇ρ厄α分離株423株を生化学性状検 査によって菌種を同定すると,唾液由来の

・4b oτγ砂厄α212株中Aα4 αc¢ηsは192株

(90.6%),、4.4φσ勿αが20株(9.4%)で あった。また,唾液由来のAb乞ozm助 α211 株中A.α4 αcθηsは180株(85.3%),、4.∂θ一 角cz⑫αが31株(14.7%)であった。

4.生化学的性状検査によって菌種の同定がで きた分離株は,DNA・DNAハイブリダイゼイ ションにより基準株との相同性が76%から 94%で生化学的性状検査による同定と一致  した成績であった。

5.、肋伽n逸加α分離株のデキストラン産生は,

、4.α砺αcρηs,A. dφcτ初αいずれの菌種も 100%であった。また,、4函o η♪加αのプロテ ァーゼ産生はA.α吻cθηsで28.7%,A.ばθ一 允c 勿αで66.7%で、A.4φcτ勿αが高かった。

6.・4b ozπ〜ρ厄α分離株はペニシリン系(PCG,

ABPC, AMPC, ASPC),セフェム系(CEX,

CEZ, CTX, CPR, FMOX),マクロライド 系抗菌薬(EM, LM)とリンコマイシン系抗 菌薬(CLDM)に対しては高い感受性を示し  た。また,カルバペネム系(IPM/CS),アミ  ノグリコシド系(SM, GM),リンコマイシン 系抗菌薬(LCM),そしてポリペプチド系抗 菌薬の(VCM)はAα磁αceηsに比べてA.

∂φα⑫αの感受性が低かった。また,Ab o−

γqρMα分離株のPCGのMBC/MIC比は2 以下であり,ペニシリントレランス株は検出  できなかった。

謝 辞

 稿を終えるにあたり,ご懇篤なるご指導を賜 りました岩手医科大学歯学部口腔微生物学講座 金子 克教授に深甚なる感謝の意を表します。

さらに,本研究を進あるにあたり,終始ご指導,

ご鞭燵頂きました口腔微生物学講座佐々木実助

教授に心より感謝の意を表します。また,種々

ご協力頂きました口腔微生物講座の皆様に深く

感謝いたします。

(14)

284 田近 志保子   本論文の要旨は,岩手医科大学歯学会第41

回例会 (平成8年2月24日)において発表し

た。

文 献

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