市 民 活 動 に お け る 生 涯 学 習 の 諸 相
徳島とパンクーノミ一、それぞれの選択から市民意識をみる 学校教育専攻
人間形成コース 河 野 南 代 子
1.研究の背景と目的
情報化、国際化、高齢化という三本柱は過去 20年の間繰り返し言われ、私たちはこれらに対 して学習を重ねてきた 具備句指標としての 人権の尊重、あらゆる差別の撤廃、男女共同参 画祉会の倉殿、学校教育の改革、国際社会にお ける役割と責任、 IT技術の革新などと呼応し、
具体的な行動で、ネットワークをひろげる市民参 加による行政改革など、社会人としての義務と 責任も増幅してきた。地域が国際化するなかで 社創舌動をす寸めてきた筆者は、その変化の渦 中において生涯学習の確たる理論付けもない ままいろいろな活動に参加してきた。それなり の成果を生み、峨から世界を視野におく社会 参加を果たしたと思う。しかし、「生涯学習jと いう概念は、いまだ、に漠たるままで、あった。生 涯学習が教育産業化していく様に術尋いかなか ったそれゆえ、ポール・ラングランの生涯教 育論を、より良し、社会変革を求める市民活動に 結びつけ、新しし咋鬼長から生涯学習を見なおす。
日本の生涯学習の現状を調査し客額的な分析を 試みる。同時に、カナダにおける市民の動きを 調査することで仮説の論証も試みたいロ
2.研究の方法
「生涯学習」の二国間での研究は、社会の背景、
文化、そこに住む人々を浮き彫りにすることに なった日本における生涯教育とカナダにおけ
指導教官 伴↑亘{言
る成人教育は、歴史、文化の違いから概念を異 にするが、現地で調査をすると、同じ時代を生 きる人間同士、問題意識の在り処が共遣する点 が多いことが分った。このことから、研究方法 は自分によくあっていたと,思う。
徳島では、いくつかの生涯学習セミナーに参 加しアンケート調査を行った。「どのような生 涯学習に参加しているかJ
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ひとことで生涯学 習とは?Jなど自由記述をしてもらった。行政 民間のクツいープ、行政主催するグ〉レープの参加 者意識の異なりと、共通点を分析した。答えの 内容は非常に興味深かった。今まで、見えなかっ た学習者の姿を明確にする貴重な資料となったo徳島で行われた「徳島県キャリアアップ推進事 業jのコースで、は、起業関係、農業加工関係、
培養液による栽培を見学した。学習者と講義す る側のニーズのあり方などを知る機会となった。
本論文の主題とする自発的住民運動、市民運 動の
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崩呈で生涯学習が豊かな鶏責を上げてし、る ことを論証するため、運動に関わってきた記録 と資料からそのまE明を導く作業が続いた。日本 が生涯学習振興法という法律を持つ国であるこ とと、地方分権の確立したカナダを対比させて「生涯学習jの諸相を取り出してみた。
パンクーノ〈ーで、の調査は三回行った。日系カ ナダ人の生涯学習拠点での見学、個人の家庭に おける聞き取り調査、公台機関での社会人のセ ミナーに参力民研究リソースは文献と資料、そ して生涯学習を継続する人々から集めた。太平
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洋の対岸にあるパンクーノ〈ーに住む人々の市民 権復活における闘いにも、人が人として在るべ きラングランの哲学カ濃く関わっている事を知
った
3. 研究の概要
第1章では、ポール・ラングランの生涯教育 論を中心に生涯教育のあり方を考察する。文化、
幸福、教育、自由など、手にとることのできな いものの存在について、ラングラン独特の哲学 が語られる「生涯教育入門jをベースに、平坦 ではない時代を生きた知識人の人生観を読み取 った。
本論文はラングランの哲学によって2章から 4章まですべてを定義することで、 20断己人類 の歴史を振り返り、世則句な視野にたち、ラン グランの存在と理念を現代の事象に対応させ深 く麟号することを試みる。
第2章では、ラングランの生涯教育の現念を 十分に取り入れた日本における「生涯学習Jの 変遷の経緯を述べた。焦点を具体的活動に絞り、
徳島県で実施されているプロジェクトを報告し た。何よりも行政主導の徳島での生涯学習活動 が、地元で受け入れられている状況をレポート することで、生涯学習振興法の成果と意義に言 及した。
第3章は、内発的動機づけに裏づけされた徳 島の市民活動をとりあげた。吉野川可動堰計画 の是非を問う住民投票、その後から今までの運 動を通じて市民達は、代表民主主義制に政治を 委ねる危うさ、時と場合によっては国の方針決 定に軌道修正を請求する必要があることを学ん だ。主権在民の社会を維持するため、責任を果 たす行動には、重要な生涯学習の要素が十分含
まれているとの認識に立つ。
第 4章においては、カナダの生涯教育の概念 を理解し、過去と現在の市民活動を調査し考察 した。アジア系住民を多く抱えるパンクーパー における日系カナダ人の生き方に触れた。特に、
世界大戦を日系人として生き抜いた彼等が、戦 後、人間としての尊厳と剥奪された市民権を取 り戻すまで、の闘いを追った。また、パンクーパ ーでの市民達のセミナーを取材した。シニアー の旅と学習をセットにしたユニークなエルダー ホステル活動についても調査し、経験に学ぶこ とが高齢者の生きる意欲に繋がる女
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として、同時代に生きる者の共通課題として紹介した。
ラングランの理念を両国の生涯学習にリンク させ、問題意識を持ってチャレンジする人々を 調査対象とした。
パンクーパーを調査地長に定めた理由は第4 章の「はじめjで述べたが、それは、社会にお ける事象の全てが世界の動きに連動しているか らである。
4.今後の課題
論文に取り組むうちに、次なる問題意識がさ らに湧き上がってくる。それぞれの項目が独自 の特徴をもっていて多岐にわたった。それぞれ の事象から全体を貫く生涯学習理論を導き出し、
生涯学習の眼目を、市民の政治参加、経済、国 際社会への参加に置こうと考えたからである。
論文としての体裁は整っていないが、次はテ ーマを絞り市民運動の経過を記録する作業を継 続したい。まさしくラングランのいう通り「人 生はラーニング.プロセスJである。持てるカを 継続し社会人としてあること。Learningωbe は、生きる価値そのものである。
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