(12)キャリア教育を導入する際に配慮・工夫している点
キャリア教育を導入する際に配慮・工夫している点を類似した内容の回答ごとに集め てカテゴリー分けをしたものを学部ごとに表26に示した。まず、成果として、5つの カテゴリーに分けることができた。それは、「指導内容・方法の工夫」、「児童・生徒の 実態把握」、r外部関係機関との連携」、r保護者との連携」、r教員間の共通理解」であっ
た。
小学部では、r指導内容・方法の工夫」が23学部、r児童・生徒の実態把握」が7学 部、「外部関係機関との連携」が1学部であった。中学部では、「指導内容・方法の工夫」
が15学部、r保護者との連携」が7学部、r児童・生徒の実態把握」が6学部、r外部関 係機関との連携」が2学部であった。高等部では、「指導内容・方法の工夫」が13学部、
「児童・生徒の実態把握」が12学部、「保護者との連携」が5学部、「教員間の共通理 解」が5学部、「外部関係機関との連携」が4学部であった。
表26キャリア教育を導入する際に配慮・工夫している点 小学部
・分からないことは辞典を使って調べたりする内容を取り入れている。
・係や当番を決め、自ら進んで取り組める内容で行っている。
・帰りの会では、今目一目の学習について発表し合う時間を設けている。
・キャリア教育の導入を特に意識していないのが現状だが、重複の児童が将来どうな るか、どうなるべきかについて、学級担任と保護者がよく話し合い、現学年で達成 すべき課題を設定し、一っ一っクリアしていくという、昔から行われていることを 打っている。
・単一障害学級との共有時間(例えば、朝の会、体育、音楽)を持つことにより、人 とかかわること等の時間をとっている。
・過不足のない支援を心がけている。
・学習場面がすべてキャリア教育につながっているという視点を持つこと。
・「できた」という達成感の味わえるものにする。
・高等部までの総合学園の良さを生かして、中学部、高等部の取り組みを小学部段階
から児童と見学して意識付けしている。
・自立活動の授業内容の整理。
・キャリア教育の基礎となるものは、社会経験であると考える。それで、まず、買物 学習、校外学習での公共機関での実体験をもとに学習を進めている。
・共通のコミュニケーション手段として手話を使っている。
・友だちを互いに意識させ、集団の一員という自覚を育てる。
・体験学習を重視している。
・視覚情報の提示を重視している。
・良い例と悪い例を示すことで、自分でどちらが正しいかを考えられるようにしてい る。それこそが、より確実に身につけられるようになると考える。
・無理がないように設定する。
・学期中は続けられる活動をする。
・繰り返し取り組み、見通しを持たせ、自分が自信をもってできるようにする。
・児童生徒が学習内容を振り返り、校外学習のしおりや作文等をキャリアノードにフ アイルして、活用している。
・自分の思いや要求を相手に伝える手段としての手話や指文字などを交えながらコミ ュニケーションをとるようにしている。
・児童が仕事をして、その労働に対して、お金をもらうという一連の活動が人として とても喜びに値するものだと感じられるように、基礎的なことが学べるように工夫 している。
・児童がイメージしやすいように、事前にお店や消防署等で働いている人の姿を実際 に見学に行ったり、写真やイラストを使って話をするようにしている。
・児童の実態に配慮している。
・自閉症と聴覚障害の重複障害児であれば、自閉症の障害特性を加味し、行動のコン トロールを人間関係形成能力の領域に付加したり、脳性まひとの重複障害児であれ ば、アビリティの部分を十分に活用できる学習内容を設定し、意思決定能力を高め るための配慮としたりなど、聴覚障害の特性プラスもうひとつの障害特性をしっか りととらえて指導にあたるようにしている。
・児童の状況をしっかりと把握した上での、一歩すすんだ目標を設定すること。
・体験、経験的なものを多くし、子どもの実態に合わせ、理解できるものにする。
・年齢にふさわしい内容になるように計画している。例えば、小学部6年生であれば、
生活単元学習や自立学習などで「働く」ことを取り上げている。
・子どもに合わせた内容、説明をする。
・聴覚障がいだけではなく、知的障がいなどの障がい特性を十分に理解した上での指 導が重要である。
・受け入れ先の方々に、聴覚障害に対する大まかな理解(例えば、コミュニケーショ ンの取り方等)を事前に話している。
中学部
・本校に在籍中の生徒たちは、比較的障害の程度は軽いことから、その意識を持たせ やすいが、できるだけ、指導の際に視覚的な教材を多用するよう工夫している(例 えば、写真、ビデオ、イラストなど)
・本人が目的(ゴール)を理解して取り組めるようにしている。(例えば、制作、販 売活動をして、売り上げで好きなものを購入するなど)
・本人が考え、決める活動を取り入れること。
・個別の指導計画に、キャーリア教育に関わる部分を記入し、日々の授業で意識して、
指導するようにしている。
・体験的な活動を多く取り入れること
・多くの人と接すること
・身辺自立の確立
・具体的なイメージを持てるように体験や見学を取り入れる。また、視覚的に分かり やすいように工夫する。
・生徒が具体的にイメージを持ちやすいように活動の流れを工夫することや生徒自身 がやりとげた、できたという達成感が味わえるようにすること。また、できるよう
になった自分の姿について、振り返る時間をじっくり設け、確認していくこと。
・手話をコミュニケーションの中心にしている。
・学部全体の行事でも、できるだけ重複生徒への参加を考慮した内容にしている。
・事後指導をクラスで行い、もう一度、理解の確認をする。
・理想的なことも大切だが、できる限り、現実的に考え、指導するよう配慮している。
・イメージしやすいように、分かりやすい言葉を用いたり、画像などを提示する。
・あいさつ運動等を行い、あいさつや対人関係、コミュニケ」ションカを身につけさ
せる。
・保護者への理解啓発
・二者面談、三者面談の計画的、継続的な実施
・家庭と連携し、保護者への意識づけも図るようにする。
・実態把握をしっかり行い、家庭と連携を取りながら進めていくこと。
・保護者の認識とのギャップをどう埋めていくか。
・障害が重くなると、本人の自立度を上げる指導も大切だが、親の啓発活動が重要と 考える。特に本校は、重度生徒も少なく、親の将来に対する情報も乏しい。他の機 関に頼ることなども考えているところである。
・家庭との連携
・キャリア教育を導入すると特別に意識していないが、「その生徒の将来(数年後、
卒業後)をふまえて必要なものは何かを考えること」と「その生徒に合った教材や 指導の工夫」などを意識している。
・生徒の実態に応じて分かる学習内容の選定を行う。
・年齢にふさわしい内容になるように計画している。
・児童生徒に合った内容を行うこと。
・生徒の実態に合わせて、作業所実習を実施する。
・生徒の実態を考慮して、内容や展開をする。
妹熟関係機開ξの連携(η
・知的の特別支援学校と聴覚特別支援学校をバランスよく見学しながら、適した学校
選択を進められるようにしている。(高等部、職場や施設とともに)
・知的障害教育における知見の利用
高等部
・小さなことでも意思決定させていく。
・児童生徒本人の意思がはっきり確認できない場合も多いので職場体験実習や仕事に 関する内容は、写真等をできるかぎり使用し、説明をしている。
・学校内の授業、作業だけでなく、移動教室など校外に出た際に、職場、働く人を見 る機会を作り、 仕事 というものへの意識を高めるように工夫している。
・作業能力を高めることも当然必要だが、社会に出ること、できるだけ自分の力で生 活していくことを一番の目標にしている。例えば日常生活(更衣、身だしなみチエ ック、水分補給、衣類の調節など、体調についても自己管理ができるよう)の時間 をしっかりととるようにしている。
・重複以外の学級と同じ生徒向けアンケートでは、回答が難しいため、質問事項を理 解しやすい内容に担任が直し、回答してもらった。
・具体的で分かりやすい表現を用いること。
・学習の目標を明確にし、即座に評価できる方法を取り入れること。
・朝のHR等を利用し、作業能力を少しずつ身に付ける。
・慣れてくれば、実習の回数を徐々に増やしていく。
・将来の生活を見通した現場実習先の選定。(例えば、家から適所で働きたい場合な
ど)
・実践的な内容を取り入れて、繰り返し行うことで定着を図っている。
・できるだけわかりやすいようイラストや図を用いて、自分の将来像を思い描けるよ う工夫している。わかりにくい表現を避けている。
・単一学級の生徒は現場実習を2年次・3年次に実施する。重複学級の生徒は、1年 次より2・3年生の現場実習を見学し、その後に現場実習を始める。
・生徒理解の上、ケースによって異なり、その都度、対応しながら多数の人の関わり で行っている。
・特に、コミュニケーション方法や表出の仕方が異なるので本人に合った他者との係 わり方(社会とつながる)の手立てと表出しやすい環境づくりが大切だと考えてい
ます。
・聴覚障害や他障害の特性をしっかり捉え、指導にあたっている。
・生徒の実態や興味・関心や実生活に沿ったものを取り上げる。
・重複学級の生徒であっても、聴力の状況や知的障害の程度等、個人差が大きく、卒 業後の進路についても一般就労から医療的なケアが必要で福祉施設でのサービス を受ける生徒もいるため個に対応できるような内容と指導が必要である。
・生徒の発達段階、障害の特性を考慮し、同じ内容を実施するとしても、教材の扱い 方を考慮している。生活歴(中学よりの転入、中学部からの進学等)も配慮してい
る。
・重複学級に合わせて、単一学級とは異なるキャリア教育推進計画を作成して取り組 んでいる。
・個々の生徒によって必要となったり、理解できたりする内容に大きな差があるため、
できる限り一人ひとりに合わせた具体的な教育を行うこと。
・スモールステップで個々に対応したプログラムで行う。
・生徒の実態に合わせ、実習の回数や時間を考えること。
・生徒一人ひとりの個性を見極め、その生徒に合ったキャリア教育を進めるため、関 係者との話し合いを多く取る。
・事前事後の学習を多めにとり、本人の程度に合った理解をさせていく。
・保護者と児童生徒についての情報交換をし、本人の意思に近づけるようにしている。
・保護者の希望を優先しながら連携を図る。
・保護者との確認は必ず行う。
・情報提供
・保護者の理解
・重複学級の先生はもちろん、全職員が共通理解できるように色々な機会に話題とし て取りあげてもらう。
・関係職員との情報交換を蜜に行うことで生徒の変容について共通理解し、次の目標 確認を行うようにしている。
・職員間の共通理解。
・教科担当者と学級担任との連携
・寄宿舎との連携
・知的障害における知見の利用。
・知的特別支援学校の就職ガイダンスに参加する。
・現場実習や就業体験で行う作業内容を事前打ち合わせの時に聞いておき、学校の授 業の中で事前に学習しておく。
・現場実習や就業体験の前に必ず事前面接を行う。受け入れ企業や作業所等へ出向き、
生徒を知ってもらう。
(13)重複学級におけるキャリア教育について
重複学級におけるキャリア教育について、類似した内容の回答ごとに集めてカテゴリ ー分けをしたものを学部ごとに表27に示した。まず、成果として、5つのカテゴリ」
に分けることができた。それは、「指導方針や指導内容」、「キャリア教育の充実」、「課 題や不安」、r児童・生徒の実態把握」、r保護者との連携」であった。
小学部では、「指導方針や指導内容」が15学部、「キャリア教育の充実」が9学部、
「課題や不安」が5学部、「児童・生徒の実態把握」が5学部、「保護者との連携」が5 学部であった。中学部では、「指導方針や指導内容」が24学部、「課題や不安」11学部、
「保護者との連携」が5学部、「キャリア教育の充実」が3学部、「児童・生徒の実態把 握」が2学部であった。高等部では、r指導方針や指導内容」が16学部、r課題や不安」
が11学部、「キャリア教育の充実」が8学部、「児童・生徒の実態把握」が1学部、「保 護者との連携」が1学部であった。
表27重複学級におけるキャリア教育について 小学部
・体験的な活動を通して、子どもの興味、関心を広げ、いろいろなことに前向きに取 り組めるようにしていきたい。
・重複児にもっとも積極的にrしごと」をさせた方が良いと考える。
・あいさつをすすんでできる(目と目を合わせ)。人の話をきく態度(姿勢をくずさ ない)(きこうとする気持ちをもつ)。これらが普段からできる子どもに育てたい。
・相手の話をきちんと聞く、相手にきちんと伝えることも重要だと考えている。
・児童が自分の気持ちや意思を伝える方法をもつ力を育てる。
・他者を意識することや集団の一員であることを自覚できるよう育てる。
・教師は、児童の将来像を描き、家庭と話し合いを重ねた上で、それらを中心に据え て、現在の課題を把握し、指導計画を立てる。
・コミュニケーションの取り方を考えさせたり、自己決定をさせたりするなど、常に 自立に向けた生活を意識している。
・小学部段階では、より自立的な活動を目指し、日常生活動作の向上を図る。
・児童のできることが多くなり、生活の中で意欲的に取り組むことが増えることで夢 をもつことも可能になると考える。
・継続が大切。
・具体的な作業(例えば、部品の組み立て、調理、農作業など)ができるキうになる ことも大切だが、あいさつや人とかかわる力が基本的に育っていないと社会参加は 難しいと思う。コミュニケーションをはじめ、基本的な生活動作が確実にできるこ とを目標にしている。
・子どもの障がいの状態や発達段階に差があり、一概には言えないが、「進路」とい うことを考えるにあたって、本人に理解させるのは、小学部の児童には難しいので、
教育活動全般を通して、将来、学校を出た時に、必要な力の基礎をつけるべきだと
思う。
・周りの人々と交流する方法をみつける。
・余暇の過ごし方を見つける。
・毎日の学校生活の中に、キャリアアップにつながるチャンスがあると思っている。
・学習場面がすべてキャリア教育につながっているという視点を持つこと。
・小学部のキャリア教育は、普段の生活の中で培われるものと考えているので学校や 家庭で共通理解を図り、取組んでいきたい。
・小学部では日常的に、日常生活の指導、生活単元学習等の学習の中でキャリア教育 は行っているが、系統立てて計画していない。今後、きちんと系統立てていく必要 があると思う。
・重複の児童にとって生活のすべてがキャリアである。キャリア教育という名称で、
ひとくくりにはできない。また、それを別に教育内容を考えることも難しい。
・ろう教育が、「日本語の指導」中心に展開されていることもあり、キャリア教育に ついての取り組みは今後に期待する面が大きい。
・日々の実践の上にキャリア教育につながる内容があると考える。キャリア教育とい う言葉が教育の中で大きくなってきているが、障害者の雇用枠の拡大、若年層の就 職支援、ワーキングプアの問題など、政治主導の問題と並行して取り上げていく必 要があると思う。重複学級の子どもが教育を受け、自分らしさを発揮できる場の設 定もキャリア教育の受け入れ先として、クローズアップされると良いと思う。
・「キャリア教育を実施」という形には、まだ現在至っていないが、今後の課題とし て考えている。
・幼稚部から高等部までが連携し、密な情報交換を行ったり、研修会を行ったりしな がら、将来を見通したキャリア教育を取り組むことができれば良いと思う。
・将来、施設や作業所へ行くことを想定すると、聴覚障害十知的障害児(者)の受け 皿の容量・質に不安がある。
・地域の「障害者自立支援法」で使えるサービス内容、施設を、まず教員が実情を知 った上で、保護者に情報提供したり、可能ならば親子で一目体験や見学ができたり するとよいのではと思う。
・ろう学校にいる重複障害児の実態が様々であり、教育課程の編成等、課題が多い。
・教育課程の編成。
・本校において、重複障がい児が少ないため十分なキャリア教育が実施できてない面 がある。聴覚障がいのみの単一障がいの子どもたちに対しては、「先輩と語る会」
などで有意義な交流を行い、自分の将来像が見えやすい。しかし、知的障がいのあ る重複障がいの子どもたちは自分の将来像をつかむことが難しい。
・子どもの実態を踏まえ、発達・年齢に応じた適切な働きかけを行っていかなくては ならないと考えている。
・対象となる児童の実態から興味関心の幅が狭いが、様々な体験をさせることを通し て、広げていきたいと考えている。
・重複障害ゆえの失敗経験の多さ、それに伴う自己肯定感の低さが感じられる。障害 特性や発達段階に関する実態把握を十分に行い、適切な課題を精選、設定すること で成功経験を積み、自己肯定感を高めていくことを基本におきたい。その上で、職 業的(進路)発達を育む内容をもり込んでいきたい。
・キャリア教育という概念ができたから取り組んでいるわけではなく、児童の指導上 あたりまえに必要なことを児童の実態に応じて取り組んでいるだけである。
.・ qどもの実態は様々であるので、それぞれの子どもの特性を生かして、様々な経験 や活動を積み上げることができるように考えている。
・自立できる力と態度を育てるために、どのようなことを身につけさせたらよいのか、
将来を見据えながら、系統的・長期的な視点で指導を行っていく必要があると考え る。そのためには、その指導の過程を保護者に提示し、理解いただくことが大切だ と考えているが、非常に難しいとも感じている。
・小学部では、保護者会において、進路指導担当(高等部)から話をしてもらってい
る。
・知的の学校とは違って、小学部段階では保護者が国語や算数の学習に重点を置く割 合が大きい。自分のことは自分ですることや社会的なマナーや手先の使い方や集中 時間の長さなども、早いうちから力をつけていきたいと考えるが、保護者に理解し てもらえるように将来の姿をイメージしてもらえるようにいろいろな場で情報を 得るよう進めている。
・保護者への支援も大切である。例えば、情報をどのように提供し、いかに現実的な 将来像へと結びつけるかなど。
・それと並行して保護者にもその力をつけるために協力してもらう必要がある。また 保護者には子どもの将来について、少しずつ考えていってもらうため、学校側も協 力し、情報提示していく必要があると思う。
中学部
・障害の程度に関わらず、生徒たちはいずれ、就労の道に進んでいくことになる。中 学生や小学生の段階から「仕事とは何か」ということを考えさせ、「働く」という 意識を持たせることを常に念頭に置き指導している。
・重複学級に限らず、どの児童生徒に対しても「今の生活を豊かにし、卒業後の社会 参加や自立を目指すため」に日々、指導がなされていると思う。
・聾学校重複学級ということで考えると、日常生活面、コミュニケーションのカ、読 む力、書く力、作業能力、体力、数えるカなど全てが「その子の将来の生活を豊か にし、卒業後の(その子なりの)社会参加や自立」につながると思う。
・あえてキャリア教育というフィルターで見なくても、必要なことはなされていると 思う。「キャリア教育」というフィルターで捉えることよりも、「その子の将来にわ たっての課題が明確にされているか」、「将来にわたっての課題に向かって、現在の 指導が充実したものになっているか」を真剣に考えることの方が大切だと思う。
・児童・生徒の将来を見据えた積み重ねの教育は、教員の共通理解が最も大切である と考える。
・日頃から新聞を読むような環境作り。
・早期の適切な場所への職場体験。
・自立活動においても、人間関係形成力、情報活用力、意思決定力などの力をつける 必要があると感じた。
・重複学級における道徳の重要性。
・一ハ、重複ともに基本は同じであると思う。どの子においても、勤労観や職業観を
育てていく意識は、常にもっていたいと思う。
・大切なのは、卒業時に就業できることではなく、それからの長い職業生活の中でい かに自分なりの居場所を見つけ、生きがいを持って仕事ができるようにしていくか ではないかと思っている。職場に定着してほしい。明るく、周囲に愛される職業人 になってもらいたい。
・ろう学校における重複学級といっても盲十ろう、ろう十和、ろう十肢体等、多様に なってきている(特別支援学校)。何よりも、自己の障害の理解と、自分の気持ち を伝えられるコミュニケーション手段が必要となる。自己の主張ではなく、他者の 考え、気持ちを受け入れられるだけのカを養う必要を感じている。多くの人と交流 (接する)機会を設けてあげることは大切だと思うが、家族の協力があってできる
ことである。中学部より、将来を見据えた対応が必要だし、そのために教員自身の 知識、情報の多さが大切だと思っている。
・「自立」するということはが先行してしまい、「今」を見失っているように思える。
「本人の夢」、「親の夢」を実現させるための情報の共有を大切にする必要がある。
小〜高等部の間の3年間で、曖昧な学部だカ\一番成長する時なので、一つひとつ の学習を大切にしたい。
・将来の生活(高等部卒業後の)をイメージして、必要だと思われることを1つ1 つ、体験を通して学び、それを繰り返すことで確実に自分のものにしていく活動を 取り組んでいくこと。そして、それらの活動を教育課程の中で、どの場面で、どの ような学習を取り上げていくかなどつながりや連携を考えながら取り組んでいく ことが大切である。
・何かを取りあげてのキャリア教育というよりは、日頃の生活の中で将来の自立に向 けて、役立っ内容すべてをキャリア教育と捉えることができると思う。その中で、
職場見学や体験学習は、日常とは違う環境の中で経験を通して、今まで培ってきた 力を発揮したり、今までと違う環境を味わったりして将来のことを学ぶ機会になれ
ばと思う。
・社会に出た場合、学校生活では経験しなかった不便さ、コミュニケーションの困難 さなどを経験するだろうことを学校でも日頃から学習内容に取り入れる。
・毎日の生活の中での基本的なマナーやきちんと話を聞くこと、自分の思いを相手に
分かるように伝えることが大切である。
・手話以外にも生徒一人ひとりに合ったコミュニケーション手段を考える必要があ る。(例えば、絵カード、マカトンサイン、50音ボードなど)
・移行支援については、学校と保護者だけではなく第三者機関も積極的に活用する。
・卒業後の生活で、今、どのような力を培っておく必要があるかなどを考えて課題設 走を行う。
・本校では教科学習の比重が高い。今後、作業学習等を増やす必要性がある。
・道路の学習時だけでなく、日常生活、他の授業全般を通して、関連付けて学習して いくことが大切である。
・聴覚障害に関する専門性を高める必要があると思う。
・普段の学習や生活を今後の生活と結びつけながら、指導していきたいと考えている。
・障害者自立支援法の改正に伴う就労の変化。
・ろう学校の進路は、施設入所から大学進学まで非常に幅広い選択肢であると思うの で、それらの選択肢の中から自分にあった進路を決定できるように保護者と本人に 進路選択の力をどうつけていくかが課題である。
・ろう重複はとても狭い世界で、親の会などもなく、保護者の方々も様々な情報を得 にくく、また、r知的の特別支援学校よりもろう学校にいて、少人数でしっかり教 科学習をしてほしい」と思っている傾向があるように思う。
・就職先とのコネクションも少なく、校内の職業訓練のための設備もなく(母体が一 般級のため、困難が多い中、がんぱっているところである。
・ろう学校重複障害生徒の実態は多岐にわたり、キャリア教育としての職場体験がで きるかどうか体力面、情緒面で不安を抱いている。
・コミュニケーションの手段について
・重複学級に生徒が1人のため、集団活動がしにくい。
・交流学習等には行っているが、重複学級の生徒数が少ないため、社会性を育てるこ とがなかなか難しい。
・予算が足りない。
・キャリア教育については、まだ地域で理解が深まっていない。
・重複学級においては、連絡先や職種の幅がまだ少ないと感じる。
・家庭との連携。家庭からの協力を得ることの重要性。そのために日々の連絡帳での やりとりや面談を大事にして、保護者の気持ちに沿いながら同じねらいをもって必 要な学習や活動への取り組みを続けていくよう心がけている。
・進路情報を伝えること。(保護者にも)
・生徒だけでなく、保護者と連携を図り、共通理解のもとに進めることが大切だと思
う。
・文部科学省が提唱する勤労観・職業観を育て、社会参加を目指すという定義は、進 路指導でなされているが、中学部重複生徒に関しては「今の生活を豊かにする」、
「人との関係を広げ、社会参加、自立の促す」の二極に分化されると思っている。
そのためには、保護者と生徒についての共通理解をし、協同する必要がある。
・校内担当者や保護者と連携を取りながら、生徒の支援に努める。
・重複障害の児童生徒への指導は、極端に言えば全てが「その子なりの自立」に向け た指導だと思う。そのため、私自身は「キャリア教育=普段、あたり前に取り組ん でいる内容」というように認識している。「勤労観、職業観を育てる教育」という 定義で考えると、「準ずる教育」を学んでいる児童生徒の方が、よりウエートが大 きいように感じる。「自分は、どう生きていきたいのか?」、「どんな仕事が自分に ふさわしいのか?」、「自分に足りないものは何か?」などはキャリア教育という視 点をもって、授業を作っていく必要があると思うからである。
・キャリア教育は、まだまだ本格的に実施されていないが、教員の資質向上のために は必要な情報、知識であるので今後、より学習していくことは大切である。
・中学部として、これまで取り組んできた指導・支援内容や方法をキャリア教育の視 点から整理していくことにより、よりよい進路発達を促すことができるであろう。
・机上の学習ではなく、日常の活動や職場見学、職場体験学習を通して、必然性を捉 えた状況の中で将来、本人の実態に合わせた自立につながる指導を心がけている。
・進路に関する情報を収集し、生徒の実態に合った進路開拓を進められるとよい。
高等部
・重複障害生と一人ひとりが、職場や地域社会で自立して社会参加ができるよう、日 ごろから教育活動全体において、あいさつや礼儀、言葉遣い、社会ルールなどをし っかり身につけさせ、周りの人たちから好かれるよう指導することが重要である。
・就労に向けてもあらゆる機会を見つけ、用具の使い方や作業における意欲と集中力 等を身につけさせることが大事になってくる。
・失敗経験が多いことから、自分に自信が持てないように思う。できるだけ、成功体 験を味わうことで、誇示決定できる力を高めていきたい。また、重複学級以外の生 徒についても重複学級の生徒への理解を深めていきたい。
・担任が、一般企業・福祉作業所では何が求められているのか、どのような力が必要 なのかを把握し、生徒の指導にあたることが大切だと思う。
・福祉制度やその事業所が就労継続支援A型なのかB型なのか、そこではどのような 作業を行うかなどの情報をもつようにし、保護者や生徒本人の思いが達成できるよ う進路担当者との調整を図るようにしている。
・小学部段階からの自分の将来を考えていくこと、職業観を持たせることは大切なご とである。早期からの意識できるよう指導内容・方法を考えていきたいと考える。
・ろう学校は重複学級に限らず進路についての情報が得にくい為、できるかぎりこち らで情報を得るようにし、家庭に提供していく必要がある。高等部としては、その ような進路の厳しい現状も含め、小・中段階で十分に進学先を検討してもらうよう
に呼びかけをすることも必要かと思われる。
・社会に出る為の準備として、挨拶や報告、援助依頼など、健聴者とどれだけ積極的 に、かつ円滑にコミュニケーションをとることができるがが大切であると考えてい る。それを重点に置いて、日常生活の中で取り組んでいる。
・情報収集をもっと行う。
・生徒の居住地のケースワーカーとの連携がもっと必要である。
・一x勉強しただけでは身にっかないと思うので、繰り返し行うことで定着が図れる
と思う。
・知的障害等の聴覚障害以外の障害を専門とする特別支援学校との連携は必ず必要。
本県では各特別支援学校の進路指導主事が集まる研修会を実施している。
・現在の就労や就職に関する法制度や利用可能な制度について、進路担当者のみでな く、学校、学部で知っておくことが大切、年々変わっていく法律や制度についてい くのがやっとの状態なので。
・人から言われて、本人は「頑張る、我慢する」ではなく、自分で考えて「楽しむ、
頑張れる、我慢できる」ようになってほしい。
・重複障害児童生徒に関わらず、「キャリア教育」という言葉のみが先行しているよ うに思う。単独で行うものではなく、授業全般で行うものである。
・生徒本人の性格や興味関心等を指導者が理解していること。
・聴覚特別支援学校の教員は、生徒と手話や指文字等を使ってやり取りをすることが できるが、作業所等では手話や指文字ができる人はほとんどいない。筆談を使って
コミュニケーションをすることが多いが、長い文章を使って仕事内容を提示された ときなどなかなか理解することができにくい。また、理解できたときにもきちんと 「わかりました」と書いて返事をしたり、理解したことを表す動作をすることがで
きない。教師がそのようなことを意識して指導していないことを痛感している。
・本校の進路指導において、キャリア教育の概念をより取り入れ、キャリア教育とし て系統立てていくかどうかなど十分な検討が必要と思う。
・高等部であるため、どうしても出口指導という意識が強くなる点が課題である。
・本聴覚特別支援学校は、県内に一校であることから、生徒は全県から通学してくる。
作業所等への就労についても、進路指導という形で実践を重ねてきたが、自立と社 会参加ということから特に地域社会との交流や生活自立について、地域ぐるみで考 えていく必要がある。しかし、聴覚特別支援学校は県内に20校以上ある知的の特
別支援学校に比べて、地域性、地域との連携という面で難しい課題がある。
・まだまだ研究されていない分野であり、各校手探りで進めているのではないか。本 校高等部でも重複学級が設置されてから年数は浅い。単一障害学級の学習内容のレ ベルを下げるという認識ではなく、独自の展開が必要だと考えている。
・コミュニケーションの手段
・重複学級の進路先は様々で、小さな作業所も多く、情報の入れ替わりも激しいので、
そういうものが一括してわかるセンターのようなものがあればいいと思う。
・高等部では、キャリア教育に取り組める時間が少ないのでもう少し時間が確保でき れば良いと思う。
・本校では、教科学習の比重が高いが、今後は作業学習の時間を増やす必要を感じて
いる。
・生徒一人ひとりの個性を大切にしたキャリア教育を行うにはどのようにすれぱよい かを考えている。
・キャリア教育を、進路指導や就業体験など特定の枠だけに担われたくない。
・キャリア教育は、教育活動そのものなので、当然、目標や重点に入っており、教員 はそれを目指し、努力している。
・キャリア教育と銘打ってやっていることはないが、学校における教育活動全体が進 路やキャリア教育に結びっくものと捉えて行っている。
・現在、本校ではキャリア教育を教育課程には位置づけて取り組んでいないが、重複 学級の児童・生徒が将来の社会参加や自立を目指すためには教育課程に位置づけて 取り組むことが大事であると考える。そのためには、早急なキャリア教育に詳しい 教員の育成と年間指導計画の作成等を考えていくことが大切である。
・キャリア教育を強化しすぎると、障害の重い生徒は自尊感情を持ちにくくなるので はないか。能力主義に偏ることのないよう配慮していきたい。
・キャリア教育とは何かという根本的な理解が全職員によってなされること。その理 解があれば、教育活動の様々な局面にキャリア教育の要素を盛り込む工夫ができる
と考える。
・重複学級だけに限らず、全ての教育活動を通してキャリア教育をすすめていくこと が大切。日々の教育活動そのもの(進路保障の取組)。具体的には、あいさっがで きる人になる。ありがとうございますが言える人になる。休まない健康な体になる。
・高等部から本格的に進路学習が始まりますが、もっと早い時期にキャリア教育を取 り入れることで集中力が身についたり、心が安定したりすると思う。
・生徒一人ひとりの障害の程度がまちまちなので、一律的な計画や指導は難しい。し かし、学校としての基本的なキャリア教育の計画があれば、それをもとに生徒一人
ひとりの能力に合わせた指導を考えていくことができると思う。これは進路部とい うよりも、学校全体で考えていく必要があると思う。
・生徒を取り巻く環境(就労も含めた)の情報収集と生徒の実態の的確な把握。
・あいさつやマナーなどの常識を習慣として身につけさせるため、学校・寄宿舎・家 庭などが連携すること。
(14)重複障害児童・生徒への指導・支援について
重複障害児童・生徒への指導・支援について、類似した内容の回答ごとに集めてカテ ゴリー分けをしたものを学部ごとに表28に示した。まず、成果として、4つのカテゴ リーに分けることができた。それは、「指導・支援内容の充実」、「課題」、「校内指導体 制の充実」、「キャリア教育の充実」であった。
小学部では、r指導・支援内容の充実」が5学部、r課題」が4学部、rキャリア教育 の充実」が2学部、r校内指導体制の充実」が1学部であった。中学部では、r指導・支 援内容の充実」が2学部、「課題」が2学部であった。高等部では、「指導・支援内容の 充実」が1学部、「課題」が1学部、「校内指導体制の充実」が1学部であった。
表28重複障害児童・生徒への指導・支援について 小学部
・職業的(進路)発達にかかわる諸能力な.どのプログラムにおいて、重複障害ゆえに 厳しい部分、付加する必要がある部分など、個々の状態で様々に変わってくると思
われる。障害種によっても、より力を入れるべき領域や配慮すべき領域、具体的な 指導、支援が異なると思われる。もしそれが分かったら、是非指導の参考にしたい ので、教えていただきたい。どうぞよろしくお願いします。
・児童の将来像を考えた上で、今の時期にできることをしっかりと身に付けさせ、て いねいに指導、支援することが大切だと思った。
・卒業後の進路先がどのようなものでも周りの方々と仲良く一人の個人として受け入 れてもらえるよう、小学部のうちに身に付けられるものは何なのかを考え、取組ん でいきたい。
・重複といっても、その指導・支援内容は児童の数と同じである。全体とひとっとし て考えるキャリア教育はできない。個別の対応を踏まえた全体計画のもとに指導内 容は様々である。
・重複学級の担任として心がけているのは、本人や保護者の二一ズを把握し、社会に 出たときのことをイメージして、社会自立にむけて、つけたい力を具体的に持ち、
現在の実態と照らし合わせてスモールステップで取り組んでいる。
・重複学級と一言で言っても、児童の実態が大きく違っている場合が多い。準ずる教 育が行えるか否かで、教育課程は大きく違ってくると思う。教育課程や時数の編成、
または教科書の採択などがもっとゆるやかに行える環境が必要だと思われる。
・教員の配置(定数)も児童の実態差や学年が大きく違う場合は、教育委員会段階で 十分配慮をしていただきたい。
・ろう学校での重複障がい児の指導は難しいと感じている。どうしても少数派なので、
教育課程等が子どもたちの実態に合わない面もあるように思う。学校行事などにも がんばって、どうにか参加している部分もあり、なかなか主体的な活動を生み出す ことが難しい。
・私自身も、ろう学校教員免許を持っていないので、教員の専門 性(ろうの専門一性と 知的障がい教育の専門一性の2つが必要)についても多くの課題があると思われる。
・知的の特別支援学校の勤務経験からキャリア教育の必要性は十分に感じている。ゆ とりある環境の申で、今後、キャリア教育を充実させていくことができればと考え
る。
・「キャリア教育」はとりたてて小学部段階ではしていないが、常に頭に入れて指導・
支援していく必要があると思う。
・障害の重複化・多様化のため、知的障害養護学校と聾学校重複学級との境目があい
まいになってきていると感じる。どの学校に来てもその子の将来の自立・社会参加 に必要な力をっけるべく、ろう学校の中学部・高等部における進路に向けた系統的 な指導、地元での職場開拓、ろう重複への理解の促進などを学校体制として取り組 んでいく必要性を感じている。
中学部
・明るくあいさつができること、ミスをしても素直にあやまること。
・一ハの中学校では、トライやるウィークがあるが、本校でも地域に出て、職場体験 を実施している。重複生徒にも、生徒に合った体験を積極的にさせたいと考えてい
る。
・学部間連携は大切だが1実際はなかなか難しいと感じる。
・単一障害の生徒は計画が立てやすいが、重複障害の生徒は一人ひとりが本当に異な るのでどうするべきか困るときもある。
高等部
・■の問4では特にあてはまるもののみをチェックしたが、ポイントとしてはあいさ つやマナー態度、通学指導など教育活動全般を通して、就労意識を養っている。
・重複学級に在籍する生徒への支援より、境界線児へのサポートをどう行っていくか が今後の課題である。
・個々の児童生徒の障害に応じたキャリア教育は、これからも子どもたちの社会参加 に向けて必要性が望まれると思っている。そのためにも学校のみならず、地域、家 庭の理解と協力が不可欠だと思う。
(15) アンケート調査に対する意見等
アンケート調査に対する意見等を類似した内容の回答ごとに集めてカテゴリー分け をしたものを学部ごとに表29に示した。まず、成果として、3つのカテゴリーに分け ることができた。それは、「キャリア教育の必要性を認識」、「アンケートに対する意見」、
「研究の結果(キャリア教育に関する情報)を報告してほしい」、であった。
小学部では、「キャリア教育の必要性を認識」が2学部、「研究の結果(キャリア教育 に関する情報)を報告してほしい」が2学部、「アンケートに対する意見」が1学部であ った。中学部では、r研究の結果(キャリア教育に関する情報)を報告してほしい」が2 学部、「アンケートに対する意見」が1学部であった。高等部では、「アンケートに対す る意見」が5学部、r研究の結果(キャリア教育に関する情報)を報告してほしい」が2 学部、「キャリア教育の必要性を認識」が1学部であった。
表29 アンケート調査に対する意見等 小学部
・アンケートをいただき、重複障害児童のキャリア教育について整備、検討していく ことが今後必要になってくることを認識させられた。
・キャリア教育は重要なので、ぜひ研究を深めて頂き、教員研修プログラムの作成ま でお願いしたいと思う。
・全国調査の結果やキャリア教育を推進されている先進校の取り組みなどについての 情報が欲しい。
・聴覚特別支援学校におけるキャリア教育について、いろいろな情報があれば教えて ほしい。
・アンケートに答えるのが難しかったため、空欄が多くなった。
中学部
・特別支援学校の児童生徒を対象にしたキャリア教育の手引きはあるが、聴覚障害に 他の障害を併せもつ重複障害の児童生徒を取りあげたものは目にしたことがない ので、アンケートの結果から取り組みの特徴支援の工夫など分かったことを教えて いただけると参考になる。どうぞよろしくお願いします。
・調査がまとまりましたら、ぜひ他校の情報をお知らせ下さい。
・質問の意図がわかりにくく、書けない部分もあった。
高等部
・特別支援学校においては、キャリア教育として位置づけて組織的に行っていること は少ないと思う。以前から行っている進路指導や進路学習をそのまま個人的にキャ リア教育としている場合が多いと思う。校内においても統一が取れていないと思う
ので、アンケートとして適切な統計となるかどうか疑問である。
・記述式が多いので、なるべく選択肢の多いアンケートにしてほしい。記述式のまと め方も大変なのではないかと危惧する。また、当方の負担も大きいので。
・キャリア教育について、勉強不足のため、回答が充分できず、困りました。キャリ ア教育と名付けていないものの、将来を見通して自立できるように取り組んでいま
す。
・本校にあてはまらない項目内容に「いいえ」と答えると、何となくそれをしていな いように感じられて少し気になった。
・今回のアンケートより、重複障害生徒のキャリア教育についての課題が明らかにな ることは難しいのでないかと思われる。年々、重複障害児・者の割合が増加し、多 様化する中で指導法や専門一性もより幅広く必要となっている。個々の実態が複雑化 し、その対応も難しくなる中でそれらの個別の内容はアンケートヘは反映されにく
い。また、発達障害を併せ有する生徒も在籍し、診断を基準とするか、手帳を基準
とするかなど、各県、各校で対応も分かれているのでないかと推測する。
・本校以外での取り組みの様子、もしくは実践例があったら参考にしたいと思うので よろしくお願いします。
・このアンケート結果とまとめが何に利用され、どう活用されたのか、報告をお願い
します。
・今後、キャリア教育への知識を深め、日頃の取り組みにっなげていけるようにした いと考えています。
第4章 総合的考察
この章では総合的考察として、第3章の結果を学部間や学校間、さらには先行研究と の比較や関係性等についてクロス集計による分析を行い、重複学級特有のキャリア教育 の実施状況や課題を検討した。そこから、第1節ではキャリア教育の現状、第2節では キャリア教育の課題、第3節ではキャリア教育のあり方についての考察を導き出した。
第1節 キャリア教育の現状
(1)教育課程への位置づけからみたキャリア教育の実施状況
キャリア教育の実施状況として、小学部では87%、中・高等部では100%でキャリア 教育を実施していることが明らかになった。
先行研究である北市(2009)は、キャリア教育の教育課程への位置づけはキャリア教育 を取り組む際の一つの指標となると指摘しており、全国の聾学校単一聴覚障害学級にお けるキャリア教育に関する質問紙調査の中で、キャリア教育の教育課程への位置づけに ついても調査した。今回の調査においても、同様の点に注目して検討した。
今回得られた結果では、「キャリア教育を教育課程に位置づけていないが、キャリア 教育を取り組んでいる」と答えた学部が小学部で81%と多く、中学部では55%、高等 部では56%であった。この結果は、北市(2009)の結果と同様に「位置づけていない」と いう割合が多いことが共通していた。
しかし、北市(2009)の研究では、「位置づけている」聾学校の割合は小学部で7.7%、
中学部で26.9%、高等部で30,4%であったのに対し、今回の調査では小学部が19%、
中学部が45%、高等部が44%と割合が高いことが明らかになったのである。
この質問では、質問紙に回答した教員一人ひとりの「教育課程に位置づける」の捉え 方に違いがあったと考えられる。しかし、教育課程は各学校、各教員が具体的に計画す る教育活動全体のことであり、その計画の中でキャリア教育が取り組まれているかどう かという点で実施状況を明らかにすることができたのである。
以上のように、先行研究との比較からもキャリア教育がますます教育課程に位置づけ られて取り組まれてきていることが明らかになった。しかし、今後、さらにキャリア教 育の推進や充実のためには、「校内体制」としてキャリア教育に積極的に取り組んでい
く必要があると考えられる。次に、「校内体制」におけるキャリア教育の実施状況につ いて検討した。
(2)「校内体制」におけるキャリア教育の実施状況
まず、ここで言う「校内体制」とは以下の3つを指す。それは、①キャリア教育を推 進する校内組織、②キャリア教育に関する研修会、③キャリア教育を行う上での小・中・
高等部の重複学級における学部間連携についてである。以下、「校内体制」の視点から キャリア教育の実施状況を検討した。
①キャリア教育を推進する校内組織について
小・中・高等部の平均42%に、学校全体におけるキャリア教育を推進する校内組織 があった。この数字は、先行研究である北市(2009)の43.3%とほぼ同じであった。また、
本調査では各学部における組織や重複学級間における組織についても調査しており、各 学部で「組織がある」は平均27%、重複学級間で「組織がある」は平均6%であった。
校内組織の名称については、小・中・高等部の合計で「進路指導部や進路指導委員会 など」が34学部、「キャリア教育推進委員会やキャリア教育部など」が13学部であっ た。この名称については、北市(2009)が聾学校でインタビュー調査を実施しており、そ こから「キャリア教育を推進する上で、進路指導部という組織であれ、キャリア教育と 名の付く組織であれ、名称にこだわるのではなく、組織が存在し、キャリア教育の意義 や内容に着目した活動を行っていくことが大事である」と指摘している。
本調査では組織における活動内容についても調査した。それより、キャリア教育の推 進や取り組みを行っていることがわかった。それは、「キャリア教育段階表作成」、「キ ャリア教育推進計画(キャリアプランニング)に基づき、教育目標の推進と実施結果の分 析」、「保護者と教員のキャリア教育に関する懇談会」、「キャリア教育年間計画作成」、
「キャリア教育に関する情報提供」、「幼児、児童・生徒の進路指導(キャリア教育)全 体計画の作成」、「キャリア教育学習内容表の作成と検討、調整」、「キャリア教育に関す
る全体研修や学習会」であった。最後に、「校内組織がない」と回答した学部に、今後 の必要性について質問した結果、約8割は「無回答」と「わからない」という回答であ
った。
②キャリア教育に関する研修会について
小・中・高等部の平均35%に、学校全体におけるキャリア教育に関する研修会があ った。この数字は、先行研究である北市(2009)の23%よりも高い割合であった。また、
本調査では、各学部における組織や重複学級間における組織についても調査しており、
あった。そのうち、各学部の高等部のみに注目すると、高等部に「研修会がある」は 37%と割合が高かった。研修会の講師については、小・中・高等部の合計で上位3つ を挙げる。それは、「大学教員など外部講師」が30学部、「進路担当などの教員」が26 学部、「卒業生」が14学部であった。研修会の内容については、小・中・高等部の合計 で上位2つを挙げる。それは、「進路に関する情報提供や学習会」が44学部、「キャリ ア教育に関する学習会」が27学部であった。最後に、r研修会がない」と回答した学部 に、今後の必要性について質問した結果、約9割は「無回答」と「わからない」という 回答であった。
③小・中・高等部の重複学級における学部間連携について
小・中・高等部の平均48%が、学部間連携を行っていた。この数字は、先行研究で ある北市(2009)の43.3%よりも少し高い割合であった。小・中・高等部の学部間連携の 内容については小・中・高等部の合計で上位3つを挙げる。それは「小・中・高等部重 複学級担任者による重複部会」が38学部、咽別の教育支援計画による教員間の引継ぎ」
が34学部、「小・中・高等部重複学級で合同の授業・特別活動」が19学部であった。
また、「学部間連携を行っていない」の理由については、小・中・高等部の合計で上 位2つを挙げる。それは「児童・生徒の人数や実態と重複学級の有無」が28学部、「キャ
リア教育として取り組んでいない」が17学部であった。そのうち、小学部に注目すると
「児童・生徒の人数や実態と重複学級の有無」が16学部と割合が高かった。
最後に、「学部間連携を行っていない」と回答した学部に、今後の必要性について質 問した結果、小・中・高等部の全体平均54%は「必要」という回答であった。その他、
r不必要」は4%、rわからない」は27%、r無回答」16%であった。学部間連携がr必要」
の理由については、小・中・高等部の合計で上位3つを挙げる。それは「学部間連携に よる指導の一貫性のため」が25学部、「指導方法や内容の再検討のため」が20学部、
「キャリア教育の推進のため」が7学部であった。
以上より、全国の約4割の聾学校にキャリア教育を推進する校内組織があり、キャリ ア教育に関する研修会と重複学級における学部間連携を行っていることが明らかにな った。また、先行研究との比較からも、校内組織の割合はほぼ同じであったが、研修会 や学部間連携については割合が高くなっていた。今後、さらに「校内体制」において、
キャリア教育の充実が求められていくであろう。
第2節 キャリア教育の課題
(1)重複学級教員の「専門性」の確保
まず、ここで言うr専門1性」とは、以下の2つを指す。それは、①キャリア教育につ いて、②聴覚障害教育や他の特別支援教育についてである。
聾学校の重複学級においてキャリア教育を行う上での課題として、重複学級教員の
「専門一性」の確保が求められると考える。以下、重複学級教員の「専門一性」の視点から 聾学校の重複学級におけるキャリア教育の課題を検討した。
①キャリア教育について
キャリア教育を行う上での課題については、「教員のキャリア教育に関する専門一性」
という回答が、小・中・高等部の合計で76学部と最も多かった。小学部では22学部(42%)、
中学部では27学部(57%)、高等部では27学部(66%)であった。
この「教員のキャリア教育に関する専門性」の課題に対する対策として、「教員のキ ャリア教育に関する学習」という回答が小・中・高等部に合計18学部あり、4番目に 多く挙げられた。その対策の内容をまとめると、「教員のキャリア教育に関する専門性 の向上や共通理解を図るために校内研修会や学習会を実施した。」さらに、「会議などで キャリア教育について、重複障害児童・生徒の実態に合った指導内容を検討し、計画、
実施を進めている。」であった。
また、前節で述べたように、キャリア教育を教育課程に「位置づけている」聾学校の 割合は小学部で19%、中・高等部で平均45%であった。さらに、「校内体制」において は、全国の約4割の聾学校でキャリア教育を推進する校内組織があり、キャリア教育に 関する研修会と重複学級における学部間連携を行っていることが明らかになった。
その他、キャリア教育の評価方法については、小・中・高等部ともに「その他」、「無 回答」という回答が全体の45%と最も多かった。次に多かった回答は、キャリア教育 を評価するために「通知表に欄がある」が全体の15%であった。「PDCAサイクルによる 評価を実施」という回答は、全体の7%であった。今後、キャリア教育の実践が、その 教育的目標を達成し、さらにより効果的な活動の実践に発展させていくためには、適切 な評価を行うことが重要であると考えられる。
このように、教員のキャリア教育に関する専門一性を確保するための環境が十分に整っ ていないことがわかる。
②聴覚障害教育や他の特別支援教育について
重複学級教員の教職年数については、重複学級教員全体(小・中・高等部教員)の教職 年数は平均16年であり、聾学校の単一学級は平均3年、聾学校の重複学級は平均2年、
他の特別支援教育は平均7年であった。
ここから、重複学級教員は重複学級での年数が平均2年と特に少ないことが明らかに なった。それにより、重複学級教員は重複障害教育に関する専門一性や経験の確保が難し いこと、さらに、小・中・高等部の重複学級教員の連携や協力体制だけでなく、児童・
生徒への一貫した指導・支援内容を組織的、系統的に進める上で課題となっていること が示唆された。
また、重複学級教員は他の特別支援教育での経験が平均7年であるのに対し、聾学校 の単一学級での経験が平均3年と少なかった。これにより、他の特別支援教育での経験 がある程度ある教員が聾学校の重複学級の教員になっていることがわかった。しかし、
聾学校の単一学級での経験が少ないことで、聴覚障害教育や手話などに関する専門一性や 経験の確保が難しいことが示唆されるのである。
聾学校の重複学級には、聴覚障害の他に様々な障害を併せ有する児童・生徒が在籍し ている。今回の調査においても、聾学校の重複学級には「聴覚障害と知的障害」の児童・
生徒が、小学部に90%、中学部に94%、高等部に93%と最も多く在籍していることが わかった。小学部においては「聴覚障害と肢体不自由」が30%、「聴覚障害と自閉症」
が32%、「聴覚障害と2種以上の障害」が32%と在籍しており、今後、児童・生徒の 障害の重度、重複化への対応が求められている。
以上より、聾学校の重複学級においてキャリア教育を行う上での課題として、重複学 級教員の「専門一性」の確保が挙げられる。今後、重複学級教員においてはキャリア教育 に関する「専門一性」と共に、聴覚障害教育や他の特別支援教育に関する「専門一性」の確 保が求められているのである。そして、これこそが聾学校の重複学級における特有の課 題であると言えよう。
(2)重複障害児童・生徒一人一人の実態に応じた指導・支援
次に、重複学級教員の「専門一性」の確保と共に、キャリア教育を行う上での課題とし て、いかに重複障害児童・生徒一人一人の実態に応じた指導・支援を行っていくかを取
り上げる。
今後、聾学校においてキャリア教育の推進と充実が考えられる。その際に、いかに聾 学校の重複障害児童・生徒一人一人の実態に応じた取り組みを進めていくことができる かといった課題を検討したい。
質問紙の中でキャリア教育を行う上での課題について、小・中・高等部の平均49%が
「重複障害児童・生徒の障害の程度や違い」であった。小学部では46%、中学部では51%、
高等部でも51%であった。学部数で見ると、小・中学部では「重複障害児童・生徒の障害 の程度や違い」という回答がそれぞれ24学部あり、2番目に多かった。高等部では、「重複 障害児童・生徒の障害の程度や違い」という回答が21学部あり、3番目に多かった。
この「重複障害児童・生徒の障害の程度や違い」の課題に対する対策として、「指導方 法・内容の検討」という回答が小・中・高等部に合計44学部あり、1番多く挙げられ た。その対策の内容をまとめると、「児童・生徒の理解に合わせた教材・教具を用意し、
指導・支援の工夫をしている。」、「学部や学校全体で教育課程について検討し、児童・
生徒の実態に合わせ領域・教科を合わせた指導を編成した。」、さらに「児童・生徒一人 一人に個別の教育支援計画や指導計画を作成し、個の実態や願いと共に、保護者の願い、
地域との連携について記入している。」などであった。
ここでノj・学部に注目すると、小学部では、重複学級における児童の実態で、r聴覚障害と 知的障害」が90%、「聴覚障害と肢体不自由」が30%、「聴覚障害と自閉症」が32%、
「聴覚障害と2種以上の障害」が32%とあり、児童の障害の多様化、重度・重複化し ていることが明らかになった。また、小学部においては、「キャリア教育に取り組んでい ない」という回答が8学部あり、その理由として、「児童の実態からキャリア教育を実 施できていない」という回答が3学部あった。その詳細は、児童の障害や発達段階といっ た実態からみて実施できないというものであった。さらに、小・中・高等部の重複学級に おける学部間連携を「行っていない」の理由として、「児童・生徒の人数や実態と重複学 級の有無」という回答が小学部に16学部と多く、中学部には8学部、高等部には4学部あ
った。それらの理由は、「児童の人数が少なく、重複学級が無い」が12学部、「児童の障害
このように小学部においては、前述したキャリア教育を行う上での課題についての質問 紙の中では児童・生徒の障害の程度や違いを重大な課題として取り上げる要因はあるもの の、小学部の回答のみ数値が高いということは全くなかった。むしろ、申・高等部よりも 低かった。ここからわかることは、この児童・生徒の障害の程度や違いという課題は、第1 に純粋に児童・生徒の在籍人数が少ないことや、重複学級がないことといった物質的な課 題が挙げられる。第2に、児童・生徒の障害の程度や違いといった実態そのものに対して は、課題として捉えていないことが示唆される。
その他に、児童・生徒の障害の程度や違いが課題として挙げられる要因が考えられるの である。それは、児童・生徒の障害の程度や違いにより、いかに児童・生徒一人一人の実 態に応じた指導・支援を行うことができるかという課題であると考える。
これについては、以下の3つの自由記述による質問の回答からも言えることである。そ れは、キャリア教育を導入する際に、配慮・工夫している点、重複学級におけるキャリア 教育について、さらに重複障害児童・生徒への指導・支援についての質問において、児童・
生徒の障害の程度や違いといった実態そのものが課題であるといった回答は1つもなかっ たのである。
これらの3つの自由記述の回答に注目すると、児童・生徒の障害の程度や違いにより、
いかに児童・生徒」人一人の実態に応じた指導・支援を行うことができるかという回答が 多く挙げられたのである。
まず、キャリア教育を導入する際に配慮・工夫している点では、小・申・高等部の合計 で「指導内容・方法の工夫」が51学部、「児童・生徒の実態把握」が25学部、「保護者
との連携」が12学部、「外部関係機関との連携」が6学部であった。
次に、重複学級におけるキャリア教育についてでは、小・中・高等部の合計で「指導方 針や指導内容」が55学部、r保護者との連携」が11学部、r児童・生徒の実態把握」が 8学部であった。
最後に、重複障害児童・生徒への指導・支援にっいてでは、小・中・高等部の合計で「指 導・支援内容の充実」が8学部、「校内指導体制の充実」が2学部であった。
以上より、課題は、今後、いかに重複障害児童・生徒一人一人の実態に応じた指導・支 援を行っていくことができるかである。