Research Journal 1986, 2, 1-21
原 著
学 習塾選択 にみ る家庭の教 育主 導意識 につ いて
藤 沢 伸 介
POSITIVE POLICIES ADOPTED BY MOTHERS
IN SELECTING JUKU SCHOOLS FOR THEIR CHILDREN
Shinsuke FUJISAWA
Atomi Gakuen Women's University, Niiza-shi, Saitama 352
Interviews were held with 192 mothers whose children are fifth to ninth graders in order to inves- tigate the actual conditions of their utilization of juku schools.
The results were as follows. There has been a steady increase in the number of mothers who try to establish new educational environments for their children independent of their regular school educa- tion. Many mothers try to make their sons and daughters study harder by sending them to juku schools which harmonize with their educational philosophy, because children usually get out of their parents' control when they become maturer and more independent. Many of the mothers hope their children will study at good juku schools for the purpose of forming character, but when they select juku schools, their level of aspiration is very low because of the difficulties in judging the quality of each juku school in advance. There are many juku schools which pursue only profit at the sacrifice of the educational quality, but 73.4% of the mothers are satisfied with the teaching methods of the juku schools their children attend. Mothers who are very concerned about education, however, are not so satisfied with their juku schools even after they have carefully examined and selected them.
Some mothers allow their children to pick juku schools their playmates attend. In most cases, those mothers are not so concerned about education, and are satisfied with the juku schools if their children are willing to go to them.
A little over twenty percent of mothers expect juku schools to be institutions for forcing training for good marks or cramming for entrance examinations. But the juku schools do not always meet their expectations, and cause most dissatisfaction among the mothers who only expect their children's marks to improve rapidly.
42.7% of juku schools are of the exercise- and answer-checking type, where teachers only make students fill in exercise books and , tell the correct answers to them afterwards instead of teaching the subjects systematically. It can be inferred that this is not done because it is an effective teaching proce- dure, but it helps cut down on personnel expenditures. Much dissatisfaction is produced by the mothers who send their children to such exercise- and answer-checking type juku schools.
In conclusion, it is certain that there is a trend among mothers forward establishing new educa- tional environments independent of regular schools, but the intention seems to be far from realization at present.
Key words: juku school, mother's educational philosophy, junior high school students.
問 題 の 所 在
小 中学生 の学 習塾 に通 う率 は,調 査 年 次 に よ っ て そ の値 が異 るが,一 般 に は大 都 市程 値 が 大 き く, 又年 々そ の 数 は増 加 して い る。 昭 和51年 度 の文 部 省 「児 童 ・生 徒 の学 校 外 学 習活 動 に対 す る実態 調 査 」 に よ る と,大 都市 で 中学 生 が50〜60%,小 学 生 が20〜3(%で あ ったが,そ れ か ら10年 後 の昭 和 61年で は,調 査 機 関 に よ って その 値 は異 る ものの, 中学 生 で70〜80%に 増 加 して い る と言 われ る。
かつ て は,塾 を論 ず る場 合,学 校制 度 を前 提 と した 見方 が な さ れる のが 普 通 であ った。 そ こでは, 塾 は,学 校 教育 を補 完 す る存 在 で あ った り,受 験 体制 に対 処す るた め の必 要悪 とい う見方 しか 出て 来 ない 。 本論 を発表 してい る昭 和61年 現 在 で さ え, そ の よ うな 見方 は 根強 く残 ってい る。
しか しな が ら,小 中学 生 の通 塾 が 当 り前 とな っ た 現在,親 の 間 には 新 しい意 識 が生 ま れつつ あ る よ うに 見 える。 そ れ は,自 分 の子 供 の教 育 を公 教 育 に100%委 ね るの で な く,親 が 自分 の方針 で 自 分 の子 供 の 教育 を考 えよ うとす る意識 で あ る。 そ こで は,学 校 は義 務 と して通 わ せ る機 関,塾 は 自 分 の理 想 を実現 させ る機 関 とい う意 味 を持 って く
る。
本 研究 は,塾 選 択 行動 を分析 す る こ とに よ り, この 新 しい 教 育意 識 の質 を検討 す る こ とを 目的 と す る。
調 査 の 概 要 調 査 時期 昭 和60年7,8月
調 査対 象 無 作 為 に抽 出 した,小5〜 中3の 子供 を持 つ 母親192名
調査 方法 個 人 面接 法(注1) 調査 有効 数(率)191名(99.5%)
質 問 事項 付表 参照(質 問数 は 回答 の種 類 に よ って異 る。)
サ ンプル構 成 子供 の
学 年 子供
の 性男1
小5 小6 小学
生計中1 中2 中3 中学 生計総計 男 子
11 7
1817 23 23 63 81
女 子16 16
32 1829 31 78 110
計27 23 50 35 52 54 141 191
結 果 と 考 察 1.通 塾率
今回 の 調査 に於 ては,通 塾 の 状況 はTABLE1 の通 りで あ った。 全 体 の通 塾 率 は,他 の 調査 とほ ぼ 同 じ傾 向 を示 してい る。 又,男 子 と女 子 では 多 少異 って い る点 が見 られ た。
まず 小 学生 で は,男 子 の場 合,小 学5年 よ りは 小 学6年 の 方 が通塾 率 が 高 くな って お り,女 子の 場 合 は これ とは逆 に,小 学5年 よ り6年 の方 が 通 塾 率 が低 くな って い る。 中 学生 の傾 向 と しては, 男 子 の場 合学 年 が上 に な る程 通 塾率 が高 くな るが, 女 子 に関 して は最 上学 年 の 中3で は通 塾 率 が減 少
してい る。 従 って,男 子 と女子 で は,親 の考 え方 が 異 る と推論 され る。
夂,中 学1年 で は,男 女共 通 塾 率 は半 分 以下 で ある が,中 学2年 にな る と どち ら も急 に通 塾 率 が 高 ま る。別 の表 現 をす れ ば,約4割 の家庭 で は,
中1か ら子供 を塾 に通 わ せ,別 の4割 の家庭 は中 2か ら子供 を塾 に通 わ せ てい る。
これ は,均 質 な母 集 団 が徐 々に 変化 して い く過 程 とも考 え られ るが,一 方,子 供 を中1か ら塾 に 通 わせ る家庭 と中2か ら通 わせ る家庭 とで は親 の 考 え方 が 初 めか ら異 って い る可 能性 も ある。
簡 単 に推論 され るこ とは,中2に な って 子供 を 塾 に通 わ せ る家庭 では,中1で は課 外 クラブの活 動 に 時 間 を多 く使 って い る うちに,成 績 が あ ま り 伸 び ない こ とに気 付 き,そ の対 策 と して,中2か
ら塾 に子 供 を通 わせ る こ とで,遅 れ を取 り戻 そ う とす る とい うこ とで ある。 中に は初 めか ら中2か ら通 わせ る と考 える家 庭 も あ るか も しれ ない が, この様 に途 中で方 針 が変 化 す る 家 が 多い ので は な いか 。
いず れ にせ よ,通 塾 率 の デ ー タだ けか らでは何 とも結論 づ け る こ とは で きな い の で,こ の件 につ い ては 次節 で再び 問 題 にす る こ とにす る。
さて,女 子 の最上 学 年 に おけ る通塾 率 の低 下 の 原 因 を検討 す るた めに,家 庭教 師 につ く率 を調べ たの がTABLE2で あ る。
塾 だ け に通 ってい る率 は中3の 女 子 は減 少 して い るが,そ の かわ り,家 庭教 師 につ く生 徒 が12.9
%あ る為,結 果 と して は,塾 も家 庭 教 師 も活 用 し ない 生 徒 は減少 して い る。 これ は,学 習塾 に 於て, 通常 中学3年 の ク ラスは夜 遅 く組 まれ て い る こ と が多 い た め,女 子 に は夜 間 の外 出 を控 えさせ,外
藤沢:学 習塾選択 にみ る家庭の教育主導意識について
3
TABLE1学 年 別 ・性 別 の 通 塾 率(単 位 は%)
学年
性別 小5 小6
小学生
計 中1 中2 中3
中学生
計 総 計
男 子
36.4 57.1 44.4 47.1 78.3 82.6 71.4 65.4
女 子75.0 56.3 65.6 33.3 82.8 77.4 69.2 68.2
合 廟計 59.3 56.5 58.0 40.0 :1: 79.6 79.6 67.0
TABLE2学 年 別 ・性 別 の 塾 ・家 庭 教 師 の 活 用 状 況(単 位 は%)
i
通 塾 のみ
塾 と家 庭 教 師 の
併 用
家 庭教 師
の み
塾 も家庭 教 師 も活 用 しな い
合 計
男
子
小5
36:4 9.1 54.5 100
小6
57.1 42.9 100
中1
47.1 11.8 41.2 lUO
中2
78.3 8.7 13.0 100
中3
73.9 8.7 13.0 4.3 100
男 子 計
63.0 2.5 9.9 24.7 100
女
子
小5
75.0 25.0 100
小6
43.8 12.5 12.5 31.3 100
中1
33.3 11.1 55.6 100
中2
82.8 6.9 10.3 100
中3
77.4 12.9 9.7 100
女 子 計
66.4 1.8 9.1 22.7 100
合 計
64.9 2.1 9.4 23.6 100
出せ ず に 済む 家庭 教 師 を利用 す る家 庭 が あ るた め と考 え られ る。
2.非 通塾 の理 由
これ ま で の多 くの調 査 では通 塾 目的 が 調べ られ てい るだ け で,通 わ ない 者 が 何 故 通 わ な い かの 調 査 は 殆 ど な さ れ た こ とが な い よ うに 見受 け られ る。 塾 を必 要 悪 と見做 し,で きれ ば通 わ な い 方 が よい とい う価値 観 に基づ く限 り,通 わ ない の が当 り前 で あ り理 由 な どあ るわ け はな い が,本 研 究 で はそ の よ うな価 値観 に と らわ れ ない 調査 を意 図 してい る為,塾 に 子供 を通 わ せ てい ない 親 には, 何 故 通わ せ て い ない か を尋 ね る こ とに した。
結果 と して は,21通 りの回 答 が得 られた。 これ らの 回答 の比 較 的 近 い もの同 志 を分 類 して,子 供 の学 年別 に集計 した のがTA肌E3で あ る。
1,2は 学 校 教 育 を充分 信 頼 し,わ ざわ ざ塾 に
通 わ な くとも学校 を中心 に生 活 を送 れば よ い とす る考 え方 であ る。 特 に1の 比 率 は,小 学校 中学校 とも学年 が上 に な る程 減 少 し,中3に は,こ の考 え方 は な くな って しま う。
3〜6は,積 極的 に学校 中心 の生 活 を考 えるわ け で はな い が,あ えて 塾 の こ とを考 える必 要 がな い とい う,ど ち らか とい うと消極 的 な学 校 信頼 型 の反 応 で あ るが,こ れ も学 年 が上 に な る と減少 し,
中2で は も うわ ず か に なる。
こ こ まで の1〜6は,学 校 を中 心 とした 考 え方 であ るの に対 し,次 の7〜21は 家庭 主導 型 の反応 であ る。7〜10は,親 が 積極 的 に 子供 の教 育 方針 を考 え実行 して い る反 応 で あ るが,こ れ も 中1迄 で,中2以 降 は回答 が ない。11〜13は,良 い塾 が あ って本 人 が納 得す れば す ぐに で も塾 に 通 わせ た い とい う反応 で あ り,こ れ は上 の学年 でも 反応 が
TA肌E3学 習塾 を利 用 しな い理 由
教 育 方 針 なぜ 子供 を学 習塾 に 通 わせ ない か 小5 小6 中1 中2 中3 積的 1.必 要性 を感 じない。 学 校 だ け で充分
36 20 24 10
極 2.子 供 が 部 活 で 忙 しい
20
2940
3.自 由 に 遊 ば せ た い
27 10
学校信頼型 消 4.学 習 意 欲 な し
5
極 5。子 供 が い や が る
9 10 29 10
的 6.学 校 が 禁 止 し て い る
5
親 7.親 が 指 導 可 能
10 10
が 8.他 に や らせ た い こ と あ り
18 10 5
指 9.自 力 で 学 習 させ た い
18 10 5
導 10.時 期 尚 早
9 10 5
塾 11.子 供 が 通 う と言 い 出 さな い
9 30 10 40 9
を (言 えばす ぐ通 わ せ る)
待 12.ど うい う塾 が 良 い の か わ か ら な い
10
家庭主導型 機 13.近 く に 良 い 塾 が な い(検 討 中)
5 36
学 14.家 庭 教 師 を つ け て い る
9 20 19 30 64
習 15.ト レ ー ニ ン グ教 材 をや らせ て い る 10
塾 16.通 信 教 育 をや らせ て い る
5
以 17.塾 は 効 果 が あ る と思 え な い
9 20
外 18.上 の 子 は 塾 で 効 果 が な か っ た
19.塾 は 非 行 に つ な が る
10
20
の
20
選 20.塾 は 遊 び 半 分 に な る
10
択 21.塾 に 通 わ せ る と,家 族 で
5
話合 い の時 間 が な くな る
(総 回 答 数) (11) (lo) (21) (10) (11)
数値は その学年の総 回答数に対 す る比率。単位 は%
複数回 答を認めているので合 計は100に な らない。
但 し,総 回答数のみ実数
あ る。14〜16は,塾 以 外 の教 育 シス テ ムの活 用で, 特 に家 庭 教師 の 利 用 は,学 年 が上 にな る程 比 率 が
多 くな って い る。17〜21は,塾 に対 して否 定 的 な 態 度 を表 明 した 反 応 で,少 数 例 か らの 不適 切 な一 般 化 と思 わ れ るが,中2の 親 に 集 中 して い るの は
興 味深 い。
全体 的 にTABLE3を 見 た時 に 気付 くの は,中 1と 中2の 所 に大 きな質 の変 化 が 見 られ るこ とで あ る。 これ は,多 分 子供 の発 達 に 関係 が あ るで あ ろ う。 中学2年 に な る と,子 供 は大 き く自立 へ の 道 を歩み 始 め る為,親 が 子供 に何 か説 得 しよ うと して も,な か なか かつ て の よ うに は言 うこ とをき か な い。 親 が教 育 の主 導 権 を取 ち う として も うま くい か ない が,か とい って き ちん と勉 強 だ けは さ
せ たい とい うこ とで,そ の方針 の 実現 を塾 とい う 教育 機 関 に託 す の では ない か とい うこ とが推 論 さ れ る。
いず れ にせ よTABLE3を 見 る限 りに お い ては, 学校 信 頼 型 の反 応 と家庭 主 導型 の 反応 を比 べ る と, これ は複 数 回答 を認 めて い るの で 単純 に反応 数 を
鱗 藷 讖 聯 いが・家麟 型の反応の
通 塾 者が 学校 教 育 だ けで は不 充 分 と考 えて い る のは 当然 と して,非 通塾 者 で さ えも学校 信 頼 型 の 反応 が少 ない とい うこ とは 注 目に 価す る。
それ で は,ど の よ うな点 で学 校 が信 頼 で きな い の で あ ろ うか。 言 いか えれば,親 が塾 を活用 しな が ら子 供 に与 えたい のは どの よ うな教 育 な ので あ
藤沢:学 習塾選択にみる家庭 の教 育主導意識について
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ろ うか。 これ まで しば しば 言わ れて き た のは,塾 は 受験 制 度 が あ るため に存在 して い る機 関 で あ る
とい うこ とで あ る。 も しそ うで あ る とす るな ら, 親 が 塾に 期待 す る内容 は効 果的 な受験 指 導 の みで あろ う。 そ こで,通 塾 者 に対 して,理 想的 な学 習 塾 とは どの よ うな 所 であ る か を質 問 した。
3学 習 塾 の理 想像
通 塾者 を対 象 として尋 ねた 学 習塾 の理 想 像 と し て は,57通 りの回 答 があ った。 これ を整理 した の がTA肌E4で あ る。 調査 者 の主観 性 を排 除 す る 為,内 容 がほ ぼ等 しい と思 わ れ る項 目で あ って も, 表 現が 異 な れば別 の項 目 と して 集計 して あ る。 表 中 の数値 は,回 答 者 数 に対 す る百分 率 で あ る。 回 答 は1人 が何 項 目も考 えて い る場 合 が ある ので, 数値 の合計 は100%に はな らない。 大 きな分 類 は, 筆 老 が同傾 向 と考 えた項 目 を同群 に した 分類 で あ
る。 各 群 に つ き百 分率 の検 定 を行 つた結 果,小 学 生 の親 と中 学生 の親 で は期 待 内容 に 有意 差 は なか った ので,両 者 に関 しては ほぼ 同様 の傾 向 が あ る と見 る こ とが で きる。
Cの 「速 効 性 と結果 の重視」の群 と,Bの 「人格形 成 と過程 の 重視 」 の群 の両 方 に わた って回 答 を出
した ヶ一スは な か った。Aの 「親 身 の個 別 対 応 の重 視 」については,他 の どの群 に も跨 が った回 答 が多 数見 られ た。 内容 的に 見 て も,B群 とC群 は 明 ら か に矛盾 す る と考 え られ る。 例 えば3と6は29と 逆 にな って い る し,4と27や37も 逆 で あ る。 マ ス
コ ミで話 題 に され る 「学習 塾」 は,Cの 方 針 を と る もの とされ る こ とが多 い が,今 回の調 査 で 見 る 限 りに おい て は,約2割 の親 が速 効 性 と成 績上 昇 とい う結 果 を塾に期 待 し,約4割 の親 が人 格形 成 と本 来 の学 力増 強 を塾 に期 待 して い る こ とがわ か る。 夂,約 半数 の親 は,面 倒 見 の 良 さや 自分 の子 供 の学 力に 適 した指 導 を望 んで い る。
これ らの結 果 は何 を意味 して い るで あ ろ うか。
1つ の 可能 性 は鮮3)現 在 通 ってい る塾 の現状 に 不満 が 多 く,そ の 満 た され ない 部分 が 回答 とな っ て 出て きて い る とい うこ とで あろ う。 これ に つい て は,塾 選 択 や満 足度 の調 査 結果 との関係 を見 な け れば何 とも言 えない 。 又別 に,こ れ は学 校 教育 に対 す る不 満 を その まま表 わ してい る とい う可能 性 もあ る。 科学的 論 証 は 難 しい が,調 査 を通 じて の 筆者 の印象 として は,こ の可能 性 は か な り高い
よ うで ある 。塾 の理 想 像 の調 査 に あた り,回 答 の 際 の親 の代表 的 な コメ ン トを2つ 紹 介す る。
1.勉 強 面 で は,本 人 だ理 解 で きる まで 教 え込 ん で くれ る塾 が理 想 だが,た だ 受験 のた めに とい うわ けで は ない。 個 性 を尊重 した上 で の指 導 が な されて い ない 学校 教 育 の現 状 に失 望 して い る の で,塾 に そ れ を期 待 せ ざる を得 ない 。 学校 で は生 徒全 員 に 目が 向 け られ てお らず,塾 の 方 が ま だ ま しで あ る。 塾 は,親 の学 校教 育 に対 す る 不 満 の は け 口で ある。(中3生 のO,埼 玉県) 2.学 校 で の授業 は 多 人数 で,ど うして も行 き届
か ない 所 が あ る。 そ うい う所 を塾 で カ バ ー して 成績 向上へ つ な が って欲 しい と思 って い るの で, 少 人 数 制 の塾 が理 想 的 で ある と思 う。(中3生
の母 親,東 京 都)
どち らも,学 校 教育 に竝 す る不満 が強 く述 べ られ てい る。
夂,B群C群 とい う相 容 れな い 回答 が 得 られ た とい うこ とは,母 集 団が 均質 で は な く,教 育 方 針 に よ って,母 親 には い くつ かの 類型 が 潜 在 的 に存 在 して い る こ と を示 唆 して い る よ うに思 わ れ る。
も し,類 型 の 存在 が 明 らか に なれ ば,親 の子供 時 代 の成 績,親 の学 歴,子 供 の学 業 成績 と の関係 も 見 出せ るか も しれな い。
4学 習塾 の 選択 者
前節 に おい て,母 親達 が 学習 塾 に対 してか な り の 期待 を持 って い る こ とが わ か った が,そ の よ う に期 待 して い る塾 を誰 が選 ん でい るか を 見た のが TABLE5で あ る。 全体 的 に見 る と,約 半数 は母 親 が選 び,約4割 は子供 本 人 が選 ん で い る。両 親
TA肌E6誰 が学 習 塾 を選択 した か (単 位 は%) 学 習塾選択老 小5 小6 中1 中2 中3 合 計 母 親
75.0 53.8 30.8 50.0 4廴0 47.8
o
本 人
16.7 30.8 53.8 36.1 48.7
1 母 親 と本 人7.7 Z7 8.3 4.4
両 親
Z7 2.8 2.6 2.7
両 親 と 本人
2.8 5.1 2.7
父 親
8.3 Z7 1.8
兄 弟
2.6 0.9
合 計
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 ioo.o
有効 回答比率75.0 100.0 92.9 85.7 90.7 88.3
TABLE4通 塾 者 の親 の考 える学 習塾 の理 想像
分 類 子供 の段階
項 目
小 学 生
中 学
生 全 体 小 学 生
中 学 生 全 体
1.子 供 が わ か る ま で 教 え る
10.1 7.s
2.能 力別 に指導 の仕 方 を変 える
10.3 5.1 6.3
3.個 人指 導 の 時 間が あ る
8.1 6.3
4.少 人数 で 指 導 の 目が行 き届 く
10.3 5.1 6.3
5.個 人個 人 の弱点 補 強 を して くれ る3.4 6.1 5.5
A 6.レ ヴ ェ ル が 自分 の 子 供 に 合 って い る3.4 5.1 4.7
指
親 身 の 個 別 対 応 の 重 視
7子 供の個性 を尊重 して指 導 して くれ る 8.數 師 中心 でな く一 人一 人 生 徒 の現 状 を把 握
し なが ら指 導す る
9.先 生 が 子供 の 話 をよ く聞い て くれ る
5.1
4.0 2.0
3.9 3.1 1.6
10.子 供 の 疑 問 に て い ね い に 答 え て くれ る2.0 1.6
11.授 業 の ア フ タ ー ケ ア を 責 任 を も って や る3.4 1.0 1.6
12.す べて をまかせ られる(他に家庭教師な ど不 要)6.9 1.6
13.子 供 と相 性 が 合 う
1.0 o.s
14.ど ん な レ ヴ ェル の 子 供 に も 合 う
3.4 o.s 41.4 54.5 51.6
15.学 習 意 欲 を高 め て くれ る6.9 11.1 10.2
導 16.子 供 が 喜 ん で 通 う よ うに して く れ る
10.3 5.1 6.3
学 習順 序 や説 明がわ か りや す い よ う配慮 さ17. 17.2 2.0 5.5
れ てい る
1&学 習 の楽 し さを教 える
3.4 3.0 3.1
19.適 切 な 学 習 法 が 身 に つ く
3.0 2.3
20.個 人 差 を理 解 し,人 間 性 を大 切 に 育 て る
3.0 2.3
B 21.子 供 の 個 性 や 能 力 を う ま く 引 き 出 す3.0 2.3
人格形成 22.テ ろトばb要 最 少限 に とどめ競争 らをあお らない
2.0 1.6
方 と過 程 の 23.勉 強 を 好 き に さ せ る
3.4 o.s
重 視 24.本 来 の 学 力 を付 け る
1.0 0.8
学 習 内容 を人生 に於 いて 主体 的 に活 用 で き
1.0 1:
25. る よ う に す る
1..0 o.s
26.子 供 の知 的好 奇 心 を刺 激 す る
1.0 o.s
27.勉 強 を通 し て 人 間 と して の 生 き方 を教 え る1.0 o.s
、
28.つ め こみ 教 育 を しな い
1:0 o.s
29.精 神 力 や 自主 性 を養 う
1.0 o.a
針 30.自 律 性 を養 う
1.0 0.8
31.受 験 勉強 の機会 を活 か して 心 を鍜 える
1.0
0.841.4 40.4 40.6
32.学 校 の 成 績 が 上 が る13.8 13.1 13.3
C 速効 性 と 結 果 の
重 視
33.受 験 で 成 功 させ る
34.テ ス トが 頻 繁 に あ り絶 え ず 結 果 が わ か る 35.子 供 に 厳 し く接 しジ 言 う こ と を聞 か せ る 36.一 流 校 合 格 の 実 績 が あ る
37.多 人 数 の 中 で 競 争 心 を あ お る
3.4 3.4
じ
3.0 2.0 2.0 2.0 1.0
3.1 2.3 1.6 1.6 0.s
38.学 校 の 定期 考 査 で点 が とれ る よ う準備 す る
1.0 o.s
20.224.2 23.4
藤沢:学 習塾選択にみる家庭 の教育主導意識にっいて
7
分 類 子 供 の段階
項 目
小 学 生
中 学
生 全 体 小 学 生
中 学 生 全 体 授業 計画 が学 校 の勉 強 に も受験 準 備 に も合39
.
3.4 4.0 3.9
D う よ うに 立 て ら れ て い る
授 40.学 校 と進 度 が 同 じ
3.4 2.0 2.3
業 41.学 校 よ り進 度 は 早 目
3.4 1.9 1.6
形 計 42学 校 よ り進 度は遅 目
2.0 1.6
画 43.授 業 計 画 が き ち ん と立 て られ て い る
10 0.8
44.学 校のよ うに型には まらず授 業計画 が臨 機 応変 ● i.0 o.s45.教 師 が 熱 心,真 剣(態 度)
5.1 3.9
E 46.教 師 が優 秀(能 力)
2.0 1.6
教 47.教 師 が 探 究 心 旺 盛(資 質)
1.0 o.s
態 師 4&熟 練 教師 が 多 い(経 験)
1.0 o.s
F 49.充 分 設 備 が 整 っ て い る
2.0 1.6
莠
50.受 験 情 報 が 豊 富1.0 o.s
他 51.営 利 目的 で な く貢 献 目 的 の 設 立 で あ る
1.0 o.a 10.3 24.2 21.1
52.質 問 しや す い 雰 囲 気
2.0 1.6
雰 囲 気 53.厳 し さ,易 し さ の 度 合 が 適 度
2.0 1.6
54.伸 び伸 び と勉 強 で き る雰 囲気
1.0 o.s 3.4 4.0 3.9
55.授 業 料 が 安 い
3.4 3.0 3.1
個 人 的都 合 56.自 分 の 家 に 近 い
3.4 2.0 2.3
57.夜 遅 くな らな い
3.4 3.0 o.s 10.3 5.1 6.3
(総 回 答 数) (29) X99) Clan)
・数 値 は ,総 回答 数 に 対 す る 比 率 。 単 位 は%。 複 数 回 答 を認 めて い る ので,合 計 は100に な らな い。
総 回答 数 は 実 数。
相談 の上 で 選択 した り父親 が選択 して い る例 は, 非 常 に少 ない。
又,年 齢 別 に見 る と,年 齢 上 昇 に伴 い 本入 選択 が上 昇 とい う大 きな 傾 向は あ るが,そ の経 過 は 必 ず しも単純 でな い。 百分 率 で 見 る と,小5,小6,
中1と 本 人 の選択 率 が 高 ま るが,中2の 時 期 には 母親 の 選択 が多 くなっている。このことをTABLE3 の 結 果 と総 合 す る と,次 の よ うな こ とが 推論 さ れ る 。 即 ち,中2の 時期 は 中学 時代 の 中 だ る み の時 期 と よ く言 わ れ るが,母 親 が子供 に 学習 意 欲 欠如 の 傾 向 を 見出 し,子 供 に学 習 す る よ うに小 学校 時代 と同 じよ うに促す もの の,子 供 の方 は親 か らの 自立 の傾 向が 出は じめて い る為,な か な か 親 の思 い通 りに な らない。 そ こで,母 親 が学 習塾 に通 わせ る こ とで勉強 させ よ うとす る とい う形 に な るので は な い だろ うか。 これ を確 認 す る為 に は, 更 に別 の調 査 が必 要 で あ ろ う。
で は,母 親 や子 供 は,実 際 に学 習塾 を選 択 す る 時,ど こに 着 目 して選 択 す る ので あろ うか。 そ の
点 を,次 節 で検 討す る こ と とす る。
5学 習塾 の選 択 基準
現在 通塾 中 の学 習塾 の 選択 基準 を尋 ねた 回答 を 多い順 に整 理 したの がTABLE6で ある。 理 想 の 塾 の 所 では 指 導方 針 や形 態 につ い て,さ まざ まな 期 待 が 述べ られ,学 習塾 の地 理 的近 接 度等 にっ い ては ほ ん の2.3%し か 回答 が なか った のに も かか わ らず,実 際 の 塾選択 行 動 とな る と,圧 倒 的1位1
が 「近 い」 とい う所 在地 の 回答 に な り,方 針 納 得 は5位 に な って しま ってい る。 つ ま り,理 念 と行 動 が一 致 してい ない の で ある。 この不 一 致 の原 因
は何 で あろ うか。
第1の 可能 性 は,母 親 が 選ぶ 場合 は方 針 で選 ぶ が,子 供 が選 ぶ場 合 は距 離 で選 ん で しま うこ とも あ り得 る。 そ こで,こ の可能 性 を検討 す る為,選 択 者 別 に基 準 の 内訳 を見 たの がTABLE7で あ る。
TABLE7は,上 位2位 だ け を調 べ て あ る。 意外 な こ とに,親 も子供 も近 い とい うこ と を重 視 して 塾選 択 を してい る こ とが わか る。 従 って,距 離 り
TABLE6 学 習 塾の 選 択基 準 の順 位 順位 学習 塾 の選 択基 準 反応数 %
1
近 い36 28.1
2
評判15 11.7
3
友 人 が い る14 10.9
兄 弟 が 通 っ て 良 か っ た14 10.9 5
方 針 が納 得 で きる13 10.2
6
知 人 の勧 め11 8.6
塾 発表 進 学 実績 を 見て
11 8.6
8
先 生 が信 頼 で きる6 4.7
少人数
6 4.7
10
授業 料 が安 い3 2.3
11
規模 が小 さい2 1.6
教 え方 が丁 寧
2 1.6
有 名 だ ・
2 1.6
所属 校 の生 徒 が いな い
2 1.6
通 ってい る人 に話を きい た2 1.6
レ ヴ ェル が 高 い
2 1.6
17
テ キ ス トが権 威 が ある1 o.s
規模 が大 き い
1 o.s
自宅 で塾経 営 を して い る
1 o.s
他 に 良い 所 が ない1 o.s
教師 の学歴
1 o.a
学校 でチ ラ シを配 られ た
1 o.a
時 間帯 が部 活 と両立1 o.s
・複 数 回 答 を認 め てい る の で 合 計 は100%に な ら な い。
条 件 は 必 ず し も 子 供 特 有 の 基 準 で は な い。 ヂ 供 特 有 の 基 準 は,む し ろ 「友 人 が い る」 と い う基 準 で あ り,TABLE6の 「友 人 が い る」 に 回 答 し た14 名 の う ち,11名 が 子 供 の 採 用 した 基 準 で あ っ た 。 よ っ て,こ の 第1の 可 能 性 は 妥 当 とは い え な い 。 不 一 致 の 第2の 可 能 性 は,い わ ゆ る 「タテマ エ」
と 「ホ ンネ 」 の 違 い で あ るか も し れ な い 。 日本 人 は,タ テ マ エ と ホ ンネ を 器 用 に 区 別 し こ の 二 者 の 不 一 致 に 抵 抗 が 少 な い とい う こ とが,し ば しば 指 摘 さ れ る 。 今 回 も そ の 区 別 が こ こ に あ らわ れ た の で あ っ て,「 理 想 の 塾 」 と尋 ね られ た ら あ く ま で
「タ テ マ エ」 を 答 え,実 際 は 「ホ ンネ」 で 選 択 す る と い う こ と か も し れ な い 。 確 か に,新 井 郁 男
(1982)で も指 摘 さ れ て い る よ うに,こ の 種 の 調
蟹蕪 こ 纛 欝 鑢上 欝 景窪 繍
した の も,よ り 「タテ マエ」 を 引 き 出 しやす い結 果 に な うてい るか も しれ な い。 この可能 性 を確 実 に検討 す る為 には,「 ホ ンネ」 が引 き出せ る よ う な 充分 な配慮 を しなが ら再 度調 査 す る 以外 にはな
TABLE7選 択 者 別 の学 習 塾 選択 の 基 準の 差違(数 値 は%) 選択者 小 学 生 中 学 生 全 体
① 近 い9.4
① 近 い&6 ① 近 い1&o 母親が選 沢② 評 判3.9
② 畿 の6.3 ② 評 判Z8瞭 会が4.7
① 近 い6.3
① 近 い&6 本人が選択② 近 い2.3
②糴 ミ39 友 人がい る&6 母親 と本人① 評 判2.3
(中学 生に 同 じ) の 相談 に よ (該当 な し)
② 近 い1.6
り選択 塾発表
の進学 廴6 実績
い 。 しか し,理 想 の 塾 像 を語 る 時 に,学 校 不 信 の 発 言 が か な り 見 ら れ る 点,成 績 向 上 の 要 求 も 出 て い る 点,後 の 第9節 で 述 べ る 非 通 塾 者 の 理 想 像 と に 大 き な 差 が あ る 点 か ら考 え る と,必 ず し も,タ テ マ エ だ け で 理 想 像 に 回 答 して い た と考 え る の に は 無 理 が あ る 。 夂,学 習 塾 は 学 校 と異 りあ く ま で サ ー ビ ス 業 で あ り,年 間 か な りの 高 額 な 授 業 料 を 払 っ て い る こ とも あ っ て,親 の 消 費 者 意 識 が 高 い こ と を 考 え あ わ せ る と,近 い と い う反 応 が ホ ン ネ の 代 表 値 と考 え る の も 無 理 が あ る。 も し 「近 い 」 とい う こ と だ け で 選 択 す る の が 普 通 な ら,き ち ん と した 教 育 を や って い る 学 習 塾 ば か り とは 言 え な い か ら,通 塾 満 足 度 も低 く な る に 違 い な い 。 こ れ に つ い て は 本 稿 第8節 で と りあ げ る。 以 上,あ く ま で 推 論 の 域 を 出 な い が,今 問 題 に して い る 不 一 致 の 主 た る原 因 と して は,こ の 「タ テ マ エ 」 と
「ホ ン ネ」 の 差 の 可 能 性 は そ れ ほ ど 高 くな い の で は な い か と思 わ れ る 。 む し ろ 次 に 述 べ る 第3の 可 能 性 が 大 きい か も しれ な いQ
第3の 可 能 性 は,TABLE6の 集 計 の 仕 方 の 問 題 で あ る。 こ の 結 果 は 自 由 回 答 の 単 な る 集 計 で あ る 為,す べ て の 選 択 肢 が 同 じ ウ ェイ トを 持 っ て し ま っ て い る。 そ こ で は,「 近 い 」 と い う項 目 は,
藤沢:学 習塾選択にみ る家庭 の教育主 導意識 について
9
他 の答 え方 が あ ま りないの で 反応 が 集 中す る が,
「方針 に納 得 した」 とい う項 目は,具 体 的 に方 針 を上げ てい けば い く らで も反 応 が分 散 して しま う ので,1項 目あた りの反応 数 は 減少 して しま うの で ある。 だ か ら,単 純 集計 に よ るTABLE6は あ ま り意 味 が ない こ とに なる。 選 択 条件 の各項 を よ く見 る と,そ こには主 体 的 に塾 の教育 の 質 を判 断 した回 答 と,他 者依 存 的な 判断 と,塾 の教育 の質 の こ とは考 えず に,自 分 の 子供 が 通 う こ とに よ っ
TABLE8学 習塾 選択 基 準 の分 析
(基 準 の順 位11位 迄)
.分 類
選択基準 %兄弟 が通 って 良か った 方針 が納得で
きる 塾発表の進学 実績を見て 先生が信頼で
き る 少人数
主体的判断
46.9
規 模 が 小 さい
教 育 の 質 の 判 断 教 え方が丁寧
(合 目的 条 件) 所属校の生徒
が いな い 通 って い る人 の話 を きい た
レ ヴ ェ ル が 高 い
評判 他老依存的
判 断 知人の勧め
20.3
有名だ近 い
消極的選択(通塾抵抗緩和条件) 友 人が い る
41.4
授業料が安い 一
て 生 ず る 様 々 な 抵 抗 を 緩 和 す る よ う な 条 件 で 判 断 す る 回 答 との3種 類 が あ る よ うに 見 え る 。 こ の 調 査 に 於 い て 確 か め た い 点 は,ま さ に この3種 が ど
う分 布 して い る か を,理 想 の 塾 の 姿 と の 関 係 で 見 た い わ け で あ る か ら,こ の3分 類 にTABLE6の 第11位 ま で を 再 分 類 し,集 計 し な お し た 。 そ れ が
TABLE8で あ るCO注5)
TABLE8を 見 る と,半 数 近 くが 主 体 的 な 判 断 基 準 に よ っ て 塾 の 質 を 判 断 し て い る こ と が わ か る が,あ い か わ らず 理 想 的 な 塾 の 反 応 を考 え た 場 合 納 得 の い く数 値 で は な い 。 こ れ は,母 親 だ け の 選 択 で な く,子 供 の 選 択 基 準 が 含 ま れ て い る か ら で あ ろ う。 そ うい う意 味 で,母 親 の 選 択 基 準 と子 供 の 選 択 基 準 を比 較 し た の がTA肌E9で あ る。
こ の 表 を 見 る と,「 友 人 が い る」 とい う基 準 で 学 習 塾 を選 ん で い た の は,実 は 子 供 本 人 で あ った こ と が わ か る。FIG.1は,TABLE9の 大 項 目に よ っ て 親 と子 の 判 断 の 違 い を見 た も の で あ る が, 約4分 の3の 親 は,教 育 の 質 を 問 題 に して 塾 を 積 極 的 に 選 ん で い る の に 対 し,子 供 が 選 ぶ 場 合 に は, 教 育 の 質 の こ と を 考 え る よ り,近 く で しか も友 人 が 多 い とい う よ うに,通 う抵 抗 が 少 し で も少 な い よ う な 所 を 選 ん で い る こ と が わ か る。
こ の 結 果 は,塾 の 理 想 像 の 所 の 結 果 と一 貫 性 を 持 つ も の と考 え て,さ しつ か え な い の で あ ろ う。
但 し,一 貫 性 は あ る とい うも の の,そ の 内 容 は 実 際 の 選 択 とな る と要 求 水 準 が 理 想 像 ほ ど高 く な く,
しか も 「近 い 」 とい うこ と が あ い か わ らず 大 き な 基 準 で あ る こ と に か わ りは な い よ う で あ る 。
TA肌E9 学 習 塾選 択 基準 の選択 者 に よ る差異
分 類 母 親 子 供 全 体 教 育 の 質 の判 断
壱 「
(合 目的的 判 断)
主体的判断
75.9 24.4 46.9
他者依存的判 断
37.0 11.1
XO.3 消極 的 選 択(通塾抵抗緩和条件)
41.4 51.1
、41.4
・数 値 は%複 数 回答 が あ る た め,合 計 は 100%に な ら な い。
・母 親 と子 供 で は,5%水 準 で 有 意 差 あ り
FIG.1学 習 塾選 択 基準 の選 択 者 に よる差 異
燃 濕鵜
(%)
子供の選択 全体の選択
TABLE10所 属 校 の生 徒 の重 要 性 に 関す る母 親 の 判断
意 見 男 子 女 子 全 体
所属 校 の生 徒 の 有無 は重要 な 問題
所属 校 の 生徒 が い た方 が よい 12(22.6 18(24.0) 30(23.4) 所属 校 の生 徒はいない方が よい 8(15.1) 10(13.3) 18(14.1) 所 属 校 の 生 徒 の 有 無 は 大 し て 重 要 な 問題 で ない 30(56.6) 45(60.0) 75(58.6)
無 回 答 ・ 3(5.7) 2(2.7) 5(3.9)
合 計 53(100) 75(100) 128(100)
数 値 は 実数()内 は%
6同 じ学校 の 生 徒 とは一 緒 が よ い か
本 人 が塾 を選 択 す る場 合,友 人 と一 緒 とい うこ とは か な り重要 な 基準 であ る こ とがわ か ったが, この こ とを母親 は ど う考 えてい るで あ ろ うか。 母 親 の判 断 の 中 には 「同 じ学校 の生 徒 がい な い」 と い う項 目 もあ り,母 親 の考 え方 は 必ず し も子 供 と 同一 では な い。
そ こで 「塾 を選 ぶ時 に,自 分 の 子供 と同 じ学校 の生 徒 が沢 山通 ってい るか ど うか とい うこ とは 重 要 な問 題 で す か。 そ れ と も,ど うで も よい こ とで す か。」とい う質 問 を母 親 に し,さ らに,重 要 だ と 答 えた 場 合 には,「 同 じ学校 の生 徒 と一緒 の塾 を 選 び たい です か。 そ れ とも,同 じ学校 の生徒 が い る塾 は避 けたい で す か。 又,そ れ は なぜ です か 。」 とい う質 問 を した。
結 果 はTABLE19の 通 りで あ る。 男 女別 々に集 計 してみ た が,特 に 有意 差 はな か った。 所属 校 の 生 徒 が沢 山通 ってい る塾 で あ るか殆 どい ない塾 で ある か につ い ては,大 半 の母 親 が 重要 な問題 で は な い と見 てい るが,重 要 視 してい る母 親 も少 なか らず あ る。 そ して,同 じ方 が よい 母親 も あ る と同
'TA肌E11
所 属校 の生 徒 の 存在 に 関す る 母 親 の意 見
所属 校 の生 徒 が 沢 山通 ってい た方 が よい理 由 1)通 い や す い(楽 し く通 え る) 2)休 ん だ 時 に連 絡 し合 える 3)帰 り道 が安 心(女 子 のみ) 4)競 争 させ られ る
所属 校 の生 徒 は い ない方 が よい理 由
1)色hな 学校 の様 子 が わ か り,視 野 が広 が る
2)本 人 が 自分 自身 をす な お に表 現 で きる (か らかい,う わ さの対 象 にな らない) 3)同 一化 へ の圧 力 がな い の で本 人 が 自分 の
信 じた行動 が とれ る
4)宿 題 な ど人 に頼 らず に 自 力 でや るよ うに な る
5)所 属校 の生 徒 が沢 山 いれ ば,結 局 学 校 の 延 長 にな って しまい,授 業 中 にお し ゃべ り を した り,行 き帰 りに 道 草 を した りす る よ うにな って しま うの で,学 校 とは 切 り離 し た い
藤沢:学 習塾選択 にみ る家庭 の教育主導意識 について
11
時 に,別 の 方 が よい とい う母親 もあ る。 理 由 と し て 出て き たのはTASK11の ような もの で あ った。
この表 か ら見 る限 り,所 属校 の生 徒 がい た ほ う が よい理 由 と,所 属 校 の生 徒達 とは 別 の塾 に した い 理 由 とは,質 的 に異 な る よ うに見 える。 即 ち, 前 者 は親 が子供 に競 争 させ たい とい うこ とか,通 う ことの抵 抗 を緩和 しよ う とい う こ とを重視 して お り,学 習 塾 で行 わ れ る教育 活 動 に於 け る子供 の 行 動 や 学習 環 境の 質 をあ ま り問題 に してい な いの に対 し,後 者 は,学 校 とは質 の違 う新 しい 学 習環
境 を子 供 に与 え,そ こで勉 強 させ よ うとい うそ の 家庭 な りの一 つ の責 極 的方 針 が感 じられ る。(注6) ちなみ に,Fra2の よ うに所 属校 の生 徒 とは別h の 塾 が よい と答 えた母 親 の65%が 塾 を自分 で 選び, 所属 校 の生徒 達 と同 じ塾 が よい と答 えた 母親 の73
%が 子 供 に 塾 を選 ばせ て い た。(所 属 校生 の有 無 と塾選 択 の関係 は,x2検 定で5%水 準 で有 意 に連 関 が認 め られ た。)この結 果 は,母 親 には 潜 在的 に い くつ かの 類型 が あ る こ とを示 唆 してい る。
FIG2塾 生環 境 に対 す る親 の希 望 と塾選択 者 との 関係
・所 属 校生 徒 の沢 山 い る 塾 が よい
母親 が選択
26.9
子 供 が 選 択
73.1
所 属 校生 徒 の い ない塾 が よい
母 親 が 選 択
62.5
子 供 が 選 択
37.5
0102030
7学 習塾 の分類
さて,以 上 見 て きた よ うな 母親 の 期待 に対 して, 学 習塾 は 充分 に応 え てい るで あ ろ うか。 一 口に学 習 塾 とい って も,そ の形 態 に は 様 々な もの が あ り, 営 利追 求 型 の塾 も貢 献主 義 の 塾 も あ る。 そ して一 般 に は,営 利 追 求の 方 針 と貢 献主 義の 方 針 とは矛}
盾 す る とい わ れ る。
この両 者 が 矛盾す る とい う前 提 に立 つ な らば, そ して両 者 が完 全 に2分 で き る ものな らば,そ れ ぞ れ の学 習 塾 の方針 を区別 す る こ とに よ って,母 親 の期 待 に応 えて い るか ど うか を調 べ る こ とが で
き る筈 で あ るが,極 端 に営 利 追 求主 義 の学 習塾 で あ って も,こ れが わ か って しま うと顧 客 の減少 を 招 くので,表 面上 は貢 献主 義 の よ うに 見せ か けて い るのが 普 通 であ り,営 利追 求 の程 度 を客 観 的 に 判 定 す るの は通 常非 常 に困難 で ある。
又 現在 の 社会 制 度 の 中で,学 習塾 が完 全 に 貢献 主 義 に徹 し続 け る こ とは 不 可能 に近 い。 この あ た
雛 膿 象 弊 髴鵬 憲醗倫響
「第三 の教 育 の場 として塾 が構 想 され,そ こに 教 育改 革 の可 能 性 をみ よ うと して も,大 き な問 題 が横 た わ ってい る。 それは,〈 経 営 〉上 の諸 問題
405060708090100
(%
だ とい えよ う。い かな る 良案 も実践 も,そ の経 営 上の 問題 か ら行 き詰 まることがあま りにも多い。
塾 の経 営 は,も ちろん 〈公 費 〉 に よ る もの で は な い。 私 立の 学校 経 営 に は公 費 に よ る補 助 が あ るが,塾 に はそ れ が ない。 〈 私経 営 〉 と して 運 営 してい か な ければ な らない 。
とい うこ とは,簡 単 に考 えて も,教 師 の年齢 は確 実 に上 が って い くわ けだ か ら経 費 は か さむ わ けで,授 業 料 は毎 年,値 上げ せ ざる を えない わ け で ある。 とい うわ け にい か ない の な ら,教 員 の数 を減 らす か,生 徒 の数 を増 加 す る か して 乗 りき らざる を えない。 そ れ と も私 立幼 稚 園 の よ うに教員 の 若返 りを常 に 目指 す とい うこ とに な る。 教 員 の首 切 りもせず に経 営 をつづ け よ う とす る な らば,こ れは 企業 の当 然の 宿 命 でく 拡 大 〉を して いか な けれ ば な らな い。 つ ま り,同 一 経 営 に よ る支 店?を 出 してい か な けれ ばな ら ない 。 企業 を拡 大 してい かな い と,経 営 は うま
くい ってい ない とい うこ とに な るの であ る。
事実,進 学 塾 や学 習 塾 は次 第 に拡 張 し,系 列 化 が進 み 〈大 企 業 〉 と化 して い る。 そ の結果, 系 列化 の傘 の下 に生 き残 るか,そ れ とも オ ヤジ
1人 で経営 す る零 細 企 業 と して の塾,あ るい は
副 業 的 ・家 内工 業 的 な塾 として残 るか,の いず れ か で しかあ りえな い とい う現 状 が,問 題 の 所 在 を規 定す る こ ととな る。
進学 塾 や 学 習塾 が すべ て 公立 で な く,公 の補 助 金 も受 けて いな い とい うこ とは,塾 に対す る 考 え方 の 〈必 要悪 〉 的感 情 の露 呈 で あ ろ うが, 進 学 塾や 学 習塾 以 外 の 〈塾 〉 に対 す る場 合 に も 連 らな って く る。 お けい こ ご との 塾 の場 合 も, 補 助金 は ない。 スイ ミン グ ・クラ ブの場 合 もそ
うで あ る。 これ が ア メ リカだ った ら,当 然 の よ うに補 助金 が 出 る ところ で ある。 学校 では 充分 にや れ ない 教 育 で,し か も さま ざま な存 在理 由 が考 え られ る場合 に は,ア メ リカだ った ら補助 金 や 助 成金 が出 る。 激励 を受 け る。
そ うした激 励 が ない とす る と,私 企業 として 利 潤 が 上 が る よ うな努 力 を支 え と して,経 営 に 励 まな け れば な らない。 時 と して,破 綻 が そ の あた りか ら出 て くる こ とにな る。 無理 な生 徒 募 集や,指 導者 へ の俸 給 の低 さな ど,あ るい は施 設 の 劣悪 さな ど,長 期 の経営 見通 しが不 安 だ と,
ど うして も問 題 が 出て くるの で あ る。」 そ こで,上 で 指摘 され てい る 「塾 経 営 の宿 命」
をふ ま えた上 で教育 の質 とい う こ とを中心 に考 え る と,質 の保 たれ てい る学 習 塾 は
① 優 秀 な教 師 を集 め施設 を完 備 しな が ら,適 度 に拡 大 し続 けてい る塾
② 優 秀 な指 導 者 に 自己犠 牲 を押 しつ け続 けて い る塾
質 の保 た れ てい ない学 習 塾 は,
③ 優 秀 で ない 指 導者,施 設 の 劣悪 さ,無 理 な生 徒 募 集 に よ って存 続 してい る塾
④ 人 件 費,施 設費 な どに経 費 をか けず に,拡 大 だ け して い る塾
とい うこ とに な るで あろ う。 この点 が 外 か ら判 定 で きれ ば よい が,塾 が この点 を一 般 に明 らか にす る とは思 えない の で,本 稿 の 目的 で あ る親 の期 待 に 応 えて質 を保 って い るか ど うか を科 学的 に論 討 す る こ とは 不 可能 に近 い!注8)
し か し な が ら,藤 沢(1985)で 述 べ ら れ て い る よ うに,授 業 形 態 に 着 目 す る と授 業 の 質 が 比 較 的 判 定 しや す いチ注9)
講 義 中心 授 業 を行 ってい る塾 な ら,少 く とも講 義 ぐ らい はで きる教 師 を置 い てい る だろ うか ら, 全 くの 素人 を採 用 して人 件 費 をお さ えて い る可 能
性 が低 く,あ る程 度 の質 は保 たれ て い る と想 像 で き る。 全 くの 素人 を教 師 と して す え る為 に は,そ の 教 師 の 力量 不足 分 を教 材 や シ ス テ ムで カバ ーす る こ とにな り,必 然 的 に演 習 中心 か テ ス ト中心 に な ら ざる を得 ない。 問題 の答 合 わ せ だ け で あれば, 正 解 さえ与 え られ て いれ ば,そ の 時 間 を授 業 ら し
く見せ か ける こ とが 可能 だか らで あ る。
但 し,演 習 中心 や テ ス ト中心 で あ れ ば即 ち教育 的 質 が低 い と断 定 す る こ とに は無 理 が あ ろ う。 テ ス トは あ くまで診 断 にす ぎない が,そ の結 果 を分 析 し生 徒 の弱 点 が完 全 に補 わ れて い くの で あれ ば, テ ス ト中心 で も効 果 は あ るで あろ う し,演 習 中 心 で あ って も,答 合 わ せ だ けで な く,生 徒 の 解答 の 過 程 を分 析 しつ指 導 を行 うの で あれ ば,効 果 もあ る か も しれ ない が,そ こ迄 の 事後 処 理 を適 切 に行 って い る塾 が どれだ け あ るか は不 明で あ る。 又, 新 しい 単 元 には い った 時 に,テ ス トや 演 習 中心 で 知 的 好奇 心 を刺激 す る よ うな導 入 が行 える か どう かは 疑 問 であ る。
従 って,講 義 中心 だ か ら即 ち教 育 の質 が 高 く, 演 習 や テ ス ト中心 だ か ら質 が低 い とは断 定 はで き ない もの の,授 業形 態 は,そ の塾 の質 的 傾 向 を把 握 す るた めの 大 まか な 目安 に はな る もの と思 わ れ る。
今 回 の調 査 で は,通 塾 者 が128名 で あ ったが, 重複 の場 合や,母 親 が授 業形 態 を全 く知 らない 場 合 も あ り,103の 学 習 塾 のみ 分類 が可 能 で あ った。
藤 沢(1984)の 分 類基 準 に従 って 集 計 した結 果 が,
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15.5%,演 習 中 心 型68.0%,テ ス ト中 心 型16.5%
で あ った 。 演 習 中 心 テ ス ト中 心 の 合 計 は84.5%で あ り,先 程 述 べ た 質 と の 関 連 で 考 え る と,教 育 的 質 が 低 い 学 習 塾 の 方 が 圧 倒 的 に 多 い こ と が 推 論 さ れ,本 稿 第3節 で 述 べ た,母 親 の 考 え る 学 習 塾 の 像 に あ ら わ れ て い る よ う な 期 待 に,学 習 塾 業 界 が どれ だ け 応 え て い る か は,著 だ 疑 わ しい 結 果 に な
った 。
8通 塾 満 足 度
そ れ で は,母 親 の 通 塾 満 足 度 は どの 位 で あ ろ う か 。 満 足 一 や や 満 足 一 何 も感 じな い 一 や や 不 満 一 不 満,の5段 階 で 反 応 を 集 計 した 結 果 に,他 の 反 応 「本 来 は 通 わ せ た く な い 」 「も と か ら 何 も 期 待 し な い 」 を あ わ せ て ま と め た の かFIG.3で あ る 。