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先行圧縮効果を有する粘性土の強度特性

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愛知工業大学研究報告 第

29

号 平 成

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先行圧縮効果を有する粘性土の強度特性

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1.はじめに 盛土や自然斜面等、我々の身の回りには色々な形 で土質構造物が存在しているが、それを形成してい る材料の力学的性質を正確に把握して、安全性の高 い構造物を合理的に設計することは、土木技術者に 課せられた重要な役割である。 締め固めた土や自然斜面などで見られる固結した 土は、共に、土粒子関の骨格構造の形成によって高 い強度を保持することが一般に知られている。しか し、この種の土のカ学特性を詳細に調べた研究はあ まりなく、設計・施工時に解明すべき多くの問題を 抱えているのが現状である。 例えば、締固め土の場合、転圧時の先行圧縮効果 によって過圧密粘土に類似したカ学特性を示すこと が知られているが、それがどの程度のもので実際の 設計にどう反映させれば良いのかについては未だ十 分に議論されていない。特に先行圧縮応力前後で力 学特性がかなり異なる傾向が認められ、大規模な盛 愛知工業大学土木工学科(豊田市) 土構造物ではこの影響によって斜面の表層と内部で 強度・変形特性が異なり、堤体の安定性評価に対し て復雑な問題が存在している。また、フィルダム等 の水利構造物では貯水後飽和することになるが、こ れによる提体材料の強度変化(低下)特性について も不明な部分が残されている。 一方、地質的年代を経た土は、長期聞に亘る堆積 (agingやりYテサヨン効果) によって固結した堅固な 状態にある。しかし、この種の土は掘削や地下水位 の変動によって過圧密な状態に移行したり、風化に よって固結の程度が変化すると考えられるが、それ らの特性等も十分明らかにされていない。 本研究は、締固め土および国結土に共通した擬似 過圧密下の強度特性を定体積一面せん断試験によっ て調べたものである。締固め土に関しては、先行圧 縮応力前後の強度特性および浸水飽和による強度低 下の特性、固結土に関しては応カ変動に伴う強度低 下特性について考察を加えた。 また、 締固め土の 実験で得られた強度特性を取り入れて盛土の非線形 F E M解析を行い、斜面の安定性と強度特性との関

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愛知工業大学研究報告,第四号's,平成

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係、を議論した。なお、本研究は第1筆者が修士論文 として行った成果を取りまとめたものである。 2. 締め固め土の先行圧縮応カ (pc)の特性

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1

試料及び実験 実験に用いた試料は表 -1 に示す試料 I~IV の 4 種類である、試料Iは学内から採取したシルト質砂、 試料Eおよび試料皿は、試料 Iに破砕した泥岩とカ オリンの混合土(重量比 5:5) を重量比で 30%およ び50%混入したもの、試料IVは破砕した泥岩だけの ものである。図- 1に各試料の粒径加積曲線を、ま た図- 2には締固め曲線 (Ec:100%) と試験点の関 係を示している。実験には品60mmXh 20mmのせん断 箱を有する改良型一面せん断試験装置を使用した。 供試体は図-2の各試験点での締固め状態に対応す るようにせん断箱内で圧縮機を用いて静的に締固め て作製した。

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実験結果及び考察 図- 3は、実験結果の一例として、各試料のc点 (締固めD値 9師、最適合水比) の供試体に対する 垂直応力(σc)と定体積せん断強度(cu)の関係を示

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肱 シJレト 細砂 粗砂

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霊同 的 40 / ./ /1 0 0.00l 0.01 日.1 1.0 10 粒 径 (国調) 図- 1試料の粒径加積曲線 したものである。図を見るとσ。=2.75kgf/cm2 ( 料1)、 3.5kgf/cm2 (試料11) 、6.5kgf/cm2 (試料

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、8.0kgf/cm2 (試料IV)付近でそれぞれcu~ σc関係に折れ曲り点が見られ、 締固め時の先行圧 縮による影響が認められる。本研究では、この折れ 曲り点に対応する垂直応力。。を先行圧縮応力(pc) と定義し、 PC以上の応力範囲を正規圧縮領域、 Pc 以下を過圧縮領域と呼んで区別する1)。 :;' 芸園1.9 ~ 1.71

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一 一 万 1.5 1.4 10 15 20 25 30 含木比曹 0') 図-2締固め曲線と試験点 日 鉛直荷重σ (kgf/cm') 図-3τ σ関係 表- 1実験に用いた試料の性質 土絵子の密度 最大乾燥寝宜 最適合水比 絵 度 組 成 。 。 均等帯量

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先行圧縮効果を有する粘性土の強度特性 2 0 8 E 4 (凶 g u ¥ Z 5 4 h m 曽 鍵 団 住 択 盟

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20 60 80 細粒分古有串 40 図- 4p c~FC関係、 1)締固め状態と PC纏 と の 関 係 図- 4はpc値と細粒分含有率の関係を調べたも のであり、細粒分が多いほど pc値が大きくなる傾 向が認められる。また、pc値は密度

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値)にも大 きく影響され、さらに試験点色、 f、gを比べると飽 和度が低い乾燥側ほどpc値が高くなることが分か る。 2)P c植と他のカ学最との関係 図- 5は4試料(細粒分含有率26%から93%)に ついて、 pc値および一軸圧縮強度quと供試体初期 飽 和 度Srとの関係、を示したものである。 図による と、 pc値と qu{1直はともに飽和度の増加に伴って低 下する傾向が見られ、浸水飽和によって粒子関の構 造強度が低下し、締固めによる先行圧縮の効果が失 われることが分かる。 図- 6は、 同一締屈め条件 (Ec=10日出)の供試 体に対して求めたpc値と qu値の関係を整理したも のである。個々の試料ごとにPc"-'qu関係の直線性 が認められるが、 全体的には図中の平均線 (pc= 4・qu 0・68) を代表値とみなすこたができ、この関 係を用いて一軸圧縮強度から pc値を概略推定でき ることが知れる。 3)過 圧 縮 領 域 下 の 強 度 特 性 p c以下の過圧縮領域の強度については、飽和粘 土の非排水強度に対して提案された次式3)との対応 を考えた。 (C u/σy')oc = (Cu/σy ')Nc (OCR)λ 図- 7は、 各試料のD値95札W O P t試験点(試料 1 ,

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,皿、lVの点 C) における実験結果を過圧縮比 OCRに相当するpc/σと、過圧縮領域の強度増加率 C u/σの関係を両対数紙上で整理したものである。

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(再) 図-5Pc, qu...飽和度関係 ~ 1目 、 、 凶 』 0.3 0.5 1 一組圧縮強度 Q冒 (kgf/c.') 図-6Pc~qu 関係 3

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凶 宵 E R 饗 樹 劇 部 0.5 。 岡3 0.8 1 2 3 5 7 10 過圧縮比 OCR(Pc/ a) 図- 7Cu/σ~OCR 関係 なお、実験値を直線で近似したときの勾配が上式の λ値を、 pc/σ=1の切片値が正規圧縮領域におけ る強度増加率 (Cu/σ) NCを与える。図によると細

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愛知工業大学研究報告,第29号B,平成6年,VoL29-B,盟a

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1994 粒分が多くなるほど (Cu/σ) N Cの値は低くなるが、 λ値は若干増加傾向を示すようである。 λ値と細粒 分含有率の関係を{也の試験点も含めて同様の整理を 行うと図-8が得られる。 図より、 細粒分含有率 が 70~80% 付近で λ 値が急に増加する傾向が見られ る (λ 値が O.1増加すると強度は約l日目増加する)。 しかし、 細粒分含有率が 30~60出の範囲における λ 値は、若干の増加傾向が認められるもののほ£一定 の値 (0.72::tO.03) を示すことが分かる。つまり、 過圧縮領域の強度線が王規圧縮強度線と離れる度合 は、一般の盛土材料の種類や締固め状態によらずほ ぼ一定になると考えられる。 3.浸水飽和による強度低下特性 前項で述べたように、フィルダムなどの盛土材料 は転圧時の先行圧縮効果によって堅固な土粒子構造 を保持し、一般に正規圧縮状態の強度に比べて高い 強度を示す。一方、この程の水利構造物では貯水時 の堤体の飽和化に起因するサクション効果の消滅、 これに伴う士粒子の構造強度の劣化によって盛土材 料の強度は低下すると考えられる。したがって、現 行の設計においては、一般に、この強度低下を考慮 してより安全側の正規圧縮強度が用いられる場合が 多い。しかしながら飽和度の増加に伴ってサクショ ン効果が完全に消滅することは考え難く、飽和後も ある程度の構造強度を保持すると考えられる叫。し たがって正規圧縮強度を設計強度としてそのまま用 いることには検討の余地があり、より厳密な設計を 目指すためには強度低下の特性を精密に追求する必 要がある。 3.1試料および実験 実験に用いた試料は、表 - 1に示した試料Vであ る。本試料は実際の盛土現場(岐阜県高盛士現場) から採取したもので、実験には最大粒径が4.75rnrnと なるように粒度調整した試料を用いた。 供試体の作製は、図 9に示す締固め曲線 (Ec= 100世)に対して、密度および含水比が具なる a~g の 7種類の状態に調整した試料をせん断箱の中に 3 層に分けて投入し、規定の高さまで静的に圧縮して 行った。 実験は、不飽和供試体に対する非圧密非排水せん 断試験 (UU試験)、供試体下部から通水して(水 0.70 30 40 5日 60 70 80 90 100 問 ο 、 、 、 凶 ~l.1 1.5 1.4 5 細粒分合有率 め( 図- 8 λ 細粒分含有率関係 15 20 25 30 含水比 () 図-9締固め曲線と試験点 頭差約1m、通水持間約24時間)飽和させた供試体 に対する圧密排水試験

(CD

試験)、および正規圧 密強度を求めるための飽和試料に対する圧密非排水 せん断 (CU試験)の 3種類について行った。 丸2実験結果および考察 図 10 は供試体作製点 a~g の uu 試験の結果で ある。なお、図中の原点を通る直線は正規圧密供試 体のC U試験の結果であり、 c'= 0、品 '=39.4度 である。 図をみると、締固めD値100%の点 aより D値90%の点邑の強度が大きく、また同一含水比の 点a,c,fの供試体問の強度差と同一密度の点巴, f , gの強度差を比較すると、 後者の強度差が大き いことが分かる。このことから、非排水強度は密度 より含水比や飽和度の影響が大きいと考えられる。 また、拘束圧の低い範囲のせん断強度はいずれの 供試体においても正規圧密強度より大きく、供試体 作製持の先行圧縮の影響やサクション効果がはっき りと現れていることが分かる。

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7

3

密強度線まで強度が低下し (c図)、先行圧縮効果 やサクション効果の消滅が認められる。しかし、締 固め

D

95%

以上では飽和化によって強度低下が生 じるもののある程度の強度は保持している。従って、 士の強度をよりE確に反映した安定解析(長期安定) を行うためには、正規庄密強度よりも

CD

試験の強 度を用いた方が適切であるように考えられる。 先行圧縮効果を有する粘性土の強度特性 図-))は

CD

試験(飽和)の結果である。 a)図 は同一含水比、 b)図は D値

95%

および、 c)図はD 値

90%

の結果であり、図には比較のために不飽和状 態の

uu

試験の結果も実線で示している。図で明ら かなように、 拘束圧の低い過圧縮領域 (p,以下) の強度は浸水飽和することによって破線で示すよう に低下している。特に密度が低い場合はほ交正規圧 c' =0.0 q,'=39.40 不飽和強度 飽和強度 3.0 ぃ 樹 首 里 迩 2.0 之 :¥" ( 闘 眉 ω ¥ ﹄ 同 u -) 正規圧密強度線 c' =0.0 品, =39園40

4.0 、 、 包. " '" 1.0 3.0 い 性制H t 訴R

L 4如H 4.0 (kgf/c困') 3.0 2。因 1.0

4.0 (kgf/cm') 3.0 2.0 垂直応力 σ 1.0

垂直応力σ 図-))(a)不飽和a飽和の強度試験点(点ac f) 図-)0不飽和土のせん断強度(全応力表示) c' =0.0 <t'=39.40 3.0 ぃ 樹 首 耳 2.0 E霊 向 ミ キJ 1.0 4.0 (kgf/四') 由 一 一 -6~ーー 3.日 2.0

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2.0 ん と キj 4.0 (kgf/c阻') 図-))(c)不飽和・飽和の強度試験点(点 ef g) 3.日 2.日 垂直応力。 1.0 垂直応力 σ 図-ll(b)不飽和・飽和の強度試験点(点 bc d)

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愛知工業大学研究報告,第

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は横軸に初期飽和度を、縦軸iこ不飽和

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と飽和後

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の強度(粘着力。 c、 c')を とり、 浸水飽和による強度低下の度合いを密度 (D 値)ごとに区別して示したものである。 図から分か るように、強度低下は密度が低いほど、また飽和度 が85目以下で著しく現れ、 CI がほぼ

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!こ近くなっ ていることが分かる。 初期飽和度が約85見より高い 供試体においても強度低下は起こるが、その度合い は飽和度が低い供試体と比較してそれほど大きくな いようである。 4.応力解放に伴う国結土の強度低下 長期間圧密された闘結土からなる白然斜面を掘削 した場合、長期開放置した後に斜面崩壊がしばしば 起きている。これは掘削による応力解放によって斜 面内の土が膨張し、また地下水位変動による有効応 力の増減に伴って強度低下が生じるためと考えられ ている。その原因を詳細に検討するため、掘削によ って実際に破壊事故が起きた現場の援舌しおよび不撹 乱試料を採取し、応力解放や応力履歴が国結士の強 度低下に及ぼす影響を実験的に確かめた。 4.1試料および笑験 実験の対象にしたのは、岐阜県の道路建設現場の 溶結凝灰岩であり、その物理的性質は表 1に示す とおりである(試料Vl)。 実験は現場の事故事例を再現する形で行った。す なわち、現場では道路建設のため掘削した斜面が約 1年半後に崩落した。地山の掘削を想定した場合、 図一13 に示すように地山の自重を受けていた点 B付 近では、掘削によりA→ Bへ応力が除荷される。ま た、地下水位の上昇、下降を考えた場合、有効応力 の増減は地下水位が上昇 したときが減少し、逆に 地下水位が下降すると有 効応力は増加し点Cのよ うな応力変化が考えられ る。これを再現するため に等体積一面せん断試験 機を用いて有効鉛直応力 を種々変化させた実験を 行い、この応力履歴が強 度に与える影響を調べた。

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2

実験結果および考察 まず、応力が解放される前(揚削前)の応力状態 を把握するために、 5つの不援蓄し供試体について標 準圧密試験を行った。 その結果、圧密降伏応力は py=ιOkgf/cm2程度であることがわかった。 図-14は膨張圧測定試験の結果である。 図より p =0. 6kgf/cm2以下の場合、浸水飽和に伴う膨張が 発生して強度低下を詔くことがわかった。すなわち、 掘削面に6.0tf/m2以上の荷主主を与える対策を施せば、 浸水飽和が起きても土粒子聞に間隙変化が発生せず 掘削斜面は安定であることが予想される。 図 13に示すst ep1からStep4までの応力履歴を 与えたせん断試験の破壊線を図一15に示す。図には 正規圧密強度 (c'=0,品 '=43.0度)も示している。 図から判断されるように、 Step1では明らかに過圧 2.5 問。¥﹄回以南) 2.0 、

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粘着カと供託件初期飽和度 近

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@t ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 圧密荷重(l0&P) 図 13強民低ドの要因

(7)

先行圧縮効果を有する粘性土の強度特性 : J.O 0 0 ¥ 2.0 輔 様 護者 1.0 log P

岡 弘 l 穏 2.0 o 0.1 0.2 0町3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 圧密応力(kgr!C<l包) 図-14膨張・沈下量と圧密圧力の関係 密粘土特有の粘着力成分が卓越し、摩擦成分が低下 する強度特性を示している。そして Step2~4 に至 つては応力履歴が繰り返されることにより、粘着カ 成分は減少し、ついには正規圧密強度に収束してい く様子がうかがえる。 図-16は、 1例として繰り返し応力による間隙比 の変化を示した結果である (Step4) 。図から e~ lop関係、にほとんど差は認められず、 応力履歴に伴 う間隙比の変化は僅かであることが分かる。したが って間隙比によって強度の低下を判断することはで きない。しかし、実験結果では着実に強度低下が生 じており、間隙比の変化(膨張)だけではなく、間 隙比以外の要因も存在しているのではないかと予想 される。他の要因としては拘束応力の反復によって サクション効果やセメンテ ション効果が失われる と推察することもできる。 ここで各 Stepの c と品'を用いて掘削斜面の安定 性を検討してみる。まず斜面が破壊した時点の現場 の状態は、図 17に示すように、斜面勾配45'ですべ り面の深さは約し5mの無限斜面の破壊形状であっ た。従って、この崩壊斜面の安全率Fsを次式によ って求めると(地下水は地表面に一致)、表 - 2お よび図-18に示す結果となる。 F C'L+U73 t aHEb' s~

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。 U 迂鍾震 0.53 0.51 0,01 0.030圃05O. 1 O. 3 O. 5 1. 0 3 5 logP kgf!cm' 図 16応力履歴による間隙比変化 (st ep4)

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(8)

愛知工業大学研究報告,第29号B,平成6年, Vol.29~B, Mar

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ι2解析結果と考察 図

-20

は、 D値 95%の解析結果に基づいて、盛土 内の鉛直応力と強度試験で求めた先行圧縮応力Pc を比較して、正規圧縮

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の領域分 布を調べたものである。図には斜面勾配を

1

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および 2:1に変化させた時の領域境界線を描いてい るが、境界の形状は斜面勾配によらず類似した傾向 を示している。 図

-21

および図

-22

は盛土内の局所安全率の分布 を調べたものであり、図

-21

は先行圧縮効果を考慮 しない正規圧縮強度を用いた場合、図-22は先行圧 縮効果を考慮し、かっ斜面勾配を変えた場合の計算 結果を示す。まず図-22から、斜面勾配が念、になる ほど皇室土内の局所安全率の値が低下し、安全率の低 い領域が全体的に拡大する傾向にあることが知れる。 図

2

1

および図

-22(a)

については、斜面の全体的 すべりに対する安全性を検討するために円弧すベり 面上で局所安全率の重み付き平均値を求め、これを 全体安全率と考えて考察に加えた。この結果、全体 Step c , 品' Fs 1.

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-18

応力履歴による安全率の変化 /

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rrl 図よりSt日p数が増えるほど、すなわち応力履歴が 繰り返されるほど安全率は低下し、最終的に強度が 正規圧密強度近くまで低下した時点で破壊が起こっ たと考えることができる。 5.先行圧縮効果を考慮した盛土斜面の F E M安 定 解 析 締固め土の先行圧縮効果によって盛土表層部に生 じる疑似過圧縮領域が盛土斜面の安定性に与える影 響をF E M非線形応力解析を行って調べた。

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-19

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解 析 内 容 解析に使用いた物性値は、試料Hの最適合水比状 態で締固めD値が

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および日刊の2種類の供試体に 対する三軸圧縮試験結果から求めた(表 3)。図 図

-20

斜面勾配と

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1

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は解析を行ったモデルのメッシュを示している。 盛土のすべり安全率は、各要素の局所安全率(任意 点の最大せん断応力と同一地点、で発揮される破壊時 の最大せん断応力の比)を円弧すべり線上で平均化 して定めた。

(9)

先行圧縮効果を有する粘性土の強度特性

Fs:~宇野ll||!任|

図-21局所安全率分布 (正規圧締強度,勾配 1: 1) 安全率が最小となる最危険すべり面は両ケースに対 して図中の①、②の円のようになり、対応する安全 率の値は表-4 で与えられる。参考のために、表-4には 2つの円①、②に対する両ケースの計算結果 を示しており、最危険円でない方の安全率はカッコ 内に記入した。これらの結果から、1)正規圧縮強度 を用いた計算では、 せん断抵抗は (c=0で)摩擦 成分だけであるから、最危険円が①のように斜面表 層部に現れること、 2)先行圧縮効果を考慮した計算 では、局所安全率の低い領域が盛土内部に拡大する ため、 最危険円は

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C

領域の境界付近の斜面内の 深い位置に現れること、 3)全体安全率の値について は、正規圧縮強度の最危険安全率が先行圧縮効果を 考慮した時の値の半分以下と低いことや、 同じ② の円に対して先行圧縮効果を考慮した場合の(最危 険)安全率より正規圧縮強度の安全率の方が低いこ とから、斜面の安定性評価に当たって先行圧縮効果 を考慮するととの重要性が指摘されること、などが 判明した。 図-23および表- 5は、締固め度合いが安全率お よび破壊形態に及ぼす影響を調べるために、 D値95 %およびD90%に対応する物性値を用いた計算結果 を比較したものである。上と同様に全体安全率が最 小となる最危険すべり面を両ケースについて図-23 に円②,③として示し(円②は図 22 (a )と同じ)、 対応する安全率の値を表-5に整理した。これによ ると、 D値 90%の計算では斜面表層部に最危険円が 現れ、上の正規圧縮強度の計算とほぼ対応する性質 がみられる。 表-5締固め度合いと安全率

-回蜜ミ遇1I1111~三~ I

② 図-22(a)先行圧縮効果を取入れた 局所安全率分布(勾配 1:1) 図-22(b) (勾配 1:2) 図-22(c) (勾配 2:1) 表- 4 先行圧縮効果と安全率 P.効 果 p.効果のを考慮する場合 P.効果のを考慮しない場合

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(10)

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愛知工業大学研究報告9第29号

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,平成6年,VoL29-B,盟品r.1994 6. 結 論 以上の結果をまとめると次の通りである。 1)先行圧縮効果は締固め材料の粒度、密度および飽 和度の影響を受ける。 2)一軸圧縮強度から実験式 p,=4 q uO・5. を用 いて先行圧縮応力p,を簡便に推定することがで きる。 3)締固め度 D95%以上の密度では、浸水飽和しでも 正規圧縮強度より高い強度を保つ。 しかし、D値 9日目以下では先行圧縮効果やサクションの消滅に よって正規圧縮強度にほぼ等しくなる。従って、 盛土構造物の施工に対しては D値95以上になるよ うに締闘めを行うことが望ましい。

4

)

間結土の強度は、斜面掘削による応力解放、浸水 飽和による膨張、地下水変動に伴う応力履歴等iと より、正規圧縮強度まで低下する。 5)局所安全率は先行圧縮効果を考慮した場合の方が 考慮しない場合よりも高い。 6)先行圧縮効果を考慮した場合、 OC、NC領域の境界 線付近で低い安全率が分布し、この付近ですべり が起こり易い。 7)締固め度が高い程、すベり面は深い位置に現れる。 {参考文献〉 1)太田秀樹,伊藤雅夫,石黒健,米谷敏:締固められ た粘性土の先行圧縮応力と強度の推定,土木学会 論文報告集,No436/11I-16,27-36,1991. 2) 李啓春,奥村哲夫,成田国朝:締固め土の先行圧 締効果と強度特性について,土木学会第48回年次 学術講演会講演概要集,画一462,978-979,1993. 3)三田地利之:粘性土の三軸圧縮試験における応 カ履歴の影響について,第

2

0

回土質工学シンポジ ウム,71-78,1976. 4) 大根義男: フィルダム設計上の問題点とその考 察,ダム技術,No.77 , 4~13 , 1993. 5)李啓春,奥村哲夫,大根義男,成田国朝:締固めた 土の先行圧縮特性に関する実験,土木学会中部支 部平成5年度研究発表会講演概要集, 421-422, 1993. (受理平成6年 3月20日)

参照

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