• 検索結果がありません。

第 2 章 の参考文献

3.5 実施例

本節では,供試機に対して第2章で述べた直流試験法を適用し,得られた 演算子インピーダンスの周波数特性に対して,3.2 節~3.4節で述べた方法を 適用して諸定数を算出する。また,商用試験によって求めた諸定数と比較す ることで,本手法の妥当性を検証する。

3.5.1 拡張周波数応答法による同期機諸定数の算出結果

供試機として,制動巻線付き積層磁極突極形同期機(10kVA-200V-31.9A-4P- 50Hz)を使用した。この供試機に以下の手順で直流試験を実施した。図2.13 に示す直流試験回路を構成し,電機子巻線に試験電流IDC=10Aを流した状態 でスイッチSW を②側に切り換え,電機子巻線端子間を短絡する。短絡前後 の端子間電圧および減衰電流 i(t)を測定する。電流の測定にはシャント抵抗

(LEM 社製,100mV/10A,バンド幅 20MHz)を用い,16 ビット分解能のデ ィジタルオシロスコープで記録した。なお,サンプリングレートは100kHz, 測定時間は5s とした。

測定した IDC,VDC および i(t)を(2.51)式に代入することでインピーダンス

Z(ω)を求め,(2.52)式により演算子インピーダンス X(js)を算出した。回転子 を直軸の位置に固定した状態の試験によって得られた直軸の界磁巻線短絡時 の演算子インピーダンスXds(js)を図3.3(a),回転子を横軸の位置に固定した状 態の試験によって得られた横軸の演算子インピーダンス Xq(js)を図 3.3(b),

Xds(js)およびXq(js)の虚部の周波数特性をそれぞれ図3.3(c)に示す。

図 3.3 の各周波数特性に対して提案する作図法を適用し,これより求めた

(a) Xds(js)

(b) Xq(js)

(c) Im

X(js)

図3.3 直流試験による周波数特性と諸定数の算出結果

0.1 1 10

0.6 0.7 0.80.91 2 3 4

5 1 0.1 0.01

Slip frequency f [Hz]

| Xds(js) | [] |Xds(js)|

Time constant ( =1/(2f ) ) [s]

xd=3.55

x''d=0.723 T'do=0.296 T''do=0.0198

x'd=0.933

(1.82)

T'd =0.0778 T''d =0.0153

I H

0.1 1 10

0.6 0.7 0.80.91 2 3 4

5 1 0.1 0.01

Slip frequency f [Hz]

| Xq(js) | []

|Xq(js)|

Time constant ( =1/(2f ) ) [s]

x''q=0.857 T''qo=0.0398

xq=2.20

T''q =0.0155

0.1 1 10

−1.5

−1

−0.5

0 1 0.1 0.01

Im{X(js)} []

Slip frequency f [Hz]

Time constant ( =1/(2f ) ) [s]

T''qo T'do

Xq(js) Xds(js)

るので,制動巻線の無い同期機における界磁巻線短絡時の演算子インピーダ ンスXdf(js)においてsとしたときの値がxdとなる。図 3.4 がその結果で ある。図 3.4 から得た値xd=0.898Ωに対し,図 3.3(a)から得た値はxd=0.933 Ωであり,提案する過渡リアクタンスの算出法の妥当性が確認される。

また,図3.3(c)が示すようにXds(js)の周波数特性には,Tdoの算出に使用する 極小値が現れていない。そこで本検証では,3.4 節で述べたように漸近線と 周波数特性との交点が中点になることを利用して初期過渡時定数を算出した。

具体的には図 3.3(a)において,先ず,横軸と平行にxdxdとの中点を通る直 線Iを描く。次に,直線 Iと Xds(js)との交点を通る20dB/dec. の傾きの漸近 線 H を描き,xdおよびxdの算出に使用した漸近線と漸近線 H との交点を利 用してTdoおよびTdを算出した。これらの算出した諸定数(Tdo,Td)の値につ いても,図3.3に記載している。

0.1 1 10

0.6 0.7 0.8 0.91 2 3 4

5 1 0.1 0.01

Slip frequency f [Hz]

| X(js) | []

|Xdf(js)|

Time constant ( =1/(2f ) ) [s]

x'd=0.898

3.5.2 商用試験による実測結果との比較検討

前節における算出結果を検証するため,JEC-2130に規定された方法により 諸定数を測定した。xdは無負荷飽和曲線・短絡特性曲線,xd,xd,Td,Tdは三 相突発短絡試験,xqは滑り法,xqはダルトン・カメロン法によりそれぞれ測 定した。また,Tdo ,Tdoは,測定された他の諸定数を利用し計算[2]によって求 めた。諸定数の算出結果を表 3.2 に示す。提案法により得られた値(表 3.2 の左列)は,商用試験による実測結果の値(表 3.2 の右列)とほぼ等しいこ とから,提案する諸定数算出法の妥当性が確認される。

表 3.2 諸定数の算出結果の比較

Proposed method Standardized test

xd 3.55 Ω 3.87 Ω

xd 0.933 Ω 0.881 Ω xd 0.723 Ω 0.697 Ω

xq 2.20 Ω 2.38 Ω

xq 0.857 Ω 0.875 Ω Tdo0.296 s 0.282 s (*)

Td77.8 ms 64.2 ms Tdo 19.8 ms 15.9 ms (*) Td 15.3 ms 12.6 ms

Tqo 39.8 ms - Tq 15.5 ms - (*) Tdo  xdTdxd,Tdo  xdTd xd

(1) 滑り周波数に対する各演算子インピーダンス(Xds(js), Xq(js))の周波数 特性において,演算子インピーダンスの虚部が極小になる点の滑り周 波数が,直軸開路過渡時定数Tdo ,直軸開路初期過渡時定数Tdo,横軸開 路初期過渡時定数Tqoに一致することを明らかにした。

(2) 時定数Tdo,Tdo,Tqoを利用して直軸短絡過渡時定数Td,直軸短絡初期過渡 時定数Td,横軸短絡初期過渡時定数Tqを作図によって求められること を示した。

(3) 周波数特性に平坦部が現れない同期機に対して,Tdo を利用した漸近線 を描くことにより,作図よって過渡リアクタンスxdが求められること を示した。

(4) 上記の(1)~(3)の妥当性は,10kVAの制動巻線付きおよび制動巻線無し の積層磁極突極形同期機に対する実機検証にもとづいて明らかにした。

関連したドキュメント