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中央学術研究所紀要 第30号 L26大坪宏至「わが国高齢社会の意識について」

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大 坪 宏 至

は じ め に 高齢者への好意 わが国の高齢化 児童・生徒の意識 意識接近の展開 お わ り に ● ● ● 、01△︵叩/]︵望、︶ 4. は じ め に わが国において高齢社会が話題にされる場合、介護を必要とする高齢者 を思い浮かべ、彼らの生活空間を高齢社会として把えてしまうことが多い のではなかろうか。こうした考え方は誤りである。まず、高齢者のすべて が介護を必要としている訳ではない。また、高齢者の生活空間は、高齢社 会における限られた部分であり、高齢社会が高齢者及び高齢者以外の者に よって構成されている社会だからである。その高齢社会をより住み易い、 より明るい社会にしていくためには、種々の対策を検討・実施していくべ きである。そうした対策の検討・実施の前段階として、欠かすことのでき ない重要な研究課題が意識についての問題であるといえる。高齢者及び高 齢者以外の者の意識について、両者の現状を明らかにし、それぞれの意識 のズレを明確にしていくことは、各種対策の出発点として位置付けること ができる。

わが国高齢社会の意識について

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以上のような観点から、本稿では高齢社会の意識に焦点を当て、その実 像 を 少 し で も 明 ら か に し て い き た い 。 ま た 、 高 齢 問 題 は あ ら ゆ る 場 面 で 顕 在化してくる可能’性があり、例えば非営利組織体においても高齢問題は今 後さらに重要な課題となってくるものと考える。そこで、非営利組織体に おける高齢問題も視野に入れておきたい。 1.高齢者への好意 わが国の小学生は、高齢者に対してどの程度の好意をもっているのか◎ 彼らにとって身近な高齢者とは祖父母である。祖父母には8つのタイプが ある。つまり、父方か母方かの別、同居か別居かの別により分かれる(図 1−1を参照)。 図1−1

父母父母父母父母

祖祖祖祖祖祖祖祖

TTTT

低︵好意︶

居居居居同別同別

r1Lr1L

方方父母

口向 小学生に「祖父母を好きか」という質問をしたところ、「とても好き」と 答えた割合が最も高かったのは、母方・別居・祖母のタイプであり、逆に 最も低かったのは、父方・同居・祖父のタイプとなっている(')。つまり、図 1−1の矢印の方向で高くなっていることがわかる。 小学生の祖父母に対する意識については、次の3つの傾向を指摘するこ とができる◎ a 父 方 よ り も 母 方 を 好 む

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b 祖 父 よ り も 祖 母 を 好 む (このbの傾向は、父方よりも母方で、同居よりも別居でより強く現 れる。) c 同 居 よ り も 別 居 の 祖 父 母 を 好 む これらa、b、c3つの傾向は、高校生の場合にも現れている(2)。ただし、 小学生に比べて「とても好き」の割合は全体に低くなっている。 次に、大学生の意識について触れたい。大学生の意識に関する調査は以 外に数少なく、ここでは津井淳治教授の調査を手掛りにして探ってみた い(3)。 大学生の場合、高齢者に好意を「持っている」のは約4割、「持っていな い」のは約2割、「わからない」のは約4割となっている(4)。これは、大学 生の約2割は高齢者が嫌いであり、約4割は好き嫌いの判断ができないと いうことであり、異常であるといえよう。 また、高齢者に「関心がある」のは約20%、「関心がある方」は約45%、 「ない方」と「ない」の合計は約30%となっている(5)。つまり、3割以上の 大学生は関心がないということになり、これも異常であるといえよう。 さらに、高齢者に対して「親切にしたいと思うか」という質問では、親 切にしようと思う割合が6割にも満たず、約4割は親切にしようと思わな いのである。「手を貸さなければならない、協力しようと思うか」という 質問に対しては、これも協力しようと思う割合が6割にも満たないのであ る(6)。 わが国の中学生・高校生は、他国に比べて、人を思いやったりする感情 が非常に乏しく、愛他性の異常な低さは既に明らかにされているが、大学 生についても同様の指摘がなされるであろう。彼らが近い将来、介護保険 制度の枠組みに入れられていくことを考えると、けっして無視することの できない重要な現状であるといえよう。

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2.わが国の高齢化 わが国の高齢化は、そのスピードの速さが指摘されることが多く、また 他国との比較もなされることが多い。 1998年の15歳未満人口100人当たりの65歳以上人口は107.6人となってお り、既に子供よりも高齢者の方が多いことになる。これが20年後の2020年 には196.2人になると推計されており、子供1人に対して高齢者2人という ことになってくる。 高齢者が生活する場合、子供と同居する、高齢者の夫婦だけで暮らす、 高齢者が単身で暮らすといった3つの家族形態があり得る。ここで後者の 2つの形態に注目してみる。まず、高齢者の夫婦だけで暮らしている割合 は、1970年では11.7%であった。それが1995年には27.8%へと増加している。 次に、高齢者が単身で暮らしている割合は、1970年では5.8%であったが、 1995年には12.1%に増加している。こうした家族形態の増加は、わが国の特 徴のひとつとして見逃せない。 総務庁老人対策室によれば、わが国の高齢者で別居の子供がいる割合は 75.4%と、ドイツやタイと同程度であることがわかる。しかし、別居の子 供と週1回以上会う割合は30.2%と、ドイツやタイを大きく下回っている。 また、近所の人達と毎日親しく話をする割合も、他国に比べて極めて低く なっている。しかし、一方では社会と関わりを持ちたいと思っているよう で、その割合は72.3%と他国に比べて高い割合になっている(表2−1を参 照)。総務庁高齢社会対策室室長の大林千一氏は、わが国の特徴として以上 のような点を指摘している(7)。 総務庁による別の調査によれば(8)、わが国の祖父母との同居率は他国に 比べて低いとはいえないこともわかる。しかし、この調査によれば、わが 国の青年(ここでは18∼24歳が調査対象)は現在住んでいる地域への愛着 度 は 低 く 、 家 族 と い る 時 に 充 実 感 を 感 じ る 割 合 は 、 他 国 に 比 べ て 非 常 に 低

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表2−1

Eョ圃困開田団噌冒■=

孫 と の 同 居 率 ( % ) 3 0 . 2 6 . 6 3 . 0 3 8 . 6 5 1 . 7 別 居 の 子 が い る ( % ) 7 5 . 4 8 3 . 7 7 2 . 7 9 5 . 1 7 8 . 3 別 居 の 子 と 週 1 回 以 上 会 う ( % ) 3 0 . 2 5 5 . 4 5 8 . 5 2 6 . 7 5 1 . 1

同好会、サークル活動、行事などを通じ、社72.352.553.041.550.3

会と関わりを持って生活したい(%)

近所の人たちと毎日親しく話をする(%)(6013.927.532.647.053.2

歳以上を対象) 資料出所:「第4回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」、総務庁老人対策室 1996年。 〈なっていることもわかる。こうした傾向の要因分析も、高齢者の家族形 態の動向と関連して、今後は必要になってくるかもしれない。 3 . 児 童 ・ 生 徒 の 意 識 近年行われた調査として、総務庁高齢社会対策室が平成10年度に実施し た「児童・生徒の高齢化問題に関する意識調査」がある。ここではその調 査結果を紹介しながら、わが国の児童・生徒の意識を明らかにしていきた い。 この調査は小学生.中学生.高校生を対象に実施された(9)。平成11年2 月17日から28日の間、選定された学校に調査票の配布及び回収を行ってい る('0)。調査対象者は、小学生が976人、中学生が963人、高校生が1,045人と なっている('')。回答者の属性は、性別では女性の割合が高くなっている('2)。 祖父母との接触頻度を示したのが表3−1である。小学生は中学生・高校 生に比べて、祖父母との接触頻度が高いことがわかる。「ほとんど毎日会 う」、「週に1回以上会う」の割合は49.0%となっている(中学生では40.6%、 高校生では36.2%)。高学年になる程、祖父母との接触頻度は低くなってい る。「年に数回会う」、「ほとんど会わない」の割合は高校生で41.2%、中 学生で33.3%、小学生で27.7%となっている。

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資料出所:「エイジング』、第17巻第3号、社団法人エイジング総合研究 センター、1999年12月、13頁。 小学生は祖父母と接触したいという意向がより強くあるが、高学年にな るにつれてこの接触意向が弱くなっていることの現われであるといえよう。 こうした傾向は、祖父母と同居したいという同居意向についても、小学生 では強いが、高学年になる程弱くなっている点にも現れている('3)。 表3−2は、高齢者の年齢イメージを示している。小学生・中学生・高校 生とも最も多い回答は「60歳くらいから」で、その割合は小学生で46.7%、 中学生で48.1%、高校生で47.8%となっている。次いで「70歳くらいから」 が、全体で33.8%の割合になっている。高齢者の年齢イメージでは、小学 生・中学生・高校生に差はあまりない。この調査では10歳で区切っている 表3−2高齢者の年齢イメージ 資料出所:表3−1に同じ。 表 3 − 1 祖 父 母 と の 接 触 頻 度 総 数 40歳く ら い か ら 50歳く ら い か ら 60歳〈 ら い か ら 70歳〈 ら い か ら 80歳く ら い か ら 90歳〈 ら い か ら 100歳 くらい か ら 歳には 関係が ない 無回答 総数(人) 構成比(%) 2,940 100.0 28 1.0 188 6.4 1,397 47.5 995 33.8 139 4.7 17 0.6 19 0.6 148 5.0 9 0.3 小 学 生 中 学 生 高校生 960 100.0 954 100.0 1,026 100.0 88 ● 14

566

●●

010

84 8.8 57 6.0 47 4.6 448 46.7 459 48.1 490 47.8 290 30.2 313 32.8 392 38.2 65 6.8 33 3.5 41 4.0

997711

●●●

000

000

●●●

998822

44 4.6 57 6.0 47 4.6

3366

●ロ

00

一一 総数 ほ と ん ど 毎日会う 週 に 1 回 以上会う 月にl∼ 2回会う 年に数回 語つ く云 ほ と ん ど 会わない なくなっ て い る 無回答 総数(人) 構成比(%) 2,940 100.0 976 33.2 253 8.6 558 19.0 719 24.5 286 9.7 79 2.7 69 2.3 小 学 生 中学生 高校生 960 100.0 954 100.0 1.026 100.0 341 35.5 322 33.8 313 30.5 130 13.5 65 6.8 58 5.7 199 20.7 198 20.8 161 15.7 157 16.4 260 27.3 302 29.4 108 11.3 57 6.0 121 11.8 12 1.3 23 2.4 44 4.3 13 1.4 29 3.0 27 2.6

(7)

資料出所:表3−1に同じ、14頁。 表3−4は「高齢者との交流への参加意識」を示したものである。参加意 向が強いのは小学生で81.7%、次いで中学生が62.9%、高校生が62.0%とな っている。逆に、「参加意向なし」の割合は、高校生で最も高く37.7%、 次いで中学生で36.3%、小学生で16.6%となっている。このことから、高学 年になるにつれて参加意向は弱くなっていることがわかる。しかし、全体 として「参加意向あり」の割合が高いといえる。これは、この調査の対象 となっている学校がボランテイア協力校であるということを少なからず反 が、65歳以上といった5歳で区分すれば、差が出たかもしれない。 高齢者自身は70歳以上を高齢者とイメージする割合が高く、年齢の意識 については高齢者自身と児童・生徒の意識に差があることがわかる('4)。 中学生・高校生が考える「高齢期に大切なもの」は何かを示したのが表 3−3である。 回答の割合が最も高かったのが「健康」(全体で87.1%)、次いで「家族」 (全体で69.0%)、「趣味」(全体で55.4%)、「友人」(全体で39.8%)、「収入 ・財産」(全体で28.7%)の順になっている。中学生と高校生とでは同じよ うな回答になっている。 高齢者自身はというと、やはり「健康」の割合が最も高く、次いで「家 族」となっている点は同じだが、その次に多いのは「友人」、「所得・財産」、 「趣味」の順になっている点は異なっている('5)。 表3−3高齢期に大切なもの(複数回答) 総数 健康 家族 友人 収入. 財産 趣 味 仕事 その他 わから ない 無回 答 回答 計 総数(人) 構成比(%) 1.980 100.0 1,724 87.1 1.366 69.0 788 39.8 569 28.7 1.096 55.4 53 2.7 54 2.7 10 0.5 5 0.3 5,665 286.1 中学生 高校生 954 100.0 1,026 100.0 849 89.0 875 85.3 697 73.1 669 65.2 395 37.6 429 41.8 272 28.5 297 28.9 459 48.1 637 62.1 31 3.2 22 2.1 35 3.7 19 1.9

7733

●●

00

00

●●

3322

2,712 284.3 2,953 287.8

(8)

映しているものと理解すべきで、一般校を対象にした場合にはさらに低い 割合になるものと推測される。 高齢者自身はというと、やはり若い世代との交流を求める参加意向あり の割合の方が、参加意向なしの割合を上回っている('6)。 表3−4高齢者との交流への参加意識 資料出所:表3−3に同じ。 表3−5は、中学生・高校生が高齢者との交流で、どのような内容を考え ているのかを示している。この調査結果から、中学生と高校生は同じよう な考えをもっていることがわかる。最も高い割合を示しているのは、「お年 寄りと一緒に楽しめる活動をする」で、中学生では69.5%、高校生では 72.0%になっている。約7割の生徒は一緒にできる活動を望んでいるので 表3−5参加したい高齢者との交流の内容(複数回答) 資料出所:表3−1に同じ、15頁。 総 数 お年寄り の特技を 習う 地 域 の 伝 統 ・ 文 化 をお年寄 りに教え てもらう 自分ので きること をお年寄 りに教え る お年寄り と一緒に 楽しめる 活動をす る そ の 他 無回答 回答計 総数(人) 構成比(%) 1,236 100.0 469 37.9 476 38.5 210 17.0 875 70.8 76 6.1 7 0.6 2.113 171.0 中学生 高校生 600 100.0 636 100.0 241 40.2 228 35.8 248 41.3 228 35.8 121 20.2 89 14.0 417 69.5 458 72.0 39 6.5 37 5.8

3546

00

1.069 178.2 1,044 164.2 総 数 参加意向 あり(計) │積極的に参

できる限り参加したい 参加意向 なし(計) あまり参加 したくない 全く参加し たくない 無回答 総数(人) 構成比(%) 2,940 100.0 2,020 68.7 318 10.8 1.702 57.9 892 30.3 778 26.5 114 3.9 28 1.0 小 学 生 中学生 高校生 960 100.0 954 100.0 1,026 100.0 784 81.7 600 62.9 636 62.0 134 14.0 96 10.1 88 8.6 650 67.7 504 52.8 548 53.4 159 16.6 346 36.3 387 37.7 131 13.6 303 31.8 344 33.5 28 2.9 43 4.5 43 4.2 17

88833

LOO

● ●

(9)

表3−6高齢者との交流を促進するための必要条件 資料出所:表3−5に同じ。 ある。次いで「地域の伝統・文化をお年寄りに教えてもらう」と、「お年寄 りの特技を習う」がどちらも約4割となっている。一方、「自分のできるこ とをお年寄りに教える」という割合は全体で17.0%と低くなっている。 ところで、高齢者自身は若い世代との交流をどう考えているのであろう か。高齢者自身も「若い世代と一緒に楽しめる活動」を最も望んでいるの である。興味深いのは、その割合がやはり約7割と同程度の高さであるこ とである。また、中学生.高校生の意識では、「自分のできることをお年寄 りに教える」という割合が低かったが、高齢者の4人に1人は「若い世代 から文化・技術等を教わる」という希望をもっているようである('7)。 次に、高齢者との交流を促進するためには何が必要であるのか。その必 総 数 若い世代とお 年寄りの交流 が重要である ことを広く知ら せ、気づかせる 交流の機会 を作る 学校や老人 ホームなどを 一緒に建て たり、外の人 に開放する お年寄りが参 加しやすくする ために、お年寄 りに配慮した交 通棚の整備 若い世代と お年寄りと の交流のリ ーダーがい ること 若い世代か らの働きか け 総数(人) 構成比(%) 1,980 100.0 510 25.8 1,334 67.4 319 16.1 930 47.0 199 10.1 573 28.9 中学生 高校生 954 100.0 1,026 100.0 277 29.0 233 22.7 631 66.1 703 68.5 138 14.5 181 17.6 447 46.9 483 47.1 105 11.0 94 9.2 245 25.7 328 32.0 総 数 若い世代の ゆとりの拡 大 その他 わからない 無回答 回答計 総数(人) 構成比(%) 1,980 100.0 572 28.9 80 4.0 200 10.1 19 1.0 4,736 239.2 中学生 高 校 生 954

060

.2.

帥p帥

111 274 28.7 298 29.0 50 5.2 30 2.9 98 10.3 102 9.9 14

555

LO

● 2,279 238.9 2,457 239.5

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要条件に関する中学生・高校生の考えを示したのが表3−6である。 最も多い回答は「交流の機会をつくる」で、その割合は中学生で66.1%、 高校生で68.5%となっている。次いで、「お年寄りが参加し易くするために、 お年寄りに配慮した交通機関の整備」が中学生で46.9%、高校生で47.1%と 高くなっている。また、「若い世代からの働きかけ」、「若い世代のゆとりの 拡大」、「若い世代とお年寄りとの交流が重要であることを広く知らせ、気 づかせる」といった回答もそれぞれ約3割弱あることは見逃せない。 彼らが考える必要条件とは、現在では未だ満たされていないという条件 であり、それらの条件をいかに満たしていくかということを大人達が考え ていかなければならないのである。 高齢者との交流について「参加意向なし」と答えた者が、どうしてそう 思っているのか。その阻害要因を示したのが表3−7である。

最も多かった回答は、「勉強や部活動、遊び等が忙しく、暇がないから」

で、その割合は中学生で37.9%、高校生で36.7%となっている。次いで多い のは、「お年寄りとは話が合わないと思うから」、「お年寄りとは活動のペー スが合わないと思うから」の順になっている。 表3−7高齢者との交流の阻害要因(複数回答) 総数(人) 構成比(%) 中 学 生 高 校 生 総 数 733 100.0 346 100.0 387 100.0 勉強や 部活動 遊び等 が忙し く、暇 がない から 273 37.2 131 37.9 142 36.7 、 お年寄 りとは 活動の ペ ー ス が合わ ないと 思うか ら 271 31.7 133 38.4 99 25.6 お年寄 りとは 話が合 わない と思う から 160 37.0 149 43.1 122 31.5 資料出所:表3−1に同じ、16頁。 お年寄 りに気 を使う のはわ ずらわ しいか ら 193 21.8 69 19.9 91 23.5 お年寄 りとは 趣味の 対象が 違う力】 らと思 うから 93 26.3 118 34.1 75 19.4 その他 127 12.7 45 13.0 48 18.9 特に理 由はな い 1 17.3 54 15.6 73 無回答 1,350 0.1 1 0.3 168.0 回答計 184.2 700 202.3 650

(11)

表 3 − 8 家 族 の 介 護 方 法 に 関 す る 意 識 資料出所:表3−7に同じ。 彼らのいうように、勉強や遊びが忙しいのかもしれないが、筆者の子供 の頃も同じように勉強や遊びが忙しかった。しかし、両親の手伝いもした し、子供としての役割も教えてもらった。現代社会の親の多くは、勉強だ けしていればいいといった考えで、子供としての役割を切り捨ててしまっ ているといった側面がこうした阻害要因を生み出しているともいえるので はなかろうか。 表3−8は祖父母の介護方法に関する意識をまとめたものである。 「祖父母の世話は、家で家族がするのが良い」とする割合は、小学生で 67.6%と最も高く、中学生では45.4%と低くなり、高校生では36.5%とさら に低くなっている。 「家で、福祉サービスをする人達等と家族が、一緒に祖父母の世話をする のが良い」とする割合は、高校生で49.5%と高く、次いで中学生で39.5%、 小学生では21.3%と低くなっている。高校生は中学生、小学生に比べて同 居意向がぐっと下がる背景には、こうした介護の大変さを母親を通じて感 じることがあるのではなかろうか。 高齢社会に関する見聴きをどのような経路で体験しているのかを示した 総 数 祖父母の世話は、 家で家族がする のが良い 家 で 、 福 祉 サ ー ビ ス を す る 人 た ち な どと家族が、一緒 に祖父母の世話を するのが良い 身体が不自由なお年 寄りの世話は、世話 をする人がいる老人 ホームなどで世話を してもらうのが良い 無回答 総数(人) 構成比(%) 2,940 100.0 1,456 49.5 1,089 37.0 345 12.0 41 1.4 小 学 生 中学生 高 校 生 960 100.0 954 100.0 1,026 100.0 649 67.6 433 45.4 374 36.5 204 21.3 377 39.5 508 49.5 91 9.5 128 13.4 135 13.2 16

76799

.1. ●

110

(12)

のが表3−9である。 小学生・中学生・高校生に共通して最も多い回答は「テレビ.ラジオで 見たり聴いたりしたことがある」で、その割合は全体で70.2%にも昇って いる。 テレビ・ラジオを通じて得られる知識は、間接的なものであり、それだ けに情報を頼ってしまうと、時には誤った、あるいは偏った知識をもつ危 険'性もあろう。学校教育の場で見聴きする割合は、高校生になると高くな るが、小学生・中学生にもそうした場面での体験ができる場作り、もしく は教育が必要なのではなかろうか。また、家庭においても、同様のことが 言えるのではなかろうか。 以上、総務庁高齢社会対策室の実施した調査の一部を基に、わが国の小 学生・中学生・高校生の意識を探ってきた。そこでは、高齢者の意識に近 い点もあれば、大きくズレている点もあったといえる。こうした意識の調 査研究は、実体をできるだけ明らかにし、できるだけ正しく把握していく ためにも、今後さらに進められるべきである。 表3−9高齢社会に関する見聴き(複数回答) 資料出所:表3−1に同じ、17頁。 総 数 両親等 の家族 から聴 いたこ とがあ る 学校の 先生力1 ら話を 聴いた ことが ある 友人等 から話 を聴い たこと がある テレビ・ ラジオ で見た り、聴 いたり したこ とがあ る 、、 等んとる 聞誌籍読こあ 新雑書でだが イ ン タ ー 不 ツ ト等で 見たこ とがあ る 見聴き したこ とはな い 無回答 回答計 総数(人) 構成比(%) 2,940 100.0 820 27.9 1,386 47.1 157 5.3 2,063 70.2 1,170 39.8 56 1.9 325 11.1 31 1.1 6,008 204.4 小 学 生 中学生 高校生 960 100.0 954 100.0 1,026 100.0 342 35.6 257 26.9 221 21.5 254 26.5 386 40.5 746 72.7 64 6.7 35 3.7 58 5.7 554 57.7 718 75.3 791 77.1 280 29.2 378 39.6 512 49.9 27 2.8 18 1.9 11 1.1 210 21.9 86 9.0 29 2.8 12

33466

.1. ●

110

1,743 181.6 1,891 198.2 2,374 231.4

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4.意識接近の展開 わが国における児童・生徒の意識について整理してきたが、彼らの高齢 者に対する肯定感情に焦点を当てた場合、その関連要因を分析することも 必要である。この種の研究としては、例えば、日本老年社会科学会第42回 大会で報告されている('8)。そこでは、父方祖父に対しては、孫息子、長子 孫、遠距離居住、健康でないこと、75歳以上の年齢であることが肯定感情 に正の影響力をもつとされている。肯定感情、あるいは否定感情に関する 研究も、今後さらに進めるべきである。 アメリカでは1960年代以降、子供の虐待が政策担当者に注目されるよう になったが、近年、わが国においても子供の家庭内虐待が頻繁に報道され るようになった。虐待については、その対応策の検討が必要であるが、わ が国における高齢者数の増大を考慮すると、高齢者虐待にも注目し、その 予防も視野に入れていく必要がある。その場合、アメリカで1988年に創立 された全国高齢者虐待問題研究所が、1990年に連邦高齢局に提出した報告 書等も参考になろう('9)。 虐待予防を検討するうえでも、高齢者自身と高齢者以外の者の意識のズ レを認識することが重要であり、両者の意識のズレを縮小し、意識の共通 部分を拡張していくことが必要となってくる。この点について、ここでは 意識接近という用語を用いた。

意識接近に有効な手段としては、例えば、大阪府立看護大学で実施して

いる、老人保健施設での老人看護学実習や(20)、高齢者疑似体験(21)等が参考

になる。意識接近は、異なる年齢層が、老いの深層を共に考えていく重要

なプロセスである(22)。 意識接近では、アメリカの老年医学者であるJohnRowe、老年社会学者の

RobertKahn等が指摘したSuccessfUlAgingといった視点、つまり、消極的

・否定的側面だけではなく、積極的・肯定的側面からの検討も欠かしては

(14)

ならない。 お わ り に 高 齢 社 会 の 問 題 は 、 あ ら ゆ る 場 面 で 顕 在 化 す る 可 能 性 を 秘 め て い る 。 社 会全体として既に顕在化しているものとして、例えば、雇用問題、医療費 の問題、介護の問題等、大きな課題がいくつもある。 社会全体ではなく、家庭に場面を限っても、職場に場面を限っても、あ るいは非営利組織体内部に場面を限っても、高齢社会の問題は存在するの である。 場面をどこに限ったとしても、意識の認識は必要であり、課題解決の糸 口を示唆してくれるかもしれない。なぜならば、高齢社会の問題は、異な る各場面で共通の形の課題として現れる場合と、各場面で個別に発生する 課題とがあろうが、どちらの場合でも、その背後には構成メンバーの意識 が関わっているからである。 このように考えると、非営利組織体における高齢問題を検討するにおい ても、意識に焦点を当てた研究は欠かすことができない。本稿では意識に 関して触れてきたが、非営利組織体における高齢問題にも、少なからず関 連してくる点もあると考えたい。 本稿は、平成13年度文部科学省科学研究費補助金による成果の一部であ る。 注 (1)深谷昌志教授は1991年に、小学5年生とその親1,800組を対象に調査を実 施している。その調査によれば、「とても好き」と答えた割合は高い順に次のよ うになっている。 母方・別居・祖母-66.1% 母方・別居・祖父-58.4%

(15)

母方・同居・祖母-57.7% 母方・同居・祖父-51.6% 父方・別居・祖母-51.3% 父方・別居・祖父-47.7% 父方・同居・祖母-43.8% 父方・同居・祖父-40.7% なお、この調査結果の詳細については以下を参照されたい。 深谷昌志稿「家庭内での世代交流」、関口礼子編「高齢化社会への意識改革 老年学入門』、頚草書房、1996年、38-44頁。 (2)深谷昌志教授は、1994年に関東近郊の高校生1,300名を対象に調査を実施 している。 同上、45-50頁を参照されたい。 (3)津井淳治教授は、1995年に大学生775名を対象に調査を実施している。詳細 については以下を参照されたい。 津井淳治稿「老人医療と健康・余暇」、中島克己、林忠吉編著「神戸国際大学 経済文化研究所叢書2日本の高齢化を考える学際的アプローチ」、ミネル ヴア書房、1995年、254-285頁。 (4)この調査によれば、「好意を持っている」と答えたのが41.2%、「持ってい ない」が19.4%、「わからない」が39.3%となっている。 同上、279頁を参照。 (5)各回答の割合は次のようになっている。「関心がある」20.8%、「ある方」 45.2%、「ない方」24.1%、「ない」5.3%、「わからない」3.3%。 同上を参照。 (6)同上を参照。 (7)『エイジング」、第17巻第3号、社団法人エイジング総合研究センター、1999 年12月、3−4頁。

(16)

(8) 表

函函圃圃鴎雪冒■固■鹿田覗烈恩星塁

祖父又は祖母との同居率24.74.32.39.014.01.21.51.4

(%)

将来もずっと今の町や村に34.144.056.439.462.142.520.639.9

住んでいたい(%)

現在、ボランティア活動2.720.78.44.29.112.314.715.8

をしている(%)

語7鯉鞠を(燕'22伽Ⅲ‘伽伽伽川加

懸患卿二対す川川Ⅲ加川剛川ョ73

家族といるとき,充実感26.270.544.633.370.375.359.852.7

を感じる(%) 資料出所:「第6回世界青年意識調査」、総務庁青少年対策本部、1998年。 (注:対象18∼24歳) (9)調査時期が2月であり、進学、受験の時期であることから、小学校5年、中 学校2年、高等学校2年を対象にしている。 (lO)学校の選定に当たっては、厚生省が実施している「福祉教育推進事業」に おいて指定されたボランティア協力校の中から、社会福祉法人全国社会福祉協 議会の協力を得て、都道府県・指定都市社会福祉協議会から推薦されたボラン ティア協力校の72校となっている。 (11)有効回収数は、小学生960人、中学生954人、高校生1,026人(総数2,940 人)、有効回収率は、小学生98.4%、中学生99.4%、高校生98.2%(総数98.5%) となっている。 (12)小学生は男性49.2%、女性50.7%、無回答0.1%、中学生は男性45.5%、 女'性54.5%、高校生は男性30.6%、女伽性69.3%、無回答0.1%となっている。 祖父母と同居している割合は、小学生37.0%、中学生44.7%、高校生41.3%と なっている。 (13)祖父母との同居意向では、「暮らしたい」の割合が小学生では47.8%であ るのに対して、高校生では21.0%と低くなっている。

(17)

(14)総務庁による平成11年の「高齢者の日常生活に関する意識調査」(60歳以上、 2,284人を対象)によれば、「高齢者とは何歳以上か」との質問に対し、最も 回答が多かったのは「70歳以上」で48.3%となっている。「60歳以上」との回 答の割合は3.8%に過ぎなかった。以下を参照。 (参考表)「高齢者とは何歳以上か」 「高齢者の日常生活に関する意識調査」(平成11年) 総 数 60歳以上 65歳以上 70歳以上 総 数 人 2,284 % 3.8 % 18.3 % 48.3 (続き) 90歳以上 95歳以上 100歳以上 これ以外 の年齢 総 数 % 0.2 % % % 0.1 ※60歳以上の者対象 資料出所:資料出所:表3−1に同じ。 75歳以上 % 14.7 年齢では判 断できない % 2.9 80歳以上 85歳以上 % % 9.7 0.7 わ か ら な レミ % 1.1 (15)総務庁による平成7年の「高齢者一人暮らし・夫婦世帯に関する調査」(65 歳以上の者一人のみの世帯、夫65歳以上、妻60歳以上のみの夫婦世帯を対象に、 2,089人について調査している)では、「高齢期に大切なもの」について調査し ている。回答の多かった順に示すと、「健康」(95.0%)、「家族」(57.9%)、 「友人」(29.2%)、「所得・財産」(27.8%)、「趣味」(25.4%)となっている。 以下を参照。 (参考表)「高齢期に大切なもの」 「高齢者一人暮らし・夫婦世帯に関する調査」(平成7年)(3つまでの複数回答) 総数 仕事 総 数 人 2.089 % 14.7 所得 財産 ● % 27.8 健康 % 95.0 趣 味 家族 友人 そ の 他 わ か ら ない % % % % % 25.4 57.9 29.2 0.9 1.1 ※65歳以上の者一人のみの世帯、夫65歳以上、妻60歳以上のみの夫婦世帯対象 資料出所:資料出所:表3−3に同じ。 回答計 % 252.0 (16)総務庁による平成10年の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」 (60歳以上の2,303人を対象)によれば、「参加意向あり」の割合は55.9%(そ のうち「積極的に参加したい」は11.9%、「できる限り参加したい」が43.9%)、

(18)

「参加意向なし」の割合は37.9%(そのうち「あまり参加したくない」が26.8%、 「全く参加したくない」が11.0%)となっている。以下を参照。 (参考表)「若い世代との交流への参加意向」 「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成10年) 総数 総 数 人 2,303 積極的 に参加 し た い % 11.9 できる 限り参 加 し た し】 % 43.9 (小計) % 55.9 あまり 参加し た く な し】 % 26.8 全く参 加 し た <ない % 11.0 (小計) わ か ら ない % % 37.9 6.3 ※60歳以上の者対象 資料出所:表3−4に同じ。 (17)総務庁による平成10年の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」 (60歳以上の1,287人を対象)では、「参加したい若い世代との交流の内容」に ついて、次のような調査結果を示している。 「若い世代と一緒に楽しめる活動」-70.2% 「若い世代から文化・技術等を教わる」-24.2% 「自分の特技を若い世代に伝える」-24.2% 「地域の伝統・文化を若い世代に伝える」-21.9% (複数回答) (18)日本老年社会科学会第42回大会(会場:かでる2.7)において、7月6日 のポスターセッションで、琉球大学の金城育子、前原武子、志学館大学の稲谷 ふみ枝等が「続柄の異なる祖父母に対する感情とその関連要因」のテーマで報 告されている。 (19)本報告書では、家庭内高齢者虐待について6つの問題点を指摘し、家庭内 虐待と施設内虐待の両者に共通する問題点も6つ指摘している。本報告書の著 者でもある多々良紀夫氏(淑徳大学社会学部)は、本報告書の指摘が近年のアメ リカの実態に適合するかどうかの検証を試ている(同上学会にて、7月7日、 「アメリカにおける高齢者虐待の諸問題とその対策」と題して講演している。)。 (20)この点については、以下を参照されたい。

(19)

松田千登勢、長畑多代、佐瀬美恵子、臼井キミ力稿「老人看護学実習における 学生の老人観」、日本老年社会学会『老年社会科学」、Vol、22、No.2,2000年6 月、271頁。 (21)長畑多代、松田千登勢、佐瀬美恵子、臼井キミ力稿「高齢者理解を促進す る授業の検討一高齢者疑似体験における学生の学びから−」、同上、272頁。 (22)注(18)の学会における7月6日のシンポジウムでは、立教大学の木下康 仁氏は、「老いをめぐる諸現象についての我々の知識やその前提を、改めて問 い直す作業が求められており、同じ地域の住民であることを連帯の基盤とする、 相互扶助的住民活動が、老いの文化の創出を予感させる。」といった指摘をされ ている。

表 3 − 8 家 族 の 介 護 方 法 に 関 す る 意 識 資料出所:表3−7に同じ。 彼らのいうように、勉強や遊びが忙しいのかもしれないが、筆者の子供の頃も同じように勉強や遊びが忙しかった。しかし、両親の手伝いもしたし、子供としての役割も教えてもらった。現代社会の親の多くは、勉強だけしていればいいといった考えで、子供としての役割を切り捨ててしまっているといった側面がこうした阻害要因を生み出しているともいえるのではなかろうか。表3−8は祖父母の介護方法に関する意識をまとめたものである。「祖父母の世話

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