香港における生涯学習
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(2) 生 涯 学 習 の 便 とな る よ うに 試 み る とい う。 教 育 統 籌 局 長 羅范 椒 芬 は 、 政 府 に よ る投 資 額 を減 額 す る 意 思 は な い が 、 資 金 を 有 効 に運 用 して ほ しい と強 調した 」 と書 い て い る。 単 な る職 業 訓練 を 目 的 とす る の で は な く、 職 業 訓練 機 構 を整 備 す る こ とに よ り生 涯 学 習 の 成 果 が 外 部 に 評 価 され る よ う改 善 され つ つ あ る。 つ ま り今 後 は 単 な る労 働 者 育 成 の た め の 職 業 教 育 で は な く、 個 人 の ラ イ フ ス タ イ ル とキ ャ リア ・ア ップ をバ ッ ク ア ッ プ して い く生 涯 学 習 が 望 ま れ て い る。 そ こ で 本 論 文 で は 香 港 に お け る 生 涯 学 習 を こ こ20年 間 の 新 聞 記 事 等 を 活 用 し、 具 体 的 に 香 港 の 現 代 史 との 関 連 の 中 で どの よ うに 変 化 を 遂 げ て き た の か を 明 らか に す る。 これ に よ っ て 香 港 独 自 の 生 涯 学 習 像 が 見 え て く る と考 え る。. 1.80年. 代の 生涯 学習. 政 府 の 施 策 と立 法 局 議 員 1981年 人 口統 計 調 査 で は20下65才 の 成 人 人口 が318万5,128名(67.3%)、 を受 け た こ とが な く、37.72%が. そ の う ち12.91%が. 教育. 小 学 程 度 で 、 これ は 成 人 人 口 の 約 半 数 で あ っ た4)。 生 涯 学 習 関. 係 者 は彼 らに 書 写 、 閲 読 、 計 算 な ど の 学 習 の 手 助 け をす べ き だ と提 言 した 。 ま た 小 学校 卒 業 後 、 経 済 的 な理 由 、 そ の 他 の 原 因 で ま だ 中 学 を 終 え て い な い 者 に成 人 夜 中 学 、 継 続 中 学 課 程 で学 ば せ 、 資 格 証 書 を 与 え る こ と を認 可 す べ き だ と提 唱 され た 。 80年 代 香 港 で は 、 立 法 局 議 員(日. 本 の 国 会 議 員 に 相 当)が 、 生 涯 学 習 に つ い て 抜 本 的 な改 革 案. を提 示 し、 さ ま ざ ま な 生 涯 学 習 政 策 が 模 索 され た。 この 時 期 の 生 涯 学 習 関連 機 関 と して は 、 立 法 局 議 員 何 錦 輝 が83年 第20回 成 人 教 育 研 討 会 で 建 議 し、 政 府 及 び 非 政 府 専 門家 で組 織 され た 成 人 教 育諮詢 会 が あ っ た。 成 人 教 育 諮詢 会 とは 、① 生 涯 学 習 の 発 展 に意 見 を提 出 す る、 ② 設 置 基 準 に 合 致 した 団 体 に意 見 を 出 す 、 政 治 教 育 教 員 養 成 の 訓 練 、 教 材 、 そ の他 設 備 に 意 見 を 出 す もの で あ っ た 。 そ の 後87年 、 何 錦 輝 議 員 は 、 政 府 内 に公 開 教 育 委 員 会 を設 立 す べ き だ と した5)。 何 議 員 は委 員 会 が 総 合 的 な 生 涯 学 習 課 程 、 教 員 養 成 、 学 習 教 材 、施 設 の 提 供 な ど をす べ き だ と した。 つ ま りそ れ ま で の 委 員 会 で は 、 正 規 の 政 府 の 生 涯 学 習 機 関 と して何 らか の 実 験 を 握 る の で は な く、 単 な る 生 涯 学 習 機 関 の 寄 り合 い 的 団 体 に 過 ぎ な か った 。 そ こ で 政 府 は 既 に 教 育 政 策 と して 採 用 され て い る 教 育 機 関 評 価 方 法 を用 い る か 、 あ る い は 近 い うち に成 立 予 定 の 香 港 学 歴 評 審 局(資 歴 認 可 機 構)で 生 涯 学 習 機 関 の 教 育 の 質 を確 保 す べ き だ提 案 され た。 そ の 一 方 で 李 汝 大 議 員 は 公 開 教 育 、 生 涯 学 習 に 賛 成 しな が ら も、 第 一 段 階 で は公 開教 育 聯 合 機 構 の 成 立 を促 進 し、 生 涯 学 習 機 関 の 寄 る辺 とな る団 体 の 設 置 と早 期 に 教 育 機 関 数 ・学 生数 を拡 大 す る必 要 性 を 述 べ て い る。 ま た 寥 烈 科 議 員 は 、 米 国 で 広 範 に行 わ れ て い る 方 法 を 用 い て 、 具 体 的 に は い くつ か の 社 区(地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ)で 成 人 に 学 ぶ 場 を提 供 す べ きだ と した。.
(3) 鐘 浦 林 議 員 は 、 高 等 教 育 の 生 涯 学 習 機 会 の 提 供 拡 大 を願 い 、 大 学 程 度 の 生 涯 学 習 の 整 備 を強 調 し、 生 涯 学 習 で 重 要 な の は 正 規 の 大 学 卒 業 の 学 歴 と生 涯 学 習 修 了者 を平 等 に し、 職 の 待 遇 も 完 全 に 同 じ とす べ き こ とだ と した。 こ の よ うに 当 時 の議 員 の 主 張 は① 政 府 内 に 生 涯 学 習 関 連 機 関 を設 け る こ と、② 高 等 教 育 機 関 に お け る生 涯 学 習機 会 の 提 供 と修 了 資 格 の 社 会 的 認 知 を 訴 え る も の で あ っ た 。 そ れ で は 政 府 の 施 策 は ど うで あ っ た の だ ろ うか。 ま た それ に対 す る 生 涯 学 習 機 関 の 反 応 は ど う で あ っ た の だ ろ うか 。 こ の 時 期 、10数 の 生 涯 学 習 団 体 が 開 設 され 、 教 育 署 成 人 教 育 組 は そ れ らに 対 して 社 会 福 利 署 (日本 の 厚 生 労働 省 に 相 当)と 遜 色 な い 援 助 計 画 を 提 出 した6)。10数 の 生 涯 学 習 機 構 は 会 議 を 開 き 、 最 近 行 な わ れ て い る教 育 署 の 「7年 成 人 教 育 資 助 計 画 」 の 進 行 を検 討 し、 当局 に 多 く の 建 議 を報 告 した 。 建 議 書 で は 、 社 会 福 利 署 の 援 助 に 比 べ て 教 育 署 の援 助 は 少 な い た め教 育 機 関 の 発 展 を 制 約 して お り、 社 会 の需 要 を満 た して い な い と指 摘 して い る。 ま た 政 府 は 民 間 の 生 涯 学 習 機 関 を 保 護 せ ず 、 各 活 動 と教 育 課 程 の統 一 を 強 く求 め る な ど民 間 の 機 関 に は厳 しす ぎ る施 策 で 柔 軟 な 対 応 が で き て い な い と批 判 した 。 と く に成 人 教 育 協会 秘 書 の 張 民炳 は 、 当 局 は 社 区 セ ン タ ー を建 設 す る と き 、 同時 に 生 涯 学 習 の 用 途 を考 慮 す べ き だ と して 、 生 涯 学 習 が 視 野 に 入 っ て い な い 政 府 の 地 域 政 策 を非 難 し、 近 い う ち に 公 開 教 育 聯 合 機 構 を成 立 させ 、 各 教 育 機 関 の 水 準 は 学 歴 評 審(審 査)委 員 が 審 査 す れ ば 人 材 の 浪 費 が な い と した 。 そ の た め 教 育 署 は 各 社 団 、 社 区 セ ン タ ー で積 極 的 生 涯 学 習 を行 う こ とに した 。 ま た 香 港 成 人 教 育 協 会 秘 書 張 民 柄 は 、 『教 育 統 簿 会 第 二 号 報 告 書 』(政 府 刊 行 の 教 育 白書 に 相 当)で 民 間 生 涯 学 習 機 関 の 社 会 的 貢 献 及 び そ の 価 値 を述 べ 、 当局 が 教 育 課 程 に 基 づ き 、 これ ら機 関 の 課 程 を承 認 す る こ とを 望 ん だ7)。 第 二 号 報 告 書 で は 、 多 くの 民 間 生 涯 学 習 機 関 は 無 視 され た こ とか ら、 水 準 に 足 る民 間 教 育 機 関 を 認 可 し補 助 す る よ う希 望 した の で あ る。 第 二 号 報 告 書 に つ い て は12名 の 立 法 局 議 員 も発 言 して お り、 そ の 中 で 多 か っ た の は 、 生 涯 学 習 問 題 に 関 す る指 摘 で あ っ た。 中 学 卒 業 か ら修 士 課 程 ま で 体 系 的 に 生 涯 学 習 政 策 を行 い 、 教 育 課 程 は 遠 距 離 学 習 を 採 用 す る な ど斬 新 な 方 策 が 提 案 され た8)。 この よ うに 香 港 全 土 で 生 涯 学 習 へ の 関 心 が 高 ま っ て い る 中 、 教 員 の 不 足 は 深 刻 な 問題 で あ っ た 。 そ の た め 、 教 育 署 成 人 教 育 組 は1986ー87年 度 各 課 程 の 夜 間 兼 職 教 師 を 正 式 に 招 聘 し、 有 資 格 で 教 授 能 力 が あ り専 門 的 な経 験 が あ る者 、 及 び 有 志 の 申 請 を始 め た9)。 成 人 教 育 組 が 開 設 す る 課 程 ば 、 中 文 夜 学 校 、 教 師 進 修 班 、 英 文 専 修 班 、 官 立 夜 間 中 学 、 官 立 成 人 夜 間 中学 、 成 人 実 科 教 育 班 、 成 人 普 通 教 育 班 及 び 成 人 教 育 娯 楽 セ ン ター 等 で あ っ た 。 教 師 は 「 合 格 教 師3、 つ ま り教 育 証 あ る い は 教 育 学 院 高級 資 訓 練 課 程 証 書 を持 つ 者 を優 先 した 。 ま た 香 港 の2大 学(香 港 大 学 、 香 港 中 文 大 学)の. 卒 業 生 は 申 請 が 可 能 で 、 学 位 を得 た の ち雇 用 され た 。 実 科 教 育 の う ち調 理 、 木 工 班 は 専 門. 訓 練 を経 て 「 合 格 教 師 」 と な っ た 者 、 あ る い は 専 門 的 な 研 究 、 教 育 経 験 が あ る者 を募 集 した 。.
(4) 成 人 教 育 娯 楽 セ ン タ ー は 、 中 学 卒 業 、 あ る い は 同 等 程 度 の 学 歴 で 、 当該 科 目 に長 け た 者 で 、 現 在 教 師 、 ま た は組 織 で 娯 楽 活 動 、 社 区 工 作 経 験 者 を優 先 す る と した。 報 酬 は 、1時. 間 ご と に官 立 中 文 夜 学 院 、 教 師 進 修 班 及 び 英 文 専 修 班 の 教 育 証 、 英 文 班 は130香. 港 ドル(約2000円)、. 中 学 課 程 は110香 港 ドル 、 成 人 普 通 教 育 班 、 成 人 実 科 教 育 班 、 英 文 専 修 班 小. 学 課 程 は80香 港 ドル 、成 人 教 育 娯 楽 セ ン タ ー は70香 港 ドル と給 与 の優 遇 政 策 を取 る な ど、 少 しず つ 政 府 も生 涯 学 習 政 策 に 重 い腰 を 上 げ る よ うに な っ た 。 特 に英 文 専 修 班 の 教 師 の報 酬 が 高 い の は 、 貿 易 立 国 と して の 政 策 が 反 映 され た も の で あ っ た 。 教 育 署 教 育 統 籌 司 黄 星 華 が 立 法 局 会 議 で 香 港 成 人 教 育 課 程 在 籍者 は5万3,000名. で 、人 々 は教 育. 署 に継 続 して 英 語 課 程 方 面 を 充 実 させ る よ う要 望 して い る と述 べ て い る10)。. 職 業 訓 練 局 に よ る生 涯 学 習 そ れ で は70年 代 ま で 単 純 労 働 者 を輩 出 した職 業 教 育 は 、80年 代 香 港 の 生 涯 学 習 政 策 に どの よ う な 影 響 を 与 え た の だ ろ うか。 職 業 訓 練 局 管 轄 下 の8工 業 学 院 は技 術 員 、 技 工 に 教 育 を提 供 して い る11)。技 術 員 課 程 の 最 低 入 学 資 格 は 香 港 中 学 会 考4あ. るい は5科E級. 以 上 の 成 績 で 、 技 工 課 程 は 中 学 卒 業 程 度 で あ る。 つ ま. り在 職 者 と 中 学 卒 業 後 高 校 に進 学 せ ず 工 業 学 院 に進 学 す る者 の 両 者 を 教 育 して い るの で あ る。 教 育 及 び 人 力 統 籌 司(政 府 機 関)は 、 工 業 教 育 が 香 港 教 育 制 度 の なか で き わ め て 重 要 な 地位 を 占 め る と述 べ た12)。 しか し工 業 教 育 は 単 に香港 の 人 材 を養 成 す る だ け で な く 、 学 生 の 興 味 と才 能 を 発 展 させ る こ と で もあ る と強 調 した 。 過 去 、 多 くの 人 は 、 工 業 教 育 は 伝 統 的 な 学 業 に劣 る も の だ と 思 っ て い た。 一 般 の 学 生 ・父 兄 は 成 績 が 悪 く 、 品 行 が 悪 い 場 合 、職 業 訓 練 局 管 轄 の 工 業 学 院 に 入 学 す る も の だ と考 え て い る13)。中 学 校 段 階 で 淘 汰 さ れ て 工 業 学 院 に 入 学 す る者 は そ の ほ か の 進 路 選 択 が で き な い こ と も事 実 で あ る。 理 由 は 簡 単 で 、 職 業 訓 練 局 と工 業 学 院 は 、 香 港 の 学 制 上 、 中 等 教 育 修 了 検 査 の 受 験 が 不 要 で 、 そ の た め卒 業 後 大 学 入 試 制 度 の 枠 外 に あ る た め で あ る。 しか し こ の観 念 は 既 に覆 され 、 現 行 の 学 制 で は 実 用 工 芸 科 目は 初 等 中学 教 育 課 程 の 一 部 で 、 中 学 会 考(中 等 教 育 修 了 検 査)に. こ の科 目 も あ り多 くの 学 生 が 受 験 して い る。. 88年 、 こ の よ うな 状 況 に対 し、 香 港 総 督 は 職 業 訓 練 局 を参 観 し、 政 府 は 香 港 各 業 界 の 需 要 に 応 じて 訓 練 進 行の 研 究 調 査 を 行 い 、職 業 訓 練 を 受 け た い 者 に 多 くの 機 会 を提 供 す べ き だ と した14)。 職 業 訓 練 局 と工 業 教 育 及 び 訓 練 署 管轄 下 の 学 生 は87年4,900名. 、88年 は9,900名 と な っ た 。. ま た88-89年 度 全 日制 課 程 学 生 は10,600名 で あ っ た 。 在 職 者 が 多 く在 籍 す る技 術 員 課 程 は イ ギ リス 商 業 及 び 技 術 員 教 育 局 の 認 可 を得 て い る。 こ こ か ら労 働 者 の 水 準 を維 持 す る た め の 教 育 で は な く、 個 人 の 才 能 を開 花 す る こ と も視 野 に入 れ た 教 育 だ と強 調 した の で あ る。 そ の 後 職 業 訓練 局 は8工 業 学 院 に88年 開 設 す る128短 期 課 程 の 入 学 申請 を 受 け 付 け 始 め た 。 該 課 程 は在 職 者 の 知 識 、 技 術 水 準 を 高 め る もの で あ る15)。これ ら短 期 課 程 は88年11月 か ら89年3月 間 で 、7時. か ら9時 ま で 授 業 を行 う と した 。. ま で 、10時 間 か ら60時.
(5) 2.90年. 代の 生涯学 習. 90年 代 は80年 代 後 半 、 立 法 局 議 員 や そ の 他 団 体 の 生 涯 学 習 環 境 の 整 備 へ の 要 求 が 次 第 に 結 実 し て い く過 程 で も あ る。 そ れ で は 、90年 代 の 生 涯 学 習 観 は どの よ うな もの で あ った の か 。 90年8月4日. 華 僑 「生 涯 学 習 と積 極 的 な 香 港 人 」 で は 、 「 香 港 の 宝 一 人 材 」 と題 し、 香 港 経 済. を 支 え る も の は ま さに 人 材 で あ る と述 べ て い る。 「 香 港 は 全 く資源 の な い 土地 に 、 人 々 が 心 血 を注 ぎ 勤 勉 に働 き 、優 秀 な 人 材 に よ っ て 各 産 業 が 発 展 した 。 香 港 人 は 積 極 的 で不 安 な 環 境 に 対 して も適 応 で き る。 さ らに 進 取 に 富 む 性 格 で あ る。 香 港 人 の 一 代 上 は 大 多 数 の 生活 が 苦 し く、 彼 らは 贅 沢 を せ ず 、 次 の 世 代 に 希 望 を 託 した 。 ま た 香 港 人 は な お 中 国 人 特 有 の 美 徳 で あ る 家 庭 を 重 ん じる 性 質 を 有 して い る。 多 く の者 が 生 活 水 準 を 向 上 させ る た め 、超 過 勤 務 や 兼 職 で 多 く の収 入 を 得 て い る」。 これ が90年 代 初 頭 香 港 人 の 姿 で あ っ た。 そ して個 人 の ラ イ フ ス タイ ル の 変 化 に 伴 い 新 た な 生 涯 学 習 も キ リス ト教 会 系 の 生涯 学 習 機 関 で は 開 催 され る よ うに な っ た 。 華 僑90年7月14日. に は、 「 認 識 成 人 教 育 」 と題 して 、 「 成 人 教 育 と家 庭 生 活 」 に つ い て 遊 新 傑 が. 論 じて い る。 「 最 近 香 港 で は 毎 年4,000名 の 夫 婦 が性 格 不 一 致 で 離 婚 して い る。 工 業 化 は 人 類 の 物 質 文 明 を 促 進 した が 、 そ の結 果 、 夫 婦 は か え っ て 不 仲 とな っ た 。 ま た 工 業 化 に よ っ て 女 性 の 就 業 機 会 が 増 えた 。 家 庭 で 問 題 が 発 生 した と き、 夫 婦 双 方 が 問 題 を 解 決 す るの に 充 分 な 時 間 が な い の で 問 題 が さ ら に 大 き く な っ て い る」 と女性 の社 会 進 出 との 関 連 で 新 しい 生 涯 学 習 の 必 要 性 を次 の よ うに 説 い て い る。 1個. 人 の 成 長 。 父 母 が 子 ど も を理 解 す る に は 自分 を理 解 す る ほ うが 先. 2性. 教育. 3父. 母 の道. 4人. 間関係. 5家. 庭 管理. こ の よ うに90年 代 初 頭 で も家 庭 教 育 が 生 涯 学 習 の 一 環 と して 必 要 と され た 。 華 僑90年6.月30日. には、生涯 学習 が 「 識 字及 び成 人基 本教 育、年長 者教 育 、工業教 育 、消費者. 教 育 、 健 康 教 育 、 家 庭 生 活 教 育 、 公 民 教 育 、 法 律 常 識 教 育 、懲 罰 工 作 、 職 業 訓 練 教 育 、 専 業 教 育 、 一 切 の 教 育 水 準 を 高 め る活 動 」 を指 す と書 かれ て い る な ど広 く認 識 され る よ うに な っ た 。. 財 政難 の 中での 苦闘 さ て90年 代 に も て は や され た生 涯 学 習 の あ り方 は遠 距 離 教 育 で あ っ た 。 立 法 府 議 員 李 汝 大 は 教 育 広 波 研 討 会 で 遠 距 離 教 育 は 欧 米 諸 国 が 広 く採 用 し、 時 間 ・空 間 的 制 約 が な く学 習 に 影 響 を与 え な い と い う王6)。 しか し香 港 は 土 地 が 狭 く人 が 多 く空 間 的 制 約 は な い に 等 しい。 しか し一 般 の 人 々 は 日々 の 仕 事 に 忙 し く、 多 く の 業 種 に つ い て お り、 決 ま っ た 余 暇 が な い 。.
(6) 李 は 建 設 費2億4,000万. 香 港 ドル で 日本 の 放 送 大 学 の よ うな 電 視 回 線 を も つ べ き だ と した 。 現 時. 点 で2大 学 、2理 工 学 院 、 浸 会 学 院 は み な教 育 科 学 セ ン ター を持 って お り、そ れ ぞ れ の 方 法 で 協 力 可 能 だ と した。 こ の よ うに遠 距 離 教 育 が もて は や され る の は 、 当初 の 投 資 は 莫 大 な もの と な るが 、 そ の 後 は 絶 対 多 数 の 者 に と って 生涯 学 習 を受 け る機 会 が 飛 躍 的 に 増 加 す る こ と、 ま た 各 教 育 機 関 が 細 々 と教 育 を 行 うも の に 経 済 的 な 援 助 を行 う よ り安 価 に つ く か ら で あ っ た。 た とえ ば 、 生 涯 学 習 者 で 最 大 の障 害 は 学 費 の 問題 で あ っ た 。 学 習 者 に学 費 負 担 が の しか か る反 面 、 政 府 は 財 政 難 を理 由 に援 助 額 を 削 減 し続 け て き た。 そ の 結 果 、 屯 門 成 人 教 育 セ ン ター 小 学 課 程 は 停 止 した。90年7月24日. 「 大 公 」 論 者 は 、 「文 明 社 会 で. 公 民 教 育 が どれ ほ ど重 要 で あ ろ うか。 政 府 及 び 教 育 署 は 「 低 層 階 層 」 を顧 み る べ き で 、 た だ 「 高 等 階 層 」 のみ に 目を 光 らせ るべ き で は な い」 と批 判 的 で あ った 。 同 様 の 記 事 は 、90年8.月26日. 成 報 に も掲 載 され た 。. 「関係 方 面 で 小 学 課 程 の 成 人 学 生 を受 け入 れ るの は ほ か に1校 の み で あ っ た 。 これ は 学 生 の 不 満 を 引 き 起 こ した た め 、教 育 署 に 考 慮 して も ら うよ う要 求 した 」 。 学 生が 指摘 す るに は、 「 新 界西 北 区の郷 民 、漁 民 、主婦 、新 移 民は まだ教 育 を受 けて い ない 者 が 多 い。 ま た 、 香 港 社 会 に は こ の 種 の 類 似 の 教 育 課 程 は あ る が 、 成 人 小 学 課 程 は 少 な く、 抜 臣 学 校 の 同 級 生 は 大 部 分 上 水 、 元 朗 在 住 の者 で 、 屯 門 は こ の辺 りの成 人 教 育 セ ン ター の よ うな もの だ 。 抜 臣 学 校 は 環 境 も静 か で 交 通 至 便 、教 室 設 備 も 成 人 の 使 用 に適 して い る」 とい う。 93年 に は 、 屯 門 成 人 教 育 小 学 部 の者 が 教 育 署 に 屯 門 区成 人 教 育 学 院 及 び 小 学2年 程 度 の 開 設 を 要 求 し、 そ の 他 、 立法 局 に運 動 を 要 求 した17)。教 育 署 は 人 員 を 派 遣 して 校 内 調 査 を し、 多 く の 学 生 の 学 習 要 求 を 理 解 した。 しか し教 育 署 は た だ3年 間 の み の 学 費 免 除 援 助 を 提 供 し、 そ れ 以 外 の 学 費 徴 収 は 行 っ た た め 、 学 生 の 学 習 意 欲 に 大 き く影 響 を 与 え た 。 そ の 後 教 育 署 指 導 の も と、 学位 を付 与 、2班 ク ラ ス の 増 加 、 初 級 班 を2、3、4年. を増 加 し学 習 環 境 を 改 善 した 。 これ は 、 立 法 局 が. に 分 け る とい う学 生 の 改 善 要 求 を呑 ん だ 結 果 で あ る 。. この よ うに3年 か け て 少 しず つ 地 域 の 小 学 課 程 を学 ぶ 学 習 者 の 要 求 が果 た され た わ け だ が 、 こ の よ うな 要 求 が 方 々 か ら出 され る ほ ど政 府 の 施 策 は縮 小 傾 向 に あ っ た。 これ は 政 府 の 生 涯 学 習 に 対 す る財 政 支援 が 全 香 港 教 育 支 出 の0.6%、. 小 中学 教 育 へ の 教 育 支 出 は90%を. 占 め る こ と と関 係. が あ る18)。香 港 政府 は 正 規 教 育 を重 視 し生涯 学 習 の 重 要性 を軽 視 して い た とい え る だ ろ う。 そ の 後93年 に は 、教 育 署 は 次 年 度 に 成 人 進 修 課 程 を 開 く教 育 機 関 へ の 援 助 を1.5倍 程 度 に す る と計 画 した19)。実 施 の 支 出 は1,000万 香 港 ドル 近 く で あ る。 しか し成 人 教 育 協 会 秘 書 張 民 炳 は 、 ま だ 生 涯 学 習 の 需 要 に 応 え て い な い 、 ま だ 需 要 は 増 え て い る以 上 多 額 の援 助 が 必 要 だ と述 べ て い る。 そ こ で 張 と教 育 署 助 理 署 長 ・関 定 輝 及 び 高 級 教 育 主 任(成 人 教 育)劉 志 堅 は 香 港 に お け る 生 涯 学 習 の 問 題 を 討 論 した 。.
(7) 教 育 署 の 過 去3年. に お け る 生 涯 学 習 へ の 支 出 は4,000万 香 港 ドル で 、93年 度 は92年 度 と 比 べ て. 増 加 しな か っ た とい う。 劉 は 、 これ は 市 民 の 生 涯 学 習 の需 要 が 増 加 しな か っ た た め 支 出 も変 わ ら な か っ た か らだ と断 言 した 。 そ れ に 対 して 関 定 輝 は 、 各 政 務 署 に 連 絡 し、 該 区 で 成 人 進 修 課 程 機 構 の 報 告 書 を 市 民 に 閲 覧 して も ら うべ きだ と した。 関 は 、 当 局 の 生 涯 学 習 政策 は 政 府 の行 う教 育 と民 間 団 体 の も の が 重 複 して お り、 以 後 民 間 団 体 の 課 程 を優 先 して 援 助 す べ き だ と した。 そ して 将 来4年 で 資 本 回 収 率 は 投 資 額 の18%に. す べ き だ と述 べ た 。. こ の よ うに80年 代 後 半 か らの 運 動 の 成 果 が 現 れ 、90年 前 半 の 状 況 を見 る と少 しず つ 生 涯 学 習 に 対 す る政 府 の 見 解 に も変 化 が 見 られ る よ うに な っ た とい え よ う。 しか しそ の 一 方 で 学 費 の 値 上 が りが 問 題 と な っ た20)。92年 度 生 涯 学 習 の 学 費 は 平 均4割. 増 え、. 沙 田教 育 署 成 人 教 育 セ ン タ ー 校 長 ・江 活 潮 は 毎 年 資 本 回 収 の た め の 学 費 値 上 げ で 学 ぶ こ とが 出 来 な い 成 人 が 増 え て い る と批 判 した 。 学 費 は 、92年 か ら93年 度 平 均170-240元 に 増 額 され 、94年 度 は240元 か ら340元 に増 額 した 。 江 は 、 学 費 が 高 い た め 学 生 は 次 第 に 減 少 し、 最 後 に 成 人 教 育 セ ン ター は 「 無 学 生 」 で 自然 に 消 滅 す る だ ろ う と悲 観 的 な観 測 を した。 これ に 関 して 香 港 総 督 が 第 二 部 施 政 報 告 で 「 成 人 教 育 」2字. を 掲 げ な い こ とに 、 香 港 成 人 教 育. 協 会 秘 書 ・張 民 炳 は 失 望 を新 た して い る。 彼 は これ ま で の 生 涯 学 習 政 策 を み て き て 、4年 前 か ら 人 々 の 意 見 を 聞 く場 が な くな り、 教 育 セ ン ター が18か ら10に 減 少 、 現 時 点 で は 広 範 に 民 意 を聞 く 前 で あ る た め 、 大 幅 に 生 涯 学 習 経 費 が 削 減 され 、10の セ ン タ ー が そ の うち3割 と な る と も述 べ て い る。.
(8) つ ま り政 府 の 生 涯 学 習 機 関 へ の 支 援 と そ の 一 方 で の学 費 の値 上 げ は 並 行 して 行 わ れ た が 、 財 政 支 援 の 額 よ り学 費 値 上 げ 率 が 高 く な っ た の で あ る。 これ は 特 に 民 間 教 育 機 関 に 顕 著 な 傾 向 で 、 そ の た め 小 規 模 な 民 間 教 育 機 関 に 学 ぶ 者 、 あ る い は 生 涯 学 習 へ の 取 り組 み が 遅 い 地 区 の 公 的 な 教 育 機 関 は そ の とば っ ち り を受 け る こ とに な った 。 民 間 の教 育 機 関 に 関 して は 、 香 島 専 科 学 校 校 長 ・呉 容 輝 が 次 の よ うに そ の 利 点 ・問 題 点 を 述 べ て い る21)。① 民 間 の 教 育機 関 は 多 い 。 学 生 は 自 由 に 授 業 時 間 、 地 点 を選 択 で き る。 ② 課 程 の 種 類 は 多 い が 、 包 括 的 な 知 識 に 欠 け 、 真 に 学 生 の 需 要 を満 た して い な い。 ③ 弾 力 的 に迅 速 に 教 育 課 程 を 改 革 し、 時 代 の 進 歩 に合 わ せ る 、④ 多 様 な 学 生 に適 した 教 育 を行 う。 呉 は 、 生 涯 学 習 は社 会 の 経 済 投 資 で あ るた め 、 政 府 は 民 間 の 教 育 機 関 に 適 当 な 支 援 を し、社 会 の 資 源 と して 活 用 す べ き だ と力 説 して い る。 そ の 後94年 に は 、 政 府 は 生 涯 学 習 課 程 の 学 費 徴 収 に つ い て 官 立 夜 間 中 学1一3年. 課 程 と成 人 普. 通 教 育 班 は継 続 して 学 費 全 額 免 除 とす る こ とに した22)。1994-95年 は 官 立 夜 間 中 学4-5年. 課程の. 学 費 は10期 に 分 け て 徴 収 し、 毎 学 期93元 で あ っ た 。 小 中学 校 英 文 専 修 班 は 毎 学 期410-675元. 、趣. 味 課 程 は470元 で あ る。 学 生 の 負 担 が 過 重 に な らな い よ う公 平 に 費 用 を 負 担 さ せ る と した が 、 よ り豊 か な 学 習機 会 を 得 るた め に は相 応 の 負 担 が 必 要 で あ る こ とが 明 らか で あ っ た 。. 政策 の変遷 90年 代 の 立 法 局 議 員 らの 生 涯 学 習 に 関 す る運 動 は 次 の よ うな も の で あ っ た 。 立 法 局 議 員 課 耀 宗 は 、 香 港 の 職 業 教 育 上切 実 な 問 題 と して 、 イ ギ リス の 国 家 職 業 資 歴 局 の よ う な機 関 を設 立 す る よ う建 議 した23)。イ ギ リス は 雇 用 主 、 工 商 団 体 、 教 育 機 構 等 が 密 接 に 連 絡 を取 り合 い 、 各 職 業 の 技 能 標 準 を 策 定 し、95年 に は全 国 の 労働 者 は ひ と し く こ の 資 格 を持 つ よ う計 画 され た の で あ っ た 。 ま た 香 港 成 人 教 育 協 会 は 政 府 が 生 涯 学 習 を無 視 して い る こ と を批 判 し、成 人 教 育 発 展 統 籌 局 成 立 を建 議 した。 協 会 秘 書 張 は 、 教 育 署 が 将 来3-4年. で 生 涯 学 習 経 費 を2,000万 香 港 ドル 減 額 す る. 計 画 で 、 教 育 署 成 人 教 育 組 実 科 及 び 娯 楽 課 程 を 停 止 しよ う と して い る と批 判 した 。 彼 は 教 育 署 成 人 組 が 過 去40年 で 改 革 もせ ず 、 時 代 に 取 り残 され て い る こ と か ら、 現 在 は 最 新 の 学 習 環 境 に適 し.
(9) た 新 課 程 開 設 が 要 求 され て い る と述 べ た 。 そ して 最 大 の 問 題 で あ る経 費 は 政 府 及 び 工 商 団 体 か ら 拠 出 す ベ き だ と した。 この よ うに 生 涯 学 習 は 政 府 と労 働 者 を 雇 用 す る 各 企 業 の 責 任 と して 生 涯 学 習 を行 う立 場 の 者 か ら は 理 解 され て い た の で あ っ た 。 同様 に 、 立 法 局 議 員 陳 英 麟 は 教 育 討 論 会 で 、 香 港 政 府 は 成 人 教 育 統籌 局 を成 立 させ 、香 港 の 成 人 教 育 施 設 を 強 調 させ るべ き だ と指 摘 した21)。そ の 際 、 陳 は2点 の 問題 を指 摘 した 。 ①. 該 局 成 員 は教 育 界 の 者 を含 む べ き で 、 事 業 は 教 育 課 程 に 従 い行 うべ き だ。 異 な る組 織 の 人 材 を把 握 し、 教 育 課 程 の種 類 と程 度 に従 い 適 材 適 所 の 配 置 を 行 い 、 正 規 の 学 校 教 育 と生 涯 学 習 体 制 が 適 合 す る よ うに す べ き で あ る。. ②. 最 近 成 立 した 香 港 学 歴 審 核籌 備 委 員 会(資 歴 認 可 機 構)の. 審 査 は 高 等 教 育 課 程 も範 囲 とす る. も の で あ る。 香 港 の 生 涯 学 習 の 更 な る制 度 の 進 歩 の た め 学 歴 を付 与 す る 学 術 機 構 或 い は 専 業 団 体 を承 認 す る。 この こ とか ら90年 代 の 生 涯 学 習 政 策 は 、 生 涯 学 習 機 関 の 創 設 と高 等 教 育 機 関 との 連 携 で あ る。 そ れ で は 高 等 教 育 機 関 の 生 涯 学 習 へ の 熱 意 は どの 程 度 の もの で あ っ た の だ ろ うか。 浸 会 学 院(の. ち の 浸 会 大 学)学 務 副 校 長 ・何 守 敦 は 教 育 統 籌 委 員会 第 二 号 報 告 書 で 教 育 の 開放. 問 題 を 提 議 した25)。何 は 教 育 研 討 会 に 出席 して 、 香 港 の 大 部 分 の 成 人 に は 専 門 教 育 が 欠 如 して お り、 労働 者 の 学 習 機 会 を 増 加 し、 青 年 学 生 に 特 別 の 教 育 を行 うこ と、 そ の 際 学 習 者 に 学 費 の 負 担 は 強 い る が 、 関 連 機 関 で 適 切 な 教 育 課 程 を つ く り、 開 放 教 育 課 程 とす る と した 。 一方. 、香 港 中文 大 学 校 外 部 は 生 涯 学 習 問題 で香 港 の 団 体 と協 力 す る ほ か 、 さ らに1984年 か らカ. ナ ダ のベ イ シー 大 学 と合 弁 課 程 を行 っ て い た 。 商 業 、機 構 、 政 府 、 学 校 、 協 会 、 委 員 、 社 区 従 事 の 生 涯 学 習 工 作 者 に 学 習 機 会 を提 供 した26}。最 初 の 卒 業 生 は 各 生 涯 学 習 機 構 で 指 導 す る者 、 ベ イ シ ー 大 学継 続 進 修 成 人 教 育 修 士 学 位 課 程 の者 た ち で あ っ た。 全 期 学 費 は25,000香 港 ドル で 、 大 学 卒 業 、 あ る い は3年 制 師 範 卒 業 兼2年. 生 涯 学 習 教授 経 験 、 あ る い は 高 等 教 育 資 格 兼5年. の生涯 学. 習 工 作 経 験 者 で あ る。 早 期 か ら外 国 の 生 涯 学 習 機 関 と連 携 して い る 例 で あ る。 ま た 香 港 で 最 も 伝 統 が あ る 香 港 大 学 で は 、校 外 専 業新 風 学 院 が成 人 及 び 持 続 教 育 連 盟 を成 立 す る と建 議 した27>。香 港 大 学 内 で 在 職 者 の 生 涯 学 習機 関 を 成 立 させ 、 そ の た め の 組 織 作 りを行 う と い う趣 旨 の も の で あ る。 しか し理 工 学 院 校 長 ・藩 校 長 は香 港 大 学 校 外 課 程 進 修 部 が ま だ 理 工 学 院 と接 触 して い な い 、校 内 で 正 式 に こ の建 議 を研 究 して い な い と表 明 した 。 彼 個 人 は 現 段 階 で 「 持 続 教 育 専 業 守 則 」 を 制 定 し、 夜 間 授 業 担 当 の 教 師 の 授 業 時 間 が 増 え る こ と で 教 育 水 準 に影 響 を 与 え る こ と を避 け る と し、 各 学 院 が 先 に 専 業 守 則 、 つ ま り教 師 の 就 業 規 則 に つ い て 問 題 を研 究 す べ き だ と した。 そ の 後94年 に は 、 大 学 及 び 理 工 教 育 資 助 委 員 会 主席 ・梁 錦 松 が 高 等 教 育 へ の 教 育 費 援 助 に 関 し て 、 生 涯 学 習 も範 囲 に入 れ るべ き だ と した28)。従 来 の 全 日制 の 学 生 教 育 の み な らず 、 在 職 者 対 象 の 教 育 に 対 して も政 府 の 援 助 の 必 要 性 を訴 えた の だ っ た。.
(10) 職 業教育 と生涯学 習 90年 代 初 頭 の香 港 の 失 業 率 、 労 働 者 不 足 率 は2%で. あ っ た。 これ は香 港 で 労 働 者 の 需 要 が 十 分. 高 い こ と を 示 す と い え る29)。しか しこれ ま で政 府 関 連 業 界 が 職 業 技 術 教 育 を行 い 、 労 働 者 の 質 を 高 め 工 業 生 産 を鼓 舞 した も の の 、 香 港 の 職 業 技 術 教 育 及 び 工 業 の 発 展 は 掣 肘 を受 け た 。 そ れ に は 多 くの 理 由 が あ っ た。 多 くの 香 港 人 は 海 外 に 居 住 し、 そ の な か に は 高 等 職 業 教 育 を受 け た 専 門 家 が い た 。 パ ソ コ ン 関 係 、看 護 、 工 業 、 会 計 等 。 これ ら移 民 は 彼 等 の 属 す る業 界 の 動 労 人 口 を減 少 させ る だ け で な く、 香 港 職 業 技 術 教 育 の 質 を 低 く して い る。 そ の 一 方 で 、80年 代 か ら香 港 は 第 三 次 産 業 が 拡 大 し、 労 働 者 の 需 要 が 高 ま っ た 。 香 港 政 府 は 労 働 者 不 足 の 問 題 が 起 き た た め 、 系 統 的 な職 業 教 育 技 術 訓 練 の ほ か 、 さ らに92年 雇 員 再 培 訓 局 を成 立 させ 、 各 団 体 が 開 催 す る 職 業 技 術 訓 練 を 進 め援 助 して き た。 そ の 一 方 で 長 い 伝 統 を持 つ 職 業 訓 練 局 は 、90年 、20の 訓 練 委 員 会 を 設 立 した30)。この 委 員 会 は 主 要 商 工 業 の 人材 育 成 の 責 任 を負 う もの で あ っ た。 訓 練 委 員 会 の ほ か 、 職 業 訓 練 局 は7つ の 委 員 会 を設 け 、 工 商 界 、 政 府 関 連 部 門 の 官 僚 、 日常 的 な 事 務 をす る職 員 、 技 術 者 を 構 成 員 と した。 職 業 訓 練 局 は 工 業 界 と訓 練 校 の 間 で連 携 を行 い 、 訓 練 が 有 効 と な る よ うに 工 業 界 の 需 要 に 応 じた 訓 練 を 確 保 して い る。 工 業 技 術 の 最 新 動 向 を踏 ま え 訓 練 委 員 会 と一 般 委 員 会 が 専 門 知 識 を提 供 す る よ うに な っ た。 しか し90年 代 は 、 多 く の 者 が 小 学 、 あ るい は 初 級 中 学 卒 業 以 後 は 社 会 人 とな っ た 以 前 の よ うな 状 況 とは 異 な る31)。学 校 が 基 本 的 な職 業 技 能 訓 練 を提 供 し将 来 の 生 活 を保 障 す る こ と も な く な っ た。80年 代 の 工 業 学 院 の 状 況 と同様 の施 策 で は職 業 訓 練 局 の 管 轄 下 で の 生 涯 学 習 は 功 を な さ な い とい う こ とを 意 味 して い た。 例 え ば 、80年 代 一90年代 の 工 業 学 院 の 状 況 は 次 の よ うで あ っ た32)。. 84年6月 . 工 業 学 院 暑 期 課 程 83年 は3万 。. 85年7月 . 工 業 学 院 夜 間 課 程 申請9万 人 。. 86年2月 . 工 業 教 育 及 び 訓 練 署 助 理 署 長 曾 耀 涛 は 香 港 工 業 学 院 学 生 の 退 学 率 は 低 い と述 べ た 。 全 日制 学 生 の 退 学 率15%、. 87年6月 . 夜 間 課 程4050%。. 職 業 訓 練 局 の 資 料 で は 、 毎 年7工 業 学 院6,600名 の 全 日制 学 生 の うち1,300名 が 退 学 。 そ の うち 中3程 度 で 技 工 課 の 学 生 が 多 い。. 89年10月 職 業 訓 練 局 の発 言 。 工 業 学 院 の発 展 は 飽 和 状 態 。 91年11月 各 工 業 学 院 の 計 画 で92年 各 課 の 中 学 会 考 資 格 が 低 く 、 特 に 英 文 科 の成 績 が要 求 され た もの の 、E級 に 達 して い な い 学 生 を い くつ か の 学 科 で は 受 け 入 れ た 。 そ れ は 学 生 不 足 を解 消 す る た め で あ った. そ の 一 方 で 学 院 に 最 後 ま で 残 り卒 業 した 者 は 次 の よ うな成 績 も残 して い る33)。職 業 訓 練 局 下 の.
(11) 8工 業 学 院 、1991年 度 卒 業 率 は82%と て い る 。 ま た1990年. 一91年6,394名. し た 。 ま た 在 職 者 の 卒 業 生 は33%が 7%が. 上 昇 し てお り、 全 日制 卒 業 生 は 卒 業 後3ヶ. の 全 日制 卒 業 生 の う ち55%は 製 造 業 に 、50%が. 就 職 し 、34%は. 月以内 に就 業 し. 全 日制 課 程 に 進 学. 財 形 ・商 業 界 に 雇 用 さ れ 、8%が. 交通 通信 、. 公 共 事 業 、 個 人 事 業 、 そ の ほ か は 気 体 燃 料 電 力 業 に 就 職 した 。 在 職 技 術 者 の 卒 業 生 は 平 均. .月給5,563香. 港 ドル(10万. 円)、 技 工 証 書 課 程 卒 業 生 は 月 給4,024香. 港 ドル を 得 る に 至 っ た 。. こ の よ うに 工 業 学 院 の 行 く末 が案 じ られ つ つ 、 しか し一 定 の 需 要 の あ る職 業 訓 練 局 を改 革 す る ま で に 至 らな か った の が90年 代 で あ った 。. おわ りに 2003年 に 入 る と 、 夜 間 官 立 中 学 学 習 者 が 少 な く ク ラ ス を減 少 す る 状 況 が 発 生 した34)。夜 間 官 立 学 校 課 程 、 部 分 課 程 の 学 費 が5倍 に 値 上 が り し 、 学 習 者 が 減 り、 中 学6年 課 程 で は100名 に も満 た な く な っ た。2002年 の 学 生 数 の7分 の1で. あ る。 も し学 生 が 減 少 を 続 け る な らば 、 ク ラ ス 減 少. の 危 機 とな る。 当 局 は 補 助 金 支 援 の範 囲 を 拡 大 す べ き だ と新 聞 記 事 で も論 じ られ た 。 職 業 教 育 ・ 高 等 教 育 機 関 と連 携 して 資 格 取 得 、 学 歴 取 得 の た め の 法 整 備 は 進 ん で い る も の の 、 そ の 一 方 で 根 本 的 な 学 習 を要 求 す る 人 々 の 需 要 は満 た され な い ど こ ろか 、財 政 難 の な か 、 そ の よ うな 人 々 の 学 習 要 求 は 無 視 され て い るの が 現 状 で あ る。 以 上 の 点 か ら、 香 港 に お け る 生涯 学 習 に 関 す る 問 題 と して 次 の 点 が 挙 げ られ る。 成 人 教 育機 関 の3分 の1は 公 的機 関 で あ る が 、 政 府 の 財 政 難 よ り1993年 か ら経 常 費 の援 助 を停 止 す る な どの 問題 で あ る。 政 府 は 、 公 的 資 金 削 減 に 伴 い 、 教 育 署 が 援 助 を行 わ な い 生 涯 学 習 機 関 教 職 員 に は 一 定 の 負 担 金 を 強 制 し、 政 府 の援 助 を受 け る機 関 教 職 員 に は 負 担 を させ な い 「一 署 二 制 度 」 を 計 画 した。 こ の よ うな 政 策 は 、 政 府 が 公 認 しな い 教 育機 関 で は 負 担 が 増 加 して しま う。 つ ま り比 較 的 規 模 が 小 さい 機 関 に は負 担 が 重 く、 教 育 機 関 を維 持 す る こ とす ら難 しい。 そ うで あ れ ば 生 涯 学 習 機 関 は大 規 模 な も の が 残 り 、 教 育 課 程 及 び 地 域 分 布 に 不 均 等 が 生 じる こ と に な る35)。 そ の 一 方 で 行 政 長 官 ・董 建 華 は施 政 報 告 の な か で50億 香 港 ドル の 持 続 教 育 基 金 を 成 人 に 持 続 教 育 を提 供 、 支 援 す る と して承 諾 して い る 。,また 教 育 統 籌 局 の 建 議 で 、援 助 を 受 け る 資 格 に 見 合 っ た 教 育 課 程 は 課 程 修 了 後 、 生 徒 が 資 格 を 得 られ る よ うに した 。 さ らに 現 在 教 育 署 が 提 供 す る 成 人 教 育 課 程 は15歳 か ら入 学 が 可 能 とす べ き だ と した 。 これ は15一17歳 の 青 年 が 持 続 教 育 基 金 を 申請 す る 資 格 に合 致 しな い た め で あ る36》 。 この よ うに 香 港 政 府 の 施 策 は 、 財 政 難 や そ の 時 々 の圧 力 団 体 に屈 して い る点 が 垣 間 見 られ る。 そ れ は 上 述 の 王 に よれ ば 、 教 育 署 成 人 教 育 組 は 教 育 署 の 一 機 構 にす ぎず 職 権 に 限 度 が あ り、 全 香 港 の 成 人 教 育 政 策 、 指 導 、 監 督 に は 無 力 で 義 務 教 育 と異 な り成 人 教 育 は 法 律 上 の 保 障 が な い と た め だ とい う。 そ の た め 、 財 政 難 や 政 治 的 思 惑 か ら補 助 金 が 削 減 され た り増 額 され た り とそ の 政 策 に は一 貫 性 が み られ な い。 だ が 黄 傑 雄 に よれ ば 、 近 年 、 大 学 が 学 費 獲 得 の た め 積 極 的 に 生 涯 学 習 支 援 を行 うこ とに な っ た.
(12) た め 、 生 涯 学 習 の 現 場 に 大 き な 変 化 が 見 られ た とい う。 多 く の 大 学 が 夜 間 短 期 課 程 を も ち 、 大 学 の 規 定 を改 定 し、 余 暇 進 修 学 位 課 程 で 学 ぶ 学 生 に奨 学 金 を与 え 、 大 学 を開 放 し、 成 人 に 不 利 な規 則 を撤 廃 す る な ど大 き な 変 化 が 見 られ る38)。つ ま り市 場 原 理 が 導 入 され た こ とで 高 等 教 育 機 関 で 学 ぶ 機 会 は ず い ぶ ん と増 加 した の で あ る。 こ こか ら香 港 に お け る生 涯 学 習 は一 貫 して 市 場 原 理 の 関係 で 職 業 訓 練 、 生涯 学 習 政 策 が 実 施 され て き た とい え る。 以 上 の こ とか ら香 港 で は 、 生 涯 学 習 が 職 業 教 育 と さ らに 成 人 教 育 と二 分 化 され て き た歴 史 を持 つ こ と で 、数 多 くの者 が 何 らか の 関 係 で 生 涯 学 習 に 関 わ っ て き た こ とが わ か っ た 。 しか しそ の 本 質 は 香 港 の 経 済 成 長 と大 き く関 係 が あ り、 そ の た め 政 策 と関 係 の な い と こ ろ で の 生 涯 学 習 が 果 た した 役 割 は小 さか っ た 。 そ れ で もア ジ ア の金 融 中 心 地 で あ り続 け 、 さ らに 英 語 ・中 国 語 に よ る情 報 網 が 網 羅 され て い る香 港 で は 、 多 様 な 学 校 教 育 、 そ して 多 くの 生 涯 学 習 支 援 セ ン タ ー が 存 在 し、 日本 と比 べ る と画 一 的 な 教 育 の あ り方 は 見 られ な い 。 これ か ら、 香 港 の 生涯 学 習 は 、 多 くの 経 済 格 差 を 産 み 出 す 学 校 教 育(例. え ば英 語 教 育 を 受 け る者 の ほ うが 中 国語 教 育 を受 け た 者 よ り出 世 す. る な ど)の 穴 埋 め をす る よ うな 働 き をす る必 要 が あ る の で は な か ろ うか 。. 註 1)呉. 大現. 『香 港. 歴 史 変 遷 中 的 教 育 』 中 国 人 民 大 学 出 版 社 、1997年. 2)王. 道 隆. 『香 港 教 育 』 海 天 出 版 社 、1997年. 3)黄. 康 顕. 「香 港 成 人 教 育 的 新 趨 勢 」 香 港 成 人 教 育 協 会 訳 編. 4)90年6月30日. 華僑。. 5)87年1月22日. 快報。. 6)87年1月27日. 快報。. 7)87年4月20日. 星島。. 8)87年2月4日. 華僑。. 9)88年3月2日. 華僑。. 10)88年7月7日. 文? 報 。. 11)88年12月12日. 時報。. 12)88年10月22日. 時報。. 13)88年8月8日. 明報。. 14)88年4月29日. 星 島。. 15)88年10.月12日. 時報 。. 16)90年5月14日. 華僑。. 17)93年10月8日. 大公 。. 18)90年7月29日. 時 報。. 19)93年1月28日. 華僑。. 20)93年10月18日. 快報。. 21)94年5月9日. 文? 報 。. 22)94年1月22日. 文? 報 。. 23)90年7月29日. 明報。. 、p.106。. 。 『成 人 教 育 論 文 集 』 広 角 鏡 出 版 社 、p.114。.
(13) 24)90年9月12日. 華 僑。. 25)90年10月5日. 明 報。. 26)92年1月20日. 日 寺報 。. 27)92年2月19日. 文 涯報。. 28)94年2月25日. 明報。. 29)93年12月15日. 華 僑。. 30)90年12,月3日. 信 報。. 31)93年12月10日. 商報。. 32)92年1月23日. 快 報。. 33)92年3月9日. 文 潅報。. 34)2003年8月11日. 星島。. 35)2000年10月3日. 星島。. 36)2001年12月15日. 星島。. 37)黄. 傑雄 p.78。. 「成 人 高 等 教 育 新 趨 勢 」 香 港 浸 会 学 院 学 生 会 編. 『香 港 専 上 教 育 縦 横 論 』 金 陵 出 版 社 、1987年. 、.
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