生産形態と原価計算形態との関係
佐藤好孝
1 序 説
生産形態と原価計算形態との関係は,人間の体型と洋服との関係に等しい。
いうまでもなく,人間が洋服を作る場合,先ず体の体型を採寸して,これに 合わせて洋服が作られるのと同様に,人間の洋服に当る原価計算形態は,人 間の体型に当る生産形態に合わせて形成されるという関係にある。いかなる 工企業ないしいかなる製品生産に,いかなる製品の単位原価の計算法を適用 したらよいかということは,原価計拝の研究に当って極めて重要な問題であ る。というのは,原価計算形態(Kostenrechnungs‑Form)は,当該企業の製品が, 造船業にみられるような個別生産方式によって製造されているか,それとも 化学工業などにみられるような大量生産方式によって製造されているかとい 注1)
う生産方式,つまり生産形態(Fertigungs‑Form)によって規定せられるという 関係にあるからである。このように,生産形態と原価計算形態とは,常に, 相互に密接不可分の関係にある。
原価計算における製品の単位別原価の計算法には,第3節の「2つの基本的 原価計算形態の性格と3つの計算思考の機能」のところで詳述するが,次の ような2つの張本的な計算思考がある。
1)分割計算法 2)付加計算法
そうしてまた,これに加えて,上掲の2つの基本的計算思考のいずれにも
注1)生産方式は,その経営において生産される製品の性格(Leistungs‑Charakter)によって規定されるとい う間係にある。
62 経 営 と 経 i斉
分属せず,その中間にあって,分割計算法と付加計算法とに対して補足的・
改良的役割を果たす,いわゆる「等価係数計算法J(仏λq叩ui討vale叩n回lzzi旧f汀fe町m町lre氏ch凶m川1
という計i算算1字〔思考がある。
次掲の図1‑1のように,分割計算法 (Divisionsrechnung) とは,割算計算 (除法)の手法を使って製品の単位原価を算定する方法をいい, 付 加 計 算 法 (Zuschlagsrechnung)とは,加え算(加法)の手法を使‑って製品の単位原価を算 定する方法をいう。
図1‑ 1 分 割 計 算 法
(割算計算法) 原 価 計 算 表 原 価 費 目 金 額 期首仕掛品原価 1,000 当期製造費用
直 接 材 料 費 10,000 加 工 賀 9,000
ム口、 五十 20,000 期末仕掛品原価 2,000 完 成 品 原 価 18,000 完 成 品 数 量 60kg 単 位 原 価 300
60
人っ
(こ一針刊川…r川用…一し口凶…て引ω叩L吋叫る訂J計t~
一般相批lこ「 … 同 」 形態の叶
と呼んでいる。
付 加 計 算 法 (加え算) 原 価 計 算 表 原価費目 金 額 直接材料費 5,000 直接労務費 10,000 直 接 経 費 500 間 接 経 費 4,500
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口、 計 20,000 砂 単 位 原 価 20,000 法
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前者の分割計算法を適用して製品の単位原価を算定する方法を,わが国で は「総合原価計算」形態の原価計算と呼ぴ, ドイツでは「分割給付原価計算」
(Divisionskalkulation)形態の原価計算と呼ぴ,アメリカではプロセス・コスト
・システム (processcostsystem)形態の原価計算と呼んでいる。これに対し
て,後者の付加計算法を適用して製品の単位原価を算定する方法を,わが国 では「個別原価計算」形態の原価計算と呼び, ドイツでは「付加給付原価計 算J(Zuschlagskalkulation)形態の原価計算と呼ぴ,アメリカでは「仕事別原価 計算」りoboder cost system)形態の原価計算と呼んでいる。
そこで,いま,先に採り上げてきた3つの計算思考が,原価計算上どのよ うな機能を果たしているかを総括してみれば,一般に次のようなことがいえ る。
1 . 分 割 計 算 法
一一一一一今
2. 付 加 計 算 法
この2つの計算法は,現代実際原価計算における製 品の単位原価を算定する手法の基本的な計算思考を 形 成 し て い る も の で あ る 。 分 割 計 算 法 は 総 合 原 価計算」形態の原価計算:の基本的な性格を形成し,
かつ特徴づける計算思与ーとなっている。また,付加 計算法は, ,‑{[I;I別 原 価 計 拝 」 形 態 の 原 価 計 算 の 基 本 的な性格を形成し,かつ特徴づける計算思考となっ ているものである。
このilf・‑tr法は ,r京、価計算における製品の単位原価を 算定する能力をもっていなL九 し た が っ て , こ の1;十 作法は,製品の単位町、価をn定する基本的な計算思 3 等価係数計身算:法一|ド号初刷m川.初叫叫の叫州叫f市純t主E叫昨田叫昨~i
生原価の分;主訓t引引│リlを行なう能力をもつのでで、'計算形態の 変更, 1;tn:の単純化など,いわゆる補助的・改良的 役古IJを果たしている計算思考である。
この3つの計算思考は,第4節jの「生産形態と原価計算形態の選択」のと ころで説明するように,製品町、価の算定に当って,その1つまたは2つが組 合わされて,各腕の原価計算形態を形成することになる。そうした意味では,
個別原価計算だとか,総合原価計算だとかいう名称は,コジオール教授も指 摘されるよう
i A
実務ないし実践上から発達してきた製品の単位原価を算定 する原価計算の手続上の特徴にしたがって区別された概念で,必ずしも両原 価計算形態の本質的相迭を明確に特徴づけているとはいえない。そこで,極 端ないい方をすれば¥単純総合原価計算 (einfacheDivisionskalkulation)な ら び に単純個別原価計算 (Betriebs. Z uschlagskalkula tion)以外は,すべて付加計算法ii:2) f主総H苧,J{I コジオール 'h~11m ;,' jt?: J下ir;%},[I{{干[)3R年. 101氏。
続 'l;~~ と杭 i庁 64
と分割計算法と等価係数計算法という 3つの計算法の組合わせからなる出合 形態の原価計算であるということができるC
生産形態の基本的分類 2
日本人の男性の一般的な体!11!ないし体絡に則して一定の悲 男性の下着が,
これをSサイズ・ Mサイズ・ Lサイズという 1つの椋準的な形態 準を設け,
生産形態もいくつかの基本的形態に分類することがで に分類されるように,
上述の男性の下着のように, { 疋
ここに生産形態の基本的分類とは,
きる。
どのように分類することがで の分類基準を設けて生産形態を分類した場合,
製品原価の計算にいかなる きるかということをいう。先にもふれたように,
当該企業でいかなる製品 原価計算形態ないし原価計算方法を選択するかは,
いわば製品の性格 (Leistungs心harakter)に大きく左 を製造しているかという,
次のような 2 つの分知基 iV~ を設 以下,
右されるという関係にあるO そこで,
次のようになるC けて生産形態を分類すれば,
製品の区分性(製品の H.W~ 1j・椛成別区分)
製品生産の反復性(定WJ・不定WJ・述続という生産制度) 2.
区分性はな 次拍の図2‑1のように,
その製品のもつ性格から,
製品は,
反復性のある同質的製品が大量に生産される大量給付(例えば,ビール・
L 、ヵヘ
自転車・その他)と区分性はあるが反復性のない非同質的ないし異質的製品
非同質的(異質的)製品 同質群の製品
/¥
個別製品 図2‑1同質的製品(大量給付)
/ ¥
個別化できない製品 個別化できる製品 ( 単 一 製 品 同 種 製 品 )
(例えば,特殊機械・建築物・その他)とに大別されるC
そうして,同質的製品ないし大量製品は,さらに上掲の図2‑1のように,
これを先の 2つの分類基準にしたがって分煩すれば,区分性はないが,反復 性のある, しかも個別化できない製品(例えは¥ビール・肥料・その他),つまり 単一製品 (einheitlicheErzeugnisse)と区分性も反復性もある, しかも個別化 できる製品(例えば,缶詰食品・自動}i[・自転車・その他),つまり同位製品 (Gattung‑ serzeugnisse) とに分類することができるC 前者の単一製品が,反復・連続し て製造されるような生産方式を採用している工業を単一製品生産形態(Ein‑ produktfertigungs‑Form) と呼ぶ。そうして,後者の同種製品が,反復・組別 に製造されるような生産方式を採用している工業を組別生産形態(Sortenfer‑ tigungs‑F orm ) と日手ぶ。
次に,非同質的ないし異質的製品は,さらに上掲の図2‑1のように,こ れまた先の 2つの分類基準にしたがって分類すると,例えば機械工業におい て製造する 1台の特殊機械のように,区分性も反復性もない個別製品 (indiv‑ iduelle Leistungen)と例えば印刷工業において製造する注文カレンダ‑100部 のように,区分性も反復性もない同質群の製品 (homogen‑gruppierte Leistungen)
とに分類することができる。前者の個別製品が,個別に製造されるような生 産方式を採用している工業(例えば,建設業・泣般工業・その他)を個別生産形態 (Einzelfertigungs‑Form)と呼ぶ。そうして,後者の同質群の製品が, 1同別的・
ロット別に製造されるような生産方式を採用している工業ー(例えば,印刷工業
・工具製近業・その他)をロット別生産形態 (Serienfertigungs‑Form)と呼ぶ。以 上述べてきたことをいま総括してみると,生産形態は,裂品の性格を基準に 分類した場合,次の4つの基本的形態に分類することができる。
1i1ー製品生産形態 2. 組別生産形態 3. ロット別生産形態 4. 個別生産形態
上掲の4つの基本的生産形態の内,組別生産形態とロット別生産形態とは,
非常に類似性があって紛らわしい点があるので,間1jiにその区別について触
66 経 営 と 続 出
れておくことにするC 組別生産とロット別生産との相違は,周知のように,
これを端的に区別すれば,前者の組別生産の場合には,数種のま!t型製品が生 産され,また反復製造WJ問が長期的であるC これに対して,後者のロソト別 生産の場合には,数註的に限定されたliiー製品が生産され,また反復製造WJ
nuが一定期間に限定されているという点にあるC
3 2つの基本的原価計算形態の性格と 3つの計算思考の機能
人間の体主I~ と洋服との関係でいえば,人間の体引に当る生産形態は,上述
のように 4つの基本的形態に分知することができるC そこで,次は,人間 の洋服に当る原価計算形態には,どのような形態があるかについて考えてみ る。原価計算の本来的な課題は,原価の容体計算 (Objektrechnung)であり,
製品の単位別原価の算定にあるc この製品の単位別原価の算定には,これま で説明してきたように,付加計算法と分割計算法という 2つの基本的な計算 思考ーがあることを指摘してきた。そこで,本節jでは,次の2つの問題につい て答えることにするG
1. 製品の単位別原価の算定に対する基本的計算思考である付加計算法
‑分割計算法と 2つの基本的原価計算形態の性格との関係。
2. 等価係数計算法が,なぜ製品の単位別原価算定の基本的計算思考の 範時に含められないてい,補助的・改良的計算思考として位置づけられ るのか。
1 . 付加計算法と個別原価計算形態(基本的形態その1)
付加計算法 (Zuschlagsrechnungs‑Verfahren)とは,加え算(加法)の手法を使 って製品の単位別原価を算定する方法をいっC この付加計算法を適用して,
製品の単位別原価を算定する原価計算を,一般に「個別原価計算J形態の原 価計算と呼んでいる。このようにして,付加計算法は,現代原価計算法の1 つの基本的な形態である 11固別原価計算」形態の原価計算の基本的な性格を
形成し,かつ{同別原価計算形態の原価計算における製品の単位別原価を算定 する手法として重要な機能を果たしているO
この計算法の特徴は,一つの経営の製品原価が,先の図1‑1に示したよ うに,加法に基づいて計算される点にある。したがって,この計算法のもと では,原価の集計のための「対象区画J(製品区匝Ij)が明確に個別化している ことが, この計算法の前提条件となっているC そのため,この計算法は,常 に,例えば,造船工業において建造されるタンカ一船と客船といった具合 対象区画が明確に個別化している場合にのみ適用しうることになる。したが って,この計算法は,一般に,その計算基礎として,原価の集計の対象とな る製品が,明確に個別化していること,ならびにその製品が仕掛なく完了さ れるということに支えられているC
II 分割計算法と総合原価計算形態(基本的形態その2)
分割計算法 (Divisionsrechnungs‑Verfahren )とは,割ji=計算(除法)の手法を 使って製品の単位別原価を算定する方法をいう。この分割l計算法を適用して,
製品の単位別原価を算定する原価計算を,一般に「総合原価計算」形態の原 価計算と呼んでいる。このようにして,分割計算法は,現代原価計算法のい ま1つの基本的形態である「総合原価計算」形態の原価計算の基本的性格を 形成し,かつ総合原価計算法における製品の単位別原価を算定する手法とし て重要な機能を果たしている。
この計算法の特徴は,総合原価計算形態一般の原価計算の特徴でもある が,先の図1‑1のように 1つの経営の製品単位原価が,一原価計算期間 の総製品数量(期間生産主)によって,それに対応する総合原価額(松製泣沈用) を分割することによって算定される。いわゆる平均原価 (Durchschnittskosten) であるという点に求められる。そこで,この計算法のもとでは, WI間 給 付 (Periodenleistung)と期間原価 (Periodenkosten)とが,一定の同一期1mに帰属 していることが必要で ある。だが,この一定期IllJは,必ずしも 1カ月という
「期間区画」である必要はなしそれが恒常的に一定の期間区画であれば、足 りるc そしてまた,原価集計・のための「対象区画」は, f[~'l 別原価計算形態の
68 経 営 と 主 主 i庁
原価計算の場合とは異なり,次のように各椛の対象に求めることが可能で あ るC
1. 単 純 総 合 原 価 計 算 に み ら れ る よ う な 単 一 のWJlllJ給付対象区画。
2. 組別総合同〔価計算にみられるような組別給付対象区画。
3. 工 程 別 総 合 原 価 計 算 に み ら れ る よ う な 場 所 的 ( 空1111(1リ)対象区画。
というのは, こ の 計 算 法 の も と で は , 個 別 原 価 計 算 形 態 の 原 価 計 算 の よ う に,特定の伽i別 化 さ れ た 「 対 象 区 画J(191J えは\建設工業において fill ,泣きれる 1;~Wi とビルデインク)である必要はなく,期間原価(完成品,,~(1出)に対して, そ のj却期U切j
!問自削jJ.原反価を分害割│リjす る た め の 完 成 品 のli担川測l!凹川!J川lリ定可能な数i註i止t尺!皮支 (け仰f7例与刊リ収えは¥製 泣[f例i炉同占司l倣数.市京t.f以 :止t1;: .その他)が把拍握:でで、きれば'対象区画の如何にかかわらず(例えば.~:Jl別給付区 画j.場所的給付区画・その他)これが適用できるといっ性格をもっているからで ある。そうした意味では,この計算法は'その一般的計算基礎として, ~期9明j 間
!原足価分割のための数i量誌的尺皮のi以測l!印川I!川│リ定が可能な場合にのみj適車用でで、きるという計計.
3
算算干手:条件によつて支えられている。それ故に' こ の 計 算 法 は , 製 造 間 接 賀 の 配 賦計算のような部分原価にも, ま た 個 々 の 原 価 要 素 (191Jえば,平均n率三j.n:・そ
の他)にも適用できるC したがって, こ の 計 算 法 で は , 総 て の 場 合 に , 完 全 に期間的対象区画に基づいて原価と給付とを相互に一致させることが必要で、
あ る 。 こ の よ う に , こ の 計 算 法 で は , 原 価 集 計 の た め の 「 期 間 的 対 象 区 画 」 がこの計算の前提条件となっている。
III 等 価 係 数 計 算 法 の 性 格 と 原 価 計 算 上 の 機 能
等 価 係 数 計 算 法(λquivalenzziffernrechnungs‑V erfahren)が,なぜ製品の単位別 原価を算定するための基本的計算思考の範囲専に含められないて1 分 割 計 算 法 と 付 加 計 算 法 と の 中 間 に あ っ て , 両 計 算 思 考 の 補 助 的 ・ 改 良 的 計 算 思 考 と し て 位 置 づ け ら れ た の か 。 そ れ は 何 故 か 。 こ の 計 算 法 は , 次 掲 の 事 例 か ら わ か る よ う に , 分 割 計 算 法 の 計 算 思 考 や 付 加 計 算 法 の 計 算 思 考 の よ う に , こ の 計
i主3) V gl. z. B. Kosio!, E., Rechnungswesen. Kostenrechnung und Betriebsbuchha!tung, S. 669. in: Handbuch der W irtschaftswissenschaften, hrsg. V on KarI Hax und Theodor WesseIs. 1m訳.fiij 1I;¥i';:.千合'.JHA.1191'lc
算法それ自体として製品の単位別原価を算定する能力をもっていないからで ある。
( 事 例 )
いま,厚さ 2mm, 1. 5mm, 1 mm, O. 5mmの 4税類の薄鉄板を製造している製 鉄所があるとする。この 4種類の等級製品の生産量は 2mmが 200t, 1. 5mm が 150t, 1 mmが250t, 0.5mmが300tで,その総製造費用は 153,000万 円 で あふたとする。また,厚さ 1mmの薄鉄板を基準にして決定した等価係数は 2 mmが0.8, 1.5mmが0.9, 1 mmが 1,O. 5mmが1.3で あ っ た と す るC この資料に 基づく等級別原価計算は,次のようになる。
厚 さ 生 産 量 2.0mm 200 t 1.5mm 150 t 1.0mm 250 t 0.5mm 300 t 900 t
等級別原価計算表 年 月
等 価 係 数 配分 N~ iV\f[!(
0.8 160 t 0.9 135 t 1.0 250 t 1.3 390 t
~ 935 t
総 合 原 価 26,182 22,091 40,909 63,818 153,000
等級製品(1) 総 合 原 価(2) 単位原価(3) 2.0mm 160 26,182
130.91 153,000X一9一3一5一=26,182 200
1.5mm 135 22,091
147.27 153,000X一9一3一5一ニ22,091 150
1.0mm 250 40,909
163.63 153,000X一9一3一5一 ニ40,909 250
0.5mm 390 63,818
212.72 153,000X一9一3一5一=63,818 300
(Jii.位:万円) 単 位 原 価
1:30.91 147.27 163.64 212.73
-~
(注)配分 N~i\f\fl![= 生産量×等価係数(例えば, 2.0mmの坊合, 200 t X 0 .8= 160 t , 以下同じ)
そη理由は,こうである。等価係数計算法は,上掲の事例のように, (1) の各等級製品のうち基準となる製品を決定し,この悲i¥lI製 品 (]J~f刊でいえば,
1 mmの鉄版)に対して,他の等級製品(事例でいえば, 2 mm・1.5mm・0.5mmの各鉄版)
70 経 営 と 続 出
の町、価がどのような割合(比半)で発生するかとL寸 関 係 比 率(Verhaltniszahlen) である等価係数の助けをかりて,総製造費用(153.000万円)を, (1)の各等 級製品に, (2)の計算式のようにして按分す'る。だが, こ の (2 )の数値 (26.182万円・22.091万円・40.909万円・ 63.818万円)は,総合原価 (Gesamtkosten) であって,各等級別製品の単位原価ではない。したがって,各等級別製品の 単位別原価を算定するためには, (3)の計算式のように,最終的には,各 等級別製品の生産量 (200t・150t・250t・300t )によって分割するいわゆる
「分割計算法」の手法を適用して,各等級別製品の単位原価が算定されなけ ればならな¥,¥c ここに,等級別原価計算が,総合原価計算形態の原価計算の 範時に含められる所以がある。
このようにみてくるとき,等価係数計算法それ自体は,性格的には,原価 負担者別計算の最終目的である製品の単位別原価の算定に直接的には役立ち 得ないのである。各等級別製品の単位原価は,最終的には,繰り返し述べる ように,分割計算法によって算定される。ここに,この等価係数計算法が,
製品の単位別原価を算定する基本的計算法である分割計算法・付加計算法と 同ーの範時に含められない最大の理由がある。
次に,こうした性格をもっこの計算法が,分割計算法と付加計算法との中 間にあって,両計算思考の補助的・改良的計算思考として位置づけられる根 拠について, 2' 3の事例に基づいて考えてみることにする。
1. 個別原価計算形態を総合原価計算形態に改良する事例: 鋳物工場に おいて,非常に内部類似性 (innerVerwandtschaft)の 高 い 多 品 種 の 製 品 が少量ずつ製造されている場合,これらにいちいち製造指図書を発行し,
指図書ごとの個別原価計算を実施する手数を省略するために,製品をい くつかの組に分け,これに 1つの製造指図書を発行して個別原価計算を 千子なうO
次に,こうして把握した総合原価(総製造技用)を,先に示した等価係 数計算法の計算事例と同じ要領で等価係数を使って各品種に按分し,こ れをさらに先の計算事例のように総合原価計算形態の原価計算における 分割計算法に基づいて各品種ごとの生産数量で除して各品種の単位別原
価を算定するC
2. 総合原価計算形態内での計算形態を改良する事例: ある工場で単椛 製品が製造されていたC ところが,同前製品ではあるが形状・大きさな ど規格面で製品が多様化し, もはや単純総合原価計算が,そのままでは 適用できなくなった。そこでコこれらの多様化した規格ごとに組分けし,
一応従来通り単純総合原価計算を実施して総合原価を把握するc だが,
これでは,製品生産の現状にそぐわないので¥先に示した計算事例のよ うに,等価計数計算法を適用して,この総合原価を形状・大きさの異な るいくつかの組製品に按分し,これをさらに先の計算事例のように各組 製品ごとの生産数量で除して,それぞれの単位別原価を算定する(単純 総合原価計拝形態の組別総合同〔価計算形態化)。
3. 部分的に計算手法を改良する事例: 経営設備の椛成上の性佑から,
同一工程から原材料の異なる製品が,製造されていたとする。こうした 場合,計算手数の単純化 (Vereinfachung)から, f同別原価計算は, s;U寸 料費についてのみ行ない,加工究(jr(接労務'{'(+製造Il:J抜日)についてはこ れを一括して把握するO そうして,このようにして一括把医された加工 費は,先の計算事例のように,等価係数計算法を適用して各製品に按分
される(等価係数計算法の補助的機能)。
ここで注意すべきは,この等価係数計算法が,いくら計算形態ないし計算 手法の改良ないし補助に役立つからといって,どこにでも適用できると考え ではならないということである。この計算法の適用には,次のような1つの 限定条件のついていることを忘れではならない。
1) 同ーまたは矧似性の高い原材料が使用されていること。
2) 同ーの生産工程のもとで生産が行なわれているということ。
等価係数計算法は,先の説明から明らかとなったように,この計算法それ 自体としては,原価負担者別計作の最終目的である製品の単位別原価を算定
する能力をもっていない。だが,上掲の ~Jç例はたった 3 つではあったが, 事
ii: 4 )周知l のごとく.総 ú. ,日(jl!fi計 n 形態の,~(illli ,11ーりでは川;I"Jのことを Tt','とUl.i:,
72 経 営 と 経 i斉 れからも推測できるように,この等価係数計‑n法が,計針:形態の変更とか,
計算手法の単純化・省略化に大きな役割を来たしていることは事実である。
ここに,この計算思考,分割計算法と付加計算法との中間にあって,両計算 思考の補助的・改良的計算思考として位置づけられる所以が求められるc
4 生産形態と原価計算形態の選択
これまでの説明で明らかになったことは,人間jの体型に当る生産形態は,
単一製品生産形態・組別生産形態・ロット別生産形態・{同別生産形態という 4つの基準的ないし基本的な型に分類できることが分った。また,人聞の洋 服に当る原価計算形態は r分 割 計 算 法 」 の 計 算 思 考 を 適 用 し て 製 品 の 単 位 別原価を算定する総合原価計算形態の原価計算と「付加計算法」の計算思考 を適用して製品の単位別原価を算定する個別原価計算形態の原価計算という 2つの基準的ないし基本的な型に分類できることが分った。そこでvこうし た 基 準 的 な 生 産 形 態 と 基 準 的 な 原 価 計 算 形 態 と の 関 係 を 図 示 す れ ば , 次 の
図4‑ 1
品 閣 製
¥ 醐
的
¥ ィ
質¥ 1
異
︑ 日
間/////町
非 釦
同
図4‑ 1のようになる。
次に,人聞の体型に当る 4つの基準的な生産形態に,人間の洋服に当る2 つの基本的な原価計算形態を着せ,体型(生産形態)に合わせて, そ の 洋 服
( 2つの基本的な原価計算形態)をさらに補整し調整すれば, 原価計算形態は,
次の図4‑2のように,純総合原価計算形態・組別総合原価計算形態・ロッ ト別原価計算形態・純個別原価計算形態という 4つの基準的な型に分類する ことカfできる。
図4‑ 2
要するに,上掲の図4‑2に示した4つの原価計算形態は,先にも事例と して引用した人聞の下着にSサイズ・ Mサイズ・ Lサイズという基準的な型 があるように 4つの基準的な生産形態に合わせて形成された原価計算形態 の基準的な型である。 Sサイズ型の人間の体型のなかにも,肥満型・中肉中 背型・4存型とがあるように,同じ型の生産形態といっても,そこには製品の 性格・生産設備の構成・生産計画など,いわゆる経営の生産上の性格の差異 が存在する。そこで,上掲の4つの基準的な原価計算形態は,後述するよう に,さらに下位の各種の原価計算形態に分かれて行くことになる。
すでに繰り返し指摘してきたょっに,個別原価計算形態だとか,総合原価 計算形態だとかいう概念は,両計算形態の本質的相違を明確に特徴づけてい るとはいえない。そつした意味では,単純総合原価計算と単純個別原価計算 以外は,次掲の3つの計算思考の組合わせによって形成された混合形態の原
注5) V g l.Kosiol, E., a. a. 0., S. 690. ; 1:1¥ .R. lîíHIJ;I~. 千:íÌl%J. 105Yi。
74
価計算である。
現代原価計算形態を構 成する 3つの計算思考
経 営 と 経 済
そこで,以下,この3つの計算思考が組合わされて,いかなる下位の原価 計算形態が,形成されているかについて,具体的に考察してみるC
I 単一製品生産形態の生産上の性格の変化と単純総合原価計算
単一製品生産形態とは,単一製品を反復・連続的に生産しているような単 極大量生産の経営をいう。こうした生産形態を採る企業は,現実には余り多 くは見受けられないのだが,例えは、電力・方、ス・ビール・肥料・銑鉄・採鉱
・その他などの経営が挙げられる。こうした企業が,どのような原価計算方 法を適用したらよいかを考える場合,その極手となるものに,次の3つの要 素がある。
原価計算方法選択 基準の3大要素
私は,これを原価計算方法選択基準の3大要素と呼んでいる。そこで,こ の3大要素を加味して,単純総合原価計算形態を考えた場合,次頁の図4 ‑
3のような下位の計算形態が考えられる。
次に,この図4‑3に示した各計算形態は,単一製品生産形態における上 掲の原価計算方法選択基準の3つの要素が,いかなる状態のときに適用でき
るのかについて具体的に考察してみる。
1 ) 分割計算法の計算思考を単独適用して,製品の単位別原価を算定する
図4‑ 3
単一工れ単純総合原価計算形態: この計算形態は,作業が高度に機械 化され,しかも生産設備の構成などから生ずるような本質的な操業皮変 化をきたすことなし各製造活動相互の調和がとれ,しかも仕掛品が時 間的に間断なく加工されるような生産形態に適用される。
2) 分割計算法の計算思考‑と付加計算法の計算思考とを併用適用して,製 品の単位別原価を算定する全原価要素工程別総合原価計算形態: この 計算形態は,例え単一製品生産形態で、あっても,生産設備の構成から前 工程の操業度ないし生産能率の彩特が,次の工程の作業に影響するよう な,いわゆる個々の生産工程の製造活動に調和のとれていないような生 産形態に適用される。
3) 分割計算法の計算思考と付加計算法の計算思考とを併用適用して,製
ii: 6 )この,lt‑mtて"のIp.{出J;({聞は. 1 IJ;( 11自社 m~lIllIにおける [1(1肘付l'l'l' [I( 扱労務 H' Ii \J 按'{'(を ~S ,tI'1~jli!L.
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