Komazawa University
別
時
意
説
考
袴
谷
憲
昭
Kom 三1z三1w三1 Umversrty か つ て 私 は、 『 華 厳 経 』 「寿
命 品 」 を 中 心 に 仏国
土 思想
関
連 資料
を 考察
し、 仏 国 土 思 想 に 関 し て簡
単 な 私見
を 述 べ る機
会 を ロ よ も っ た が、 そ の 折 に 次 の よ う に 記 し た こ と が あ る。 イ ン ド に お い て は 、 事 実 上 は、 「 統 一 」 的 も し く は 包 括 主 義 的 思 想 傾 向 の 方 が 強 か っ た と 思 わ れ る の で あ る が、 極 楽 至 上 主 義 の 浄 土 思 想 が 消 え て し ま っ た の で な い 限 り は、 西 方 に 阿 弥 陀 仏 の 仏 国 土 で あ る 極 楽 世 界 が 外 在 的 に 存 在 し 死 後 は 必 ず そ こ へ 往 生 し た い と 願 う 浄 土 思 想 も ま た 存 続 し て い た と 見 做 さ な け れ ば な ら な い 。 か か る 浄 土 思 想 を 「 別 時 意 趣 ( 冨 似 一 叫 昌 け O 『 ぴ ゴ 一 〇 「 鋤 団 m ) 」 と し て 取 り 上 げ た も の が 、 『 大 乗 荘 厳 経 論 ( ミ 恥薯
謡 毯 ミ ミ ミ ミ尊
ミ ) 』 『 阿 毘 達 磨集
論 ( 』寒
警
聴 § 毳 黛 § ミ ら 塁 黛 ) 』 『 摂 大 乗 論 ( 、 ミ 貸薯
詰 湧 轟蠧
ミ 丶 § ) 』 な ど の 唯 識 思 想 の 文 献 な の で あ る が、 し か し、 そ れ は、 そ の 種 の 浄 駒 澤 短 期 大 學 佛 教 論 集 第 五 號一 九 九 九 年 十 月 土 思 想 を 「 意 趣 ( ロ σ ぼ 買 鋤
旨
) 」 を 含 ん だ も の で あ る が ゆ え に、 「 了 義 ( 口 剛 再 叫 「 梓 げ 国 ) 」 の 真 実 の 教 え で は な い と 一 段 低 く 評 価 す る も の だ っ た の で あ る。 こ の 評 価 を 浄 土 思 想 の 側 か ら 明 確 に 批 判 し え た の は、 中 国 の 善 導 ま で 俟 た な け れ ば な ら な い の で あ る が、 今 は そ の 詳 細 に は 触 れ な い 。 ま た 私 は、別
な拙
欄 に お い て、 い ず れ こ の 「別
時
意 ( 別 時 意 趣 ) 」 の 問 題 に 論 及 し て み た い と 予告
し た こ と も あ る の で、 本 稿 は そ の 約束
を
果す
べ く 、 こ の 問 題 の 詳細
に触
れ て み ん と す る も の で あ る 。 ま ず、 「別
時意
」 と いう
も の が 唯 識 文献
に お い て ど の よう
に 述 べ ら れ て い る か を 示 す た め に、善
導 が 主 と し て参
照 し た と 思 わ れ る 真諦
訳 『 摂 大乗
論
』 の 当 該箇
所 を 掲 げ 、 そ の 問 題 を イ ン ド 仏 教思
想
史 の 中 に遡
り つ つ、し
か も 理解
を
容易
な ら し め る た め の 準備
と し て、 そ れ に対
応す
る チ ベ ッ ト 訳、 ω 還 元 サ ン ス ク リ ッ ト 文、 お よ び、 そ れ ら に 基 づ く 和 訳 を 並 三 九別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) ユ 記 し て 示 し て お く こ と に し よ
う
。 ( 二 ) 別 時 意 。 譬 如 。 有 説、 若 人 誦 持 多 宝 仏 名、 決 定 於 無 上 菩 提 、 不 更 退 堕 。 復、 有 説 言、 由 唯 発 願、 於 安 楽 仏 土、 得 往 彼 受 生 。含
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呂
鋤 冖 超畧
3
言 \ 別 時 意 ( 別 な 時 を 意 図 す る こ と ) と は、 例 え ば、 回 プ ラ プ ー タ ラ ト ナ 如 来 の 名 前 を 保 持 す る こ と に よ っ て 無 上 正 等 覚 に 確 定 す る こ と に な ろ う、 と い わ れ て い る よ う な こ と や 、 ゆ ま た、 願 い を な す だ け で 極 楽 世 界 に 生 ま れ る で あ ろ う、 と 〔 経 典 で 〕 説 か れ て い る よ う な こ と で あ る 。 こ の よう
な 「別
時
意
」 説 に対
し て、善
導
は、 唯 識思
想
を 中 心 とす
る 前 代 の 諸解
釈 と 『 観無
量
寿 経 』 ( 以 下 『 観 経 』 ) を 中 心 四 〇 と す る 自 分 の 見解
と の相
違 を 六 点 に ま と め て 論 述す
る 中 の第
こ 五 点 と し て 、 『 観 経疏
』 で 次 の よう
に述
べ て い る の で あ る 。多
少 長 い が、 そ の全
文 を 示 し て み た い 。 カ ッ コ の中
に 示 し た科
文 は 、 我 が 国 の良
忠 の 『観
経
玄義
分伝
通
記 』 の ぞ 擢 に よ るも
の で あ る。 (1
標 ) 第 五、 会 通 別 時 意 者、 (n
釈 、 一 、 総 標 有 二 別 時 意 ∀ 即、 有 其 二 。 (H
釈、 二、 別 明 成 仏 別 時 意 ∀ (先
牒 論 文 ) 一 『 ( 摂 大 乗 ∀ 論 』 云 。 如、 人 念 多 宝 仏、 即 於 無 上 菩 提、 得 不 退 墮、 者、 ( 次 釈 論 文 ) 凡 言 菩 提、 乃 是 仏 果 之 名、 亦 是 正 報 。 道 理 成 仏 之 法、 要 須 万 行 円 備 方 乃 剋 成。 豈 将 念 仏 】 行 。 即 望 成者
、 無 有 是 処 。 雖 言 未 証 、 万 行 之 中、 是 其 】 行 。 何 以 得 知。 如 『 華 厳 経 』 謡 。 功 徳 雲 比 丘、 語 善 財 言 、 我 於 仏 法 三 昧 海 中 丶 唯 知 一 行、 所 謂 、 念 仏 三 昧。 以 此 文 証、 豈 非 一 行 也 。 雖 是 → 行、 於 生 死 中、 乃 至 成 仏、 永 不 退 没、 故 名 不 墮。 ( 問 答 釈 疑 ) 問 ヱ 日 。 若 爾 者、 『 法 華 経 』 云 。 一 称 南 無 仏、 皆 已 成 仏 道 。 亦 応 成 仏竟
也 。 此 之 二 文、 有 何 差 別 。 答 日 。 『 ( 摂 大 乗 ) 論 』 中 称 仏、 唯 欲 自 成 仏 果。 『 ( 法 華 ∀ 経 』 中 称 仏、 爲 簡 異 九 十 五 種 外 道 。 然 外 道 之 中、 都 無 称 仏 之 人、 但 使 称 仏 一 口、 即 在 仏 道 中 摂、 故 言 已 竟 。 (11
釈、 三、 別 明 往 生 別 時 意 ) ( 先 牒 論 文 ) 二 『 ( 摂 大 乗 ) 論 』 中 説 云 。 如、 人 唯 由 発 願、 生 安 楽 土、 者、 ( 次挙
通 論 家Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 義 ) 久 来 通 論 之 家、 不 会 論 意、 錯 引 下 品 下 生 十 声 称 仏、 与 此 相 似、 未 即 得 生 。 如、 一 金 銭 得 成 千 者、 多 日 乃 得、 非 】 日 即 得 成 千 。 十 声 称 仏、 亦 復 如 是 。 但 与 遠 生 作 因、 是 故、 未 即 得 生 。 道 口、 仏 直 爲 当 来 凡 夫、 欲 令 捨 悪 称 仏、 誑 言
導
生、 実 未 得 ぜ 生、 名 作 別 時 意 者、 ( 正 破 彼 義 ) 何 故 『 阿 弥 陀 経 』 云。 仏 告 舎 利 弗 。 若 有 善 男 子 善 女 人、 聞 説 阿 弥 陀 仏、 即 応 執 持 名 号 、 一 日 乃 至 七 日 、 一 心 願 生、 命 欲 終 時、 阿 弥 陀 仏、 与 諸 聖 衆、 迎 接 往 生 。 次 下 。 十 方 各 如 恒 河 沙 等 諸 仏 、 各 出 広 長 舌 相、 遍 覆 三 千 大 千 世 界、 説 誠 実 言 。 汝 等 衆 生、 皆 応 信、 是 一 切 諸 仏 所 護 念 経 。 言 護 念 者、 即 是 上 文 一 日 乃 至 七 日 称 仏 之 名 也 。 今 既 有 斯 聖 教、 以 為 明 証 。 未 審 今 時、 一 切 行 者、 不 知 何 意 。 凡 小 之 論 、 乃 加 信 受、 諸 仏 誠 言、 返 将 妄 語 。 苦 哉、 奈 劇 。 能 出 如 此 不 忍 之 言 。 雖 然、 仰 願、 一 切 欲 往 生 知 識 等、善
自 思 量 。 寧 傷 今 世 錯 信 。 信 仏 語 。 不 可 執、 菩 薩 論、 以 為 指 南 。 若 依 此 執 者、 即 是 自 失 誤 他 也 。 ( 問 答 釈 疑、 第 一 問答
) 問 日 。 云 何 起 行、 而 言 不 得 往 生。 答 日。 若 欲 往 生 者、 要 須 行 願 具 足、 方 可 得 生 。 今 此 論 中、 但 言 発 願 、 不 論 有 行 。 ( 第 二 問 答 ) 問 日。 何 故 不 論 。 答 日 。 乃 至 一 念、 曽 未 措 心、 是 故 不 論 。 ( 第 三 問 答 ) ヘ ヨ ぜ 問 日 。 願 行 之 義 、 有 何 差 別。 答 日、 如 『 経 』 中 説。 但 有 其 行、 行 即 孤、 亦 無 所 至. 但 有 其 願 、 願 即 虚、 亦 無 所 至 。 要 須 願 行 相 扶、 所 為 皆 剋 。 是 故、 今 此 論 中、 直 言 発 願、 不 論 有 行 。 是 故、 未 即 得 生。 与 遠 生 作 因 者 、 其 義 実 也。 ( 第 四 問 答 ) 問 日 。 別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) 願 意 云 何、 乃 言 不 生 。 答 日 。 聞 他 説 言、 西 方 快 楽 不 可 思 議、 即作
願 言、 我 亦 願 生。導
此 語 已、 更 不 相 続、 故 名 願 也。 ( 明 願 行 具 足 念 仏 必 生 彼 国 ) 今 此 観 経 中 十 声 称 仏、 即 有 十 願 十 行 具 足 。 云 何 具 足 。 言 南 無 者、 即 是 帰 命、 亦 是 発 願 迴 向 之 義 。 言 阿 弥 陀 仏 者、 即 是 其 行 。 以 斯 義 故、 必 得 往 生 。 (H
釈、 四、 明 依 正 比 校 以 弁 難 易 ) 又 来 『 論 』 中、 称 多 宝 仏、 為 求 仏 果、 即 是 正 報 。 下、 唯 発 願、 求 生 浄 土、 即 是 依 報 。 一 正、 一 依、 豈 得 相 似 。 然 正 報 難 期、 一 行 雖 精 、 未 剋 。 依 報 易 求、 所 以 一 願 之 心 未 入、 雖 然、 譬 如、 辺 方 投 化 即 易 、 為 主 即 難 。 今 時 願 往 生 者、 並 是 一 切 投 化 衆 生、 豈 非 易 也 。 但 能 上 尽 一 形 下 至 十 念、 以 仏 願 力、 莫 不 皆 往 。 故 名 易 也。 (m
結 ) 斯 乃 不 可、 以 言 定 義。 取 信 之 者 懐 疑。 要 引 聖 教 来 明、 欲 使 聞 之 者、 方 能 遣 惑 。 次 に 、 右 引 用中
の カ ッ コ 内 に 示 し た 良 忠 の 科文
を
見
や す い よ う に 一 括 し て 掲 げ、 そ こ へ 『 摂 大乗
論 』 の 「別
時
意
」 の 説 明 ω を 割 り 当 て れ ば 以 下 の ご と く と な る 。1
標H
釈 一 、 総 標 有 二 別 時 意 二、 別 明 成 仏 別 時 意ω 三、 別 明 往 生 別 時 意
四、 明 依 正 比 校 以 弁 難 易
m
結 四 一別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) 「 別 時
意
」 説 と は、 右 に 示 し た資
料 の 経緯
か ら も 分 か る よ う に、 イ ン ド の 唯識
文 献 に 登場
し て 以 来、浄
土 思想
に関
す
る 重要
な 問 題 提 起 で あ り 続 け た た め に、 過 去 の中
国
や 日本
の 仏 教学
者
も多
く こ の問
題 に つ い て 論 じ て き た の は 言う
ま で も な い こ と であ
る が、 近 時 に お い て も そ の 関連
学 術 論 文 は極
め て多
い 。従
っ て、 そ の 全 て を 網 羅 す る こ と は 到底
不 可能
で あ る が 、 私 な り に 最 近 知 る こ と を得
た 重 要 なも
の を 記 せ ば 、 必 ず し も 本 稿 の 問 題意
識 と 合 致 す る わ け で は な い に せ よ 、 次 の 四 ハ む 点 で あ る 。A
藤
原 了 然 「善
導
教 学 の 周 辺 に つ い て1
別
時
意
会 通 の 問 題1
」 『 浄 土宗
学
研究
』 第 三号
( 一 九 六 入 年 )初
出
、 後 に 、 同 著 『 浄 土 教 思 想 論 攷 』 ( 同 刊 行会
一 九 八 〇 年 ∀ 、 二 二 九 ー 二 七 四 頁 に 再 録 ( 本 稿 で は 後 者 に よ り 、A
藤 原 論 文、 と 略 称 )B
向
井
亮
「 世 親 『 浄 土 論 』 の 背景
1
「 別時
意 」 説 と の 関 連 か らIL
『 日 本 仏教
学 会年
報 』第
四 二号
( 一 九 七 七 年 三 月 ) 、 一 六 一 − 一 七 六 頁 (B
向 井 論 文、 と 略 称 )C
梶
山雄
一 「別
時
意
論争
と 是報
非化
論
」 『 中 西 智 海先
生 還暦
記
念
論 文集
・ 親鸞
の仏
教
』 ( 永 田 文 昌 堂、 一 九 九 四 年 ) 、 六 六 三−
六 七 六 頁 (C
梶 山 論 文、 と 略 称 >D
藤
田祥
道
「 密意
趣 と 大乗
仏 説 論−
別
時意
説 の 理解
に向
け てー
」 論 註 研究
会 編 『曇
鸞 の 世 界ー
往 生論
註 の 基 礎四 二
的
研 究1
』 ( 同 朋 舎 、 一 九 九 六 年 ) 、 一 − 五 三 頁 ( 横 ) (D
藤 田 論 文、 と 略 称 )
A
藤
原論
文 は 、 摂 大 乗論
学
派 の 「別
時
意
」 説 に 対 し て な さ れ た善
導
を 頂 点 と す る中
国
純
正 浄 土教
諸師
の 論 駁 の特
質
を 考 察 し た も の で あ る が、 多 少羅
列 的 で包
括的
な 感 が な き に し も あ ら ざ る に せ よ 、 こ の 方 面 の中
国
撰 述 文献
を 点 検す
る に は有
カ サ 意
義
で あ る 。B
向井
論 文 とD
藤
田 論 文 乏 は 、 こ の 「別
時
意 」 説 の問
題 の 思 想 的背
景
を イ ン ド に 遡 っ て考
察
せ ん と し た も の で 、 特 に 「別
時 意 」説
を 『瑜
伽 師 地論
』 ( 以 下 『 瑜 伽 論 』 ) に 求 め た こ と は 重 要 で あ る が、 こ の 点 に は 後 に 触 れ た い 。C
梶 山 論 文 は、 道 綽 や善
導
を 中 心 に 「 別 時意
」 説 と 三身
説 の問
題 を 扱 っ た も の で あ る が、 論 点 の 中 心 は、 阿 弥 陀 仏 は報
身
で あ っ て 化身
で は な い ( 「 是 報 非 化 」 ) と い う 善 導 独 自 の主
張 に あ る 。 こ の 問 題 は 私 に と っ て も 重大
な 関 心事
で あ る が 、本
稿 で は、セ 仏
国
土 に 因 む報
化 の 問 題 以外
は、特
に 触 れ る こ と は し な い 。 以 上 で 「 別時
意 」 説 考察
の た め の基
本
的 用 意 は調
っ た と 思う
の で 、 次 の局
面 に 移 ろう
。我
が国
の 凝 然 ( 一 二 四 〇 ー 一 三 二 】 ) は、 そ の著
『 浄 土 法 門 源 流 章 』 に お い て 、 イ ン ド の 浄 土 法門
の 流伝
に つ い て 述 べ る際
に 、 や は り 「 別時
意 」 説 の 問 題 を意
識 し な が ち 、 次 の よう
Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty む に
叙
述
し て い る 。9
浄 土 法 門、 弥 勒 授 無 著、 無 著 授 世 親 。 世 親 禀 之、 造 浄 土 論 。 瑜 伽 論 中、 地 前 菩 薩 及 諸 異 生 、 望 受 用 土、 為 別 時 意。 不 能 即 生 、 願 行 雖 具 、 非 堪 能 故。 地 前 異 生 、 望 化 浄 土、 願 行 具 足、 即 得 往 生 。 非 別 時 意 、 是 堪 能 故 。 引 浄 土 経 、 非 此 会 通。 荘 厳 経 論、 亦 弥 勒 説 。 以 唯 願 事、 名 別 時 意 。 反 顕 願 行 具 足 即 生 。 此 望 化 浄、 応 成 此 義 。 対 法 論 者、 是 無 著 造 。 覚 師 子 菩 薩、 造 其 釈 論 。 安 恵 ( 慧 ) 菩薩
、 糅 合 本 釈、 名 雑 集 論。 彼 別 時 意、 唯 約 唯 願、 願 行 具 足、 即 往 生 故、 無 著 菩 薩 亦 造 摂 大 乗 論、 天 む 親 釈 此、 別 時 意 相、 全 同 雑 集 。 唯 願 無 行 、 是 別 時 意。 不 能 即 生 、 以 無 行 故 。 彼 於 異 時、 前 願 之 上、 修 習 行 業、 願 行 己 具、 即 得 往 上 。 他 受 用 土、 地 前 異 生、 雖 願 行 具、 是 別 時 意。 位 未 至 故、 彼 於 後 時、 昇 初 地 上 、 得 生 報 土。 堪 能 位 故 。 若 望 化 土 、 地 前 異 生、 願 行 具 足、 即 得 往 生。 唯 有 欲 願、 無 行 業 者、 不 得 往 生 。 以 行 闕 故 。 天 親 論 主 、 造 無 量 寿 論、 立 五 念 門、 明 往 生 業、 造 総 摂 頌、 名 願 生 偈、 陳 五 念 門、 為 其 行 業。 総 説 偈 義、 倶 明 願 行、各
挙 一 名 、 互 顕 具 足 。 五 念 門 中、 作 願 迴 向、 並 是 欲 願 三 業 修 習 、 即 是 行 業。 此 五 念 門 願 行 具 足、 乗 仏 本 願 、 即 生 蓮 華 蔵 世 界 中 。 蓮 華 蔵 界、 即 極 楽 土 。 極 楽 浄 土 、 即 是 他 受 用 報 浄 土。 口 問 。 此 所 被 機、 何 等 衆 生 。 答。 論 偈 云、 普 告 諸 衆 生 、 往 セ 生 安 楽 国。 長 行 論 云 、 若 善 男 子 善 女 人 。 此 即 勧 誘 諸 凡 夫 類、 別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) 発 願 修 行、 令 生 浄 土 。 問。 如 瑜 伽 論、 地 前 異 生、 望 受 用 土 、 是 別 時 意 。 縦 具 願 行、 階 位 未 至、 浄 土 論 主 、 何 勧 凡 夫、 生 受 用 土、 豈 不 違 論 。 答。 瑜 伽 大 論、 約 就 性 相 決 判 之 門 。 是 故、 凡 夫 不 生 報 土、 即 是 得 成 別 時 意 趣。 若 約 不 思 議 門 爲 言、 凡 夫 得 生 受 用 浄 土 。 弥 陀 願 力 不 思 議 故、 浄 土 論 専 勧 凡 夫、 令 生 蓮 華 蔵 世 界 海 。 若 約 地 上、 依 性 相 門、 聖 人 即 入 蓮 華 蔵 界 。 往 生 論 中、 即 有 此 門 。 白 浄 教 相 承、 弥 勒 文 殊、 倶 是 如 来 在 世 親 聞 。 弥 勒禀
此、 授 阿 僧 伽 ( 口 無 著 ) 。 阿 僧 菩 薩、 授 之 天 親 。 三 祖 相 承、 全 同 法 相 大 乗 血 脈 相 継 次 第。 文 殊 等 三 祖、 同 三 論 相 承。 天 親 菩 薩、 伝 持 二 門。 弥 勒 相 伝、 面 承 無 著 。 文 殊 伝 持、 居 其 苗 裔 、 流 通 沽 ( 沾 か ) 潤、 至 其 身 田 。 右 の 引 用 に つ い て は、 仮 り にH
口 口 と 三 段 に 区 切 っ て 示 し て み た が 、e
は、 『 瑜 伽 論 』 『大
乗 荘 厳 経 論 』 『 阿 毘達
磨
集
論 』 『 摂 大 乗 論 』 な ど の 唯 識 文 献 に 触 れ な が ら、 浄 土 法門
のイ
ン ド に お け る 流伝
を、 「 別時
意 」 説 に 因 む願
と 行 と に よ る 往 生 の思
想
の 面 か ら 述 べ た も の、 口 は、浄
土 法 門 の対
機
が 凡 夫 であ
る と いう
観 点 か ら、0
所 述 の 問 題 を問
答 体 で 明 ら か に し たも
の 、 日 は、 イ ン ド に お け る 浄 土 法 門 の 師 資 相 承 を、史
実 を離
れ た 血 脈 風 に仕
立 て て語
っ た も の で あ る 。 こ のう
ち 、 日 に つ い て は、 典 拠 と し て の 『 瑜 伽 論 』 の件
を も 含 め て 後 で 比較
的
詳し
く 取 り 上 げ る こ と に し て、 まず
、 〔 冖 と 日 の 段 に つ い て簡
四 三別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) 単 に 触 れ て お き た い 。 口 は、 浄 土 法
門
の対
機
は な に か と い う 問 の も と に、 そ れ が 凡 夫 で あ る こ と を ヴ ァ ス バ ン ド ゥ ( 世 親、 天 親 ) の 『 浄 土 論 』 の 文 言 を 引 い て 確 認 し た 上 で 、 も し そう
で あ る な ら ば、e
で 触 れ ら れ た 『 瑜 伽 論 』 で は、 地前
の菩
薩 や異
生 凡 夫 は、 受 用 浄 土 に つ い て は、 即得
往 生 で は な く 、 従 っ て、 「別
時 意 」 で あ る はず
だ か ら、 凡 夫 に 受 用 土往
生 を勧
め る と いう
の は 『 瑜 伽 論 』 と 合 致 し な い こ と に な る の で は な い か と いう
再度
の 問 に 対 し、不
思 議 門 に よ れ ば、 凡夫
も 受 用 浄 土 た る 蓮 華蔵
世 界 に 往 生 す る こ と が で き る し、 地 上 の 菩薩
な ら 唯 識 の 性相
門 に よ っ て で も 蓮 華 蔵 世 界 に 入 る こ と が で き る と答
え た も の で あ る 。 「 蓮 華 蔵 世 界 」 と は、 実 際 に 、 ヴ ァ ス バ ン ド ゥ の 『浄
土 論 』 に も 出 て く る 用 語 で あ る が 、 こ の 用 語 は0
に も 説 明 さ れ て い る の で 、 こ の 問 題 はe
を 取 り 上 げ る時
に 一緒
に 検討
す
る こ と に し た い 。 口 は 、 史 実 と し て は 見 る べ き も の は な い が、 凝 然 が 浄 土 法 門 の 血 脈 を どう
捉 え て い た か と いう
点 で は 興 味 深 いも
の が あ る 。 仏教
の 相 承 に は、 マ ン ジ ュ シ ュ リ ー ( 文 殊 )ー
ナ ー ガ ー ル ジ ュ ナ ( 龍 樹 >ー
ア ー リ ヤ デ ー ヴ ァ ( 聖 提 婆 ) と マ イ ト レ ー ヤ ( 弥 勒 )ー
ア サ ン ガ ( 無 著 )ー
ヴ ァ ス バ ン ド ゥ ( 世 親 、 天 親 ) と の 二 門 が あ っ た と さ れ る が 、 凝 然 に よ れ ば、 浄 土 法 門 は 、 表 向 き に は、 後 者 の 三 祖 相 承 で 「 全 同 法相
大
乗 血 脈 四 四 相継
次 第 L と 言 わ れ、 し かも
、 そ の 第 三祖
の ヴ ァ ス バ ン ド ゥ に は、前
者 の 系 統も
受 け 継 が れ て い る と考
え ら れ て い た た め に 、 「 文 殊伝
持、居
其 苗 裔、 流 通 沾 潤、 至其
身
田 」 とも
三 百 わ れ て い る わ け であ
る 。 さ て、 残 し て き た の の 段 に戻
ろう
。 「 別時
意
」 と は 、 い つ か 別 な時
に 浄 土 に往
生 で き る と いう
意 図 を 示 し た も の で あ る か ら 、 す ぐ に 浄 土 に 往 生 す る こ と は で き な い と いう
意 味 で は 「 不能
即
生 」 で あ る が、従
っ て、 こ の 「 別時
意 」 の 否 定 は、 「 非 別時
意
」 で 「 即得
往
生 」 と いう
こ と に な る 。 こ の場
合 の、 「 別時
意 」 で 「 不能
即 生 」を
( 甲 ) 、 「 非 別時
意 」 で 「 即 得 往 生 」 を ( 乙 ) で仮
り に 表 わす
と す れ ば 、 そ の ( 甲 ) か ( 乙 ) か と い う 問 題 を 、 (伊
) 地 前 の菩
薩 お よ び異
生 の場
合 か ( 呂 ) 地 上 の 菩 薩 の場
合
か と い う こ と と、 ( イ )願
行 具 足 か ( ロ ) 唯 願無
行
か と いう
こ と と、 ( い )受
用 浄 土 を問
題 と し て い る か ( ろ )化
浄 土 を 問 題 と し て い る か と い う こ と、 と の 三 方面
か ら 述 べ た も の がe
の 段 な の で あ る 。 こ れ に よ れ ば、 ( 伊 ) の 場 合 の ( イ ) 願 行 具 足 の も の は 、 ( い ) に関
し て は ( 甲 ) 、 ( ろ ) に関
し て は ( 乙 ) と いう
こ と に な る 。 勿 論、 ( ロ ) 唯 願 無行
の も の であ
れ ば 、 ( ろ ) に関
し て も ( 甲 ) に な る であ
ろう
が、 ( イ ) 願 行 具 足 の も の と な っ て ( 呂 ) 地 上 の菩
薩 と な れ ば、 ( い ) に関
し て も ( 乙 ) と な る の で あ る 。 し か も、e
の 段 の 末尾
に よ れ ば、 そ の条
件
で あ る ( イ ) ( 呂 ) を 実 践 す る の が 五 念 門 で あ り、 そ れを
充 せ ばKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 「 即 生 蓮 華 蔵 世 界 中 」 と な る。 こ の 「
蓮
華 蔵 世 界 」 と は、 ヴ め ア ス バ ン ド ゥ も 『 浄 土論
』中
で 用 い て い る も の で あ る が、 そ れ に つ い て、 か つ て 山 口 益 博 士 が そ の サ ン ス ク リ ッ ト 原 語 を 唱巴
∋ 餌− ゆq費
げ冨
・ δ 犀 2。 −穿
鋤 け ⊆ と 想 定 さ れ 、 そ の 意 味 を 同 じ ヴ ァ ス バ ン ド ゥ の 『 摂 大乗
論
釈 』中
の第
十 八 依 持 円 満 の 「 依 持 け ロ ( 鋤 07贄
聾 ) 」 の 説 明中
に 求 め た こ と は 極 め て有
意義
な こ と で あ っ た と 考 え ら れ る。 こ の う ち の 「蓮
華蔵
( O巴
日 鋤 幀 碧 σ冨
) 」 と いう
語 の 示 す 思 想 構造
に つ い て は、 そ の後
、 最近
に な っ て、松
本
史 朗 博 士 に よ る 実 に 詳 細 な 研 究 に よ っ て、 そ の 「仏
陀 が 坐 し て い る 場所
」 セ リ と し て の 性格
が 極 め て 明 瞭 に 示 さ れ る こ と に な っ た 。 し か も、 そ の 場 所 と は 、 イ ン ド 的 な 意 味 で 、 ア ー ト マ ン が 宿 る 心 臓 (耳
量
罨
110
巴
ヨ 巴 の意
味 に 通底
す
る、 極 め て 唯 心 的 で 内 在的
な も の で あ る と さ れ て い る こ と に 注 意 し な け れ ば な ら ハ む な い 。 ヴ ァ ス バ ン ド ゥ の 『 浄 土 論 』 に よ れ ば、 そ の 「 蓮 華 蔵 世 界 」 に 入 る の は、 安 楽 世 界 ( ω ロ匪
鋤 く p。 冖 同・ 一 〇ざ
−穿
彎 口 ∀ に 生 ま れ た 後 に、 止 ( 鐙 ヨ 舞冨
、奢
摩 他 )な
る 精神
集
中
( °。 山 ヨ毘
三、 お 三 昧 ) を 凝 ら す こ と に よ っ て で あ る が 、 こ の こ と が な に よ り も そ の 唯 心 的 で 内 在 的 で あ る こ と を物
語
っ て い る で あ ろう
。 山 口 益 博 士 は、 そ う いう
世 界 に 仏 ( 如 来 ) が 坐 し て い る と い う こ と か ら、 『 摂 大 乗 論 』 に 言 及 さ れ る 、 世 尊 の住
し て い る 大 宮 殿 〔B
笛鼠
− <巨
鋤冨
) と し て の 「 大宝
蓮 華 王 〔 ∋ °。 ゴ 甲 蕁9
甲 別 時 意 説 考 ( 袴 谷 )髱
位 ∋ 甲 「 魯 飴 ) 」 に 因 む 、 次 の ご と き、 駒 本 文 と、 回 註 釈 の 一 節 に 注 目 さ れ た の で あ る 。 左 に、 そ れ ぞ れ の 一 節 を、 便 宜上
、 な チ ベ ッ ト 訳 と そ の和
訳 と に よ っ て 示 し て お く こ と に す る 。 ψ 団 o ⇒ 訂 昌 ひQ 団=
°。 『 o αq ω 冖 警 卑 匹 旨巴
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、 同 σ艮
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曽 σ 帥 白。 け Φ \ ( 〔 世 尊 は 〕 無 量 の 功 徳 の 集 積 に よ っ て 飾 ら れ た、 大 宝 蓮 華 王 の 配 列 に 依 っ た と こ ろ に い ら っ し ゃ る 、 と い わ れ て い る。 ) @ ひqN 三 〇 『 ¢ 旨 ω 露B
冨 げ o ひ自 ω 唱 蝉 く 四 コ αq 冖 ω 冨 σq αq6 曲 αq αq ぢ げ ω 鉦 コ け \ U = 冨 「 餡 σqN ぼ ユ ¢ コ ぴq α一q α オ 巴 一 紫 70 二 帥 螽 σ ε σ 二 Φ コ o ぎ ひq 助q 昌 四 ω冨
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巴
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Φ ω げ囲
ぴ 餌、 o \ \ ( 依 持 ( 9ー ユ冨
轟 ) の 円 満 も ま た 一 句 に よ っ て 示 さ れ る 。 あ た か も 大 地 が 風 輪 に 依 っ て 存 続 し て い る よ う に、 そ れ と 同 様 に、 か の 清 浄 仏 国 土6
霞 諒巳
穿
甲 σ鼠
螽
甲 吋 m け 蠢 ) は な に 依 っ て 存 続 し て い る の か と い え ば、 「 無 量 の 功 徳 の 集 積 に よ っ て 飾 ら れ た、 大 宝 蓮 華 王 の 配 列 に 依 っ た と こ ろ に 」 と い わ れ る の で あ る 。 右 引 用中
囿 は、 ヴ ァ ス バ ン ド ゥ に よ る も の で あ る か ら、 こ の 清 浄仏
国 土 の 記述
と、 同 じ ヴ ァ ス バ ン ド ゥ に よ る 『 浄 土論
』 中 の 「蓮
華
蔵 世 界 」 の 記 述 と が 、 ほ ぼ 類 似 の考
え を 表 明 し た 四 五別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) おね も の と 見 る の は む し ろ 当 然 で
あ
る か も し れ な い 。 勿 論 、 こ れ に不
同意
の見
解
が な い わ け で は な い が、 今 は、 両者
が 無 縁 で な い と の 立場
か ら 、 双方
を関
連
づ け て考
え て み る こ と に し た い 。 面 に よ れ ば、 「 清 浄 仏国
土 」 は 、 「大
宝蓮
華 王 の 配列
に 依 っ た と こ ろ 」 に依
っ て存
続 し て い る こ と に な る が、 刷 に よ れ ば 、 そ こ に 世 尊 が い ら っ し ゃ り、 『 浄 土 論 』 に よ れ ば、 そ こ が 「蓮
華
蔵 世 界 」 だ と いう
こ と に な る が、 こ れ は 互 い に 決 し て 齟齬
し あう
よう
な考
え で は な い で あ ろう
。 た だ、 し か し、 こ の よう
な 「清
浄仏
国
土 」 や 「蓮
華
蔵 世 界 」 が、 果 し て善
導
の 考 え た 西 方極
楽浄
土 で あ っ た の か と い え ば、 そ れ は 甚 だ 疑 問 だ と し な け れ ば な る ま い 。 そ れ ゆ え、前
引 の の の 段 末尾
で、 凝然
が 「 蓮華
蔵 世 界 」 を 「極
楽
浄 土 」 と し 「 他 受 用報
浄
土 」 と し た の は確
か に 問 題 な の で あ る が、 し か し、 必 ず し も 華 厳 の学
匠
と し て の 凝然
の 眼 を 通 さず
と も 、 唯 識 思 想 に お け る 浄 土 観 が そ の よう
なも
の で あ っ た こ と は ほ ぼ確
実 な こ と な の で あ る 。 次 に 、 唯 識 思 想 に お け る 浄 土観
を 「 別 時意
」 に 絡 め て 確 認 し て み る た め に、先
に 凝 然 がe
の 段 の 冒 頭 で、 こ の 問 題 に 関 連 し て 『 瑜 伽 論 』 に 言 及 し た こ と を まず
取 り 上 げ て み よ う 。 私 見 に よ れ ば、 そ の 凝 然 の 言 及 は、 良 忠 (=
九 九 − 一 二 八 七 ) 四 六 の 『 観 経 玄義
分 伝 通記
』 の 次 の よう
な記
遯 に よ っ た も の と考
え ら れ る が、 そ れ は、先
の善
導
『観
経 疏 』 の 引 用中
、H
三「 正 破 彼
義
」 の箇
所 に対
す る 註 釈 で あ る こ と に 留意
さ れ た い 。 「 不 知 何 意 。 凡 小 之 論、 乃 加 信 受、 」 者 、 此 為 破 通 論 家 偏 執、 且 非 彼 論。其
実 非 斥 菩 薩 論 蔵 。 此 是 、 問 答 之 法。 今 家、 若 会 摂 論 時、 通 論 家、 猶 不 用 之 者、 応 致 此 難 也 。 言 「 凡 小 」 者、 天 親 論 主、 是 内 凡 位、 故 名 為 「 凡 」 、 望 仏 大 人、 故 亦 名 「 小 」 。 問 。 論 意、 応 是、 凡 夫 不 生 浄 土 故、 以 凡 夫 修 行、 属 別 時 意 。 加 之、 摂 論、 即 是 瑜 伽 十 支 末 論。 然 瑜 伽 論 七 十 九 云 蜥 黝 継 ( 中 略 ) 準 之 上 文、 既 云 無 有 異 生 及 二 乗 已、 重作
問 云、 何 故、 菩 薩 教 中 、 意 願 於 彼、 皆 当 往 生。 次、 答 此 問 、 云 密 意 説 。 故 瑜 伽 意、 経 説 異 生 二 乗 生 浄 土 者、 皆 密 意 説、 而 非 実 説 。 本 論 、 若 不 許 凡 夫 往 生 者、 末 論、 何 立 此 義 。 明 知、 往 生 別 時 意 者、 不 簡 願 行 、 都 以 凡 夫 往 生 之 文、 属 別 時 也 。 右 引 用中
の 「中
略 」 の 部 分 に は 『 瑜 伽 論 』巻
七 十 九 の 一節
が 引 用 さ れ て い る の であ
る が、 こ れ に つ い て は 後 で触
れ る こ と に し て、 まず
、 実 際 右 に 引 用 し た箇
所 に つ き、 「 中略
」 の前
後 の良
忠 の問
答
体
の 文 の 一繦
を 見 て み る こ と に し た い 。 こ の 引 用 の 始 め に、 ・ 王 と し て 中国
唐
代
以 前 の 摂 論学
派 を指
す
語 と し て 「 通論
家
」 が 出 て い る が 、 私 は 不 明 に し て、 こ れ と ほ ぼ 同 じ 道 綽 の 「 通 論 之家
」 な る 用 例 を 知 る の み に し て そ の 正確
な 語義
を知
ら ず、 ま た、 そ の 語義
を 明 解 に 説 明 し た現
Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty あ
代
の学
者
の 研 究 も 知 ら ず 恥 し い 限 り で あ る が 、 そ の 「 通 論家
」 の 代表
に ヴ ァ ス バ ン ド ゥ ( 天 親、 世 親 〉 が い る こ と は 間 違 い な い 。 とす
れ ば、善
導
は、 そ の 批 判 対象
で あ る 彼 の こ と を 「 凡 小 」 と 言 っ た こ と に な る の で 、 「 凡 」 と は 凡 夫 の意
味 で は な く 内 凡位
( 四 善 根 位 ) の こ と で あ り、 「 小 」 と は大
人 た る 仏 に対
し て 言 っ た ま で の こ と だ と 註 し た 上 で、良
忠 は、 そ の 相 手 側 の 「 通 論家
」 が 凡 夫 の 修行
を 「 別 時 意 」 と す る 根拠
と し て 『 瑜 伽 論 』巻
七 十 九 の 一節
を 示 し、 そ れ に よ っ て、 「 通 論 家 」 は、 そ の 『瑜
伽 論 』 の 立場
が 凡 夫 二 乗 の往
生 を 認 め な い と いう
点 に あ る 以 上 は、 「 異 生 二乗
生 浄 土 」11
「 凡 夫 往生
」 と いう
の は 究極
的 な真
実 の 説 で は あ り え ず、所
詮 は、 「密
意
説
」 で あ り 「非
実
説 」 で あ り 「別
時
意
」 で し か あ り え な い と の 考 え方
に 立 つ も の と相
手 側 の 立場
を ま と め、 こ れ に答
え ん と し て い る の であ
る 。 そ の 根 拠 と し て 示 さ れ た 『 瑜 伽 論 』 の 】 節 は 比 較的
長
い が 、極
め て 正確
な 引 用 で、 現 行 の 玄奘
訳 と 寸 分 違 わ な い 。 左 に、 む そ の 引 用 箇 所 の全
文 を 示 せ ば 次 の と お り で あ る。 ( 彼 〔 一 切 世 界 〕 復 有 二 種 。 ) 一 者 清 浄 。 二 者 不 清 浄 。 於 清 浄 世 界 中、 無 那 落 迦 傍 生 餓 鬼 可 得。 亦 無 欲 界 色 無 色 界 。 亦 無 苦 受 可 得 。 純 菩 薩 僧 、 於 中 止 住 。 是 故、 説 名 清 浄 世 界 。 已 入 第 三 地 菩 薩 、 由 願 自 在 ( 力 ) 故、 於 彼 受 生 。 無 有、 異 生 及 非 異 生 声 聞 独 覚 若 異 生 菩 薩、 得 生 於 彼 。 問 。 若 無 異 生 菩 薩 及 非 異 別 時 意 説 考 ( 袴 谷 〉 生 声 聞 独 覚 得 生 彼 者、 何 因 縁 故、 菩 薩 教 中、 作 如 是 説 。 若 菩 薩 等、 意 願 於 彼 、 如 是 一 切、皆
当 往 生。 答。 為 化 懈 怠 種 類 未 集 善 根 所 化 衆 生 故、 密 意、 作 如 是 説 。 所 以 者 何。 彼 由 如 是 蒙 勧 励 時 便 捨 懈 怠 於 善 法 中 勤 修 加 行、 従 此、 漸 漸 堪 於 彼 生 当 得 法 性 。 応 知、 是 名 此 中 密 意 。 こ の 『 瑜 伽 論 』 の 一節
に つ き 、良
忠 の 指摘
に よ っ た と は 明記
さ れ て い な い け れ ど も、 月 輪賢
隆 博 士 は 、 こ の こ と に 気 づ い て お ら れ、 そ の 一 部 に は 引 用関
説 も な さ れ て お ら れ る 、 向井
亮
氏 も ま た、 以 上 の こ と と は全
く 別 途 に 、B
向
井
論 文 に お い て、 ヴ ァ ス バ ン ド ゥ の 『 浄 土 論 』 を、 「e
そ の 原 語 形 態 に 遡 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ っ て 行 な い得
る よ り 厳密
な 思 想内
容
の 分 析 」 と 「 口 そ れを
踏 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヨ ま え か つ イ ン ド 仏 教 を 視 野 に 入 れ た よ り客
観
的 な 思 想 史的
位 ヘ ヘ へ 置 づ け 」 と の 両 面 か ら 研 究 す る 必要
を 痛 感 さ れ て 、 そ の 一 環 と し て、 「 別時
意
」 説 を 取 り 上 げ、 こ れ に 関 連す
る イ ン ド的
形 態 の 論 述 の最
初 期 の具
体 例 と し て 、 右 の 『 瑜 伽 論 』 の 一節
を チ ベ ッ ト 語 訳 か ら の 和 訳を
主 と し て 引 用 し 論 及 さ れ た の で ハ ヨ あ る 。 そ の後
、 近 時 に な っ て 、 藤 田祥
道
氏 は、D
藤
田 論 文 に お い て、 右 のB
向 井論
文 を 、別
な観
点 か ら で は あ る が、高
く おね 評価
さ れ て い る 。 両 氏 が 良忠
の 論 及 に 気 づ い て お ら れ な い の は残
念 で あ る が、 両 氏 の 研 究 の 関心
が イ ン ド 仏 教 に向
け ら れ て い る こ とを
思 え ば 、 そ れ は 必ず
しも
欠 点 で は あ る ま い 。 し か る に、 私 が こ れ 以 下 に 試 み よう
と し て い る、 先 の玄
奘
訳 『 瑜 四 七別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) 伽 論 』 の 一 節 に
対
応す
る、チ
ベ ッ ト 訳 原 如 の 提 示、 お よ び、 ぬ そ れ に 基 づ く 和 訳 は 、 全 てD
藤
田 論 文 に よ っ て 果 さ れ て い る の で、 二 番 前 … じ の 謗 り も免
れ ま い が、 必要
上敢
え て 重複
す る こ と を 許 さ れ た い 。 チ ベ ッ ト 訳 を 主 とす
る の は、 そ の論
述 を イ ン ド 的 形 態 に戻
し て考
え る場
合 に は こ の 方 が 有利
だ と いう
だ け の 理 由 に よ る も の で あ る 。審
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、 匹 = 餌 げ 留 ヨ冒
三 匹 団 三 ℃ 贄 「 茜 ℃ 食。 H げ葛
、 o \ \ ( そ れ ら 〔 一 切 世 界 〕 は ま た、 清 浄 な る も の ( ℃ ロ ユ 二 良 匹 ず 餌 ) と 清 浄 な ら ざ る も の ( 餌 燭 帥 『 圃 協 二 Ω自
帥 ) と で あ る 。 そ の う ち、 諸 清 浄 世 界 に お い て は ( Op 「 獄 目 匹 α訂
占 o 貯 甲 ロ 7 鋤 ε ω 口 ) 、 地 獄 ( 昌 9。 蠧 貯 四 ) も な い し 畜 生 ( 佇 ヰ 団 四 コ 6 ) も な い し 餓 鬼 ( O 器9
) も な い し 欲 界 (瀛
ヨ 甲 ロ鼠
ε ) も な い し 色 界 (昌
O ロ・ ロ鼠
ε ) も な い し 無 色 界 (曽
口 O醤
− α鼠
言 ) も な い し 苦 受 (含
7 冒 7p − < α 鋤畠
) も な く、 そ れ ら 〔 の 世 界 〕 に は 純 然 た る 菩 薩 教 団 ( 『 < 巴 甲 σ o α ぼ ω 鋤 簿 く 彎− ω ⇔ ぢ讐
餌 ) が 存 続 し て い る の で、 そ れ ゆ え に、 そ れ ら の 世 男 は 清 浄 な る も の と い わ れ る の で あ る。 そ れ ら 〔 の 世 界 〕 に は 第 三 地 に 入 っ た 菩 薩 た ち が 願 の 力 ( 它 曽 且 血鼠
8
− 〈 臼。 鐙 ) に よ っ て 生 ま れ る が、 し か し、 そ れ ら に 異 生6
憐 げ 餌 αq 冨 コ 鋤 ) も し く は 異 生 な ら ざ る 声 ( 33 ) 聞 た ち の 生 ま れ る こ と は な い 。 も し も そ れ ら に 異 生 の 菩 薩 た ち や 異 生 な ら ざ る 声 聞 た ち の 生 ま れ る こ と が な い な ら ば、 菩Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 薩 た ち の 主 張 の う ち に、 な に ゆ え に 「 菩 薩 た ち の だ れ で あ れ そ れ ら 〔 の 世 界 〕 に 〔 生 ま れ た い と 〕 意 に よ っ て 願 を な す も の た ち は 全 て そ れ ら に 生 ま れ る で あ ろ う 」 と の ・ 王 張 が あ る の か 。 〔 そ れ に 対 し て 〕 言 う 。 〔 そ の 主 張 は 〕 怠 惰 な 本 性 を も ち 善 根 を ま だ 積 ん で い な い 教 化 対 象 ( 〈 ヨ 団 餌 ) た ち を 意 図 し た 主 張 な の で あ る。 と い う の も、 同 じ そ れ ら の も の た ち は 励 ま さ れ る な ら ば 怠
惰
を 捨 て 善 法 に 努 力 を 払 っ て、 そ れ に よ っ て 漸 次 に (ζ
山 ヨ趣
) そ れ ら 〔 の 世 界 〕 に 生 ま れ る と い う 法 性 (穿
o彎
鋤 鼠 ) を 得 る 有 資 格 者 と な る だ ろ う か ら で あ る 。 そ の よ う に、 こ の 点 を 意 図 す る こ と が、 そ 〔 の 主 張 〕 な の で あ る と 知 る べ き で あ る。 右 の チ ベ ッ ト 訳 と そ の先
の 玄 奘 訳 と の 間 に は 重 大 な相
違 は な く 両者
は ほ ぼ 原 文を
等
し く し て い た と考
え ら れ る の で あ る が、 前者
を介
し て よ り顕
著 に 示 さ れ て い る こ と は、 清 浄 世 界 (. 旨 αq 答穹
αq 旨 昇 げ 鋤 ヨ ω 網 o コ ぴq °自 ゜。 β 血 簿 伽q 七 斜 U 餌 ユ2
α α ゴ 甲 一 〇 犀 印・鼻
肆 ロ ) が 終始
一 貫 し て複
数 形 で表
わ さ れ て い る こ と か ら も 分 か る よう
に、 そ れ が多
仏
国 土 思想
を 表 明 し て い る と いう
こ と ロ な な の で あ る 。 し か も、 か か る多
仏国
土 思 想 が 同時
に唯
識
思 想 に お け る 正統
的 な 浄 土 観 を も 示 し て い る と いう
こ と に は 恐 ら く 何 人 も 異存
は な い で あ ろ う。 と い う こ と は 、 唯 識思
想
に お け る浄
土 と は、所
謂 の 西 方 極 楽 浄 土 の み を指
す
の で は な く、 そ れ を も 全体
の 極 一部
と 見 做 す多
仏国
土 思 想 の 浄 土 に ほ か な 別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) ら な い 、 と いう
こ と を 表 わ し て い る の で あ る 。 そ れ ゆ え に 、 良 忠 が、 先 の 『瑜
伽論
』 の 一節
の 引 用 の 後 で、 『安
身
養
神
集
』 や中
河 実 範 の 文言
に 絡 め て、 次 の よう
に 記 し て い る の も 当 然 と い え よう
。 安 身 養 神 集 上 云 。 問 。 瑜 伽 文、 雖 総 説 浄 土、 不 別 指 西 方、 何 為 極 楽 之 証 耶 。 答 。 荘 厳 対 法 摂 大 乗 等、 其 説 既 明 。 依 支 知 本 、 寧 不 為 証 乎 記 。 中 河 既 判、 瑜 伽 荘 厳 対 法 摂 論、 同 別 時意
。 故 知、 瑜 伽 密 意、 即 是 別 時 意 也 。 要す
る に 、 唯 識 思 想 に と っ て は、極
楽 浄 土 を含
め た多
仏国
土 で あ る 清 浄 世 界 に 第 三 地 以 前 の菩
薩
や 異 生 が 生ま
れ る と いう
主 張 自 体 が 意 図 の 込 め ら れ た 「別
時意
」 説 に ほ か な ら な い の で あ る 。 四 さ て、B
向 井論
文 も、D
藤
田 論 文 も、 共 に 『 瑜 伽 論 』 の先
の 冖節
を む し ろ そ の 論 の中
心 に 据 え て 論 及 し て い た わ け であ
る が 、 両 者 の 方向
は 却 っ て 異 っ て い く よ う で あ る 。B
向
井 論 文 は 、 良 忠 の科
文 の よう
に 善 導 以 降 の 註 釈家
が 「 往 生 別時
意
」 と 呼 ん だ も の を 「 発 願 ↓ 往 生 極 楽 」 と捉
え 、 そ の 観 点 か ら、 ヴ ァ ス バ ン ド ゥ ( 世 親 ) の 『 浄 土 論 』 の 立場
に つ い て 次 の よう
な 結 論 を 認 め て お ら れ る 。 世 親 造 に 帰 せ ら れ る 『 浄 土 論 』 は、 最 初 に 見 た よ う に、 そ 四 九別 時 意 説 考 ( 袴 谷 ) の 造 論 の 目 的 を ま さ に こ の 《 発 願 − 往 生 極 楽 》 に 置 い た 。 そ し て、 そ の 〈 発 願 〉 ( 因 ) と 〈 往 生 極 楽 〉 ( 果 ) を 結 ぷ 行 道 と し て 「 五 念 門 」 が、 『 論 』 の 主 題 と し て 説 き 明 か さ れ る の で あ る 。 そ の 「 五 念 門 」 の 行 は 、 「 奢 摩 他 」 ( 止 ) と 「 眦 婆 舎 那 」 ( 観 ) を 根 幹 と す る が、 そ れ は 言
う
ま で も な く 瑜 伽 唯 識 派 の 仏 道 体 系 の 基 本 で あ る 。 そ の 「 止 観 」 を も っ て 往 生 行 の 根 幹 と し た と こ ろ に 『 浄 土 論 』 の 独 自 性 が あ る 。 ( 一 七 六 頁 )B
向井
論
文 の 右 の よ う な 見解
を 私 は 基 本 的 に 正 し い と思
っ 〔 36 ) て い る が、D
藤 田論
文 は 、 か か る見
解
を 認 め つ つ、 左 の よう
な 結 論 を 示 す に 至 っ て い る 。多
少 長 く な る が、 そ の結
論 部 分 の 後 半 を全
て 引 い て み る こ と に し た い 。 意 趣 や 密 語 を 持 つ 未 了 義 な 教 説 の 中 に 瑜 伽 行 派 に と っ て 極 め て 重 要 な 『 般 若 経 』 の 「 無 自 性 の 経 句 」 が あ る こ と か ら 推 し て も 、 瑜 伽 行 派 が 浄 土 経 典 の 経 文 を 「 別 時 意 」 あ る も の と し て 取 り 上 げ た 意 図 が、 た だ 未 了 義 な 方 便 説 と 貶 め る こ と に あ っ た と は 考 え ら れ な い 。 た し か に 「 発 願 ↓ 往 生 極 楽 」 を 説 く こ の 経 文 に 「 別 時 意 」 を 読 み 込 む と い う こ と は、 こ の 経 文 を 実 修 派 た る 瑜 伽 行 派 の 立 場 か ら 批 判 的 に 理 解 す る こ と を 意 味 す る こ と は い う ま で も な い 。 し か し 同 時 に 別時
意 説 の 存 在 は 、 同 学 派 が 浄 土 経 典 に つ い て 、 そ の 経 文 の 言 外 の 意 図 を 解 き 明 か す こ と に よ っ て 方 広 の 内 に 包 摂 す べ き 大 乗 経典
の 一 つ と 考 え て い た こ と を 示 し て い 五 〇 る の で あ る。 こ の よ う に 瑜 伽 行 派 に お い て 別 時 意 説 が 少 な く と も 浄 土 教 を 批 判 す る だ け の も の で は な い こ と が 確 認 さ れ た と き 、 こ の 別 時 意 説 が 「 発 願 ↓ 往 生 極 楽 世 界 」 の 間 に 「 五 念 門 」 と い う 行 を 説 く 『 浄 土 論 』 の 立 場 と は 矛 盾 し な い と い う 向 井 亮 氏 の 説 が 改 め て 支 持 さ れ る で あ ろ う 。 た だ し、 瑜 伽 行 派 に お け る 別 時 意 説 の 存 在 と 同 学 派 に 存 在 す る 者 に よ る 『 浄 土 論 』 の 著 述 と が 矛 盾 し な い と い う こ と は 、 『 浄 土 論 』 の 著 述 意 図 が も っ ぱ ら 浄 土 教 の 別 時 意 趣 の 開 示 に の み あ る と い う こ と を 意 味 す る わ け で は な い よ う に 思 わ れ る 。 た し か に、 『 浄 土 論 』 の 著 者 が 瑜 伽 行 派 に 属 す る 世 親 の 著 作 で あ る な ら ば、 前 述 し た よ う に 論 の 著 述 に あ た っ て 別 時 意 説 が 意 識 さ れ な か っ た と は 考 え ら れ な い 。 換 言 す れ ば、 瑜 伽 行 派 の 世 親 が 大 乗 経 典1
と り わ け 瑜 伽 行 派 に お い て 言 外 の 意 図 を 持 つ 未 了義
経 と 見 な さ れ た よ う な 大 乗 経 典 を 註 釈 す る と な れ ば、 そ こ に は、 註 釈 つ ま り 経 典 の 意 味 を 補 う と い う 作 業 を 通 し て、 仏 の 教 え ( 仏 説 ) た る 大 乗 経 典 を 顕 揚 し よ う と い う意
図 が 多 少 な り と も 働 い た に 違 い な い 。 し か し ま た 「 世 尊 我 】 心 帰 命 尽 十 方 無 礙 光 如 来 願 生 安 楽 国 」 と い う 『 浄 土 論 』 の 帰 敬 偈 は、 別 時 意 説 の 観 点 か ら は 推 し 量 る こ と の で き な い 著者
の 浄 土 教 へ の 信 順 を 示 し て い る よ う に 思 わ れ る の で あ る 。 ( 三 〇 ー 三 } 頁 ( 横 ) ) 私 は 、 右 の よう
なD
藤
田 論 文 の 結論
に は 必 ず しも
反対
で はKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty な く む し ろ