「通知表」の様式及び記載方法 に関する調査研究
―「学習 の記録」 お よび「行動 の記録」 を中心 に一
附属教育実践研究指導センター
A Study on Report‐
card
Toshiki YAMANE
I
問 題 通知表 (ほかにもさまざまな呼称が あるが ここで は通知表で統一す る)は,学
校 と家庭 との往復 連絡文書の一つであ り,学
校 と家庭 との連絡 。通信 の一手段である。法的には学校 に発行義務 はな く,か
つ家庭 と学校 の連絡・ 通信 の一手段であるにも関わ らず,ほ
とん どの小 。中学校 で発行 され てきている。 歴史的 にみれば,通
知表 は,学
校 と家庭 とが教育 の効果,
とりわけ訓育指導の効果 を高 めるため に相互 に協力 しあう目的 をもって,学
校・家庭往復連絡文書 として1890年前後か ら自生的 に登場 し, 1891年小学校教則大綱 の文部省説明(「学校 卜家庭 卜気脈 ヲ通 スルノ方法 ヲ設 ケ相提携 シテ児童教育 ノ効 ヲ奏センコ トヲ望ム」)以降広 く使われるに至 った。その後,学
制期か ら家庭へ通知す る文書 と して存在 していた「試験成績表」の類 と統合す るな どして,記
載事項が学業成績 を含 んで学校生活 全般 に拡大 された1ち また,1900年に学籍簿 の作成が義務づけられた こともあ り,明
治末期 には学業 成績,品
行,出
欠,身
体状況な どを記載 した現在 の様 な通知表 の様式 に近づいて きた。他方,大
正 期以降 には家庭 と学校 との連絡 を他 の方法で行 い,通
知表 は廃止するなどの動向を生 みだ した。 ま た同時 に,当
初 の訓育指導の機能が後景 に退 き学業成績 の通知 とい う機能が前面 に出て くるとい う 動向 も生みだ し現在 に至 っている。 さて,1969年
,学
業成績 の5段
階相対評価批判 に対 す る文部省政務次官の,配
分率 に こだわ る必 要 はな く「全部5で
も3で
もいい」 とい うテレビでの発言 を一つの契機 に,こ
れ以降,通
知表改善 や,こ
れ と結び付 けた教育評価,授
業 の改善 の試みが進展 した。 とくに,教
科教育 の評価 について は,1980年
の指導要録 の改訂で観点別学習状況欄が取 り入れ られて以降,通
知表 において も絶対評 価 (到達度評価)が
取 り入れ られ るな どかな りの変化がお こっている。 ところで,1991年
指導要録が改訂 され,様
式上かな りの改変がなされた。通知表 は法的 には何等 規定がな く,し
たがって,指
導要録 の形式や内容 に規定 され ることな く作成することがで きる。先 の文部政務次官の発言以降,文
部省 は指導要録 の改訂 にあったって指導要録 の様式 。記載方法 をそ のまま通知表 に転用す ることは「必ず しも適 当で はない場合 もあるので,注
意す ること」(1971), 童 田 俊 根「必ず しも適 当で はないので注意す ること」(1980),「必ず しも適切で はない」 (1991)と
,指
導要 録 と通知表の区別 に注意 を喚起 している。 しか し,教
育評価論上,通
知表 は学期末・ 学年末 の総括 評価 に,指
導要録 は学年末の総括評価 に位置づ けられ るものであ り,全
く無関係 とい うことはあ り えない。 また,今
次の指導要録改訂で は一方で通知表 との区別 を言いなが ら「指導要録 にお ける各 教科等の評価 の考 え方 を踏 まえ,(中
略)通信簿等の記載内容や方法,様
式等 について工夫改善す る こと」 とし,評
価理念上 の指導要録 と通知表の共通性 を要求 している。 こうした ことか ら,
これ ま で教科 の評価 を到達度評価で行 っていた通知表 に,相
対評価 による教科毎の総合評定が復活 す ると いった「逆行」 も起 こっている。 本調査で は,通
知表改善 の試みが始 まってほぼ20年,指
導要録 に観点別学習状況が取 り入れ られ てほぼ10年,そ
して,指
導要録改訂直後 の時点での,小
中学校 の通知表 の様式 と評価方法 の現状 に ついて概観 し,望
ましい通知表 とは何かを考 えるための基礎資料 を得 ることを目的 としてい る。 さて この通知表 の調査 には,全
国調査 として小学校1497校,中
学校731校,高
校313校 の通知表 を 分析 した梶田・黒井 (1977)のものり,小
学校59校,中
学校52校を分析 した石田 (1980)の もの9が, また都道府県単位 の調査 として撫尾 (1980)。,藤
岡 (1991)9の ものな どがある。 これ らの調査結 果 と適宜比較す ることによって通知表改善の推移 をとらえたい。 なお,行
論 との関係で新指導要録 の様式上の特徴 を以下 に簡潔 にまとめてお く。ち(1)「
各教科 の学習の記録」欄 について①「各教科の学習の記録」欄 は
,こ
れまで「I評
定」「II観点別学習状況」「IH所見」 という順 に構成 されていたが
, Iと Hを
逆転させ,「観点別学習状況」を各教科の学冒の記録の「基本」 とし, 「評定」,「所見」を併用することとした。 ②「観点別学習状況」欄 については,従
来 と同 じく能力分析的な観点項目がたてられているが, これまで最上位にあった「知識・理解」を最下位におき,「関心・態度」に「意欲」をつけ加 えて最 上位 に置いている。 ③「評定」欄については,小
学校1, 2学
年でこれを廃止 し, 3∼ 6学
年では5段
階相対評価か ら3段
階相対評価へ と変 じた。 ④「所見」欄 は,「児童生徒の長所 を取 り上げること」を基本 とするとした。(2)「
行動の記録」欄 について 従来の「行動及び性格の記録」欄 を「行動の記録」欄に,項
目毎に評定を行 う「評定」欄 を「行 動の状況」欄 に名称 を改め,「行動の状況」「所見」の2欄
で構成することとした。「性格」を省略し たのは,そ
の評価が困難であること,お
よび性格 は行動 を通 して表れる,と いった理由による。「行 動の状況」欄については,従
来 は「優れたもの」について「十」印,
とくに指導を要するものに「―」 印を付 し,特
徴 を認め難いものについては空欄 とする事 となっていたが,今
回の改訂では,「十分満 足」 と判断される場合にのみ○印を記入する事 となった。また,「所見」欄 は「長所 を取 り上 げる」 ことを基本 とすることとした。(3)「
特別活動の記録」欄について 「活動の状況」「事実および所見」の2欄
に分け,活
動の状況については,学
級・生徒 (児童)会
・ クラブ・ 学校行事 という項目毎に「十分満足」できる状況にある場合に○印を記入することとした 等である。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第
1号
(1993) 133
H
方 法 1992年12月に,「全国学校総覧」 よ り無作為抽出により公立小学校,公
立 中学校 それぞれ250校づ つを選び,1992年
度 の通知表の現物 またはコピーの送付 と,評
価方法等 に関す る調査表の回答 を依 頼 した。 なお,小
学校 については6年
生 の ものを,中
学校 について は3年
生 の ものを対象 に回答す るよう指示 した。 回答状況 は,小
学校129校(51.6%),中
学校93校 (37.2%) 小学校 について は調査表のみの回答が15校が含 まれ, 中学校 について は調査表 のみの回答が13校,通
知表 だけ の回答が4校
含 まれ る。 したが って,回
答 のあった調査 表 は,小
学校129,中
学校89,回
答のあった通知表 は,小
学校114,中学校80で ある。また,通
知表のコピーの中に は,表紙および裏表紙 のコピーのない ものが若干 あった。 で あった。 回答状況 調 査表通知表 調査表 十通知表 のみ
のみ 小学校 中学校 (校) 分析 は
,こ
れ らを含 めてお こなった。 中学校 の回答率が相対的 に低かった要因 としては,新
指導要録 の適用が1993年度か らである3年
生 を対象 としたため,多
くの学校が3年
生 について は全体 として通知表の改訂作業中であったこと が考 えられる。 なお,以
下,欄
の呼称 は便宜上,内
容的に対応すると思われ る指導要録 の呼称 を使用す る。 Ⅲ 結 果 お よび 考 察1
指導要録の改訂 と通知表の改訂 今回の指導要録改訂 に ともなって,通
知表の改訂 を行 ったか どうかを聞いた。結果 は,改
訂 を行 つた学校 は,小
学校123校(95.3%),中
学校37校(39.8%)で
あった。 また,改
訂作業中 と答 えた 学校が小学校4校 (2.1%),中
学校20校(21.5%)あ
った。小学校で はほとん どの学校が今回の指 導要録の改訂 を機 に改訂 を行 った ことがわかる。中学校で は,小
学校 と比較 して改訂 を行 った学校 の比率が低いが,こ
れ は,新
指導要録 の適用が1992年時点では2年
生 までであ り, 3年
生 を対象に した本調査の時点で は, 3年
生 について は改訂 していない学校が多数 を占めたため と推測 され る。2
改訂の内容 改訂 を行 った学校 について,欄
の構成 上の主要な改訂点 について回答 を求めた。結果 は表1のと お りである。「観点別学習状況」欄 を新設 した学校が,小
学校で47校(38.2%),中
学校で15校 (40.5%)あ
った。小学校で は,後
述 の表4を
みると,ほ
とん ど全ての学校で「観点別学習状況」欄 を設 けている。 したが って,学
習の記録 において「観点別学習状況」欄 を設 けていなかった学校 のうち, ほ とん どが これ を設 けた ことがわかる。指導要録改訂で,学
習 の記録 の うち「観点別学習状況」欄 が「基本」 とされた ことが一つの要因 としてあげられよう。 また,こ
の結果か らは指導要録 の観点 別学習状況の観点,行
動 の記録 に於 ける評価 の観点の改訂 に伴 って,多
くの学校が通知表で も観点 の見直 しを行 った もの と推察 される。ただ し,逆
に教科別総合「評定」欄 を新設 した と答 えた ものが小学校で11校
(8.9%)あ
った。 これ は,学
習の記録 を「観点別学習状況」のみで構成 していた も の教科別 の「評定」 を付加 した もの と思われ る。 また,文
章記入す る所見欄 の拡充 の動向 も注 目さ れるところである。 表1
主な改訂内容 (複数回答) 校数 (%) 改訂 内容 中学校 「観点別学習状況」欄 の観点 を変 えた。 「行動 の記録」 において評価 の観点 を変 えた。 「学習 の記録」 に「観点別学習状況」欄 を新設 した。 全体 に「所見 」欄 を拡充 した。 「学習 の記録」 に「評定」欄 を新設 した。 「学習 の記録」 に「所見」欄 を新設 した。 「学習 の記録」 の「所見」欄 のスペース を広 くした。 22(59.5) 12(32.4) 15(40.5) 2(5.4) 2(5.4) 3(8.1) 4(10.8)3
改訂 にあたっての保護者 との意志疎通 通知表改訂 にあたって,そ
の様式や評価方法 について保護者の要望 を聴 き,意
見交換する機会 を 設 けた学校 は,小
学校13校 (改訂 した学校 の10.6%),中
学校1校 (2.7%)に
過 ぎなかった。改訂 した通知表 についての,改
訂主 旨,様
式,評
価方法 について説明・解説 については,小
学校2校
, 中学校6校
を除 き,PTAの
会合や説明会 あるいは学校便 り,学
級通信等で行 っていた。 この結果か ら,大
勢 として通知表が学校→家庭 という1方向での「通知」文書 になっているとみ るのはうがち過 ぎであろうか。通知表 を家庭 と学校が提携 して教育 の効果 を高めるための家庭 。学 校往復文書 と位置づ けるな らば,改
訂 にあたってはその様式等について,
どのような目的で改訂す るのか,そ のために具体的 に どの点 をどう変 えようとす るのか,と いった ことを事前 に明 らかにし, 保護者の要望・意見 を聴 き,意
見交換 しなが ら改訂すべ きで はなか ろうか。 また,少
な くとも,改
訂主 旨等について は何 らかの説明 を行わな くて は,教
育 の効果 を高めるどころか,理
解で きない通 知表 を前 に父母 の学校への不信 を生 む ことにな りはしないだろうか。4
通知表の作成主体 通信簿の様式・ 内容 の作成主体 について回答 を求めた ところ,表
2の
様 な結果 となった。 表2
通知表の作成主体(「通知表の様式はどこで決まったものを使用 していますか」に対する回 答) 校数 (%) 教育委員会 が提示 した もの をほぼその まま使用 し てい る。 市町村 な どの校長会 が提示 した もの をほぼその ま ま使 用 してい る。 市H村
な どを単位 とした他 の団体 が作成 した もの をほぼその まま使 用 してい る。 学校独 自で検 討 し作成 した もの を使 用 してい る その他 無 回答 2(2.2) 4(4.5) 14(15.7) 64(71.9) 3(3.4) 6(6.7) 小学校N=123
80(65,0) 62(50.4) 47(38.2) 30(24.4) 11(8.9) 9(7.3) 5(4.9) 小学校N=129
1(0.8) 15(11.6) 30(23.3) 72(55.8) 8(6.2) 3(2.3)鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第
1号
(1993) 135
学校独 自で作成 したものを使用 してい るのは小学校で72校(55.8%),中
学校 で64校(68.8%)で
あつた。学校裁量 のの文書であるにも関わ らず,か
な りの学校が何 らかのモデル通知表 を使用 して いる。 この ことの背景の一つ として,指
導要領・指導要録 の改訂で盛んに言われてい る「新学力観」, そして指導要録 における関心・ 意欲・ 態度 を最重視 した観点別学習状況 に,個
別 の学校が対応 しき れていない ことが推察 される。5
通知表の名称 通知表の名称 を表3にまとめてお く。 表3
通知表の名称 小学校 中学校 名称 校数 (%) 名 称 校 数 (%) あゆみ 通知表 通知票 通信票 通信簿 伸 び ゆ く姿 伸 びゆ く子 子 どもの姿 連絡表 ○○(地名)の子 よい子 のあゆみ 家庭通知表 その他 26(26.8) 20(20.6) 7(7.2) 7(7.2)5(52)
4(4.1) 2(2.1) 2 2 2 2 2 16 通知表 通知票 通信票 通信簿 家庭通知表 通知簿 教育通信表 その他 26(36.1) 23(31.9) 6(8.3) 3(4.2) 2(2.8) 2 2 8 表3の
「 その他」 はすべてそれぞれ異 なった名称 である。参考 までにこれを列挙すれ ば,小
学校 では,の
びるちか ら,伸
びゆ く記録,よ
い子 の伸びゆ く姿,伸
びゆ く記録,学
習のあゆみ,す
こや かな子,が
んばる子,通
知表仲 びゆ く子,通
知表伸 びる姿,通
知表みの り,学
びの便 り,学
校 と家 庭 との連絡,通
信表,な
ど,中
学校で は,家
庭通信表,学
校生活の記録,あ
ゆみ,伸
びゆ く姿,通
信表 ぽぶ ら,連
絡簿,連
絡表,通
信箋である。 このように,「通知表」の名称がある類型 をもちなが らも非常に多様であること,そ
して この傾 向 は小学校 において とくに顕著であるることが,ま
ず特 徴 として子旨摘で きる。 さて,小
学校で もっとも多い名称 は「 あゆみ」でぅ名称が確認で きた通知表の うちの26.8%,「
通 知表」が第2位
で20.6%つ
いで「通知票」,「通信票」が同率で7.2%で
あった。梶 田 らの1977年 の調 査で は「通知表」が もっとも多 く17.7%,つ
いで「通知票」,17.2%,「
あゆみ」9.2%で
あったか ら, これ と比較 して,15年
を経 る間に,「通知表」「通知票」「通信票」といった伝統的名称が減少 し,「あ ゆみ」 という,ヒ較的新 しい名称が増加 していることがわか る。 'と 較のために,梶
田 らにしたが って 名づ け方 を類型別 にまとめると,「通知」を用いるもの32校(33.0%;梶
田 らの調査で は40.3%―
以 下同 じ)「通信」を用いるもの18校(18.6%;17.8%),「
連絡」を用いるもの2校 (2.1%;4.4%),
「 あゆみ」 を用いるもの29校(29.9%,13.8%),「
すがた」 を用いるもの5校
(5。2%;5,3%)と
なってお り,梶
田等の調査 に比べて「通知Jを
用いいるものが減少 し,「あゆみ」を用 い るものが増加 している。ちなみに
,梶
田 らは「通知」 は「官僚的で上意下達的ニュアンスをもった名づ け方」 であ り,「あゆみ」「すがた」 は「子 ども中心的姿勢 を示す名づ け方」だ と指摘 している。名称 と内 容 に実際 どれほどの相関があるか は疑 間であるにして も,興
味深 い結果である。 中学校で は「通知表」が もっ とも多 く36.1%,つ
いで「通知票」,「通信票」がそれぞれ31.9%,8.1%で
あった。ちなみに梶田 らの調査で は, 1位
が「通知票」30。9%, 2位
, 3位
が それ ぞれ「通 知表」28.3%,「
通信票」10.3%で
あったか ら,1977年
時点 とさほど変化 していない。6
通知表の記載内容 について 学習の記録,行
動 の記録,特
別活動の記録,所
見,通
信欄以外 の記載内容 についての分析 を行 っ た。(1)学
校教育 目標 多 くの学校で, 3項
目∼5項
目か ら成 る,そ
の学校独 自の学校教育 目標 (名称 は,学
校教育 目標 のほか,教
育方針,校
訓,○
○校 のめざす人間像等多様である)が
記載 してあった。 なお,あ
わせ て,児
童憲章 の一部 を記載 している中学校が1校
あった。(2)出
欠の記録 ほ とん どすべての学校で この欄 を設 けていた。(3)標
準検査の記録 標準学カテス トの成績記載欄 のある学校が,中
学校で1校
あった。(4)身
体・ 健康の記録 小,中
学校 ともこの欄 を設 けているものが2割
程度 あった。記載内容 は,各
個人 の身長,体
重 を 記載す るだけの ものか ら,胸
囲,座
高,視
力,色
覚,聴
力,う
歯,予
防接種 の記録 な どを記入す る もの,さ
らに,該
都道府県 または全国の体位平均表 をあわせて掲載す るものまであった。(5)修
了証 ほ とん どの学校 で,設
けられていた。 通知表 はあ くまでボランタ リーな ものであって,修
了証 と言って もたぶんに形式的な ものに過 ぎ ない。限 られたスペースを有効 に使 うには,た
とえば,通
知表 の見方を掲載するとか,通
信欄 を拡 充す るとか して,通
知表 の本来的 目的 にかなった使用法 を考案すべ きで はなか ろうか。(6)通
知表の見方の掲載 通知表発行 の趣 旨か ら評語等の説明 に至 るまで掲載 しているものか ら,評
語の簡単 な意味内容 の 説明だけの ものまで含 めると,通知表の回答 のあった小学校114校の うち通知表 の見方が掲載 されて いるものが46校 (40。4%),な
い もの49校(42.9%),不
明17校(14.9%),中
学校 の うち掲載 されて いるもの29校(36.3%),な
い もの42校(52.5%),不
明9校
(■.3%)で
あった。小 中学校 とも掲 載 されていない学校が,掲
載 されている学校 を上回った。 通知表発行 の趣 旨,通
知表の見方な どは,通
知表以外の機会,手
段 によって説明で きるの は確か であ り,通
知表の見方の掲載がない学校 も他 の機会,手
段で これ を伝 えている場合 も多い と思われ る。 しか し,通
知表 その ものに改 めてその見方 を記載 してお くほうが,そ
の記載内容 を子 ども,保
護者が理解す る為 には有効であろう。全体 のスペースの問題 もあるが,検
討の余地があ ろう。(7)そ
の他の記載内容 かな り多 くの学校で,表
紙 に校章 を印刷 していた。 また小学校で は,表
紙 に児童 の絵画,学
校 の 写真等 を印刷 していた ところもあった。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第
1号
(1993) その他の記載事項 として は,若
千の学校で,校
歌 を掲載 していた。 また,中
学校で は,進
路指導の記録欄 を設 けているものが1校
,卒
業生 の進学先 を掲載 しているも のが1校
あった。 また,「私 の進路」「実践 目標」 とい う生徒が記入す る欄 を設 けている中学校が1 校あった。7
「学習の記録」欄 について (1)「学習の記録」欄の構成 回答のあった通知表 について,「学習 の記録」欄 の構成 について分析 を行 った。結果 は表4の
とお りである。 小学校N=114
欄 の構成 校 数 (%) 欄 の構成 校数 (%) 観点 十評定 十所見 観点+評
定 観点(表示)+評
定 評定 十所見 観 点+所
見 評定 のみ 注)「観点」:観点別学習状況,「観点」(表示):観
点項目は表示してあるが,観
点 毎の評価をしないもの,「評定」:教科別総合評定をあらわす。 「所見」は,行
動の記録等 と併用している場合 も含む。 もっ とも多いのは,小
学校で は,「観点別学習状況 十教科別総合評定」および「観点別学習状況 の み」で,
ともに47校(41.2%),中
学校 で は「観点別学習状況 十教科別総合評定」で38校 (47.5%) であった。 観点別学習状況の評価 を行わない学校 は,小
学校で はわずか に3校
に過 ぎず,ほ
とん どすべての 学校で これを行 っている。中学校で は,こ
れを行 っていないの は24校(30%―
「表示のみ」を含む) であ り, 3分
の2以
上 の学校が観点別 の評価 を行 ってい る。なお,観
点別評価 を行わない学校 のう ちの1校
は,各
教科 の学習状況 を学期毎 に文章記述 し,学
年末 にいわゆる「評定」 を行 うとい う構 成 をとっていた。 表5
学習の記録欄の構成一梶田ら(1977)の調査 との比較(%)
総合評定 のみ 観点別評価 のみ 総合評定 十観 点別評価 本調査 1977年 本調査 1977年 本調査 1977盗F 小学校 中学校 2.6 30.0 22 5 44.6 44,7 1.3 27.0 1.5 52.6 68.8 49.8 53.9 注)梶
田 らの国答校総数 は小学校 1497校 、 中学校799校 。 なお梶 田 らの調査 の集計 は不 明分(調 査表 のみの回答 と思われ る)を含 めて集計 されていたので、 これ を除外 して集計 し直 した。 キ表4の「観 点 (表示)+評
定」 を含 む。 観点 十評定+所
見 観点+評
定 観点+所
見 評定+所
見 観点 のみ 評定 のみ 12(10.5) 47(41.2)5(4.4)
2(1,8)
47 (41.2)1(0.9)
19(23.8)38(475)
7(8.8)
3(3.8)
1(1.3)
12 (12.5) 表4
学習の記録欄の構成「所見」を捨象 し,「観点別学習状況」欄 と「教科別学習状況」欄 の有無で表4を整理 し直 し
,1977
年の梶田 らの調査 と比較 した ものが表5で
ある。 梶田 らは,教
科別総合評定か ら観点別評価,な
い しそれ と観点別評価 の併用へ という潮流 を指摘 していたが,こ
の傾 向に一層拍車がかかって きている。 とくに小学校 で は,教
科別総合評定 のみの 学校が皆無 に近 くな り,観
点別評価 のみの学校が増加 してい ることが注 目され る。中学校では教科 別総合評定 を廃す る学校 はほ とん どなかった ことがわかる。 これ は,厳
格 な相対評価 による教科別 総合評定の記入 を求 め られ る内申書の影響が大であると推察 され る。 なお,中
学校 において は定期試験 な どの成績 を記載する欄 を設 けているものが7校
あつた。(2)教
科別総合評定欄 について 通知表の回答があった学校で,こ の欄 を設 けている小学校62校,中
学校79校の うち,小
学校9校
, 中学校2校
は学期末 のみにこれ を行 ってお り,そ
の他大部分 は学期毎 にこの評定 を行 っている。 ①評定段階 について 評定段階について表6にまとめた。 表6
教科別総合評定の評定段階 小学校N=62
中学校* 段 階 校 数 校 数 2段階 3段階 5段階 不明 5段階 5段階 十*ホ 10段 階 その他 不明 31*** 7 12 3 26 1.6 83.9 4.8 9.7 39.2 8。9 15.2 3.8 32.9 *必修教科 を対象 とした 本*各段階の上位、下位な どを表示するもの。 ネ*■ うち1校は100点 法 を、1校
は3段階評定 を併用。 小学校 で は, 5段
階相対評価 はほ とん ど通知表か らは消 え3段
階評 定 が これ に とって代 わ つて い る。 ちなみ に梶 田 らの調査 で は5段
階評定 は55.6%を
占めてい た。 これ に は,指
導要録 の改訂 が大 きな影響 を与 えた と思 われ る。 中学校 で は依然 として5段
階 な い し10段 階評 定 が主流 を占めて い る。評 定段 階・ 表 示 方法 が通知 表 に明示 されていない ものが か な り存在 し,そ
のた め「不明」がか な りあ るが,こ
れ ら もほ とん ど が5段
階 ない し10段 階評定 で あ ろうと思われ る。 なお表示方法 につ いて は,小
学校 で は数字(3, 2, 1)に
よる ものが24校,該
当欄 に印 をつ け る もの11校,ABCが
7校
,○
△ な どの記号 による ものが8校
な どで あった。 中学校 で は数字 によ る ものが ほ とん どで あった。 ②評定方法について 調査表よって評定方法 についての回答 を求めた。回答 を表 7に まとめた。 表の「不完全相対評価I」「不完全相対評価H」 の含意 は,表
の注にあるとお りである。なお「不 完全相対評価」 という語 は撫尾 (1980)に 倣ったものである。指導要録の「評定」欄の評価方法 と して言われる「絶対評価 を加味 した相対評価」における「絶対評価を加味」の意味は,一
般には正 規分布曲線 をもとにあらかじめ用意 した配分率の微調整,と
いうように解されている。 しかし今次鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第35巻 第
1号
(1993) 表7
教科別総合評定の評定方法 (「教科別総合評定の評価方法 はどのように していますか」に対する回答) 中学校 評 定 方 法 相対評価 不完全相対評価I辛 不完全相対評価H*
絶対評価(到達度評価) 個人 内評価 その他 無 回答 16 32 34 4 0 1 4 18.4 36.8 39.1 4.6 0.0 1.1 4.6 注)調
査表に対する回答 を集計 したもの。 ・ 「いわゆる『絶対評価 を加味 した相対評価』で、評定値の境界線上 の児童・生徒 2、 3名について は融通 をきかせるもの。」 という選択肢に対する国答。 ホ・ 「いわゆる『絶対評価 を加味 した相対評価』で、上記選択項 目2以上 の人数の 幅で融通 をきかせ るもの。Jと いう選択肢 に対する回答。 の指導要録 の改訂 にあたって召集 され た「小学校 お よび中学校 の指導要録 の改善 に関す る調査研究 協力者会議 」 の メ ンバ ー の中 に は,こ
の意 味 について異 な った解釈 を してい る もの もあ る。 た とえ ば調査研 究協力者会議 の主査奥 田真丈 は,「 評定 を割合 で出す発想 を改 める必要が あ る」 と言 いの, 小学校 の「評定」欄 の3段
階評 定 につ い て「1はご くまれ な場合 に記入 す る」 と述 べ てい る。 また, 協力者会議 の メ ンバ ーで あ った渋 谷憲― は,B.S.ブ ル ームの完全 習得学 習 を引 き合 い に出 し次 の よう に述 べてい る働。 「′い理学の立場からいいますと,相対評価 と言うのは正規分布を前提にしてるわけですよね。 ところが, 1学期 のはじめのころの子どもたちの実態というのはたしかにできる子とできない子がいてそういう正規的な分布をする かもしれないんですけれども,少なくともわれわれが教育的にはたらきかけを加えたことによってその正規分布が J字 型の分布になりみんなができるようになる。(中略)もしそうならなくていつまでも正規分布だったら学習効果 がみられないわけですね。そういう一つのありかたが,絶
対評価を加味した相対評価 という一つのよりどころとな っていいのではないか。もっといえば,5の
子が何人なんていうことはあまり考える必要はないということですね」 以上 の点 を踏 まえて,「絶対評 価 を加 味 した相 対評 価 」を二 つ に分 けて選択肢 を設 定 した。ただ し, 学校,学
級規模 に よって,「 不 完 全相対 評 価I」「不完全相対評価H」 の含意 は異 な って くるので, われ われ の分類意 図が完全 に調査結果 の数値 に現 れてい る とは限 らない ことを断 っておか な くて は な らない。 さて,結
果 は小学校 で は,「 不 完全相 対評 価I」 (37.5%)>「絶対評 価(到達度評価)」 (26.3%)≒ 「不 完全相対評価H」(25.0%)>「
ホロ対 評 価 」=「
個人 内評価 」(2.5%)で
あ った。 指導要録 で この 欄 に相 当す るの は学習 の記録 の「評 定 」欄 で,そ
の評価 方法 は,前
述 のいわ ゆ る「 絶対評価 を加味 した相対評価」 であ る。 この点 で,絶
対 評価 (到達度評価)と
答 えた学校 が4分
の1にの ば り,さ
らに「不完全相対評価H」 と答 えた学校 が4分
の1にの ぼ ってい る こ とが注 目され る。 この結果か ら見 る限 り,全
体 として,段
階点 へ のお よその配 分 率 をあ らか じめ決 めて,こ
れ へ配 分 す る とい う 評価 方法 か ら,日
標 へ の接近度 を指標 に した評 価 方法 へ比 重 が移 つて きて い る よ うに思 われ る。 中 学校 で は,「不 完全相対評 価H」 (39.1%)≒「不完全相対評価I」(36.8%)>貯
目対評 価 」(18.4%)>
2 2.5
30 37.5 20 25.0 21 26.32 2.5
2 2.5
3 3.8
「絶対評価 (到達度評価)」
(4.6%)で
ある。小学校 と比較 して,町
目対評価」 と答 えた学校が格段 に多 く,逆
に「絶対評価 (到達度評価)」 と答 えた学校が格段 に少ないのが特徴である。 また,中
学 校 は教科担任制であ り,小
学校 と比較 して母数が大 きいため,「不完全相対評価I」,「不完全相対評 価H」 との区別 の意味 は小学校 ほ どで はな く,「不完全相対評価 Ⅱ」のなかにも,小
学校 での「不完 全相対評価I」 の含意 に相 当するものがかな り含 まれていると考えられる。 したがって,①
の結果 を踏 まえれば,中
学校では, 5段
階 または10段階の相対評価 ない し配分率 を若干緩和 した相対評価 が主流 を占めている といえよう。 この ことは,厳
格 な相対評価 を求め られる,高
校入試 におけるい わゆる内申書 の影響 と思われ る。なお,中
学校 の通知表の うち,配
分率 を通知表 に明示 しているも のが3校
あった。(3)「
観点別学習状況」欄 について 通知表の回答があった学校 の うち,こ
の欄 を設 けているものは小学校111校,中
学校58校 (観点の 表示のみの7校
は含 まない)で
あった。①評定段階について
表
8にあるように, 3段 階がもっとも多 く
,小
学校
85.6%,中
学校79.3%で あった。残 りは
,小
学校で5段
階が1校
あったほか は, 2段
階であった。 ②評定段階の表示形態 小学校で は,該
当欄 に印をす るもの (たとえば「で きた」の欄 にO印
を付す もの)がもっ とも多 く34校(30.6%),つ
いで「◎○△」25校 (22.5%),「ABC(D
E)」 16校 (14.4%),「○空欄 △」の順 に多かった。 中学校で は,「ABC(DE)」
と「○空欄△」が も っ とも多 くそれぞれ15校 (25.8%),「○空欄 ×」が9 校(15.5%)で
これに続いた。 ちなみに,1980年
改訂の指導要録で は,
この欄の表示 は「 十空欄―」行 うこととされていたが, 空欄 が未記入 と区別がつ きに くい ことな どがあ り,今
次改訂で は「ABC」
表示 となっている。「空 欄」 は通知表 において も同様 の理 由で検討 の余地があろう。 ③評定基準 について 調査表 によって,「観点別学習状況」の評価方法 (評価基準)の
回答 を求めた。結果 は表9の
よう になった。 個人 内評価,絶
対評価 に個人 の「イ申び」「頑張 り」を加味 を加味,と
いった選択項 目をいれたのは 次の理 由による。すなわち,指
導要録 における学習の記録 の評価方法 は,一
般 には,「観点別学習状 況」 は教育 目標 に照 らした「絶対評価」,「評定」欄 は「絶対評価 を加味 した相対評価」,「所見」欄 は「個人 内評価」というように説明 されている。 しか し,「観点別学習状況」欄 の評定方法 について は,前
出調査協力者会議のメンバーの中には,こ
の欄 の評定方法について次のように説明す る委員 もあったか らである9。 「評価を教育の結果の判定だけなく,個性を生かす教育を充実させるために,学習をより望ましい状態に導くこ とに焦点を当てたのである。であるから,一人ひとりによって到達すべき目標は異なってくる。○○君の評価Aと △△君の評価Aとは異なるので,個人内での絶対評価となろう」 結果 は,「絶対評価 十個人内評価」が もっとも多 く小学校で46.3%,中
学校で42.0%,つ
いで小学 校で は「絶対評価 (到達度評価)」 (37.4%),「個人 内評価」(27.6%)の
順,中
学校 で は「絶対評価 表8
「観点別学習状況」欄の評定段階 小学 校N=■
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第35巻 第
1号
(1993) 表9
「観点別学習状況」欄の評価基準 (「観点別学習状況の評価方法 はどのように してい らっ しゃいますか」に対する回答) 中学校 評 定 方 法 校 数 絶対評価 (到達度評価) 個人 内評価 絶対評価+個
人 内評価 相対評価 その他 無 回答 24 6 24 6 42.0 5.8 2.9 注)「絶対評価 修J達度評価)」 :「 教育 目標 にて らした絶対評価(到達度評価)」 を選 択 した もの。「個人内評価」:「 個人の『伸び』『頑張 り』を中心に評価(個人内 評価)」 を選択 したもの。「絶対評価十個人内評価」:「絶対評価 に個人の『伸び』 『頑張 り』 を加味Jを
選択 した もの。 (到達度評価)」,「 個 人 内評 価 」が 同数(24.6%)で
あ った。 また中学校 で は数例 であるが 町目対評 価」 の ものが あ った。 この欄 の評価 方法 は,全
体 として,一
般 的 に考 え られ るように「絶対評価 」 ではな くてかな り「個人内評価」に傾斜 していることがわかる。 こうしたことの背景 としては,①
個人の「頑張 り」「伸び」を積極的に評価 しようとする意識,②
絶対評価が困難な「関心・意欲・態 度」が重視 されていることが,
とりあえず考えられる。 しか しこのことは,何
を教ええたか,何
を 学びえたかということが不明 とな り,全
ての子 どもに教育 目標の達成を保障するという学校,教
師 の責任に対する意識が後退するおそれがあるとともに,教
師の主観的な評価 を生み出しかねない。 また父母,子
どもに十分な説明を行わないと何をどう評価 しているのかわからないという結果を招 来す る恐れ もあると考 えられ る。 ④観点項 目の示 しかた 通知表の回答 のあった ものの うち, 「観点別学習状況」欄 を設 けていた小 学校Hl校
,中学校58校について,各
観 点項 目の示 し方 について,「項 目J(指
導要録改訂 にあたっての文部省通知で 「観点」といわれ るもの。 た とえば「知 識。理解」な ど),「内容」(同じくその 「趣 旨」といわれ る もの。 た とえば「数 の概念 を理解 してい るJな
ど)の
有無 について分析 した (表 10)。 結果 は,小
学校 で は「 内容 」 を示す ものが計90.1%,「
項 目」 のみが9。9%,中
学校 で は,「 内容 」 を示 す ものが53.5%,「
項 目」 のみが46.6%で
あった。「項 目」 のみの表 示で は,何
を評価 してい る のかわか りに くい。父母,子
ど もに とって分 か りやす い もの とす るため には,「 内容」まで表示 すべ きで あ ろう。⑤評定段階毎の評語
評定段階ごとの評語は
,ある類型的特徴をもちながらも非常に多様であった。その一つの要因は
,③で分析 したような
,こ の欄の評定基準の各学校毎の多様性にあると思われる。通知表の回答のあ
小学校N=123
46 37.4 17 27.6 57 46.30 0.0
2 1.6
1 0.8
表10
「観点学習状況」欄の項 目の表示方法 項 目のみ 内容 のみ 項 目十内容 奉観点 を表示す るのみで評定 を行 わない ものは含 んでいない。 小学校N=111
11 9.9 81 73.0 19 17.1ったものについて
,若
千 の分析 を行 ってお こう。 た とえば, 3段
階の評定で,段
階のそれぞれに「十分満足」「おおむね満足」「努力 を要す る」,あ
るいは「十分達成」「(おおむね)達成」「がんばろう」の評語 を与 えている場合,こ
こではか りに「十 分満足」,「十分達成」を「合格+」,「おおむね満足」,「(おおむね)達
成」,「普通」な どを「合格」, 「努力が必要」,「がんぼろう」 を「不合格」の評語 と呼ぶ ことにす る(2段
階, 5段
階について も 同様)。 まず, 2段
階の もの 1/」ヽ学校7校
,中
学校6校 )に
ついて は,「合格 十」のみ記入す るものが,小
学校で2校
,中
学校4校
であ り,「合格」十「不合格」(たとえば「で きた」「がんばろう」)の
タイプ は小学校で5校
,中
学校 で1校
(残り1校
は不明)であった。3段
階の ものについては,「合格+」+
「合格」十「不合格」 とい うタイプの ものがほ とん どであった。「合格 十」 と「合格」 との分岐 を示 す表現方法 は,「合格」の評語 に「 よ く」,「十分」,「たいへん」を加 えるもの,「合格」の段階 を「普 通」,「空欄」で示す もの (たとえば「 よ くで きた」+「
普通」また は空欄 十がんぼろう)が
ほ とん ど であった。 さて,「合格+」「合格」を示す評語の うち,「よ く」「十分」な どの修飾語 を除いて どのような評 語が使われているのか を見てみよう。主要な評語 を取 り出す と,小
学校で は「で きる」 を使用す る もの (「よ くで きる」「で きる」な ど)が
43校(41.4%),つ
いで「達成」 または「到達」を使用す る ものが17校(15.3%),指
導要録 と同 じ く「満足」を使用す るものが16校 (14.4%),「よい」が11校 (9.9%),「努力」(または「がんばる」)が
9校 (8.1%)あ
った。その他で は,「優れている」が4 校,「身につ く」「理解Jが
各1校
あった。中学校で は,「優れている」が20校 (34.5%),「達成」ま たは「到達」が10校 (17.2%),「満足」が10校 (17.2%),「よい」が8校
(13.7%),「努力」が5 校(8.6%)で
あった。 その他では,「意欲的J「得意」「上位」が各1校
があった。教育 目標への接 近度 を明確 に示す「達成」「到達」とい う評語が,小
学校で15.3%,中
学校 で17.2%と少数 に とどま っている点,ま
た,指
導要録で使用 されている「満足」 とい う評語 も同 じ く少数 にとどまっている 点が一つの特徴 として指摘で きよう。 また「努力J(ま
たは「がんばる」)と
い う評語が少数で はあ るがみ られ るの も,「目標 の達成」より「努力度」を重視 してい る事例 として特徴 の一つ といえよう。 このことは新指導要録で「関心・意欲・ 態度」 を最重視 していることとの関連 も推測される。 次に,「不合格」の評語 について見 てみよう。小学校で は「努力」(「努力 しよう」「努力が必要」 「努力 してほしい」等)を
使用す るものが43校(38.7%),つ
いで「がんばる」(「がんぼろう」「が んぼってほしい」な ど)が
,25校 (22.5%)で,こ
の二つで6割
を占めた。ついで,「もう少 し」ま たは「 もう少 しで∼」な どが続 いた。中学校で は「努力」が33校(56.9%),そ
の他で は「達成」ま たは「到達」が4校
,「劣 る」が2校
,そ
して「がんぼる」,「意欲」,「注意」な どがあった。「がん ぼる」「努力」といった語 は,日
常的にな じみの深い語で はあるが,「何 を」「 どう」「がんば り」「努 力Jす
れば良いか を明示 しなければ,大
きな効果 は望 まれ まい。 この点で,次
頂の観点項 目のタイ プの分析結果 とあわせて考察すれば,具
体的にいかなる内容 について「がんぼ り」「努力」す るかを 明示 した通知表 は少 ない。 また,「自分な りに努力 したのにわか らなかったJ場合 に,「がんぼろう」 「努力 しよう」 な どの評語が与 えられ る場合 も考 えられ る。逆 に,た
とえば「関心・ 意欲・ 態度」 に関わる項 目で「わか っている」のに「努力 しよう」といった評語が与 えられ る場合 も考 えられ る。 さらに,そ
もそ も子 どもに格段の「努力」「がんば り」を感 じさせず に,「楽 し く」「わかる」とい う 体験 を与 えるのが学校教育 の役割 だ ともいえる。 こうしたことを考 えると,こ
の評語 について は, その意味内容 の説明 を十分 に行 う,評
語 自身を再検討す る等の措置が必要 と考 える。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第
1号
(1993) 143
⑥観点項 目のタイプ 観点項 目の示 し方 を,項
目を学期毎 に変更 しているか どうか,日
標 内容が明示 されているか どう かで分類 した結果,表
■のようになった。 なお学年共通型のほ とん ど全 て は,指
導要録お よび付属の参考資料 の項 目,お
よびその内容 に準 拠 した ものであった。結果 を見 る と,中
学校 で は,学
期毎 に変更 し,日
標 内容 を明示す るものはわ ずかに1校
であ り,河 ヽ学校 で も 表11
「観点別学習状況」欄の項目のタイプ このタイプの ものは20校 (18.0%)に
す ぎない。 また,小
学校 で学期毎 に変更す るものの うち 11校 (表の「(指導要録型)」)は, ある教科では学年共通で指導要 録の観点項 目と共通,あ
る教科 では指導要領 の観点項 目に,学
期毎 の学習内容 を挿入す るとい うタイプの ものであった。 項 目の タイプ ③ の内容 とあわせて考察する と,厳
密な意味での到達度評価 を行 っている学校 は,小
学校で も少 数 に とどまり,中
学校で は皆無 に近 い ことがわかる。(4)教
科別総合評定 と観点別学習状況 との関連 調査表 によって,教
科別総合評定 と観点別学暫状況 とをどのように関係づ けて評価 しているかを 質問 した。結果 は表12の とお りである。 表12
教科別総合評定 と観点別学習状況との関係 (「『観点別学習状況』と『評定』をどのように関係づけて評価 していますか」に対する回答) 中学校N=64
関 係 づ け 方 校数比率
%
「観点別学習状況」 の評語 を点数化 して「評定J 値 を定 めてい る 同一 の評価資料 に基 づ き、異 な った処理 を行 い評 価 してい る 異 なった評価 資料 に基 づ き評価 してい る その他 「観点別学習状況」の評語 を点数化 して,教
科別総合評定 の評定値 を定 めているものが,小
学校 で33.3%(20校),中
学校で14.1%(9校
)あ
った。 このうち各観点 を同 じ,ヒ重で点数化 していると 回答 した ものは,小
学校で14校,中
学校で4校
,「関心・意欲・態度」 を表す項 目に比重 をおいて点 数化 していると回答 した ものは,小
学校で6校
,中
学校で5校
あった。 ちなみに, 3分
の1が
「観点別学習状況」の評語 を点数化 して「教科別総合評定」 の評定値 を定 めていた小学校 について,「観点別」「評定」それぞれの評価方法 を見 てお こう。「観点別」×「評定」 のように記述すると,「絶対評価 (到達度評価)」 ×「相対評価」 または「不完全相対評価」が2校
, 「絶対評価 (到達度評価)J×「不完全相対評価H」 が4校
,「絶対評価 (到達度評価)」X「
絶対評価 (到達度評価)」4校
,「個人内評価」×「不完全相対評価I」1校
,「個人 内評価」X「
不完全相対評 学年共通型 学期毎 に変更型 (指導要録型) (目標 内容 明示型) 56 96.62 3.4
(1) (17)
(1) (1.7)
注( )内
は学年毎 に変更型 の内数 *観点 を表示す るのみで評定 を行 わ ない もの は含 んで いない。 9 14.1 28 43.8 22 34 45 7.8
小学校N=111
80 72.1 31 27.9(11) (9.9)
(20) (18.0)
小学校N=60
20 33.3 27 45.0 11 18.32 3.3
価H」
1校
,「絶対評価 十個人 内評価」×「相対評価」4校
,「絶対評価 十個人 内評価」×「絶対評価 (到達度評価)」4校
であった。「観点別学習状況」欄 の「絶対評価 (到達度評価)」 と絶対評価 に傾 斜 している「絶対評価+個
人内評価」をまとめて「絶対評価型」,「個人内評価」を「個人 内評価型」, 「評定」欄の「相対評価」 と相対評価 に傾斜 している「不完全相対評価I」 お よび「不完全相対評 価H」 を 叶目対評価型」,「絶対評価 (到達度評価)」 を「絶対評価型」とすれ ば,「絶対評価型」×「ホロ 対評価型」10校 ,「絶対評価型」×「絶対評価型」8校
,「個人内評価型」×「相対評価型」2校
であ つた。 とりわ け「観点別学習状況」 と「教科別総合評定」の評価方法が異なる場合 には,「観点別学 習状況」欄の評語 を点数化 して「教科別総合評定」の評定 を行 うことには原理的 に無理があるので はなか ろうか。(5)そ
の他 小学校では,各
教科 の学習 の記録 を,各
学期 。各教科毎 の所見欄 (文章記述)の
みで構成 し,学
年末 に教科別総合「評定」 を行 う学校が1校
あった。 また,「学習への とりくみ」方,「身 につ けた い学習の仕方」と題 して,学
習習慣 について何項 目かに分 けて評定する学校が3校
あった。 また「観 点別学習状況」欄 の各観点 について,「関心・意欲・態度」 をもって取 り組 んでいるか を2段
階評価 する例が1校
あった。 中学校で は,学
習の記録欄 に提出物,忘
れ物等 について評価す る欄 を設 けてい るものが3校
あつ た。 また「進歩 の状況」「進歩の様子」といった個人 内評価 の欄 を別 に設 けている ものが2校
あった。8
「行動の記録」欄 について 回答 のあった通知表 の中で,こ
の欄 のあるものは小学校112校,(90.3%),中
学校66校 (83.0%) であった。(1)「
行動の記録」欄の構成 について 回答 のあった通知表 について,こ
の欄 の構成 についての分析 を行 った (表13)。 表13
「行動の記録」欄の構成 行動 の記録欄 の構成 「状況」*十「所見」 「状況」(表示 のみ)+所
見 「状況」 のみ 「所見」 のみ 9.1 6.1 77.3 7.6 ・ 指導要録で、「基本的生活習慣」「自主性」「責任感」等の各項目にわたって 評価する「行動の状況」欄に該当するもの。 観点項 目毎 に評定 を行 う欄 (指導要録 の「行動 の状況」欄 に該当す る)の
みの ものが もっ とも多 く小学校で86校(76.8%),中
学校で51校(77.3%)で
あった。「所見」欄 を併用 している学校 も含 めて「行動の状況」欄があるのは,小
学校で106校(95.6%),中
学校で61校(92.5%)に
のば り, ほとん どの学校が この欄 をもうけていた。ただ し,中
学校で は項 目を記すのみで,項
目毎 の評定 を 行 っていない と思われ る学校が4校 (6.1%)あ
った。「所見」欄 (文章記述)の
みの学校 も,小
学 校で5校
,中
学校で6校
あった。(2)「
行動の記録」欄の名称 について /Jヽど筆校N=m2
17.9 0.0 76.854
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第35巻 第
1号
(1993) 小学校 では,「学校生活 のようす」または「生活 のようす」が もっ とも多 く両者 あわせて46校 (41.1%),つ
いで「行動のようす」または「行 いのようす」が24校(21.4%),指
導要録 と同 じ名称 の「行 動の記録」14校(12.5%)で
あった。 中学校 では,旧
指導要録 と同 じまたはほぼ同 じ「行動及び性格 の記録」 または「行動・ 性格 の記 録が もっ とも多 く15校(22.7%),つ
いで新指導要録 と同 じ「行動の記録」が12校 (18.2%),「学校 生活の記録」または「生活の記録」力`10校 (15.5%),「学校生活 のようす」または「生活 のようす」 が7校 (10.6%)で
あった。(3)「
行動の状況」欄 について ①「行動の状況」欄 の評定方法 調査表 によ り,こ
の欄 の評定方法 について留意 していることについての回答 を求めた (表14)。 表14
「行動の状況」欄の評価方法 (「『行動の記録』の『行動の状況』欄一観点項目毎に評価する欄―はどのようなことに留 意 して評価 していますか」に対する回答。複数回答。) 評 価 方 法 中学校 「 どちらか といえば短所 を指摘することを中心に評価 している」 「 どち らか といえば長所 を才旨摘することを中心に評価 しているJ 「で きるだけ客観的、公正 に評価 している」 「個人内で比較 を中心に評価 している」 その他 小学校,中
学校 ともその多 くが「長所 を指摘す る」 と答 えていることが注 目され る。 なお,通
知表 の分析で は,この欄 の評価方法 に自己評価 を取 り入れている学校が,小
学校で1校
, 中学校で1校
あった。 ②「行動の状況」欄 の評定段階 と表示方法 通知表で この欄 のあるものについてその評定段階 を分析 した。「行動 の状況」の評定段階 は,小
学 校で は3段
階が もっ とも多 く62校 (この欄 のある95校 中の65.2%), 2段
階が24校(25.3%)残
りは 不明であった。中学校で も3段
階が もっ とも多 く40校(この欄 のあった58校中の69.0%),つ
いで2 段階が9校 (15.5%),残
りは不明であった。 指導要録で はこの欄 は,従
来 の3段
階評定か ら,「十分満足」に○印を付す2段
階評定 にかわった。 ほとん どの学校で通知表の改訂 を行 っている小学校 において, 2段
階で はな く3段
階評定が主流 を 占めているのが注 目され る。 この欄 の段階点の表示形態 について は,小
学校 で は評語 を記 した該当欄 に印をつけるものが もっ とも多 く27校,つ
いで◎○△が21校,○
空欄18校,○
空欄△13校,◎
◎O,ABCが
それぞれ8校
の順であった。中学校で はABCが
もっ とも多 く17校,○
空欄△9校
,O空
欄8校
,ついで○空欄 ×5校
の順 であった。 ③ 「行動 の状況」欄 の項 目内容 の示 し方 回答 のあった通知表か ら項 目内容の示 し方について,「基本的生活習慣」「 自主性」「公正・ 公平」 等の「項 目」のみか,あ
るい は「項 目」の具体的「内容」lt旨導要録で は「趣 旨」 といわれてい る) を示すか,に
ついて分析 した。小学校で は「項 目」のみ9校
(8.5%),「内容」のみ46校 (43.4%), 「項 目」,「内容」 ともに示す ものが51校(48.1%),中
学校で は「項 目」のみ11校 (18.0%),「内容」 のみ26校 (39.3%),「項 目」,「内容」 とも示す もの24校
(39.3%)で
あった。少数で はあった が,「項 目」のみの ものが存在 した。 この欄の存否 の是非 は措 き,
もし「行動」について このような 項 目を評価す るのであれば,行
動の具体的内容 を示す ことが必要であろう。 ④「行動の状況」欄 の項 目内容 のタイプ 指導要録 の「項 目」および「 内容」は,大
部分が指導要録 の「項 目」「趣 旨」の引 き写 し,ま
たは これに準拠 した ものであった。「準拠」の意味内容 は,た
とえば,「項 目」は指導要録 に もとめ,「内 容」 はやや具体的 に記述す る,項
目の一部分 について (たとえば「基本的生活習慣」),学
校生活 の 具体的場面 についてその望 ましい行動 を表示 し,他
の項 目については指導要録 どお り,あ
るいは, 「項 目」を学校教育 目標 に置 き換 えなが らも,「内容」はほぼ指導要録の「趣 旨」どお り,指
導要録 の「項 目」(小学校 で11,中
学校 で12ある)を極端 に精選 した もの,あ
るいは,こ
れに独 自の項 目を つけ力日えた ものな どを含む。ただ し,学
校独 自に「項 目」「内容」を設定 した もの もあった。た とえ ば,小
学校で は,「学』」,「生活」(「くらし」,「保健」,「仕事」,「あそび」)等
の項 目(ない し領域) ごとに,望
ましい行動 を記述 し評価 しようとす るものがあった。中学校 で もこうした学校独 自の頂 目だてをしてい るものが数例見 られた。 しか し,
この場合,た
とえば頭髪,月叉装な どについて,校
則 をその内容 とす るような管理主義的色彩の強い ものが多 く見 られた。9
特別活動の記録 について 回答 のあった通知表の うち,小
学校で はこの欄 を設 けているもの90校(78.95%),な
い もの22校(19,3%),残
りは不明であった。中学校ではこの欄 を設 けているもの79校(98.8%),な
い もの1 校(1.3%),残
りは不明であった。ただ し,小
学校 については,総
合所見欄等で代用 しているので はないか と思われ るものが数例,さ
らに,「行動の記録J欄にクラブ活動等 の項 目を設 けているもの が数例 あった。 内容 については,学
級活動,児
童・生徒会,ク
ラブ活動,部
活動 について,所
属等の事実を記載 するものが大多数であった。指導要録で は,学
級活動,児
童会・生徒会活動,ク
ラブ・ 部活動 の各 領域毎 にその活動状況 について「十分満足」な状況 にある場合○印を付す ことになっているが,
こ の欄 を設 けている学校 うち このような評定 を実施す ることが明記 してあるもの,ま
たは評定のため の欄があるもの は,小
学校で20校(22.2%),中
学校で15校(20.0%)に
す ぎなかった(一部の領域, た とえばクラブ活動 のみを段階評定するもの も含む)。 なお,評
定段階 は,小
学校で は2段
階の もの が14校で,顕
著 に「 よい」場合 に印を付すの ものが ほ とん どであ り, 3段
階が1校
,の
こり5校
は 不明であった。中学校では, 2段
階が6校, 3段
階が4校
,残
りは不明であった。 また,自
己評価 を取 り入れている学校が,中
学校 で1例あった。 その他 の記載 内容 として は,受
賞,善
行・表彰欄 を設 けているもの,ス
ポーツテス トの結果の記 入欄 な どを設 けているものが若千あった。10
通信欄 について 回答のあった通知表 のうち,小
学校では,学
校か ら家庭 のみの通信欄 (総合所見欄 を含む)は
58 校(47.4%),往
復通信欄が38校(33.3%),こ
の欄 のない もの7校
,家
庭 か ら学校 のみ1校
,残
り は不明であった。中学校で は,学
校か ら家庭 のみの通信欄 (総合所見欄 を含む)は
36校 (45.0%), 往復通信欄が33校(27.5%),通
信欄 のない もの5校 ,家
庭 か ら学校 のみ2校 ,残
りは不明であった。 欄のスペースは広い もので はA5版
のほぼ全面 を使用す るものか ら,極
端 に狭 い ものまで さまざま鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第
1号 (1993) 147
であった。なお,保
護者か らの通信欄 は,文
章 による自由記述 を求 めるものがほ とん どであったが, 中には,家
庭での生活 の様子な どについて,観
点項 目を定め,段
階評価 をする といつた もの もあっ た。家庭か らの通信欄 は,自
由記述 にす るとなかなか書いて もらえない場合がある。学校が知 りた い子 どもについての情報 を例 を挙 げて示す とか,父
母が学校 に期待す る ことを率直 に伝 ええるよう にすることなどの工夫が必要であろう。 通知表の趣 旨か ら言 って,こ
の欄 は,往
復通信型 にす るのが望 ましい と思われる。父母 と,子
ど もの教育 について意見交換す る機会 は,通
知表 だけではな く,保
護者会,家
庭訪問,学
級通信な ど 多様 に考 えられ るとはいえ,小
学校,中
学校 ともこの型が3分
の1を超 えていないのは問題であろ う。 ま とめ おわ りに「学習 の記録」欄,及
び「行動 の記録」欄 を中心 にまとめを行 ってお こう。(1)今
次の指導要録改訂 に ともなって,小
学校で はほ とん どの学校 で通知表 を改訂 している。 中学校で は新指導要録が適用 されていない3年
生で も約40%が
改訂 を行 っていた。改訂 にあたって は,ほ
とんどの学校 で保護者 に新 しい通知表の説明を行 っていたが,保
護者 との意見交換 を行 った 学校 はご く少数 に とどまっている。 また,通
信欄 をみると,学
校→家庭 の一方向的な ものが多数 を 占めている。通知表 の本来的役割か ら言って,こ
の点 は改善 の余地が ある と思われ る。(2)通
知表 のあ り方のうち,つ
ねに議論 の中心的テーマになって きた各教科の学習の記録 につ いては,い
わゆる「観点別学習状況」欄 を設 ける学校が1970年後半 と 'ヒ ベて格段 に多 くな り,小
学 校ではほ とん どの学校が,中
学校 で も約7割
の学校が これを設 けている。 しか し,観
点項 目の記述 のしかたをみると,学
期毎 に具体 的な目標 内容 を明示 している学校 は小学校で20校(18,0%),中
学 校で1校
(1.7%)にす ぎない。目J票等で具体的な目標内容 を示 している場合が想定 され るにして も, このことと,評
価方法 に対 す る調査表での回答 をあわせて考 えると,厳
密な意味での到達度評価 を 行 っている学校 はさほ ど多 くない。万ヽ学校で この欄の評価方法の分岐 をみると,全
体 として は,絶
対評価(到達度評価),個
人内評価,そ
の中間型 に分岐 してお り,後
2者
で は,評
価規準 の曖味 さが 懸念 され る。「関心・意欲・態度」 といつた客観的な評価が困難 といわれ る観点 を最重視 した指導要 録の観点項 目を多 くの学校が (と りわ け小学校)が
通知表 に導入す る動 きと相 まって,戦
前のよう な,教
師の内部 にその規準 をもつ主観的な認定評価 (戦前型 の「絶対評価」)に
回帰す る恐れ もある と考 えられ る。 教科別総合評定 について は,小
学校で はとくに,厳
密な相対評価か ら,い
わゆる配分率 を緩和 し た「絶対評価 を加味 した相対評価」へ,そ
の「絶対評価 を加味 した相対評価」 も配分率 のさらなる 緩和へ と移行 しつつあるように思われ る。指導要録の「評定」欄 は,あ
くまで学級内等での各教科 成績 の相対的位置 を示す もの とされてい るが,
もしこの趣 旨を踏襲 して通知表で もこの欄 を設 けて いるとすれば,次
の ことに留意す る必要がある。すなわち,相
対評価 は,あ
らか じめ配分率が決め られているか らこそ評点の意味が解釈で きるとい うことである。既 に引用 した渋谷の この欄 に関す る見解その ものは首肯で きるが,配
分率 を意識 しない とい うのであれば,「絶対評価 を加味」した「ホロ 対評価」 とはもはや呼ぶ ことはで きないし,存
在価値 もない と思われ る。 前述の「観点別学習状況」欄,「評定」欄 をあわせて考 えると学習の評価 については,保
護者 にと って通知表 を見 ただけで は,そ
の意味が解釈 しづ らい通知表が増 えたので はないか と懸念 され る。この意味で も