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17 年度 東洋大学審査学位論文 演算子インピーダンスを用いた同期機諸定数 および等価回路定数の算出法に関する研究 理工学研究科電気電子情報専攻博士後期課程 46C141 田中晃

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著者

田中 晃

学位授与大学

東洋大学

取得学位

博士

学位の分野

理工学

報告番号

32663甲第421号

学位授与年月日

2017-09-25

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00009005/

(2)

演算子インピーダンスを用いた同期機諸定数

および等価回路定数の算出法に関する研究

理工学研究科 電気電子情報専攻 博士後期課程

46C0140001 田中 晃

(3)

目 次

第1章 緒論

... 1 1.1 本研究の背景 ... 1 1.2 本研究の目的と意義 ... 3 1.3 本論文の概要 ... 4 第 1 章の参考文献 ... 7

第2章 同期発電機の演算子インピーダンス算出法

... 9 2.1 まえがき ... 9 2.2 直軸および横軸の演算子インピーダンスと等価回路の導出 ... 9 2.2.1 電圧および磁束鎖交方程式 ... 9 2.2.2 直軸の演算子インピーダンスと等価回路の導出 ... 13 2.2.3 横軸の演算子インピーダンスと等価回路の導出 ... 15 2.3 同期機諸定数と相互漏れリアクタンスを考慮した同期機等価回路 ... 16 2.3.1 直軸における諸定数と等価回路との関係 ... 16 2.3.2 横軸における諸定数と等価回路との関係 ... 21 2.3.3 直軸等価回路の変数変換 ... 23 2.4 直流試験による同期発電機の演算子インピーダンス算出法 ... 25 2.4.1 直流試験による誘導性負荷の端子間から見た各周波数における インピーダンスの測定法 ... 25 2.4.2 同期発電機の演算子インピーダンス算出法 ... 29 2.4.3 演算子インピーダンスの半円軌跡 ... 30 2.4.4 演算子インピーダンスの周波数特性 ... 32 2.5 まとめ ... 34 第 2 章の参考文献 ... 35

(4)

3.2 横軸諸定数の簡易算出法 ... 38 3.2.1 同期リアクタンスおよび初期過渡リアクタンスの算出法 ... 38 3.2.2 開路初期過渡時定数および短絡初期過渡時定数の算出法 ... 40 3.3 直軸諸定数の簡易算出法 ... 41 3.3.1 同期リアクタンス,過渡リアクタンスおよび 初期過渡リアクタンスの算出法 ... 41 3.3.2 開路過渡・初期過渡時定数および短絡過渡・初期過渡時定数の 算出法 ... 43 3.4 周波数特性に平坦部が現われない同期機に対する諸定数の算出法 ... 44 3.5 実施例 ... 46 3.5.1 拡張周波数応答法による同期機諸定数の算出結果 ... 46 3.5.2 商用試験による実測結果との比較検討 ... 49 3.6 まとめ ... 50 第 3 章の参考文献 ... 51

第4章 諸定数を用いた同期機等価回路定数の簡易算出法

... 53 4.1 まえがき ... 53 4.2 相互漏れリアクタンスを考慮した同期機等価回路定数の算出法 ... 53 4.2.1 直軸の諸定数から直軸等価回路定数を求める方法 ... 53 4.2.2 横軸の諸定数から横軸等価回路定数を求める方法 ... 56 4.3 実施例 ... 56 4.3.1 諸定数を用いた等価回路定数の算出結果 ... 56 4.3.2 三相突発短絡電流の計算値と実測値との比較検討 ... 58

(5)

第5章 ブラシレス同期機に対する諸定数および等価回路定数の

算出法

... 63 5.1 まえがき ... 63 5.2 ブラシレス同期機に対する直流試験法の適用方法 ... 64 5.2.1 界磁巻線短絡時における演算子インピーダンスの算出法 ... 64 5.2.2 界磁巻線開放時における演算子インピーダンスの算出法 ... 67 5.2.3 放電抵抗が接続された場合の演算子インピーダンスの算出法 ... 67 5.2.4 横軸の演算子インピーダンスの算出法 ... 68 5.3 放電抵抗が接続された場合の等価回路定数の算出法 ... 69 5.4 実施例 ... 70 5.4.1 直流試験によるブラシレス同期機の演算子インピーダンス 算出結果 ... 70 5.4.2 諸定数および等価回路定数の算出結果 ... 72 5.4.3 三相突発短絡電流の計算値と実測値との比較検討 ... 75 5.5 まとめ ... 76 第 5 章の参考文献 ... 77

第6章 ブラシレス同期機の過渡特性算出法

... 79 6.1 まえがき ... 79 6.2 非同期投入試験における数式モデルの導出 ... 81 6.3 実施例 ... 83 6.3.1 非同期投入試験における過渡電流の算出結果 ... 83 6.3.2 非同期投入試験の実測結果との比較検討 ... 87 6.3.3 非同期投入条件と界磁異常電圧に関する検討 ... 91 6.4 まとめ ... 93 第 6 章の参考文献. ... 94

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第1章

緒論

1.1 本研究の背景

同期機とは,定常状態において同期速度で回転して動作する交流機械であ る。そのうちでもっとも重要なのは同期発電機であり,大出力の水力および 火力発電所の発電機はすべて同期発電機である[1] 大多数の同期機は回転界磁形であり,固定子に電機子巻線,回転子に界磁 巻線を持っており,同期発電機では,励磁された回転子が原動機により回転 することで,静止した電機子巻線に誘導起電力が発生する。回転子の界磁極 の形状には突極形と円筒形があり,突極形界磁は界磁巻線の製作や極数を多 くすることが容易なため,原動機が比較的低速な水車発電機に用いられる。 円筒形界磁は,遠心力に対する強度が大きいので,タービン発電機のような 高速機に適する。突極機では,負荷変動に伴って起こる負荷角の動揺を速や かに減衰させる目的で,磁極頭部に制動巻線を設けることが多い。同期電動 機では,制動巻線を利用して誘導電動機として始動するため,始動巻線とも 呼ばれる。 同期機に界磁電流を供給する直流電源装置を励磁装置といい,スリップリ ングを介して回転子巻線に界磁電流を供給する直流励磁機方式のほか,同期 機主機と同一軸に配置した回転電機子形同期発電機と半導体電力変換器(ダ イオード整流器)を取り付け,スリップリングを経由せずに直接同期機の界 磁巻線に電流を供給するブラシレス励磁方式などがある[2],[3]。ブラシレス励 磁機は,スリップリングやブラシが不要となることから,保守作業の軽減や 励磁機に供給する励磁容量の低減に寄与するため,同期発電機の励磁方式と して幅広く利用されている。文献(4)によれば,ブラシレス励磁方式が採用さ れている台数割合は過去 10 年平均で,火力発電機で約 40%,水車発電機で

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過渡時定数,短絡過渡時定数,開路初期過渡時定数,短絡初期過渡時定数) は,一般的には規格[2],[3]に記載された試験法によって決定される。 しかしながら,大容量機においては,試験工数の増大化や被試験機の容量 に応じた電源および負荷設備が必要となることから,製造現場での実施が困 難な状況となっている。このような背景から,回転試験に依らない簡便な等 価試験によって同期機諸定数および等価回路定数を算出する方法が求められ ている[5],[6] 回転試験に依らない方法として,回転機を静止した状態で電機子巻線二相 間に直流[7]あるいは交流[8]を印加したときの電圧および電流を用いて,端子 から見た各滑り周波数における演算子インピーダンス[9]を求め,これより諸 定数および等価回路定数を算出する方法が知られている。直流を用いる前者 を直流試験法,交流を用いる後者を交流印加法と呼ぶ。 直流試験法では,演算子インピーダンスの実部を横軸,虚部を縦軸にとっ た各滑り周波数における演算子インピーダンスの軌跡から等価回路定数を同 定し,諸定数を求めることができる[10]~[12] 交流印加法では,静止した回転機の二相間に可変周波数電源を接続し,各 滑り周波数における端子間から見た演算子インピーダンスを求める。直流試 験法の場合と同様に演算子インピーダンス軌跡から等価回路定数を同定し, 諸定数を算出することができる。しかしながら,1Hz 以下の低周波に対する 演算子インピーダンスを求めるには,高価な試験装置が必要となる。また, 演算子インピーダンスの算出精度が直流試験法に比べて劣る。 演算子インピーダンスから諸定数を算出する方法として,滑り周波数を横 軸,演算子インピーダンスの大きさを縦軸に描いた周波数特性から諸定数を 求める方法があり,簡易的な算出法の一つとして知られている[13]。この方法

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数の値を求めるものである。この方法は簡便である一方,漸近線の引き方に よって,諸定数が一義的に決定できないなどの問題がある。 また,演算子インピーダンスから等価回路定数を算出する方法として,界 磁巻線開放時,短絡時および外部抵抗短絡時の直流試験から算出する手法[11] や,電機子漏れリアクタンスをパラメータとして,界磁巻線短絡時の演算子 インピーダンスから界磁巻線開放時の演算子インピーダンスを差し引いて求 めた界磁巻線インピーダンスが,滑りに対して一定となることを利用する手 法[12]が提案されているが,いずれの方法も定数値を仮定した反復計算が必要 である。 直流試験法は,同期機の電機子巻線端子間に直流電流を流した状態で端子 間を短絡したときの減衰電流を測定し,その減衰電流をフーリエ変換するこ とで回転子の界磁回路および制動回路を含めた端子間のインピーダンスを算 出するため,界磁回路に半導体電力変換器を有するブラシレス励磁方式の同 期機に対して従来の直流試験法を適用することはできない。 また,ブラシレス同期発電機は,同期はずれや非同期投入などの異常運転 時には主機の界磁電流に交流分が誘起されるため,整流素子やブラシレス励 磁機に過電圧が印加される。異常運転時に発生する過電圧が整流器の逆耐電 圧を超えることが想定されるような場合には,過電圧抑制の保護回路として 放電抵抗を整流器と並列に接続するのが一般的である。これらの過電圧は, 等価回路定数を用いた解析式より算出されるが,界磁過渡電流を精度よく算 出するには制動巻線と界磁巻線間との相互漏れリアクタンスを考慮する必要 があることが指摘されている[11] したがって,商用試験を用いることなく,ブラシレス同期発電機の非同期 投入時など異常運転状態における過渡特性を算出する方法が必要である。

1.2 本研究の目的と意義

直流試験は小容量の直流電源を使用した静止試験によって巻線端子間の演

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諸定数および等価回路定数を演算子インピーダンスの周波数特性を利用して 算出する方法を提案することを目的としている。 本研究で提案する手法は,直流励磁機方式のみならずブラシレス励磁方式 を含めた同期機の諸定数および相互漏れリアクタンスを考慮した等価回路定 数を静止試験によって,簡便にかつ高精度に求めることができる。本手法を 適用することで,従来の回転試験に比較して試験に伴う設備,コストの削減 が期待される。

1.3 本論文の概要

本論文は,以下の 7 章から構成されている。 第1章 緒論 第2章 同期発電機の演算子インピーダンス算出法 第3章 演算子インピーダンスの周波数特性を利用した拡張周波数応答 法による同期機諸定数の簡易算出法 第4章 諸定数を用いた同期機等価回路定数の簡易算出法 第5章 ブラシレス同期機に対する諸定数および等価回路定数の算出法 第6章 ブラシレス同期機の過渡特性算出法 第7章 結論 第2章以降の内容は以下のとおりである。 第2章では,先ず,直軸および横軸の等価回路を示し,界磁巻線と制動巻 線間の相互漏れリアクタンス x を考慮した等価回路定数と演算子インピー

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との関係を述べる。さらに,直流電源を用いた静止試験(直流試験法)によ って同期機の演算子インピーダンスを算出する方法について述べる。 第3章では,先ず,直流試験法から得られる3つの演算子インピーダンス (界磁巻線短絡時の直軸演算子インピーダンス Xds(js),界磁巻線開放時の直 軸演算子インピーダンス Xdo(js),横軸演算子インピーダンス Xq(js))の周波数 特性を描き,この周波数特性に対して漸近線を描くことで,横軸および直軸 の同期リアクタンス,初期過渡リアクタンスおよび直軸の過渡リアクタンス を求める方法を述べる。 次に,虚部の周波数特性から横軸および直軸の開路時定数を従来に比べて 高い精度で求め,開路時定数から作図によって短絡時定数を求める方法につ いて述べる。さらに,周波数特性に平坦部が現われない同期機に対する過渡 リアクタンスの算出法を述べる。 実施例として,供試機に対してこの方法を適用して得られた諸定数値と規 格に記載された方法で得られた諸定数値を比較することで,本手法の妥当性 を検証する。 第4章では,第2章で述べた諸定数と等価回路定数との関係式を用いて, 第3章で述べた演算子インピーダンスから求まる諸定数から制動巻線と界磁 巻線間の相互漏れリアクタンス x23(6)-(8)を考慮した等価回路定数を求める方 法を示す。 実施例として,第3章で述べた方法によって得られた諸定数を用いて等価 回路定数を算出する。得られた等価回路定数を用いた三相突発短絡試験にお ける電機子電流および界磁過渡電流の計算値と実測値との比較により算出法 の妥当性を検証する。 第5章では,先ず,界磁回路にダイオード整流器を有するブラシレス励磁 方式の同期機に対して直流試験法を適用し,演算子インピーダンスを算出す る方法について述べる。次に,整流器の保護回路として整流器と並列に放電

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放電抵抗を接続した模擬ブラシレス同期機に対して直流試験を適用し,諸定 数ならびに等価回路定数を算出する。得られた諸定数および等価回路定数を, 第3章および第4章で求めた値と比較することで算出法の妥当性を検証する。 第6章では,相互漏れリアクタンスを考慮した非同期投入試験の数式モデ ルを導出し,ブラシレス同期機の過渡特性を算出する方法を述べる。算出法 の妥当性は,数式モデルに等価回路定数を代入したシミュレーション結果と 実測結果との比較において検証する。 第7章では,本論文で得られた成果を総括するとともに,今後の課題につ いて述べている。

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第1章の参考文献

[1] 猪狩 武尚:「電気機械学(訂正版)」,コロナ社 (1980)

[2] 電気学会電気規格調査会:「電気学会 電気規格調査会標準規格 同期 機(JEC-2130-2000)」,電気書院 (2001)

[3] IEC Standard, “Methods for Determining Synchronous Machine Quantities from Test (IEC 60034-4),” (1985)

[4] 同期機のブラシレス励磁機諸特性調査専門委員会:「同期機のブラシレ ス励磁機に関する調査研究」,電気学会技術報告第 652 号(1997) [5] 同期電動機始動特性調査専門委員会:「静止試験による等価回路インピ ーダンスの推定-同期電動機始動特性の推定法-」,電気学会技術報告 2 部第 385 号 (1991) [6] 坪井 雄一,津田 敏弘,小屋 政士:「インバータ駆動大容量高速回転 機の現状」, 電気学会回転機研究会, RM-14-139, pp. 55-60 (2014-10) [7] 荒 隆裕,山本 和直,小田 荘一,松瀬 貢規:「直流試験による同期電 動機の始動特性推定法」,電気学会論文誌 D, Vol. 112, No. 1, pp. 73-80 (1992-1)

[8] The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. , “IEEE standard procedures for obtaining synchronous machine parameters from standstill frequency testing,” IEEE Std. 115A-1987 (1987)

[9] C. Concordia, “Synchronous Machines,” John Wiley & Sons (1951)

[10] 狩野 隆志,山本 修,荒 隆裕:「同期機の突発短絡時における界磁電 流算出法」, 電気学会論文誌 D, Vol. 124, No. 3, pp. 304-311 (2004-3) [11] 狩野 隆志,中山 大樹,荒 隆裕,松村 年郎:「相互漏れリアクタンス を考慮した制動巻線付き同期機の等価回路定数算出法」, 電気学会論文 誌 D, Vol. 127, No. 7, pp. 761-766 (2007-7) [12] 狩野 隆志,渡邉 泰敏,荒 隆裕,松村 年郎:「界磁巻線開放時および 短絡時の直流試験法による界磁過渡特性を考慮した同期機の等価回路 定数算出法」,電気学会論文誌 D, Vol. 129, No. 3, pp. 325-331 (2009-3)

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[14] 田中 晃,山本 修,荒 隆裕,堺 和人,小室 修二:「直流試験による 演算子インピーダンスの周波数応答軌跡を利用した同期機の定数算出 法」, 平成 26 年電気学会全大講演論文集, No. 5-051, pp. 91-92(2014-3) [15] 田中 晃,山本 修,荒 隆裕,堺 和人,小室 修二:「演算子インピー ダンスの周波数応答を利用した同期機の等価回路定数算出法」,平成 26 年電気学会産業応用部門大会, No. 3-27, pp. III-193-194 (2014-8) [16] 同期機諸定数調査専門委員会:「同期機諸定数の適用技術」,電気学会 技術報告第 798 号 (2000)

(15)

第2章

同期発電機の演算子インピーダンス算出法

2.1 まえがき

同期機の演算子インピーダンスとは,電機子抵抗を除いた端子間から見た 回転子回路を含めたインピーダンスであり,演算子インピーダンスから諸定 数や等価回路定数を算出することで,同期機の解析や運転特性の算出を行う ことができる。 本章では,本研究を進めるための基礎として,同期機の演算子インピーダ ンス算出法に関する次の事項を整理して明示することを目的とする。 (1) 電圧および磁束鎖交方程式 (2) 同期機諸定数と相互漏れリアクタンスを考慮した同期機等価回路 (3) 直流試験による同期発電機の演算子インピーダンス算出法

2.2 直軸および横軸の演算子インピーダンスと等価回路の導出

2.2.1 電圧および磁束鎖交方程式 同期機は,一般に電機子巻線,制動巻線および界磁巻線の三種類の巻線か ら構成されている。電機子巻線は,界磁との相対運動によって誘導起電力を 発生する巻線である。また,制動巻線は,始動巻線とも呼ばれており,誘導 機のかご形巻線とほぼ同様の構造を持つ巻線である。自己始動や負荷角の動 揺を速やかに減衰させる目的で磁極頭部に設けられている。ごく小容量のも のを除けば,電機子巻線は固定子,界磁巻線および制動巻線は回転子に施さ れている。 図 2.1 は,二反作用理論[1]~[5]にもとづく突極形同期機の直軸と横軸の定義 である。この理論では,回転子上に座標軸を設定し,N 極の磁極軸の向きを 直軸(d 軸),これと電気角で π/2 だけ回転方向より遅れた磁極の向きを横軸q 軸)にとっている。電機子巻線あるいは回転子回路によってギャップに

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図2.1 二反作用理論にもとづく突極形同期機の 直軸および横軸の位置関係 同期機の電圧および磁束鎖交方程式ならびにそれらから導出される各軸の 等価回路は,一般的には主磁束,各巻線の漏れ磁束および各巻線の抵抗のみ を考慮し,リアクタンスと抵抗で表している。しかし,厳密には,図 2.2 に 示すように制動巻線と界磁巻線の相互に鎖交する漏れ磁束(相互漏れリアク タンスx23)が存在する。突発短絡時における界磁過渡特性に関する研究にお いては,この x23 を考慮することによって,円筒形機および突極形機の双方 に対して,解析精度が向上することが指摘されており,x23を含む直軸等価回 路がしばしば用いられる[6]~[10]

A

B

C

Armature winding Damper winding Field winding

q

Rotational direction Gap

(17)

図 2.2 直軸位置における磁束とリアクタンス (円筒形同期機を例にして図示) 次に,相互漏れリアクタンス x23 を考慮して,電機子巻線,制動巻線およ び界磁巻線についての電圧および磁束鎖交方程式を求め,三相量から dq 軸量 に変換し,単位法表示する。 界磁巻線短絡時における同期機の直軸および横軸の電圧および磁束鎖交方 程式は,IEC Pub. 34-10[12]の発電機基準でx23を考慮すると次のように書き表 せる。 d a q d d p p r i u      (2.1) q a q d q p p r i u      (2.2) f f fi p r    0 (2.3) kd kd kdi p r    0 (2.4) kq kq kqi p r    0 (2.5) kd akd f afd d d dx ix ix i  (2.6) kq akq q q qx ix i  (2.7) kd kd fkd f ffd d afd fx ix ix ix23i  (2.8) f f fkd kd kkd d akd kdx ix ix ix23i  (2.9) kq kkq q q kqx ix i  (2.10) Air gap Armature winding Damper winding Field winding

Armature leakage reactance xl

Damper leakage reactance xkd

Field leakage reactance xf

Main magnetic flux

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d u ,uq :直軸および横軸の電機子巻線に加わる電圧 d i ,iq :直軸および横軸の電機子巻線電流 kd i ,ikq :直軸および横軸の制動巻線電流 f i :界磁巻線電流 a r ,x l :電機子巻線抵抗,電機子巻線漏れリアクタンス 23 x :制動巻線と界磁巻線間の相互漏れリアクタンス kd r ,rkq :直軸および横軸の制動巻線抵抗 kd x ,xkq :直軸および横軸の制動巻線漏れリアクタンス kkd x ,xkkq :直軸および横軸の制動巻線自己リアクタンス akd x ,xakq :電機子巻線と直軸および横軸の制動巻線との相互リアクタンス f r ,xf :界磁巻線抵抗,界磁巻線漏れリアクタンス ffd x :界磁巻線自己リアクタンス afd x :電機子巻線と界磁巻線との相互リアクタンス fkd x :直軸制動巻線と界磁巻線との相互リアクタンス ad x ,xaq :直軸および横軸の電機子反作用リアクタンス (xadxakdxafdxfkdxaqxakq

d x ,xq :直軸および横軸の同期リアクタンス (xdxlxadxqxlxaqp :微分演算子 d/dt(t は,単位法表示)  :回転子の位置( p r,r:回転角速度) 単 位 法 は , 同 期 機 に 関 す る 重 要 な 古 典 的 研 究 を 行 っ た Doherty および Nidckle によって発表され,すべての量を各量の基準値で除した値で取り扱う 方法である[3][5][12]。一般に単位法を使用することにより以下の便利さがあり

(19)

(1) すべての量が無次元になるので数式が常に簡単化される。 (2) 数値を扱う場合には,機械の大きさや定格電圧の高低にかかわらず, 電機子抵抗,各種リアクタンスなどが,その量の種類によって決まる 狭い範囲に落ち着くので,特定の機械に対する計算結果が近似的な一 般性を持つ。基準値として用いられているのは,次の値である。 電機子電圧の基準値Vbase: 2Vn〔V〕(V は定格相電圧実効値) n 電機子電流の基準値Ibase: 2In〔A〕(I は定格相電流実効値) n インピーダンスの基準値XbaseXbaseVn In 〔Ω〕 時間の基準値Tbase1/ω0〔s〕(ω0は定格角周波数) 2.2.2 直軸の演算子インピーダンスと等価回路の導出 文献[13]で示されている演算子インピーダンスと等価回路の導出法をベー スにして,相互漏れリアクタンスを考慮した直軸の演算子インピーダンスと 等価回路の導出を行う。 (2.3)式に(2.8)式,(2.4)式に(2.9)式を代入すると,

rfxffdp

if (xfkdx23)pikd  xakdpid (2.11)

kd kkd

kd akd d f fkd x pi r x p i x pi x  )     ( 23 (2.12) となる。次に,(2.11)式および(2.12)式より,

d fkd kkd kd ffd f fkd akd kd kd afd f i p x x p x r p x r p x x p x p x r p x i 2 2 23 23 ) (          (2.13)

d fkd kkd kd ffd f fkd afd ffd f akd kd r x p r x p x x p i x x p x p x r p x i 2 2 23 23 2 ) (          (2.14) となる。(2.13)式および(2.14)式を(2.6)式へ代入し,i の関数として表現するd と,

(20)

となる。 (2.15)式の右辺第三式のXd

 

p は,直軸演算子インピーダンスと呼ばれ,同 式の右辺第2式と比較するとこれは,電機子巻線抵抗r を含まないインピーa ダンスで表されていることがわかる。 図 2.3 は相互漏れリアクタンスを考慮した直軸等価回路である。定常状態 (回転子は,滑りs(一定)で運転しているとする)を取り扱うには,図 2.3 において js を微分演算子 pに置き換え,初期値を考慮に入れない複素数形式 で表現すると直軸演算子インピーダンスと一致する。これについて,等価回 路から逆算することによって証明する。 図 2.3 において js とおき直軸演算子インピーダンスp Xd

 

p を求めると,

 

                             p r x p r x x x x p X f f kd kd ad l d 1 1 1 1 1 1 23 (2.16) となる。(2.16)式にxfxffdxadx23xkdxkkdxadx23xlxdxadを代入 すると,

 

 

f kd kd ffd f kkd ad ffd kkd f ad kd ad ad ffd ad ad ad kkd d d r r r x r x p x x x x p r x r x p x x x x x x x p x p X             2 23 2 2 2 2 2 23 2 2 ) ( ) ( 2 (2.17) となる。これは,(2.15)式の右辺第2式でxakdxafdxfkdxadとおいた式と一 致する。 以上より,相互漏れリアクタンスを考慮した直軸の等価回路は,図 2.3 に 示す直軸等価回路となる。

(21)

図2.3 相互漏れリアクタンスを考慮した直軸等価回路 2.2.3 横軸の演算子インピーダンスと等価回路の導出 横軸についても 2.2.2 項と同様に考える。(2.5)式および(2.10)式より,ikqq i の関数として表現し,(2.7)式に代入すると,

q kq q akq

q qi xi i x

q akq kkq kq

q x px px r i    2

 

p X iq q  (2.18) となる。 (2.18)式の右辺第3式のXq

 

p は,横軸演算子インピーダンスであり,同式 の右辺第2式と比較すると,直軸の場合同様,r を含まないインピーダンスa で表現されていることがわかる。 図 2.4 は,横軸等価回路である。図 2.4 についても直軸の場合と同様に考 えると,横軸演算子インピーダンスは,

 

           p r x x x p X kq kq ad l q 1 1 1 (2.19) となる。(2.19)式にxkqxkkqxaqxlxqxaqを代入すると,

 

q aq kkq kq q p x px px r X   2  (2.20) となり,(2.18)式の右辺第2式でxx とおいた式と一致する。 kd

x

js

r

kd

r

f

js

f

x

) ( js Xds

x

ad l

x

x23 a

r

a

N

a N

(22)

図2.4 横軸等価回路

2.3 同期機諸定数と相互漏れリアクタンスを考慮した同期機等

価回路

2.3.1 直軸における諸定数と等価回路との関係 図 2.5(a)は,界磁巻線短絡時の直軸等価回路である。 r は電機子抵抗,a xl は電機子漏れリアクタンス,x は直軸電機子反作用リアクタンス,ad x は相23 互漏れリアクタンス,x は直軸制動巻線漏れリアクタンス,kd r は直軸制動kd 巻線抵抗,xf は界磁巻線漏れリアクタンス,rf は界磁巻線抵抗,K は定数(界 磁巻線短絡時は K=1)である。Xds(js)は界磁巻線短絡時の直軸演算子インピ ーダンスであり,図 2.5(a)の端子 a'-N'間から見た各滑り s に対するインピー ダンスに相当する。 図 2.5(b) は , 文 献 [14] に 記 載 さ れ て い る 火 力 用 同 期 発 電 機 (800MVA-25kV-2P-60Hz)の諸定数から求めた演算子インピーダンスの大き さ|Xds(js)|を縦軸,滑り周波数 f(

 

2 , :滑り角周波数)を横軸に描い た周波数特性である。同図において,上側の横軸目盛である時定数 は1

 

2f である。 kq

x

js

r

kq ) ( js Xq

x

aq

N

N

(23)

においてs0およびsとしたときの端子 a’-N’間から見た合成リアクタン スであり,それぞれ等価回路との関係は(2.21)式,(2.22)式となる。 ad l d x x x   (2.21)

             f kd ad l d x x x x x x 1 1 1 1 1 1 23 (2.22) (a) 直軸等価回路(界磁巻線短絡時) (b) 代表機の周波数特性 Xds

 

js 図2.5 直軸の演算子インピーダンスの周波数特性(界磁巻線短絡時) a N 0.01 0.1 1 10 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.91 2 3 10 1 0.1 0.01

Slip frequency f [Hz]

| X

ds

(js

) |

[p

.u

.]

|X

ds

( js)|

Time constant



( =1/(2

f ) ) [s]

x

d

x''

d

T'

do

T'

d

A

B

C

(−20dB/dec.)

x'

d

D

E

T''

do

T''

d P1 P2 Q1 Q2

(24)

直軸過渡リアクタンスx は,図 2.5(a)において制動巻線を切り離した状態dsとしたときの合成リアクタンスである。              f ad l d x x x x x 23 1 1 1 (2.23) d x の値は,図 2.5(b)に示す周波数特性において,周波数特性の平坦部の縦 軸の値であり,漸近線B と縦軸との交点から求められる[15]。 直 軸 開 路 過 渡 時 定 数T  および直軸短絡過渡時定数do T  は,それぞれ図d 2.5(a)において a’-N’間を開路および短絡したときに界磁巻線から見た回路の 時定数である。また,直軸開路初期過渡時定数T  および直軸短絡初期過渡時do 定数T  は,それぞれ図 2.5(a)において a’-N’間を開路および短絡したときに制d 動巻線から見た回路の時定数である。これらと等価回路との関係は,定格角 周波数を0とすると,(2.24)式~(2.27)式となる。 f ad f do r x x x T 0 23      (2.24)            l ad f f d x x x x r T 1 1 1 1 23 0  (2.25)

           f ad kd kd do r x x x x T 1 1 1 1 23 0  (2.26)

                 l ad f kd kd d x x x x x r T 1 1 1 1 1 1 1 23 0  (2.27) なお,通常の同期機においては制動巻線を開放することはできないが,図

(25)

数が定義され,直軸同期リアクタンスx は(2.21)式,直軸過渡リアクタンスd xd は(2.23)式,直軸開路過渡時定数T  は(2.24)式,直軸短絡過渡時定数do T  は(2.25)d 式とそれぞれ一致する。 図 2.6(a)は,界磁巻線開放時の直軸等価回路である。界磁巻線開放時の直 軸初期過渡リアクタンスをx  と定義すると,d x  は,図 2.6(a)においてd sと したときの合成リアクタンスであり,(2.28)式となる。x  の値は,前述と同d 様の方法により,図 2.6(b)に示す界磁巻線開放時の演算子インピーダンス

 

js Xdo の周波数特性から求められる。なお,x  の導入は,d x の影響を加味23 した等価回路定数を求めるために必要となるものである[4][10]。            kd ad l d x x x x x 23 1 1 1 (2.28) 直軸開路制動巻線時定数T および直軸短絡制動巻線時定数ho T は,それぞha れ図2.6(a)において a’-N’間を開路および短絡したときに制動巻線から見た回 路の時定数であり,それぞれ等価回路との関係は(2.29)式,(2.30)式となる。 kd ad kd ho r x x x T 0 23     (2.29)           l ad kd kd ha x x x x r T 1 1 1 1 23 0  (2.30)

(26)

(a) 直軸等価回路(界磁巻線開放時) (b) 代表機の周波数特性 Xdo js 図2.6 直軸の演算子インピーダンスの周波数特性(界磁巻線開放時) a N 0.01 0.1 1 10 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.91 2 3 10 1 0.1 0.01

Slip frequency f [Hz]

| X

do

(js

) |

[p

.u

.]

| X

do

(js) |

Time constant



( =1/(2

f ) ) [s]

xd (1.79) x'''d (0.34) Tho (0.098) Tha (0.019) (−20dB/dec.)

(27)

2.3.2 横軸における諸定数と等価回路との関係 図 2.7(a)は横軸の等価回路である。 xaqは横軸電機子反作用リアクタンス, kq x は横軸制動巻線漏れリアクタンス,rkqは横軸制動巻線抵抗,Xq

 

js は横 軸の演算子インピーダンスである。 横軸同期リアクタンスxqおよび横軸初期過渡リアクタンスx qは,図2.7(a) においてs0およびs としたときの端子 a’-N’間から見た合成リアクタン スであり,それぞれ等価回路との関係は(2.31)式,(2.32)式となる。 aq l q x x x   (2.31) kq aq l q x x x x 1 1 1     (2.32) q x およびx qの値は,前述と同様の方法により図2.7(b)に示す横軸の演算子 インピーダンスXq

 

js の周波数特性から求められる[15]。 横軸開路初期過渡時定数T qoおよび横軸短絡初期過渡時定数T q は,それぞ れ図 2.7(a)において a'-N′間を開路および短絡したときに界磁巻線から見た 回路の時定数であり,それぞれ等価回路との関係は(2.33)式,(2.34)式となる。 kq kq aq qo r x x T 0     (2.33)             l aq kq kq q r x x x T 1 1 1 1 0  (2.34)

(28)

(a) 横軸等価回路 (b) 代表機の周波数特性 Xq js 図 2.7 横軸の演算子インピーダンスの周波数特性 a N 0.01 0.1 1 10 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.91 2 3 10 1 0.1 0.01

Slip frequency f [Hz]

| X

q

(js

) |

[

p.u

.]

|X

q

( js)|

Time constant



( =1/(2

f ) ) [s]

x''q (0.25) T''qo(0.11) T''q (0.015) (−20dB/dec.) xq (1.77)

(29)

2.3.3 直軸等価回路の変数変換 図 2.8 に示すような電流を定義すると,

r j l j L

I1 j L I2 j L I3 V  a   a  ad    ad    ad  (2.35)

23

2

23

3 1 0 jsLadI  rkdjsLad l lkd I  jsLad l I (2.36)

23

2

23

3 1 0 jsLadI  jsLad l I  rfjsLad l lkd I (2.37) (2.36)式および(2.37)式の両辺に sを 乗 じ て ,(2.35)式,(2.36)式および (2.37)式でI2  I2,I3 I3とすると,

           3 23 2 2 2 2 23 2 2 2 1 0 j L l l I j L l I s r I L j kd ad kd ad ad                 (2.38)

 

  

     2 3 23 2 2 2 2 23 2 2 1 0 j L l l I s r I l L j I L j adadf ad f                (2.39) さらに,xl laxad Ladx23 l23xkd lkdxf lfとおくと,(2.35) 式,(2.38)式および(2.39)式は,次式となる。

r j x x

I1 j x I2 j x I3 V  alad    ad   ad (2.40)

23

3 2 2 2 2 23 2 2 2 1 0 j x x l I j x l I s r I x j kd ad kd ad ad                         (2.41)

3 2 23 2 2 2 2 23 2 2 1 0 j x x x I s r I x x j I x j f ad f ad ad                           (2.42) よって,(2.40)式から(2.42)式より,図 2.9 に示す等価回路が導出される。 上記は,変換係数 α により図 2.8 に示す等価回路が,図 2.9 に示す回路に 等価変換できることを表している。よって,相互漏れリアクタンス x23 が零 でありながら,図 2.8 と等価な回路モデルが存在する。しかしながら,この ときの諸定数の値や演算子インピーダンスは α に依存しない[10]。

(30)

図 2.8 直軸等価回路 図2.9 等価変換された直軸等価回路 a l l23 kd r kd l f r f x ad L a r V 1

I I2 I3

) ) 1 ( (xl xad j   ( 23 ) 2 2 ad ad x x x j   kd r s 2  kd x j2 f r s 2  f x j2 ad x j2 a r 1

I I2 I3

(31)

2.4 直流試験による同期発電機の演算子インピーダンス算出法

2.4.1 直流試験による誘導性負荷の端子間から見た各周波数における インピーダンスの測定法 図 2.10 は,中間回路として2つのスイッチを用いた直流試験回路であり, 内部抵抗を含む直流電源,2つのスイッチ(SW1 および SW2),過渡電流検 出のためのシャント抵抗器,静止した被試験機(同期発電機),電圧および電 流の過渡波形を測定するオシロスコープで構成される。 2つのスイッチの動作モードは次の2通りである。1つは,SW1 をオンし, SW2 をオフすることによって,被試験機にステップ状の直流を印加するモー ド1である。もう1つは,SW1 をオフし,SW2 をオンすることによって,被 試験機の巻線に流れている直流電流を減衰させるモード2である。 これらの2通りのスイッチングモードを組み合わせることによって3通り の直流試験が行える。具体的には,直流減衰法ではモード1からモード2に 切り替えた時,ステップ応答法ではモード2からモード1に切り替えた時, パルス応答法ではモード2→モード1→モード2と切り替えた時の被試験機 の巻線端子間(UV間)の電圧v(t)および電流 i(t)を測定する。 図2.10 直流試験回路 Digital Oscilloscope Shunt SW1

U

V

v(t) i(t)

W

SW2 DC power supply Internal impedance E Zi Armature of generator

(32)

図2.11 直流試験時の被試験機の巻線端子間(UV間)における 電圧v(t)および電流i の波形の模式図 (t) 図 2.11 は,モード2→モード1→モード2と切り替えた時の電圧と電流の 波形の模式図を示したものである。図 2.11 は,従来の検討[16]-[18]では理論上 カバーされていなかった多様な電圧印加パターンを包含している。つまり, 0 1 DC V かつVDC2VDC3 0の場合は,モード1からモード2に切り換えた場 合に相当するので,直流減衰法となる。VDC1 0かつVDC2VDC3 0の場合は, モード2からモード1に切り換えた場合となるので,ステップ応答法となる。 0 2 1 DCDC V V の場合は,モード2→モード1→モード2と切り替えた場合に 相当するので,パルス応答法となる。この他,図2.11 の波形は,主磁束によ る鉄心の磁気飽和を考慮するために予め意図して直流電流を流した状態でス テップ応答法およびパルス応答法を行うケース[18]や,電源やスイッチの内部 抵抗の影響によって,IDC1IDC2が意図せず完全に零にならないケースをも 包含している。 次に,図 2.11 の波形から,被試験機の端子間(UV間)から見た各角周波 数 におけるインピーダンスZ()を求める算出式を導出することを試みる。 直流試験法における波形表現に利用するシグナム関数 sng(t)は,次式で定 義され, ) 0 ( ) 0 ( 1 1 ) sng(        t t t (2.43) そのフーリエ変換 Sng(ω)は次式となる[19]。

(33)

(a) vP(t)およびiP(t) (b) vN(t)およびiN(t) 図 2.12 v(t)およびi を各々(t) vP(t)+vN(t)およびiP(t)+ iN(t)に分解した波形 (2.44)式を利用すると,Sng(ω)のフーリエ逆変換は次式で求められる。            d jd jd t

j t

j t

j t             2 1 2 1 ) Sng( 2 1 ) sng( (2.45) 算出式の導出のための工夫として,図2.11 の電圧v(t)および電流i の波形(t) を,図2.12 に示すようなステップ波形 vP(t),iP(t)と過渡波形 vN(t),iN(t)に各々 分解して表現する。分解した電圧波形をフーリエ変換し,さらにフーリエ逆 変換すれば次式で表される。

2 ) ( 2 1 2 ) ( 2 1 ) ( 2 1 2 2 ) ( ) ( ) ( 1 2 1 2 0 2 1 2 1 2 0 0 1 2 1 2 DC DC t j DC DC t j DC DC DC t j DC DC t j N t j t j N DC DC t j DC DC N P V V d V V j dt V t v V V d V V j dt t v d dt t v V V d V V j t v t v t v                                     

                                   (2.46)

(34)

2 ) ( 2 1 2 ) ( 2 1 1 2 1 2 0 2 1 2 1 2 0 DC DC t j DC DC t j DC DC DC t j DC DC t j N I I d I I j dt I t i I I d I I j dt t i                      

                     (2.47) (2.46)式および(2.47)式は,図 2.11 における電圧v(t)および電流i(t)が,第一 項の の被積分項である交流成分(周波数成分)と,第二項の直流成分の和 として表現できることを表している。ここで,電圧の交流成分である,

j t DC DC j t DC ac V V j dt V t v v             

  2 1 0 ( ) 2 2 1 (2.48) と電流の交流成分である,

j t DC DC j t DC ac I I j dt I t i i            

  2 1 0 ( ) 2 2 1 (2.49) を比較すると,巻線端子間(UV 間)に交流電圧v を加えたときの交流電流ac iac と考えられることから,被試験機の巻線端子間(UV 間)の端子から見た各 角周波数ω におけるインピーダンスは,図 2.10 の試験回路で測定した図 2.11 の電圧v(t)および電流i から,次式によって求められる。 (t)

       1 2 0 2 1 2 0 2 ) ( ) ( ) ( DC DC t j DC DC DC t j DC ac ac I I j dt I t i V V j dt V t v i v Z        

(2.50) 上式は,ステップ応答法において予め直流電流を巻線に流した状態でステ ップ電圧を印加する直流試験法[16],[17]に対するZ()の算出式として利用され

(35)

ス応答法の場合を含め,従来の方法でカバーしていなかった多様な電圧印加 パターンに対して適用できる算出式であることが理論的に示された。 また,従来のパルス応答法のZ()の算出式においては,  2nTstepn: 自然数,Tstep:図 2.11 におけるパルスの時間幅)における分母と分子の計算 値が理論的に零になるため,この角周波数のポイントにおけるZ()の算出が 行えないことに注意する必要があった[16]。(2.50)式においても,この角周波 数のポイントにおいては分母と分子が零となることから,従来と同様の注意 が必要であると考えられる。 2.4.2 同期発電機の演算子インピーダンス算出法 図 2.13 は,演算子インピーダンスを算出するための直流試験回路である。 スイッチSW を①→②に切り換えることで,直流減衰法となる。直流減衰法 では,図 2.11 において VDC2=0,IDC2=0 であり,SW を②にした時刻を t=0 と すればv(t)=0 となる。したがって,これらの条件を(2.50)式に代入することで 得られる(2.51)式に,直流電圧 VDC,試験電流 IDCおよび減衰電流i(t)を代入す ることで,端子 U-V 間から見た各滑り角周波数 におけるインピーダンス ) ( Z を求めることができる。また,求めたZ()を(2.52)式に代入することで, 各滑りss 0,0:電源角周波数)における1相あたりの演算子イン ピーダンスX( js)を求めることができる。

   0 ( ) 1 ) ( DC DC t j DC V I dt t i jV Z     (2.51) js r Z js X( ) () 2 a (2.52) ここに,r は1相あたりの電機子抵抗である。 a (2.52)式において,リアクタンスが正の実数,抵抗が負の虚数である。 回転子を直軸の位置に固定し,界磁巻線を短絡した状態の試験によって界 磁巻線短絡時の直軸演算子インピーダンスX ( js),界磁巻線を開放した状態

(36)

図 2.13 直流試験回路 2.4.3 演算子インピーダンスの半円軌跡 図 2.14 は,文献[14]に記載されている火力用同期発電機(800MVA-25kV-2P- 60Hz)の諸定数から逆算して求めた演算子インピーダンスの実部を横軸,虚 部を縦軸に描いた半円軌跡である。表 2.1 に,逆算に使用した大容量機の諸 定数の値を示す。 図 2.14 には周波数が 0.001Hz,1Hz,10Hz および 60Hz における値を丸印 で示している。黒色の点線で示す界磁巻線短絡時の直軸演算子インピーダン ス Xds(js)は,等価回路に制動巻線回路と界磁巻線回路があるため,2つの半 円軌跡から構成される。半円の右端の軌跡を横軸に外挿したときの値がx ,d 2つの半円の交点を横軸に外挿したときの値がx ,半円の左端を横軸に外挿d したときの値がxとなる。同様にして,赤色の実線で示す界磁巻線開放時のd 直軸演算子インピーダンスXdo(js)の左端の値がx  ,青色の実線で示す横軸演d 算子インピーダンスXq(js)の右端の値がxq,左端の値がx qとなる。 SW

V

DC

i(t)

I

DC ① ② U V W J K Field winding Armature winding

(37)

図 2.14 代表機の演算子インピーダンスの半円軌跡 表 2.1 大容量機の諸定数 諸定数値 d x 1.79 p.u. d x 0.34 p.u. d x  0.26 p.u. q x 1.77 p.u. q x 0.25 p.u. do T  6.4 s d T 1.2 s d T  0.015 s q T  0.015 s −0.8 −0.6 −0.4 −0.2 00.0 0.5 1.0 1.5 2.0

Reactance [p.u.]

Resi

stance

[p

.u

]

Xdo(js) Xqo(js) Xds(js) 0.001Hz 0.001Hz 0.001Hz 1Hz 60Hz 10Hz 1Hz 1Hz 10Hz 10Hz 60Hz 60Hz xd =1.79 xq =1.77 x''d =0.26 x''q =0.25 x'd =0.34 x'''d =0.34

(38)

x23 0 rkd 0.049. xkd 0.19 xaq 1.6 rkq 0.042 xkq 0.084 s rf 0.00075 xf 0.19 2.4.4 演算子インピーダンスの周波数特性 図 2.15 は,図 2.14 と同じデータを用いて,演算子インピーダンスの大き さ Xds

 

js を縦軸,滑り周波数 f(

 

2 , :滑り角周波数)を横軸に描 いた周波数特性である。同図において,上側の横軸目盛である時定数 は

 

2f 1 である。 図 2.15 の各周波数特性において,滑り周波数を f=0 としたときの縦軸の値x ,d xqとなり,f=∞としたきの縦軸の値がx,d x  ,d x qとなる。Xds(js)の周 波数特性には平坦部が現われ,この平坦部の縦軸の値がx となる。また,滑d り周波数に対応する時定数を上側の横軸目盛に示しているように,周波数特 性には時間の情報が含まれるため,周波数特性から同期機の時定数が算出で きる。この方法については第3章で詳述する。

(39)

図2.15 代表機の演算子インピーダンスの周波数特性 0.001 0.01 0.1 1 10 100 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 2.0 3.0 100 10 1 0.1 0.01

Slip frequency f [Hz]

O

per

at

ional

im

pe

da

nce

|

X

(js

) |

[p

.u

.]

X

q

(js)

X

ds

(js)

Time constant 1/(2

f ) [s]

xd =1.79 x'd =0.34 x'''d =0.34 x''d =0.26

X

do

(js)

xq =1.77 x'q =0.25

(40)

(1) 相互漏れリアクタンスを考慮した電圧および磁束鎖交方程式を示し, それらから二反作用理論にもとづいて同期発電機の直軸および横軸の 等価回路を導出する過程を示した。 (2) 同期機諸定数と相互漏れリアクタンスを考慮した等価回路定数との関 係式を整理して示した。 (3) 小容量の直流電源を用いた回転機の静止試験である直流試験おいて, スイッチングによる多様な電圧印加パターンで直流試験を実施する際 に共通に利用できる演算子インピーダンス算出式を理論面から導出し た。この中で,電圧 v(t)と電流 i(t)のオフセット(磁気飽和の影響を加 味するために意図的に設けるものとスイッチの内部抵抗などによって 意図せずに含まれてしまうものの双方に対して)が,インピーダンス の算出に影響を及ぼさないことが明らかにした。

(41)

第2章の参考文献

[1] IEC Pub. 34-4, “Method of Determining Synchronous Machine Quantities from Tests,” A39~A40 (1985)

[2] 片岡:「交流機の解析理論」,電気学会全国大会講演論文集,S. 10-1(平 成2 年)

[3] C. Concordia, “Synchronous Machines,” John Wiley & Sons (1951) [4] 猪狩 武尚:「電気機械理論」, p.147-243, コロナ社(昭和 52 年) [5] 小田 荘一:「同期機の二反作用理論と単位法」, 財団法人職業訓練教

材研究会, p. 1-37(昭和 56 年)

[6] I. M. Canay, “Causes of Discrepancies on Calculation of Rotor Quantities and Exact Equivalent Diagrams of the Synchronous Machine,” IEEE Trans, VOL. PASS-88, No. 7 (1969)

[7] Y. Takeda, B. Adkins, ”Determination of synchronous-machine parameters allowing for unequal mutual inductances,” Proc. IEE, vol. 121. No12, (1974) [8] I. M. Canay, ”Determination of model parameters of synchronous

machines,” Proc. IEE, Vol. 130, Pt. B, No. 2, pp. 86-94 (1983-3)

[9] 田村 淳二, 高橋 理音, 高澤 毅, 多田 泰之, 栗田 篤:「同期機におけ るCanay インダクタンスの特性と過渡安定度に対する影響について」, 電気学会論文誌 D, Vol. 124,No. 7,pp. 706-715 (2004-7) [10] 狩野 隆志,中山 大樹,荒 隆裕,松村 年郎:「相互漏れリアクタンス を考慮した制動巻線付き同期機の等価回路定数算出法」,電気学会論文 誌D, Vol. 127,No. 7,pp. 761-766 (2007-7)

[11] IEC Pub. 34-10, ”Convertions for Description of Synchronous Machines,” (1975)

[12] R. H. Park, ”Two-Reaction Theory of Synchronous Machines (Generalized Method of Analysis –Part 1 ),” AIEE, pp. 716-730 (1929)

[13] 荒 隆裕:同期電動機の等価回路定数算出法および始動特性推定法に関 する研究, 学位論文, 明治大学(平成 3 年)

(42)

論文誌 D, Vol. 125, No. 10, pp. 1040-1046 (2015-10) [16] 山本 修,後藤 隆司,荒 隆裕: 直流電源による回転機のオペレーショ ナルインピーダンス算定法」,電気学会論文誌D, Vol. 123,No. 6, pp. 724-731 (2003-6) [17] 山本 修,平原 英明,田中 晃,荒 隆裕: 磁気飽和の影響を考慮した 直流試験による同期機の同期リアクタンスおよび無負荷飽和曲線の算 出法,電気学会論文誌D, Vol. 133, No. 2, pp. 214-221 (2013-2) [18] 田中 晃,山本 修,荒 隆裕: 回転機の各種直流試験におけるフーリエ 変換処理に関する検討,電気学会モータドライブ/回転機合同研究会, MD-13-034/ RM-13-043,pp. 43-48 (2013-7) [19] H. Phsu(佐藤平八訳):「フーリエ解析」, 森北出版, p. 123 (1980)

(43)

第3章

演算子インピーダンスの周波数特性を利用した

拡張周波数応答法による同期機諸定数の簡易算出法

3.1 まえがき

同期機の解析に用いられる諸定数(各種リアクタンスおよび各種時定数) は,規格[1],[2]に記載された試験法によって決定される。しかしながら,大容 量同期機の回転試験の実施は,被試験機の容量に応じた試験設備が必要とな ることなどから,回転試験に依らない等価試験によって諸定数を算出する方 法が求められている[3],[4]。 回転機の静止試験法として,直流試験法[5]~[8]あるいは交流印加法[9]により 演算子インピーダンス[10]を求め,これより等価回路定数や諸定数を同定する 方法がある。また,滑り周波数を横軸,演算子インピーダンスの大きさを縦 軸に描いた周波数特性から諸定数を求める方法がある[10]。この方法は,周波 数特性に対して漸近線を引き,グラフの読み値から直接諸定数の値を求める もので,簡便である一方で,漸近線の引き方によって諸定数が一義的に決定 できないなどの課題がある。 そこで,第3章では,直流試験法により求められる演算子インピーダンス の周波数特性を描き,作図によって簡便に諸定数を算出する方法(以下,拡 張周波数応答法と呼ぶ)について述べる[12][13]。まず,周波数特性から横軸お よび直軸の同期リアクタンス(xq,x ),初期過渡リアクタンス(d x q,x  )おd よび直軸の過渡リアクタンスx を求める方法を示す。次に,演算子インピーd ダンスの虚部の周波数特性から横軸および直軸の開路時定数(T qo,T ,do T  )do を従来に比べて高い精度で求める方法を提案する。さらに,求めた開路時定 数から作図によって短絡時定数(T q ,T  ,d T  )を求める方法について述べる。 d 本手法の妥当性は,制動巻線の有無のみが異なる 2 台の積層磁極突極形同 期機(10kVA)に対する実施例にもとづいて検証している。

(44)

した大容量機の諸定数の値を示す。

表3.1 代表機(800MVA)の諸定数

Values used to calculate frequency characteristics

d x 1.79 p.u. d x 0.34 p.u. d x  0.26 p.u. q x 1.77 p.u. q x 0.25 p.u. do T 6.4 s d T 1.2 s d T  0.015 s q T 0.015 s (xl0.17p.u.) 3.2.1 同期リアクタンスおよび初期過渡リアクタンスの算出法 横軸の演算子インピーダンスXq( js)は,横軸開路初期過渡時定数T qo,横軸 短絡初期過渡時定数T q を用いると下式で表現される[15]。 qo q q q T js T js x js X      0 0 1 1 ) (   (3.1) 図 3.1(a)は,横軸の演算子インピーダンスの大きさ Xq( js)を縦軸,滑り周 波数 f(

 

2 )を横軸に描いた周波数特性である。また,図3.1(b)は,縦 軸に演算子インピーダンスの虚部Im

Xq(js)

を描いた周波数特性である。図

(45)

図 3.1(a)に示す周波数特性から横軸の同期リアクタンスxqおよび初期過渡 リアクタンスx qを算出する方法を述べる。xqは(3.1)式においてs0としたと き,つまり,図3.1(a)において f 0としたときの Xq( js)の値である。したが って,図3.1(a)に対して横軸と平行に漸近線 A を描き,この漸近線 A と縦軸 との交点からxqの値を得る。 q x は(3.1)式においてsとしたとき,つまり,図3.1(a)において,f と した場合の Xq( js)の値である。したがって,図 3.1(a)に対してxqの場合と同 様に漸近線B を描き,この漸近線 B と縦軸との交点からxqの値を得る。 (a) Xq( js) (b) Im

Xq(js)

図 3.1 代表機の横軸演算子インピーダンスの周波数特性 0.01 0.1 1 10 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.91 2 3 10 1 0.1 0.01 Slip frequency f [Hz] | Xq (js ) | [p .u .]

|X

q

( js)|

Time constant ( =1/(2f ) ) [s] xq x''q T''qo T''q A B C (−20dB/dec.) P1 P2 (1.77) (0.25) (0.015) 0.01 0.1 1 10 −0.8 −0.6 −0.4 −0.2 0 10 1 0.1 0.01 Slip frequency f [Hz] Time constant ( =1/(2f ) ) [s] Im{ Xq (js )} T'' qo

参照

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