−5ユー
製造間接費差異分析の方法に
ついて
田 中 嘉 穂 525
は じ め に
既に.差異分析の議論も,標準原価制度の歴史と共に.,長い歴史をたどってい る。その間数々の所論が展開されてきているが,尚現在,差異分析法の見解に は統一性が少く,著者により色々な見解が披歴されている。また分析法の管理 上の重要性という実質的な論議にまで充分行き届かない外面的な議論も意外紅 多く普及して−いるように思われる。しかし,数々の見解を列挙するのみでなく,
一つ一つそれらの方法の管理上の重要性について問い質して−みなければならな い。そのような試みによって幾分でも見解の統一・性乃至整備が行われるものと 考えられる。そとで我々は,それら通説を−・応整理しながら,その後で批判的 に考察するという仕方によって,製造間接費差異分析のあるべき姿に.幾分でも 近づきたいという意図の下に,試論を試みた。以下の構成は,まず大きく弾力 性予算を適用する場合の間接差異分析法と弾力性予算を適用し材レ、場合のそれ
とに分けられ,前者についてほ.,三分法による三つの代替的方法と二分法がそ の内容を吟味される。
Ⅰ 弾力性予算を利用する場合
本章では,弾力性予算を利用できる場合の製造間接費の総差異の分析法につ いて議論を進めたい。まずこの場合の総差異ほ次のよう紅算定される。間接費 配賦基準として作業時間または械械時間を採る場合,間接費の配賦額は,通常実 際生産鼻に対す・る標準時間軋間接費配賦率を乗じて求められる手続がとられて いる。実際生産鼠に対する実際時間を基準として配賦されることも珍らしくな いようであるが,ここでは,標準時間を基準として間接費が配賦される手続に 従って考察を進めたい。そのため,分析対象となる総差異は,「当該期間中に発
欝39巻 第5・6号 526 ー52−
(1) 生した実際間接費額と実際の生産に配賦された標準間接費額との差」に.よって
測定される。この総差異を分析して,そ・の差異発原因に関係する事実を引出し,
原価管理遂行の−・助と」するのが間接費差異分析の意図である。
ところで,製造間接費の差異分析でほ,その分析法において直接費と異なる 点が指摘される。アマーマン把よると,「間接費差異の分析は,そ・の分析紅おい
て三つの変数即ち価格。数屋・操業度が存在するという事情によって,直接費差
(2) 異の分析とは.異なることが知られなければならない。」より正確にいえば,総差
(3) 異は,間接費も垣接費と同じく価格及び数遍差異から成るとも説明せられるが,
間接費差異分析でほ,そのような価格及び数鼠差異の分析にいたるまでに,ま ずそれらの差異が,遊休能力に原因する部分,操業尺度の能率に原因する部分 実際原価が予算許容額と相違すること紅原因する部分に分析されるという特色 が見られる。そこで我々は,以下でそのような分類を検討するのであるが,そ の順序としてまず総差異の主要な構成質素と,それらの離合せによる従来の分 析法紅ついて概観し,その後でそれらを批判的に考察したい。
1 総差異の構成要素
程々の分析方法の関連を説明するためには,まず総差異の公式的な構成要素 に言及した方が好都合である。N.A.C.A.の報告紅よると次のような説明が 行われている。「幾つかの間接費差異を決定するための諸方法ほ,.ニ差異又ほ三 差異を界定するために色々な仕方で範合わされる四つの主要な構成要素を利用
している。これらの四構成要素は,実務において−一山つ一つ別々に算定されるこ とほないが,実際に適用される分析法の基礎となるものであり,また種々の方
(1)N。AC… A..Research Staff, The Calculation of Variances ,N.A.C‖ A.
B1111etin,Sept巾,1952,SectionI,P,41尚,こ.の文献ほ,同志社大学の豊島義一L講 師によってより詳しく紹介されている。ここで引用される他の幾つかの文献も同氏に.よ
って.紹介されているので参照されたい。豊島義一㌧「差異分析の数学(2)−処遇間接費の 差異分析−」,同志礼商学,第18巻,第1号
(2)Gilbert Amerman, The Mathematics of VaIiance Analysis〜ⅠⅠ Accounting ReseaICb,Oct..,1953,P.330
(3)間接費の中にほ,例えば下請企業へ数稀の加工品紅対して仙・給して支払われる加工盟 のように月ま佃滝決められないものもある。
製造間接費差異分析の方法軋ついて
27
・−53−
法の閣に見られる相違を理解サーるにも欠かせない。以下に用いられる差異構成 費真の用語は記述の目的のために.新しく造語されたものである。
A『予昇管理可兼備戎要素』( Budget cc)ntrOllable component ),即ち,
実擦作業時間又は磯城時間に対しで求められた弾力性予算の許容額を超え.た
(又ほより低い)消費紅偏屈する部分である。この差異ほ,実際作業時問又ほ 機械時間軋対する予算費用と,当該期間に・発生した費用との差として計算され
る。
B,『超過時間管理可能構成要素』( Excess hours controllable compo・
nent ),即ち,実際時間が,標準時間を超える(又ほより低い)ために発生し た変動費の超過分(又ほ節約分)である。こ.の差異構成費素は,標準作灘又ほ 機械時間紅対する間旗費許容額と,実擦時間軋対する間援費許容額との差であ
る。
C,『超過時間廃業斐構成要素( ExcesshouISVOlume component ),即 ち,当該期間中に実現された生産屈常対する標準時間以上(又ほ以下)の時間 を使用したことに.原因する不足配偶(又は超過配賦)固定費額である。この構 成要素は,生産に.適用された固定腰頴(即ち,生産に必要な標準時間に,標準 又は正常操業度に.おける予算原価に基づいて計算された固定費率を乗じたも の)と,実際作業または機械時間紅当てられる標準国定費頴との差として計算
される。
D,『儲力操業度構或零素』( icapacityvolum3COmp〇nent ),即ち,これ は実瞭作業又は機械時間が時間尺度の標準又は正常能力に達しない(又は超え る)という理由に.よって:生れた不足配斌(又ほ庖過′配斌)の固定費である。こ の構成要素ほ,当該期間の総標準固定費と,実際時間紅適用される標準固定費
(4)
との差として計算される0」
各棉成要素は,ここに引用した名称の他に,多くの文献で多彩な名称で呼ば れている。更に,これら四要素を組合せた要素も別の名称をもち,また比較的
(4)N,.AC‖A.Research Staff,Op Cit.,PP・41〜42.
第39巻 第5・6号 528
ーー・54 −
緩やかに呼び変られているようである。その基本的な理由ほ,各要素の内容 が,まだ相当に末分解な諸要素から成る集合体であるため,一・語で適切な性格 を規定し紅くいことにあると思われるが,時紅は,名称が重要な論拠によって 区別されて−いるので注意しなければならない。
さて,これらの構成要素が,直ちに意味ある分析手段を提供するわけではな いが,間接費差異分析に当って,仙応検討すべき基本的な要素となっている。
とれらの分析要素の関係ほ.,ウェーバーの図を借りて∴更紅明瞭に印象づけられ
く5)
る。それが図■−1である。N,A・C.A.の報告の四つ要素と図−−1の符号は次 よう紅照合せられる。即らA=①,B=④,C=⑥,D=⑨である。
2 間接費差異分析の諸方法
間接費差異分析の一従来展開されてせた方法鱒,外形的紅ほ,上に述べられた 四要素を素材とする,その組合せ方の相違として整理されるのが普通である。
脱
Co
価 Co=正常能力に
おける標準 原価 Fo=正常能力に
おける固定 費 Cα=実際原価 ho=正常能力の
際の標準時 間 hl=実際の生産
に対する標 準許容時間 b2=実際時間 ー 1C−L +
費一
ニ C/
0 1 bl h2 ho 時聞
図−1 C = 総間接費率
〔Co/ho〕
f = 固定間接費率〔Fo/bo:〕 ①=予算差異 ⑧=超過時間管理可能差異 ⑨=管 理可能差異・④=能率差異 ⑤=能力差異 ⑥=超過時間操業度差異,有効差異
⑦=操業度差異 ⑧=総差異
(5)CharlesWeber, The Mathematics ofVariance Analysis ,AccountingReview,
July,1963,P.535.
製造間接費差異分析の方法について
529
ー・55−
(6)
N.A.C.A.の報告は諸分析法を要領よく,表−1のように.まとめている。
表・−1
と.の表からわかるよう紅,総差異の分析法ほまず大きく二分法と三分法に大 分類され,更紅三分法の中で第一法から第三法まで区分されている。同報告の 実地調査に.よると,「標準原価計算を採用している大部分の会社ほ二分法を展開
(7) している.」し,また「二分法の利用はど実務でほ用いられないが,三分法を展開
(8) している会社も幾つかある」ということであるが,原価管理目的から見れば,
はたしてどれが一層貢献するであろうか。たとえば,「幾つかの目的紅とって は,ニ分法は経営統制目的に不十分であると考えられ,三分法が勧められること
(9) が多い」ならば,はたしてその根拠は何によるのであろうか。このような意図
の下に,N.A.C.A.の報告とは逆に,三分法の第三鴇から始めて,順匿二分 法まで見ていくことにする。
3 三 分 法
(i) 第三法
(a)能率差異について
(6)N,A.C‖A.ResearchStaff,Op Citn,P・45尚,同音紅掲げてある表中の主要構 成要素の説明は,既に・引用したものと同じなので削除した。
(7)N・A.C.A.ReseaI・Ch Staff・Op・Cit ,P.43
(8)Ibid.,P.44
(9)WilliamJ。S〇hlatter, AnalysisandControlof Standard C6stVariances・
CostHandbook,edいby RobertI.Dickey,1960,P..17.30.
530 第39巻 第5・6号
−56−
第三法でまず目につく特徴ほ.,先の表−1からわかるように,能率差異が構 成要素B(超過時間管理可能構成要素)とC(超過時間操業度構成要素)から 成立してこいるこ.とである。三分法の特徴を指して,ソロモンズは,「三分法ほ正
(10)
しく能率差異を算定す・ることを趣旨としている」と述べているように・,方法に より構成内容紅相違があろうとも,三分法ほ何らかの形で能率差異を算定して いる点で二分法と区別せられる。能率差罪・の是非ほニニ分法と三分法の独立性に も関連することである。このような点を意識しながら,まず第三法について−の 所論に.注目してみよう。
N.A小C…A.の報告ほ,第三法の利点を次のように.説いている。「これらの差 異ほ,超過時間の固定費及び変動費を総合し,超過時間の総原価を示すように
した方が合理的であるはど,十分標準能力へ近い操業度で継続的に工場が操業 される時,即ち超過時間軋相応する固定費が遊休能力として失われる代りに,
意図すれば臨時的な生産に利用することが出来たであろう時に,有益な分析
(11)
法となるであろう。.」即ち,この解説の趣旨はこうであろう。この方法での能率 差異は,超過時間に原因する間接費差異部分を総合しているから,間接費の能 率的乃至不能率な利用状況に注意を喚起せしめる。従って,そのことは,実際 の操業時問が,継続的に,殆んど能ガー・杯に利用されている場合でも,追加生 産が,追加能力を拡大することなく,能力のより能率的な利用によって補われ
ることを判断するという利点をもつ。しかし,この見方は理論的に不十分であ
る。即ち,超過時間を総間接費率で評価している点が納得されない。同じく超 過時間広原因すると解釈しても,変動費と固定費では差異のもつ意味が違うの
である。これを能率差異と劇托しても,明白な意味が引出されない。より能率 的な生産によって:,現金支出原価(out−0董−pOCket cost)の節約を期待できる ものほ.変動費のみである。固定費に関しては,操業時間に・関して固定的である ため,そのような効果を期待できない。ま串この能率差異によって不必要な能
no)David Solomons, StandardCostingNeedsBetteIVariances ,NりA・・A・Bu11etin Dec,1961,P.38.
皿 N.AlC.A.Research Staff,Op.Cit・,P・46・
製造間接費差異分析の方法についで
531
ー57−力の追加を避けられる,という管理上の有用性は,むしろD要素(能力操業度構 成要素)を操業度差異と規定することから生ずる必要性であって,操業度差異
(12)
を第一・法のように.C+D要素(超過時間操業度構成要素+能力操業度構成要 素)と規定すれば,能率差異に依らずして,不必要な能力拡大を決めることは 避けられる。このように見てくると,能率差異をB+C要素(超過時間管理可 能構成要素十超過時間操業度構成要素)と規定することの必要性ほなく,むし ろ判断を誤らせる危険さえある。何といっても,能率差異が,操業時間のより 能率的な利用に.よって回避できる原価額を測定することを意図する限り,能率 差異に固定費部分を含めることほ.正しくない。
(13)
更に,第三法を主張するシーユ.ヲッターの見解を問うてみよう。彼ほニッカ−・
ソンの主張を支持して次のように∴述べている。「ニッカーソンの言おうとすると ころほ,監督者は床面積,設備,その他の間接費である諸施設の能率的な利用 に責任があり,しかもこれらの原価は販売可能な製品の生産に.よってのみ回収 することができるという点である。間接費率は,監督者への,導入された諸設備 の賃貸代であり,彼ほ実際作業時間分だけ負担せられるのである。ニッカーソ
ンは次のようにいう。『固定費忙ついては,監督者が実際作業時間に.対して課せ られた標準原価に/等しい,標準原価で評価された価値を持つ製品の生産に.対す る責任を,彼は負うぺきである。もし彼がそれ以上のことをするなら,彼の部 課が標準以上の原価を回収したという貢献軋対して信用を与えられるぺきであ
る。もし逆に彼がそれ以下であれば,彼の部課の不確率の茸任を問われねばな
らぬ。…監督者は,自分の部課の作業に.含まれる重い固定費の負担に.つい て,定期的に知らされなければならない。それほ,作業時間の能率的な利用に ついての重要性を目立たせるためばかりでなく,原価引下げに対する刺激とな
(12):姉=.法の舅‡三差異は,能力差タ∈(capacity variance),操業度差異(volume var・ia・
nce),活動差異(activity variance)などと呼ばれる。
u3)この節三法はVユラ′ツタ一法(Schlatter/s Method)という異名も持っているようで あるが,ここにいうVエラッタ・−は,こ.の方法の最初の提唱者Charles F.Schlatter
とは別人である。
第39巻 第5・6号 532
・−5β−
(ユ4)(ユ5)
る,即ち,追加床面積や設備の不合理な要求の防止に′もなるからである0』.」こ うして,ジ.ユ.ラッダーは,能率差異に周定費部分を含めるこ・とを主張するので あるが,彼及びニッカーソソは,挽業時間を何故能率的に利用しなければなら ないかという本来の理由を見失っているのでほないか。能率差異の算定ほ,よ り能率的な操業によって節約できる原価部分を示すことに本来の目的があった はずである。「 設備の賃貸代」は,能率的な操巣によって節約できる部分とは 考え.られない。能率差異に.固定部分を含めることに.よって,過度の刺激から薄 い効果を期待することは正しくない。
(b)操業度差異について
レ.ユ.ラックー・は,第三差異である操業度差異については,次のよう紅言及し て:いる。「■操業度差異の意味は,『正常』であると仮定される操業度そのものに.依
●●●●●●●
存して言いる。もし正常の意味が数年紅わたって期待される平均操業度であるな ら,操業度差異へは何ら明瞭な意味は付与せられない。数年間の実際操業度が,
正常であると仮定された操業度と等しいことがわかるなら,ただこの期間中の 純操業度差異がゼロであるといわれるだけのことである。
もし,正常能力が,完全な実際的能力(fu11pr・aCticalcapacity)を意味サ るなら,……・操業度差異は通常借方差異で,遊休時間の固定原価を示す(臨時 的な作業時間が,継続的な操巣にとって実際的である能力以上に億用せられる 月には,小額の貸方操業変差異を示すこともありうる。)。この操業度差異
…‥〈16) 遊休時間損と呼ばれるこ辛がある。」ここにいbれてごいるようにり一波こ繁果
皮差異の解釈に.は,標準間接費率算定の際に利用された正常能力のもつ意味が まってくる正常能力の意味が厳格に・されていなければならない所以である。し かしここ.でほ,問題提示のみ紅終らざるを得ない。
さて,欝三法では,操業度差異を,正常能力時間と標準時間と紅関わらしめ
a4)CユarezICeB・Nickerson, Cost Accounting ,1954からの引用である。同じ趣旨の 主張は Glenn A,Welsch, Budgeting ,1957,PP・321〜322 諸井勝之助訳編,「企菜 予静」,328真にもみられるが,詳細は不明である。
u5)Wi11iamJ.Schlatter,Op.Cit.,P・17・27.
㈹Ibid.,P、17・18.
製造間接費差異分析の方法について
ーー5クー
533るのでなく,正常時間と実際時間の差に関わらしめたのは何故だろうか。この 点に.関してほ,連接レ。.ラッターは触れていない。遊休能力という点からは,
実際時間との差であらわされた操業度ほ.,実際に.利用されなかった能力を測る としてこも,それは名目上のものであって,より実質的な遊休能力は標準時間と の差異によってより正確に表わされる。先に触れたように,それによって追加 能力の必要性を判断せしめるより正確な情事艮を提供することができる。従って,
我々ほ,正常能力と実際時間との差に相応する固定費配賦不足額をもって,操 業度差異とする必要性を認め得ない。
更に.,操業度差異に.ついてほ,管理的な立場からみて注意すべき点が二つあ る。その一つほ,差異分析が,会計制度と結びついて行われる場合,固定費が 取得原価評価されているために生ずる問題である。「そのような操菜度差異の
ドル額ほ,固定費の会計に適用されるコング.ェンジョンの認識に照らして解釈 されなけれぼならない。例えば,間接費差異の基礎となっている間接費予算に 含まれる固定的減価償却額は,通常,偵■却対象となる資産の取得原価と,取得 原価の適切な期間配分という或る実務的な(しかし,通常は大雑把にしか正確 でしかない)仮定とに基づいて㌧決定されている。従って,そうして算定された 遊休時間の原価は,固定資産の現在価値に基づいて−減価償却し,正確に・期間配 分された固定間接費予算から得られる遊休時間原価とは金額を異にするであろ
う。
遊休時間原価のより正確な決定が望ましい場合紅は,生産に配賦して,配賦 不足の間接費を分析するために利用される以外の固定間接費率が,遊休時間へ
適用されるであろう。そのような数値は勘定面に現われないが 管理者に とってより有益であるのは当然である。蓋し,それは遊休時間からの実際の損
(17)
失により近いからである。ルユ.ラッダーの羊の指摘は一腰に正しいといわなけ ればならない。
更に,第二の点ほ,遊休時間の生じた理由が,注文不足によらぬ場合ほ,真 実な遊休時間損は,遊休時間の甘受によって失われた製品価値によって評価さ
Ibid.,PP.17・18〜20
節39巻 第5・6号 534
−6∂−
れねぼならないとする点である。「恐らく成功した作共においては,生産工程は 生産において発生した原価より以上の価値を生むであろう。もしそうだとした
ら,遊休時間の総原価は,遊休時間中に・生産し抗うことに.よって一失われた製品 価値の利益(gains)を含めるであろう。しかし,価値は,製品が販葬された 時のみ,生産工程で生み出されるととが可能である。通常のように・,遊休時間 が注㌧文不足に.原因する時には,真の遊休時間損は,失われた利益という要素を 含まない。我々は,実際的能力の間接費率に基づく操業度差異扱が,少くとも 経営者的な患者からは,他の諸要因の調整を行わずに,正し
紅等しいと結論することはできない。勿論,遊休時間損の決定の際,そのような 結果を勘定へ導入サーるごとは,よしあったとしても,実務的であることほ非常に 稀であろうが,経営目的にとっで勘定に基づいで計簸された操兼度差異の限界
(18〉
を認識することは重要である。.」このような操業度差異のもつ限界は,第三怯の みに.固有の問題でなく,操業度差異全般に.共通している。特に.,茸任帰属の問 題と関連させて,注文不足という事情がない場合には.,失われた製品価値のも つ利益を操業度差異軋加算しで費任を追求するという意味なら,その指摘ほ興 味深い。同じく遊休能力祝と呼んでも,原因追究のためのそれと,責任評価の ためのそれとでほ異同が見られる。
(c)予算差異について
最後にり欝−・差異または予算差異の性格紅ついて言及しなければならない。予 鈴差異は,他の能率差異及び操業度差異把・比校して,
しにくい点を一つの特色としている。敢えて規定すれば,予算差異は,実際時 間の操業に対して二許容さるぺき予算額と実際原価との差額で,不能率(又は能
、率的)な操業時間に原因する以外の?変動費項目の不能率(又は能率的)な利 用を見るのが主たるねらいのよう紅思われるが,その他に価格差異及び実際・
療準固定費の差異も含まれている。因に,その内容は.,クワング=スラグィン によって次のように示される。
㈹Ibid..,P.17・20
製造間接費差異分析の方法について
35 ・−6ユー
消費差異=〔実際固定間接費欄見積固定間接費〕(1ぬ)
(19) +〔て実際変動間接費−(実際直接作業時間×変動間接費率)〕(12b)
さて,この式の前項(12a)ほ,文字通り実際と見積乃至標準固定間接費と の差異額あるが,クワング=スラグィンによると(12a)は,「どの作業部門匿
(20)
とっても,業続尺度として,利用されることほ不可能である」と指摘されて言い るら しかし,それに対してほ反論せざるを得ない。「作業単位の外部で行われる 経営者決定紅よって決められる固定費ほ.多いけれども,同時に内部で行われる 決定匿基づくものもある。・−・般には,総合化の階層が業績評価に用いられる固 定費の塾に.影響し,従って,もし企業の線職的構造及び会計的構造が,意志決 定場所に責任を割当てるように立案されているなら,そのような差異ほ有益と
(2り
なり得る。」変動予算が主要な製造部門について設定される時,各部門に管理不 能な固定費をも負担せしめることほ.,部門別に行われる変動予鈴そのものの成 立基盤を危うぐするものであり,その限りにおいて上式の固定費ほ,当該部門 にとって相当管理可能であると前提しなければならない。従って,クワソグ=
スラグィンのように,標準・実際固定費の差異が全く業績尺度とならぬとする のほ言い過ぎである。固定費は,部門管理者濫.とって常に管理不能で,変動費 は管理可能であるといったよく行われる仮定ほ,時軋は事実であるとしても,
行うべきではない。管理不能か否かほ個々の事実紅基づくべきである。
さて,次紅上式の第二項(12b)であるが,これは−・暫して明らかなように 実際変動費と実際時間の変動予算額との差異である。しかし,実際の内容ほ可 成後掛である。この第三法の予算差異の是非については,ここでほ,そのまま 無条件に受入れることはできないというこ.とだけを述べて,詳細は第一・法の節 に.ゆずりたい。ここでほ,予鈴差異−・般に共通な問題としで,予算差異の細分 析のための分類規準に少し言及しなければならない。先に触れたように,予算
(19)Ching−Wen Kwang& Albert Slavin, The Simple Mathenatics of Variance Analysis ,Accounting Review,July,1962,P.423.
佗0)Ibid.,P.423
G21)Zenon Sい Zannetos,りOn the Mathematics of Variance Analysis ,Accounting Review,.July,1963,P一。530
ー62− 欝39巻 欝5・6号 536
差異ほ一義的な内容を包摂するものでないた吟,原価管理上役立てるために は,通常更に・的確な差異原因を知らねばならず,そのための慎重な細分析が必 要である。シ′エラックーは,その細分析のための規準について次のような提唱
(22)
を行っている。
(i)固定間接費予算差異と変動間接費予算差異への分類
(ii)間接費予算項目別に,実際費用と予算額の差異をみる分類
炒(iii)使用数屋差異と価格差異への分類
(iv)部門階層で,管理可能なものと管理不能なものへの分類
予算差異はまず二つの主要な要素に分解される。同じく予算差異でも固定費 と変動費でほ,統制上の扱い方が異なるからである。固定費は−・般に.,短期に は管理不能であり,直ち紅現金支出原価の増減効果を期待することはできない が,変動費については,通常そのような効果を期待できるであろう。従って−,
予算差異を固定費差異部分と変動費差異部分紅分かつことほ重要である。更に より完全な分析が統制上必要であるかもしれない。項目別乃至主要項目グルー プ別の分類によって,差異箇所が的確に示されるであろう。項目別乃至項目グ ループ別に差異が確定されれば,各項目の差異ほ数還差と価格差の函数である から,数鼠差異と価格差異への分析が可能である。この際には,直接費の差異
(23) 分析と同じく結合差異の問題がつきまとうことになろう。こうして,主要な差
異原因を追跡して細分された差異ほ.,更紅部門階層に.よって管理可能なものと 不能なものとに分類され,差異責任の帰属が行われる。−・般には,価格羞異は 作業部門の責任でない部分が多いであろう。しかし,たとえば,A+B要素
(予算管理可能構成要素+超過時間管理可能構成要素)は,・山般に管理可能差 異と呼ばれることが多いが,実際虹或る差異が管理可能か否かは,包括的な差 異についでではなく,上のように最終的な原因にまで朝った上で決められるこ とであって,そのような名称ほ避け難い必要上から使用され七いるものと考え
鋤 Wi11iamJ‖ SchlaffeI,OP.Cit,PP.17・21〜23。
位劫 註(3)参照0数蓋差と価格差より成る結合差異については,先に議論を試みた。拙稿,
「価格差異及び数愚差異の算定方法について」,香川大学経虜論叢,節39巻,第4号
製造間接費差異分析の方法紅ついて
537 ・−63−
るべきであろう。予算差異の細分析が必ず以上のような経過をたどらなければ ならぬと−・般化していうととはできないが,一つの典型を示すものである。と ほいえ,と.の様な詳細な分析が可能となるため紅は,可成詳細かつ厳密な弾力 性予算の設定が前提されていなければならない。
以上我々ほ,三分怯の内第三法に・ついて検討してきたのであるや;,概してい えば,予算差異をA要素,能率差異をB十C要素,操業度差異を′、D要素と確定 することは,適切な三分法の仕方とほ.考え難い。予算差異軋ついては後に検討 するとして,能率差異は,固定費部分と変動費部分の混合により有意味な情報
を提供し得ない。更に操業度差異は,より正確な遊休能力差異を示し得ず,こ の差異の原価管理への利用価値が疑わしい。
(ii)第二溢
既把明らかなよう紅,第二瀧と第三.法とが異なる点は予昇差異と能率差異の 構成内容である。夢二法では,予算差異は,A十B要素(予算管理可能構成要 素十超過時間管理可能構成要素),能率差異はC要素(超過時間操業度構成要素)
のみから成る。この方法の主張者が−・番少数のようである。
(a)能率差異及び操業度差異紅ついて
第二放では,見積乃至標準固定費の配賦不足額が二分されて,能率差異及び 操業度差異卑されている。即ち,この固定費配賦不足額は,「■未利用能力が原因
で配賦不足となった固定費と,誤用された能力が原因で配賦不足となった固定 費とを区別するために,操業度(能力)差異と操業度(能率)差異とに分離さ
く24)
れている」のである。これほ,クワング=スラグィンによると,次のように定
(25) 式化される。
遊休能力差異=(正常能力での標準作共時間一実際作菜時間)×標準固定間接費率
(28)
有効差異=(実際作巣時間一標準許容作巣時間)×標準固定間接費率 有効差異(能率差異)では,時間差が固定費率で評価されている点軋留意し 位亜 David Solomons,Op。Cit.,P小 39.
t25)Ching−Wen Kwang&Albert Slavin,(p Cit,P..427.
鍋 第二差異ほ,有効差異(effective variance),超過時間操濃度差異(excesshouIS VOlume variance)などと呼ばれる。
節39巻 欝5・6号
ー64− 538
なければならない。
N.A.C.A.の報告は,算二法の特色を,「この方法ほ,固定費に注目するた めのものであり,固定間接費が変動間接費に較べて相対的に高い場合には,恐ら
(27)
く静−・法よりも好ましいであろう」と説いて−いるのであるが,はたして固定費 配賦過不足額を二分することで,より詳細かつ有益な情報が得られるであろう か。以下それに.ついて一枚討したい。この方法を主張する全米電気製適業老協会
(NationalElectricalManufacturers Association)の報告によれば,次の通 りである。即ち,操業度差異ほ,「不十分な作業のために,産出還が不足したこ とに.原因する配賦不足額」であり,有効差異(能率差異)ほ,「■予算で企図され
(28)
た能率以下の能率程度で操業すること紅原因する配賦不足額」である。むしろ この説明でほ・通説以上に・出でいない。同報告の特色はむしろ予鈴差異紅ある が,次の予算差異の項で触れるものとする。
積極的に.配賦過不足の分割の必要性に関して挑戦して−いるのはず.ネトスであ る。「■さで能力差異(iv)及び『有効差異』(Ⅴ)の問題へ戻るけれども,その分離 を要請する差し迫った理由ほありそうにない。固定費は操業度変化に対して固 定的であるから−これは予算等式の背後にある仮定であるがⅣ・我々ほ,固 定費が利用可能な状態にあり,かつ(その利用可能な固定費を利用しなかった
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
場合紅生ずる−一引用者註)その直接的な機械原価がゼロである限り,固定費 を浪費したと主張することはできない。従って,(B要素またほC要素を,能率 差異として−,説明しない処ゐ岬引用老註)二分法の方が理論的にはより健全 である。勿論,この場合,その企業は完全能力で操業せず,利用可能の状態に ある固定的能力を利用する機会原価は,間接費率の固定費部分に近似的でない と仮定するのであるが。もしこの仮定がそうでないとするなら,配賦基準の浪 費によって引起された固定費の浪費は‖…・配賦基準へ割当てられなければなら ない。しかしながら,固定的能力の械会原価一国定的絶カの最も有利な代替
閻 NAlCりAいResearch Staff,Op.Cit.,P46
(28)NationalElectricalManufacturers Assoiation, Uniform Accounting Man11al ElectIicalManufactringIndustry ,7th ed.,1949,P.505.
製造間接費差異分析の方法について
539
,・− 65 −−・
的利用から生ずる収益マイナ・スそれを獲得するために発生するはずの現金支出 原価−−・−】−が,間接費率の固定費部分に.等しいことはありをうにない。『全部原
(29)
価』での設備の賃借代は稀れな例外である。」
既に.明らかなように二,彼は,尚利用可能な生産能力を利用しなかったことに よる機会原価はゼロであるから,有効差異(能率差異)を算定することは意味 がないというのである。勿論この場合,利用可能な能力の機会原価がゼロであ るというのは,間接費の内固定費に.限ってのことである。即ち,いわゆる誤用 されたとみられる生産能力を固定間接費率で評価する限り,有効差異にほ管理 上意味がないというのである。我々も,第二法の能率差異の意義に.ついてほ,
大いに凝わざるを得ない。その疑いの原因は,能率差異を算定すること自体に あるので咋.なく,また能率差異が実際時間と実際生産紅必要な標準時間との差 に関連サーることにあるのでほなく,そのような時間差を固定間接費率で評価す ることにあるのである。能率差異のあるべき姿は第一・法の節で論じられる。
我々は第三法の所で,遊休能力差異を測定するものとしての第三法の操業度 差異の有用性を疑った。その批判は,第二法の操業度差異にも全く同様に妥当 する。従って,我々は,第二法の能率差異と操業差異の算定意義には消極的た
らざるを得ない。
(b)予鈴差異について
第二法における予界差異は,A+B要素から成り,いわゆる管理可虚差異と 内容は同じである。しかし予算差異という名称は,実際に発生した間接費と,
実際の操業時間の場合の予算許容額との差であるという意味を含めようとして いる。しかし第二法の予算差異は,実際費用と標準時間に.基づく変動予算許容 額との差を示している。この点をどのように解す−るのであろうか。このよう年 疑いを持ちながら,この方法を提唱している全米電気製造業老協会(National klectricalManufacturersAssociasion)の報告の主張をたどってみよう。
「二つの例示とも,そこでは,弾力性予鈴許容額は,実際作業時間とは異な
C29)Zenon S Zannetos,Op,Cit.,PP530〜531.
540 第39巻 第5・6号
一一 661一−
る,実際業績の標準時間に基づいて計算されている。この方法は,製造間接費 の変動部分が,実際に適用された生産時間よりも,むしろ生産数鼠に比例して 変化するということを暗に含んでいる。どのような状態においても,幾つかの タイプの費用は産出量に伴って変化し,他の費用は生産時間の経過に伴って変 化するであろう,ということが認められる。しかし?電気製造工業でほ,・一腰 に変動費の可成の部分は通常生産数量と共に変化し,それに従って例示が選択 されている。その上,実際時間に基づいて変動予算を計算すると,その結果 ほ,部門の能率が減少するにつれて,予算許容額の増加を容認するというこ享 になることか注意されなければならない。それ故,・−・般には予算許容額は,経
(30) 適時間よりも,むしろ業績に基礎をおく方がより望ましい。.」弾力性予算の性格
をこのように規定するこ.とから,予算差異をA+・B要素とすることの理由が自 ずから推患されてくる。即ち,その理由の−・つは次の事である。電気製造工業 では,単なる生産時間の経過(実際の生産蜃を伴わない)に伴って一変化す−る変 動費もあるけれども,多くの部分が生産塁に伴って変化するものであるため に.,予算許容額ほ実麻生産時間に.対応する弾力性予算額ではなくて,標準時間 に.対応する弾力性予算額であるぺきである。即ち,変動予算直線の変動費部分 の経過の多くは,生産時間の経過と共に変化するのでなく,生産量と共に変化 すると考え.られているのである。広く電気製造工業において,この事実がある ならば,この事実に基礎づけて予算差異をA+B要素に規定するのは一一・理ある 事である。実際に,生産時間の経過と共に変化する費用が分析に低いしないは
ど,また分析しても,弾力性予算に含まれる単純化により実際的な意味のある 差異が得られないはど,小部分であるなら,敢えてその分離を主張する異論を はさむ余地はないからである。この場合,其の能率差異は殆んどゼロに近いと 見られる。しかし,他方,操業時間の経過と共に変化する原価部分が相当に大 きな部分を占める場合を考えないわけにはいかない。これについての詳論は第 一・法の所へゆずりたい。
A十B要素を予算差異とする理由の第二として同報告書によると,仮に実際 冊Ibid,P‖504.
製造間接費差異分析の方法について ー67−
541
時間に比例する変動予算を設定したとしても,実際時間の変動予算額をもって 実際時間に対する許容額と見徹すと,生産能率の減少によって増加する変動費 増分を容認することになり,従って一能率を統制するに役立たないという、ことが 推定される。しかしこ.の事は,予算差異を,標準時間に対する変動予算額と実 際間接費との差額にしなければならぬということになるかどうか。それは,予 算差異をそう規定することの理由というよりも,むしろ能率差異の算定を正し く行わなければならぬことの理由にならないだろうか。実際時間の超過による 実質的な変動費の増分は,不能率な操業に原因する差異部分とみられるからで ある。更匿詳説ほ,これも第一法の予算差異の箇所で論じたい。
結局,A十B要素を予算差異と呼ぶ陰には,−・つの条件が付せられる限り妥 当である。もはやいうまでもなく,弾力性予算の変動費部分には,生産時間の 変化のみによって変動する部分が少いという前提である。そ・のような前提が妥 当する企業に.関する限り,予算差異ほ.,実質的な意味での実際時間に許容さる ぺき間接費と実際間接費との差異を表わしている。
以上,我々は,第二法について検討してきたが,能率差異と操業度差異には殆 んど意義が認められず,予算差異についてほ,ある条件が満たされる時のみ有意 味であると論じてきた。−・般的な方法として−は,尚不十分な方法といえよう。
(iii)第一・法
この方法では.,A要素(予算管理可能構成要素)が予穿差異を構成し,B要 素(超過時間管理可能構成要素)が能率差畢,C+D要素(超過時間操業度構 成要素+能力操業度構成要素)が操業度差異を示す。先に」ならって管理上の重
要性に.ついて検討1ノて−みよう。
てa)操業度差異について
我々は,先に,操業度差異がD要素から成るという見方については消極的態 度を示してきた。遊休能力を見るための差異を算定する方法として残された選 択可能性は,C+D要素であろう。C+D要素は,式に表わせば,
節39巻 第5・6号 542
一−−6∂−−
操業度差異=(正常能力での標準作業時間−実際能力で許容された標
(封1
準作菜時間)×固定間接費率
となる。固定賀の配賦不足分ほ,そのいかなる部分も操業時間の増減に.よって 変化する現金支出原価を表わし得ない。変動費の差異と決定的に異なる点であ
る。しかし,それは,正常能力での作共時間と標準時間との差を標準固定間接 費率で評価したものであり,それほ標準固定費に.占める潜在的な遊休能力の 大きさを示すといえる。クよルソュ.も「ここで計算牒れる差異は,工場の遊休
(32)
絶カの鱒価を正確に測定する」と同意見を示している。ただ遊休能力損を正し く算定するためには,第≡瀧の所で論じた種々の問題点及び,盛品単位当り生 産時間の正しし、標準の設定等の問題が解決されなけれほならないが,しかし,
そ・れはともかく我々は,第一・法の操業度差異に遊休能力尺度としでの意義を認 めたい。
(b)予算差異及び能率差異について
夢二法の能率差異濫ついては,我々ほ否定的であり,予算差異については,
条件付きで認めてきた。本筋の能率差異と\予算差異についても,結論をいえ ば,やはり条件付きでその意義を認めたい。その理由が以下で展踊される。
N.A..C.A.の報告は,第一・法の特色に.ついて,次の言及をするのみである。
「この方法は,変動間接費が固定費に.較べて相対的に高い場合か,またはその他 の理由で変動費の差異に注目することが希望される場合には,三つの差異分析
($$) 法のうち,最も有用であろう。」しかし,無闇に細分析することが,有意義な情報を
提供するのでほなぐて,管理上の要請に答えた分析こそ真に求められるもので ある。我々は予算差異と能率差異の分析意義をまず疑って.みる必要がある。
まず予静差異をA要素,能率差異をB要素であるとする通説的な見解を見て みよう。ク.ェルソュは予算差異について,「算出された差異は,実際原価と,実 際作業に対して調塞された予界許容額とが比較された′ものであるから,予界原
01)Ching−Wen Kwang&Albert Slavin,Op・Cit小,P415
(32)Glenn A.Welsch,Op.Cit.,Pl321。
B3)NりAC‖A.Research Staff,Op.Citい,P小46
製造間接費差異分析の方法について
543 − 6ジ・一
\こ;1)
価管理の効率を示す確実な尺度となる_j と言及している。更に能率差異紅つい ては次のようにいう。即ち,「 算定された差異は,連接作業時間が,必要以上に 求められたという事実の結果,発生した超過間接費を正しく測るものである。
変動費は(固定費ではなくて),直接作業時問の増減にられて変化するから,い
(S5)
かなる間接費能率差異も変動費としてのみ表現さるぺきである。」ク.ェルン.ユの ような主張が受入れられるかどうかほ,弾力性予算が,超過時間によって比例 的に変化する間接費の増分を表わしているかどうかにかかっている。前節の第 二法の予算差異の場合とは逆に,弾力性予算経過の変動費部分が殆んど経過生 産時間にのみ依存する変動費である企業においては,本節の予算差異及び能率 差異は有革昧である。しかしウ.ェーノミーほ,弾力性予算経過について次のよう な見方をしている。「■先に論議されたどめ方法も(三分法のこと−引用老註)
完全に満足できるものでほ.ない。というのは,それらは,標準間接費率を展開 するために.利用された変動予算が,また様々な能率で使用される実際時間に関 連する原価をも示すと考える仮定に基づいているからである。しかし,この仮
(B$)
定は理論的には許されない。」このように,みてくると理論的紅見る限りでは,
現実の変動費予算経過が純粋に生産鼠に比例する原価項目のみ,また逆に純粋 に生産時間に比例する原価項目のみから成る場合は,考え難いであろう。弾力 性予算項目が,実際にどのような原価項目を包括するかほ,弾力性予鈴の目的 及び弾力性予算設定方法紅関する問題であるが,通常弾力性予算経過ほ,実際の 生産時間の変動軋伴って変化する原価項目のみから成る純粋な生産時間の原価 函数を示すものではないであろう。蓋し,弾力性予算においては,単位当り 生産時間は大体において一・定であることが前提されていると見られるからであ る。即ち,弾力性予算の設定過程において,単位当りの生産時問は大体におい て過去の平準化された値であると考えられている。そこでは,操業尺度として の時間は,製造部門全体の活動状況を示す測定尺度と見徹され,壬j二三産時間と鎮
(34)Glenn A.Welsch,Op一Cit・・,P・32Ⅰ,諸井勝之助訳編,前掲書,327頁。
脚Ibid・,Pい321,同,328貢。
66)Chare去Weber,OP,Cit,P.539
第39巻 第5・6弓 544
一 70・−
産患は不即不離の関係にあることが暗目に考えられている。このことほ,N.
A.C.A.の報告でも次のよう紅述べられている。「たとえ時間が使われたとし ても,操業度は実際時間ではなく,標準時間で測定されるべきである。この事 ほ.,標準時間は,原価中心点で生産される物的攣位数に値接比例するという事 実を示すが,他方実際時蘭と物的単位数の比率レ羊変化している。換言すると,
一・走生産品に必要な実際時間の増加は,他の変化がない場合には,操業の増加
($7) ではなく,能率の減少を表わす。一」実際には,弾力性予算の性格,平準化された
単位当り生産時間等にほ,多くの不鮮明な要素が含まれていて,必ずしも簡単 には割切れない面があるが,大体において首肯できるようであろう。とすると
ク 弾力性予算においては,生産時間にのみ比例する間接費項目のみ・ならず,生産
鼠に比例する間接費項目も含まれると見るのが妥当で奉る。
それでは,−・般に正しい能率差異を算定するにはどのような方法が考えられ るであろうか。ソロモンズによると次の通りである。「今議論された二つの方法
(ニ分法及び三分法の第三法一引用者註)の一層深く㌧に根ざす欠陥は,変動 予算を作成するのに使用された原価函数の過度の単純化にある。ニ分法は,間 疲費を単に産出塁・の函数として−扱うのみで,他方三分法は.ヶ間接費を単に或る 特定の投入豊,通常は直接作業の函数として扱うのみである。現実には,間接 費は幾つかの変数の函数であるということの方がはるかに現実的であり,他の パラメー・ターはさておいて,少くとも投入畢と産出鼠の双方の函数であること は確かである。一度問題点が指摘されれば,その修正ほ,少くとも痙論的には 容易である。即ち次の事が必要なのである。
1.少くとも二つの独立変数,即ち産出鼠と投入鼻(多分,作業時闇で表わ される)の,間接費の予算水準へ及ぼす影響を考慮する弾力性予算二が必要であ る。これほ,間接費を三つのカテゴリー,即ち産出鼠の変化に反応する間接 費,投入鼠の変化に反応する間接艶 及びどちらにも反応しない間接費に分離 するこ.とによって(これでも尚単純化しすぎている。実際にはもっと多くのカ
(37)N.A,.C..A.Resear Ch Staff,OpCitい,P 43
製造間接費差異分析の方法について
ー 7J−・
545
テゴリーが必要である。),作成されることが可能である。より弾力的なこの予 算は,より有意義な予算差異と真の能率差異の計算な可能ならしめるであろ
う。
2.より有意義な予算差異が必要である。・今や調整された予算数値ほ,
作業時間(もし,それが投入鼠を表わすために選択されたパラメー・ター・で参れ ほ)の誤用に.原因する追加的な消彗を考慮に入れるから,この追加的な消費は〆 予算差異には入れられない
3.轟実な能率差異が必要である。これは,投入嵐紅反応する間接費の項目 を取上げ,実際に利用された投入量が標準と相違することによって生ずると期 待される差異を計算サーることによって算定される。簡単な例を示すために,棟 準作業時間は産出最単位当り5時間を要し,当期の産出暑が遜1,000単軌 当期
の作業時間が5,200時間,間接費予算中の投入鼠反応項目10,000ドル,最後 にその項目は作業時間に直接比例する(現実の函数関係ほ勿論これより複雑で あるが)ことが期待されるものと仮定しよう。その場合,私が奥の能率差異と 名付けたものは
10,000×−=400ドル
(38) となるであろう。」因にソロモンの例を図式に示すと図−2のようになるであろ
う。
これに対して,ザネトスも捻ぼ同様の考え方を基礎としながら,消費差異
(A+B要素)を分割する必要のある場合と,必要のない場合とにわけて,第 二瀧の予算差異の妥当する場合をも含めて論じている。「消費差異(A+B要素 一引用者註)を,(ii)部分(A要素から固定費の差異部分を控除したもの一 引用者註)と(iii)部分(B要素一引用老註)−へ分離することが正当化され るか否かを決定するためには,まず間接費の変動性の性格を確定しなければな らない。通常の場合のように,もし間接費が〝差し当って問題になる操業度 内で馴配賦基準の実際的利用と共に変化するなら,上の分離が必要である。
,PP.38〜39
546 第39巻 第5・6雪
・−− 7ヱ ーー
しかし,この事惜の下においては,配賦
間 基準の能率的乃至不能率な利用一紅.原因す 按
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る間接費差異ほ,配賦基準そのもの紅課 せられるペきである。例えば,もし,間 接費が実際作業時間に伴って変化すると いう事実が見出されるなら,(i柱)のよう な差異ほ,適切な説明をつけて作業能率 差異の一部として計上されるぺきであ る。他方,間接費が標準操業度と共に変 サ化するなら(このような例として,自動
的又は準自動的生産が行われる場合や,
0
5,000 5,200Ilo l】別与1 図−−2
④=ソロモンズの能率差異
④=第一一・法の能率差異
斜線部分は,作共時閲にのみ反応する 間接曹予鈴部分
変動間接費が生産工程に入る前に自動的な採否の検査が行われる場合のような ある種の作業が考えられる。しかし,そのような作業ほ少数であると認めざる
(B9)
を得ない。),消票差異の変動部分の分離は意味がない。一」しかし,ザネトスの説 明にほ,理論的にはやや不十分なところがある。即ち,彼の場合,現実の弾力 性予鈴の変動費予算部分が,殆んど全部生産時間紅比例するか,殆んど全く比 例しない場合のみを考えているからである。しかし,弾力性予算のより実用的 な利用の仕方を示している。
このように,理論的には,変動費項目の内,操業時間の変化にのみ反応する 項目を分離して,正しい能率差異が算定される。それは操業時間のより能率的
な利用によって−,期待される現金支出原価の減少を標準価格で表わしているか らである。しかし,これを実線サーる場合紅ほそれだけ詳細な弾力性予算が準備 されていなければならない。このような点にも今後の課題が残されている。
このようにして,能率差異を算定することによって,残余となる予算差異も,
より正確に算定される。何故なら,予鈴差異は,実瞭時間紅対して共に許容さ れる予算額と実際間接費との差とな畠からである。しかし,その内容は相変ら
(39)Zenon SLZannetos,OpCit.,P.530