博 士 ( 工 学 ) 佐 藤 拓 也
学 位 論 文 題 名
III ― V compound semiconductor nanowires and their electron device application
(III ―V 族化合物半導体ナノワイヤの形成と電子デバイス応用)
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
今 日の 高 度情 報化 社会 を支 え てい る技 術はSiを 主 とす る半 導体 集 積回 路技 術であり 、ムーア の 法則 に従 い トッ プダ ウン 技術 で ある微細加工によつて高密 度集積化ガ実現されてきた。 しかし、
近 年ナ ノテ ク ノロ ジ― とい う言 葉 ガ頻繁に用いられるように 微細化技術はナノメー卜ルオ ーダーに 達 し、 ー方 で トッ プダ ウン 技術 の 限界に直面しつつある。構 造の微細化に伴い構造中のダ メージ等 の 問題 ガ軽 視 でき ない こと ガ指 摘 され てお り、 従来 の 卜ッ プダ ウン 技 術に 変わ る新しい 解決法が 要 求さ れて い る。 また 、材 料と し てSiを用 いた 場合 で はSi固有 の物 性 ガデ バイ スの機能 を制限し て しま い、 電 子デ バイ スの 高速 化 や光学素子を考えた場合、 最良の材料とは言い難い。そ こで、電 子 ・光 学物 性 に優 れた 化合 物半 導 体などの新しい材料やデバ イスの構造自体も検討する必 要がある と 考え られ て いる 。現 在、 トッ プ ダウン技術とは異なるアプ ロ―チで注目を浴びているの ガ、ボ卜 ム アッ プ的 な 手法 によ るナ ノメ 一 卜ルオーダ―の微細構造の 作製である。特にボトムアッ プ手法に お いて ―次 元 細線 構造 であ るナ ノ ワイヤは国際半導体技術ロ ―トマップにおいて、非常に 有望な材 料 系で ある と 高く 評価 され てい る 。しかしなガら、現在、主 流となつているナノワイヤの 作製は気 相 ‐液 相ー 国 相(Vapor‑Liquid‑Solid)法は、位置と成長方向 の制御とCMOS回路への金属触 媒の影響 が大きな課 題となつている。
この課 題に対し、本研究では有機 金属気相選択成長(Selective‑area Metal Organic Vapor Phase Epitaxy: SA−MOVPE)法と 呼ば れ る手 法を 用い てナ ノ ワイ ヤの 作製 を 行う こと で解決を 試みた。
SA−MOVPE法 は 、SiやGaAsと い っ た 半 導 体 基 板 の(111)面 を 用 い 、Si02等 の 非 品 質 薄 膜を 堆 積 後 、 リ ソ グ ラ フイ とエ ツチ ン グに より 数十 ナ ノメ ―ト ルの 微小 な 周期 的な 開口 部を 設 け、MOVPE 法 によ り原 料 を供 給す るこ とで 、 その開口部にのみ選択的に 結晶成長を行うという、卜ッ プダウン 技 術 と ボ ト ム アッ プ技 術を 融 合し た技 術で あ る。VLS法 と は異 なり 触媒 を 必要 とし ない 手法 で あ る ため 結晶 の 品質 が期 待で き、 リ ソグラフイを用いて作製す るためナノワイヤの位置及び サイズの 制 御ガ 容易 で ある ため 、デ バイ ス 応用や集積化の観点からも 非常に有望な作製法であると 言える。
成長方向の 制御は(111)面(縦方向)と(―110)面(横方向)の成長特性の対称性を利用することで行 わ れ る 。 本 研 究で はSA−MOVPE法を 用 いて 集積 可能 なナ ノ ワイ ヤデ パイ ス の実 現を 目指 すと と も に、様々な デバイス応用への道を探る 。ナノワイヤにおけるヘテロ 構造は、縦(軸)方向及び横(動 径 )方 向そ れ ぞれ 独立 して 形成 ガ 可能であり、一連の成長で 単電子デバイスを作製しつつ 表面パツ シ ペ― シヨ ン を行 うこ とな ど、 薄 膜成長では不可能だった三 次元的な成長が可能であるた め様々な
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優れたデパイス構造の作製ガ可能である。また、ナノワイヤは成長面を数十ナノメー卜ルと微小領 域に制限するため面内二軸方向 の歪みの影響ガ少なくなり、GaAs墓板等のIn‑v族基板だけでな く安価なSi上へのInAsナノワイヤと言った格子不整合系において良好極ヘテロ構造ナノワイヤの 作製を行うことガ出来るという優れた特徴も有している。本論文では、SAーMOVPE法を用いたナ 丿ワイヤの成長メカニズムを明らかにするとともに、縦横独立の成長方向制御を行うことでナノワ イヤを用いた新デバイス構造の提案と作製技術の確立を行った。
本 論 文 は 第 ー 章 か ら 第 六 章 ま で で 構 成 さ れ て い る 。 以 下 に 各 章 の 要 旨 を 示 す 。 第 ― 章 は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 に っ い て 記 す と 共 に 各 章 の 概 要 を 説 明 して いる 。 第二章では、半導体ナノワイヤの作製手法である有機金属気相選択成長法の基本的な手順及び 面方 位 によ る成 長特 性の 違い を述 ぺ、 構造 作製 に用 いた装 置の説明に関して記している。
第三章ではGaAsの有機金属気相選択成長に焦点を当て、ナノワイヤの成長メカニズムに関し て議論している。成長面である(111)B面は成長条件により成長ガ促進される面方位ガ異なり、低 温‐高v/In比において「ナノワイヤ」成長が起こり、高温・低Vnu比においては「四面体構造」
の成長が起こる。GaAs(lll)B面上に生じる表面再構成と成長条件ガ密接に関係し、これガナノワ イヤの成長モードを決定づけていることガ明らかになった。これによルナノワイヤ中に生じる積層 欠 陥 ガ 起 こ る こ と に よ ル ナ ノ ワ イ ヤ 形 状 で 成 長 す る こ と ガ 明 ら か に な っ た 。 第四章では有機金属気相選 択成長を用いたInGaAsナノワイヤの作製及び、顕微フオトルミ ネッセンスによる組成評価、電気特性評価に関して述ぺている。InGaAsナノワイヤは直径が小さ くピッチが広いほど成長速度が増加することを確認した。更に、InとGaの原料供給比を変化させ 成長速度依存性の解析を行うこ とで、InとGaの拡散長の違いによるInGaAsナノワイヤ成長モデ ルの提案を行った。ナノワイヤの成長は成長時間と共に成長速度ガ増加していくが、ある高さにな ると高さ方向の成長速度が飽和してー定となり、横方向成長ガ起こり始める。この高さはナノワイ ヤ側面であるtー110)面におけるGaの拡散長と同程度であると考えられる。また、InとGaの拡散 長の違いを利用し、ピッチを変化させることで一度の成長においても異なる組成を有するInGaAs ナノワイヤの作製に成功した。更に、このナノワイヤを用いたMESFI汀の作製技術の確立を行い 良好なFET特性を得ることに成功した。
第五章では、第四章で作製 を行ったInGaAsナノワイヤH汀の性能を改善するために、InAs チユーブチヤネル構造の提案を行った。InAsチユ―ブチヤネル構造はInPナノワイヤを成長後、
側面にInAs層の薄膜(〜10nm)を成長させたコアシエル構造である。この構造はナノワイヤの特徴 の―つである格子不整合系においても成長面が微小であるために容易に歪ガ緩和され良好なヘテロ 接合ガ出来るという点を利用している。この構造に対し、シミユレーシヨンによる電気伝導特性評 価を行ったところ、サブスレツシヨル卜ス口―プの低減及び、on/o行比の改善が出来ることを確認 した。そこで、実際にInP皿nAsコアシエルナノワイヤの成長条件の最適化を行い、形成された構 造に対してMISFETの作製及び電気特性の評価を行った。
、 第 六 章 で は 以 上 の こ と を ま と め て 結 論 を 出 し 、 将 来 の 展 望 を 述 ぺ て い る 。
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副 査 教 授 佐 野 栄 一 副 査 准 教 授 原 真 二 郎
学位論文題名 I
III ― V compound semlconductor nanowlreSand theireleCtrondeVlCeappliCation
( m ―V 族化合物半導体ナノワイヤの形成と電子デバイス応用)
近年ナノテクノロジー という言葉が頻繁に用いられるように半導体の微細化技術はナノメートル オーダーに達し、ー方で トップダウン技術の限界に直面しつっあり、従来のトップダウン技術に変 わる新しい解決法が要求 されている。そこで、電子・光学物性に優れた化合物半導体をどの新しい 材料や、デバイスの構造 自体も検討する必要があると考えられている。特にボトムアップ手法にお いて一次元細線構造であ る半導体ナノワイヤは国際半導体技術ロードマップにおいて、非常に有望 教材料系であると高く評 価されている。
本研究では有機金属気 相選択成長(Selective―area Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:SA‑
MOVPE)法と呼ばれる手法 を用いてナノワイヤの作製を 行うことでこの問題の解決 を試みている。
SA‑MOVPE法 は 、SiやGaAsと い った 半導 体基 板の(111)面 を 用い 、Si02等 の非 晶 質薄 膜を 堆積 後、 リソ グラ フィとエッチングによ り数十ナノメートルの微小 極周期的な開口部を設け、MOVPE 法により原料を供給する ことで、その開口部にのみ選択的に結晶成長を行うという、トップダウン 技術とポトムアップ技術 を融合した技術である。
本 論文 では 、SA‑MOVPE法を 用い た ナノワイヤの成長メカニズ ムを明らかにするとともに 、縦 横独立の成長方向制御を 行うことでナノワイヤを用いた新デバイス構造の提案と作製技術の確立を 行っている。
InGaAsナノワイヤの作 製及び、顕微フォトルミネッ センスによる組成評価、電 気特性評価に関 しては、InGaAsナノワイ ヤは直径が小さくピッチが広 いほど成長速度が増加する ことを確認して いる 。更 に、InとGaの原 料供 給比 を 変化させ成長速度依存性の 解析を行うことで、InとGaの拡 散長の違いによるInGaAsナノワイヤ成長モデルの提案 している。
ま た 、InGaAsナ ノワ イヤH三Tの 性能 を改 善す る ため に、hAsチュ ープ チャ ネ ル構 造の 提案 している。この構造に対 し、シミュレーションによる 電気伝導特性評価を行った ところ、サブス レッショルドスロープの 低滅及び、oIソb丘比の改善 が出来ることが確認された。そこで、実際に IDP皿Asコア シェ ルナ ノ ワイ ヤの 成長 条件 の 最適 化を 行い 、形 成された構造に対してMISFETの
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作製及び電気 特性の評価を行っている。
これを要す るに`著者は、niーV族化合 物半導体ナノワイヤの形成と電子デバイス応用に関する 新知見を得た ものであり、半導体工学発展に対して寄与するところ大をるものがある。よって著者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。
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