第1章 研究のまとめ
第1節 研究の結論
皿 結論
4 キャリア教育の実施状況
小学部では60校中52校(実施率87%)、中学部では47校中47校(実施率100%)、高等 部では41校中41校(実施率100%)でキャリア教育を実施していた。
小学部で「キャリア教育に取り組んでいない」という回答の主な理由は、・「キャリア 教育とレて意識して取り組んでいない」、r児童の実態からキャリア教育を実施できてい ない」等であった。
次に、キャリア教育はどの程度、実施されているのかを知るために「キャリア教育を 教育課程に位置づけているかどうか」という点に注目した。「キャリア教育を教育課程 に位置づけていないが、キャリア教育を取り組んでいる」と答えた学部が小学部で81%
と多く、中学部では55%、高等部では56%であった。この結果は、北市(2009)の結果 と同様にr位置づけていない」という割合が多いことが共通していた。
しかし、北市(2009)の研究では、「位置づけている」聾学校の割合は小学部で7.7%、
中学部で26.9%、高等部で30.4%であったのに対し、今回の調査では小学部が19%、
中学部が45%、高等部が44%と割合が高いことが明らかになったのである。
5 キャリア教育の取り組み内容
取り組み内容として多かった順に、小学部では「日常生活学習」、「生活単元学習」、
「自立活動」、「特別活動」であった。中学部では「職場体験」、「先輩・卒業生の話」、
「自立活動」、「職場見学」であった。高等部では「職場体験」、「先輩・卒業生の話」、
「職場見学」、r自立活動」であった。
また、「教育活動全般を通して取り組んでいる」と回答した学部は、小学部で73%と 多く、中学部で53%、高等部で59%であった。そして、咽別の教育支援計画や移行支援 計画」の活用については、小学部で35%、中学部で34%であったが、高等部では49%と 多かった。
6 キャリア教育を行う上での課題
小学部ではキャリア教育に関する「教員間の共通理解」、中・高等部では「教員のキ ャリア教育に関する専門1性」が最も多かった。次に、小・中学部ではr児童生徒の障害 の程度や違い」、高等部では「教員間の共通理解」が多かった。以上の3点が主な課題
7 キャリア教育を推進する校内組織の有無
聾学校の42%に学校全体としてのキャリア教育を推進する組織があった。この数字は、
先行研究である北市(2009)の43.3%とほぼ同じであった。また、本調査では各学部にお ける組織や重複学級間における組織についても調査しており、各学部で「組織がある」
は平均27%、重複学級問で「組織がある」は平均6%であった。校内組織の名称につ いては、小・中・高等部の合計で「進路指導部や進路指導委員会など」が34学部、「キ ャリア教育推進委員会やキャリア教育部など」が13学部であった。
本調査では組織における活動内容についても調査した。それより、キャリア教育の推 進や取り組みを行っていることがわかった。それは、「キャリア教育段階表作成」、「キ ャリア教育推進計画(キャリアプランニング)に基づき、教育目標の推進と実施結果の分 析」、「保護者と教員のキャリア教育に関する懇談会」、「キャリア教育年間計画作成」、
「キャリア教育に関する情報提供」、「幼児、児童・生徒の進路指導(キャリア教育)全 体計画の作成」、「キャリア教育学習内容表の作成と検討、調整」、「キャリア教育に関す る全体研修や学習会」であった。最後に、「校内組織がない」と回答した学部に、今後 の必要性について質問した結果、約8割は「無回答」と「わからない」という回答であ
った。
8 キャリア教育に関する校内研修会の有無
小・中・高等部の平均35%に、学校全体におけるキャリア教育に関する研修会があ った。この数字は、先行研究である北市(2009)の23%よりも高い割合であった。また、
本調査では、各学部における組織や重複学級間における組織についても調査しており、
各学部で「研修会がある」は平均18%、重複学級間で「研修会がある」は平均5%で あった。そのうち、各学部の高等部のみに注目すると、高等部に「研修会がある」は 37%と割合が高かった。
研修会の講師については、小・中・高等部の合計で上位3つを挙げる。それは、「大 学教員など外部講師」が30学部、「進路担当などの教員」が26学部、「卒業生」が14 学部であった。研修会の内容については、小・中・高等部の合計で上位3つを挙げる。
それは、「進路に関する情報提供や学習会」が44学部、「キャリア教育に関する学習会」
が27学部であった。最後に、「研修会がない」と回答した学部に、今後の必要性につい
9 小・中・高等部重複学級における学部間の連携状況
小・中・高等部の平均48%が、学部関連携を行っていた。この数字は、先行研究で ある北市(2009)の43.3%よりも少し高い割合であった。小・中・高等部の学部間連携の 内容については小・中・高等部の合計で上位3つを挙げる。それはr小・中・高等部重 複学級担任者による重複部会」が38学部、「個別の教育支援計画による教員間の引継ぎ」
が34学部、「小・中・高等部重複学級で合同の授業・特別活動」が19学部であった。
また、「学部間連携を行っていない」の理由については、小・中・高等部の合計で上 位2つを挙げる。それは「児童・生徒の人数や実態と重複学級の有無」が28学部、「キャ
リア教育として取り組んでいない」が17学部であった。そのうち、小学部に注目すると
「児童・生徒の人数や実態と重複学級の有無」が16学部と割合が高かった。
最後に、「学部間連携を行っていない」と回答した学部に、今後の必要性について質 問した結果、小・中・高等部の全体平均54%はr必要」という回答であった。その他、
「不必要」は4%、「わからない」は27%、「無回答」16%であった。学部間連携が「必要」
の理由については、小・中・高等部の合計で上位3つを挙げる。それはr学部間連携に よる指導の一貫性のため」が25学部、「指導方法や内容の再検討のため」が20学部、
「キャリア教育の推進のため」が7学部であった。