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全文

(1)

平成23年度

愛知県臨床検査精度管理調査報告

細胞検査部門

精度管理事業部員 住吉尚之

実務担当者

榊原沙知

実務担当者

成田淳

(2)

はじめに

細胞検査部門では細胞検査における細胞の

見方および所見の表現方法の統一化を目的

とした精度管理調査を実施してきた。

本年度は婦人科・呼吸器・泌尿器の分野にお

いてフォトサーベイ形式にて6症例を出題した。

(3)

方法

参加施設

平成23年度精度管理調査参加施設:119施設

細胞検査部門参加施設

:51施設

評価方法

各症例の判定・推定病変について正解および 許容

正解を設定し評価した。

細胞所見については評価を行わず、集計のみ実施

とした。

(4)

症例1

【年齢】 52歳

【性別】 女性

【検体】 子宮膣部擦過

【採取器具】 綿棒

【臨床所見】 検診

(5)
(6)
(7)
(8)
(9)

正解・許容正解

判定

クラスⅠ クラスⅡ NILM 陰性

推定病変(推定される組織像)

濾胞性頸管炎 リンパ球性頸管炎 (炎症)

など

(10)

設問1、2:判定(貴施設の判定でお答えください。併記をされて

いる施設は2つお答えください。)

2 1 LSIL 2 1 陰性 17 9 NILM 67 34 クラスⅡ NILM 2 1 クラスⅠ NILM 8 4 クラスⅡ 2 1 クラスⅠ 回答率(%) 回答施設数

正解率

98%

設問3:推定病変(推定される組織像)を記入してください。

100 51 濾胞性頸管炎 (リンパ性頸管炎) 回答率(%) 回答施設数

正解率

100%

(11)

設問4:背景のリンパ球

4 2 単調 96 49 多彩 回答率(%) 回答施設数 75 38 組織球、マクロファージ 25 13

tingible body macrophage、 貪食組織球 回答率(%) 回答施設数

設問5:矢印(1) の細胞は何ですか

(1) (1)

(12)

(2)

設問6:細胞(核)の大きさ(核

長径)

設問7:核縁の肥厚

設問8:核形(核縁)の不整

100

100

7μm位

回答率(%)

回答施設数

84

43

なし

16

あり

回答率(%)

回答施設数

100

51

なし

回答率(%)

回答施設数

(13)

症例2

【年齢】 59歳

【性別】 女性

【検体】 子宮膣部擦過

【採取器具】 綿棒

【臨床所見】 検診

(14)
(15)
(16)
(17)
(18)

正解・許容正解

判定

クラスⅠ クラスⅡ NILM 陰性

推定病変(推定される組織像)

(19)

設問1、2:判定(貴施設の判定でお答えください。併記をされて

いる施設は2つお答えください。)

2 1 LSIL 2 1 陰性 17 9 NILM 65 33 クラスⅡ NILM 4 2 クラスⅠ NILM 8 4 クラスⅡ 2 1 クラスⅠ 回答率(%) 回答施設数

正解率

98%

設問3:推定病変(推定される組織像)を記入してください。

2 1 炎症 98 50 萎縮性膣炎 (老人性膣炎) 回答率(%) 回答施設数

正解率

100%

(20)

(1)

設問4:細胞(核)の大きさ(核長径)

設問5:核クロマチンの構造

設問6:核形(核縁)の不整

92 47 10μm位 8 4 5μm位 回答率(%) 回答施設数 2 1 不明瞭 12 6 粗顆粒状 51 26 細顆粒状 4 2 粗網状 31 16 細網状 回答率(%) 回答施設数 100 51 なし 回答率(%) 回答施設数

(21)

2 1 核融解成分 6 3 裸核細胞 15 8 異型のない変性細胞 2 1 脱核した核 6 3 染色液由来の混入物 61 31 濃縮粘液 8 4 変性した異型細胞 回答率(%) 回答施設数 (2)

設問4:矢印(2) は何ですか

(22)

(2)

濃縮粘液(inspiciated mucus)

傍基底扁平上皮細胞が粘液に覆われ、細胞全体が

ヘマトキシリンに染色された構造物、もしくは濃縮し

た粘液と考えられている。

萎縮像に出現することが知られており、異型細胞の

核と誤認してはならない。

(23)

症例3

【年齢】 45歳

【性別】 女性

【検体】 子宮膣部擦過

【採取器具】 綿棒

【臨床所見】 検診

(24)
(25)
(26)
(27)
(28)
(29)

正解・許容正解

判定

クラスⅠ クラスⅡ NILM 陰性 (AGC-NOS)

推定病変(推定される組織像)

(30)

設問1、2:判定(貴施設の判定でお答えください。併記をされて

いる施設は2つお答えください。)

2 1 Suspicious,悪性腺腫 or AISの疑い 2 1 Other 2 1 クラスⅣ AIS 18 9 NIM 25 13 クラスⅡ NILM 41 21 クラスⅠ NILM 2 1 クラスⅡ 8 4 クラスⅠ 回答率(%) 回答施設数

正解率

94%

(31)

設問3:推定病変(推定される組織像)を記入してください。

2 1 子宮頸部腺癌 2 1 上皮内癌 4 2 扁平上皮化生細胞 92 47 子宮頸管腺上皮細胞 回答率(%) 回答施設数

正解率

96%

(32)

鑑別診断

LEGH(分葉状頸管過形成)、MDA(最小偏倚腺癌:悪性腺腫)

これらの疾患では胃型の黄色粘液を有することが特徴として知ら

れている。本症例では淡いピンク色の粘液が確認できることより鑑

別できる。

AIS(内頸部上皮内癌)

‹腫瘍細胞は密集し重積性があり、蜂巣状構造は通常みられない

‹細胞集団の辺縁部から核や細胞質の紐状の突出がみられる

(feathering)

‹核はやや大型で、長円形や卵型を示すことが特徴である

‹核クロマチンは粗顆粒状で、核は濃染する。

(33)
(34)

設問4:核の大小不同性

設問5:細胞の重積性

100

51

なし

回答率(%)

回答施設数

100

51

なし

回答率(%)

回答施設数

(35)

設問6:細胞(核)の大きさ(核長径)

設問7:核クロマチンの性状

設問8:核縁の肥厚

4 2 15μm位 96 49 10μm位 回答率(%) 回答施設数 2 1 粗顆粒状 35 18 細顆粒状 63 32 細網状 回答率(%) 回答施設数 100 51 なし 回答率(%) 回答施設数

(36)

婦人科判定について

婦人科症例に関しては日母のクラス分類とベセ

スダシステムの2種類の分類を用意した。

各施設の日常業務で行っている判定方法で回

答を得た。

(37)

考察(婦人科判定について)

判定方法については施設間差が見られた。

zクラス分類とベセスダ併用:35施設(68%)

zベセスダ単独

:10施設(20%)

zクラス分類単独

:5施設(10%)

zその他の判定

:1施設(2%)

判定方法の統一化は精度管理上重要課題であり、今後

も更に検討する必要性を感じた。

(38)

症例4

【年齢】 28歳

【性別】 男性

【検体】 気管支洗浄液

(39)
(40)
(41)
(42)
(43)

正解・許容正解

判定

陰性 クラスⅡ

推定病変(推定される組織像)

(44)

設問1、2:判定

2 1 クラスⅡ 98 50 陰性 回答率(%) 回答施設数

設問3:推定病変

6 3 肉芽腫性病変 6 3 サルコイドーシス 8 4 結核あるいはサルコイドーシス 80 41 結核 回答率(%) 回答施設数

正解率

100%

正解率

100%

(45)

設問4:矢印(1) の細胞の大きさ

(細胞質も含む)

設問5:矢印(1) の細胞は何ですか?

(1) 100 51 50μm以上 回答率(%) 回答施設数 6 3 多核巨細胞 94 48 ラングハンス型巨細胞 回答率(%) 回答施設数

(46)

設問6:矢印(2) の細胞は何ですか?

100 51 類上皮細胞 回答率(%) 回答施設数 (2)

(47)

症例5

【年齢】 2歳

【性別】 男性

【検体】 自然尿

(48)
(49)
(50)
(51)

正解・許容正解

判定

陰性 クラスⅡ

推定病変(推定される組織像)

(52)

設問1、2:判定

設問3:推定病変

2 1 クラスⅡ 98 50 陰性 回答率(%) 回答施設数 2 1 デコイ細胞 2 1 BKウイルス感染細胞 4 2 ポリオーマウイルス感染細胞 92 47 ウイルス感染細胞 回答率(%) 回答施設数

正解率

100%

正解率

100%

(53)

設問4:細胞(核)の大きさ(核長径)

設問5:核クロマチンの構造

2 1 20μm位 96 49 15μm位 2 1 10μm位 回答率(%) 回答施設数 98 50 スリガラス状 2 1 粗網状 回答率(%) 回答施設数

(54)

設問4:核縁(核形)の不整

設問5:N/C比

100 51 なし 回答率(%) 回答施設数 100 51 1/2以上 回答率(%) 回答施設数

(55)

症例6

【年齢】 75歳

【性別】 男性

【検体】 腎尿

(56)
(57)
(58)
(59)

正解・許容正解

判定

陰性 クラスⅠ

推定病変(推定される組織像)

(60)

設問1、2:判定

設問3:推定病変

2 1 クラスⅠ 2 1 陽性 96 49 陰性 回答率(%) 回答施設数 2 1 尿路上皮癌 98 50 尿路上皮細胞 回答率(%) 回答施設数

正解率

98%

正解率

98%

(61)

設問4:細胞間結合性

設問5:核の突出傾向

(写真6-3で回答してください)

100 51 強 回答率(%) 回答施設数 100 51 なし 回答率(%) 回答施設数

設問6:矢印(1) の細胞は何ですか?

10 5 尿路上皮細胞 90 46 アンブレラ細胞 (被蓋上皮細胞) 回答率(%) 回答施設数 (1)

(62)

(2)

設問7:細胞(核)の大きさ

(核長径)

設問8:核クロマチンの構造

設問9:核小体の大きさ

4 2 15μm位 96 49 10μm位 回答率(%) 回答施設数 20 10 不明瞭 8 4 中 72 37 小 回答率(%) 回答施設数 8 4 粗顆粒状 60 31 細顆粒状 10 5 粗網状 22 11 細網状 回答率(%) 回答施設数

(63)

正解率

症例1 症例2 症例3 症例4 症例5 症例6

判定

98%

98%

94% 100% 100% 98%

推定病変 100% 100% 96% 100% 100% 98%

全問正解:47施設(92%)

14問正解:3施設(6%)

13問正解:1施設(2%)

各設問における正解率

(64)

考察

z

今回の精度管理調査では正常、良性所見を的確に

判断できることを主眼に置き症例選択を行った。

z

日常業務と同様に細胞所見から推定疾患を導ける

ように設問を作成し、例年と比べ記述式の設問の比

率を高くした。

z

日常業務においても、細胞所見を詳細に観察するこ

とや採取方法による細胞の出現形式を知ることは必

要であり、これらを習熟することが偽陽性の回避に

もつながると思われる。

(65)

細胞所見について

例年ばらつきが見られる核クロマチン性状の設問は、本

年度も症例5を除くすべての症例でばらつきが見られた。

¾写真から読み取ることの難しさ

¾画像解像度の問題

¾技師間の評価基準の差異

以上のような原因が考えられる

(66)

考察

z

細胞所見の回答にはばらつきが見られる部分もあっ

たが、判定および推定病変は各施設が同じ結論に

至っていた。

z

細胞所見の微細な部分を観察することは重要である

が、細部のみに捉われず、細胞の出現様式や背景所

見を的確に判断し、標本全体から組織像を推定して

いくことが適正な細胞診診断の報告につながるので

はないかと考える。

参照

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