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ボランティアの意識構造 一福祉社会学の一試論一
安河内 恵 子
(社会学)
で.問題の所在
近年,社会福祉の分野において,「ボランティアω」に対する期待はますま す大きくなってきている。昭和49年以降,低成長時代に入り国や地方自治体の 福祉関係予算が停滞あるいは減額傾向にあるなか,急激な勢いで進行する高齢 化時代を迎え、より安定した老後の生活を送っていくためにも,「ボランティ ア」は欠かせない存在(2)として一般の人たちの間にも認識され始めてきた。
また,これまでの施設収容・隔離方式から「コミュニティ・ケア」,「ノーマラ イゼーション」への方向転換とも関連して③,福祉対象者④と一般の人たち
とを結ぶ架橋として,ボランティアの役割が認められてきたのである。
「ボランティア社会の建設」がいまや国民的課題の1つとまで指摘されるよ うになってきた背景は,こうした事情として説明できる。しかし,今後.最も 大きな問題点としてうかび上がってくると思われるのは,「ボランティア」と いうことばのもとにきわめて多様な人びとが包括されていることである。ボラ ンティアにはさまざまな福祉の領域で活動する,さまざまな経験をもつ人びと が含まれている。ひとくちに「ボランティア社会の建設」といったところで,
どういった福祉ボランティアを育成するか,あるいはボランティアの位置づけ をどのように考えるべきか,については,はなはだ暖昧な点が多い(5)。
元来,わが国は,伝統的に土着型の集団主義的文化を強くもち,福祉につい ての捉え方もそうした方向でなされてきた。そこに近代的で個人主義的な考え
28 安河内 恵 子
方に基づくボランティア思想が移植されることにより,両者の間で大きなくい 違いが生じてきた過程が,わが国のボランティアの歴史であった(6)。現状で は,伝統的な互酬的関係や地域社会での相互扶助といった「助け合い」が,純 粋に無償で,個別的な,理念本位のボランティア思想と混在した状況にあ る(7)・こうした土着的燐組的な結創こよるボランティア活動と,キリスト 教のいう「チャリティー」に端を発する欧米の個人主義に基づくボランティア 活動とは,いかなる対応関係にあり,今後どのように変化していくのであろう か。本稿の目的は,こうした点についての解明にある。
ところで,「土着の日本社会と外来のヴォランティア像との関連ないし断絶 のメカニズム(8)」については,鈴木広が階層性との関連でミKフパターンの 析出として明らかにしている。鈴木によれば,ボランティア活動の分布は,階 層的にみた場合,上層と下層で活発,中層では不活発というミKフパターン,
すなわち階層的二相性を示すという。Kパターンとは上層におけるVパターン と下層のAパターンとの合成結果として現われるものであるが,上層の活動と 下層の活動は,その性質がまったく異なる。上層においては「エリート的,キ リスト教的,輸入的,理念本位的,倫理主義的,無償・奉仕的なヴォランティ ア活動部分」(9)が形成されており,それらの活動はロータリークラブ,ソロプ チミストなどの活動に代表される。他方,下層部分におけるボランティア活動 は「村落社会の共同体的構成にもとつく,伝統的・慣習的行為としての援助」
であり「相互援助的な慣行」,「最少限の相互保障機構」(1°)として存在してい
る(11)。
本稿では,この鈴木仮説をふまえながら,階層性との関連でみられたボラン ティア活動の特性が,活動内容・活動領域との関連ではいかに現象しているか,
この点についての実証的検討をめざしている。階層性の規定力にも留意しつつ,
視点を主として活動内容・活動領域の差違に置き,ボランティアが社会をどう いうものとみなしているかという「社会イメージ」との関連で,活動姿勢意 識の差違を明らかにしたい。
ボランティアの意識構造 2g
2.「ボランティア」のプロフィール
先に示したような問題関心によって,本稿では昭和62年に福岡県地域福祉振 興基金により実施された「ボランティア調査」(12)のデータを用いて検討を行な
う。
まず調査のあらましについて述べておくと,この調査は,県下のボランティ ァについて,ボランティア保険登録者から無作為抽出し,質問票を郵送して行 なったものである(回収率78.6%)。調査票はフェイス・シート11項目,質問 39項目から成り,調査項目にはボランティア・バンク制度や社会福祉用語法の 是非について尋ねる質問(13),また地域との関係性や社会関係の実状などを明
らかにする質問などが含まれている。
さて,そこで,まず福岡県のボランティアの属性について明らかにするため に,本調査の調査結果からプロフィールを描き出し,その特性を示してみるこ ととしよう。
まず年齢についてみてみると,図1に明らかなように,老人対象のボラン ティアは他の3領域のボランティアとはきわだった相違を示し(14),若年層が
図1 年齢別
20代30代40代 50代 60代 70一不明N 老 人lo 2%56113 226 ≡亘≡≡□三51(177)
㌔㍉ ̲、 、 ㌧、0.0
一般県民 178 299 236 ≡≡亘痩三(2,175)
(注)一・般県民は昭和58年度県民意識調査による。
30 安河内 恵 子
きわめて少なく,中高年層に大きく偏った年齢構成をもつ。とくに50代以上の 高年層が顕著に多く,7割にも達している。これと対照的な構成を示すのは障
害者対象ボランティアであり,20・30代の若年層が45%程度を占める一方,50 代以上の高年層は35%にしか達していない。老人対象ボランティアを高年齢層 型と位置づけることができるならば,障害者対象のボランティアは若年齢層型 と特徴づけられる。
次に階層性をみるために,学歴,収入,家計の状態をとりあげることにしよ う。まず学歴についてみてみると(図2参照),ここでも老人対象ボランティ ァと障害者対象ボランティアはきわだった対照性を示している。障害者対象ボ ランティアでは短大・大学以上の高学歴層がとくに多いのに対し,老人対象ボ ランティアでは高学歴層がきわめて少なく小・中学校程度の低学歴層が他と比 べて大きく現われている。ただし,学歴については,先にみた年齢との関連性 が大きく,若年層では高学歴化が進んでいるため単に年齢を反映したものとし て現われている可能性も強い。そこで次に,収入,および家計の状態について みてみたものが図3,4である。
図3によれば,全ボランティアの平均収入は一般県民に比べて600万円以上
図2 学歴別
小・中学校 高校 短大大学不明
老人203 576% r3正r5玉:34
障害者93Z 493% 一≡8玉三三三…5に29
、、A 、、 1.7
青少年・児童 69 475% i三三正§三r≡8《≡≡
一 般159 516% 三三1㌃7『三一言7−71
県全体153 521% 三百≡三『:9万_41
\ \、 、0.8
一般県民 203 527% 一万三≡:
(注)一般県民は昭和58年度県民意識調査による。
ボランティアの意識構造 3幽 の上層部が多く現われている。活動領域別では青少年・児童対象のボランティ ァを除いてさほど大きな相違はみられないが,60◎万円以上層に注目して一般 県民との比較を試みると,いずれの領域のボランティアも24〜29%程度に達し ており,一般県民の17%を大きく上回っている。
さらに家計の状態について尋ねた結果をみると(図4),領域別ではほとん ど差がみられないにもかかわらず,久留米市民の調査結果と比較を行なうと,
両者の間では大きな違いが認められる。久留米市民の場合,「人並の生活の維 持が困難」(15)と回答した者が31.3%にものぼっており,ボランティアの平均
(5.7%)と比べてかなりの大差となっている。ボランティアの場合,家計の 状態の面からみてもかなり上層に偏ったイメージがうかがわれる。
以上の点に関する考察から,ボランティアのプロフィールを描き出してみる と,年齢的には中高年層に傾いており,階層的には一般県民よりもやや上層方 向へ偏った人が多い。活動領域別にみると,階層的にはさほど差はみられない ものの(学歴を除く),年齢的にはとくに老人対象ボランティアと障害者対象 ボランティアが対照的で,前者は中高年層が中心である一方,後者は若年層に 大きく偏っている。階層性という観点から考えれば活動領域による違いは認め
図3 収入別
600〜 800万円
200万円以下 200〜400万円 400〜600万円 800万円 以上 不明 老 人
障 害 者
青少年・児童68% 305 322 136 102 68
一 般 11 1ラ6 25 4 17 5 茎5 § 3 5 16 7
県 全 体
㍉‥一_w. ㌔ ㍉㌔ 2.5
一般県民 162% 377 267 10862
(注)一般県民は昭和58年度県民意識調査による。
32 安河内 恵 子
図4 家計評価別 かなり
余裕少し余裕 人 並 困難不明
老人0169 689%
2.9 , 、 \2.4廻68障 害 者
0.
青少年・児童
51 737% 亘
0 / 、 ㌔1.7
169 763% 工 一 般48111 683% 〒1−87
県 全 体32 148 711% 5丁52
0.9 , ,_,一一 一一@ 、、0.2
久留米市民 126 551% −1万≡二≡≡≡
(注)久留米市民は、昭和61年久留米市民意識調査による。
られないが,年齢階級に関する限り,コミットする活動内容が大きく変わって いることが指摘できる。こうした違いがそれぞれの領域のボランティアをどう 特徴づけているか,また逆に,それにより個々のボランティアはどう影響され ているのか。本稿ではこうした領域の違いによるボランティアの特性・特徴を 明らかにすることが目的であり,さらに,それらの特性がどのような要因によ
りもたらされているか,その点についての考察も行ないたい。
以上の点から,ボランティアの基本的属性については多少明らかになったと 思われるので,次に,ボランティア自身によるボランティア活動の意義・位置 づけについてみてみよう。自分が行なっているボランティア活動をどのように 位置づけているか,その姿勢をみることによって,ボランティア自身によるボ
ランティア活動の捉え方,ひいてはその背景にある社会イメージをもうかがう ことができる。
図5は,「あなたにとってボランティア活動とは何ですか」と尋ねた結果を 示したものである。この結果をみると,全体的に仲間づくり,社会参加という 考えが強く,自己犠牲・奉仕活動といった意識は薄くなっている。とくに障害 者対象ボランティアでは、(ウ)立派な作為として自分に誇り,(カ)犠牲の上の奉仕
ボランティアの意識構造 33 図5 ボランティア活動とは何か
一◎・5 ◎ (一般)◎・5 1・o L5 ア.ごく自然な行為
イ.社会に役立つ実感
ウ着纏秀として
エ.仲間との「楽しみ2 オ.喜んでもらえて感謝
力麟結の一゜・659 キ・霞霞曇人の
ク.人生勉強 ケ.自己修業
為
(老人)(障害者) ▲べ、〜く 、
ぐ瞳)
実感 ・べ・》戸
して
しみ2 〉 、 、
て感謝 〆 ノ , 一 , 〆 ぷ ノ
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一〇.659
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\ \ \ ㍉くここ ここ〉
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〆@!
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(児童) (障害者)1 ←一般)
(老人)
活動,㈲恵まれない人のために当然,といった項目で強いマイナス,(オ)喜んで もらえて感謝,で強いプラスを示しており,ボランティア精神と日常の生活意 識が乖離しない「共生」的態度の持ち主が多いことがわかる。すなわち,反対 給付を要求しない無償の行為という意味で,きわめて純粋,理念的なボラン ティア精神の現われと捉えることができる。ただし,この層は,(イ)社会に役立 つ実感,岡伸間との「楽しみ」,の項目で最もスコアが低く,個々の活動が,
仲間・グループ・社会といった「人びとのつながり」に広がっていかない点に もその特徴がある。ボランティア自身と対象者との間の関係にのみ関心が集中 しており,そこにおいては純粋・理念的な活動が展開されているものの,それ が社会関係を拡大させていくという横への広がりの論理をもたないものとして 存在している。社会的な志向の稀薄さと特徴づけられよう。障害者ボランティ アのこうした自己認識については,他のボランティアと比べて大きな違いを示
34 安河内 恵 子
しており,きわめて特徴的である。
障害者対象ボランティアとは対照的に,青少年・児童対象ボランティアでは 人生勉強・自己修業という性格は薄く,ごく自然な行為,仲間との楽しみとし ての位置づけが顕著である。これは,このボランティアの活動内容が教育的・
レクリエーション的機能に傾いていることと大きな関連がある。また,老人対 象ボランティアと一般ボランティアとは,パターンがきわめて似ている。
ところで,9項目のうち,(ア鳳オ)は「共生」的態度の指標として,また(ウXカ)
㈲は「奉仕活動」を表現する指標として捉えることができるから,それぞれに ついて活動領域別にスコア化すると,その結果は以下のようになる。
「老人」 「障害者」「青少年・児童」「一般」
「共生的活動」 1.960 2.117 1.024 1.937
「奉仕活動」 1.028 −0.659 0.095 1.175
このスコア表をみると,これまで述べてきたそれぞれの特性を,この表中に 再確認することができる。障害者対象ボランティアには,いわゆる「奉仕活 動」という捉え方は最も弱く,「共生」的態度が強い。老人対象ボランティア,
一般ボランティアのスコアはいずれも近似しており,「共生」の態度も強いが,
恵まれない人のための「奉仕活動」という意識も強い。4種の活動領域のうち 狭義の福祉ボランティアといえるのは老人対象ボランティアと障害者対象ボラ
ンティアであるが,この両者にこうした開きがみられるのは自分の日常生活の 中におけるボランティア活動の位置づけ方の違い,ひいては社会イメージの捉 え方の違いに求めることができる。障害者対象ボランティアの活動は,純粋・
理念的なボランティア精神の具現であり,対等の論理が貫徹しているのに対し て,老人対象ボランティアは土着的な共同体慣行の現われとして,対等の論理 とともに上下の論理も強く作用しているのである。
そこで,ボランティア自身の中でのボランティア活動の位置づけを知るため に,別の角度からもう1つの質問を試みた。「あなたが,ねたきり老人や障害 者となった場合,ボランティアの協力を受けたいと思いますか」という質問で
ボランティアの意識構造 35 ある(図6参照〉。全県平均では「受けたい」とする者が7◎.9%にも達してお
り,実際の実践家らしく高率を示している。その申でもとくにその割合が高い のは障害者対象ボランティアであり(83.0%),厳密にいえば福祉ボランティ アとは呼びにくい青少年・児童対象ボランティア,一般ボランティアでは消極 的で,とくに「奉仕活動」認識の強かった一般ボランティアが最も低率(57.
1%)であった。また,活動頻度の高い人ほど受けたいとする率は高く,活動 に深く関わり実状を正しく詳しく握んでいる人ほどボランティアの協力を受け たいという意識を示すようになることがうかがわれる。
このような結果をもとにボランティアの類型化を試みると,近代的なボラン ティア精神が純粋・理念的に現われたボランティア・タイプとして障害者対象 ボランティァを把握することができ,これに対して日本社会の伝統的な相互扶 助,「助け合い」精神によるボランティア・タイプの典型として老人対象ボラ ンティアを位置づけることができる。狭義の福祉ボランティアがこの2つの活 動領域のボランティアに限られていることとあわせて,これら2領域のボラン
ティアは属性・自我像においても著しい対照を示しているため,これらの理由 から,これからはこの2領域のボランティアに限定して考察を進めていくこと
とする。
ところで,これまでの考察から,老人対象ボランティアと障害者対象ボラン
図6 ボランティアの協力を受けたいか
あまり受けたいと ぜひ受けたい ある程度受けたい 思わない 全く不明
老 人209 50脇 1982362㍉〜 1.0 \2.4
障害者 210 62◎% 137
ノ 〆@ 3.4
青少年・児童 1&6 ノ筋5Z 271
3.4
一 般198 373%
22271135
2.9県全体 茎99 田鰯 1理 72
36 安河内 恵、 子
ティアには,萌芽的な形ではあれ,対照的な特性があることが示された。しか し,属性レベルでは,年齢に関してはかなりの違いがみられたにもかかわらず,
階層性に関しては大きな差は認められなかった。以下の考察では,老人対象ボ ランティアと障害者対象ボランティアとの特性の差違をより詳しく分析してい くが,その過程において,この年齢階級の違いがどれほどの影響を与えている か,この点についての検討が重要な論点になる。
ところで,鈴木広が,ボランティア的行為を社会的階層との関連において,
上層的要因と下層的要因との合成,すなわち階層的二相性として把握したこと は,先に示した通りである。これまでの考察では,階層性との関連はさほど明 確には現われていないが,活動領域別の相違がこれら階層性や年齢などの要因 によってどの程度説明されうるのか,あるいは,それらの要因によっては影響 を受けていないのか,また,それ自体内在的な特性として存在しているのかど うか,こうした点について考察を進めていくこととしたい。
3.福祉の「点」と「面」
本節では,これまで端緒的な形でみられた2領域のボランティアの差違につ いて,社会福祉に関する意識,社会関係の現状,地域との関わりやコミュニ ティ意識という3つの局面からアプローチし,その特徴をより明確にしてい くこととする。まず,それぞれのボランティアの特性について概略を明らかに し,そのうえで年齢や階層性の要因がどういった影響力・規定力を与えている か,もう少し細かいレベルで検討を進めていくこととしよう。
まず社会福祉に関する意識についての特性を知るために,3つのイッシュー にわたって質問を用意した。福祉産業の進出(図7),サービス積立方式(図 8),社会福祉用語法(図9)の3点についてである。高齢者を対象としたシ ルバー産業の急成長に明らかなように,福祉産業の発展は近年著しいものがあ り,今や資金さえあればさまざまな施設やサービスの利用が可能となりつつあ る。こうした現状について,(A)福祉産業は高負担となり,受益者の階層化を促
ボランティアの意識構造 37
図7 福祉産業の進出
賛成 やや賛成 やや反対 反対 不明
老 人96 282 362% 164 障害者54 63 444% 141
96 98
3.4 ., 、、
青少年・児童 237 47謡 1経 翻
一一吟@ 般 9 5 31 7 32 5% 13 5 12 7
県全体78 285 385% 149 103
図8 サービス積立方式
そうとは全く わから 推進すべき まあ推進すべき いえないいえないない 不明
老人 395% 2999656−5696
障 害 者
青少年・児童
一 般 278% 349 135480 119
県 全 体
すことになるため反対すべきか,あるいは,(B)高負担となっても高度できめ細 かなサービスが期待できるため賛成・促進していくべきか,いずれの意見に近 いかを尋ねたものである。全体としては反対53%,賛成38%という結果を示し ているが,領域別にみると老人対象ボランティアの方に賛成派がやや多く現わ れている、ただし,賛成から反対までそれぞれ2,1,−1,−2点を与えて スコア化し検定を行なうと(表1),この差は有意な差とはいえないことがわ
かる。
次に,サービス積立方式(ボランティア・バンク)⑯についての意見をみて
38 安河内 恵 子
みよう(図8)。この方式は「反対給付」を前提としており,現状においてはボ ランティア活動の純粋な形態と考えられてはいないが,高齢社会の到来に直面
しているわが国ではこうした方式も「もっと推進すべき」と考える人が全県平 均で56%と過半数を占めている。とくに老人対象ボランティアには「推進派」
が69%もおり,純粋なボランティアだけでは急増が予想される福祉ニーズへの 対応が難しいため,ボランティアの理念は理念として,現状に即して現実的に 対応していこうとする柔軟性がよみとれる。この項目についても先と同様の方 法でスコア化して平均を算出し,領域別に検定を行なうと,ここでみられる差 については危険率(LOOO%で有意であることが認められた(表1)。すなわち,
老人対象ボランティアには障害者対象ボランティアに比べて推進派が有意に多 いということである。本来,こうしたサービス積立制度は,理念的なボラン ティアとは異なり,「反対給付」,すなわち有償性(何らかの程度で)を伴うも のであるから,純粋な理念的立場からは否定されるべき方法である。障害者対 象ボランティアに有意に推進派が少ないのは,この領域のボランティアが理念 的で純粋な形のボランティアに近い意識と態度をもっていることを示すもので
ある。
3番目に取り上げるイッシューは,福祉用語の使われ方についての評価であ る(図9参照)。社会福祉の用語は,社会福祉事業そのものの展開の経違とも あいまって外来語が多く,しかもきわめて特異な用語法がなされている。その ため,ボランティアといえども用語の習得と的確な使用が必要条件となってい
表1 活動領域別にみた社会福祉に関する意識についてのt検定結果
①福祉産業 ②サービス積立方式 ③社会福祉用語法
全 体 一〇.243 0,469 一〇.073
平均値
老 人 瘧Q者
一〇.215
│0,356
0,881 O,034
一〇.492 O,259
t 値 1.12 *** 6.58 *** −4.88
*** P〈0.001
** 0.001≦P〈0.01
* 0.01≦P〈0.05
ボランティアの意識構造 3g る。しかし,こうした特殊な用語を,「クライエント」,「ショート・ステイ」
などのように外来語のまま用いることは,用語を十分には習得していない対象 者との間に溝を作ることとなり,ボランティアと対象者の間のコミュニケー
ションを阻外する原因となる懸念がある。この点について外来語中心の用語法 の是非を尋ねてみると,全県では現状肯定のヂ外来語派」42.6%,計日本語派」
49.7%となり,日本語派の方が若干多い結果となった。しかし,領域的にみる と,障害者対象ボランティアには平均と比べてとくに外来語派が多く,老人対 象ボランティアにはとくに日本語派が多いという顕著な差違がみられた。そこ で,「外来語派」から「日本語派」まで,同様に2点から一2点を与えてスコ ア化し検定を行なうと(表1),危険率0.000%で有意な差を示す結果となった。
老人対象ボランティアが,高齢者を相手に外来語の用語法で苦慮しているのに 対して,施設中心に活動している障害者対象ボランティアにはそうしたコミュ ニケーションの妨げは感じられていない。障害者がおかれている社会的状況に 規定されて,実践家やボランティアだけではなく,その対象者もそうした用語 法を学ぶことが求められているようである。専門家同士でのコミュニケーショ ン,施設の内部での活動という,障害者対象ボランティアの特殊性が指摘され
る。
以上の3点にわたって社会福祉に関する意識を明らかにしてきたが,その特
図9 社会福祉用語法
外来語派 やや外来語 やや日本語 日本語派 不明
老人181%124254 362 79
障害者 26.3% 田・8 244 15・6
青少年・児童 322% 169 237 22.0
49
§.1
一般254 14 270 230103
県全体 237 189 25.3 242 79
40 安河内 ,恵 子
徴からそれぞれのボランティアの特性を推察すると,障害者対象ボランティア の理念主義的な姿勢がよみとれる。彼らは「無償性」を前提としないボラン ティア・バンク制度には否定的で,ボランティアの基本としての無償性・自発 性・内発性を堅持している。しかし,福祉領域に進出する福祉産業については,
とくに否定的とも肯定的ともいえず,この立場は,福祉産業が営利活動であり ボランティア活動と直接的に関連しないこと,また,現在進行中の福祉産業の 多くは高齢者関連のものが多いこととも関係が深い。福祉用語については現状 肯定の外来語派が多く,ボランティアが施設や施設内部の対象者と直結してお
り,それ以外の生活世界には視野が広がっていないことを示している。全体的 にみて,障害者対象ボランティアは無償性を基盤とする,きわめて理念主義的 なボランティアという立場を堅持しており,「輸入的で理念本位的,無償・奉 仕的」(17)ボランティアというにふさわしい特性を有している。老人対象ボラン ティアがボランティア・バンク制度を支持する意見や,現状の外来語中心の用 語法を日本語中心の用語法へと改善させるべきという考えを強くもつなど,現 状に即してきわめて現実的に対応し臨機応変ともいえる柔軟性をもつのに対し,
障害者対象ボランティアではその立場はかなり一貫しており,理念的で純粋な ボランティアのあり方に近い性質が認められる。
それでは次に,社会関係の内容についてみていくこととしよう。社会関係に ついては,親しくつきあっている人びと (親戚,近隣,職場仲間,友人知人)
の地域的分布を主に検討し,加えて親しくつきあっている近隣の人数について も考察を行なうこととする。
表2は,親しくつきあっている人びとの地域的分布を平均人数によって表わ したものである。これをみると,老人対象ボランティア,障害者対象ボラン ティアには,平均と比べて地域内での社会関係が多くなっている。とくに老人 対象ボランティアは顕著に豊富で,検定の結果,この差は有意なものであった
(危険率0.029%)。老人対象ボランティアが自分の住む地域内に濃密な社会関 係をもちさまざまなつきあいを展開しているのに対して,障害者対象ボラン ティアには有意差はみられないものの県外地域でのつきあいがより多くみられ,
ボランティアの意識構造 銅 表2 活動領域別にみた社会関係の地域的分布についてのt検定結果
①地域内 ②市町村内 ③県内 ④県外 ⑤近隣数
全体 14.68 15.06 14.03 13.37 9.68
平均値
老 人 瘧Q者
24.25 P6.79
13.82 P3.◎2
12.77 P3.26
9.79 P2.87
11ユ3 V.76
t 値 * 2.20 0.32 一〇.21 一2.04 * 2.13
*** P〈0.001
** 0.001≦P〈0.01
* 0.01≦P〈0.05
外に向かった「地域離脱」(18)的,コスモポリタン的な志向特性を有しているこ とが示されている。
また,近隣についてみてみると,地域内の関係量が有意に多かった老人対象 ボランティアは,当然のことながら親しくつきあっている近隣数も多く(19),
地域内に比重のある関係のもち方をしていることがよみとれる。障害者対象ボ ランティアの場合,親しい近隣数は全県の平均以下であり,このことは彼らに 施設中心の活動傾向があることを示している。また,これは,障害者福祉施設 が現実には個別の行政区を超えた広い範囲を対象する福祉施設であることとも 深く関連している。事実,彼らの活動範囲をきいても地域内(校区内)にとど まるという人はほとんどいない;2°)地域離脱的,コスモポリタンな性格が社会 関係のもち方についても活動範域についても明白に現われている。この点は,
地域という狭い範囲や多少なりとも生得的な生活圏に限定されないという意味 では利点であるが,逆にいえばボランティア個人と施設(しかも広域施設)と いう点と点とのつながりであり,地域という場で「面としての活動」として広 がっていく方向性が乏しいという意味では大きな欠点であるとみなすことがで
きる。
最後に,「地域や社会との関わり」という側面について明らかにするため,
種々の社会活動への参加状況,近所に住む身体の不自由な独居老人のお世話,
コミュニティ意識,の3項目にわたり尋ねてみよう。
42 安河内 恵 子
まず社会活動への参加状況(21)についてみてみると(表3参照),老人対象ボ ランティアが3.424スコアであるのに対し障害者対象ボランティアは一2.107で,
後者の場合,参加していない種類の活動の方が多いことが示されている。全県 平均が0.935であるから,老人対象ボランティアは活動がかなり活発である一 方,障害者対象ボランティアはきわめて不活発であることが指摘できる。ここ であげている社会活動は,必ずしも「地域」限定的な活動だけではなく,その 他の種々の活動をも含んでいるが,それにもかかわらず障害者対象ボランティ アで不活発な活動結果を示すということは,彼らには社会的な関心が乏しく,
相対的に社会に対して無関心で,きわめて閉鎖的な行動様式をもつことを示し ている。そしてまた,この点は,先ほど述べた「地域という面への活動の広が りを志向していない」という指摘を裏付けるものである。施設とボランティア 個人との直接的関係,あるいは対象者との直接的関係という,点と点との閉鎖 的関係が,対象者をとりまく地域や社会に対して広がっていかない社会的現実 を,この結果は浮きぼりにしている。
そこで,次に,地域とのかかわり,地域への関心を示す項目として,「近所 に住む,身体の不自由な一人暮し老人の,日常生活の世話をしてあげたいと思 うか」という質問を用意した(図10,表3)。図10にみられるように,老人対 象ボランティアには「実際にしている」あるいは「してあげたい」と回答する 人が多く,地域レベルでの活動が展開されており,地域を基盤とする努力が行
表3 活動領域別にみた「地域・社会との関わり」についてのt検定結果
①社会活動 ②老人の世話 ③コミュニティ意識
全体 0,935 0,127 6,844
平均値
老 人 瘧Q者
3,424
│2,107
0,486 O,034
8,254 T,098
t 値 *** 5.79 *** 5.15 *** 6.51
*** P〈0.001
** 0.001≦P〈0.01
* 0.01≦P〈0.05
ボランティアの意識構造 43 なわれている点が示されている。表3はそのスコア化を行なったものだが,こ の項圏についても障害者対象ボランティアは全県平均を大きく下回っている。
老人対象ボランティアは,その活動内容ともあいまって平均をかなり上回って おり,両者の間で検定を行なうと危険率0.000%で有意差が認められる。すな わち,老人対象ボランティアに「世話をしている,してあげたい」とする者が 有意に多くみられるのである。老人対象ボランティアの中には実際にこうした 人びとを対象にボランティア活動を行なっている人も多いのであるから、数値 が高くなるのは当然ともいえるが,しかし他方,障害者対象ボランティアでは 意識のうえからでも「してあげたい」とするものの率は低く,施設外にいる個 人や地域内での在宅福祉・地域福祉などには基本的に関心がないことをうかが わせる。
このように,障害者対象ボランティアの場合,地域という「面3に活動が広 がらないこと,あるいは地域に対する相対的無関心,地域離脱性が特徴として あげられるが,それを裏付ける事実として,最後にコミュニティ意識について みてみよう。8項目にわたって(22)地域についての意識を尋ねた結果をスコァ 化したものが表3に示してあるが,これについても障害者対象ボランティアは 平均をかなり下回っていることがわかる。活動領域聞で検定を行なった結果を みてみると,この項目についても危険率0.◎◎0%で有意な差が認められる。障 _ してあげたいと思わない
図1°近所のh竺墓離_負担__蟹〜.
老人16・4 277 429% 二讐一2.3
44 安河内 恵、 子
害者対象ボランティアの場合,ボランティア活動はボランティア個人と施設と の直接的関係として現われており,施設外の人びと,あるいはボランティァ個 人が居住している「地域」との関係は,彼らの意識や態度を決定する準拠集団 とはいえない。
このように,社会福祉に関する意識,社会関係,地域や社会への関心という 3側面についての結果を検討すると,老人対象ボランティアと障害者対象ボラ ンティアには特性の顕著な相違があり,対照的な性格を有していることが明ら かとなった。障害者対象ボランティアは,「無償性」を前提とした理念本位の ボランティアであり,彼らの場合,その活動や関心は施設や対象者との直接的 関係に限られている。それは「点と点との個別的関係」であり,ボランティア 自身がどこに住んでいようとそうしたこととは関係なく,点である施設や対象 者以上の面的範域に関わることへの関心は薄い。無償性や福祉用語法などに関 してはかなり原則的で一貫した態度を有する一方,そのボランティア活動が点 以上に広がっていかないのが障害者対象ボランティアの大きな特徴である。地 域内の社会関係も稀薄で,コミュニティ内部での活動やコミュニティに対する 意識もきわめて低い。本来,彼らの基本的な関心は点と点との関係にのみある のであって,それ以外の事柄についてはほとんど関心がない。この領域のボラ ンティアの場合,原則的なボランティア精神の持ち主として顕著な性格をもっ ており・そのため彼らがどれほど集まったところで決して「面としての地域」
での活動に広がってはいかないという点が特徴として指摘できる。
これに対し,老人対象ボランティアの場合は,障害者対象ボランティアとは 異なって現実的対応が優先しており,その意味でゆるぎない「理念」というも のは感じられない。現実の流れに沿ってその時その時の対応が模索されているδ
「無償性」に関しても,それにこだわることはなく,「反対給付」を制度化し たサービス積立方式についても寛容である。彼らの場合,活動が地域内に多い こととも関連して,地域内の社会関係も豊富であり,活発なコミュニティ活動,
高いコミュニティ意識がうかがわれる。「近所の身体の不自由な独居老人のお 世話」に対する意識も高く,地域ぐるみでまとめて面倒をみようとする「地域
\
ボランティアの意識構造 45 という面での活動」へと広がる可能性を強くもっている。
このように,障害者対象ボランティアはきわめて理念的で無償性・奉仕性を その特性としてあげることができる一方,老人対象ボランティアは地域内での 助け合いを中心に,お返しをも含めて互酬的傾向をもつ。障害者対象ボラン ティアが施設とボランティア個人との「点と点との関係」という「個別性」を その特性としてもつといえるならば,老人対象ボランティアの場合には地域内 での抱え込み,「点から面への活動の広がり」という「集団性」,囎互扶助性」
が特性としてあげられる。活動の冒的が限定的な障害者対象ボランティアでは,
活動そのものは純粋で,「個別的」,「個人本位的」な特性が強い。これに対し,
老人対象ボランティアの場合には,伝統的な互酬性原理に基づいた相互扶助的 活動の色合いが濃く,しかもいろいろな問題を包摂,解決しながら活動の基盤 を広げていくという,「集団的」,「自然発生的」相互扶助のあり方の特性をも つ。このように,ひとくちにボランティァといってもまったく異なる性格をも つものが含まれており,これらの特性がどのような要因によって規定されてい るか,次にその点の解明を試みよう。
4.ボランティアの特性を規定する要因
さて,前節の考察で,老人対象ボランティアと障害者対象ボランティアの特 性について,その顕著な相違が明らかとなったが,次にこれらの相違がとくに どのような要因によってもたらされるものであるか,この点について考察を進
めよう。
鈴木広によれば,近代的な理念本位のボランティア活動と伝統的な互酬的相 互扶助形態との分裂は階層性とともに出現するものとされているが,本調査に おいては活動領域別に属性の違いをみた場合,階層性の差違はほとんど現われ ず,年齢が最大の違いとして現われていたことは,先にみたことで明らかであ る。そこで,ここでは,ボランティアの特性を特徴づける重要な要因として,
階層性の要因のほかに年齢の要因をもとり上げ,それらの要因による影響の違
46 安河内 恵 子
いという点の検討に移ることとしよう。すなわち,階層性要因,年齢要因がこ れまでみてきたボランティアの特性に対しどのような規定力をもつか,この点 についての考察である。全体でみれば両者のボランティアにおける特性は各項 目においてかなり顕著な差として現われていたが,この差は年齢による差違を そのまま反映した形で現われたものなのか,あるいはまた,鈴木広が指摘する ように階層別にみた場合,その特徴がより鮮明化するのか,この2点にしぼっ て検討を行なっていこう。年齢については20・30代の若年層と40代以上の中高 年層との2層に,また階層性については家計評価別をとり上げ、余裕あり層と 人並・生活困難層の2層に分けて検討を行なう。
まず,年齢要因の方からみていくこととしよう。表4は年齢別にみた各項目 の平均値と,それぞれの年齢階級ごとでのt検定結果を示したものである。全 体での検定結果と各年齢層ごとの検定結果とは当然のことながら相即性を示し ているが,福祉産業,サービス積立制度の2項目を除いて,いずれにおいても 中高年層の方に有意な差がみられる。社会福祉に関する3項目 福祉産業,
サービス積立制度,福祉用語法 では,福祉用語法を除いて中高年層にも顕 著な差はみられず,逆にボランティア・バンク制度に関する項目では若年層の 方に有意な差がみられる。ボランティア・バンク制度の推進に関しては,老人 対象ボランティアの場合,年齢階級にかかわらず推進率は一定だが(中高年層 0.867,若年層0.896),障害者対象ボランティアでは年齢階級間でかなりの差 違がみられ,若年層では中高年層に比べ激減している。このことは,推進に対
して否定的な障害者対象ボランティアの中でもとくに若年層で「推進すべきで ない」とする拒否派が多いことを示しており,中高年層では老人対象ボラン ティアと障害者対象ボランティアの間に有意な差はみられないが,若年層の障 害者対象ボランティアに「無償性」堅持の態度が強くみられることが明らかで ある。すなわち,「無償性」に対する障害者対象ボランティアの態度は若年層 の態度に代表的に示されているといってよいであろう。これに対し,福祉用語 法に関しては逆に中高年層においてのみ有意な差がみられる。このことは,若 年層だけみれば老人対象ボランティア,障害者対象ボランティアの間に福祉用
ボランティアの意識構造 47
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48 安河内 恵 子
語法に対する姿勢に有意な違いはみられないが,中高年層では両者の間に決定 的な差が存在することを意味する。中高年層における差違が全体の差違を代表
しているということである。
同様に,社会関係のレベル,社会活動・コミュニティ意識のレベルについて 検討すると,全体で有意な差がみられる場合にはすべて,中高年層においての み有意な差がみられるという結果を示した。若年層で有意差がみられないとい うことは,若年の場合にはいずれのボランティアでも社会関係,社会活動,コ ミュニティ意識について顕著な差がないことを示す。すなわち,全体的にみら れる両者のボランティアの態度の差は,中高年層の差として特徴づけられると いうことである。
以上より,ボランティア・バンク制度に反対する「無償性」の提示は,障害 者対象ボランティアの中でもとくに若年層の特徴として表わすことができ,そ の他の,福祉用語法,社会関係(地域内のつきあい,近隣づきあい),社会活 動,独居老人の世話,コミュニティ意識についての差は,中高年層における有 意差が全体の有意差を代表すると結論することができる。地域に対する活動や 関心が強く,「面としての地域における活動」をめざし「集団性」や「相互扶 助性」を示していたのは,老人対象ボランティアの中でもとくに中高年層であ り,これらの特性は中高年層の老人対象ボランティアによって特徴づけられた ものである。換言すれば,若年層では両者のボランティアの間で「集団性」や
「相互扶助性」に関する特性について顕著な差は存在しておらず,それらは もっぱら中高年層での違いに代表されるということである。
次に,階層性との関連性について検討しよう (表5)。年齢の場合と同様に みていくと,ここでも全体の有意差は「人並・生活困難層」の差として現われ ている場合が多く,「余裕層」では有意差がある場合にも,それより危険度が 高い差しか示していないことがよみとれる。つまり,老人対象ボランティアの 特性である「集団性」,「相互扶助性」は,第一義的には「人並・生活困難層」,
すなわち低階層の老人対象ボランティアの特性として位置づけることができる のである。鈴木広は,ボランティア活動の特性が階層性との関係で二相性とし
ボランティアの意識構造 4g
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