グローバル化(globalization)再考―グローバル 化を国際関係に据え直してみる―
著者 末内 啓子
雑誌名 明治学院大学国際学研究 = Meiji Gakuin review
International & regional studies
巻 44
ページ 1‑12
発行年 2013‑10‑31
その他のタイトル Locating "Globalizations" back into International Relations
URL http://hdl.handle.net/10723/1745
【研究ノート】
グローバル化(globalization)再考
――グローバル化を国際関係に据え直してみる――
末 内 啓 子
1.序
いまや,グローバル化(globalization)という言 葉は日常化してきている。まるで,日常生活とグ ローバル化が,いつの間にか相互に不可分に織り 込まれているかのようである。しかし,そもそも,
グローバル化とは何を意味し,いつから,なぜ始 まったのか。そして,どのような期待と危惧に繋 がるのか。それぞれの疑問に答えを見出す前に,
次から次へと新たな疑問が湧き起こり,一体何か ら問い始めたのか,悩ましい混迷にさえ陥りがち である。
一般的に,グローバル化とは,物,金,人,情 報が,国境を越えて,短い時間で,まるで地球全 体を覆い包むかのように移動することとみなされ る。たとえば,世界各地の為替市場や株式市場の 情報が,瞬時に世界中に広がり,地理的に遠く時 差もある市場にまでも影響を及ぼす。つまり,輸 送,通信技術の発達を直接的,間接的原因として 国境を超えて経済活動が拡大し,市場の拡大に至 るとみなされる。広がった経済活動では,銀行な どの金融サービスが, 「いつでも」, 「どこでも」利 用でき,グローバル経済の拡大のためのコスト低 廉化で,より多くの人々に機会が開かれていると する「誰でも」という文脈が見える。これが,ま さに経済のグローバル化であり,この「いつでも,
どこでも,誰でも」という同質化(homogenization)
である。グローバル化によってグローバル化に参 入するハードルは低くなり開放的となり,さらに グローバル化が拡大するという循環になり,収斂
化(convergence)の過程を経てさらに同質化が進 むと説明される。
その一方で,グローバル化に対する不満は,す でに世界各地で反グローバル化の運動として広が りつつある
(1)。グローバル化に対する疑問も,も はや無視することはできない。グローバル化は,
はたして利便性,同質化をもたらしたのか。 「いつ でも,どこでも,誰でも」との普遍性だけではな く,グローバル化が異なる性質を創出する「分化」
(“divergence”) の 進 行 で は な か っ た か
( 2)。 グ ローバル化では,全体が同質化する「収斂化」
と,異質化する「分化」とが錯綜し,収斂を特徴 とする「単数のグローバル化」 (“globalization”)に 対し,分化を特徴とする「複数のグローバル化」
(“globalizations”)が議論されつつある
(3)。 グローバル化の同質化をあえて問い直し,分化 に注目すると,どのような分析的展望が開けてく るだろうか
(4)。同質化だけでは説明しつくせない グローバル化も分析対象となる。つまり, 「いつで も,どこでも,誰でも」の論理は,グローバル化 の「いつだけ,どこだけ,誰だけ」の特徴をも隠 しているのではないかという問いとなる。
グローバル化についての研究量は,これまでの
高い関心を反映してきている。社会科学の分野で
も経済学,社会学,地理学,国際関係論などの研
究もまだまだ増殖中である
(5)。しかし,様々な分
野からの関心はグローバル化へ集中してはいる
が,矛盾し錯綜もしている
(6)。この分析上の錯綜
はそれぞれの根底にある複数の国際関係観を比較
すると,オントロジカルな側面で,対立する世界
観をあいかわらず表わしている。もう一歩踏み込
むならば,グローバル化の議論以前の世界観の対 立はさらに際立ってきているようである。
そこで本稿は,グローバル化の収斂に対立する 分化を軸として,どのようにグローバル化を考え るかを複数の世界観にまで遡り検討する。グロー バル化の中に国際関係を見出すのみでなく,グ ローバル化を国際関係の中に「押し戻す」ように 置き直し,グローバル化における分化を社会,政 策などの他の要因との関係で考察する。したがっ て,これまでのグローバル化の議論を超えて,大 きな分析的試みの一端として,今後の議論にとっ てのアジェンダ再設定をも狙う。グローバル化を 国際関係に押し戻して据え直して再考し,国際関 係を理解する試みをも展望する。
2.グローバル化研究――広がりの性質
グローバル化について,これまでの議論を精査 し総括することは,その膨大な出版量のために至 難の業というべきものであろう。けれども,現代 的,流行との単純な評価を排して,この研究量に 至る理由を考察する意味は小さくない。グローバ ル化研究がこんなにも増大してきた理由の一つ は,グローバル化の影響が「あちこち」に見出さ れるからである。まず,地理的な文脈で, 「どこで も」という特徴である。グローバル化の影響が,
どこか特定の地方,国家,地域を超えて広汎に波 及しているとみなされている。もう一つの理由は,
経済だけではなく,政治,文化,社会と多方面に その影響が認識されているからであろう。した がって,グローバル化を研究する分析者の分野も 多岐にわたり,その多分野ゆえに学際的な取り組 みも増加し,まさに広範な展開となっている。そ して,多分野からの研究参入や共同プロジェクト も,研究量の増大に貢献してきている
(7)。 ところが,グローバル化を国際関係に位置づけ る検討は,まだ未開拓といえよう。たとえば,グ ローバル化を理解することが,今日の国際関係を 理解することとは安易に置換しがたい
(8)。グロー バル化を無視することも,その反対にグローバル 化を国際関係の全体と置き換えることも,どちら
も極端に単純すぎる。そこで,このようにグロー バル化に関する過多な,あるいは過少な関心のは ざまで,国際関係の変化はどのように議論すべき か模索すべきだろうか。つまり,この議論は, 「い つでも,どこでも,誰でも」というグローバル化 の普遍性を問い直し,国際関係の中で「いつだけ,
どこだけ,誰だけ」という限定的性質を考える契 機となる。
そもそも,国際関係全体は実際にグローバル化 しているかという疑問がある。たとえば,各地で 見られる反グローバル化の市民運動の是非を議論 することと距離をとっても,展開する反グローバ ル化の運動から目をそらすことはできない。はた してグローバル化は均質化をもたらしたと言える のか。実は,グローバル化の広がりは, 「いつでも,
どこでも,誰でも」とは普遍化できず,限定的同 質化としたら,ある種の選択がなされていたとい えよう。グローバル化前の選別はあったのか,あ るいはグローバル化の過程での選別の有無を考察 する作業が必要となる。
さらに,グローバル化がもたらす結果が注目さ れがちだが,その原因と説明方法こそ注視すべき であろう。グローバル化の前に何が原因となり,
グローバル化がもたらした結果へのプロセスをも 分析視野にとりこむことで,グローバル化を相対 化する可能性が出てくる。研究の量と多様性があ ればこそ,研究をどのように理解し,そこからの 一歩を見出していくかということは不可欠と言え よう。多くの研究者が,多くの分野から参入して いるため,多岐にわたる研究から,グローバル化 の原因を特定する因果関係を統一体としてみいだ すのも難しい。因果関係探しも位相化すれば,グ ローバル化をどのように位置づけるかの模索にも 一助となろう。グローバル化を理解するには,グ ローバル化をあえて国際関係の中に押し戻しての 再考こそが今必要である。このようなグローバル 化の相対化は,グローバル化を議論する際に様々 な要因と,広範な関係に因果関係を見出し,また その性質にも検討を広げることができるからであ る。
グローバル化推進派は,グローバル化があれば
こそ, 「いつでも,どこでも,誰でも」という好ま しい機会が拡大されるとの肯定的文脈に依拠す る。この肯定化の土台にある論理は,新自由主義 にも象徴されるところの,効率化,コストの削減 へとつながる国境を超えた資本,物,人,情報な どの動きである。大前研一が特徴づけた「ボーダ レス」(“borderless”)な市場である
(9)。つまり,
経済活動の越境性による国境の形骸化である。さ らには,政治よりも経済の方が早く,広く活動を 展開しているという議論である。
大きな市場,資本や情報の自由で迅速な移動,
経営の統合は,経済だけではなく文化,教育など にも追求されつつある。ここで強調されるグロー バル化は,安価,高速,効率などに特徴づけられ る経済的利点や,統一基準の適用による同質化で ある。基準が単一化する傾向が進む一方で,地域 統合が進行する結果としての地域間差異が,たと えばヨーロッパ,北米などで生じなかったとは言 い難い。水平性があまりにも強調されるため,差 異を格差という垂直的文脈でみるには十分な配慮 がなかったのである。新自由主義的な目線は,ど うしてもとり残される弱者,周辺への目配りが不 足していたともいえよう。
グローバル化について水平的な広がりを強調す る見方は,なぜ,空間と時間の隔たりを克服しコ スト軽減を最前面に掲げるのだろうか。つまり,
「いつでも,どこでも,誰でも」が,グローバル な空間で,物,金,人,情報の移動が可能になる という議論の特徴を見逃すべきではない。特に,
グローバル化の議論には,推進する強者の立場か らのものが多く,国外へ安価な労働力,資源,そ して消費市場を求めて移動する企業の視点もあ る。典型的には,グローバルに拡大した空間で企 業を運営する多国籍企業の側の論理である。なぜ そのような強者の視点があるかというと,彼らが 受益者であり,グローバル化の利益を強調するか らである。新自由主義に代表される強者の論理は,
その利益配分における包括性というよりも当事者 の論理がみられる。そこからは,グローバル化に よって,経済,社会的な立場で当事者にとって「負」
の影響を享受するかもしれない側の立場は少なく
とも二次的,場合によっては競争に打ち勝つ努力 が不足しているとさえ位置づける。ここにおいて は,他者の利害が,まさに周辺化されて限定的で ある。
そして,グローバル化を市場の拡大として,経 済的な自由化とその効率性を主張する論理には,
ある種の循環的な正当化がある。開放的であり,
効率的な市場はさらに拡大し,より自由な経済の しくみが広がるとする。そして,そのようなグロー バル化についての認識は,グローバル化を,ある べきもの,不可避であり当然とみなす文脈をも内 包している。その循環的論理によって,グローバ ル化がもつ限定性が隠されている。
3.グローバル化を考察するための補助線
1)補助線の役割幾何分析では,補助線を描きいれて,対象を考 察する新たな手がかりとする。グローバル化の複 雑性をできるだけ捨象することなく把握するため には,その複雑な文脈を整理することが必要とな ろう。グローバル化を捉えようとすると,そのポ ジティブな側面,あるいはその反対のネガティブ な側面を提示するにとどまり,議論を矮小化しが ちである。つまり,推進派と反対派に二極化し,
互いの議論の弱点に関心が集中してしまう。とこ ろが,補助線の導入によって,グローバル化の特 徴を広い枠組みのなかに位置づけるならば,複雑 な文脈をも含めて,解明することができるかもし れない。この補助線利用は,議論がもつ特徴を明 らかにするので,考察を広げる役割がある。さら には,補助線を使い,グローバル化をめぐる価値 観の差異をも探索できよう。この分析では,グロー バル化についての議論に存在する複数の文脈を明 らかにしていく可能性を追求する。複数性に注目 することによって,議論の性質,さらにはそれら の議論の土台となる価値観の関係をも探る。
そこで,本稿では,垂直的な多様性,時間の軸,
国家機構との関係の三本の補助線を加えて考察し 直す。一本目の垂直的な補助線を機軸にすると,
グローバル化のプロセスと結果についての複数
性,それもハイエラーキカルな文脈での差異,つ まり「格差」 (“disparity”)が見えてくる。二本目 の時間軸の補助線は,グローバル化に関してス ピードが強調される中で,あえて長期間のプロセ スを探る。三本目は,政治機構との関係である。
機構をいれることで,グローバル化が経済や市場 の優越性を意味する一方で,国家が機構として役 割を変えながらグローバル化に関係していないか を分析する。
2)補助線①――水平に対する垂直
一本目の補助線である垂直線は,強弱,高低,
優劣などの差異に光をあてる。グローバル化は
「ボーダレス」に代表されるように,広がりと同 質化が強調されがちであるが,その水平的目線で は見えにくくなっていた格差を探る。垂直の補助 線を据えた場合,二つのタイプの格差が見えてく る。
第一の格差のタイプは,グローバル化がもたら す,つまり結果としての格差である。原因として のグローバル化が,結果として格差を生み出す。
たとえば国境を超えて,拡大してきた市場では,
富の配分が必ずしも均一ではなく,平衡化するも のではないととらえる。
第二の格差のタイプは,その流動性との関係で 検討できはしないだろうか。格差というと,やや 固定化,硬直化の文脈が強調され,格差の解消や 逆転などの変動の可能性が小さい文脈を暗示しが ちである。どちらかというと,格差は減少せずに 硬直し,その不可逆性が強調されがちである。そ れに対して,格差にも変化がありうると位置づけ るならば,どのような変革が起ころうとしていた のかを検討する準備が必要となろう。
たとえば,グローバルな労働市場における熟練 労働力の移動が必ずしも先進国内でのみ展開して いるとは言い難い。先進国の一部の雇用が他地域 からの競争力が高い労働力に奪われつつあるとい う変化をも説明するべきである。格差を固定的な 硬直化したものとしてではなく,変化可能な,あ るいは変化が見込めるものとして捉えることで,
格差の流動性を検討できる。つまり,変化,変革
が可能であるとの議論の余地を確保しておくとい うことである。従属論以降の議論をみても,南北 格差をどのように克服するかについての解決は困 難であった。それならば,なぜ格差克服が困難な のかという文脈の「出口なし」の議論に終わった 反省に基づき,分析に柔軟性をもたせてはどうだ ろう。教育の側面においてグローバル化が進み,
第三世界の一部のエリートにとっては機会が拡大 し,発展している社会に住む若者との競争も可能 になるとの変化も指摘されてきている。結果を固 定的ととらえるのとは異なり,流動性の有無をも 検証する可能性も出てくる
(10)。
したがって,垂直な補助線といっても,単純な 一方向の硬直化した直線とはいかないし,時間の 経過による変動をも分析できるような前提がある 補助線もあり得る。その変動過程で,社会との関 係,社会の流動性との関係にも連携させた検討が 可能となろう。つまり,社会との関係にこそ,グ ローバル化を考察できるのである。
3)補助線②――時間
二本目の補助線は,グローバル化を過程として 捉えるための時間軸である。グローバル化の格差 をとらえるためにも,過程という概念を持ち込む ことが必要で,時間の補助線が重要であることは すでに述べた。
では,時間軸に注目し,グローバル化をどのよ うに検討するかといえば,三種のアプローチにま とめることができる。一つ目のアプローチには,
歴史的に世紀を超える長い時間の流れの中にグ ローバル化をとらえる入江昭
(11),A・G・ホプキ ンス
(12)などの研究がはいる。この文脈では,歴 史をさかのぼり,欧米だけではなく非西欧社会に も言及しながら,グローバル化を国際関係史の展 開をふりかえる中に位置付ける特徴がある。なか でも,このアプローチはグローバル化についての 多くの議論が,時間的枠組みがあまりに短期間に 矮小化している「歴史的考察欠損症」 (“Historical Attention Span Deficit Disorder”)
(13)と批判した。
短期間の変化とみなすことを誤認とし,グローバ
ル化は長年の国際関係の変化として,その延長上
に現在を位置づける必要性を説いている。
この長期的視野のタイプは,グローバル化以前 の格差とグローバル化による格差の拡大の関係 で,つまり,格差の性質を探る。グローバル化だ けが,格差を生み出したととらえるのではなく,
それ以前に構造化され存在した格差の上乗せや硬 直化の過程をも包含する。この場合は,時間的に も長く,そしてグローバル化の前とその結果を含 む過程となる。時間の流れの中で,グローバル化 が包含される一部となり,相対化される。
さらに,歴史家の場合,グローバル化を一つの 短期的なプロセスとは見ずに複数の波としてとら えがちである
(14)。世紀を超える長い期間の分析視 野を採用すれば,一つの巨大な波をとらえそうに もみえる。が,皮肉にもその逆である。かえって,
短期的な分析視野に限られた研究のほうが,波の 大きさ,その一貫性を強調しがちである。では,
なぜ,長い期間を振り返ると,グローバル化は一 つの波に見えないのだろうか。その波が連続,継 続しているか,あるいは断続的であるのでその場 その場の波を比較することが重要となる。つまり,
連続と非連続の錯綜に分析的視線を向けることも 可能となるからである。グローバル化に複数のプ ロセスと結果を見出すアプローチは,同時進行と 時間差の両方の文脈で「分化」(divergence)を分 析する。
それに対し,二つ目のアプローチでは構造主義 的なアプローチをとる国際政治経済論の立場か ら,ロバート・W・コックス(Robert W. Cox)
(15), ステファン・ギル(Stephen Gill)
(16),ロベール・
ボワイエ(Robert Boyer)
(17)などは,1970 年代に 露呈した先進資本主義国の経済的な行き詰まりを グローバル化の重要な転換期と見る。この場合,
単に地理的,物理的にグローバル化というだけで はなく,新たに矛盾という文脈が織り込まれてい ることが重要である。問題のはけ口の模索こそが,
グローバル化と見るわけである。市場の拡大,効 率化を強調するアプローチとは,まるで違う文脈 となる。
しかし,三つ目のアプローチは, 1980 年代後半 から 1990 年代に始まる通信とコンピューター技術
の発展に助長され,経済的にも統廃合が進む金融,
損保,保険,製造業のネットワーク化に注目する。
これらのアプローチの中でも, 1980 年代末からの 変化を重視するものは,いわゆる旧ソビエト連邦 の崩壊から始まる社会主義圏諸国の変化と無関係 ではなかろう。つまり,資本主義の「一人勝ち」
とまで極端な表現をしなくても,資本主義の国境 を超えたさらなる拡大,ゆくゆくは民主主義の地 球化という文脈である
(18)。
このように,時間軸をとることでも,複数のグ ローバル化を説明する複数のアプローチの存在が 明らかになる。
4)補助線③――国家機構との関係
国家機構と市場の関係は,これまでも国際政治 経済論の根本的なテーマの一つである。かつて,
スーザン・ストレンジ(Susan Strange)は,政治 学と経済学が相互に他方を長年無視してきた研究 動向を痛烈に批判した
(19)。マルクス主義系の議論 における経済決定主義的な側面は,自由主義系の 社会科学からの批判の対象となった。従属論にお ける経済ファクターの重視は,一部の経済決定主 義的な議論を除き,国際関係論においてもネオリ アリズムの国際経済政策研究に少なからず影響し た。相互依存論やレジーム論などがその範疇には いる。しかし,自由主義系の議論も経済のファク ターを包含する傾向にはあるが,経済に対する政 治を優位にみなしてきた。その後の国際関係論の 展開は, 「構築主義」(constructivism)を手がかり に,政治と経済の関係をさらに模索しつつある。
ところが,この国家と経済の関係は,今日のグ ローバル化についての研究で,どのくらいの進展 があったのだろうか。これは,国際政治経済論に おいては,重大な検討項目である。たとえば,従 来のグローバル化の議論は,この国家と市場の関 係にどのようにアプローチをしてきたのだろう か。
経済学は市場重視の傾向が強いが,市場の拡大
としてのグローバル化推進の議論だけとは限らな
かった。一方では,市場の拡大がグローバル化を
もたらし,そのプロセスを阻害しないことこそグ
ローバル化を促進し,経済的合理性を確保するの であるとの議論もあった。他方では,グローバル 化と距離をとりながら,そのマネージメントに興 味を示した研究もあった
(20)。反転が不可能な格差 にどのように対応するかは,多くの研究者も言及 している。
政策と経済の関係に注目する研究では,冷戦後 の東欧各国の経済がグローバル化でも異なる展開 をしたことについて, 「分化」の存在とその性質へ と分析関心を投影した。グローバル化と格差,ま た先進国間でさえも複数のグローバル化をめぐる 議論となった。グローバル化研究は,政治か経済 かという二者択一の議論に対し,相互関係の注目 へとゆりもどしてきている
(21)。また,経済的条件 をも視野にいれながらも,国家機構,政策に関心 を 展 開 し て き て い る 。 フ ィ リ ッ プ ・ サ ー ニ ー
(Phillip Cerny)の「経済競争にとりくむ国家」
(“competition state”)の概念を使い,国家がグ ローバル化の中で経済的な条件をも跳ね返すよう に立ち向かうようになってきたと議論した
(22)。そ の場合,グローバル化で国家が脆弱化することも 認めながら,その反対に政策を手段として国家が 新たな挑戦に取り組む状況も研究されてきてい る。しかし,新機構論的な組織対応の可能性への 全幅の期待と信頼と異なり,楽観的とはいいがた い。ここにも,限定性の特徴があり,対応が可能 な国家とそれ以外の国家,あるいはそれらの国家 対応の性質に差異があるという文脈となる。
機構論は,グローバル化の議論に新たな展開を もたらした。政治学,そして政治学系の国際政治 経済論では,機構論は定番の手法の一つであり,
具体的な機構,政策を考察することになる。まず,
機構分析は,具体例を事例研究とすることで,さ らに比較研究を可能とする。グローバル化と国家 機構の対応の共通性と特殊性に切り込み,分化の 特徴を導き,その理由を分析する。そして,機構 論の中では,国家とそのほかの行為体を政策過程 にとりこむ分析を可能とする。その際に,利害代 表の有無,不均衡をも含め,国際的,グローバル な条件と国内,それも社会との関係での考察へも 導く可能性がある。グローバル化研究に国家機構
の軸を加えることで,政策との関係で分析する展 望も少なからず見えてくる。
4.グローバル化研究に内在する世界観
これまでのグローバル化研究を三本の補助線と の関係で整理し直すと,矛盾する議論が露呈し,
グローバル化は到底「ひとくくり」にはできない プロセスであり,そのうえ研究も錯綜している。
本節では,これらの矛盾の性質について,その焦 点とその理由を中心に検討する。ここでも,再度
「ずれ」を手がかりに考察する。
まず,グローバル化をめぐる議論の矛盾点は,
以下の三つに集約できよう。つまりグローバル化 の原因をめぐる矛盾,またグローバル化の結果を めぐる矛盾,そして国家と市場の関係をめぐる矛 盾である。グローバル化をプロセスとしてとらえ た場合,原因から結果へはもちろん継続している し,また国家と市場がそのプロセスで無関係とは いえないというのも確かである。これらの焦点は,
必ずしもきれいに分離されるわけではなく,どち らかというと不可分なので,議論の便宜上の論点 の分離である。
1)グローバル化の原因
社会科学でグローバル化を検討する場合,やは りその原因について考察することは必須である。
また,グローバル化推進や反対の対立のみに陥ら ないためには,その原因をどのように見出すかに 注意すべきである。
ここでも,先ほどと同じようにグローバル化の 原因について補助線を使ってみる。まずは,水平 的な補助線に沿って考えるならば,原因は経済活 動の拡大,密度,速度に特徴付けられよう。交通,
通信,輸送などのインフラストラクチャーの整備 によって,経済活動の場となる市場が国境の外へ と向かい,世界の隅々にまで,短期に,高速で,
安価に,そして頻繁に波及することでシステムと
してのグローバルネットワーク形成とみなされて
いる。円滑,調整,維持というような,自由主義
的な楽観的な社会観が特徴である。ある意味では,
望まれて,あるべくして到着したグローバル化と いう見方である。であるからこそ,今後もグロー バル化の方向を継続的に追求する,かつ追求する べきであるという志向である。グローバル化の進 行こそが,またその継続こそが,実現されるべき 世界という文脈である。グローバル化による地球 の変化が,これまでの問題に対する解決とさえみ なすビジョンである。
反対に,垂直的な,上下,強弱の関係をみる補 助線を用いると,これまで特に注目してこなかっ た格差とその増幅を露呈する。すでに存在した差 異がグローバル化で増幅され,顕在化される。そ の場合,いつからの変化かという問いに直面する。
つまり,長期に 19 世紀末からの世界経済の変化に 始まる波なのか, 1929 年の大恐慌からの否応無し の世界的規模の経済なのか。またあるいは 1970 年代の石油ショックへのプロセスに発端を見出す のか。さらには,いわゆる冷戦終結後の 1990 年代 の通信技術と金融の変化にその差異を位置づける のか。やはり,どの波というよりは,複数の波,
あるいは始まりを鮮明に特定するよりは,やや長 めの期間をふり返りながらの議論という可能性が 生まれる。
次に,それらの格差がグローバル化でどのよう に変化したのだろうか。つまり,格差は増幅され たのか。あるいは格差が平準化の方向へと向かっ たのか。これらの問いの特徴は,原因と結果の関 係の究明であり,また結果が次の因果関係へどの ように繋がったのかという鎖状の因果関係を視野 にいれた議論となる。さらには,その因果関係を 一筆書きの一方向の単純な過程として捉えず,矛 盾に満ちた,逆方向の過程の相殺をも視野にいれ る。したがって,時間軸にそって,単一方向では なく,逆行も含めた複数の過程としてとらえる。
これは,自由主義的な,市場の自由化,経済活動 一般の自由化としてグローバル化をとらえる志向 とは,根本的に異なる。それは,市場・経済の自 由化に対する国家政策の介入の一例であり,グ ローバル化を,複数の矛盾の同時進行として特徴 づけることができよう。端的には,広義の国際政 治経済論の構造,政策,国家と社会を検討する。
2)グローバル化の結果
グローバル化の結果を評価する問いは,三つの 軸で分類できる。一つ目の軸は,これまでも言及 してきた同質化と分化を両極とする。要するにグ ローバル化は,世界を均質化するか,または,さ らなる差異をもたらすかである。特に後者の差異 の場合,すでに議論したように,水平的ではなく 垂直的な文脈を加えると,グローバル化が格差を 拡大するとの見方となる。単なる差異にとどまる のではなく,富の偏在がグローバル化でさらに進 行し,貧富の二極化へのプロセスを生み出すとの 議論になる。結果についての評価は,どのような 前提を容認するかで,かなり文脈的に異なるもの となってきている。
二つ目の軸は,結果への過程を単線形として見 るか,複線形としてみるかという問いである。単 線形ではないグローバル化がもたらす変化を,ひ とつの波として,一方向の変化としてみるか。あ るいは,複数の波が同時に,あるいは相前後して,
ある時は相互に増幅しながら,またある時は相殺 しながら影響すると見ることも可能となる。複線 形の場合,先ほどの差異も水平,垂直が同時に進 行するともいえるし,かなり複雑なプロセスとな る。ある意味では,後者の複線形の見方は,前者 の単線形のプロセスも包含するともいえよう。と はいうものの,複線形の場合は,複雑で矛盾する プロセスをどのように整理するかという課題も 残っている。これらの単線形と複線形の違いは,
対比することで,複雑性をどのように,どの程度 まで許容するのかを明らかにする。
三つ目の軸は,原因と結果の関係を鎖状の関係
として,結果がその次の結果の原因となり,結果
を生みだす。しかし,その場合でも,単純に,す
べての結果が次の因果関係の原因となるかどうか
は,やや疑問といえよう。結果にも,その後の因
果関係でさらに影響力を持つものと,持たぬもの
もあるだろう。たとえば,富の配分,投資への展
開などに関しても,単に有無だけではなく,程度
の差としてもとらえることができよう。では,そ
の鎖状の因果関係に影響を及ぼす要因とは何だっ
たのだろうか。因果関係を生む土台に存在する磁 場のような構造とはいえないだろうか。国際政治 経済論では,定番中の定番のトピックとして, 「国 家と社会・経済の関係」がある。したがって,グ ローバル化を社会,経済との関係,それらの歴史 的背景へ押し戻し,見直す分析へと導く必要があ ろう。
3)格差の固定化と流動化
これまでの議論では,グローバル化の均質化よ り格差も含む複線化した矛盾が内在する関係を注 視してきた。たしかに,一部の格差をめぐる議論 は,富の偏在,不均衡な分配によって,富める者 はより富み,貧しき者はより貧しくといった具合 に,混在していた状況をさらにふるいにかけるが ごとく二極化を進行させる作用がグローバル化に はあると見なしてきた。ところが,その固定化は 従前の「従属論」の展開と類似して,議論の簡略 化ともいえる因果関係に依拠することはグローバ ル化における錯綜した変化を把握,分析するのに 十分とは言い難い。したがってグローバル化の場 合,従属論の簡略化の失敗をくりかえさないよう にすべきである。
では,結果としてどのような固定化とどの程度 の変化がありえるのだろうか。その変化の有無と 程度を検討するには,二極構造化の前提を除外し,
先進国経済と発展途上国経済の両方を視野にいれ た議論も必要となる。たとえば,先進国の労働力 市場が競争から保護されているのではなく,発展 途上経済地域の一部の労働力と競争があることも 検討されつつある。つまり,労働市場は先進国と 発展途上国の二分化で固定しているのではなく,
流動化しており,先進国の労働力がおかれていた 優遇がこれまで通り確保できるとは限らないとの 議論である
(23)。これを先進国側にとっての雇用機 会喪失とも,あるいは第三世界にとっての雇用機 会拡大とも捉えることができる。立場によってか なり異なる視点も設定できる。しかし,留意すべ きことは,この議論自体も高い教育を享受する機 会に恵まれたグループの移動拡大と社会変動であ る。これを限定的とも,あるいは拡大化への一角
ともまだ判定するには及ばない状況と言わざるを えない。が,限定的とはいいながらも,変化の有 無,兆しとの関係で,固定化への反証的な事例と みることは可能であろう。ただ,どの程度の変化 か,あるいは今後の展開を注視すべきであろう。
グローバル化関連の議論が,どちらかというと 固定化の文脈も少なからず見え隠れする中で,変 化の程度や方向性は未定であっても分析できる準 備をどのように備えておくかは今後の研究動向に も影響するだろう。議論の矛盾はどのようなもの で,克服可能かどうか。議論に存在する世界観の 構造と性質を吟味することが必須となろう。より 広範な視野にグローバル化を分析的に据えること で,流動性の議論へ扉のひとつが開かれるだろう。
5.結
本論では,グローバル化を巡る研究の動向を概 観しながら,グローバル化をどのように位置づけ て分析するべきかを模索した。
最近のグローバル化に関する議論は,さまざま な国際関係研究において,かなり支配的であるこ とは認めざるをえない。さらに,さまざまな文脈 で,グローバル化を視野にいれないと分析が困難 となってきている。その状況は,研究の量の増加 と多岐化にもみいだされる。やはり,地理的にも 汎地域性,そして研究分野においても汎分野とい う傾向が否定できない。これも,グローバル化の 影響が多くの地域で,分野に及んできているため である。
しかし,グローバル化に関心を集中し,その重 要性を強調することで,研究に支障も生じている。
すでに,グローバル化について,同質化へ向かう 一つのグローバル化というよりも,複数のグロー バル化とその性質を分析する研究が出てきてい る。一部は,均質化への批判に垂直的分化の文脈 から,格差を説明してきている。また,一部の自 由主義系の研究者も,複数のグローバル化にも考 察を拡大してきている。
本論では,グローバル化を支配的な中核として
位置づけるのではなく,相対化を試みた。グロー
バル化をより広い国際関係,歴史,社会との関係 に押し戻して三方向から見直す考察をしてみた。
一つ目は,グローバル化で起こっている多様性,
格差をみることで,グローバル化のプロセスと結 果にみられる複雑性,それも錯綜性の検討であ る。二つ目は,グローバル化を時間軸との関係で みる,つまり歴史性の検討である。一部の研究は,
現代性を強調するあまり,長い時間の展開として のグローバル化を看過する傾向にさえある。しか し,グローバル化の複雑性を相対化して解明する には,どうしてもより長い時間の中に位置づける 必要がある。三つ目は,国家機構や社会との関係 である。国際関係研究でも,市場,社会構造を視 野に入れる国際政治経済論的なアプローチでは,
社会を分析に取り込みつつある。特に,市民社会 論なども,グローバル化と社会の関係が不可欠に なる。その場合,社会のイメージとしては,単純,
均質というよりは,複雑で,構造化した矛盾をも 内包するものである。グローバル化を享受する,
巻き込まれるというだけではなく,時間をかけて 構造化された社会なのである。グローバル化を相 対化して,その複雑性,歴史性,社会的側面を考 察するには,やはりどのような文脈と価値観をも つ見方がふさわしいかが重要となろう。このよう に,グローバル化の相対化は,より広い分析視野 へと押し戻されるべきであろう。
グローバル化に関する当初の議論でも,懐疑的 な傾向の研究も存在した。今となっては,その研 究の広がりと量を考えても,単なる懐疑的という よりも,よりバージョンアップして吟味する模索 となっている。グローバル化の重要性,支配性を 一方で認識しながらも,他方で相対化する試みと しての研究が不可欠であろう。
国際関係研究の変遷との関係で,グローバル化 研究の展開が示唆するものは何だろうか。それは,
グローバル化が研究対象であると同時に研究の土 台を分散するプリズムのような役割を果たしてい ることである。確かに,対象としてのグローバル 化は多くの研究を引き込んできた。その関心を逆 にたどると,単に分野やアプローチの違いだけで はなく,世界観の違いを探り出すことも可能であ
ろう。たとえば,これまでみてきた水平的な広が りと垂直な格差というように,自由主義的な競争 の利点を強調する見方と,競争による弱肉強食と いう階層化された結果とする見方である。後者は,
複数のグローバル化とも関連してくる。
さて,グローバル化研究は,今後どのような方 向に広がっていくのだろうか。一つは,これから は何がグローバル化なのだろうかという疑問にの み集中することはないだろう。また,複数の結果,
過程としてグローバル化を見るならば,その複数 性の性質と因果関係を議論することとなろう。と いうことは,たとえグローバル化と呼びながらも,
実は矛盾を包含する複数のグローバル化の過程と して,またその矛盾を解消することなく軋轢を構 造化する過程としてみなすことも可能となるので ある。
こうしてグローバル化の中に国際関係を見出す とともに,あえてグローバル化を国際関係の空間 と時間の中に据え直して,研究の仕切り直しをし て,多様性を許容するという前提で,より多くの 要素との関係でグローバル化を見直すべきであろ う。
注
(1) 反グローバル化運動については,たとえば以下を参 照。Stephen McBride, and John Wiseman, eds. Globalization and its Discontent, London: Macmillan, 2000. 山田敦「反 グローバル化の広がりと繋がり――世界社会フォー ラムの事例」『国際政治』153号,2008年。最近のOccupy
Wall Streetなどのデモや占拠も,グローバル化が生み
出した格差に対する抵抗の活動ともみなすことがで きよう。
(2) Ian Clark, Globalization and International Relations Theory, Oxford: Oxford University Press, 1999, p.35.
(3) John Gray, False Dawn: The Delusions of Global Capitalism, New York: New Press, 1998, pp.55-57. James N. Rosenau, “Many Globalizations, One International Relations,” Globalizations, 1:1, 2004. Robert Boyer,
“How and Why Capitalisms Differ,” Economy and Society, 34:4, 2005. Michel Beaud, A History of Capitalism, 1500-2000, New York: Monthly Review Press, 2001,
pp.279-295. 和田洋典「アメリカ型規制国家のグロー
バル化と制度的多様化――金融セクターと情報通信 セクターの日英比較を事例に」『国際政治』153,2008 年。
(4) ヨゼフ・ナイは,1970 年代からロバート・コヘイ ン と と も に 国 際 政 治 経 済 に お け る 国 際 的 相 互 依 存
(interdependence)を研究してきたが,近年は相互依 存の延長上でグローバル化も検討している。その文脈 で,グローバル化の普遍性について疑問を提示してい る。国際関係論の主流からの疑問提示である。Joseph Nye Jr. with Robert O. Keohane, “Globalization: What’s new? what’s not? and so what?” Joseph S. Nye Jr., Power in the Global Information Age: From Realism to Globalization, London: Routledge, 2004, p.192.
(5) 国際関係論では,たとえば以下を参照。Saskia Sassen, ed., Globalization and its Discontents, New York: New Press, 1998. Richard Falk, Predatory Globalization: A Critique, Cambridge: Cambridge University Press, 1999.
Ian Clark, Globalization and International Relations Theory. Robert W. Cox, “Political economy and World Order: Problems of Power and Knowledge at the Turn of the Millennium,” in Richard Stubbs, and Geoffrey R.D.
Underhill, eds., Political Economy and the Changing Global Order, Oxford: Oxford University Press, 2000, pp.26-27. James H. Mittelman, The Globalization Syndrome: Transformation and Resistance, Princeton:
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“Globalization in History,” in Jan Aart Scholte, Globalization: A Critical Introduction, London: Palgrave, 2000. Ngaire Woods, “The Political Economy of Globalization,” in Ngaire Woods, ed., The Political Economy of Globalization, New York: St. Martin’s, 2000.
(6) たとえば,スーザン・ストレンジは,「グローバル 化」というタームによって,さまざまなことが包含さ れてしまうために,大変曖昧で混乱を招く不明確な概 念であると批判している。Susan Strange, The Retreats of the State: The Diffusion of Power in the World Economy, Cambridge: Cambridge University Press, 1996, p.xiii.
(7) 最近では,グローバル化と倫理の出版も増えつつあ る。たとえば,William M. Sullivan, and Will Kymlicka, eds., The Globalization of Ethics: Religious and Secular Perspectives, Cambridge: Cambridge University Press, 2007.
(8) 冷戦を国際関係との関係で,どのように位置づける べきかとの議論に類似した検討課題である。たとえ ば,入江昭は冷戦時代の国際関係を研究する際に,冷 戦だけに注目することの危うさを指摘している。入江 昭「新しいグローバリズムと文化の底流」,入江昭著,
篠原初枝訳『権力政治を超えて―文化国際主義と世界 秩序―』岩波書店,1998年。
(9) Kenichi Ohmae, The End of the Nation State: The Rise of Regional Economies, London: Harper Collins, 1995.
(10) Phillip Brown, Hugh Lauder, and David Ashton, “The
Trap,” Phillip Brown, Hugh Lauder, and David Ashton, The Global Auction: The Broken Promises of Education, Jobs, and Incomes, Oxford: Oxford University Press, 2011, pp.137-138.
(11) Bruce Mazlish, and Akira Iriye, “Introduction,” in Bruce Mazlish, and Akira Iriye, eds., The Global History Reader. New York: Routledge, 2005, pp.2-3.
(12) A.G. Hopkins, Globalization in World History, London:
Pimlico, 2001. Robert Boyce, The Great Interwar Crisis and the Collapse of Globalization, New York: Palgrave, 2009.
(13) Christopher Andrew, “Foreward,” in A.G. Hopkins, Globalization in World History, p.vii.
(14) R・ボイスは,戦間期の研究で,三つのグローバル 化の波(第一次世界大戦前,第二次世界大戦後の仕組 み,旧ソ連崩壊後)に言及した。Robert Boyce, The Great Interwar Crisis and the Collapse of Globalization.
(15) Robert W. Cox, “A Perspective on Globalization,” in James Mittelman, ed., Globalization: Critical Reflections, Boulder: Lynne Rienner, 1996, p.23.
(16) Stephen Gill, “Globalization, Democratization, and the Politics of Indifference,” in Globalization: Critical Reflections, Boulder: Lynne Rienner, 1996.
(17) Robert Boyer, op.cit. Garry Teeple, “What is Globalization?” in Globalization and its Discontent. Fred Halliday, “Globalization and its Discontents,” in Fred Halliday, The World at 2000: Perils and Promises, London: Palgrave, 2001, pp.61-62.
(18) Manfred B. Steger, ed. Globalisms: The Great Ideological Struggle of the Twenty-first Century, Third Edition.
Boulder: Rowman and Littlefield, 2009, pp.1-5.
(19) Susan Strange, “International Economics and International Relations: A Case of Mutual Neglect,”
International Affairs (RIIA), 46:2, 1970.
(20) Joseph E. Stiglitz, Globalization and its Discontents, New York: Norton, 2002.
(21) ヨーロッパのケースについては,Andrew P. Cortell,
“Globalization and Convergence?” in Andrew P. Cortell, Mediating Globalization: Domestic Institutions and Industrial Policies in the United States and Britain, New York: State University of New York Press, 2006. John L.
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Oxford University Press, 2008. 日本のグローバル化に つ い て の 対 応 に 関 し て は ,Steven K. Vogel, Freer Market, More Rules: Regulatory Reform in Advanced Industrial Countries, Cornell: Cornell University Press, 1996. Ulrike Schaede, and William Grimes, eds., Japan’s Managed Globalization: Adapting to the Twenty-first Century, New York: M.E. Sharpe, 2003.
(22) Sassen, Globalization and its Discontents. Philip Cerny, “Restructuring the Political Arena: Globalization and the Paradoxes of the Competition State,” in Randall D. Germain, ed., Globalization and its Critics:
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(23) 社会変動とグローバル化については,Phillip Brown, Hugh Lauder, and David Ashton, op.cit.
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