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第3章 学士課程の教育内容・方法等

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第3章 学士課程の教育内容・方法等

(1)文学部

【到達目標】

文学部では、21世紀の知識人として通用する総合的な視野を持った人材の育成を目指し ている。すなわち、あまりに狭隘な「専門性」に早期からとらわれるのではなく、人文諸 科学に対する広い知識を持った上で、あらためて自己の専門性を認識するような、「バラン スの取れた」人間を育てようとしている。それは、古い「教養主義」とは似て非なるもの であって、今ここにある自分と世界を、適切な距離感を持って認識し、自ら問題を発見し て解決して行く能力を涵養するものである。言い換えれば「世界の中で生きて行く力」を 身につける、ということである。

この目的意識のもと、英語・英米文学科においては、特に欧米の文化に対して国際的な 視野を持った人材を育成することを目指し、また日本語・日本文学科においては、特に日 本の文化に対する広い理解を持った人材を育成することを目指している。以下に詳述する ようなカリキュラムは、実にこのために作成されているのであり、その特徴を一言を以て 表せば「人文諸科学についての浩瀚な知識を備えつつ、専門性を構築する」ということで ある。他学科の単位を一定量修得できる制度も、他大学との間の単位互換制度も、すべて はこの目的のために整備されていると言ってよい。

とはいえ、学部レベルの教育であるから、そこには自ずからなる限界があることも確か である。実際、本学に限らず現代の大学生の学力と意欲に照らして、特に高度な専門教育 を学部レベルで実行することは困難であるし、時には無意味でさえあるだろう。したがっ て本学では、きわめて高度な専門教育は、制度として大学院に譲るかたちになっている。(た だし、意欲ある学生に対しては、学部生時代から大学院教育の一端をうかがうことのでき るような制度も、2005年度からは手抜かりなく設けてある。)むしろ、「将来、大学院に進 みうるような」人材を、文学部は生み出そうとしている、とさえ言える。

a.教育課程等

(a)学部・学科の教育課程

a)教育課程と学部の理念・目的並びに学校教育法 52 条等との関連(A群)

b)学部・学科等の理念・目的や教育目標との対応関係における、学士課程としてのカリキュラムの体系 性(A群)

【現状】

英語・英米文学科、日本語・日本文学科に共通している部分を一括して述べ、学科ごとに 独自のものについては、その後に述べる。

〈両学科共通〉

共通教養科目とあわせ、共通専攻科目や共通関連科目を通じ広く知識を学ぶとともに、

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専攻科目で深く専門の学問体系を学び、それらの集大成として卒業論文・卒業レポートに 自ら問題意識を持って取り組み、応用能力の育成を果たすカリキュラムは学校教育法第 52 条、大学設置基準第 19 条に照らして適切なものであると言える。

1年次の概論、2年次から少人数の演習を積み上げるという現行のカリキュラム編成は、

各専門分野における幅広い知識・教養を身につけると同時に学生の興味・関心に基づき深 く学ぶことができるようになっている。

共通専攻科目は、言語学概論や文学概論など、文学部の学生にとってその学習が必須と される領域を中心に構成されている。これに対し共通関連科目は必ずしも狭義の「文学」

の領域に含まれるものではないが、より広い視野を涵養する為に必要であると考えられて いる科目で構成されている。また、他学科の 10 単位を卒業単位として修得できることなど、

両学科の間の「垣根」が低く設定されているのがひとつの特徴である。

本学では学生の所属する年次として特に区分された「基礎課程」などがあるわけではな いが、共通教養科目と専門教育科目の年次配当の関係上、1 年次の学生は比較的に共通教養 科目を多く履修する結果となる。しかし、専門教育科目のうち、各種の概論は1年次から 配当されている。また共通専攻科目・共通関連科目および日本語教育関係科目の中には1 年次から配当されているものがある。

専攻科目の履修は基礎的な科目から順次学年を追って専門性の高い科目の履修に進むよ うに体系づけられている。例えば講義では、専門分野についての基礎的な知識や考え方の 伝達を目標にする概論や文学史などの科目を設け、1年次の必修にしている。演習では、

文学部各学科共通の「基礎演習」を設け、1 年次の必修にしている。この演習は基礎的な力 を養い強化することを目的にし、学科の枠を越え、10 名程度の小人数から構成されている。

これを修得した後、専門科目の演習を履修することになる。演習は専門科目の要の科目 群で、学生自ら活動の中心となって、与えられた課題または自ら選んだ課題を調査・研究 し、その成果を発表することにしている。このようにして、3年次に演習Ⅰ、4年次に演 習Ⅱを履修することになる。このように選択必修の演習を段階的に積み上げることで全体 として、特に高学年においては「演習」主体のカリキュラムとなっていると言える。

このことは英会話や英作文の科目群についても同様で、英会話 I と英作文 I は1年次に、

英会話Ⅱと英作文Ⅱは2年次に、英会話Ⅲと英作文Ⅲは3年次に開設され、基礎的な科目 から高度な科目へ履修できるように工夫されている。

卒業論文と卒業レポートは、以上のような科目の履修を踏まえ、学生自ら問題意識を持 って取り組み、達成すべき最終的な目標になっている。学習の集大成としての卒業研究が 4年次に必修とされており、これは卒業論文(8 単位)と卒業レポート(4 単位)に分かれ、

どちらを選択するかは学生の自由である。その水準は、卒業論文では学会論文として通用 する程度を求める。英語・英米文学科の場合、卒業論文は使用言語を英語とし、20 ページ

(1 ページは 60 ストローク×27 行)以上を求める。卒業レポートの場合は同様に 10 ペー ジ以上を課すが、使用言語として日本語も認め、この場合には 400 字詰め原稿用紙換算で

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20 枚以上としている。

また、日本語・日本文学科の場合、使用言語はすべて日本語で、卒業論文の場合 400 字 詰め原稿用紙換算 50 枚(20,000 字)以上、卒業レポートでも 10,000 字以上が要求される。

以上のように、比較的に負担の小さな「卒業レポート」を選択した場合でも、その内容は 優に他大学の卒業論文に匹敵するものとなっている。

卒業研究として2種類設けているのは一つには拡大する学生の学力差に対応するためと、

もう一つは少人数できめ細かい指導をするためである。この実現を可能にしているのは一 般教育担当の専任教員や他科の専任教員の助力があるからであり、教員の負担軽減という 点においても大いに評価できる。

卒業必要単位数は、文学部各科共通科目の「基礎演習」4単位、一般教育科目 28 単位、

外国語科目・保健体育科目 10 単位、専門科目 72 単位、自由選択科目 14 単位、総計で 128 単位以上になっている。

すなわちカリキュラム全体として、いたずらに狭い領域に偏らない勉学を奨励し、最終 的により高度な「専門適性」を身につけることを狙っている。

〈英語・英米文学科〉

【現状】

英語・英米文学科では、英語学、英米文学、欧米文化の学習を通して、国際的視野を持 った人材の養成を目指している。専門教育科目は、①英語学関係科目、②英米文学関係科 目、③欧米文化関係科目の三つの専攻科目、④卒業論文・卒業レポート、⑤日本語・日本 文学科と共通の共通専攻科目⑥日本語・日本文学科と共通の関連科目(共通関連科目およ び日本語教育科目)から成る。

専門教育科目は、基礎的なものから高度なものまで体系的・相関的に学べるようになっ ている。1年次では、文学系、言語学系の概論が必修となっている他、英文学史、米文学 史など基礎的な講義を配している。2年次から4年次までは、英語学関係科目、英米文学 関係科目、欧米文化関係科目の3つの専攻科目に従って科目が配されており、段階を踏ん で学べる仕組みになっている。3年次から少人数の専門演習を履修することで、学生自身 の興味に応じて能動的に学ぶ力を育成することができているであろう。また、早期に狭い 専門分野のみの履修に留まらないよう工夫されている。

これに積み上げる形で、3、4年次の演習Ⅰ、Ⅱがあり、3分野7科目からの選択必修 となっている。4年次では、卒業論文または卒業レポートが必修である。卒業論文は、英 語で書くことが条件の1つになっており、内容的にも英語・英米文学分野の学術論文とし て通用するレベルを求めている。卒業レポートもそれに準ずるものであるが、日本語で書 くことも許容され、また英語・英米文学の周辺分野の研究も含むことができる。

さらに英語・英米文学科では、専門の学問を深めるとともに、英語の実用的運用能力の 育成にも力を入れている。英会話と英作文はほとんど英語のネイティブ・スピーカーによ

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るもので、I, Ⅱ,Ⅲと段階を踏んでレベルアップをはかっていけるようになっている。

学生の英語力向上や英語圏の文化への関心を深めるため、カリキュラム外にも様々な試 みがある。「イングリッシュ・クリニック」では、英語圏からの留学生(2007 年度はニュー ジーランド出身の留学生)に週3時間来てもらい(6月から2月まで)、英会話や発音の練 習、レポートの英語のチェック、また卒業論文など英語に関する実験・研究の被験者など 学生の興味や要望に応じて利用することができ、学生からのニーズは極めて高い。

また、「夏期集中英語講座」は、夏休みの5日間集中的に、全く日本語を使わず英語のみ 使う講座として設定されている。2007 年度は、ネイティブ・スピーカー2名をむかえて、

朝 8:40 から夕方 5:30 まで、集中的に行われ、11 名の学生が参加した。

「イングリッシュ・クリニック」、「夏期集中英語講座」共に、2003 年から続いているカ リキュラム外の企画として、学生に人気がある。

【点検・評価等】

「欧米文化」の分野には概論に相当する科目がなく、2年次からの履修になっているた め、専門性に偏りがある場合もある。英会話・英作文のクラスは、1年から3年まで必修 であるが、未履修の学生も散見され、対応が必要となる可能性も指摘される。

【改善方策等】

専門科目と英語の実用的運用能力の向上をはかるクラスとの連携を強めていく必要があ る。また、両者の重要性を学生により認識させていかなければならない。英会話・英作文 を全て必修科目とし、英語・英米文学科の卒業生にふさわしい英語運用能力を身につける ことにさらに力を入れている。

〈日本語・日本文学科〉

【現状】

日本語・日本文学科では、日本語・日本文学・中国文学の学習・研究を通じて、日本語や 日本文学への理解を広め、深めることを目的としている。専門教育科目としては①日本語 学関係科目 ②日本文学関係科目 ③中国文学関係科目 ④卒業論文・卒業レポート ⑤ 英語・英米文学科と共通の共通専攻科目 ⑥英語・英米文学科と共通の関連科目(共通関 連科目および日本語教育科目)の6種類が設定されている。基本的なものからはじめて、

相当に高度なものまで体系的に学べるように配慮している。

本学の日本語・日本文学科は、大学入学後、それもかなり遅い時期(3年次の後期。形 式的な最終決定は4年次の履修登録時だが、実際にはそれ以前に指導教員との間で話し合 いが行われる。)までいわゆる専攻分野を決定しなくてもよいのが特徴である。これは、学 生が不必要に早く狭い意味での「専門」意識に陥り、狭隘な視野にとらわれてしまうこと を避けるためである。他学科の科目を一定の単位まで修得できる制度があるのも、同じ趣 旨である。

【点検・評価等】

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現状は、少人数教育の実を挙げるという点から見て、おおむね各制度が有効に機能して いるといえる。

【改善方策等】

少人数教育の意義を教員(兼任教員を含む)および学生に対して十分に理解浸透させる ことが必要である。

日本語教育関係科目の位置づけの明確化、および副専攻の制度的明示が課題である。

c)教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ(A)群

(基礎教育)

2005 年度からの新カリキュラムでは、基礎教育の充実の観点から、英語・英米文学科に おいては、「専門基礎A、B」という1年次必修科目をたて、英語・英米文学の専門科目を 学ぶために必要な英語力、すなわちリーディング、リスニング、英文和訳および英作文の 能力を向上させている。

また、日本語・日本文学科では、「漢文学基礎」「日本語文法基礎」という一年次必修科 目を立て、専門科目を学ぶために必要な基礎学力、すなわち漢文読解力、解釈文法の能力 を向上させている。

(倫理性を培う教育)

建学の精神「畏神愛人」という理念に基づいて、本学は学生の人格形成を目指している。

共通教養科目に配置されている必修の「キリスト教学」は、キリスト教の理念にたつ本学 の教育方針と、本学の学生であることへの自覚を養っている。

また、単位認定とは別に、キリスト教学校の本質は礼拝であるという考えから、週一回 の礼拝、創立記念礼拝、秋の特別礼拝、クリスマス礼拝、卒業礼拝を実施している。その ほかに、入学式の後に全新入生を対象としたリトリート(退修)を1泊2日の日程で行っ ている。これには全教員も参加し、学生が本学の理念および歴史等について理解を深める 機会になっている。さらに、3年次秋においてもリトリート(退修)を毎年開催している。

【点検・評価等】

礼拝の司会者は宗教委員の学生が週代わりで担当している。宗教委員会に属するハンド ベルクワイアーの演奏もあり、荘厳な雰囲気の中で礼拝が行われている。また、礼拝には 学生のみではなく、教職員も多数参加している。

新入生と教員がともに宿泊する 1 年次のリトリートでは、本学の理念等について理解を 深める絶好の場になっている。そこでは広く宗教の意義について議論したり、大学生活全 般について先輩学生がガイダンスする時間も設けられている。後日、新入生リトリートが 良き思い出になっていると語る在学生は枚挙に暇ない。

以上、概ね順調に機能しているといえる。

【改善方策等】

本学はキリスト教の精神に基づいて「教育する」高等教育機関である。この精神を多く

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の機会を利用して学生に伝える努力が今後も必要である。本学では礼拝は強制されていな い。この方針を堅持しつつ、学生がもっと積極的に参加できるような工夫と環境づくりが 望まれる。

d)「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科等の理念・目的、学問の 体系性並びに学校教育法第 52 条との適合性(B群)

〈英語・英米文学科〉

【点検・評価等】

英語・英米文学科のカリキュラムは国際的視野を持った学生の育成という学科の教育目 的に合致したものであり、学校教育法第 52 条、大学設置基準第 19 条との関連性についても、

十分留意した教育課程を実施している点で評価できる。

本学科の専攻科目のなかには従来の英語学関係科目と英米文学関係科目の他に、欧米文 化関係科目があり、ヨーロッパ史、異文化理解、英米事情、アメリカ史などの科目の履修 を可能にしている。これは従来の語学と文学領域のみの科目群に限定せずに、文化領域の 科目群を加えることによって、より広い視野に立った教育を可能にするものであり、学生 の科目履修の選択幅を広げるものである。

先述したように、本学科では卒業時にすべての学生に対して卒業研究を義務付けている。

「卒業論文」と「卒業レポート」のどちらかを、4年生の初めに選択することになる。

多くの学生が卒業論文よりも、卒業レポートを選択しているのが現状である。卒業論文 と卒業レポートの選択の比率は、2003 年度においては卒業論文 39.5%に対して卒業レポー トが 60.5%、2004 年度においては卒業論文 13.6%に対して卒業レポートが 86.4%、2005 年度においては卒業論文 20.0%に対して卒業レポートが 80.0%、2006 年度においては卒業 論文 24.0%に対して卒業レポートが 76.0%となっており、卒業レポートを選択する学生の 比率が圧倒的に高い。

【改善方策等】

卒業研究に卒業レポートを加えたのは 2003 年度からである。この結果、卒業論文を選択 する学生よりも卒業レポートを選択する学生が圧倒的に多い状態が続いている。英語・英 米文学科を唱道している以上、英語で卒業論文を書くことが望ましいことであるが、現状 は反対の結果が出ている。

卒業論文を選択する学生を増やすために、卒業論文を選択する条件を緩和した。その一 つとして、これまで「卒業論文履修者は、指導教員(主査)の演習Ⅱおよび演習Ⅲを履修し なければならない。また卒業論文履修者は、英作文 I、Ⅱを修得し、3年次に英作文Ⅲを履 修していなければならない」とした条件を削除する等の方策を打ち出した。この方策の効 果については、今後とも、注視していく必要があろう。

さらに現行では論文は英文で書くことを義務付けているが、これに和文で書くことも場 合によっては、今後、認めることも考えられる。

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〈日本語・日本文学科〉

【点検・評価等】

本学科のカリキュラムは、中高の国語教員の養成、および日本文化を深く理解する人材 の育成という学科の教育目的に合致したものであり、学校教育法第 52 条、大学設置基準第 19 条との関連性についても、充分留意した教育課程を実施している。

本学科では、すべての学生に対して卒業研究を義務づけているが、卒業論文・卒業レポ ートは、4年間の学習成果を学生の問題意識によって集約するものである。ただし、卒業 論文のテーマは日本語学関係、及び日本文学関係に限定されており、卒業レポートのテー マは卒業論文のテーマより緩やかで、テーマにより他学科の専任教員、或いは共通教養科 目担当の専任教員の指導も可能である。学生の選択肢の拡大、および教員の負担軽減とい う点において大いに評価できる。因みに、卒業論文と卒業レポートの選択の比率は、2003 年度には卒業論文 66.7%に対して卒業レポート 33.3%、2004 年度には卒業論文 67.7%に 対して卒業レポート 32.3%、2005 年度には卒業論文 61.5%に対して卒業レポート 38.5%、

2006 年度には卒業論文 46.3%に対して卒業レポート 53.7%となっており、卒業論文選択者 の比率がこれまで 60%台で推移してきていたものが、急速に減少しているのは検証しなけ ればならない。

【改善方策等】

異文化理解と異文化研究、および日本文化とアジアの文化との関係の重要性から、異文 化理解コースの科目を開設することも検討すべきである。

e)一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵 養」するための配慮の適切性(B群)

【現状】

本学部における一般教養的科目は「共通教養科目」である。本学部における共通教養科 目の位置づけは、単に専門科目のための「導入」ということに止まらず、諸学問に対する 幅広い理解に裏打ちされた、「総合的に思考する人間」の形成を目指す積極的なものである。

「共通教養科目」は、「基礎演習」、「一般教育科目」、「外国語科目」、「保健体育科目」によ って構成され、「一般教育科目」については、さらに「キリスト教についての科目」、「人間・

社会についての科目」、「自然についての科目」、「地域についての科目」、「教養演習」から 構成されている。

「基礎演習」は、すべての学生に必修の科目として、大学に入学して間もない1年次の うちに、これから大学において学問を継続していくうえで必要となる基礎的な力を養い、

強化することを目的として設置されている。

「一般教育科目」を構成する科目について、まず、「キリスト教についての科目」は建学 の精神であるキリスト教の理念を尊重することから置かれた科目である。1年次前期と3

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年次後期に「キリスト教学」を必修として置いている。また、キリスト教文化を理解する ための科目として、キリスト教音楽の科目も設置されている。次に,「人間・社会について の科目」,「自然についての科目」であるが,これらは、文化現象と自然現象について幅広 く学べるように、多くの科目が置かれている。なかでも、「情報の科学」を1年次前期の必 修とし,コンピュータ・リテラシーの向上をはかっている。また、「地域についての科目」

は、本学の所在地である弘前を含む津軽地域の歴史、文学、自然等をはじめとして、いわ ゆる地域について総合的に学ぶことができるように科目を配している。「教養演習」は,2 年次からの選択科目として置かれた、少人数による演習形式の授業であり、担当教員の専 門分野に近いテーマを設定し、専門科目以外の学問領域により深く触れる機会を設けてい る。

【点検・評価等】

「共通教養科目」は、幅広い教養、総合的な判断力、そして豊かな人間性を培うために、

総じて適切な科目が適切に配当されているといえる。「キリスト教についての科目」は、本 学部の基幹科目として、建学の精神に立脚した人間形成に寄与するものである。「地域につ いての科目」は、本学の位置する津軽地域にとどまらず,地域そのものを深く探究する契 機となる科目として位置づけることができ、本学の教育課程のアクセントを形成している といえる。また、「人間・社会についての科目」も、一般教養科目としては、必要な科目が 設定されており、単に専門の準備段階という位置づけではなく、幅広い教養を養い、豊か な人間性を培うという目的を十分に達しうる科目設定となっている。コンピュータ・リテ ラシーの向上をはかる「情報の科学」や、ツールとして英語が使えるように工夫された「英 語」は、教養教育におけるグローバル化時代に対応させた教育として、またコミュニケー ション能力を養う教育として、位置づけることができる。

しかしながら、人文系学部のゆえに、「人間・社会についての科目」が 14 科目開設され ているのに対して,「自然についての科目」が 6 科目開設されるにとどまっており、自然科 学的領域の科目が相対的に少ないという問題点を指摘することができる。

f)外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等の進展に適切に対 応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性(B群)

【現状】

「外国語科目」は、大学生としての最低限度の英語運用力を養うために、英語Ⅰおよび

Ⅱを設けており、英語Ⅰを必修として定めている。これらの科目では、学生がこれからの 国際化社会の進展に対応していくために、ツールとして英語が使えるように教授法にも工 夫をこらしている。また、在学中、英語以外の言語にも広く親しんでほしいという考えか ら、フランス語、ドイツ語、中国語を選択必修科目に指定している。

「保健体育科目」は,講義科目と実技科目に分けられるが、本学部では実技科目を豊富 にして、学生の選択幅を大きくしている。そのなかには,この地域ならではの「スノース

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ポーツ」や、学生の体力を維持・増強していくための「ダイエット」なども設けられてい る。

【点検・評価等】

「外国語科目」は,国際化等の進展に適切に対応するための外国語能力の育成という課 題を満たしうる科目設定といってよい。2005 年度から実施のカリキュラムにおいては、文 学部における必修単位が減少したが、英語・英米文学科では共通関連科目における「英会 話」と「英作文」のⅠ、Ⅱ、Ⅲを必修化することで外国語能力の育成を更に充実させた。

日本語・日本文学科では必須ではないが、それらを履修することができる。

しかしながら、近年、到達すべき外国語能力と学生の入学時における外国語能力とが懸 隔しており、習熟の程度に応じたクラス分けなどによって対応しているものの、学生の学 力水準に必ずしも合致していない科目があるという問題点も存在している。

g)教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養的授業科目・外国 語科目等の量的配分とその適切性、妥当性(B群)

【現状】

「共通教養科目」では、「基礎演習」4 単位、「一般教育科目」28 単位以上、「外国語科目」

と「保健体育科目」あわせて 10 単位以上を卒業までに修得すべき単位として課している。

【点検・評価等】

「共通教養科目」は、卒業要件単位数 128 単位以上のうち、42 単位以上(全体の約 32.8%)

の修得を課している。幅広い教養を養い、豊かな人間性を培うという観点に照らせば、こ れらの科目で必要な内容をカバーしている。

h)基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況(B群)

【現状】

これらの科目について所轄、運営、評価する機関として「共通教養科目運営委員会」を 設けており、その責任を明確にしている。当委員会では、毎年度これらの科目についての 評価と、それに基づいて次年度における改善を適宜行っているところである。

【点検・評価等】

大学全体の教養教育の設置に向けての取り組みに先駆け、文学部の開講科目である「地 域研究B」は3学部の教員 7 名が担当している。

e)~h)項目の【改善方策等】

「自然についての科目」については、現在行われている弘前大学との単位互換制度のよ りいっそうの利用、あるいは 2005 年度開学した看護学部との単位互換の制度化などを通じ て拡充することが可能であろう。

また、「外国語科目」における学生の学力と授業科目との乖離は、現在英語Ⅰにおいて実

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施されている学生の学力に応じた習熟度別クラスをよりきめ細やかに行うなどの対応を通 じて、克服されるものと思われる。

(b)カリキュラムにおける高・大の接続

a)学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状況(A群)

【現状】

2006 年度から推薦入試とAO入試による入学が確定した者(多くは高等学校在学生)を 対象にした「入学前教育」を実施している。

また、入学後の導入教育として実施している「基礎演習」は、両学科1年次の必修科目 として設けられている。その目的は、在学中における研究はもちろん、卒業後の社会生活 にとって必要な基礎的な能力の開発である。具体的には、論理的な思考力、コンピュータ を用いた情報収集力、テキストの読解力、および文章や口頭での表現力を高めることであ る。

この演習は十数名前後の少人数形式によって運営されるため、教員が学生一人一人に対 してきめ細かな助言や指導を行うことができる。演習担当の教員のなかには、演習時間外 にアカデミックライティングの仕方を教えたり、図書館利用や情報検索の効率的な方法を 指導したり、大学生活に不慣れな学生との面接機会を設ける等、学生の学力とニーズに対 応する工夫も行われている。

【点検・評価等】

1年次の必修科目である「基礎演習」は、本学部の初年次教育の中核をなしている。加 えて、それは大学生活にまだ完全には慣れていない学生を、サポートする役割を負ってい る。現状では概ねうまく機能しているといえる。また、すべての入学確定者に対する指導 ではないが、「入学前教育」を導入した点は評価に値するといえる。

【改善方策等】

学力の点でばらつきのある学生にうまく対応する工夫が、今後も必要だろう。現状では 個々の教員にそれが任せられているが、これからは教員チームとしての組織的な取り組み が求められる。例えば、「教科書」の作成とその統一的な使用である。第二に、一教員一ゼ ミ形式が現状であるが、諸々の基礎的な能力を遺漏なく養うために、将来的にはオムニバ ス形式や合同ゼミ方式等導入することも考えたい。「入学前教育」に関しては、実績を積み ながらその内容の充実を図りたい。

(c)履修科目の区分

a)カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性(B群)

〈英語・英米文学科〉

【現状】

英語・英米文学科のカリキュラムは次のような専門科目を配置している。専門科目は専

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門領域にかかわる「専攻科目」とその周辺領域にかかわる「関連科目」とに二分されてい る。その細目については既に述べたので、ここでは繰り返さない。

卒業必要単位数 128 単位に対して必修科目単位数は次のようになっている。英語・英米文 学科と日本語・日本文学科の共通科目である「基礎演習」4単位、「一般教育科目」につい ては「キリスト教についての科目」群から4単位、「人間・社会についての科目」群から8 単位、「自然についての科目」群から4単位、そして「地域についての科目」群から2単位。

「外国語科目」と「保健体育科目」をあわせて 10 単位。「基礎演習」、「一般教育科目」お よび「外国語科目」と「保健体育科目」あわせて 32 単位である。(これに自由選択科目か らの 14 単位が加わる。)

一方、専門科目については「専門基礎」2単位、「英語学概論」4単位、「英米文学概論」

4単位、「文学概論」4単位、「言語学概論」2単位、「英会話」(Ⅰ〜Ⅲ)6単位、「英作文」

(Ⅰ〜Ⅲ)6単位。合計 28 単位である。

また、英語学関係科目、英米文学関係科目、欧米文化関係科目から、それぞれ4単位選 択必修、演習Ⅰから4単位選択必修、演習Ⅱから4単位選択必修。卒業論文選択者は、卒 業論文8単位が選択必修、卒業レポート選択者は卒業レポート4単位が選択必修となって いる。

【点検・評価等】

実用英語関係(英会話、英作文)の科目を、大幅に必修とし学生のニーズに応える改革 を行った。今の所は、順調と言える。

一方で単位が取れず、再履修しなければならない学生に対するケアも、同時に必要とな った。

【改善方策等】

今後、必修科目の単位を落とし留年するというケースが多発すれば、場合によっては、

必修科目の見直しという手を打つ必要があるかもしれない。

〈日本語・日本文学科〉

【現状】

本学部の卒業必要単位数は2学科とも 128 単位以上であり、カリキュラムの体系は学部 共通の「基礎演習」、「一般教育科目」、「外国語科目」、「保健体育科目」、および2学科の専 門科目からなっている。また、免許資格の取得に関わる科目の多くは、「免許・資格科目」

として別途設定している。

日本語・日本文学科のカリキュラムは、専門領域にかかわる「専攻科目」とその周辺領 域にかかわる「関連科目」に二分されている。その細目については既に述べたので、ここ では繰り返さない。

卒業に必要な単位数 128 単位に対して、専門科目以外の必修科目単位数は英語・英米文 学科とまったく同じであるので、ここでは省略する。

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一方、専門教育科目については、「日本語文法基礎」1 単位、「漢文学基礎」1 単位、「日 本語学概論」4単位、「日本文学概論」4単位、「中国文学概論」4単位、「日本語学」から 4単位、共通専攻科目の「文学概論」4単位、「言語学概論」2単位、および「卒業論文・

卒業レポート」8(ないし4)単位が必修である。「日本語学演習Ⅰ」4 単位、「上代文学」・「中 古文学」、「中世文学」・「近世文学」および「近代文学」・「現代文学」からそれぞれ 2 単位、

「上代中古文学演習Ⅰ」・「中世近世文学Ⅰ」・「近代現代文学Ⅰ」から4単位選択必修であ る。

卒業のためには専門科目の単位が合計 72 単位以上必要であるのは、英語・英米文学科と 同様である。

【点検・評価等】

卒業論文選択者の必修単位総数が 76 単位で、卒業必要単位数に占める比率が 59.4%であ る。一方、卒業レポート選択者の必修単位総数が 72 単位であり、卒業必要単位数に占める 比率が 56.3%である。共通教養科目と専門教育科目を分けて、それぞれの必修科目の占め る単位数の比率は、以下のとおりになっている。卒業に必要な単位数は、基礎演習4単位

(3.1%)、一般教育科目 28 単位(21.9%)、外国語科目と保健体育科目を合わせて 10 単位

(7.8%)、専門教育科目 72 単位(56.3%)、自由選択科目 14 単位(10.9%)、総計で 128 単位以上である。比率から見るとほぼ妥当である。

【改善方策等】

日本語・日本文学科として、中学校・高等学校の国語教員など専門知識を有する人材の 育成目標を達成するため、現在では大学院への進学を十分に視野に入れなければならない 時代になっている。そのために、今後は、大学院への進学を考慮して専門教育科目の選択 必修をデザインする必要が生じてくるだろう。

(d)授業形態と単位の関係

a)各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位計算方法の妥当性

(A群)

〈共通〉

「単位計算方法」

本学では「学則」第 72 条により、文学部の授業科目の単位計算方法は次のように定められ ている。

各授業科目の単位数は、1単位の授業科目を 45 時間の学修を必要とする内容をもって構 成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要 な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。

講義および演習については、毎週1時間 15 週の講義または演習をもって1単位とする。

語学および実験、実習、実技については、毎週2時間 15 週の授業をもって1単位とする。

前項の規定にかかわらず、卒業論文については、学修の成果を評価して単位を授与する

36

(13)

ことが適切であると認め、これを8単位とする。

大学の行事や国民の祝日のために、期末試験を含め 15 回の授業ができなくなるのを防ぐ ため、学務委員会で予め年間の授業回数を曜日毎に検討し、教授会に諮っている。

〈英語・英米文学科〉

【現状】

「授業科目について」

先述のとおり、英語・英米文学科の専門教育科目には①「英語学関係科目」、②「英米文 学関係科目」、③「欧米文化関係科目」および④「関連科目」の各科目群がある。①の「英 語学関係科目」群には、英語学概論、英語史、英文法など、および英語学演習(Ⅰ・Ⅱ)

が含まれ、言語を科学的に分析する方法を学び、その音声や意味、その習得について理論 的に研究する。②の「英米文学関係科目」群には英米文学概論、英詩概論、英文学史、米 文学史など、および英米文学演習(Ⅰ・Ⅱ)が含まれ、シェ-クスピアから現代英米文学 までを研究対象とする。近年これらの科目群に加えて、有機的に補完し合う科目群として

③の「欧米文化関係科目」群が設けられた。この科目群にはヨーロッパ史、アメリカ史、

英米事情、異文化理解など、従来無かった科目が演習として開設され、異なる文化や歴史 を学ぶことで、語学や文学の理解を一層深めることを目指している。

④の「関連科目」群の中には英会話(Ⅰ~Ⅲ)や英作文(Ⅰ~Ⅲ)を設け、社会の要請 に応えるべく、また実用的な運用能力を高めるために、1年から3年に渡って履修できる ように学年配当をしている。2005 年度カリキュラムからは英会話(Ⅰ~Ⅲ)および英作文

(Ⅰ~Ⅲ)はⅠからⅢまでをすべて必修にすることになった。この「関連科目」群はまた、

日本語・日本文学科と共通の開講科目群になっているのが特徴と言えよう。

4年次配当科目「卒業論文」および「卒業レポート」は選択必修であるが、「卒業レポー ト」の指導教員には共通教養科目担当の専任教員や日本語・日本文学科の専任教員の参加 を求め、広く助力を仰いでいる。

【点検・評価等】

各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係において、その各々の授業科目の単位計算 方法は概ね妥当なものと判断される。

英語・英米文学科の「専攻科目」の開講単位数を調べてみると、英語学関係科目 42 単位、

英米文関係科目 58 単位、欧米文化関係科目 28 単位、卒業論文・卒業レポート 12 単位で合 計 140 単位である。この他に、英文・日文共通の「共通専攻科目」が 16 単位、専門基礎的 科目が 2 単位開講されている。すなわち、「専攻科目」全ての合計は 158 単位であり、卒業 に必要な専門科目単位数 72 を満たすのにこれだけで十分なほどである。(なお、旧カリキ ュラムでは、「卒業のためには専攻科目から 60 単位以上」というルールがあったが、現行 のカリキュラムでは、撤廃されている。)

【改善方策等】

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(14)

このように充実した単位数であるが、各関係科目のバランスをみると、語学関係や文学 関係に比して欧米文化関係分野の単位数(28 単位)が少ない。卒業研究に欧米文化に取り 組む学生が増えていることを考えると、将来この分野を充実してゆく必要がある。

〈日本語・日本文学科〉

【現状】

「授業科目について」

日本語・日本文学科の専門教育科目には、「日本語学関係」、「日本文学関係」、「中国文化 関係」の諸科目群が含まれている。日本語学専門科目においては、日本語の概論、文法論、

日本語史を中心とした科目のほかに、現代語と古典語の演習、口語と文語の演習、および 資料研究といった日本語学演習Ⅰ・Ⅱがある。日本文学専門科目においては、日本文学の 概論、文学史を含め、本学科の特色を代表する科目としては、「地域文学研究」が挙げられ る。日本文学演習Ⅰ・Ⅱは上代文学から近現代文学に至るまで網羅している。「中国文学関 係」の科目は、中国文学の概論(文学史を含む)、講読、演習を開講している。

多岐にわたる共通専攻・共通関連科目、また卒業論文・卒業レポートについては、既に 述べたので繰り返さない。

【点検・評価等】

各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係において、その各々の授業科目の単位計算 方法は妥当なものと判断される。

日本語・日本文学科の「専攻科目」の開講単位数を調べてみると、日本語学関係 36 単位、

日本文学関係 70 単位、中国文学関係 12 単位、卒業論文・卒業レポート 12 単位で、合計 130 単位である。この他に、英文・日文共通の「共通専攻科目」が 16 単位、専門基礎的科目が 2 単位開講されている。すなわち、「専攻科目」全ての合計は 148 単位に達し、卒業に必要 な専門科目単位数 72 を満たすのにこれだけで十分なほどである。(なお、英語・英米文学 科同様、旧カリキュラムでは、「卒業のためには専攻科目から 60 単位以上」というルール があったが、現行のカリキュラムでは、撤廃されている。)

【改善方策等】

改善に向けた取り組みとして考えられるのは、FD を充実することである。具体的には、

各教員がさらに教授法を学び授業そのものを改善すること、詳細なシラバスにより授業内 容をあらかじめ徹底すること、学生の理解度に応じた適切な課題を与えること、などが目 標とされなければならない。また、演習など少人数の科目においては特に、学生の自ら学 ぶ姿勢/能力を引き出すような指導をすることである。

(e)単位互換、単位認定等

a)国内外の大学等と単位互換を行っている大学にあっては、実施している単位互換方法の適切性(B群)

【現状】

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(15)

本学部は、現在弘前大学と単位互換に関する協定を締結している。本学部の学生は「特 別聴講学生」として弘前大学の科目を履修し、その修得単位を本学部の「選択教養」とし て認定されることになる。なお,履修することのできる科目は弘前大学によって提示され た科目によるが,本学部では特別聴講学生として修得できる単位の上限を 30 単位としてい る。

また,本学部では,Shenandoah 大学(USA)と Wisconsin 大学 La Crosse 校(USA)への 留学によって修得した科目を、本学部の科目として換算認定している。その際、当該大学 での単位修得状況に照らして適切な科目・単位数を認定している。なお,両大学とも履修 できる科目に制限があるが、さらに Wisconsin 大学 La Crosse 校では、夏季(5〜8月)

秋学期(9〜12 月)、春学期(1〜5月)のそれぞれの学期ごとに 16 単位が上限となって いる。

【点検・評価等】

私立大学の限られた人的・物的資源を考慮すると、他大学との単位互換制度を設けるこ とは、学生に幅広い学習内容を提供できるという点で望ましいことであり、今後も積極的 に進めていく必要がある。しかしながら、現状では弘前大学との単位互換制度を利用する 学生が少ないという問題を指摘できる。この背景には、授業時間割上弘前大学の授業科目 を履修する余裕がないこと、また単位互換制度についての学生への履修案内が不十分であ るために弘前大学の科目履修への積極的意義を学生が見出すことができないなどの要因が あると考えられる。

また、海外留学の修得単位を換算認定するという制度は、英語・英米文学を専門とする 学生にとってはその専門性を高めるという点で、またすべての学生にとって海外での留学 が貴重な体験の場であるという点で、非常に意義があることであり、今後も積極的に進め ていく必要がある。これまで,海外留学における修得単位の換算認定については、留学し た学生の個々の単位修得状況を考慮して、学務委員会、国際交流委員会が連携し、適切に 行われてきているといえる。しかし、Shenandoah 大学、Wisconsin 大学 La Crosse 校どち らにも留学する学生が少ないのが現状である。その要因として、Shenandoah 大学 は授業料 等が相対的にみて高額であること、Wisconsin 大学 La Crosse 校は 2003(平成 15)年度か らの実施であることなどを指摘できる。

【改善方策等】

弘前大学との単位互換制度についてのオリエンテーションをこれまでも行ってきたが、

1年次から制度の特徴や意義を積極的にアピールする機会を増やし、同時にその内容もま た充実させていく必要があるだろう。また、弘前大学との単位互換のみならず、本学の社 会福祉学部、看護学部との単位互換、そして弘前地区、青森地区の大学との単位互換を含 めた包括的な単位互換制度の樹立に向けて、各関係機関との調整を進めることを検討して いる。

Wisconsin 大学 La Crosse 校は、2005 年度に本学と姉妹校提携が結ばれたこともあり、

39

(16)

学生にとっては親近感を持つことができる大学となっている。本学部においても、積極的 に学生に働きかける機会を設け、海外留学への興味・関心を喚起していく予定である。ま た、修得単位の換算認定については、学生間に単位換算の齟齬を来さないように、これま での個別的な対応を基本としつつ、より厳密な実施に向けた準備を行う予定である。

b)大学以外の教育施設等での学修や入学前の既修得単位を単位認定している大学・学部等にあっては、

実施している単位認定方法の適切性(B群)

【現状】

学則第 55 条により、本学では大学以外の施設での学修について、「本学は教育上有益と 認めるときは、学生が行う短期大学又は高等専門学校の専攻科における学修その他文部科 学大臣が別に定める学修を、本学における授業科目の履修とみなし、本学の定めるところ により、単位を与えることができる。」「2 前項により与えることができる単位数は、前 条第 1 項、第 2 項により本学において修得したものとみなす単位数(協議により単位互換 を認めることとした大学・短期大学間の認定単位)と合わせて 60 単位を超えないものとす る。」と定めている。

これに基づいて、2005 年度入学以降の学生に設けられた「企業等実習」等のインターン シップの場合、施設での学修内容を十分検討し、それにふさわしい単位を付与している。

更に、同一法人内にある聖愛高等学校との間には、2007 年度後期から「弘前学院高大連 携プログラム」(略称「弘学ブリッジ」)を始動した。これによって、高校生が高校在学中 に大学初年度級の講義を受講する道が開かれる。受講終了時の試験で合格した場合には修 了証を与え、その生徒が本学文学部へ進学した場合には、教授会の議を経て当該科目につ いて大学の単位として認定することとした。第一期生として募集したところ、残念ながら 希望者がなかった。

【点検・評価等】

高大連携による単位認定を本学部が先行実施したが、希望者がなかったのは残念である。

本制度は、系列校ではない一般の高校生が高等学校在学中に修得した内容について、本学 の単位として認定するには至っていないが、まず、聖愛高校との実績を重ねることが先決 であると考えている。

【改善方策等】

本学ではAO入試や推薦入試などにより、合格が早期に決定する新入学生については、

「入学前教育」として課題を与えてはいるが、単位化はされていない。一定の学習時間、

学習成果などを前提として、単位を認定する方策についても検討が必要であろう。

c)卒業所要総単位中、自大学・学部、学科等による認定単位数の割合(B群)

【現状】

本学部では学生に幅広い知識と教養を身につけさせることを目的として、平成 15 年度よ

40

(17)

り弘前大学との協定に基づき単位互換を実施している。これにより、本学部の学生は「特 別聴講生」として弘前大学の示す科目を履修することができる。修得した授業科目の単位 は卒業に必要な単位として認定することができる。特別聴講生として修得できる単位数は、

年間 30 単位までである。当該年度の履修については、履修登録上限 60 単位に含まれる。

認定された単位は、本学「教養演習」に認定される。卒業要件として 14 単位まで認められ る。

本学部では、広い視野で世界に目を向けることができる人材育成の一助として、国際交 流協定に基づき海外の大学へ学生を派遣し、「留学」及び「海外研修」を実施している。い ずれも大学のカリキュラムに置かれ、修得単位が認定される。留学協定の大学は、(1)

Shenandoah 大学、留学期間:当該年度の8月~12 月[2学期制の1学期分]、(2)Wisconsin 大学 La Crosse 校、留学期間:夏季プログラム(5~8月)、秋学期(9~12 月)、春学期

(1~5月)の単独又はどの組み合わせも可。ただし一年を超えないこと。単位認定につ いては、本学での当該年度登録・履修科目と、留学大学での修得できた科目の単位を換算 認定することができる。修得読替できる単位は 16 単位(26.7%)であり、当該年度の履修 登録上限 60 単位に含まれる。海外研修先は、Shenandoah 大学及び North Central 大学で ある。4月に「海外研修」の科目を登録し、海外研修に参加した学生に対して、「海外研修」

4単位(6.7%)を認定する。

【点検・評価等】

本学と弘前大学との単位互換について、本学での認定は2単位以上と定めている。

また、現在、留学協定(1)の大学には大半が海外研修であり、留学は殆どいない。留学 協定(2)の大学への留学は、毎年 4 名前後の実績があり、学生の中には、優秀学生として 表彰されて帰国する者もいる。

【改善方策等】

本学と弘前大学との単位互換について、今後は出願者に対して履修の指導を強化する必 要がある。そして、現在の単位互換は共通教養科目に限られているが、今後は専門科目に まで拡大することも検討する余地がある。また留学協定の大学との連携で、充実した留学 プログラムを強化する必要がある。

(f)開設授業科目における専・兼比率等

a)全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合(B群)

b)兼任教員等の教育課程への関与の状況(B群)

【現状】

文学部の専任教員は21名、兼任教員は37名である。学部の年間開講科目数は323科目 で、専任教員の担当科目数は202科目(62.5%)、兼任教員の科目数は121科目(37.5%)であ る。英語・英米文学科専門科目の専任教員は6名で、専門教育科目数126科目のうち75科

目(59.5%)を担当している。必修科目については、前期開講科目10科目のうち4科目(40%)、

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(18)

後期開講科目3科目(100%)全部を担当している。日本語・日本文学科専門科目の専任教員 は8名で、専門教育科目数126科目のうち79科目(62.7%)を担当している。必修科目につ いては、前期開講科目6科目のうち5科目(83.3%)を担当し、後期開講科目5科目のうち、

3科目(60%)を担当している。

共通教養科目担当の教員は7名で、全体科目数71科目のうち48科目(67.6%)を担当して いる。必修科目については、前・後期開講科目9科目のうち5科目(55.6%)を担当している。

専任教員1人当たり平均14科目となるが、ほとんどの科目が半期科目で開講されており、

前期と後期担当科目は、ほぼ7科目程度となっている。

【点検・評価等】

専門教育および教養教育における専任・兼任の比率にさほど大きな相違はなく、専任教 員は開講科目数の凡そ6割を担当しており、ほぼ適切であると思われる。

本学部では少人数クラスを維持するために、兼任教員への依存が多くなっている。しか し、兼任教員から開設科目の工夫あるいは学生の授業態度等について、専任教員との定期 的な意見交換の場はないが、学務課を経由して兼任教員の意見が伝えられる機会は少なく ない。

【改善方策等】

授業に関する兼任教員の意見聴取の機会は、学務課を経由して行なわれることが多いが、

授業終了時に兼任教員に対し、学生の授業態度や科目について気づいた点などがあれば書 いてもらう用紙を配布し、その結果について、関係する学科の専任教員と情報を共有し、

また検討事項について検討することで、兼任教員と専任教員との意見交換の足がかりにす る方式を検討したい。さらに、英語・英米文学科の専門科目、日本語・日本文学科の専門 科目、共通教養の科目のうち、各々一領域をモデルに、兼任教員からも授業に関する情報 を集めるなど、教育課程への関与の機会をはかり、シラバスを改善し、教育効果の向上に 役立てたい。

(g)社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮

a)社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育課程編成上、教育指導上の配慮(C群)

実績として社会人学生は1名あるだけで、外国人留学生、帰国生徒は0人である。これ らに対する教育課程編成上、教育指導上の配慮については、特段の問題が生じていない。

(h)生涯学習への対応

a)生涯学習への対応とそのための措置の適切性、妥当性(B群)

【現状】

本学部では、社会人特別入試と社会人AO入試を設け、編入学、転入学、科目等履修生 の制度を設けている。また、公開講座委員会が主体となり、本学部で開講されている科目 を外部に対して開放する開放講義を実施するなど、生涯学習の社会的ニーズに応えている。

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(19)

【点検・評価等】

本学部では、生涯学習の社会的ニーズに積極的に応えるべく、様々な制度を設けてきた。

生涯学習への社会的ニーズに十分に対応してきたと言えるし、一部については明らかに、

他大学を含む地域社会をリードしてきたと評価できる。

ただ、それらの制度の利用度合いについては、まだ理想的とまでは言えない。学部、あ るいは各機関それぞれの対応はなされているものの、大学全体としての整合性や一貫性、

体系的な取り組みという点ではなお改善の余地がある。

また、開放講義等への参加者が必ずしも多いとは言えないことがあるのは、受講者等の ニーズを十分に把握することができていないという場合があるのかもしれない。

【改善方策等】

本学部の生涯学習への取り組みをより適切なものとしていくためには,まず地域社会に おける生涯学習へのニーズを的確に把握することが求められる。また同時に,そうしたニ ーズを学内外に周知していく方策も検討しなければならない。

また、大学全体として取り組む事業と、各学部、各機関が取り組む事業との整合性を保 ち、全体としての体系性を保つべく、公開講座委員会等が中心となり、その体制づくりを 行っていく必要がある。

b.教育方法等

(a)教育効果の測定

a)教育上の効果を測定するための方法の適切性(B群)

【現状】

本学部では、前後期それぞれの学期末(概ね7月下旬と1月下旬)に試験を行っている。

教育効果の測定は、外国語の授業や講義科目では多く、小テスト、小リポート、期末試験

(小論文以外にも様々な形式がある。)によって行い、演習科目では小論文、ゼミ発表時の 内容や積極的な参加の姿勢等を総合して行っている。また、「教育実習」等の実習科目につ いては、実地での取り組み方を重要な評価項目としている。

【点検・評価等】

教育効果測定の一つの目的は、授業に対する学生の理解度を見極めたうえで、学修を続 ける学生に具体的な助言をする際の材料とすることである。むろん、理解が及ばない箇所 の把握は教員の授業改善の材料ともなる。大多数の教員はこの目的を果たしている。

b)教育効果や目標達成度及びそれらの測定方法に対する教員間の合意の確立状況(B群)

【現状】

成績評価についての教員間の合意事項として、学生の出欠を毎回チェックすることを申 し合わせており、多くの教員は出席状況をも成績評価の材料にしている。教員のなかには、

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(20)

各回の授業後にアンケートを学生に書かせて、その理解度を測り、説明不足のところを次 の授業に生かそうとする者もいる。

【点検・評価等】

学生の学習意欲を持続させるために数回にわたり小テストを行ったり、授業アンケート をとって理解度を測ることは、一方向になりがちな授業を双方向にする点で成功している。

問題は、教員によって成績評価の仕方が極端に厳しかったり、甘かったりする点である。

とりわけ、同一名称の科目を担当している者同士では学生に不公平感を抱かせてしまう危 険がある。評価基準についての教員間の十分な討論は不可欠である。

c)教育効果を測定するシステム全体の機能的有効性を検証する仕組みの導入状況(B群)

【現状】

現状では、教育効果の測定および向上は教員個人の工夫と努力にたよっている。今後、

学部の FD を制度化して、授業の方法や成績評価の改善に取り組んでいくことが必要である。

d)卒業生の進路状況(B群)

【現状】

最近3年間の年度別就職率(就職希望者のなかで就職した割合)は以下のとおりである。

卒業者 就職希望者 就職した者 就職率 2004 年度 54 名 31 名 27 名 87.1%

2005 年度 54 名 40 名 35 名 87.5%

2006 年度 85 名 64 名 60 名 93.8%

2006 年度に関しては、業種の内訳は英語・英米文学科がサービス 28%、卸売・小売 24%、

教育 18%等、日本語・日本文学科が卸売・小売 32%、サービス 19%、教育 13%等となっ ている。

【点検・評価等】

過去3年における就職率の推移を見ると、2004(平成 16)年度から 2006(平成 18)年度 にかけて、英語・英米文学科では 100%、94.1%、90.3%、日本語・日本文学科では 76.5%

82.6%、97.0%、となっている。学科間で多少の差があるものの、学部全体としては概ね 上昇傾向にあるといえる。これは厳しい就職環境の中にあって、本学の少人数教育という メリットを生かしたきめ細かな就職指導の成果である。

2005 年度より実施された新カリキュラムでは、それ以前から行われていたインターンシ ップを単位化した新科目「企業等実習」が取り入れられた。学生の就職意識の向上に資す るものと期待される。

また、大学として具体的な、就職援助の事業として、学内就職セミナーを開催している。

2006 年度参加企業は 67 社、参加学生は 121 名であった。

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【改善方策等】

学生の中には教員や公務員を目指し就職しないものや、地元就職にこだわり適当な就職 先を見つけられないまま卒業を迎える学生もおり、それらの学生に対する適切な就職指導 が必要であるが、就職指導、就職支援事業の制度が整いつつあり、その成果が現れてきて いると思われる。就職指導、就職支援事業をより一層充実していきたい。

(b)厳格な成績評価の仕組み

a)履修科目登録の上限設定とその運用の適切性(A群)

【現状】

文学部においては、卒業論文や卒業レポートなどの一部の科目を除き、セメスター制を 導入しており、一年間に履修登録できる単位数は 60 単位を上限としている。ただし、その 60 単位のなかに、資格に関する科目は含まれない。履修登録については登録期間を設け、

学生が自主的に科目登録を行っている。履修登録に誤りがある場合は履修登録確認期間に その誤りを訂正することができる。また、後期開始時期には履修登録追加・訂正期間を設 け、これを受付けている。

【点検・評価等】

一年間に履修登録できる単位数の上限が多く、改善する必要がある。現在、上限を 60 単 位としているのは、次のような背景があった。①異系列(日本語日本文学・英語英米文学 以外の系列)からの転入生・編入生が不利にならないよう配慮したこと、②地域的な事情 として在学中に経済的に困難をきたす場合がある。その際、単年度での修得単位数が低く 推移することが多い。そこで、ある程度、上限を高く設けて、そのような場合でも 4 年間 で卒業できる配慮をしたこと、③海外留学に行った学生が帰国後に単位を容易に取得し難 く、4 年間で卒業できない学生がいる。そのような学生が単位の取得を回復できるよう配慮 したこと、などである。しかし、事実上、過大な単位取得をする学生はほとんどいないこ とから、特例を設けるなどの方策を検討したい。

文学部にセメスター制を導入して久しいが、まだ通年制の影響が強く残っているように 思える。半期で週2時間開講される完全セメスター制にすべきであると考える。現在多く の科目が前期と後期の2期に渡って開講し、半期ごとに分割して単位を認定している。セ メスター制にふさわしい授業形態を学部全体で考え直すべきである。成績評価をした結果 については、学生が納得できるような方策が必要と思われる。たとえば、なぜその科目が 60 点と評価されたのかなど、伝える義務があるからである。履修登録に関してはかなり改 善され、学生たちが誤って履修登録した場合でも、登録確認期間や追加登録期間を設けた ことによって、学生が不利益を蒙らずに済むようになったことは評価されるべきである。

【改善方策等】

完全なセメスター制は、時間割の作成の点で、また卒業論文や、卒業レポートなど通年 の指導を要する点で難しいかもしれないが、更なる改善が必要である。セメスタ-制であ

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参照

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