離路ご船主責任の制限
ー 米 國 の 新 割 決 に つ い て
久木久一
一二
三
四
結 離 離 離
路 目
語 嘉 路 路 圭 の の 次 程
の 効 意 制限果 義
77
およそ航海をなすにあたり︑船長は航海の準備が絡つたならば︑遅滞叛く焚航し︑かつ一旦嚢航をなしたるう之は
ユ 豫定の航路を攣更することなく︑到達港まで相當の速度をもつて航海を進捗し︑これを成就しなけれぱならない︒し
たがつて必要もなくまた正當の事由もなくて徒らに稜航を逓延し︑契約上または慣習上定つている航路外に逸睨し︑
逆航迂廻をなし︑地理的順序を無覗して寄港しまたは慣脅外の港に寄港したり.理由もなく航海の途上滞船すること
離路と船主費任の制限
231
●
!
78
商學討究第五巷第二號
は許されないのである︒これすなわち船長の負指する航海成就の義務である︒
船積港において蓮途品を積込み︑これを安全に陸揚港に輸逡することを目的とする蓮邊契約においては︑船主は船
長をしてこの義務を履行せしめ荷主に蜀しその責めに任ずべきものσあるから︑海上蓮邊契約上海上蓮途人としての
船主の同時に負澹⁝すべき嚢務でもある︒学者はこれを海上蓮逡人の直航義務という︒
しかるに船長がの人命の救助のため︑または⇔航海の糠績又は航海の安全のために︑さらにまた㊧一九二一年のへ
ヨ ーグ規定を探用したる諸國においては財窟救助の目的のため以外に︑磯航を遅延し航路外に逸睨し︑航海の糠績を怠
るときは︑航海成就の義務に違反することになり︑ここに離路(⇔o<智寓oP自曾o暮o巨Φ昌一)の問題を生するのであ
る︒
そもそも航海において︑蓮邊品を安全に目的地に蓮びその航海の目的を達成するためには︑航海の實施にあたり︑
その開始から絡了に至る間一定の時間的ならびに室間的限定を受けるものであつて︑かくすることによりその航海に
は一定の性格が與えられ︑取引肚会においてその航海として認識され︑その性格にもとづき一切の取引または計書が
なされるのである︑
離路はこの一定のものとして受けとられた航海の性質を攣するものといはねばならない︒けだし離路することによ
り航海の時間的または室間的限定が破られるからである︒その結果︑第一にその航海に件う危瞼度が攣更されこれに
即鷹する準備にそこを來たすであろうし︑したがつて第二には豫定の航海に生するおそれある危瞼につき海上保瞼契
約を締結した荷主は︑離路することにより保瞼的保護を得られなくなり︑その運逡につき著しき胃瞼をおかす立場に
置かれてくる︒第三には豫定の期日に目的地に到着し得ないために取引の園滑なる履行に支障を生じ︑ときには蓮逡
目的の償値が著しく削減されてしまう危瞼が生する︒
232
ノ
79
︑
離路は企業肚会に以上のような實質的に重大な影響を與えるものであるが︑離路の本來の意義は航海の場所的即ち
室間的限定の破棄に求められるのである︒しかしてその本質的性格は企業危瞼の攣動にあるのであるから︑室間的限
る 定の破棄と同様の意義を有する時間的限定の破棄も︑同様に取扱われ︑冨多5含置の如く︑邊延に甥し蓮逸人の資任
を認めぬ読は別として︑濃航の逞延航海の遽滞についてもこれを離路のヵテゴリーに拉し來たつて論するのが普通で
る にある︒ただしO鴛く霞は︑邊滞が離路として取扱δれるのは︑航海が豫定されたものと全く異なれるとき(曽昌
o暮淳oζ象頃曾Φ90慶霞ぐざo陣.同9昌盛暮8暮①彰覧暮Φ街)をいうのであつて︑離路が余りにルースに使用されること
ね がしばしばであるとしている︒米國では容認出來難い遅滞(HロΦ蓉募暮♂禽9螢団)を以て離路としている︒のみなら
す︑米國法ではさらに蓮邊品は甲板下に積込むべきに拘わらすこれを甲板上に積込むは︑疑いもなく蓮逡契約の根本
お 的違反であり︑したがつてこれを離路として取扱う原則が確立されているのである︒
離路はその航海の性格を攣更せしめ︑企圖せられ豫定された航海の﹁同一性を破るものであるが︑これはもとより航
海の攣更とは匝別せらるべきである︒
離路が焚生してもその航海の焚航港到達港は攣更されることなく︑その間の航路ならびに進捗度が攣化を受くるに
過ぎないであるが︑航海の愛更は爽航港はそのままであるが︑船舶の焚航後到達港が攣更されるものであって︑離路
と著しくその性質を異にし︑蓮逡の目的のために探られた航海の抱棄であつて︑ここでは問題とすべき性質のもので
はなく︑また船舶が嚢航前に震航港または到達港を攣更したるときは︑企圃され豫定された航海とは全然別種の航海
であつて︑これについても同様にいうことができるであろう︒
1船員法第九條︑濁乙国.O・舅ゆ目ひH・
Op署oび6鴛ユ茜oohΩoo(ポげ鴇乙っ02響げ国^ごび鴇Oo一貯く碧いH涙ド7自9
離路と船主費任の制限.
233
O
置
80
商學討究第五巻第二號
29署6﹃L三鳥̀竈●自伊麟︒︒︒︒ーO・r・
ノ≦叢g島α覧①5鼠oロN9巳一〇げ奮qeoo冨昌島色竃oo洋魎N容﹀戸う︒"6笥ρQa・謡ひ・
幣昌℃g39ヨ匂=碧山9魯幽⑦ωQaoo器警ξ冒碧貸H嵩噛HO日eo℃コ触﹄Obの.
尿勺①益目)吋o誇ヨ震三ヨ㊦℃晒50軌↑匂εヨ・トっ"も笛卜a勉昌幹冒HO.
3二品器男巳βH歯﹃≧臼﹂<(幽)●
︑ノぐ離舞OP貸α蔑ρ・﹀.鉾C●ヱ●bのこηOl刈.
Q62旨昌色‑(きげ8"守墨︒.㏄(ポ巳品oohCo︒憂ξo謄02駅二'国畠弓μ謹P竈・ひOlひbの・・
4団屋突募℃U霧U2冨o}日ooQ8円8﹃ご切F一ど日08噛幹篤刈●.・
5寄℃︒さ︒℃●9・匂き●崔同O.
ノぐ留冨昌阜α寡①♪﹀.孕C︒QQ・悼㎝ド
h︑︹毛℃o巳拓77}鈴C・Q応・らO卜o.
ωo語二〇♂Ω影簿Φ壱錠二〇m知駐=ωo馬ピ包言単嶺二﹂国畠・ξ竃o乞巴吋睾島冒08簿3戸O葛噛︾同鱒︒︒・さμー鱒︒
n碧くoさ皆律噂℃﹄=・.
小町谷博士海商法翼義中巻一二三九ー四〇頁.
武田藏之助航路ノ慶更ヲ論ズ海法會誌第一巻一九三頁
66自'δご量画●
76葭く︒さま2や部H冒9︒ひド・︒♂
80鶏くoさき罠己7&H.
9航海の髪更宏らびに別個の航海の問題に海上保瞼之しては重要なもので︑この部門においては詳細に論ぜられていろ︒
234 一 一
すでに述べたように︑離路は荷主に封して重大な影響を與えるものであるから︑これにより荷主の蒙れる損害はも
﹁
︑
﹁
﹁
81
, とより海上蓮逡人として賠償の責を負捲しなければならないことは言うまでもない︒
しかしながら︑離路の効果に關しては学詮ならびに判例は分れている︒
英國及び米國においては︑離路を甚だ重大に考え︑海上運途契約上離路をしないということを海上運逡人の憺保す
エ る獣示の前提條件(H目覧貯臼8β島舘8鷲o︒①自o暮)と見て︑堪航澹保と同様に取扱うのである︒
一般的に言えぱ︑こうした指保に違反することにょり航海の商業上の目的を達し得ないどきは︑その契約を解除し
得る理由あるものとされ︑商業上の目的を達し得ないようなものでない違反のときは︑損害賠償の提訴ができるので
ある︒そしてこれは傭船契約書または船荷誰券に除外條項があつても︑特に明かにその旨が記載されていない限り︑
ヨ との指保の適用を妨げるものではないのである︒
離路については︑英國では海上運邊契約上この義務違反の正確な効果は一九三六年の国鈴営の.の︒Q9<.目暮o
蟄胃自目覧①事件の最高裁判所の判決あるまでは︑まだ明確ではなかつたのであるが︑この判決で離路をしないという
義務は契約の條件であり︑これに違反すれば荷主は欲すれば契約を解除することができるというように確定されたの
である︒
る q塵帥昼Φ一‑Φ子げo昌は正當ならざる離路の効果として同判決の要旨を次のように述べている︒すなわち︑﹁船主によ
る離路をしないという獣示の携保違反は︑契約の根底にふれ解除にまでいくのである︒これはそれ自膣契約を絡了さ
せるのではない︒その効果は︑荷主がその契約を絡結させるかまたはその儘存績せしめるかを選揮することである︒
もし前者を選べぱ契約上の明示條項はも早や効力を持たない︒かような事情において當裏者の櫨利につきせいぜい確
實に言い得ることは︑若し船主が積荷を目的地まで運逡すれば︑船主の提供したその勢務に封し利釜の限度において
(£奉暮ロ日冨①旨津)求償し得るに過ぎない︒しかしながらその場合船主は公共運邊人(Oo据實o昌O籠ユ①話)として
離路と船主貸任の制限
も
235
82
商學討究第五巻第二號●
受けうる普通法上の責任除外の利釜さえも受けることができす︑その積荷の絶封的な保瞼者となるものと思はれる︒
もし︑他方において︑荷主がその契約を存績させるよう選ぶならば︑その契約の條項は離路あるにかかわらす︑引き
つづき當事者の椹利關係を支配し︑荷主は離路の結果として彼の蒙むつた損失に封しその損害を回復し得るのであ
る︒しかしながら︑荷主がその契約を存績するよう選んだことを明白に詮明する責任は船主の側にあり︑そうした讃
撮のない場合はその契約は解除されたものと見微されるであろうLと︒
このことは米法におい℃も同檬にい之るのであつて︑離路は傭般契約における一切の抗鼎を船舶から剥奪し︑船舶
きりにはせいぜい公共蓮逡人としての︑すなわち保瞼者としての責任を課するものであるとされている︒︒
ね猫乙においては︑英國におけると同様離路に封して嚴格な考えを有している学者がある︒すなわち︑冨o巻墓は
﹁正當ならざる離路の法律上の効果は︑(渥滞に樹する賠償義務の外に)運逡人は離路のときから航海の全危瞼を負
澹しなければならない︒すなわち︑航海のその部分に劉し︑しからざれば契約(菟責約款)または法律上責任を除外
するような︑または契約の解除すなわち解除権を理由づけるような事情は,これを主張し得ないし︑また嚢生した損
害が契約上の航海を練行中にても生じ得たというような讃明は許されない﹂とし︑弓Ω︒冨甥も﹁船長ならびに船長と
共に蓮邊人も︑それより生じた損害については積荷關係者に責任を負い︑事故のために船舶積荷を許されない航路に
よらしめたとすれば︑それがなければ法律上契約上當然有効であるべき冤責理由をも主張することはできない︒しか
しながら一般原則(民法第二四九條参照)として︑損害賠償の義務はその損害が正當な航路を維持しても生じ得たこ
とを明確に立誰し得れば冤れる︒直航路によつても事故を生する事情がおこり︑事故が生じたかも知れぬという讃明
では不充分である﹂といつている︒
かくて猫乙の古い學者は︑こうした主張をすることにより猫法に關しても殆んど英法に近い解繹をせんとしたので