Author(s)
仲宗根, 京子
Citation
沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL
OF LAW & ECONOMICS(16): 11-24
Issue Date
2011-11-30
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/9606
沖 縄 大 学 法 経 学 部 紀 要 第 1 6 号 【論文】
事例から見る企業再変行為などの功罪
Meritsanddisadvantagesonsomecaseswithmeasuresforthereadjustmentofcommercialenterprises 専 門 分 野 : 商 法 キーワード:企業再編、事業再生、企業買収 仲 宗 根 京 子 * KyokoNAKASONE I、本稿のテーマ 平成17年に、それまで商法典の第2編に規定されていた会社に関する規定を独立させ、「有限会 社法」および「株式会社の監査などに関する商法の特例に関する法律」、などの関係法令を総合し て、「会社法」(6月29日成立、平成18年5月施行)が制定された。それは、現代語化された点や全 979条にわたるボリュームという形式面での刷新のみならず、日本経済の変遷に対応した平成9年 頃からの一連の会社法制抜本改革の集大成でもあった。 具体的には、まず①殆どが中小企業である日本の実情に鑑み、各種規制の見直し(最低資本金 制度の撤廃、事後設立規制の見直し)や有限会社の株式会社への統合、各会社の実態に見合った機 関システムの選択幅などを拡大(定款自治の拡充)、ならびに②会社経営の健全性確保のための各 種の規制の見直し(株主代表訴訟制度の合理化、内部統制システムの構築の義務化、会計参与制 度の創設、会計監査人の任意設置の範囲の拡大)を行った点が挙げられる。 次に③会社経営の機動性・柔軟性の向上を図った点が挙げられる。すなわち、株式会社の組織 再編行為や資金調達に係る規制の見直し、株主に対する利益の還元方法などの合理化を図るとと もに、取締役が萎縮して積極的な経営の障害にならないよう、取締役などの責任に関する規律の 合理化を図った点(組織再編行為の規制の見直しや株式・新株予約券・社債制度の改善、株主へ の利益還元方法の見直し、取締役の責任に関する規定の見直しなど)である。 本稿は、とりわけ上記③に関し、「企業再編行為など」(17年改正会社法第5編743条∼816条)が、 新会社法制の下で、どのように企業経営の機動性・柔軟性確保に用いられ得るか、更に一方で、 どのような弊害が生じ得るかについて、既存の事例を用いて基礎的な理解を確認するものである。 手法としては、まず、これらの制度の沿革及び改正の経緯にふれながらその意図を探り、地元沖 縄県でここ数年みられる企業再編の動きについて言及した後、とりわけ取引行為とされつつも企 業再編の機能を有する営業譲渡について、譲渡会社債権者の保護の問題や、社会に大きな波紋を 投げかけたいわゆる「ライブドア事件」の1事例や敵対的企業買収の問題について、若干の考察を 試みようとするものである。本稿は、拙稿「企業再編行為などの光と影」(沖縄大学法経学部紀要第9号、p23∼35所収)を 桟敷して、新たな事例や比較の視点を加えて若干の分析を試みるものである。 Ⅱ、組織再編法制の沿革及び改正の経緯 定款変更の制度は明治23年制定の旧商法から存在し、株式会社の合併に関する規定は、明治32 年制定の改正前商法で設けられ、昭和13年改正時に大幅に拡充された。それと同じくして事業の 譲渡.事業の全部の譲受けなどについても規定され、更に、有限会社法制定時に株式会社・有限 会社間の組織変更が認められ、平成17年制定の会社法で持分会社概念を導入した事に伴い、組織 変更は株式会社と持分会社間の行為となった。 いわゆるバブル崩壊(平成2年頃)以降の厳しい不況の下、企業グループ内での企業組織再編や グループ外への事業売却(取得側からすると買収)のニーズが増大し、他方、経済のグローバル 化・国際競争激化に伴い、金融機関をはじめとした企業の再編成も切望された。このような企業 経営の効率化・国際競争力アップを図る手段として、企業が柔軟に組織再編できる法制度の整備 が急努とされた。そこで、平成9年に独占禁止法で(純粋)持株会社が解禁になった他、改正前商 法においても、同年の合併法制度の合理化・簡素化に始まり、平成11年には既存の株式会社を完 全子会社化する株式交換・移転制度の導入、平成12年には会社分割制度の導入、簡易な営業全部 の譲り受けを認容、さらに平成13年6月には、自己株式の取得・保有・についての目的・数量・ 保有期間規制の撤廃(いわゆる金庫株の解禁)、株式単位について純資産額規制の廃止、同年11 月には強制転換条項付株式の導入、平成15年には、定款の授権に基づく取締役会決議による自己 株式買い受けの容認、平成16年には会社債権者保護手続の簡素化などが次々と行われた。 Ⅲ、企業再編行為の種類 1、まず、会社が単独で行う定款変更と組織変更がある。 ①、定款変更 不試算部門などから新規事業に変更して再出発する場面などでは定款変更(17年改正会社法、 以下「会社法」とする、466条)、すなわち定款所定の会社の事業「目的」(同法27条1号)を変更す る方法があり、株主総会特別決議(同法309条2項)により行われる。改正法で導入された持分会 社の分類内部での会社の種類(合名会社、合資会社、合同会社)の変更は、これにあたる。 ②、組織変更(会社法2条26号、743条∼) 会社の組織形態が事業形態に合わない場合などには、それに見合う組織に変更して再出発する、 組織変更(会社法2条26号、第5編1章、743∼747条)が用いられる。 これは会社が法人格の同一‘性を保持しつつ別の類型の会社になることをいい、株式会社と持株 会社(従来からの合名会社、合資会社の他、新設の合同会社を含む)間で行われる(持株会社間で 行われるときは、前述のように定款変更となる)。 この制度の利点は、現在の会社を解散させて新会社を設立する手間や費用が省ける事と、法人 としての同一性を維持したまま別の組織に移行するので、それまで会社が権利義務主体となって きた法律関係に形式的に変動を及ぼさない点である。また、雇用契約もそのまま維持できる利点 もある。しかしながらこの方法は、機関設計や株式・持分の譲渡の容易‘性・出資者の責任態様な − 1 2 −
沖 縄 大 学 法 経 学 部 紀 要 第 1 6 号 どに変更を生じるため、他方で、出資者および債権者の利害に影響する。そこで、組織変更に際 しては、計画内容などを株主や債権者に開示すること(会社法775条)、および総株主の同意(同 法776条1項)や総社員の同意(同法781条1項、但書で例外あり)が義務づけられている。 2,次に、2つ以上の会社(その行為に前後して片方が設立される場合も含む)によって行われ る組織再編行為としては、第5編の合併(会社法748条∼)、会社分割(同法757条∼)、株式交換・ 移転(同法767条∼)と、事業(営業)譲渡(同法第2編株式会社の467条∼)がある。他社との業 務提携や合弁で市場競争力を強化したり、開発費などのコストを抑えたい場合には、合併や会社 分割などの手段が考えられる。 ①、合併(会社法2条27∼28条) 合併とは2個以上の会社が契約によって合体し1個の会社になることをいう。この1つの会社 への合体には、当時会社の1つが存続し、他方の消滅会社を吸収する吸収合併(同法2条27号) と、当時会社の全てが消滅して新会社を設立する新設合併(同条28号)がある。合併の法的効果 として、解散する会社が清算手続を経ないで消滅しつつ(よって消滅会社にとっては解散の1場 面となる、同法271条4号)、社員の地位及び債権者・債務者に対する権利義務が包括的に存続会 社又は新設会社に承継される。この点が、後述する会社分割とは類似し、営業譲渡とは相違する 法的特徴である。合併の経済的効果としては、企業結合の最高形態として、競争回避、競争力強 化、経営合理化などが期待できる。 そして、後述する(Ⅲの3)対価の柔軟化(後述Ⅲの3)により、いわゆる三角合併が可能になっ た。すなわち上記三角合併で言えば、存続会社Bが、消滅会社Aに対して、B自身の株式ではな く、その有する親会社cの株式を対価として交付できるようになる。これにより、海外の親会社 が、日本国内に有する子会社を通じて、現金を用いず、自社株だけで日本企業を買収する事が可 能になった。 ②、会社分割(会社法2条29∼30号) 会社分割とは、1つの会社を2つ以上の会社に分けることをいい、既存の会社(承継会社)に承 継させる吸収分割(同法2条29号)と、新たに設立する会社(新設会社)に承継させる新設分割(同 株主総会特別決議要す (簡易分割除く) 事 業 r:f・すローngh r:f・すローngh 包括承継(権利義務) 図1分割会社の債権者の保護 個別の承諾までは要しないとされているが、会社債権者異議手続などが必要
条30号)の二類型ある。 会社分割の法的効果として、分割される営業部門や営業所などの事業に関して有する権利義務 の全部又は一部が新設会社又は承継会社に承継されるので、既存の会社が、会社(分割会社)自体 を存続させながら営業部門や営業所などの一部を切り離して独立の新会社としたり、または、各 営業部門を切り離して他の会社の営業部門と統合したい場合に用いられ得る。従って会社分割の 経済的効果としては、企業結合の一形態として、経営の効率化、合理化、競争力強化などが期待 できる。 ③、株式交換(会社法2条31号)および株式移転(同条32号) 株式交換とは株式会社(完全子会社となる会社)が発行済株式の全部を他の会社(完全親会社と なる会社)に取得させることをいう。完全子会社の株主は完全子会社の株式を失う反面、完全親会 社の株式を取得して完全親会社の株主となる。 株式移転とは1個又は2個以上の株式会社(完全子会社となる会社)が発行済株式の全部を新た に設立する株式会社(完全親会社となる会社)に取得させることをいう。完全親会社を設立する行 為である。完全子会社となった会社の株主は、株式が完全親会社に移転するため完全子会社の株 式を失う反面、完全親会社の株式を取得して完全親会社の株主となる。 改正前会社法では、株式交換に際して、債権者保護手続は不要とされていた。しかしながら、 後述のように、改正会社法では、対価が柔軟化したことに伴い、完全親会社となる会社の株式以 外の財産を交付する場合には、完全親会社となる会社において債権者保護手続が要求されること となった。 この制度は、前述Ⅱで述べた様に、持株会社の設立を容易にするため平成11年改正で導入され た制度であるが、後述の各事例に見られるように企業買収の手段としても利用可能なものである。 3,対価の柔軟化について 17年改正前商法下では、合併、分割、株式交換などの組織再編に際して消滅会社などの株主に 交付される対価は、原則として存続会社の株式で、金銭のみを交付することは認められなかった ため、国内外の産業界からは、多様な組織再編を可能とするための規制緩和の要望が強かった。 そこで改正会社法では、吸収合併、吸収分割、株式交換の場合に、消滅会社の株主に対して、「金 銭その他の財産を交付」することができるようになった。 しかし、そうなると少数株主がいわゆる締め出しに会う危‘倶があり、理由などの開示(会社法 782条など)のほか、対価の不十分性を正当に補償すべきとの考えから、いわゆるキャッシュアウ ト・マージャー(現金のみを対価とする吸収合併)の場合には、公示価格にとどまらず合併のシナ ジー効果まで担保すべき、とする傾向にある。 4,簡易組織再編行為について 株主総会決議が不要とされる簡易組織再編行為の要件は、改正前商法が存続会社などの発行株 式総数の5%以下を要求していたのに対し、改正会社法では、対価の柔軟化に伴い基準を改め 20%以下であればよいとして緩和されている(会社法468条2項)。機動‘性確保(前述I③)の現 れである。 5,略式組織再編制度について 一定の支配関係にあれば、被支配会社の株主総会決議がなくても組織再編し得ることになった − 1 4 − ー
沖縄大学法経学部紀要第16号 (同法784条1項本文、796条3項、468条1項)。 6,株式会社の事業譲渡について 事業譲渡とは、株式会社が「事業」を取引行為(特定承継)として他に譲渡する行為である’ 第5編の企業再編行為の他に、臨業譲渡」も含めて「組織再編行為など」として同様に議論され る。なぜなら、事業譲渡は本来取引行為ではあるものの、組織再編行為と同様の法効果や利害関 係人への配慮が必要になるからである。 17年改正前商法で「営業」としていたのを「事業」に改めているが、これは他の法人法制との整 合性をはかり、商号との関係を考慮したためで、規制の実質に変更はない、とされている2°従っ て、「事業の譲渡」(467条1項1号)とは、17年改正前商法245条における「営業譲渡」概念について の議論がそのままあてはまる。この点、争いはあるが、最高裁判例(最大判昭和40年9月22日)" は、商法総則(改正前商法25条以下)における「営業の譲渡」と同義であると解している。つまり、 一定の営業目的のため組織化され有機的一体として機能する財産(得意先など経済的価値のある 事実関係を含む)の全部または重要な一部を移転すること、と解されている。 これに対して、反対説は、改正前商法245条は、株主総会特別決議を要求することで譲渡会社 株主の利益保護を図る趣旨なので、判例のように解すると、競業避止義務を負わない営業譲渡で あれば、株主総会決議(17年改正商法309条2項11号)を経ないでも有効ということになってしま い、改正前245条の趣旨が没却されるとしている。 譲 渡 会 社 譲 受 会 社
= 岸
函
取引対象などについて当事 者間の契約で、自由に定める こ と が で き る の み も 可 営業の全部又は重要な一部の 譲渡に総会特別決議を要する。 図 2 Ⅳ、最近の沖縄における企業再編行為などの事例 1,会社分割を用いた事例 ①2007年3月、県内建設業大手の大米建設は、多角経営で悪化していた不採算部門を切り 離して収益力ある本業の建設部門のみに集中して事業再生を図るため、会社分割(吸収分割)を 行った。この事案では分割直後に吸収会社が大米建設の商号を引き継ぎ、社長は(分割会社の社 長が)留任したが、新経営陣でスタートした(琉球新報、2007年2月1日付)。 この事例では、正に、前述した会社分割の経済的効果である経営の効率化・合理化、競争力強 化が図られた。すなわち、得意(採算性がある)な分野の事業を切り離して別の会社に移す事で、 不採算部門に流出していた経営資源を中核事業に集中させて、事業を効率的に進める(事業再生 を促進する)事を可能にしたのである。とりわけ本事例では、商号も社長も引き継いでおり、営業の実態は極力残しながら、新経営陣により経営の刷新を図ったといえる。 ②貨物ターミナル運営管理事業と貨物運送事業を手がけていた大栄空輸は、国際貨物事業 の拡大に対応して会社を分割して新たにターミナル社を設立し、大栄空輸は貨物運送事業に特化 した(2009年10月21日付沖縄タイムス)。特定事業の拡大に対応して独立部門とするための会社 分割である。 ③以上のように、不採算部門、新製品開発部門や多角経営で身動きがとりにくい事業部門 等の独立の他、複数の会社の同じ部門どうしで合弁事業を作る、等の手段としても利用されるこ とが考えられる。 公共工事依存度が高いとされる沖縄県の建設業界は、公共投資減少のあおりで競争が激化する と共に、談合の取締強化による落札価格の低下が見込まれるので、このような組織再編行為など による機動力強化は、今後益々、事業再生の鍵となるであろう。 2,株式交換の事例 ①近年、沖縄県内の外資を含めたリゾート開発合戦は目覚ましく、都市型ホテルの「沖縄 都ホテル」も、厳しい競争の波にもまれている。同ホテルを経営する沖縄観光開発は、従来から株 主の大半が近畿日本鉄道(大阪市)の関連会社であったところ、更なる資金調達力強化、経営基盤 の安定化のため株式交換の手法により、近畿日本鉄道の100%子会社となった(2006年7月26日 付、9月30日付琉球新報)。経営基盤の強化およびチェーン・メリットの活用により、更なる競 争力強化が期待されるところである。このような、比較的経営基盤がしっかりしている早期の段 階で、企業系列化して事業を活‘性化する場合にも、株式交換は有効な手段となる。 ②屋部土建、前田産業ホテルズ、沖縄シャングリラ(不動産業)、万田建設、ゆがふバイオ テクノ(リサイクル業)の5社が、持株会社「ゆがふホールディングス」を発足させ、各社は持株 会社と株式交換・移転し、100%子会社となった(2009年10月1日付沖縄タイムス)。持株会社設 立により、業界の垣根を越えたグループ企業全体の人材・資源の活用、戦略立案や意思決定の迅 速化、財務などバックオフィス機能の構築が可能となる。 3,営業譲渡の事例その1 累積赤字に悩んでいたかりゆしグループ(那覇市)は、マリオットリゾート・かりゆしビーチ(名 護市)を、アメリカの投資会社ローンスター系列の会社に営業譲渡した(2006年3月15日付、琉 球新報)。まず、相手方(ローンスター系列のソラーレホテルアンドリゾーツの子会社ラグーンリ ゾート名護)とかりゆしは、50%ずつ出資して、かりゆしSHRオペレーションズというホテル運 営会社を設立し、かりゆしグループの社長が会長、相手方からは社長が就任し、従業員180名も 新会社へ出向という形での雇用承継、更に名称も維持された。 買い手の側は、すでに築かれた他社の営業基盤を譲り受け効率的に事業を開始することによっ て、コストパフォーマンスの高い新事業を展開でき、他方、売り手の側も、債務超過会社が破産 手続前に経済的価値が高い営業部分を有利な価格で譲渡して、債権者(従業員なども含む)に再配 分でき、社会全体としても雇用が継続され、事業譲渡の法律経済的意義が見事に調和した事例と 言えるであろう。 4、営業譲渡の事例その2(旧琉球バス株式会社の事例) 経営破綻から10年あまりの歳月をかけて再建を目指したが上手くいかず、最終的に事業譲渡に − 1 6 − 、 ■
沖縄大学法経学部紀要第16号 こぎつけた事例である。以下、旧琉球バス破綻から終結(破産)までの道のりを追って分析する。 ①旧琉球バス、法的会社整理申請(1994年2月23日付、琉球新報)にみる問題の所在 (社会経済的背景): 県民の公共交通機関として路線を維持する重要‘性はあるが、道路事‘清の悪さによる遅延 やマイカーの普及で利用者が遠のき、不採算路線の増加で旧琉球バスは‘慢性的な赤字体質 (累積赤字110億∼115億円)となっていた。 また、従業員986人は、総人口138万人余りの本県において約0.7%にも達するため、雇 用の継続や(退職)従業員への支払い確保は、県民経済に大きく関わる関心事だった。 (法技術的特‘性): 会社整理は、破産と違い清算ではなく再建を目指すもので、担保権の行使は禁止される が、全債権者の同意が必要、会社更生法と違い管財人は立てず経営者(但し管理人に管理 権が移ることもある)が再建にあたる、という特性を持っていた。 ②裁判所による整理決定(1995年2月22日付け、琉球新報)。以降、経営陣側が再建計画案 を出すも、全債権者の同意(とりわけ従業員や退職者の合意)を得ることは極めて困難で あった。 ③那覇地裁が民事再生法(1999年制定)適用申請を正式に受理(2005年5月19日付、琉球新報) ④労組を交えた水面下の営業譲渡先交渉が沖東交通との間で基本合意の見通し(2006年4月 26日付、琉球新報) ⑤元従業員による退職金回収を目的としたバスの差押え(5月2日)、その後の競売が営業譲 渡へ与える影響が懸念される ⑥会社による従業員への説明会(従業員全員解雇後に希望者を再雇用、独立行政法人労働者 健康福祉機構の未払い賃金立替払制度の利用)(2006年5月30日付、琉球新報) ⑦那覇地裁、民事再生手続において、第一交通産業の100%子会社である琉球バス交通への 営業譲渡を許可(2006年6月25日付、琉球新報、決定は22日) ⑧乗合と貸し切り事業の営業譲渡に関する正式契約を締結(2006年7月6日付、琉球新報)。 同社の最大労組も、譲渡を受け入れた上で労働条件面の協議を続ける方針を決定。 ⑨新会社疏球バス交通株式会社」譲り受けた営業を開始(2006年9月1日付、琉球新報) ⑩那覇地裁が民事再生手続の廃止を決定、同時に破産手続を開始(2006年9月7日付、琉球 新報 (考察) この事案は、沖縄県における公共旅客輸送機関の統合問題に至り得る大型倒産(多くの債権者、 とりわけ多額の未払い賃金債権や退職金請求権を有していた従業員)で、県民経済全体に波及する 問題であった点である。 債務は承継せずに、財産的価値のある営業財産のみを、企業価値が目減りし費用もかさむ破産 前において、より高額かつ機動的に換価できた点である。債務超過の譲渡会社による営業譲渡場 面では、利害関係人の調整も、平常時とは異なる。会社は配当財源から破産管財人の報酬分がひ かれず、会社債権者にも利益であるし、譲渡会社株主としても、破産してしまってからでは残余 財産がなく分配がもらえない以上、反対する機会の保障はさして重要ではない。このようなこと
から、株主総会決議(会社法467条1項2号)に代わる裁判所の許可(民事再生法42条1項)の運 用としても、その営業譲渡が「事業の再生に必要である」(債権者の為により高率で早期の弁済に 資しひいては会社の再生につながる)のであれば、殆ど許可しているようである。経営陣の刷新等 を巡り、労使対立が非常に激しいかった点は、バスの差押え訴訟、破産後の否認、などに火種を 残し、未だに円満な解決には至っていないようである。 V,営業譲渡における債権者保護と会社分割における債権者保護 1,問題の所在 会社分割により移転されずに残る債務については債務者の変更はないが、債権の引き当てとな る会社財産は変動する。従って、法は、合併の場合と同様、債権者異議制度を設けている(会社 法789条1項2項、799条1項2項、810条1項2項)。異議を述べた債権者には、弁済・担保提供・ 弁済用材産の信託のいずれかをしなければならないが、会社を分割してもその債権者を害するお それが無い場合は、そのような対応は不要とされている(789条5項、799条5項、810条5項)。 事業譲渡には上記のような債権者保護制度が設けられておらず(①)、他方で第三者である譲受 会社に22条1項のような責任が課されている(②とする)ことをどう理解するか。 ①について そもそも取引法上の契約(個別承継)にすぎない営業譲渡では4,譲渡対象とされない債務につ いては、譲渡会社が依然として債務を負うので、従前の債務者が消滅するような包括承継での前 述のような債権者保護手続は必要ない、と解されてきた。 すなわち点、債務者の交代もなく譲渡対価を得ている譲渡会社の総資産の収支は増減しないの で、譲渡会社債権者の保護に欠けるところはないからである、と一般的には説明されている5・し かし、会社債権者の唯一の引当てとなる会社財産の中から営業にとって重要な財産が不相当な対 価で流出してしまえば、現実には債権の満足が得られない虞も生じ得る。 また、会社債権者としては、有機的一体となって機能する会社財産の生み出す将来の稼働利益 をも見込んで引き当て財産の価値を評価することも少なからずあり、事業譲渡により生産手段が 流出してしまうと将来の稼働利益への期待が害されるのではないだろうか。また、金銭という対 価には費消されやすいという不安も生じ得る。すなわち、債務の引き当てとなる会社財産が実質 的には変動するものと解される。 そうであるのなら、会社財産の変動に連動して要請される債権者保護の点で、企業分割など他 の事業再編行為と変わるところはないので、立法論的には、営業譲渡においても、譲渡会社債権 者に、会社分割や合併の場合におけるような異議を述べる機会などを保障することが望まれるの ではないだろうか?6。
更に、組織再編行為における対価の柔軟化が組織法的行為と取引法的行為の峻別を暖昧なもの
としていることからも、各々の手続や法規制がより接近化してもよいのではないか、と考える (もっとも、それでは峻別のメリットが逆に半減してしまう、との指摘が聞こえてきそうである が)。この問題は会社存続中におけるものだが、このような解釈の方向性は、出資段階における現 物出資行為と同様の法規制に服する設立時の取引行為である財産引受との関係(改正法28条1号 2号)に照らしても、また改正会社法が更に押し進めた経済的社会的実態に合わせた法規制の在り − 1 8 −沖縄大学法経学部紀要第16号 方の模索という傾向にも沿うものと考える。 ②について 1のような債権者保護手続の不十分性を補うべくしてか、22条1項が存在する。 一般に、同条項は、取引における第三者保護規定と位置づけられている7が、単純にそう言い切 れるであろうか?8. 私見としては、22条1項は、「商号続用」という要件を充たしているがために、包括承継に近い法 律関係が形成されている場合について、包括承継に類する関係を規定している、というような評 価が可能なのではないかと考える(除斥期間にかかるまでは重畳的な債務承継という点で、厳密 には包括承継とは異なっているが)。なぜなら、譲受会社の「商号続用」という要件は、商号を引 き継いで営業活動を継続すれば、合併や会社分割にみられるのと同様な人格の承継(営業主体の 同一性)が推認されることを示したものと解されるからである。 そして、22条が債務全額についての法定弁済責任である、という重い効果に照らすと、落ち度の 少ない営業譲受人に単に資力があるからといって硬直的に同条の適否を検討するのではなく、立 法論的には、合併や会社分割の場合の異議申述権制度のように、承継の前段階において、本来の 債務者である譲渡会社への関与を認めていくことが望ましいのではないだろうか?9確かに、社会 に有用な有機的一体となった営業財産を、重債務の拘束から解き放てば事業は再生するであろ う。しかしながら、破産法制の分野ではなく、私的自治の原則の下、互いに経済活動を指向する 私人間を規律する商法の分野においては、22条1項は、抜け駆け的な営業譲渡による債権者の犠牲 の下に、企業の再生を応援する趣旨とは解されないからである'0。 Ⅵ、一連のライブドア事件の中から「自社・グループ社株の売り抜け」事例について 1,本稿でこの事件を取り上げるのは、そこでの企業買収(図3はグループ企業を用いて行っ た事例)が、前述の株式交換により行われたものだったからである。 2,2005年1月13日、ライブドア社幹部逮捕の容疑は、その子会社であるバリュー社の株価を つり上げるため、既にライブドアグループ傘下にあったマネー社を、あたかもこれから買収する かのように装ってした発表が、「偽計、虚偽の風説の流布」に該たり、旧有価証券取引法違反にな るというものであった。なぜ、当初、グループ傘下であることを隠せたかというと、投資事業組 合'1を介在させたからだ。このVLMA2号という名の投資事業組合は、所謂、投資フアンドの 一種だが、出資者らを登記する必要のない民法上の組合(民法667条)の法形式を採っているため、 会社と違って外部からはその実態がわかりにくいからだ。 (考察) 確かにそこで行われた株式交換そのものは、違法なものではない。しかしながら、当初から自 社株の売り抜け目的でその一環として行われた場合には、もはや法的保障の範囲を逸脱してはい ないだろうか? そもそも、企業再編の機動性を確保すべく進められた一連の改正も、会社法の原理とも言うべ き企業維持の理念'2を前提としていると解される。「企業維持の理念」とは、経済的に無意味な企業 解体を防ぎ、永続する営利活動により企業ひいては社会公共の利益を意図するものである。そう であるならば、本来そこに予定されている企業の営利活動とは、モノやサービスなどの経済的価
値に裏打ちされた実体のある、いわば実業であって、違法な市場操作などによるマネーゲーム、 いわば虚業であるべきではない。なぜなら、実体があって価値が社会を循環して更なる利益を生 むからこそ、永続的営利追求が可能で、法の厚い保障の必要性が認められるからである。 -.--▲株式市場で株売却 ロ ■ ■ ■ 0 ■ ■ ■ ■ ● ■ ■ ■ ■ 0 口 ■ ● ■ ■ ■ ■ g ■ ■ ■ ■ 8 ー ■ ■ ● ■ ■ ■ 0 口 ■ ■ g ‐ ■ ■ ■ ‐ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ● ロ ー g ■ ■ ■ ■ ■ ロ ロ ▼ ラ イ ブ ド ア 社
投資組合
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畷 鐸 婆瞳 傘 下 バ リ ュ ー 社 株 マネーライフ社 マネー社株 L--...-..-...口-.,-=・ロ一一一...一-....口−.ロ.ロ.、一一−-...…。....‐一一一一J一資金の流れ∼、 、/、 、 、ライブドアグループ社株
=>株式の移動..。.・・・−...,・・その株の売却益の環流
図3企業買収(企業を用いて) Ⅶ、結びにかえて 日本本土、とりわけ首都圏では、大企業を中心とした再生が進みつつあるようである。しかし、 沖縄では、公共工事の減少、談合問題への規制により、建設業界はまだまだ厳しい状況下にあ鼎 沖縄では、公共工事の減少、談合問題への規制により、建設業界はまだまだ厳しい状況下にある と聞く。観光は好調とはいえ、ホテル業などにおいては、設備投資や維持コストの高さ、外資参 入などによる競争激化で、生き残りのための取捨選択が益々、必要とされてくるであろう。その ような沖縄企業の実態を考えると、現金を用いない事業再編や部門ごとの事業再編、業務提携を 機動的に行う余地が広がった今回の改正会社法は、より有用なものとなるであろう、と感ずる。 例えば、不採算部門とはいえ、初期投資等でかなりの施設設備が残っているのが通常なので、こ れらの資産を殴損せずにより高く売って対価を得たい場合には、事業譲渡や会社分割の方法が考 − 2 0 −∼ 沖 縄 大 学 法 経 学 部 紀 要 第 1 6 号 えられる。そのうち、権利義務を個別に選定して移転させたければ、特定承継である営業譲渡の 方法を、逆にそれでは個別に債権者の同意を得る手続などが煩わしい場合には、包括承継たる会 社分割や合併の方法を選択することになる。裁判所関与の手続き下では、総会特別決議などに代 わる許可があったこと(前述Ⅳ4)も、留意したい点である。また、他社との業務提携や合弁で市 場競争力を強化したり、開発費などのコストを抑えたい場合には、合併や、会社分割などが考え られる。企業グループであれば、完全子会社を介して、自社株のみを用い、他社を傘下に収める といった再編も可能となった。 1つだけ提案のようなものを試みるとすれば企業経営の機動性確保と緊張関係に立つ場合の
会社債権者や株主など利害関係人との調整、とりわけ、営業譲渡にも組織再編行為の債権者保護
規定(会社法789条1項∼5項)のような保護規定の整備が必要ではないか、という点であった。 以上は、企業再編行為などの効用、いわば「光」の部分に関する話といえよう。 しかしながら、いかなる法理論も、道具としての、思いもよらない影の部分が存在し得る。 前述のように、投資組合の隠れ蓑を着て株式交換し、買収先(子会社)から環流させた自社株で 儲け、旧証券取引法などの抜け穴をくぐりながら派手なパフォーマンスで株価をつり上げつつ、桁外れの株式分割'3で証券市場に蜘妹の子を散らしてがっぽり設ける、といったマネーゲームに
興じる輩も登場した。 他方で平成9年の持株会社解禁に端を発した外資参入の黒船は、平成11年の株式交換移転制度 の追い風を受け、平成17年改正法、(対価の柔軟化による)三角合併解禁で、とうとう本土上陸を 果たした。企業再編行為などの影の部分として最も重要視されているのは専ら企業を解体し売 りさばいて儲ける事を目的とするような敵対的企業買収の問題である。 そして、一見するとこれらの事象は別々のもののように思われるが、いずれも、新たな企業価 値を生む事を目的とせずに手っ取り早く稼ぐことを旨とした、いわゆる「金融資本主義」'4が背後 にある。 思うに、戦後日本の経済発展の牽引力の大きな柱の1つは、製造業の技術開発力だったと言え るであろう。自動車、半導体、各種電化製品、それらを支える下請の部品製造業等々、大企業か ら町工場に至るまで、技術開発により次々と製品に付加価値をつけることで、市場競争力を高 め、世界中の人々の生活に役立ちながら繁栄を築いてきた。そして、商法改正以前は、法制度面 においても敵対的企業買収が入り込む余地は少なかった…。だが事前規制から事後規制への転換 が唱えられ、防衛策が未整備なままで、規制緩和だけが一人歩きしたのでは、金融資本主義の波 に呑まれて、日本の大企業の活力はそがれ、その痛手は下請などの中小企業へ、そしてそれぞれ の働き手が養う家族へ、社会全体へと伝搬し、社会全体にもたらす損失は計り知れない。潤沢な 国家予算があれば、個別の救済は幾分可能であろう。しかしながら、大高齢化時代が迫り来ると いうのに、身銭を切って御上に預けた老後の蓄えさえ、証文が紛失するわ、金庫番に持ち逃げさ れるわ、では甚だ心許ない。 本格的に来てしまってからでは遅いという危機感から、早期に防衛策の法整備をすべきであろ う。 この点、そもそも株式を公開しないという極めて原始的かつ有効な手段も考えられ、実際、世 界に名だたる企業の中にも、創業者一族が安定株主となって会社のアイデンテイテイーを保持している例もある。しかしながら、株式市場から大規模な資金調達をする必要‘性も否めないので、 株式公開の利便‘性は維持しつつ、いかにして敵対的企業買収を防衛すべきかについて、若干検討 したい。 具体的な対抗策としてまず成すべきことは、敵対的買収の標的になり易い原因を見極めて、そ れを除去していくことである。すなわち、日本企業が外資の買収目標となり易いのは、その手持 ち資産の大きさの割に、欧米企業に比べて株価が低いため、少ない買収資金で大きな収穫を得ら れ易い(三角合併で親会社株式を使える場合は特にその傾向が強くなる)からである(もっとも最 近の急激な円高は、その傾向に一定のブレーキをかける結果となっているだろう)。とすれば、標 的となりにくくする為には、その逆、すなわち株価を高めて買収資金(株式時価総額)を増大させ ると共に、手持ち資産を、企業の設備投資や安定株主確保のための株主への還元、といった再投 資に有効に用いる、などの防衛策が考えられる。
次に、会社法上の対抗策としては、新株予約権制度(会社法2条21号)を米国のポイズンピル15
のように活用する事が考えられる。しかし、取締役会の決議のみで1日で導入可能な米国型に比 べ、株主総会における特別決議が必要なわが国では、未だ機動的な対応策とは成りにくい。また、 米国のように取締役の任期を1年ずつずらして、買収側がボード(取締役会)の過半数を獲得する 時期をできるだけ先送りする手法も考えられるが、そもそも取締役の任期が2年と短い(委員会 設置会社では1年)わが国では、その実益に乏しい。そこで、敵対的買収の際にリストラされる事 が多い従業員から構成される持株会に、安定株主としての協力を仰ぐことが考えられる。この点、 資金の獲得が今後の課題だが、自社株取得が解禁された現行法の下では、もはや会社からの奨励 金支給の程度について自主規制する必然性はなくなった点、更に、会社としても、同じ防衛資金 を投じるなら、同時に従業員の士気向上による業績拡大も期待でき一石二鳥である点から、今後 益々その機能強化が望まれると解される。 また、会社法上の対抗策にとどまらず、税法や会計規則(準則)といった周辺の法整備も連動し て行われる必要があるであろう。 更に、米国ではこのような法整備に加え、エンロン事件後の2002年には、SEC(証券取引委 員会)の傘下に新独立監視機関を設置する「サーベンスオックスレー法」(Sarbanes-OxleyActof 2002)"を成立させている。法の潜脱は後を絶たず、イタチごっこで後手にまわるより、確実な第 三者チェック機構をライフガードとして用意しておくことを、わが国でも検討すべきではないか と思われる。 要参考文献 l神田秀樹「会社法〔第13版〕」、弘文堂、2011年 2丸山秀平「会社法〔第9版〕」、中央大学通信教育部、2007年 3江頭憲治郎「株式会社法〔第2胴」、有斐閣、2008年 4加美和照「新訂会社法(第9版)」、到草書房、2007年 5奥島孝康他編著「倒産法学の軌跡と展望」、成文堂、2001年 6山下員弘「会社営業譲渡の法理」、信山社、1997年 7弥永真生「リーガルマインド会社法(第10版)」、有斐閣、2006年 − 2 2 −沖縄大学法経学部紀要第16号 8太田洋他編著「敵対的M&A対応の最先端−その理論と実務一」、商事法務、2005年 9宮島司「企業結合法の論理」、弘文堂、1989年 沖 縄 大 学 法 経 学 部 非 常 勤 講 師 前掲3,d858 前掲1,p309神田秀樹「会社法」第9版、弘文堂、d295「個人商人は複数の営業を有し営 業毎に複数の商号を有することができるが会社は全体として1つの商号しか有することがで きない」からとされる。 民集19巻6号P1600 前掲3、p858 鈴木千佳子『営業譲渡と商号の続用』「商法総則商行為判例百選〔第5版]JP42∼、有斐閣、 2008年 拙稿「営業譲渡における譲渡会社債権者の保護について∼旧琉球バスの事例と1つの手が かりとして∼」沖縄大学法経学部紀要第13号p25∼36所収、2009年11月 鴻常夫『商法総則〔新訂第5版]JP149,1999年、最判昭和47年3月2日(最高裁判所民事 判例集26巻2号、Pl83)、大隈健一郎『商法総則〔新版]JP317∼、1978 前掲9,P228落合誠一、神田秀樹、近藤光男編『会社法〔第7版補訂版)JP24,2008.同 書によると「債権者である譲渡会社が危機的状況にあるときは、その債権者、債務者である 譲渡会社、譲渡会社の三社による公平かつ建設的協議を誘導するための規定と理解すべきで ある」とされている。同様のものとして、浜田道代『判例研究』判例評論207号、p30 山下員弘『判例評紬商事法務1497号(1998年)、p41 前掲注6拙稿 前掲注8の浜田論文、山下論文参照。 機関投資家らによる投資組合が日本で用いられ始められた1980年代当初は技術力はあるが資 金力のないベンチャー企業に出資していたが、2000年以降はM&Aで利用されるケースが急 増。 前掲4,P2∼ 既存の発行済み株式を細分化して、従来よりも多数の株式とすることをいう会社法183条1 項。 金融システムは、巨大なカジノのようであり、金融世界を支配する不確実』性が、個人、政 府、国、国家関係に影響している、とする考え方。池尾和人「現代の金融入門〔新版〕」筑摩 書房、2010年参照 1982年に米国で開発、判例法下で是認され現在米国企業の役6割が採用。敵対的買収者が予 め定めた基準まで買い占めると他の既存株主が一斉に新株予約権のようなライツを行使して (敵対的買収者だけは行使できない)買収者の持株割合を下落させ、買収コストを跳ね上げる 事で、敵対的買収を阻止する手法。但し、一定の場合、取締役会に償却義務を課してバラン スを確保している。
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345
6 7 89皿、
2311
14 1516 エンロン事件、ワールドコム事件はいずれも内部告発によって経営者と監督者との癒着が発 覚し、デイスクロージヤーの内容が不正であることが判明した。そこで、経営者と監督者と を分離させ、会社のガバナンスを強化することと市場に開示される情報の真実性を確保する ことを目的として、サーベンス・オックスレー法が制定された。そのため、サーベンス・オッ クスレー法は、SEC(米国証券取引委員会)が証券取引所に対して、監査委員会を設置して いない企業が上場することを禁止するように命令する権限を与えている。また、独立取締役 を半数以上おくことで、取締役会を、経営CEOから独立させることを規定している。 − 2 4 −